JP3716643B2 - ポリエステル製裏地 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた汗処理性のあるポリエステル製裏地に関する。さらに詳しくは、一般衣料用裏地、学衣用裏地、スポーツウエア用裏地などに好適に使用できるポリエステル製裏地に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、裏地は、衣服の肌側に近く、または肌に直接接触するようにして衣服に縫製されるが、特に肌に直接接触する状況では、肌から発汗する汗を連続的に吸収し、速やかに放出することが快適な着用のために要求される。また頻繁に洗濯が行われるため優れたウオッシュアンドウエア性を有することも裏地の重要な条件になっている。
【0003】
一般的なポリエステル繊維100%の裏地はウオッシュアンドウエア性には優れているものの、吸湿、吸水性が天然繊維と比較して著しく劣り、発汗時に汗をほとんど吸わず、汗濡れによってベタツキ感を招くという問題があった。
【0004】
この欠点を解消するために吸湿性裏地について、特公昭60−475号公報、実公昭60−40612号公報、あるいは特開昭60−215835公報に記載されているように平衡水分率の高い繊維との混繊、合撚、引揃えを行う方法や、特開9−241940号公報にあるように吸放湿パラメーターの良好なポリエステル繊維を利用する方法が開示されている。しかし、これらの方法によると不感蒸泄領域の発汗では十分な快適性が得られるものの、液相領域の発汗では吸い取った汗の移動、蒸散が遅れるため、汗濡れにより不快感を招く問題がある。
【0005】
また一方で、木綿、ウールなどの天然繊維100%の裏地は、吸湿性、吸水性、保水性に優れていて汗を良く吸い取るものの、いったん吸い取った汗を容易に蒸散させないため速乾性に劣り、さらに洗濯後の乾燥に長時間を要するためウオッシュアンドウエア性に劣るという欠点がある。また、合成繊維裏地に比べ機械強度、耐薬品性、発色性にも劣るという問題を持っている。
【0006】
また、セルロース系やナイロンなどの合成繊維裏地は、ウオッシュアンドウエア性を持ち、さらに吸湿性もポリエステル繊維より大きいため不感蒸泄発汗領域ではポリエステル製裏地より良好だが、やはり水と接触した場合の吸水速度は遅く、移動も不十分であるため、発汗時には吸水、透水が追いつかず、ベタツキによる不快感を招くという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を克服し、ポリエステル製裏地でありながら優れた汗処理性とソフトな風合いを有し、かつウオッシュアンドウエア性を兼ね備えた着用感の快適なポリエステル製裏地を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0009】
すなわち、断面形状が異なる複数のポリエステルマルチフィラメント糸条を構成糸とする多層構造編地よりなり、該多層構造編地の一面(A面)が、繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つフィラメントを少なくとも30重量%以上含む糸条から構成され、該多層構造編地の他の一面(B面)が繊維表面の長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメントから構成され、かつ、該多層構造編地の一面(A面)の他の一面(B面)に対する吸水保水率比が2倍以上、吸水拡散面積比が2倍以上、かつ該多層構造編地の破裂強さが2kg/cm2以上、密度が20〜50ウェル/インチおよび28〜82コース/インチ、目付が60〜190g/m2であることを特徴とするポリエステル製裏地である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル製裏地は、断面形状が異なる複数のポリエステルマルチフィラメント糸条を構成糸とする少なくとも2層からなる多層構造編地よりなり、ある一面(A面)の他の一面(B面)に対する吸水保水率比が2倍以上、さらに吸水拡散面積比が2倍以上とするものである。
【0011】
吸水保水率比を2倍以上とすることで、B面(肌側)で吸い取った汗を多くA面に移動し、肌側の汗によるベタツキを押さえることができる。2倍に満たない場合はB面の汗を効率よくA面へ移動することができないためベタツキを生じ、不快感を感じることになる。吸水保水比率は、4倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることがさらに好ましい。
【0012】
さらに、吸水拡散面積比を2倍以上にすることでA面で汗の拡散を促進させて乾燥速度を速めることができる。2倍に満たない場合吸収した汗を効率よく拡散できないため乾燥が遅れ、B面からの汗を移動することができず、ベタツキを生じ不快感を感じることになる。吸水拡散面積比は、4倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることがさらに好ましい。
