JP2015186775A - 水処理システム及び水処理方法 - Google Patents

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和史 近藤
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Abstract

【課題】溶解性マンガンや濁質の分離除去を確実に行うと共に、濁質や生物代謝物による膜閉塞を抑制して安定的に稼働させる水処理システム及び水処理方法を提供する。
【解決手段】
本発明の水処理システム10Aは、原水を塩素共存状態で維持する反応槽16と、原水を膜ろ過する膜ろ過塔18と、溶解性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔20と、処理水を貯留する処理水槽26と、を備えている。この水処理システム10Aは、塩素共存状態とした、溶解性マンガンを含有する原水を膜ろ過し、原水に含有する濁質分を分離除去して、その後、膜ろ過水に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶化し、不溶性マンガンを除去する。不溶性マンガンを除去した処理水を処理水槽26に貯留し、この処理水を用いて膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20を逆洗する。これにより、溶解性マンガン等を確実に除去でき、膜閉塞を抑制して安定的に稼働させることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水処理システム及び水処理方法に関するものである。
従来、上水道、工業用水又は産業用水等の水は、原水として地下水、河川水等が用いられており、この原水には、溶解されたマンガン及び鉄等が含有されているため、マンガン及び鉄等の除去処理が行われている。
例えば、溶解性マンガンを含有する原水の除去処理方法として、接触ろ過処理方法がある。この接触ろ過処理方法は、溶解性マンガンを含む原水を膜ろ過して、原水に塩素等の酸化剤を注入した後、酸化マンガンを付着したマンガン砂に供給することで、溶解性マンガンはマンガン砂を触媒として不溶性マンガンとなり、砂ろ過により不溶性マンガンを除去している(例えば、特許文献1及び2)。
特開2009−214011号公報 特開平7−171567号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載される接触ろ過処理方法は、溶解性の鉄が原水中に含んでいる場合、鉄の濃度が濃くなるほど酸化反応の時間が長時間化するので、空気中の酸素による酸化、若しくは、生物処理だけでは完全に酸化させることができず、膜ろ過で除去することができない。このため、溶解性の鉄が膜ろ過を透過する虞がある。これにより、溶解性マンガンを除去する工程に負荷がかかる虞があり、更に、マンガン砂の洗浄頻度が増加し、洗浄する水量が増加するという問題がある。
また、上記接触酸化ろ過処理方法は、原水を膜ろ過する際、微生物の増殖が起き、生物代謝物が生成され、膜閉塞する虞がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、原水に含有された溶解性マンガンや鉄、又は、濁質の分離除去を確実に行うと共に、濁質や生物代謝物による膜閉塞を抑制して安定的に稼働させる水処理システム及び水処理方法を提供することを目的とする。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
(1)溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態で貯留する反応槽と、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する膜ろ過装置と、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽とを含む水処理システム。(請求項1)
本項に係る水処理システムでは、反応槽において、塩素共存状態とされた、溶解性マンガンを含有する原水が、膜ろ過装置において、塩素共存状態を維持しながら膜ろ過されることで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、原水中に含まれる濁質分が確実に分離除去され、次の処理工程に濁質分を含まない原水(膜ろ過水)が供給されるものとなる。又、続く接触酸化・ろ過塔に至るまで、塩素共存状態を維持した膜ろ過水が供給されることで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、塩素成分の触媒作用により、溶解性マンガンの酸化が進行され、マンガン酸化物として析出される。そして、溶解性マンガンを不溶化してろ過することで、処理水中への不溶性マンガンの流出を防ぐ。又、膜ろ過水には濁質分が含まれてないため、溶解性マンガンが高LV(線速度)及び高SV(空間速度)で除去されるものとなる。そして、処理水槽は、溶解性マンガン及び不溶性マンガンを除去したろ過水(処理水)が貯留されるものとなる。共存する塩素としては、遊離残留塩素として0.1mg/L以上の濃度であるか、結合塩素を含んだ全残留塩素として0.3mg/L以上の濃度で注入することが好ましい。なお、(1)項の反応槽において、必要に応じ溶解性マンガンを含有する原水を塩素共存状態で維持しながら、pH(水素イオン指数)を調整する凝集剤を含ませることとすれば、原水中に含まれる有機物及び無機物を、より効率的に除去するものとなる。
