JPH0739872A - 透過膜を利用した溶存マンガン含有水ろ過装置 - Google Patents

透過膜を利用した溶存マンガン含有水ろ過装置

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JPH0739872A
JPH0739872A JP5206927A JP20692793A JPH0739872A JP H0739872 A JPH0739872 A JP H0739872A JP 5206927 A JP5206927 A JP 5206927A JP 20692793 A JP20692793 A JP 20692793A JP H0739872 A JPH0739872 A JP H0739872A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜の透過膜を用
い、地下水を始めとする溶存マンガン含有水のろ過装置
を行ない、上水道・工業用水道・産業用水等を造水する
ものである。 【構成】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜の透過膜1
1,16を使用したろ過装置において、溶存マンガンを
含む原水に塩素系酸化剤を注入後、マンガン砂を敷設し
又は二酸化マンガンを含むスラリ−が浮遊する反応槽4
を上向流で通過させ、溶存マンガンを酸化析出させた後
に、前記透過膜11,16で除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、精密ろ過膜もしくは
限外ろ過膜の透過膜を用い、地下水を始めとする溶存マ
ンガン含有水のろ過装置を行ない、上水道・工業用水道
・産業用水等を造水するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を
利用して、上水道・工業用水道・産業用水等のろ過操作
を行なう試みはなされてきた。ところで、これらに用い
られる原水のうちほとんどの地下水には、鉄やマンガン
が含まれており、河川水にもマンガンが含まれているも
のもある。
【0003】一般にマンガンは溶存状態で水中に存在し
ており、溶存マンガンはそのままでは透過膜では除去で
きない。溶存マンガンを透過膜で除去できるように析出
させるには、過マンガン酸カリウムやオゾンのように酸
化力の強い酸化剤を用いればできるが、これらの酸化剤
は高価であつたり、維持管理が難しいという欠点があつ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】透過膜によるろ過は、
従来の砂ろ過に比べ、装置規模がコンパクトであるとい
う特徴や、原水に含まれる濁質や細菌類などの懸濁物質
を完全に除去する特徴があるが、マンガンのようにイオ
ン状態で水中に溶存している物質は除去できないという
欠点がある。一方、従来用いられていた塩素注入後、二
酸化マンガンをコ−テイングしたマンガン砂によるろ過
では、水中に懸濁物質が多い場合、ろ過抵抗が大きくな
るため、高ろ過速度をとれない欠点があつた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上水道など飲料水・産業
用水などに用いられる透過膜は、膜孔径0.2μm以下
の精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜が多く、これらで透過
すると、水中の非溶解性物質はほぼ100%除去できる
が、溶解性物質はほとんど除去できない。
【0006】これらに用いる原水には、表流水と地下水
があるが、表流水の一部及び地下水のほとんどに、水道
水水質基準値以上のマンガンが含まれている。マンガン
は、通常イオン状態で溶解しており、そのままでは上記
透過膜では除去できない。
【0007】原水には濁質や細菌類といつた非溶解性物
質のほか、溶解性の鉄分なども含まれている場合がある
が、鉄分は塩素剤の注入もしくは空気との接触により析
出し、非溶解性物質となる。しかし、マンガンは中性付
近のpHにおいては、塩素では容易に酸化析出しない。
【0008】一方、除マンガン用接触ろ材を用いたろ過
機では、原水中のマンガンをほぼ完全に除去できるが、
原水中の非溶解性物質によりろ材表層部分が容易に閉塞
してしまうためろ過速度を大きくとれず、前段に凝集沈
殿池や荒ろ過機を付けても、ろ過速度を120〜240
m/日程度しかとれないことが多かつた。
【0009】マンガンは中性付近のpHにおいては、塩
素では容易に酸化析出しないが、二酸化マンガンを触媒
として用いれば、塩素でも容易に酸化析出する。そこで
原水に塩素系酸化剤を注入後、マンガン砂を敷設した反
応槽に通水し、マンガン砂と接触させることにより、マ
ンガンを酸化析出させることができる。この後、透過膜
でろ過すれば、マンガンも容易に分離除去できる。
【0010】
【作用】マンガン砂を敷設した反応槽での通水は、下降
流で行なうと含有する他の非溶解性物質により砂層表面
を閉塞させ、短期間でろ過抵抗を上昇させてしまうた
め、高ろ過速度を取れない。一方、この考案では後段に
透過膜があるため、反応槽では原水中の非溶解性物質を
除去する必要はなく、単にマンガンを酸化析出させれば
よい。
【0011】二酸化マンガン存在下でのマンガン析出は
短時間で完了するため、反応槽内を上向流で通水させれ
ば、多量の非溶解性物質が流入してもマンガン砂を流動
状態にさせ、非溶解性物質の除去率は低下するが、マン
ガンの酸化析出反応はできる。マンガンが酸化析出すれ