【0013】
上記のようにA面のB面に対する吸水保水率比と吸水拡散面積比を規定することにより、吸水・透水・乾燥を効率よく行うことができ、結果として連続して汗を吸い続けることが可能となる。
【0014】
本発明において、吸水保水率比と吸水拡散面積比の値はそれぞれ2倍以上であるものとするが、同一比率である必要はなく、肌側のベタツキの軽減には吸水保水率比の大小が大きく影響し、速乾性には吸水拡散面積比の大小が大きく影響するものである。
【0015】
本発明で用いる多層構造編地は、吸水保水率比が2倍以上、吸水拡散面積比が2倍以上となるものであれば、各層の構成・組織などが特に限定されるものではない。
【0016】
具体的には、丸編地、経編地などを用いることができ、丸編地であればシングルジャージ、ダブルジャージなど、経編地であればシングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセルなどで構成することができる。なかでも裏地としての寸法安定性と適度な薄さを得る観点からはシングルトリコット地が好ましい。
【0017】
また、編組織もA面とB面との少なくとも2層を有する多層構造をなす組織であれば特に限定されない。好ましくは、B面が平坦面であるよりも複数の凸部が分散した凹凸面形状になる組織にするとよい。このようにB面を凹凸面形状にすると着用時に凸部が肌と点接触するため液状の汗を発汗してもベタツキ感がなく、かつB面がA面よりも粗になるので毛細管現象によりB面からA面への汗の移動とA面での拡散がより効率的に行われるため、吸水・透水性および拡散・速乾性を向上することができるほか、B面の凹部にたまる空気が保温性効果を生み、快適な裏地として着用することができる。
【0018】
さらにB面は起毛されていてもよい。B面を起毛することにより繊維拘束度が粗になるので毛細管現象によるB面からA面への汗の移動とA面での拡散がより効率的に行われるため、吸水・透水性および拡散・速乾性を向上することができ、さらに肌触りも優れた裏地とすることができる。
【0019】
また、編組織をメッシュ構造にすることにより通気性を向上させることができ、春夏用の裏地としても好ましく適用できる。
【0020】
このような吸水保水率比および吸水拡散面積比を有するA面とB面を有する多層構造編地とするために、断面形状の異なる複数のポリエステルマルチフィラメント糸条を用いる。
【0021】
なかでも効果的な汗処理性を得る観点から、A面には繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つマルチフィラメント糸条を用いて構成し、B面には繊維表面の長手方向に沿って延びる凹溝を持たないマルチフィラメント糸条を用いて構成することが好ましい。
【0022】
具体的には、A面を構成する糸条の断面形状として、文字もしくは記号などでモデル的に示すとE、F、H、I、K、M、N、T、W、X、Y、Z、+型などが好ましく用いられる。なかでもH型やI型、X型、Y型など図1(1)〜(4)の形状のものが好ましい。これらの断面形状は繊維の長手方向に延びる凹溝を持つため、単繊維自身で毛細管現象作用を有する断面形状である。一方、B面を構成する糸条の断面形状としては、図2(1)〜(4)に示すような丸型、三角型、五角型、八角型などの形状であることが好ましい。これらの断面形状は繊維の長手方向に延びる凹溝を持たないため、単繊維自身で毛細管現象作用を有していない断面形状である。
【0023】
このようにA面を毛細管現象作用を持つ単繊維からなるマルチフィラメント糸条で構成し、B面を毛細管現象作用を持たない単繊維からなるマルチフィラメント糸条で構成することで、B面からA面への多層構造体としての毛細管現象による汗の移動をより効果的に行うことができる。本発明のポリエステル製編地は、A面が衣服側、B面が肌側になるよう縫製して使用することが好ましい。また、毛細管現象による移動を十分行うために、A面において凹溝を含んだフィラメントは30重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましい。
【0024】
本発明のポリエステル製裏地は、ポリエステルフィラメントを主な構成糸としていればよく、このほかポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレン等の従来から衣料用として使用されているものを混繊、交撚、混編などして混用してもよい。なかでもポリエステルフィラメントのみ使用することは、寸法安定性、強度、染色堅牢度の観点から好ましい。
【0025】
また、制電性を有する繊維を構成糸の一部とすることも裏地のまとわりつきを防ぐ観点から好ましい。
【0026】
また本発明で使用する糸条は、通常の延伸糸または捲縮加工糸でよいが、仮撚加工糸などの捲縮加工糸が好ましい。
