JP2004270047A - 編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】汗をかいて湿潤状態になった衣服が肌と密着してはりつくことによって体の動きを妨げたり精神的に不快になることを低減した、べたつき、はりつきの少ない、肌離れの良い衣服に好適な編地を提供する。
【解決手段】湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、かつ、曲面はりつき指数が300以上であることを特徴とする編地。さらに、編地中に、弾性繊維を1〜15wt%含むことが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、かつ、曲面はりつき指数が300以上であることを特徴とする編地。さらに、編地中に、弾性繊維を1〜15wt%含むことが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣服に好適な編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スポーツ等をして汗をかくと衣服が湿潤状態になってべたつき、肌にくっついて着用者の体の動きを妨げて運動能力を低下させたり、着用者に精神的不快感を与えるという問題があり、これを解決すべくさまざまな方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、乾燥および湿潤状態における肌側の面の摩擦係数を低くした、長繊維と綿を含む短繊維からなる複合糸を含む丸編物などが提案されている。この丸編物は、ゆとりあるスポーツウェアとして好適で、乾燥・湿潤時の肌離れ性が向上したものであると記載されている。
【0004】
特許文献2、特許文献3には、単糸繊度の太い疎水性フィラメントを含む複合糸を用いて編地の剛性を高め、濡れた衣服が肌に接しにくく肌離れ性に優れ、はためきによる換気及び放熱性を高めた編地も提案されている。
【0005】
特許文献4には、セルロース系繊維と疎水性繊維を混在させて、肌面に疎水加工を施し、適度な表面凹凸性を有し、乾燥時と湿潤時の静摩擦係数の比が一定値以下であるような丸編地も提案されている。
【0006】
特許文献5には、飽和吸水量や飽和吸水時の湿潤通気抵抗値、表面凹凸度を規定することによって、湿潤状態にある布帛を垂直方向へ引き剥がす力を低減させる方法も提案されている。
【0007】
特許文献6には、生地の外気側の面に吸水能力の優れた繊維を配し、肌側の面に吸水能力の劣る繊維を配して、生地の肌側の面から外気側の面に水分を移動させ、乾燥時と湿潤時のぬれ感、冷え感の差が小さくなるような提案もされている。
【0008】
また、特許文献7には、レーヨンマルチフィラメントを用いる等、糸使いを限定して、肌に接触する面に凹凸をつける方法が提案されている。
【0009】
上記のように、さまざまな提案がなされているが、いずれも以下に示すような問題点があり、満足できるものとはいえない。
【0010】
例えば、特許文献1のように摩擦係数を低くするのみでは、べたつき感は解消されるものの、多量に発汗したときには、肌へのはりつきを低減するには不十分である。
【0011】
また、特許文献2のように単糸11dtex(10デニール)のような糸を用いたり、特許文献3のように単糸6〜22dtex(5〜20デニール)のような糸を用いると、ごわごわして着心地が悪く、実用に耐えるものではない。
【0012】
特許文献4のような場合、静摩擦係数の値が小さくても、乾燥時の静摩擦係数が大きいと乾燥時の肌へのまとわりつきが大きくなり、着心地が悪くなってしまう。
【0013】
また、特許文献5のように、垂直方向への引き剥がし力の低減のみでは、生地が肌と横方向にずれるような場合を想定しておらず、不十分である。
【0014】
特許文献6のような場合は、肌面の吸水時間が10秒近くなると、明らかに肌へのべたつき感が生じる。
【0015】
また、特許文献7の場合には、糸使いがかなり限定されてしまう。
【0016】
更に、以上の特許文献に記載されている技術は、いずれも、実際の人体の曲面や運動による動きが考慮されていないという問題点があった。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−303402号公報
【特許文献2】
特開平9−291433号公報
【特許文献3】
特開2000−8245号公報
【特許文献4】
特開2001−164446号公報
【特許文献5】
特開2001−303408号公報
【特許文献6】
特開2001−81652号公報
【特許文献7】
特開平10−131000号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、汗をかいて湿潤状態になった衣服が肌と密着してはりつくことによって体の動きを妨げたり精神的に不快になることを低減した、べたつき、はりつきの少ない、肌離れの良い衣服に好適な編地を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、汗をかいて湿潤状態になっても水分を肌面に残さず、かつ肌の曲面に沿いにくく、肌と密着してはりつきにくい編地にすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0020】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0021】
