JP2011026727A - ベタツキ感軽減布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用時に快適で、且つ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減するベタツキ感軽減布帛を提供すること。
【解決手段】ベタツキ感軽減布帛であって、該布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00を超え4.00以下であり、該布帛の表側の拡散面積と裏側の拡散面積との比(表/裏拡散面積比)が1.0以上であり、該布帛の濡れ戻り率が15%以下であり、かつ、該布帛の200g/m水分付与時の接触冷感性が240W/m・℃以下であることを特徴とする前記布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベタツキ感軽減布帛に関する。より詳細には、本発明は、運動等により発汗した際に、その汗によるベタツキ感や冷え感を感じない肌DRY性に優れた衣料用途に好適なベタツキ感軽減布帛に関する。
スポーツウェア等の衣服は、着用時運動等による発汗を衣服が吸汗するため、肌と衣服上に存在する汗とが接触し、いわゆるベタツキ感や運動後の冷え感を生じる。かかるこのベタツキ感や冷え感は、特にマラソンやサッカーなどの長時間の運動により大量に発汗した場合に顕著に感じる不快感である。
これらの不快感を防止するための方法として、汗を衣服の肌側から表側に移行させ、肌側に水分を残さないことが有効であり、種々の布帛の検討が進められてきた。その中でも使用する繊維やその繊維の単糸繊度や断面形状を表側と裏側で異ならせた布帛が各種提案されている。
例えば、以下の特許文献1には、布帛表側にH型やI型の異型断面で且つ長手方向に複数の凹溝を有する合成繊維フィラメント、布帛裏側には長手方向に凹部を有しない合成繊維フィラメントを使用することで、布帛表側へ水分を吸水・拡散し、ベタツキ感の低減や速乾性が得られる布帛が提案されている。また、以下の特許文献2には、布帛のどちらか一方の表面層に少なくともセルロース繊維、他方の表面層にポリエステル繊維を使用することでセルロース繊維にて水分を吸収し、ベタツキ感や冷え感を抑制する布帛が提案されている。更に、以下の特許文献3には、布帛表側に綿のような吸水能力に優れた繊維、布帛裏側にポリエステルフィラメントのような吸水能力の劣る繊維を使用することで布帛裏側に水分を残さない構造とし、ベタツキ感や冷え感を抑制する布帛が提案されている。これらは使用する糸種により一定の効果を発現できるが、ベタツキ感を十分に抑制することができず、特に長時間の運動等による発汗の結果として多量の水分を含有したときには、ベタツキ感の低減効果に限界がある。また、セルロース繊維や綿のような親水性繊維を使用すると水分を保持することで衣服が重くなることや速乾性が悪くなることがあり、特にスポーツ衣料においては好ましくない。
従って、多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を抑制する布帛は見当たらないのが現状である。
特許第3724190号公報 特開平10−25643号公報 特開2001−81652号公報
本発明が解決しようとする課題は、着用時に快適で、且つ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減する布帛を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、布帛表裏の繊維の比表面積比を特定範囲とし、布帛表裏の拡散面積比を特定値以上とし、肌への濡れ戻り率を特定値以下とし、かつ、接触冷感性を特定値以下とすることにより、ベタツキ感が軽減された布帛が得られることを予想外に見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ベタツキ感軽減布帛であって、該布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00を超え4.00以下であり、該布帛の表側の拡散面積と裏側の拡散面積との比(表/裏拡散面積比)が1.0以上であり、該布帛の濡れ戻り率が15%以下であり、かつ、該布帛の200g/m水分付与時の接触冷感性が240W/m・℃以下であることを特徴とする前記布帛。
[2]前記布帛のいずれか一方の表面における凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmである、前記[1]に記載のベタツキ感軽減布帛。
[3]前記布帛の厚みが0.70〜1.2mmである、前記[1]又は[2]に記載のベタツキ感軽減布帛。
[4]前記布帛のいずれか一方の表面に、凹部を有する扁平度2.0〜4.0の繊維が配置される、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のベタツキ感軽減布帛。
本発明の布帛でスポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服に製造すれば、着用時に快適で、且つ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減する快適な着用感が得られる。
本発明のベタツキ軽減編地組織図の一例である。 本発明のベタツキ軽減編地組織図の一例である。 本発明のベタツキ軽減編地組織図の一例である。 本発明のベタツキ軽減編地組織図の一例である。 本発明のベタツキ軽減織布組織図の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のベタツキ感軽減布帛は、布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積の比(表/裏比表面積比)が1.00を超え4.00以下であることを特徴とする。
本発明では比表面積の大きい繊維が配置される面を表側又は表面、他方の面を裏側又は裏面と記載する。編織物製造時に通常呼称される表面及び裏面とは、必ずしも一致しなくてもよいが、一致していることが好ましい。
本発明のベタツキ感軽減布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される比表面積との比(表/裏比表面積比)は、好ましくは1.03以上3.00以下、より好ましくは1.05以上2.00以下である。
