JP3426486B2 - ポリエステル清涼織物および衣服 - Google Patents

ポリエステル清涼織物および衣服

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系の
清涼織物に関し、さらに詳しくは、特に春夏用の衣服素
材、就中、スポーツ衣料に好適なポリエステル清涼織物
および当該清涼織物を用いた衣服に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スポーツ用等の直接肌に接する形
で用いられる布帛においては、布帛全体に対する吸汗性
の付与に主眼がおかれてきた。そのため、構造的にも、
綿あるいは羊毛の紡績糸使用の単純な布帛、あるいは表
側に合成繊維、裏側に綿あるいは羊毛を配置したものが
使用されてきた。しかるに、このような布帛は、発汗量
が増加し、布帛の含水量が増加すると、“べとつき
感”、“蒸れ感”が強く感じられるという欠点があっ
た。
【0003】このような欠点を解消するため、実開昭5
7−5988号公報では、直接肌に接する部分の繊維に
は1.5de以下の極細繊維を用い、かつ、異なる性能
を付与した布帛組織を積層し、それらを一定の相互に関
連した順序に配置することにより、布帛全体として、一
方の面(例えば裏面)から水を吸収し、中央部分に保持
させると同時に、他方の面(例えば表面)からの蒸発を
ゆるやかに行わせ得るようにした、三重組織の織物が提
案されている。
【0004】同様な布帛は、また、実開昭54−768
01号公報においても提案されており、ここでは、疎水
性マルチフィラメント加工糸と親水性スパン糸とで一体
的に織成してなる織地において、親水性スパン糸からな
る織地の両面を疎水性マルチフィラメント加工糸からな
る織地にて被覆した3層構造とし、かつ該構造の両面に
親水性スパン糸の毛羽を突出させるように工夫されてい
る。
【0005】これらの技術に共通していることは、 a.いずれも、製編織工程で取扱性の悪いスパン糸を採
用していること;さらに b.吸汗、発汗機能の付与に傾注されてきたことであ
る。つまり、衣料素材として重要な、風合い、外観、触
感、快適な着用感といった観点からのアプローチはなさ
れていなかったのが実情である。また、春夏用のスポー
ツウェア分野においては、薄い生地が要求されるが、反
面、生地には透け感が重畳し、着用に不快感を与えると
いう問題も未解決のまま放置されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ま
ず、衣料用素材として不可欠な、好ましい外観と触感と
を具備し、しかも蒸れ感を感じさせない、フィラメント
使いの清涼織物を提供することにある。さらに本発明の
他の課題は、春夏用の衣料素材、特にスポーツ素材とし
て、上記の風合いを満足しながらも通気性に富み、かつ
透け感が解消された、フィラメント使いの清涼織物を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、観た目に
は、つまり透影的には透き間が視認されないが、実は低
密度である二重織物組織に注目し、この組織の表、裏に
特定のポリエステルフィラメントヤーンを配することに
より、上述の課題を解決するに至った。
【0008】本発明によれば、二重織物において、表組
織には、経糸および/または緯糸として、糸足差が10
%〜25%の範囲で発現した異収縮混繊糸が配され、他
方、裏組織には、経糸および/または緯糸として、複合
仮撚加工糸の強撚糸がショートループを形成した状態で
配された、通気度が120〜200cc/cm 2 /se
c(JISフラジール型通気度測定法に従う)である
とを特徴とするポリエステル清涼織物が提供される。
【0009】以下、本発明を添付図面を参照しつつ詳述
する。図1は、本発明の清涼織物の一例を示す断面図
で、ここでは経二重織物の経方向に沿った部分断面図と
して示してある。図において、aは表組織における経
糸、c1、c3、c5は同組織における緯糸、bは裏組織