1.衣服用の編地であって、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、かつ、曲面はりつき指数が300以上であることを特徴とする編地。
【0022】
2.弾性繊維を1〜15wt%含むことを特徴とする上記1記載の編地。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明の編地は、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、好ましくは200W/m2・℃以下である。
【0025】
湿潤時とは、編地1m2当たり200gの水を含んだ状態である。スポーツ等を行い、多量に発汗した状態では、200g/m2/hに相当する水分が発生するが、この水分をすべて吸収した状態に相当する。また、Qmaxとは、接触時の最大移動熱量であり、編地に触れた時の冷感の指標である。
【0026】
湿潤時のQmaxが大きくなればなるほど、編地に触れたときの冷感が大きくなる。吸収した水分を十分に編地内部に維持することができず、編地表面に水分が残っている場合は、湿潤時のQmaxが大きくなる。したがって、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃を超える編地は、編地表面に残っている水分による冷感が大きく、ぬれ感があり不快である。
【0027】
湿潤時のQmaxは、カトーテック(株)製のサーモラボIIを用いて測定する。20℃、65%RH環境下で、熱板30℃、試料台20℃の条件で、含水させた試料を肌面を上側に向けて試料台に置き、熱板を試料の上に置いた瞬間の最大熱移動量を測定する。含水試料の調整は、7cm×7cmにカットした試料の肌面に0.98gの水をできるだけ均一に付与する。
【0028】
また、本発明の編地は、曲面はりつき指数が300以上であり、好ましくは350以上である。300未満では、吸水した際に、編地表面に水が存在するため及び吸水することによる曲げ剛性の低下等により編地の復元力が低下するため、いったん肌に触れるとそのまま貼り付いてしまい、体の動きを妨げる。すなわち、汗をかいた状態で肌にべっとりと編地が貼り付きやすく、身体を動かしてもそのまま編地が貼り付いたままであり、快適な着用感が得られない。
【0029】
本発明において、曲面はりつき指数とは、経15cm×緯5cmの試料に一定量の水分を肌面から均一に含ませて、長さ15cm、直径5cm、厚さ2mmのアクリル樹脂製の円筒を垂直に立てたものに、試料の経方向を垂直方向として肌面側を貼り付けようとしたときに、貼り付けることの出来ないぎりぎりの含水量(g/m2)のことである。
【0030】
ここで、貼り付けることの出来ないぎりぎりの含水量とは、含水試料を静止した円筒に貼り付けようとしても、滑り落ちてしまう時の最大含水量のことである。または、静止した円筒には貼り付いても、円筒を80rpmから140rpmの範囲で垂直軸を中心に回転させたとき、1回転するまでに試料が滑り落ちてしまう時の最大含水量のことである。
【0031】
編地が水分を含有すると、肌に貼り付きやすくなる。曲面はりつき指数が大きいほど、貼り付きやすくなるのに必要な含水量が大きい。すなわち、曲面はりつき指数が大きい編地ほど、肌に貼り付きにくい編地であると言うことができる。
【0032】
湿潤時のQmaxは、湿潤状態の編地が肌に触れた瞬間の冷感や、編地の表面にどれだけ水分が残っているかの指標であり、曲面はりつき指数は、実際の人体の曲面を想定し、肌への貼り付きやすさや、体を動かしたときに、編地が貼り付いた状態が持続しやすいかの指標である。この二つの要件を満たす編地は、水分が肌面に残らず、肌の曲面に沿いにくく、貼り付きにくい編地である。
【0033】
本発明において、上記二つの要件を満たす編地を得るための方法としては、例えば、多層構造編組織による方法、編地の性量を制御して厚みを増加させることによって空隙率の大きな編地とする方法、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等疎水性繊維を肌面に使用する糸使いにする方法、ポリウレタン系やポリエステル系などの弾性繊維を交編等の手段によって編地に編みこむ方法等が挙げられる。
【0034】
上記の方法のうち、多層構造編組織による方法について詳細に説明する。
【0035】
多層構造編組織とは、組織、糸使い、性量が編地の厚み方向に連続および/または不連続に変化する層が2層以上存在する編組織のことである。層の数は多くなるほど吸水できる空隙が増加し、貼り付き難くなるが、厚みが大きくなり実用性が無くなる。厚みと貼り付き難さを両立させるためには、2〜4層が好ましく、特に2層が好ましい。
【0036】