本発明の布帛の表側を衣類の外気側、裏側を衣類の肌側とすることが望ましく、こうすることで毛細管現象を発現させて肌側から外気側へ水分を移動させることができ、多量の発汗時でも肌面に水分が残りにくく、着用時のベタツキ感や冷え感を軽減することができる。
布帛の表側に配置される繊維の比表面積と布帛の裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00以下では、布帛の裏側に水分を保持してしまい、布帛の裏側から表側に水分が移動しにくくなり、着用時のベタツキ感や冷え感が感じられ、不快なものとなる。布帛の表側に配置される繊維の比表面積と布帛裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が4.0を超えると、布帛の裏側から表側への水分の移動は良くなるが、必然的に使用される繊維の繊度が、布帛の表側には極細繊度、布帛の裏側には極太繊度となり、布帛表側のピリング性能や布帛裏側の肌触りが悪化する恐れがある。
なお、表/裏比表面比とは、(布帛の表側に配置される繊維の比表面積)/(布帛の裏側に配置される繊維の比表面積)として計算したものである。また、布帛の表側又は裏側に配置される繊維の比表面積は、丸断面の場合、総繊度/単糸数にて単糸繊度を算出し、単糸を円柱と仮定した時の円柱の断面積から直径を算出し、そこから単糸断面の周長を算出する。その後、円周×10000mの表面積から総繊度で除したものを比表面積(1g当たりの表面積)とした。断面が異型の場合は、電子顕微鏡等で同倍率拡大撮影した異型単糸断面と丸断面の周長を測定し、丸断面の周長に対しての比率を算出し、丸断面の時の周長×比率×10000mの表面積から総繊度で除したものを比表面積(1g当たりの表面積)とした。
布帛の表側に配置される繊維の比表面積と布帛の裏側に配置される繊維の比表面積(表/裏比表面積比)を1.00を超え4.00以下の範囲にするための方法としては、布帛の表側に配置される繊維に異型断面の繊維や単糸繊度の小さい繊維、単糸数の多い繊維を使用し、布帛の裏側に配置される繊維に丸断面の繊維や単糸繊度の小さい繊維、単糸数の少ない繊維を使用することが効果的であり、これらを併用することでも達成できる。例えば、布帛の表側に配置される繊維に丸断面の単糸繊度が1.17dtexである84dtex72f(比表面積3281cm/g)、布帛の裏側に配置される繊維に丸断面の単糸繊度が2.33dtexである84dtex36f(比表面積2320cm/g)を使用すれば、表/裏比表面積比が1.41となり、また、この布帛の裏側に配置される繊維をW断面の単糸繊度が2.80dtexである84dtex30f(比表面積2464cm/g)に変更すれば、表/裏比表面積比は1.33となる。あるいは、布帛の表側に配置される繊維にW断面の単糸繊度が1.40dtexである84dtex60f(比表面積3643cm/g)、布帛の裏側に配置される繊維に丸断面の単糸繊度が3.50dtexである84dtex24f(比表面積1894cm/g)を使用すれば、表/裏比表面積比は1.92となる。
本発明のベタツキ感軽減布帛は、表側の拡散面積と裏側の拡散面積との比(表/裏拡散面積比)が1.0以上であることを特徴とする。表/裏拡散面積比は、好ましくは1.0〜7.0、より好ましくは1.5〜6.0である。ここで、布帛表面の拡散面積とは、布帛裏面に付着した水滴が布帛の表裏各々に拡散する度合いを示し、後述する方法で測定された各々の面における拡散面積から(布帛の表側の拡散面積)/(布帛の裏側の拡散面積)で算出される。布帛の表側の拡散面積と裏側の拡散面積との比(表/裏拡散面積比)が1.0未満では、布帛表側の拡散面積が布帛裏側の拡散面積より小さいことを示す。すなわち、布帛に吸収された水分は主に布帛の裏側に拡散することになり、布帛表側への水分の移動は起こりにくく、その結果、布帛裏側を衣類の肌面に使用した時にベタツキ感や冷え感を感じ、肌DRY性が悪くなることがある。
本発明では前述のとおり、布帛の表面側に比表面積の大きい繊維を配置し、毛細管現象を発現させているため、布帛表面の拡散面積を布帛裏面の拡散面積より大きくすることができる。
拡散面積の測定方法は、住友科学社製の反応染料「Sumifix Brilliant Blue」を水100gに対して0.05g溶解させた染液0.1ccを、マイクロピペットを使用し、20℃65%RH下の環境で、アクリル板上に水玉状に乗せる。その上に同環境で24時間調湿した布帛から採取した、10cm×10cmの試料を布帛裏面が下になるようにし、染液上に静かに載せる。しばらく放置し、水分が乾燥した後、布帛両面における乾燥後の染液が拡散された面積を測定する。拡散面積は楕円状に拡散されたと仮定して、タテ方向の拡散長さとヨコ方向の拡散長さから(π/4)×(タテ長さ×ヨコ長さ)として求める。
本発明のベタツキ感軽減布帛は、布帛の濡れ戻り率が15%以下であることを特徴とする。濡れ戻り率は、好ましくは10%以下である。ここで、布帛の濡れ戻り率とは、布帛に吸水された水分が布帛に接する物体側に戻る度合いを示す。布帛の濡れ戻り率が15%を超えると、ベタツキ感や冷え感を感じ、肌DRY性が悪くなることがある。濡れ戻り率の測定方法は、20℃65%RH下の環境で、アクリル板上に1ccの水を水玉状に乗せる。その上に同環境で24時間調湿した布帛から採取した、10cm×10cmの試料を測定面(布帛裏面)が下になるようにして静かに載せる。1分後に試料を取り出し、同環境で24時間調湿した10cm×10cmのろ紙の上に測定面が下になるように置き、その試料の上に0.5g/cmの荷重を30秒間載せる。その後、ろ紙が吸い取った水分量(A)ccを測定し、下記式(1)にて算出する:
濡れ戻り率(%)=(A)/1cc×100% (1)
本発明のベタツキ感軽減布帛は、布帛に200g/mの水分を付与した時の接触冷感性が240W/m・℃以下であることを特徴とする。接触冷感性は、好ましくは220W/m・℃以下、より好ましくは200W/m・℃以下、特に好ましくは180W/m・℃以下である。接触冷感性の測定は、カトーテック社製のサーモラボIIを使用する。この装置は温められた熱板を試料上に置いたときの熱の移動量を測定するものである。具体的な測定方法としては、測定に使用する試料を20℃65%RH環境下で24時間調湿した後、8cm×8cmにサンプリングされ、布帛裏側を上にして置かれた試料に、20℃65%RH環境下で30℃に温められた熱板を置いた瞬間の最大熱移動量を測定する。