【0027】
構成糸の総繊度は、裏地としての風合い、厚みや製編性を考慮すると、30〜75デニールの範囲にあることが好ましい。
【0028】
また、A面を構成する糸の単繊維繊度は、抗ピリング性と抗スナッグ性を良好に保ちながら編地の風合いをよくすることから1〜5デニールであることが好ましい。一方、B面を構成する糸の単繊維繊度は、毛細管現象をより効果的にするため、A面と同じ繊度か、それよりも太い繊度であることが好ましく、肌触りを良くする点から5デニール以下とすることがより好ましい。
【0029】
本発明は、破裂強さが2kg/cm2以上の多層構造編地からなるものである。破裂強さが2kg/cm2未満の場合は裏地としての強度を保つことが困難となる。破裂強さは、2.5kg/cm2以上であることが好ましく、3kg/cm2以上であることがより好ましい。
【0030】
また、多層構造編地の密度は20〜50ウェル/インチおよび28〜82コース/インチとする。密度が20ウェル/インチおよび28コース/インチ未満では裏地としての強度が低下し、かつ薄すぎるものになる。一方、密度が50ウェル/インチおよび82コース/インチを超えると編地の風合いが堅くなるほか、重量も増加するため裏地としては適さなくなり、さらに製編性も悪くなる。
【0031】
さらに、多層構造編地の目付は60〜190g/m2とする。裏地の目付が60g/m2未満である場合には、はりのない裏地となり、また190g/m2以上である場合には裏地として重すぎ、かつ風合いが堅くなる。
【0032】
本発明のポリエステル製裏地に染色加工工程で吸水加工を付与することにより、より優れた吸水・透水性が加算されて裏地としてより好ましく使用することができる。
【0033】
本発明のポリエステル製裏地は、紳士用・婦人用・子供用衣服等への一般衣料用裏地、学衣用裏地、スポーツウエア用裏地などの裏地用途だけではなく、スレーキや肩パットのクルミとしても使用することができ、特に汗をかくような場面において肌で接触する部位に好適に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を詳しく説明する。
【0035】
なお、本発明中の各評価は以下の方法で求めたものである。
【0036】
[吸水保水率比]
編地からサイズ10cm×10cmに切り出したサンプルを3枚用意する。ガラス板上に蒸留水1.0ccを滴下し、その上にサンプル1枚をB面が蒸留水に接するように載せ、60秒間放置したのち別のガラス板上に移し、このサンプルの両面を同一サイズにカットした濾紙を2枚使用してサンドイッチ上に挟み、5g/m2の荷重下で60秒間放置する。
【0037】
その後吸水前後のサンプル重量の差から得たサンプルの保水重量と、A面とB面に接した各々の濾紙の含水重量から、サンプルのA面とB面の保水率を算出する。この操作を残り2枚のサンプルについても同様に行い、3枚それぞれA面とB面の保水率の平均値より(A面の保水率)/(B面の保水率)の値を吸水保水率比する。
【0038】
[吸水拡散面積比]
編地からサイズ10cm×10cmに切り出したサンプルを3枚用意する。ガラス板上に市販のインクを2倍に水で希釈したインク液を0.1cc滴下し、その上にサンプル1枚をB面側がインク液に接するように載せ60秒間放置したのち、別のガラス板に移す。ここでもB面側を下にして3分間放置する。
【0039】
このようにして得たサンプルのA面とB面のインク液拡散面積をそれぞれ測定する。この操作を残り2枚のサンプルについても同様に行い、3枚それぞれ面でのインク拡散面積の平均値より(A面の拡散面積)/(B面の拡散面積)の値を吸水拡散面積比とする。
【0040】
[破裂強さ]
破裂強さは、JIS L 1018メリヤス試験方法 6.17破裂強さ A法(ミューレン法)により測定する。
【0041】
[着用感]
それぞれの編地を裏地として、B面を肌側に用いてスカートを作成し、着用した際の肌側であるB面の「ベタツキ感」および人工気象室での「着用快適感」の優劣をそれぞれ次の基準により評価した。
(1)肌側の「ベタツキ感」
◎:全く「ベタツキ」を感じない。
○:「ベタツキ」をほとんど感じない。
△:「ベタツキ」を若干感じる。
×:「ベタツキ」を感じる。
(2)人工気象室での「着用快適感」
○:着用して快適である。
×:着用して不快である。
(3)「総合評価」
○:裏地として優れている。
×:裏地として適していない。
【0042】
[実施例1]
28ゲージのシングルトリコット機を用い、図3のようなリバーシブル組織で、ある一面(A面)の糸条aに50デニール36フィラメントのH型断面仮撚加工糸、他の一面(B面)の糸条bに50デニール36フィラメントの丸形断面仮撚加工糸を用いて編成を行った。
【0043】