2層構造編組織と糸使いによる方法を組み合わせることは、貼り付き難くする機能を向上させるうえで好ましい。糸使いとしては、肌面にポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維等の疎水性繊維を使用することが好ましい。さらに、疎水性繊維に吸水性を向上させるような処理、例えば、繊維の表面に吸水加工を施すことは、迅速に発汗した汗を吸収することができるので好ましい。疎水性繊維は、原糸でもよいが、流体交絡加工糸等、単糸間に空隙の少ない形態のものを用いることが、肌面から吸水した汗をすばやく外側表面に移行させることができるので好ましい。流体交絡加工糸のなかでも、特に流体噴射加工糸は、肌に触れる表面に細かい凹凸をつけることができ、肌との接触面積を減らすことができるので好ましい。
【0037】
疎水性繊維の単糸繊度は、1.5〜10dtexが好ましい。単糸繊度がこの範囲であると、単糸間の空隙を小さくすることができ、肌面から吸水した汗をすばやく外側表面に移行することができ、かつ、曲げ剛性が大きいため肌に沿いにくくなり、肌離れ性が良好になる。なお、疎水性繊維が中空糸である場合、単糸繊度として見掛け単糸繊度を用いる。見掛け単糸繊度とは、中空部分が中実であったと仮定した時の単糸繊度を言い、単糸の光学顕微鏡クロスセクション写真又は同画像から、見掛け単糸断面積(C1)及び実単糸断面積(C2)を画像解析にて測定し、下記式(1)により見掛け単糸繊度(T)を算出する。
【0038】
T=(実測単糸繊度)×C1/C2・・・・(1)
単糸繊度が大きくなると、肌離れ性は良好になるが、粗硬な風合いとなる場合もあるため、扁平度が2.0〜4.0である扁平断面異型糸を用いることが好ましい。ここで言う扁平度とは、単糸断面に外接する長方形を描き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値(L/H)のことである。
【0039】
さらに、肌面に、見掛け単糸繊度が、好ましくは2.0〜10.0dtex、より好ましくは3.0〜10.0dtexで、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0である扁平断面中空糸を用いることが好ましい。
【0040】
見掛け単糸繊度が上記の範囲であると、吸水した汗が表面に移行し易く、風合いがソフトである。また、中空糸であると、見掛け単糸繊度が同等の中実糸と同程度の水分移行および肌離れ効果を有する上に、編地が軽量になり、汗を含んだ場合に肌から離れやすくなる。
【0041】
扁平断面中空糸としては、長手方向に伸びる独立した二つの中空部を有するメガネ型断面形状であることが好ましい。メガネ型断面を有する単糸の中空率は20〜40%であることが好ましく、25〜35%がより好ましい。中空率が上記の範囲であると、軽量性に優れ、曲げ応力が低く、編地の風合いがソフトである。
【0042】
上記のようなメガネ型断面糸を、肌面を構成する繊維のうち50wt%以上用いることが好ましい。50wt%以上含まれる編地は、本発明の特徴である、汗を含んだときの肌離れ性が良好になる。さらに、糸の保水率を低下させて、肌面から一層すばやく汗を生地の外側表面に移動させるためには、このメガネ型断面中空糸が流体噴射加工されていることが好ましい。
【0043】
2層構造編組織において、肌面と反対側の表側には、少なくとも表面が親水性の繊維を用いることが好ましい。
【0044】
少なくとも表面が親水性の繊維とは、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等の疎水性繊維に表面親水加工を施したもの、ポリアクリル繊維やポリアミド繊維等分子内に極性の高い親水性官能基を含むもの、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が例示される。なかでも、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等の疎水性繊維に表面親水加工を施したものが、吸水した汗を大気中に蒸散する能力が高く、好ましい。
【0045】
編地の表側には、紡績糸、長繊維の仮撚り加工糸等、単糸間や繊維間の空隙が多い形態とした繊維を用いることが、肌面から吸水した汗をすばやく表側に移行させ、かつ、肌面に戻さないよう保水できるので好ましい。また、長繊維の仮撚り加工糸は、抗ピリング性等の実用性能に優れるため、用いることが好ましい。単糸繊度は、好ましくは0.1〜3dtex、より好ましくは0.3〜1.5dtexである。単糸繊度がこの範囲であると、単糸表面積が増加し、水を保持できる空隙が増加するため好ましい。同じ単糸繊度でも、丸断面に対し、断面の周囲長が長くなる異型糸を用いることが、単糸表面積が増加し、水を保持できる空隙が増加するため好ましい。
【0046】
次に、本発明の編地を得るための方法として、弾性繊維を用いる方法について説明する。
【0047】
弾性繊維としては、破断伸度が100%以上、かつ、50%伸長時の伸長回復率が90%以上であることが好ましい。弾性繊維を構成するポリマーの種類、構造、組成等は特に限定されないが、ポリウレタン系、ポリウレタンウレア系、ポリウレタンエーテル系、ポリウレタンエステル系、ポリエステル系等が例示される。伸長回復率、耐久性に優れるポリウレタンウレア系弾性繊維が好ましい。
【0048】