ここで、200g/mの水分を付与した時とは、だらだら汗をかくような運動をした時に布帛が吸う汗の水分量を想定した条件である。測定時の水分の付与方法は、霧吹きにて、8cm×8cmにサンプリングされた布帛裏面に重量が+1.28gになるように水分を付与すればよい。このときの霧吹き内の水温は20℃である。
布帛の肌に接触する側に水分が残っていると、水の熱伝導率が高いため、熱板から熱を多量に奪い、接触冷感性が大きくなる。すわなち、接触冷感性が大きい試料はベタツキ感が大きいことを意味し、ベタツキ感を感じる接触冷感性は、上記測定方法で240W/m・℃を超えるものである。従来のベタツキ性が改良されたとされる布帛では、本測定のような多量の水分を付与された時の接触冷感性を改善することは困難であったが、本発明では、上記測定方法での接触冷感性が240W/m・℃以下であり、多量の水分が付与された状態でもベタツキ性が改良された布帛といえる。
本発明のベタツキ感軽減布帛はいずれか一方の表面層、好ましくは布帛裏面側に凹凸を有しており、凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmであることが好ましい。本発明においては、凸部と凹部の高さの差が0.15mm未満では肌との接触面積が凹凸のないものと変わらないことから、凹凸があるとはいえず、布帛のベタツキ感が大きくなるため好ましくない。凸部と凹部の高さの差が0.15mm以上であれば、布帛裏側を衣料の肌面として着用した時の肌と布帛裏側の接触面積が少なくなり、布帛が水分を吸った時にベタツキ感が低減され、一方、凸部と凹部の高さの差が0.50mmを超えると、着用等で圧力がかかったときに、凸部が折れ曲がり、結果的には接触面積が大きくなり、ベタツキ感が大きくなることがあり、また、布帛として厚みの大きいものとなり、蒸れる等の着用感を損なうことがあるため好ましくない。
凸部と凹部の高さの差は、布帛の断面写真を電子顕微鏡等で撮影し、凸部を有する点における布帛の厚みを5か所測定し、平均する(A)。また、凹部を有する面における布帛の厚みを5か所測定し、平均する(B)。それぞれの平均値(A)と(B)から下記式により凸部と凹部の高さの差を算出する:
凸部と凹部の高さの差=(A)−(B) (2)
凸部と凹部との差が0.20〜0.50mmであればより好ましく、更に好ましくは0.23〜0.45mm、特に好ましくは0.24〜0.40mmである。
布帛裏側に凹凸を得る方法としては、編地の場合、編み組織としてタックリバーシブル、デンプルメッシュ、コンフォート等のタック編みを使用した組織が好ましい。また、布帛裏側を針抜きにすることも有効である。
本発明のベタツキ感軽減布帛の厚みは好ましくは0.70〜1.20mmであり、より好ましくは0・75〜1.10mm、さらに好ましくは0.80〜1.05mmである。厚みが0.70mm未満では、大量の汗をかいたときに生地の保水量が十分にとれず、生地の肌面に水分が残りやすくなり、ベタツキ感を感じることがある。一方、厚みが1.20mmを超えると、生地の保水量は十分であり、ベタツキ感は感じないが、シャツとして分厚く、重さや蒸れ感を感じるものとなり、スポーツシャツとして好ましくないものとなることがある。なお、布帛の厚みは、Peacock社製の厚み測定器を用い、φ3.0cmの測定部を5gの荷重にて布帛に接触させ、3か所測定し、平均する。
本発明のベタツキ感軽減布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度は任意のものが使用できるが、好ましくは0.5〜3.0dtex、より好ましくは1.0〜2.3dtexである。
布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度が0.5dtex未満では、スナッグ等の消費性能が悪化することがあり、一方、布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度が3.0dtexを超えると、生地表側への毛細管現象が起こりにくくなることがある。
本発明のベタツキ感軽減布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度は任意のものが使用できるが、好ましくは1.5〜4.0dtex、より好ましくは2.0〜3.5dtexである。
布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度が1.5dtex未満では、毛細管現象が起こり易くなり、布帛裏側で拡散してしまい、ベタツキ感や冷え感を感じ、肌DRY性が悪くなることがあり、一方、布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度が4.0dtexを越えると、硬い風合いのものになり、肌触りが悪くなることがある。
本発明のベタツキ感軽減布帛に使用する繊維の断面形状としては丸、三角、L型、T型、Y型、W型、H型、♯型、八葉型、ドッグボーン型等の異型状のものや、これらの糸に中空部を有するものを用いることができ、更に単糸の糸長方向に凹部を連続的又は部分的に有していてもよい。その中でも表面積が大きい断面形状に凹部を有するW断面のような異型状の単糸断面がより好ましい。W断面は糸の凹部に水が保持され、吸水性や濡れ戻り性が良好となることから、布帛の表面使用に有効であるが、単糸断面が扁平であることから、よりソフトな風合いが得られることから、布帛の肌面に使用することもできる。その時の布帛の表面に使用する繊維は、布帛の肌面に使用する繊維よりも比表面積が大きい繊維を使用することが、ベタツキ感や冷え感といった肌DRY性を達成する上で必要である。
更に、本発明のベタツキ感軽減布帛に使用する繊維の断面形状としては扁平度が2.0〜4.0である異型断面が好ましく、ソフトな風合いが得られる。単糸の扁平度が2.0未満では、風合いが硬くなり、一方、単糸の扁平度が4.0を超えると、ソフトな風合いは得られるが、製糸段階において、紡糸が不安定になることがある。本発明において扁平度とは、電子顕微鏡等で撮影した断面写真の単糸断面に外接する長方形を書き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値(L/H)をいう。