における経糸、c2、c4は同組織における緯糸である。
なお、緯糸c1〜c5は略同一線上に示しているが、実際
にはc1、c3、c5が略同一線上に、そして、c2、c4
がその下方に位置する。
【0010】ここで、表組織の経糸aは、図2に示すよ
うに、略直線上に在るフィラメント群Fと、波状にうね
っているフィラメント群fとからなる。つまり、経糸全
体としてみれば、構成フィラメント間に糸足差が形成さ
れたヤーンであり、この糸足差により織物表面に平滑
感、ソフト感並びに膨らみを与える。この糸足差は、ヤ
ーンの単位長さLをとり、フィラメント群Fの長さをL
1(0.2gの荷重を吊したときの長さ)、同様にして
フィラメント群fの長さをL2とするとき、糸足差(D
YL)はDYL=[(L2−L1)/L1]×100
(%)として表される。このDYLが10%未満では、
衣料用素材としての品位(ソフト感、膨らみ、平滑感)
が表現されない。他方、この値が25%を越えると、膨
らみがフカツキに変わり、平滑感が消失する。
【0011】このような糸は、もともと高収縮のフィラ
メントFと低収縮のフィラメントfとを引き揃えてイン
ターレース処理して交絡糸とし、これを加熱液流中でリ
ラックス処理することによって得られる。
【0012】次に、裏組織に注目すると、ここでの経糸
は強撚糸それも複合仮撚加工糸bの強撚糸であり、ショ
ートループつまりアーチ状ループRを順次形成してい
る。このショートループの先端Tが肌に触れると、ルー
プ自体強撚糸であることから、結局、布帛の裏面は肌に
対して点接触する形で、強撚糸によるドライ感を与え
る。
【0013】このループは強撚糸であるので、反発性に
優れ、単にドライ感のみならず、ループの形態維持機能
をも呈する。この反発性がさらに発揮されるのは、複合
仮撚糸として、周知の芯鞘構造の複合仮撚糸を用いたと
きである。さらに、この場合、複合仮撚加工糸の捲縮率
(TC)が4%以下で、かつ芯糸の単繊維太さが3〜1
0de、鞘糸のそれが3〜5deのとき、ループの反発
性は最大限に発揮される。そして、このような織物の特
徴は、二重組織によるエアーリー構造であり、したがっ
て通気性があり、蒸れ感を感じさせない構造であるにも
拘わらず、緯糸は一定間隔で配列されているので(もち
ろん、前述のように上下に位置しているが)、観た目に
透け感もなくなることにある。
【0014】次に、上記の布帛の製造方法について述べ
る。図3は、図1に示した織物の生機の組織図である。
ここで、aは図2に示したもともと高収縮のフィラメン
トFと低収縮のフィラメントfとからなる異収縮混繊
糸、bは複合仮撚加工糸である。
【0015】このような組織の生機を、織物の精練仕上
げ工程あるいは染色工程でリラックス処理すると、織物
の緯方向にはaの異収縮混繊糸が収縮し、その際、経糸
に配したaの4本越しの部分dが織物表面に浮き出しつ
つ糸内では糸足差を発現する。同時に、経糸に配したb
の複合仮撚加工糸は、緯糸aの収縮に伴い、組織的に下
方(紙面の下方)に押し下げられる結果、図1に示した
ような二重経組織の織物となる。
【0016】図4は、経緯二重組織とした本発明の織物
の例を示し、図5は、当該織物の生機状態の組織図を示
す。この生機を、前述の精練または染色時の処理にした
がってリラックス処理することにより、所望の織物が得
られる。上記2つの例において、低収縮フィラメントf
には、精練仕上げ工程で自己伸長性を付与し、最終製品
に置いて自己伸長性を発現した状態にすれば、よりソフ
ト感が強調される。
【0017】以上のように、本発明では、異収縮混繊糸
の持つ潜在的ソフト感、膨らみ感、並びにスムース感と
いう風合い的特徴と、ヤーンとしての収縮率を巧みに利
用したものであるので、異収縮混繊糸の収縮特性も重要
になる。
【0018】ヤーン全体としての沸水収縮率(BWS)
は8〜20%が必要であり、同時に、低収縮フィラメン
トfのそれは5%以下、高収縮フィラメントFのそれは
13〜30%程度が適当である。また、ヤーンの太さは