編地中の弾性繊維の含有量は1〜15wt%であることが好ましく、より好ましくは2〜10wt%である。弾性繊維の含有量が上記の範囲であると、編地が外部からの力によって変形しても、元の状態に戻る回復性に優れるため、肌に接触して貼り付いても離れ易く、肌離れ性が良好になり、また、製造時の収縮等の制御も容易で、安定した生産ができる。弾性繊維を混用する方法は特に限定されず、交編、カバーリングヤーン、コアスパンヤーン等公知の方法が利用できる。
【0049】
本発明の編地を使用する衣服のデザインとしては、身体にフィットしたものではなく、肌との間にある程度のゆとりがあることが必要である。しかし、ゆとりがあっても上述した湿潤時のQmaxと曲面はりつき指数の要件が満たされていないと、肌に貼り付いてしまう。
【0050】
さらに、編地に、弾性繊維を1〜15wt%含有させることにより、一層身体に沿いにくくなり、肌と衣服の間に空間ができやすく、肌離れのしやすさが向上する。
【0051】
【発明の実施の形態】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、実施例によって何ら限定されるものではない。
【0052】
なお、着用快適性の評価方法は以下のとおりである。
【0053】
<着用快適性>
編地を使用して作製したTシャツを着用し、28℃、60%RHの環境下で、7km/時の速度で20分間トレッドミル運動を行った際の着用感を判定した。
【0054】
評価は、肌への貼り付き、総合的な快適性について、下記の基準で行った。
【0055】
(貼り付き)
◎:全く貼り付かない、○:ほとんど貼り付かない、×:貼り付く
(総合的な快適性)
◎:きわめて快適、○:快適、×:不快
〔実施例1〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア:旭化成(株)製)を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0056】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ194W/m2・℃、550であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0057】
〔実施例2〕
仮撚り加工を施した168dtex/60fのW型断面ポリエステル繊維(テクノファイン:旭化成(株)製)を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア:旭化成(株)製)を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0058】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ180W/m2・℃、600であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに◎であり、きわめて良好であった。
【0059】
〔実施例3〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア;旭化成(株)製)原糸を肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0060】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ232W/m2・℃、300であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0061】
〔実施例4〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、168dtex/72f丸型断面ポリエステル繊維を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0062】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ216W/m2・℃、450であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0063】
〔実施例5〕
仮撚り加工した168dtex/60fのW型断面ポリエステル繊維(テクノファイン:旭化成(株)製)と220dtexポリウレタンウレア弾性繊維ロイカ(旭化成(株)製)を、弾性繊維が10wt%になるように交編した編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。
【0064】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ115W/m2・℃、650であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに◎であり、きわめて良好であった。
【0065】
〔比較例1〕
ポリウレタン弾性繊維を交編しないこと以外は、実施例5と同様にして編地を作製した。