本発明のベタツキ感軽減布帛を構成する糸素材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル等の合成繊維マルチフィラメント糸、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維マルチフィラメント糸やこれらから得られるスパン糸、加工糸、混繊糸が挙げられる。更に綿、ウール、麻、絹等の天然繊維やこれらの混紡糸なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。その中でも速乾性の面から、ポリエステルマルチフィラメントが好ましい。また、本開発の効果を得るために、布帛の表側にキュプラのような吸水性フィラメント繊維を使用することも好ましい。更に、ポリウレタン繊維を上記糸とカバリングした糸や、ポリウレタン繊維単体を上記糸と引き揃えで使用し、ストレッチ性を付与するのも好ましい。更に合成繊維マルチフィラメント糸は、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明のベタツキ感軽減布帛に使用する繊維の総繊度は衣料等で一般的に使用されている範囲のものを用いることができるが、その中でも総繊度が16〜200dtexのものが好ましい。
本発明のベタツキ感軽減布帛に使用する繊維は捲縮や毛羽を有していてもよく、布帛表側には毛細管現象が起こりやすい低捲縮糸、布帛裏側には肌との接触面積が小さくなる高捲縮糸が好ましい。低捲縮糸とは捲縮伸長率が0〜25%、高捲縮糸とは捲縮伸長率が25〜250%である。なお、仮撚糸の捲縮伸長率は、下記条件にて測定したものである。
捲縮糸の上端を固定し、下端に1.77×10-3cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(A)を測定する。次いで、1.77×10-3cN/dtの荷重を取り外し、0.088cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(B)を測定し、下記式(3)により捲縮伸長率を求める:
捲縮伸長率(%)=((B−A)/A)×100 (3)
本発明のベタツキ感軽減布帛は、織物や編物等布帛として得られるものであれば組織等は特に限定されない。例えば織物では、一重織物、二重織物、ヨコ二重織物、タテ二重織物、タテ・ヨコ二重織物等で構成することができ、編物では、シングルジャージ、ダブルジャージ、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセル等で構成できる。特に二重織物やダブルジャージ等の多層にした織物や編物では、布帛の表裏がはっきりし、布帛表側への水分の移動により肌側への水分が残りにくくてよい。更に布帛表側の表面層を構成する編地又は織物の密度を裏側の表面層を構成する編地又は織物の密度よりも大きくすることにより、毛細管現象が発現し、裏側から表側へ水分を移動させることができるため、多量の発汗時でも肌面に水分が残りにくく、着用時のベタツキ感や冷え感を軽減することができる。表裏の密度を変える方法としては表裏に使用する繊維の単糸繊度を異ならせる方法や、編地のコース数やウェル数、織物のたて糸密度やよこ糸密度を表裏で異ならせる方法がある。例えば編地では表側のウェル数(ウェル方向単位長さあたりのループ数)を裏側のウェル数の1.0〜4.5倍に、好ましくは1.2〜4.2倍、より好ましくは1.3〜4.0倍にすることにより達成できる。
この場合、表側密度が裏側の密度の1.0倍未満では、毛細管現象が起こりにくくなり、毛細管現象による水分移行によるべたつきの改善効果は低くなる。表側の密度が裏側の密度の4.5倍を超えると、毛細管現象による水分の移行は大きいが、裏側が粗い組織となり、着用した時のチクチク感等の風合いや、スナッキング性も悪くなることがある。
表裏の密度は、編地の場合、幅2.54cm(1インチ)当たりの編目ループの数をデンシメーターやリネンテスター等で測定する。ここでループ数とは、ニットループの編目の数であり、タックループやシンカーループといった編目はループ数に含まない。編地の、表側と裏側の密度を変える方法としては、特に限定されないが、編地裏側を針抜き組織にする方法や、ダイアル側とシリンダ側のゲージ数が違うダブル丸編機を使用する方法、該丸編み機を使用した上で針抜き組織にする方法が好ましい。
本発明のベタツキ感軽減布帛を製造する方法として、織物の場合、WJL織機、AJL織機、レピア織機、ニードル織機等が使用できる。編物の場合、横編機やシングル丸編機、ダブル丸編機、トリコット編機、ラッセル編機等を使用できる。
本発明のベタツキ感低減布帛の目付は特に限定されないが、50〜300g/mが好ましく、より好ましくは80〜250g/mである。
本発明のベタツキ感軽減布帛には吸水加工を施すことが望ましい。
本発明のベタツキ感軽減布帛の裏側に起毛加工による毛羽を有していてもよい。これにより、布帛裏側を衣服の肌面に使用したときに、肌との接触面積が低くなり、ベタツキ感や冷え感の軽減に有効であるが、風合い向上等の目的で布帛の表面に起毛加工したり、布帛の両面に起毛加工したりしてもよい。更に、起毛加工は染色加工前に行う方法や染色加工後に行う方法があるが、どちらでもよい。
本発明の布帛はスポーツウェアやインナー等の汗処理機能が必要な衣料用途に特に好適であるがこれに限定されず、アウターや裏地等の衣料や、シーツ等の寝具、さらには失禁パンツやおむつ等の衛生物品にも適用でき、水分によるベタツキ感や冷え感を軽減する効果を発揮する。
以下、実施例により本発明を詳述する。無論、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)着用試験(ベタツキ感・冷え感)
染色加工された編地の裏側が肌面になるように作成されたシャツを着用し、28℃65%RH環境の人口気候室にて10分間安静にした後に、大武・ルート工業社製トレッドミルORK−3000にて時速8kmで30分の走行運動を行い、再び10分間安静にした。走行運動後のベタツキ感、冷え感を官能評価した。
○:ベタツキ感、冷え感を感じない。