80〜200deの範囲から、単繊維太さは1de以上
3de未満の間で、適宜選定すればよい。ここで、BW
Sは下記の定義に従う。試料に0.2gの初荷重をかけ
た状態で、500mmを測って2点を打ち、初荷重をと
り、これを沸騰水中に30分間浸せきした後、取り出し
て軽く吸収紙または布で水を切り、風乾後、再び初荷重
をかけ、2点間の長さLを測り、次の式によりBWS
(%)を算出する。試験回数は5回とし、その平均値で
表す。 BWS(%)=(500−L)/500×100
【0019】一方、複合仮撚加工糸としては、特に制限
はないが、生機製造時のTCが4%以下と、低いものが
好ましい。ここでTCは以下の定義に従う。試料に2m
g/deの初荷重をかけたときの長さをL0とし、捲縮
伸長荷重50mg/deをかけたときの長さをL1とし
たとき、次の式によりTC(%)を算出する。試験回数
は5回とし、その平均値で表す。 TC(%)=(L1−L0)/L1×100
【0020】最も重要な構成は、この糸が強撚糸使いの
ショートループを形成して、肌にドライ感を与える役割
を果たすことから、ヤーンの構成であり、単繊維デニー
ルが3〜5deで、かつ構成本数が8〜20本程度のヤ
ーンを用いることが好ましい。
【0021】本発明の織物に、さらなる通気性、ドライ
感を含めた清涼感を与えるには、織物表面および裏面の
カバーファクター(CF)、さらには、フラットヤーン
並びに複合仮撚加工糸の撚数を特定の範囲に選定するの
が有効である。まず、CF自体、以下のように定義さ
れ、一種の隠ぺい率の尺度とされている。
【0022】
【数5】
【0023】通気性と透け感の両面を考慮すると、織物
表面(表組織)のCFは1000〜1700の範囲に、
そして裏面(裏組織)のそれは800〜1500の範囲
にあることが好ましい。裏面のCFが800未満では通
気性は向上するものの過度に粗な構造となり、透け感が
重畳してくる。一方、この値が1500を越えると、透
け感はなくなるものの、通気性が不足してくる。
【0024】同様なことは、織物裏面のCFの範囲につ
いてもいえるが、肝要なことは、織物表面のCFよりも
低い範囲に設定することであり、これにより、肌に触れ
るショートループ先端Rの接触点の数が抑えられ、快適
な着用感が確保される。
【0025】上述のCFの設計は当業者にとって容易で
ある。経糸および緯糸の生機密度、生機の収縮を支配す
る異収縮混繊糸aのヤーンとしての収縮率、さらにリラ
ックス工程での生機の設定収縮率等を考慮することによ
り、所望のかつ最終のCF値が達成される。
【0026】他方、両方の糸に付与する撚数の尺度は
【0027】
【数6】
【0028】で表される。このKの値として、織物表面
に位置するフラットヤーンについては9000〜175
00の範囲の中撚が好ましい。9000未満では、フィ
ラメントがバラケ気味で清涼感に乏しく、他方、この値
が17500を越えると、ヤーンが締まり過ぎて、ソフ
ト感、膨らみ感、スムース感が阻害される。
【0029】他方、織物裏面に位置する複合仮撚加工糸
については、K=17500〜23300とするのが好
ましい。既に述べたように、複合仮撚糸の機能は、ショ
ートループによる肌へのドライ感付与と、ショートルー
プの形態保持にある。この観点から、Kが17500未
満ではドライ感とループ反発性が十分でなく、他方、2
3300を越える領域では、その効果が飽和し、経済的
なメリットがなくなる。
【0030】以上の、CFの範囲とKの範囲の設定によ
り、本発明の織物は、一般に通気度が120cc/cm
2・sec(JISフラジール型通気度測定法に従う)
以上200cc/cm2・sec以下の値を示し、透け
感がないにも拘わらず、快適な着用感を与える。
【0031】本発明にかかる清涼織物は、あらゆる衣服
に適用することが可能であるが、特に、日本においては
温暖な春季から高温多湿な夏期用の衣服に適用されるこ
とが好適である。
【0032】さらに、具体的には、春季に着用されるゴ
ルフ用のジャンパー(ブルゾン)が挙げられる。従来の