(2)上記(1)項において、前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとし、前記不溶性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔を含む水処理システム(請求項2)。
本項に係る水処理システムでは、接触酸化・ろ過塔では、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンが接触酸化により不溶性マンガンとされ、なおかつ、不溶性マンガンが除去される。すなわち、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンが接触酸化により不溶性マンガンとされ、かつ、ろ過される工程が、接触酸化ろ過塔により、同一工程で行われ、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止するものとなる。又、接触酸化ろ過塔は、接触酸化及びろ過を同一装置で行うことにより、設備コストを低減するものとなる。
(3)上記(1)項において、前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする接触酸化塔の下流に、前記不溶性マンガンを除去するろ過塔を含む水処理システム(請求項2)。
本項に係る水処理システムでは、接触酸化・ろ過塔が、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする接触酸化塔、及び、その下流に不溶性マンガンを除去するろ過塔とで構成されるものである。すなわち、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンが、塩素共存状態を維持したまま、接触酸化塔に供給され、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、接触酸化により不溶性マンガンとされるものである。そして、不溶性マンガンをろ過塔でろ過することで、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止するものとなる。又、接触酸化塔とろ過とを適切に選択することで、処理能力を適切に発揮するものとなる。
なお、(2)項の接触酸化ろ過塔、及び、(3)項の接触酸化塔の接触酸化触媒として、人工的に酸化マンガンを付着させた繊維を用いることで、接触酸化ろ過塔及び接触酸化塔を小型化するものとなる。また、接触酸化ろ過塔及び接触酸化塔の接触酸化触媒において、マンガン砂、二酸化マンガン鉱石、マンガンゼオライト、人工的に酸化マンガンを付着させた担体等を用いることにより、溶解性マンガンを不溶化させるものとなる。
(4)上記(2)又は(3)項において、前記接触酸化・ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗系統を含む水処理システム(請求項3)。
本項に係る水処理システムでは、逆洗系統は、接触酸化ろ過塔内を確実に逆洗(再生)するものとなる。また、逆洗系統は、反応槽に導通しているため、逆洗された逆洗排水を反応槽へ確実に返送するものとなる。反応槽内は、塩素共存状態で維持されているため、逆洗排水が反応槽に返送された際、溶解性マンガンの一部を不溶化させ、不溶化されたマンガンを膜ろ過装置で膜ろ過することにより、システムの負荷を低減するものとなる。
(5)上記(2)又は(3)項において、接触酸化塔及びろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗系統を含む水処理システム(請求項3)。
本項に係る水処理システムでは、逆洗系統は、接触酸化塔及びろ過塔内を確実に逆洗(再生)するものとなる。また、逆洗系統は、(4)項の逆洗系統における接触酸化ろ過塔と同様の作用効果を得るものとなる。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1項において、前記接触酸化・ろ過塔の、上流及び下流の圧力差を検出する圧力計と、該圧力計の検出値に基づき、前記逆洗系統の運転制御を行う制御手段とを含む水処理システム(請求項4)。
本項に係る水処理システムでは、接触酸化・ろ過塔の上流及び下流に圧力計を設けることにより、逆洗系統の運転を適切に制御するものとなる。逆洗系統の運転制御は、上流及び下流の圧力差に基づいて制御することにより、適切なタイミングで逆洗し、逆洗頻度を抑制するものとなる。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1項において、前記接触酸化・ろ過塔の、下流の濁質を検出する濁度計を含む水処理システム。
本項に係る水処理システムでは、接触酸化・ろ過塔の下流に濁度計を設けることにより、処理水中への不溶性マンガンの流出を監視し、膜の閉塞を抑制するものとなる。
(8)溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態とし、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する濁質除去工程の後に、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去するマンガン除去工程を含む水処理方法(請求項5)。