【0066】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ435W/m2・℃、150であり、本発明の範囲を逸脱していた。着用快適性評価の結果は、汗をかいた時、肌に貼り付き、非常に不快なものであった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の編地は、汗をかいて湿潤状態になったとき、肌と密着して貼り付くことがないので、体の動きを妨げたり、精神的に不快になることがない。したがって、肌にべたついたり、貼り付いたりせず、肌離れの良い、着用快適性に優れた衣服として好適な編地である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣服に好適な編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スポーツ等をして汗をかくと衣服が湿潤状態になってべたつき、肌にくっついて着用者の体の動きを妨げて運動能力を低下させたり、着用者に精神的不快感を与えるという問題があり、これを解決すべくさまざまな方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、乾燥および湿潤状態における肌側の面の摩擦係数を低くした、長繊維と綿を含む短繊維からなる複合糸を含む丸編物などが提案されている。この丸編物は、ゆとりあるスポーツウェアとして好適で、乾燥・湿潤時の肌離れ性が向上したものであると記載されている。
【0004】
特許文献2、特許文献3には、単糸繊度の太い疎水性フィラメントを含む複合糸を用いて編地の剛性を高め、濡れた衣服が肌に接しにくく肌離れ性に優れ、はためきによる換気及び放熱性を高めた編地も提案されている。
【0005】
特許文献4には、セルロース系繊維と疎水性繊維を混在させて、肌面に疎水加工を施し、適度な表面凹凸性を有し、乾燥時と湿潤時の静摩擦係数の比が一定値以下であるような丸編地も提案されている。
【0006】
特許文献5には、飽和吸水量や飽和吸水時の湿潤通気抵抗値、表面凹凸度を規定することによって、湿潤状態にある布帛を垂直方向へ引き剥がす力を低減させる方法も提案されている。
【0007】
特許文献6には、生地の外気側の面に吸水能力の優れた繊維を配し、肌側の面に吸水能力の劣る繊維を配して、生地の肌側の面から外気側の面に水分を移動させ、乾燥時と湿潤時のぬれ感、冷え感の差が小さくなるような提案もされている。
【0008】
また、特許文献7には、レーヨンマルチフィラメントを用いる等、糸使いを限定して、肌に接触する面に凹凸をつける方法が提案されている。
【0009】
上記のように、さまざまな提案がなされているが、いずれも以下に示すような問題点があり、満足できるものとはいえない。
【0010】
例えば、特許文献1のように摩擦係数を低くするのみでは、べたつき感は解消されるものの、多量に発汗したときには、肌へのはりつきを低減するには不十分である。
【0011】
また、特許文献2のように単糸11dtex(10デニール)のような糸を用いたり、特許文献3のように単糸6〜22dtex(5〜20デニール)のような糸を用いると、ごわごわして着心地が悪く、実用に耐えるものではない。
【0012】
特許文献4のような場合、静摩擦係数の値が小さくても、乾燥時の静摩擦係数が大きいと乾燥時の肌へのまとわりつきが大きくなり、着心地が悪くなってしまう。
【0013】
また、特許文献5のように、垂直方向への引き剥がし力の低減のみでは、生地が肌と横方向にずれるような場合を想定しておらず、不十分である。
【0014】
特許文献6のような場合は、肌面の吸水時間が10秒近くなると、明らかに肌へのべたつき感が生じる。
【0015】
また、特許文献7の場合には、糸使いがかなり限定されてしまう。
【0016】
更に、以上の特許文献に記載されている技術は、いずれも、実際の人体の曲面や運動による動きが考慮されていないという問題点があった。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−303402号公報
【特許文献2】
特開平9−291433号公報
【特許文献3】
特開2000−8245号公報
【特許文献4】
特開2001−164446号公報
【特許文献5】
特開2001−303408号公報
【特許文献6】
特開2001−81652号公報
【特許文献7】
特開平10−131000号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、汗をかいて湿潤状態になった衣服が肌と密着してはりつくことによって体の動きを妨げたり精神的に不快になることを低減した、べたつき、はりつきの少ない、肌離れの良い衣服に好適な編地を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、汗をかいて湿潤状態になっても水分を肌面に残さず、かつ肌の曲面に沿いにくく、肌と密着してはりつきにくい編地にすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0020】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0021】
1.衣服用の編地であって、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、かつ、曲面はりつき指数が300以上であることを特徴とする編地。
【0022】