ゴルフ用ジャンパーは、半袖のゴルフシャツの上に着用
されるものであるが、競技中の動き易さを確保するため
に、ポリエステル・タフタなどの裏地が用いられてい
た。これらの裏地は、ゴルフシャツの生地表面との関係
においては滑り易く、運動性を阻害するものではない
が、発汗した肌にはベタついてまとわりつき、特にスイ
ング中においては裏地の引き攣れを生じ、運動性を著し
く阻害するといった不都合を有していた。
【0033】そこで、ゴルフ用ジャンパーに本発明にか
かる清涼織物を適用した場合、清涼織物自体の裏組織を
形成しているショートループがゴルフシャツの生地表面
や肌に点接触するため、前記裏地を用いなくても滑りが
良く動き易い上、発汗した肌にべたつくこともない。さ
らに、裏地を用いないため、ジャンパーの通気性を低下
させることもなく、また、重量自体を軽量化することが
できる。
【0034】本発明にかかる清涼織物は、春季又は夏期
用のゴルフ用スラックスに適用されても、以下のような
卓効を奏する。すなわち、従来のゴルフ用スラックスに
は、主に肌触りの向上を目的としてポリエステル・タフ
タ地などの裏地が用いられていた。これらの裏地は、表
面が平滑であるため肌触りの良いものであるが、前記ゴ
ルフ用ジャンパーと同様、発汗した汗にはベタついてま
とわりつき、特に、スイング中や、ボールをティーアッ
プしたり、芝目を読もうとしゃがんだ姿勢をとる際に、
裏地の引き攣れを生じ、運動性を阻害するといった不都
合を有していた。
【0035】そこで、ゴルフ用スラックスに本発明にか
かる清涼織物を適用した場合、清涼織物自体の裏組織を
形成しているショートループが肌に点接触するため、前
記裏地を用いなくても滑りが良く動き易い上、発汗した
肌にべたつくこともない。また、裏地を用いないため、
スラックスの通気性を低下させることもなく、重量自体
を軽量化することができる。さらに、本発明にかかるゴ
ルフ用スラックスは、生地自体に張りがあるため、美し
いドレープを発現し、優れた美観を有するものとなる。
【0036】本発明にかかる清涼織物は、いわゆるトレ
ーニングウェアといった運動用衣服に適用されても、以
下のような卓効を奏する。すなわち、従来のトレーニン
グウェアなどは、発汗時のまとわりつきを低減する目的
で、ポリエステル・メッシュ地などの裏地が用いられて
いた。これらの裏地は、表地に比べて開口率が高く、肌
触りの良いものであるが、パーツ数が多くなり、生産工
程数も増えるため、コストが高くつくといった問題を有
していた。さらに、トレーニングウェアと運動用衣服に
は、さらなる軽量性が求められていた。
【0037】そこで、運動用衣服に本発明にかかる清涼
織物を適用した場合、清涼織物自体の裏組織を形成して
いるショートループが肌に点接触するため、前記裏地を
用いなくても滑りが良く動き易い上、発汗した肌にべた
つくこともない。また、裏地を用いないため、通気性を
低下させることもなく、また、重量自体を軽量化するこ
とができる。さらに、トレーニングウェアの製造コスト
の低減にも寄与することができるといった付随的な効果
をも奏する。
【0038】
【実施例】[実施例1] A.原糸の準備 a.ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)異収
縮混繊糸 ・高収縮成分 50de/12filの延伸糸(BWS
=17%) ・低収縮成分 75de/36filの延伸糸(BWS
=3.1%) 上記の高および低収縮成分をインターレース処理に付
し、インターレース度が65ケ/mの異収縮混繊糸とし
た。この糸全体の平均BWSは12.5%であった。 b.複合仮撚加工糸 紡糸速度4800m/分で紡出した、伸度が70%のポ
リエステルフィラメント糸(75de/12fil)
と、紡糸速度1500m/分で紡出したポリエステル未
延伸糸(90de/12fil)とを引き揃えて、イン
ターレース処理に付して、インターレース度が25ケ/
mの混繊糸を得た。次いで、該混繊糸を、延伸倍率1.