本項に係る水処理方法では、塩素共存状態とした、溶解性マンガンを含有する原水を膜ろ過し、原水に含有する濁質分を分離除去して(濁質除去工程)、その後、膜ろ過水に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶化し、不溶化したマンガンを除去する(マンガン除去工程)。この方法により、濁質除去工程において、塩素共存状態の原水を膜ろ過することで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、濁質分を確実に分離除去し、その後の処理工程において、濁質分を含有しない水(膜ろ過水)を供給するものとなる。又、続くマンガン除去工程に至るまで、塩素共存状態を維持した膜ろ過水を供給することで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、塩素成分の触媒作用により、溶解性マンガンの酸化が進行し、マンガン酸化物として析出する。そして、溶解性マンガンを不溶化してろ過することで、処理水中への不溶性マンガンの流出を防ぐ。又、マンガン除去工程では、膜ろ過水中に濁質分が含まれていないため、溶解性マンガンを高LV及び高SVで除去するものとなる。
(9)上記(8)項の、前記マンガン除去工程において、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする工程と、前記不溶性マンガンを除去する工程とを同一工程で行う水処理方法(請求項6)。
本項に係る水処理方法では、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを不溶化し、なおかつ、不溶化されたマンガンを除去する。すなわち、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンが接触酸化により不溶性マンガンとする工程と、不溶性マンガンをろ過する工程とが、同一工程で行われ、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止するものとなる。又、マンガン除去工程は、接触酸化及びろ過を同一工程で行うことにより、設備コストを低減するものとなる。
(10)上記(8)項において、前記マンガン除去工程において、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする工程の後に、別工程として、前記不溶性マンガンを除去する工程を行う水処理方法(請求項6)。
本項に係る水処理方法では、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを不溶化した後、別工程で、不溶性マンガンを除去する。すなわち、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、塩素共存状態を維持したまま供給し、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、接触酸化により不溶性マンガンとする。その後、不溶性マンガンをろ過することで、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止するものとなる。又、接触酸化する工程とろ過する工程とを適切に選択することで、処理能力を適切に発揮するものとなる。
(11)上記(8)から(10)のいずれか1項の、水処理方法において、
溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態とする反応槽と、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する膜ろ過装置と、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽とを用い、
前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとし、前記不溶性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔を含むことを特徴とする水処理方法(請求項7)。
本項に係る水処理方法では、原水を塩素共存状態で維持する反応槽と、膜ろ過する膜ろ過装置と、溶解性マンガンを不溶化し、不溶性マンガンを除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽と、を用いることにより、原水中の濁質分を確実に分離除去し、高LV及び高SVでマンガン除去するものとなる。
(12)上記(8)から(10)のいずれか1項の、水処理方法において、溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態とする反応槽と、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する膜ろ過装置と、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽とを用い、
前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする接触酸化塔の下流に、前記不溶性マンガンを除去するろ過塔を含むことを特徴とする水処理方法(請求項7)。
本項に係る水処理方法では、上記(11)項の水処理方法と同様の作用を得るものとなる。
(13)上記(11)項において、前記接触酸化ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗工程を含む水処理方法(請求項8)。
本項に係る水処理方法では、接触酸化ろ過塔内の不溶性マンガンを逆洗することで、接触酸化ろ過塔内を確実に洗浄するものとなる。また、接触酸化ろ過塔内を逆洗した逆洗排水を反応槽へと返送することで、逆洗排水中に含まれる一部の溶解性マンガンを反応槽内で不溶化し、不溶化されたマンガンを濁質除去工程で膜ろ過することにより、システムの負荷を低減するものとなる。