2.弾性繊維を1〜15wt%含むことを特徴とする上記1記載の編地。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明の編地は、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、好ましくは200W/m2・℃以下である。
【0025】
湿潤時とは、編地1m2当たり200gの水を含んだ状態である。スポーツ等を行い、多量に発汗した状態では、200g/m2/hに相当する水分が発生するが、この水分をすべて吸収した状態に相当する。また、Qmaxとは、接触時の最大移動熱量であり、編地に触れた時の冷感の指標である。
【0026】
湿潤時のQmaxが大きくなればなるほど、編地に触れたときの冷感が大きくなる。吸収した水分を十分に編地内部に維持することができず、編地表面に水分が残っている場合は、湿潤時のQmaxが大きくなる。したがって、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃を超える編地は、編地表面に残っている水分による冷感が大きく、ぬれ感があり不快である。
【0027】
湿潤時のQmaxは、カトーテック(株)製のサーモラボIIを用いて測定する。20℃、65%RH環境下で、熱板30℃、試料台20℃の条件で、含水させた試料を肌面を上側に向けて試料台に置き、熱板を試料の上に置いた瞬間の最大熱移動量を測定する。含水試料の調整は、7cm×7cmにカットした試料の肌面に0.98gの水をできるだけ均一に付与する。
【0028】
また、本発明の編地は、曲面はりつき指数が300以上であり、好ましくは350以上である。300未満では、吸水した際に、編地表面に水が存在するため及び吸水することによる曲げ剛性の低下等により編地の復元力が低下するため、いったん肌に触れるとそのまま貼り付いてしまい、体の動きを妨げる。すなわち、汗をかいた状態で肌にべっとりと編地が貼り付きやすく、身体を動かしてもそのまま編地が貼り付いたままであり、快適な着用感が得られない。
【0029】
本発明において、曲面はりつき指数とは、経15cm×緯5cmの試料に一定量の水分を肌面から均一に含ませて、長さ15cm、直径5cm、厚さ2mmのアクリル樹脂製の円筒を垂直に立てたものに、試料の経方向を垂直方向として肌面側を貼り付けようとしたときに、貼り付けることの出来ないぎりぎりの含水量(g/m2)のことである。
【0030】
ここで、貼り付けることの出来ないぎりぎりの含水量とは、含水試料を静止した円筒に貼り付けようとしても、滑り落ちてしまう時の最大含水量のことである。または、静止した円筒には貼り付いても、円筒を80rpmから140rpmの範囲で垂直軸を中心に回転させたとき、1回転するまでに試料が滑り落ちてしまう時の最大含水量のことである。
【0031】
編地が水分を含有すると、肌に貼り付きやすくなる。曲面はりつき指数が大きいほど、貼り付きやすくなるのに必要な含水量が大きい。すなわち、曲面はりつき指数が大きい編地ほど、肌に貼り付きにくい編地であると言うことができる。
【0032】
湿潤時のQmaxは、湿潤状態の編地が肌に触れた瞬間の冷感や、編地の表面にどれだけ水分が残っているかの指標であり、曲面はりつき指数は、実際の人体の曲面を想定し、肌への貼り付きやすさや、体を動かしたときに、編地が貼り付いた状態が持続しやすいかの指標である。この二つの要件を満たす編地は、水分が肌面に残らず、肌の曲面に沿いにくく、貼り付きにくい編地である。
【0033】
本発明において、上記二つの要件を満たす編地を得るための方法としては、例えば、多層構造編組織による方法、編地の性量を制御して厚みを増加させることによって空隙率の大きな編地とする方法、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等疎水性繊維を肌面に使用する糸使いにする方法、ポリウレタン系やポリエステル系などの弾性繊維を交編等の手段によって編地に編みこむ方法等が挙げられる。
【0034】
上記の方法のうち、多層構造編組織による方法について詳細に説明する。
【0035】
多層構造編組織とは、組織、糸使い、性量が編地の厚み方向に連続および/または不連続に変化する層が2層以上存在する編組織のことである。層の数は多くなるほど吸水できる空隙が増加し、貼り付き難くなるが、厚みが大きくなり実用性が無くなる。厚みと貼り付き難さを両立させるためには、2〜4層が好ましく、特に2層が好ましい。
【0036】
2層構造編組織と糸使いによる方法を組み合わせることは、貼り付き難くする機能を向上させるうえで好ましい。糸使いとしては、肌面にポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維等の疎水性繊維を使用することが好ましい。さらに、疎水性繊維に吸水性を向上させるような処理、例えば、繊維の表面に吸水加工を施すことは、迅速に発汗した汗を吸収することができるので好ましい。疎水性繊維は、原糸でもよいが、流体交絡加工糸等、単糸間に空隙の少ない形態のものを用いることが、肌面から吸水した汗をすばやく外側表面に移行させることができるので好ましい。流体交絡加工糸のなかでも、特に流体噴射加工糸は、肌に触れる表面に細かい凹凸をつけることができ、肌との接触面積を減らすことができるので好ましい。
【0037】