26、ヒーター温度150℃のもとに3軸方式の摩擦仮
撚具を用いて仮撚加工を施した。その際、D/Yは1.
700に設定した(Dは仮撚ディスクの表面温度、Yは
糸速度)。引き続き、弛緩熱処理ゾーンで、複合仮撚糸
をオーバーフィード10%、スリットヒーター温度20
0℃、ヒーター長120cmの下に弛緩熱処理して、3
90m/分で巻き取った。この複合仮撚加工糸の糸全体
としてのBWSは2.5%、TCは1.3%であった。
【0039】B.生機の作成 上記aの異収縮混繊糸に1200回/m(撚糸数K=1
3940)の撚を施した中撚糸、および上記bの複合仮
撚加工糸に2000回/m(撚糸数K=23240)の
撚を施した強撚糸を、46羽/鯨寸(4本入れ;a:b
=3:1配列)の筬を用いて経糸として配した。一方、
緯糸には、上記a糸の1200回/mの中撚糸を、緯糸
密度106本/鯨寸で配した。その際、繊組織は図2に
示す経二重組織としてレピア織機で製織した。
【0040】C.仕上げ加工 上記Bの工程で得られた生機を、日染(株)のサーキュ
ラー染色機に精錬剤を1.5g/リットル添加した精練
浴中で、リラックス処理を施した。その際、70分かけ
て常温から120℃まで昇温し、120℃で20分間処
理した後、50分で常温まで降温した。リラックス処理
後の布帛の表面のCFは1120、裏面のCFは900
であった。次いで、分散染料を含む染色液を用い、13
5℃で45分間の染色条件で染色を行い、染色布を得
た。得られた染色布の断面は図1に示すとおりであっ
た。これは、緯糸に配した高収縮混繊糸aの収縮に伴
い、経糸aが裏面に、そしてその裏面に経糸bが配位し
たことによる。しかも、経糸aはもともと異収縮混繊糸
であるので、布帛表面では糸足差が発現し、非捲縮タイ
プのフラットヤーンを形成していることが判る。それに
加えて、経糸aのBWSが、経糸bのそれよりも大きい
ことから、前者の収縮に伴い後者は引き吊られて、図示
するようなショートループ構造が形成されている。この
染色布は、全体としてバルキー性に優れ、その際、表面
は極めて滑らかで、ソフト感、膨らみに富み、他方、裏
面は凹凸感のあるドライタッチを呈した。因みに、表面
に在る経糸aでの糸足差は14%、裏面に在る経糸bの
TCは0.8%、通気度は140cc/cm2・sec
であった。
【0041】D.スラックスの作成 上記の染色布を用いてメンズスラックスを縫製し、10
人が着用して、温度30℃、湿度30%の環境下で、着
用試験を行った。結果を以下に示す。 ・表面感触 極めてソフト、膨らみが感じられ、快適
な感触である。(10人中9人の回答) ・裏面感触 ショートループ構造により、肌面には面
接触ではなく、点接触の感じが強く、ドライ感に富み、
極めて快適な着用感がある。(全員回答) ・全体感 生地に張り腰と適度な反発感があり、き
れいなシルエットを作り出している。風通しが良く清涼
感があり、汗をかいてもムレ感がない。(全員回答)
【0042】さらに、衣服内温度ならびに透け感につい