×:ベタツキ感、冷え感を感じる。
[実施例1]
ダイアル側が18GG、シリンダ側が24GGであるダブル異ゲージ丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fを、ダイアル側に単糸繊度が2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fを給糸して図1の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.06であった。この生機を液流染色機にて80℃×20分で精練、水洗した後に、ピンテンターにて幅出し率20%で180℃×90秒のプレセットを行った。その後、液流染色機にて130℃でのポリエステル染色、吸水加工、水洗を行った後に、ピンテンターにてしわが取れる程度に伸長し、150℃×90秒のファイナルセットを行い、目付119g/m、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル数(ウェル方向のループ数)は44個/インチ、裏側のウェル数は10個/インチであり、表側のウェル数は裏側のウェル数の4.4倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.37mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比(表/裏拡散面積比)は6.6、濡れ戻り率は5.7%、水分200g/m付与時の接触冷感値は168W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例2]
実施例1と同じ丸編み機を使用し、編み組織を図2、シリンダ側に単糸繊度1.9dtex、扁平度3.0、比表面積3140cm/gのポリエステルW型断面加工糸56dtex/30fを2本引きそろえ、単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面原糸84dtex/36fを5:1の割合で給糸し、ダイアル側には単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fと単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2341cm/gのポリエステル丸型断面加工糸110dtex/48fを交互に給糸して図2の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸及び丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.29であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付153g/m、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル数は38個/インチ、裏側のウェル数は20個/インチであり、表側のウェル数は裏側のウェル数の1.9倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は4.0、濡れ戻り率は7.1%、水分200g/m付与時の接触冷感値は194W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例3]
ダイアル側、シリンダ側とも28GGであるダブル丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸して図3の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付127g/m、厚み1.02mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル数は45個/インチ、裏側のウェル数は23個/インチであり、表側のウェル数は裏側のウェル数の2.0倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.27mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は4.8、濡れ戻り率は6.6%、水分200g/m付与時の接触冷感値は185W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例4]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度3.5dtex、扁平度1.0、比表面積1894cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/24fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.30であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付130g/m、厚み0.82mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は47個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.30mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は8.8、濡れ戻り率は9.4%、水分200g/m付与時の接触冷感値は221W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例5]
シリンダ側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72f、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積の比は1.33であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付122g/m、厚み0.80mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は45個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は7.2、濡れ戻り率は8.8%、水分200g/m付与時の接触冷感値は218W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例6]