(14)上記(12)項において、前記接触酸化塔及び前記ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗工程を含む水処理方法(請求項8)。
本項に係る水処理方法では、接触酸化塔内及びろ過塔内を確実に逆洗(再生)する。又、逆洗工程は、上記(13)項の逆洗工程における接触酸化ろ過塔の2次側と同様の作用を得るものとなる。
(15)上記(13)又は(14)項において、前記接触酸化・ろ過塔の、上流及び下流の圧力差を検出し、該圧力差の検出値に基づき、前記逆洗工程を行うタイミングを計る水処理方法(請求項9)。
本項に係る水処理方法では、接触酸化・ろ過塔の、上流及び下流の圧力を検出し、この上流及び下流の圧力差に基づいて、逆洗を行うことで、適切なタイミングで逆洗し、更に、逆洗頻度を抑制するものとなる。
(16)上記(13)から(15)のいずれか1項において、前記接触酸化・ろ過塔の、下流の濁度を監視し不溶性マンガン起因の膜閉塞の抑制を計る水処理方法。
本項に係る水処理方法では、接触酸化・ろ過塔の、下流の濁度を検出し、この濁度を監視し、不溶性マンガンが処理水中に流出しないように運転することで膜閉塞を抑制するものとなる。
本発明は、以上のように構成したことにより、原水に含有された溶解性マンガンや鉄、又は、濁質の分離除去を確実に行うと共に、濁質や生物代謝物による膜閉塞を抑制して安定的に稼働させることが可能な水処理システム及び水処理方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態に係る水処理システムの構成を示すフロー図である。 図1に示される水処理システムのフローチャート図である。 図2に示される水処理システムのフローチャート図である。 本発明の比較例として、接触酸化・ろ過塔が設けられていない水処理システムの構成を示すフロー図である。
以下、本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成を図1に基づいて詳細に説明する。
本発明の水処理システム10Aは、原水に含有された溶解性マンガン又は鉄等の濁質分を確実に除去するものである。図1に示すように、水処理システム10Aは、原水を供給する原水供給配管12と、この原水供給配管12に塩素系酸化剤を注入する酸化剤注入ポンプ14(注入手段)と、塩素共存状態の原水を貯留する反応槽16(原水槽)と、原水を膜ろ過する膜ろ過塔18(膜ろ過装置)と、溶解性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔20(接触酸化・ろ過塔)と、接触酸化ろ過塔20の上流及び下流の圧力を検出する圧力計22,24と、接触酸化ろ過塔20によって処理された処理水を貯留する処理水槽26と、膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20を逆洗する逆洗手段28(逆洗系統)と、塩素系酸化剤の注入量及び逆洗手段の運転等を制御する制御手段30とを含んでいる。
原水供給配管12は、地下水、河川水等の原水を供給するものであり、反応槽16に接続されている。酸化剤注入ポンプ14は、塩素系酸化剤を原水に注入するものであり、注入配管32を介して原水供給配管12に接続されている。また、酸化剤注入ポンプ14は、制御手段30によって、塩素系酸化剤の注入量が制御されている。この塩素系酸化剤の注入量は、接触酸化ろ過後の処理水の遊離残留塩素として0.1mg/L以上の濃度を保持することが望ましく、結合塩素を含む全残留塩素の場合、0.3mg/L以上の濃度を保持することが望ましい。
反応槽16は、酸化剤注入ポンプ14によって塩素共存状態とした原水を貯留するものである。又、反応槽16内には、原水中に含有された鉄等の濁質分の酸化反応を促進させるための機械式又は曝気式等の撹拌手段34が設けらている。反応槽16は、逆洗手段28によって接触酸化ろ過塔20を逆洗した際の1回分の逆洗排水量以上を貯留することが可能な容積で形成されていることが望ましい。反応槽16は、第1配管36を介して膜ろ過塔18に接続されている。この第1配管36には、供給ポンプ38及びバルブ40が設けられている。供給ポンプ38は、反応槽16内の原水を汲み上げ、膜ろ過塔18へ供給するものである。バルブ40の開放及び閉鎖は、制御手段30によって制御されている。
膜ろ過塔18は、供給ポンプ38により供給された塩素共存状態の原水を膜ろ過するものである。膜ろ過塔18は、第2配管42を介して接触酸化ろ過塔20に接続されている。又、膜ろ過塔18は、膜ろ過塔18を逆洗した逆洗排水を外部に排出するための逆洗手段28の排出配管62と接続されている。膜ろ過塔18の膜(図示せず)は、大孔径ろ過膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜等の膜を用いられていることが望ましい。この膜の素材としては、有機材料又は無機材料を用いることができる。膜ろ過塔18の通水方式は、内圧、外圧又は吸引等のいずれかの方式を適宜選択することができる。第2配管42には、バルブ44及び上流圧力計22が設けられている。
接触酸化ろ過塔20は、膜ろ過塔18を通過した塩素共存状態の膜ろ過水中に含有する溶解性マンガンを接触酸化により不溶化し、なおかつ、不溶化したマンガンを除去するものである。接触酸化ろ過塔20の触媒としては、繊維ろ過材に人工的にマンガンを付着したものが用いられている。又、接触酸化ろ過塔20は、第3配管46を介して処理水槽26に接続され、第3配管46から分岐した第4配管48を介して反応槽16に接続されている。第3配管46には、バルブ50及び下流圧力計24が設けられている。第4配管48には、バルブ52が設けられている。接触酸化ろ過塔20の逆洗タイミングは、接触酸化ろ過塔20の上流及び下流に設けられた圧力計22,24によって検出された圧力、すなわち、上流圧力と下流圧力との圧力差に基づいて逆洗を実施する。接触酸化ろ過塔20の通水条件としては、マンガン濃度等の原水性状に応じて、LV(線速度)=20〜100m/Hr、SV(空間速度)=20〜200m/Hrで設定されていることが望ましい。