ば原水中の濁質や細菌類と共に透過膜で完全除去ができ
る。
【0012】マンガンの酸化析出の触媒としては、必ず
しもマンガン砂でなくとも、酸化析出したマンガンは二
酸化マンガンとなるため、自触媒として利用することが
できる。具体的には、予め少量のマンガン砂もしくは二
酸化マンガンを含むスラリ−を投入した反応槽に通水さ
せることにより、溶存マンガンは酸化析出し、二酸化マ
ンガンとなり自らが反応触媒となつて浮遊する。この現
象は、特に原水中に鉄分が多量に含まれる場合に顕著で
あり、マンガン砂を使用しないでもマンガンを酸化析出
させることができる。
【0013】
【実施例】図1に示す実施例は、溶解性鉄5mg/l、
溶解性マンガン0.5mg/lを含有する地下水を、マ
ンガン砂を敷設した反応槽で接触酸化析出後、透過膜で
除去し飲料水を造水する装置である。
【0014】原水管1から原水が流入する配管途中で、
適量(最終膜ろ過水で遊離残留塩素が0.1〜0.5m
g/l程度残る程度)の次亜塩素酸ナトリウム2が、注
入装置3により注入された後に反応槽4に流入する。こ
の反応槽4は、コ−ン状になつており、上部に行くほど
断面積を増大させ、この槽4内での沈殿効果も出せるよ
う考慮されている。
【0015】なおマンガン以外の物質をほとんど含有し
ていないような原水の場合は、円柱形などのように上下
同様な断面積を有する形状とすることもある。次亜塩素
酸ナトリウム注入直後もしくは反応槽4内の早い時点で
溶解性鉄は酸化析出する。
【0016】反応槽4内に流入した原水は、ストレ−ナ
5及び小砂利支持層6を経由し、敷設されているマンガ
ン砂層7を通過接触する途中で、マンガン砂にコ−テイ
ングされた二酸化マンガンもしくは既に酸化析出した二
酸化マンガンを触媒として、塩素により酸化析出する。
その後反応槽4内を上昇し、通水樋8から一次処理水槽
9に流出する。一次処理水は透過膜加圧ポンプ10によ
り透過膜11に圧送され、膜ろ過後浄水となり、処理水
流出管12から流出する。
【0017】反応槽4内では、原水中の懸濁物質や酸化
析出物質の一部が沈殿し、スラリ−状となることもある
が、これらのスラリ−内を通過時に、溶解性マンガンの
酸化析出を促進したり、高速凝集沈殿池と同様の効果に
より、原水中の懸濁物質除去を促進し、透過膜の粗ろ過
的な効果をもたらす。
【0018】なお反応槽4内にスラリ−が多量に蓄積し
た場合は、適時スラリ−排水弁13を開き、スラリ−配
水管14から系外に濃縮スラリ−を排出する。また反応
槽4内に排出しがたい沈殿物が堆積した場合や、マンガ
ン砂に多量にマンガンが付着した場合などは、ブロア−
15により圧搾空気を反応槽4内下部から吹き込み、マ
ンガン砂層7を流動化させ洗浄することも可能である。
【0019】次に図2に示す実施例において、前記図1
の実施例と同一又は等効の部分には同一符号を付してそ
の説明を省略するが、原水は前記例と同様に、反応槽4
で酸化析出した後、この反応槽4内を上昇する。反応槽
4内上方に懸吊した透過膜すなわち中空糸型精密ろ過膜
束16の二次側配管17を真空ポンプ18及び吸引水槽
19により減圧し、その圧力差を利用して膜ろ過する。
膜ろ過水は処理水流出管12から系外に流出する。なお
膜ろ過水量より多量の原水が流入した場合は、越流管2
0により系外に排出する。その他の作用は前記図1に示
した実施例におけると同様である。
【0020】
【発明の効果】この発明の上述の構成の装置を使用する
ことにより、溶存マンガン含有水について、マンガンを
酸化析出させることによつて原水中の濁質や細菌類と共
に透過膜で完全除去することができ、上水道・工業用水
道・産業用水等を造水することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の系統図である。
【図2】この発明の他の実施例の系統図である。
【符号の説明】
4 反応槽 11,16 透過膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜の透過膜
    を使用したろ過装置において、溶存マンガンを含む原水
    に塩素系酸化剤を注入後、マンガン砂を敷設した反応槽
    を上向流で通過させ、溶存マンガンを酸化析出させた後
    に、前記透過膜で除去することを特徴とする透過膜ろ過
    装置。
  2. 【請求項2】 精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜の透過膜
    を使用したろ過装置において、溶存マンガンを含む原水
    に塩素系酸化剤を注入後、二酸化マンガンを含むスラリ
    −が浮遊する反応槽を上向流で通過させ、溶存マンガン
    を酸化析出させた後に、前記透過膜で除去することを特
    徴とする透過膜ろ過装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載の装置におい
    て、反応槽内に透過膜を浸漬し、透過膜二次側とのサイ
    フオン水圧差もしくは透過膜二次側を減圧することによ
    り、膜ろ過することを特徴とする透過膜ろ過装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項1ないし3のいずれかに記載
    の装置において、反応槽前もしくは反応槽内に凝集剤を
    添加し、酸化析出したマンガンを凝集させることを特徴
    とする透過膜ろ過装置。
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