シリンダ側に単糸繊度0.6dtex、扁平度1.0、比表面積4640cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/144f、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は2.00であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付137g/m、厚み0.82mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は46個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は5.3、濡れ戻り率は9.9%、水分200g/m付与時の接触冷感値は223W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例7]
シリンダ側に単糸繊度0.6dtex、扁平度1.0、比表面積4640cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/144f、ダイアル側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.41であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付145g/m、厚み0.85mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は46個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.28mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は2.5、濡れ戻り率は11.8%、水分200g/m付与時の接触冷感値は231W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例8]
28GGのシングル丸編み機を使用し、シリンダ側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸して図4の組織で構成されたタック組織の生機を得た。この時の主に表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、主に裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付118g/m、厚み0.81mmのシングル編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は46個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は46個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.22mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は3.1、濡れ戻り率は12.2%、水分200g/m付与時の接触冷感値は229W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例9]
WJL織機を使用し、表側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fになるように図5の織組織で構成された2重織物の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付140g/m、厚み0.72mmの織物を得た。この織物の表側及び裏側のよこ糸密度は107本/インチであり、表側のよこ糸密度は裏側のよこ糸密度の1.0倍であった。また、織物の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.16mmであった。更に織物の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は2.2、濡れ戻り率は14.1%、水分200g/m付与時の接触冷感値は230W/m・℃であり、この織物から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[比較例1]
シリンダ側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36f、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積に比は0.94であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付125g/m、厚み0.83mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は47個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.36mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は0.8、濡れ戻り率は25.2%、水分200g/m付与時の接触冷感値は263W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例2]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は0.75であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付131g/m、厚み0.81mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は47個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は0.5、濡れ戻り率は28.6%、水分200g/m付与時の接触冷感値は329W