ても上記スラックスによる着用試験を実施した。 (1)衣服内温度・湿度(水蒸気圧) ・ 環境条件:気温30℃、湿度30%に設定した環境試験室内 ・ 測定部位:大腿部前面の中央付近 ・ センサー:温度センサー 湿度センサー タイムスケジュール 0分−2分 無風状態 安静 2分−12分 無風状態 トレッドミルで歩行(6km/s) 12分−15分 無風状態 安静 15分−18分 有風状態(風速2m/s) 安静 18分−21分 有風状態(風速4m/s) 安静 21分−24分 無風状態 安静 結果を図6、図7に示す。なお、図6、図7には、従来
のスラックスについてのデータを併せて掲記した。
【0043】該従来品の詳細は以下のとおりであった。
【0044】図6から、実施例1による製品は従来品に
比べて、衣服内温度において全般に低く保つ効果を発揮
し、かつ、有風時はその効果が大きくなることが分か
る。また、図7から、実施例1による製品は従来品に比
べて、衣服内の水蒸気圧すなわち湿度を低く保つ効果を
発揮し、特にムレを感じやすい運動後において効果が大
きいことが分かる。すなわち、本発明による織物を用い
て、従来品に比べて涼しくムレにくい衣服が得られるこ
とが分かる。
【0045】(2)透け感 ・測定法 本発明品と同程度の通気量を有する同色の従来品の生地
を用意し、一般に染色堅牢度判定に用いられるD65標
準光源の下、左右対称に白と黒に分けられた正方形の板
をおき、その上に生地をのせて、生地を通して見える濃
度差をJISL0805汚染用グレースケールを用いて
等級判定する。 ・結果 本試験の結果、発明品は3−4級であり、従来品は2−
3級であった。この結果より、本発明に係る清涼織物
は、従来の生地と同程度の通気性を有する場合、透け感
が改善されていることがわかる。したがって、本発明に
係る清涼織物は通気性に富み、優れた清涼感を有する生
地でありながら、従来より特にレディース用のスラック
ス等で問題となっていたアンダーウェアの透けをも解消
することができる。
【0046】なお、ここで用いた従来品の生地では、本
発明品と同じ通気量140cc/cm2・secに合わ
せるため、以下のspec.を採用した。 組織:ベネシャン 素材:ポリエステル100% 目付:187g/m2 打込:経149本/inch、緯82本/inch 番手:経A糸135d/48fil、緯糸135d/24fil 経B糸135d/24fil 通気度:140cc/cm2・sec
【0047】[実施例2] A.原糸の準備 実施例1に同じ。
【0048】B.異収縮混繊糸と複合仮撚加工糸とを4
0羽/鯨寸(4本入れ;a:b=1:1配列)の筬を用
いて経糸として配し、緯糸には、上記a糸の1200回
/mの中撚糸と複合仮撚加工糸とを緯糸密度130本/
鯨寸(a:b=1:1配列)で配する以外は同じ操作を
行った。
【0049】C.仕上げ加工 実施例1と同じ条件で、リラックス処理を施した。リラ
ックス処理後の布帛の表面のCFは1410、裏面のC
Fは1380であった。得られた染色布の断面は、図4
に示すとおりであった。これも、上記実施例1と同様の
理由で、図示するようなショートループ構造が形成され
ている。この染色布は、全体としてバルキー性に優れ、
その際、表面はフラットヤーンで形成しているため極め
て滑らかで、ソフト感、膨らみに富み、他方、裏面には
ショートループが形成されており、凹凸感のあるドライ
タッチを呈した。因みに、表面に在る経糸、緯糸aでの
糸足差は14%、裏面に在る経糸、緯糸bのTCは0.