疎水性繊維の単糸繊度は、1.5〜10dtexが好ましい。単糸繊度がこの範囲であると、単糸間の空隙を小さくすることができ、肌面から吸水した汗をすばやく外側表面に移行することができ、かつ、曲げ剛性が大きいため肌に沿いにくくなり、肌離れ性が良好になる。なお、疎水性繊維が中空糸である場合、単糸繊度として見掛け単糸繊度を用いる。見掛け単糸繊度とは、中空部分が中実であったと仮定した時の単糸繊度を言い、単糸の光学顕微鏡クロスセクション写真又は同画像から、見掛け単糸断面積(C1)及び実単糸断面積(C2)を画像解析にて測定し、下記式(1)により見掛け単糸繊度(T)を算出する。
【0038】
T=(実測単糸繊度)×C1/C2・・・・(1)
単糸繊度が大きくなると、肌離れ性は良好になるが、粗硬な風合いとなる場合もあるため、扁平度が2.0〜4.0である扁平断面異型糸を用いることが好ましい。ここで言う扁平度とは、単糸断面に外接する長方形を描き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値(L/H)のことである。
【0039】
さらに、肌面に、見掛け単糸繊度が、好ましくは2.0〜10.0dtex、より好ましくは3.0〜10.0dtexで、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0である扁平断面中空糸を用いることが好ましい。
【0040】
見掛け単糸繊度が上記の範囲であると、吸水した汗が表面に移行し易く、風合いがソフトである。また、中空糸であると、見掛け単糸繊度が同等の中実糸と同程度の水分移行および肌離れ効果を有する上に、編地が軽量になり、汗を含んだ場合に肌から離れやすくなる。
【0041】
扁平断面中空糸としては、長手方向に伸びる独立した二つの中空部を有するメガネ型断面形状であることが好ましい。メガネ型断面を有する単糸の中空率は20〜40%であることが好ましく、25〜35%がより好ましい。中空率が上記の範囲であると、軽量性に優れ、曲げ応力が低く、編地の風合いがソフトである。
【0042】
上記のようなメガネ型断面糸を、肌面を構成する繊維のうち50wt%以上用いることが好ましい。50wt%以上含まれる編地は、本発明の特徴である、汗を含んだときの肌離れ性が良好になる。さらに、糸の保水率を低下させて、肌面から一層すばやく汗を生地の外側表面に移動させるためには、このメガネ型断面中空糸が流体噴射加工されていることが好ましい。
【0043】
2層構造編組織において、肌面と反対側の表側には、少なくとも表面が親水性の繊維を用いることが好ましい。
【0044】
少なくとも表面が親水性の繊維とは、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等の疎水性繊維に表面親水加工を施したもの、ポリアクリル繊維やポリアミド繊維等分子内に極性の高い親水性官能基を含むもの、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が例示される。なかでも、ポリエステル繊維やポリオレフィン繊維等の疎水性繊維に表面親水加工を施したものが、吸水した汗を大気中に蒸散する能力が高く、好ましい。
【0045】
編地の表側には、紡績糸、長繊維の仮撚り加工糸等、単糸間や繊維間の空隙が多い形態とした繊維を用いることが、肌面から吸水した汗をすばやく表側に移行させ、かつ、肌面に戻さないよう保水できるので好ましい。また、長繊維の仮撚り加工糸は、抗ピリング性等の実用性能に優れるため、用いることが好ましい。単糸繊度は、好ましくは0.1〜3dtex、より好ましくは0.3〜1.5dtexである。単糸繊度がこの範囲であると、単糸表面積が増加し、水を保持できる空隙が増加するため好ましい。同じ単糸繊度でも、丸断面に対し、断面の周囲長が長くなる異型糸を用いることが、単糸表面積が増加し、水を保持できる空隙が増加するため好ましい。
【0046】
次に、本発明の編地を得るための方法として、弾性繊維を用いる方法について説明する。
【0047】
弾性繊維としては、破断伸度が100%以上、かつ、50%伸長時の伸長回復率が90%以上であることが好ましい。弾性繊維を構成するポリマーの種類、構造、組成等は特に限定されないが、ポリウレタン系、ポリウレタンウレア系、ポリウレタンエーテル系、ポリウレタンエステル系、ポリエステル系等が例示される。伸長回復率、耐久性に優れるポリウレタンウレア系弾性繊維が好ましい。
【0048】
編地中の弾性繊維の含有量は1〜15wt%であることが好ましく、より好ましくは2〜10wt%である。弾性繊維の含有量が上記の範囲であると、編地が外部からの力によって変形しても、元の状態に戻る回復性に優れるため、肌に接触して貼り付いても離れ易く、肌離れ性が良好になり、また、製造時の収縮等の制御も容易で、安定した生産ができる。弾性繊維を混用する方法は特に限定されず、交編、カバーリングヤーン、コアスパンヤーン等公知の方法が利用できる。
【0049】
本発明の編地を使用する衣服のデザインとしては、身体にフィットしたものではなく、肌との間にある程度のゆとりがあることが必要である。しかし、ゆとりがあっても上述した湿潤時のQmaxと曲面はりつき指数の要件が満たされていないと、肌に貼り付いてしまう。
【0050】
さらに、編地に、弾性繊維を1〜15wt%含有させることにより、一層身体に沿いにくくなり、肌と衣服の間に空間ができやすく、肌離れのしやすさが向上する。