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例3]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積の比は0.68であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付140g/m、厚み0.79mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は45個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は0.3、濡れ戻り率は30.5%、水分200g/m付与時の接触冷感値は356W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例4]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2341cm/gのポリエステル丸型断面加工糸110dtex/48fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.05であった。この生機の加工をプレセット時の幅出し率を30%にした以外は実施例1と同様にして、目付118g/m、厚み0.72mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は44個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は23個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.13mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は7.4、濡れ戻り率は18.5%、水分200g/m付与時の接触冷感値は251W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例5]
肌側の水分を瞬間的に表面に移動させ、ベタツキ感が少ないと謳われている市販のスポーツシャツAを入手した。このスポーツシャツAに使用された編物は、シャツの外気に触れる側を表側、肌面側を裏側とした時に、表側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル加工糸84dtex/72f、裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積1991cm/gのポリエステル加工糸56dtex/24fが使用されたシングル丸編地で、主に表側にあるポリエステル加工糸と、主に裏側にあるポリエステル加工糸の比表面積の比は1.65であり、目付114g/m、厚み0.65mmであり、表側のウェル方向のループ数は50個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は50個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地裏側の凸部と凹部の高さの差は0.17mmであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は1.3、濡れ戻り率は20.8%、水分200g/m付与時の接触冷感値は263W/m・℃であり、着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例6]
ベタツキ感が少なく、肌離れが良いと謳われている市販のスポーツシャツBを入手した。このスポーツシャツBに使用された編物は、表側及び裏側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル加工糸84dtex/72fを使用したシングル丸編地で、主に表側にあるポリエステル加工糸と、主に裏側にあるポリエステル加工糸の比表面積の比は1.00であり、目付115g/m、厚み0.48mmであり、表側のウェル方向のループ数は48個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は48個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地裏側の凸部と凹部の高さの差は0.12mmであり、凹凸とは言えないレベルであった。更に編地の表側の拡散面積と裏側の拡散面積の比は1.0、濡れ戻り率は31.0%、水分200g/m付与時の接触冷感値は359W/m・℃であり、着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
Figure 2011026727
本発明による布帛を用いることで、着用時に快適で、且つ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減する衣服が製造可能となり、こうして得られた衣服は、スポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服等において、快適な着用感が得られる。

Claims (4)

  1. ベタツキ感軽減布帛であって、該布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00を超え4.00以下であり、該布帛の表側の拡散面積と裏側の拡散面積との比(表/裏拡散面積比)が1.0以上であり、該布帛の濡れ戻り率が15%以下であり、かつ、該布帛の200g/m水分付与時の接触冷感性が240W/m・℃以下であることを特徴とする前記布帛。
  2. 前記布帛のいずれか一方の表面における凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmである、請求項1に記載のベタツキ感軽減布帛。
  3. 前記布帛の厚みが0.70〜1.2mmである、請求項1又は2に記載のベタツキ感軽減布帛。
  4. 前記布帛のいずれか一方の表面に、凹部を有する扁平度2.0〜4.0の繊維が配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベタツキ感軽減布帛。
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