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精錬、染色、吸水加工、仕上げセットを行い、目付71g/m2、29ウェル、43コースである編地を得た。この編地は、A面におけるH型断面糸の混率は100重量%であり、かつ吸水保水率比は9.3倍、吸水拡散面積比は9.7倍、破裂強さは5.3kg/cm2であった。
【0044】
この編地を裏地としてB面を肌に接するように用いてスカートを試作し、初夏の条件である28℃×65%RHに設定した人工気象室で青年女性10名により、トレッドミルを用いた8km/hrの軽いランニング実験を15分間行ったところ表1に示す結果の通り肌側のベタツキ感が無く、優れた着用快適性を有していた。
【0045】
[実施例2]
28ゲージのシングルトリコット機を用い、柄出し装置による図5のようなメッシュ組織で、ある一面(A面)の糸条aに75デニール36フィラメントのI型断面延伸糸、他の一面(B面)の糸条bに75デニール24フィラメントの三角型断面仮撚加工糸を配して編成を行った。
【0046】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付72g/m2、32ウェル,40コースの編地を得た。この編地は、A面におけるI型断面糸の混率は100重量%であり、吸水保水率比は12.7倍、吸水拡散面積比は15.8倍、破裂強さは6.7kg/cm2であった。
【0047】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表1に示す評価結果の通り、肌側のベタツキもなく、通気性があり、着用快適感も良好であった。
【0048】
[実施例3]
28ゲージのシングルトリコット機を用いて、B面を柄出し装置による図4のようなストライプ状の凹凸形状にした編組織で、A面の糸条aに30デニール24フィラメントのX型断面のポリエステル延伸糸、他の一面(B面)の糸条bに30デニール12フィラメント丸型断面のポリエステル仮撚加工糸をそれぞれ配して編成した。
【0049】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付71g/m2、48ウェル、59コースの編地を得た。この編地は、A面におけるX型断面糸の混率は100重量%であり、吸水保水率比は18.3倍、吸水拡散面積比は19.2倍、破裂強さは3.2kg/cm2であった。
【0050】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表1に示す評価結果の通り、肌側のベタツキもなく、通気性があり、着用快適感も良好であった。
【0051】
[実施例4]
28ゲージの両面丸編機で、タック編の応用による図3に示すようなリバーシブル組織において、A面の糸条aに50デニール36フィラメントのH型断面のポリエステル仮撚加工糸、B面の糸条bに50デニール24フィラメント五角型断面のポリエステル仮撚加工糸をそれぞれ配して編成した。
【0052】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付118g/m2、38ウェル、46コースの編地を得た。この編地は、A面におけるH型断面糸の混率は100重量%であり、吸水保水率比は10.8倍、吸水拡散面積比は12.1倍、破裂強さは5.4kg/cm2であった。
【0053】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表1に示す評価結果の通り、ベタツキが無く、優れた着用感を示した。
【0054】
[実施例5]
24ゲージの両面丸編機で、B面にタック編を応用した図5に示すようなドット状の凹凸を形成した2重リバーシブル組織において、A面の糸条aとして5本うち2本の割合で75デニール24フィラメントのX型断面のポリエステル仮撚加工糸、残り3本には75デニール36フィラメントの丸形断面延伸糸、B面の糸条bに75デニール18フィラメント丸型断面のポリエステル仮撚加工糸をそれぞれ配して編成した。
【0055】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付135g/m2、36ウェル、46コースの編地を得た。この編地は、A面におけるX型断面糸の混率は40重量%であり、吸水保水率比は14.2倍、吸水拡散面積比は16.8倍、破裂強さは7.4kg/cm2であった。
【0056】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表1に示す評価結果の通り、全く問題のないものであった。
【0057】
【表1】
[比較例1]
実施例1と同一の経編機、編組織で、A面とB面を構成する糸条aおよびbの全てに100デニール36フィラメント丸型断面のポリエステル仮撚加工糸を配して編成した。
【0058】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付195g/m2、58ウェル、84コースの編地を得た。この編地ある一面(A面)における凹溝のある異型断面糸の混率は0重量%であり、吸水保水率比は1.2倍、吸水拡散面積比は1.1倍、破裂強さは5.8kg/cm2であった。