8%、通気度は155cc/cm2・secであった。
【0050】D.スラックスの作成 上記の染色布を用いてメンズスラックスを縫製し、10
人が着用して、温度32℃、湿度65%の環境下で、着
用試験を行った。結果を以下に示す。 ・表面感触 極めてソフト、膨らみが感じられ、快適
な感触である。(10人中9人の回答) ・裏面感触 ショートループ構造により、肌面には面
接触ではなく、点接触の感じが強く、ドライ感に富み、
極めて快適な着用感がある。(全員回答) ・全体感 生地に張り腰と適度な反発感があり、き
れいなシルエットを作り出している。風通しが良く清涼
感があり、汗をかいてもムレ感がない。(全員回答) なお、本発明についても実施例1と同じ試験法により衣
服内温度ならびに透け感について測定試験を実施したと
ころ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、異収縮混繊糸の風合い
的特徴とヤーンとしての収縮率を、二重繊組織に巧みに
取り込まれることにより、織物表面の風合いに優れ、か
つ裏面は改善された清涼感とドライ感を呈し、しかも織
物全体としては透け感がなく、通気性(透湿、放熱効果
を含む)の良好な織物が提供される。したがって、この
織物は、春夏用のアパレル、特に婦人用衣料、紳士用衣
料、あるいはその他の衣類、例えば運動用トレーニング
ウェア、ゴルフパンツにおいて、好ましい快適な着用感
を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の清涼織物(経二重)の経方向の断面図
【図2】本発明の織物の表組織に配される非捲縮のフラ
ットヤーンの側面図
【図3】図1の織物を与える生機の組織図
【図4】本発明の織物の他の態様(経緯二重)を示す、
経方向の断面図
【図5】図4の織物を与える生機の組織図
【図6】本発明の織物と従来品について衣服内温度を比
較したグラフ
【図7】本発明の織物と従来品について衣服内水蒸気圧
を比較したグラフ
【符号の説明】
a 二重織物の表組織を構成する非捲縮かつ糸足差を有
するフラットヤーンの中撚糸 b 二重織物の裏組織を構成する複合仮撚加工糸の強撚
糸 c 緯糸 R ショートループ T ショートループRの先端 d 経糸の4本越え部 F 高収縮フィラメントの収縮後の状態 f 高収縮フィラメントの収縮に伴ってループ状に糸足
差を発現したフィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松崎 健 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番 35号 美津濃株式会社内 (72)発明者 高島 嘉守 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番 35号 美津濃株式会社内 (72)発明者 池永 浩一郎 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番 35号 美津濃株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−204939(JP,A) 特開 昭57−210061(JP,A) 特開 昭61−179339(JP,A) 特開 昭61−282453(JP,A) 実開 昭54−76801(JP,U) 実開 昭59−133688(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二重織物において、表組織には、経糸お
    よび/または緯糸として、糸足差が10%〜25%の範
    囲で発現した異収縮混繊糸が配され、他方、裏組織に
    は、経糸および/または緯糸として、複合仮撚加工糸の
    強撚糸がショートループを形成した状態で配された、通
    気度が120〜200cc/cm 2 ・sec(JISフ
    ラジール型通気度測定法に従う)であることを特徴とす
    るポリエステル清涼織物。
  2. 【請求項2】 表組織のカバーファクター(CF)が、
    1000〜1700の範囲にある、請求項1記載のポリ
    エステル清涼織物。 ただし、 【数1】
  3. 【請求項3】 裏組織のカバーファクター(CF)が、
    800〜1500の範囲にある、請求項1または2記載
    のポリエステル清涼織物。 ただし、 【数2】
  4. 【請求項4】 異収縮混繊糸が、9000〜17500
    の範囲の撚係数Kで施撚された中撚糸である、請求項1
    記載のポリエステル清涼織物。 ただし、 【数3】
  5. 【請求項5】 複合仮撚加工糸が、17500〜233
    00の撚係数Kで施撚された強撚糸である、請求項1記
    載のポリエステル清涼織物。 ただし、 【数4】
  6. 【請求項6】 異収縮混繊糸の構成フィラメントのデニ
    ールが1〜3deであり、複合仮撚加工糸の構成フィラ
    メントのデニールが3〜10deの範囲にある、請求項
    1〜のいずれかに記載のポリエステル清涼織物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜のいずれか記載の清涼織物
    を用いて形成したことを特徴とする衣服。
  8. 【請求項8】 請求項1〜のいずれか記載の清涼織物
    を用いて形成したことを特徴とする上衣。
  9. 【請求項9】 請求項1〜のいずれか記載の清涼織物
    を用いて形成したことを特徴とする下衣。
  10. 【請求項10】 請求項1〜のいずれか記載の清涼織
    物を用いて形成したことを特徴とする運動用衣服。
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