【0051】
【発明の実施の形態】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、実施例によって何ら限定されるものではない。
【0052】
なお、着用快適性の評価方法は以下のとおりである。
【0053】
<着用快適性>
編地を使用して作製したTシャツを着用し、28℃、60%RHの環境下で、7km/時の速度で20分間トレッドミル運動を行った際の着用感を判定した。
【0054】
評価は、肌への貼り付き、総合的な快適性について、下記の基準で行った。
【0055】
(貼り付き)
◎:全く貼り付かない、○:ほとんど貼り付かない、×:貼り付く
(総合的な快適性)
◎:きわめて快適、○:快適、×:不快
〔実施例1〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア:旭化成(株)製)を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0056】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ194W/m2・℃、550であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0057】
〔実施例2〕
仮撚り加工を施した168dtex/60fのW型断面ポリエステル繊維(テクノファイン:旭化成(株)製)を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア:旭化成(株)製)を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0058】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ180W/m2・℃、600であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに◎であり、きわめて良好であった。
【0059】
〔実施例3〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、見掛け繊度167dtex/48fのメガネ型中空断面ポリエステル繊維(ツインエア;旭化成(株)製)原糸を肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0060】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ232W/m2・℃、300であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0061】
〔実施例4〕
仮撚り加工を施した168dtex/72fの丸型断面ポリエステル繊維を表面に用い、168dtex/72f丸型断面ポリエステル繊維を流体噴射加工したものを肌面に用いて、2層構造編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。なお、表面及び肌面に用いた繊維は、いずれも表面親水加工を施したものである。
【0062】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ216W/m2・℃、450であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに○であり、良好であった。
【0063】
〔実施例5〕
仮撚り加工した168dtex/60fのW型断面ポリエステル繊維(テクノファイン:旭化成(株)製)と220dtexポリウレタンウレア弾性繊維ロイカ(旭化成(株)製)を、弾性繊維が10wt%になるように交編した編地を作製し、通常の仕上げ加工を行った。
【0064】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ115W/m2・℃、650であった。着用快適性については、貼り付き、総合的な快適性ともに◎であり、きわめて良好であった。
【0065】
〔比較例1〕
ポリウレタン弾性繊維を交編しないこと以外は、実施例5と同様にして編地を作製した。
【0066】
得られた編地は、湿潤時のQmax及び曲面はりつき指数が、表1に示すように、それぞれ435W/m2・℃、150であり、本発明の範囲を逸脱していた。着用快適性評価の結果は、汗をかいた時、肌に貼り付き、非常に不快なものであった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の編地は、汗をかいて湿潤状態になったとき、肌と密着して貼り付くことがないので、体の動きを妨げたり、精神的に不快になることがない。したがって、肌にべたついたり、貼り付いたりせず、肌離れの良い、着用快適性に優れた衣服として好適な編地である。
Claims (2)
- 衣服用の編地であって、湿潤時のQmaxが250W/m2・℃以下であり、かつ、曲面はりつき指数が300以上であることを特徴とする編地。
- 弾性繊維を1〜15wt%含むことを特徴とする請求項1記載の編地。
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