【0059】
この編地を使用して実施例1と同様に、スカートを試作しランニング実験を行ったところ、表2に示す評価結果の通り、ベタツキ感が激しく、着用快適感も劣っていた。また風合いが堅く、重量も重すぎるため裏地として使用することは困難であった。
【0060】
[比較例2]
32ゲージの両面丸編み機を用い、実施例4と同一編組織で、A面の糸条aに30デニール24フィラメントの三角型断面のポリエステル延伸糸、B面の糸条bに30デニール48フィラメント丸形断面のポリエステル延伸糸をそれぞれ配して編成した。
【0061】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付58g/m2、18ウェル29コースの編地を得た。この編地は、A面における凹溝のある異型断面糸の混率は0重量%であり、吸水保水率比は0.4倍、吸水拡散面積比は0.6倍、破裂強さは1.8kg/cm2であった。
【0062】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表2に示す評価結果の通り、ベタツキ感が激しく、着用快適感も劣っていた。また、薄すぎてはりがない上、破れやすく裏地としての使用に耐えないものであった。
【0063】
[比較例3]
実施例5と同一の丸編み機を用い、編組織で、A面の糸条aのうち4本に1本の割合で75ニール36フィラメントのX型断面のポリエステル仮撚加工糸、残り3本の糸に75デニール36フィラメントの丸型断面のポリエステル仮撚加工糸、B面の糸条bに75デニール24フィラメント丸形断面のポリエステル仮撚加工糸をそれぞれ配して編成した。
【0064】
得られた編地を実施例1と同一条件で染色加工を行い、目付134g/m2、37ウェル、46コースの編地を得た。この編地は、A面におけるX型断面糸の混率は25重量%であり、吸水保水率比は1.6倍、吸水拡散面積比は1.8倍、破裂強さは3.5kg/cm2であった。
【0065】
この編地を使用して実施例1と同様にスカートを試作しランニング実験を行ったところ、表2に示す評価結果の通り、ベタツキ感を多少感じ、着用快適感も劣っていた。
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
本発明のポリエステル製裏地によれば、肌側から汗を一面に素早く吸水・透水・拡散させることによりベタツキ感が無く良好な着用快適感を得ることができ、また、ポリエステル製であるため優れたウオッシュアンドウエア性取り扱い性および破裂強さなどの機械強度を持つ裏地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のある一面(A面)に主として好適に用いられるフィラメント糸条の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明の他の一面(B面)に主として好適に用いられるフィラメント糸条の断面形状をモデル的に示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1、4、比較例1、2で使用する編地断面のモデル図である。
【図4】本発明の実施例3、5、比較例3で使用する凹凸編地断面のモデル図である。
【図5】本発明の実施例2で使用するメッシュ編地断面のモデル図である。
【符号の説明】
a:ある一面(A面)編部を形成する糸条
b:他の一面(B面)編部を形成する糸条
Claims (3)
- 断面形状が異なる複数のポリエステルマルチフィラメント糸条を構成糸とする多層構造編地よりなり、該多層構造編地の一面(A面)が、繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つフィラメントを少なくとも30重量%以上含む糸条から構成され、該多層構造編地の他の一面(B面)が繊維表面の長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメントから構成され、かつ、該多層構造編地の一面(A面)の他の一面(B面)に対する吸水保水率比が2倍以上、吸水拡散面積比が2倍以上、かつ該多層構造編地の破裂強さが2kg/cm2以上、密度が20〜50ウェル/インチおよび28〜82コース/インチ、目付が60〜190g/m2であることを特徴とするポリエステル製裏地。
- 該多層構造編地の他の一面(B面)を複数の凸部が分散する凹凸表面に形成してなる請求項1に記載のポリエステル製裏地。
- 該複数の凹溝を持つフィラメントが、H型、I型、X型およびY型から選ばれた少なくとも1種の断面形状を有するものである請求項1または2に記載のポリエステル製裏地。
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