圧力計22,24は、第2配管42を通過する膜ろ過水の圧力及び第3配管46を通過する処理水の圧力を検出し、圧力計22,24によって検出された検出値は、制御手段30に送信する。上流圧力計22は、接触酸化ろ過塔20の上流、すなわち、第2配管42に設けられ、下流圧力計24は、接触酸化ろ過塔20の下流、すなわち、第3配管46に設けられている。
処理水槽26は、接触酸化ろ過塔20を通過した処理水を貯留するものである。この処理水は、接触酸化ろ過塔20によりろ過した水、すなわち、不溶性マンガンが完全に除去された水である。又、処理水槽26は、逆洗手段28の逆洗配管54と接続されている。
逆洗手段28は、膜ろ過塔18内及び接触酸化ろ過塔20内を洗浄するものである。逆洗手段28は、制御手段30によって逆洗タイミングが制御され、処理水槽26と膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20とを接続する逆洗配管54と、逆洗供給ポンプ56と、バブリング配管58と、反応槽16及び接触酸化ろ過塔20を接続する返送配管60と、排水配管62とを含んでいる。逆洗手段28は、膜ろ過塔18を逆洗する場合、一定時間ごとに逆洗を実施し、接触酸化ろ過塔20を逆洗する場合、接触酸化ろ過塔20の上流及び下流の圧力差に基づいて、逆洗を実施する。
逆洗配管54は、バルブ64,66が設けられ、これらバルブ64,66を開放又は閉鎖することにより、適宜処理水を膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20に通水する。具体的に、処理水を膜ろ過塔18に通水する場合、バルブ64を開放し、バルブ66を閉鎖することにより、膜ろ過塔18のみに通水が行われ、処理水を接触酸化ろ過塔20に通水する場合、バルブ66を開放し、バルブ64を閉鎖することにより、接触酸化ろ過塔20のみに通水が行われる。このバルブ64,66の開放及び閉鎖は、制御手段30によって制御されている。逆洗供給ポンプ56は、処理水槽26内の処理水を汲み上げて、適宜膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20に供給するものである。
バブリング配管58は、接触酸化ろ過塔20に接続する逆洗配管54と連通しており、接触酸化ろ過塔20の逆洗と同時に、空気を供給するものである。バブリング配管58には、バルブ68が設けられ、このバルブ68は、接触酸化ろ過塔20を逆洗するとき、開放され、膜ろ過塔18を逆洗するとき、閉鎖される。返送配管60は、反応槽16と接触酸化ろ過塔20とを接続し、接触酸化ろ過塔20の逆洗による逆洗排水を反応槽16へ返送する。又、返送配管60は、バルブ70が設けられ、このバルブ70は、接触酸化ろ過塔20を逆洗するとき、開放され、接触酸化ろ過塔20の通常運転、すなわち、溶解性マンガンを除去しているとき、閉鎖される。排水配管62は、膜ろ過塔18に接続され、膜ろ過塔18の逆洗による逆洗排水を外部に排出する。又、排水配管62は、バルブ72が設けられ、このバルブ72は、膜ろ過塔18を逆洗するとき、開放され、膜ろ過塔18の通常運転、すなわち、原水を膜ろ過しているとき、閉鎖される。
制御手段30は、酸化剤注入ポンプ14による塩素系酸化剤の供給量、各バルブ40,44,50,52,64,66,68、70及び72の開放又は閉鎖、逆洗手段28の運転等を制御するロジックを含んでいる。
以上のように構成した水処理システム10Aによる溶解性マンガンを含有する原水の水処理方法について図3のフローチャートを参照して次に説明する。
図3を参照して、原水供給配管12から原水を供給し(原水供給工程S1)、原水を反応槽16に貯留する前に、酸化剤注入ポンプ14により次亜塩素酸ソーダ等の塩素系酸化剤を、注入配管32を介して原水供給配管12内の原水に注入して(酸化剤注入工程S2)、反応槽16に供給する。
そして、塩素共存状態とした原水を貯留した反応槽16内で撹拌手段34によって曝気を実施し、原水中に含有する鉄や微生物等の濁質分を酸化反応させ(反応工程S3)、その後、膜ろ過塔18に供給する。このとき、第1配管36に設けられたバルブ40を開放し、原水を供給ポンプ38によって膜ろ過塔18に供給する。
そして、塩素共存状態とした原水を膜ろ過塔18によって膜ろ過する(濁質除去工程S4)。膜ろ過塔18を通過した塩素共存状態の膜ろ過水は、第2配管42を介して接触酸化ろ過塔20に下向流で供給する。このとき、原水に含有する濁質分は、膜ろ過塔18によってろ過されるが、溶解性マンガンは、膜ろ過水に残存した状態で膜ろ過塔18を通過し、次の処理工程に供給される。
そして、接触酸化ろ過塔20に供給した膜ろ過水は、膜ろ過水に残存する溶解性マンガンを、接触酸化ろ過塔20内の触媒、すなわち、人工的にマンガンを付着した繊維ろ過材による接触酸化により、不溶化し、不溶化したマンガン(不溶性マンガン)をろ過する(マンガン除去工程S5)。
そして、接触酸化ろ過塔20によってろ過した処理水は、第3配管46を介して処理水槽26に供給し、貯留する。このとき、第4配管48のバルブ52を閉鎖し、第3配管46のバルブ50を開放することで、処理水が接触酸化ろ過塔20から処理水槽26へと導通する。この処理水は、不溶性マンガンが完全に除去された状態で処理水槽26に貯留する。
次に、膜ろ過塔18及び接触酸化ろ過塔20の逆洗(逆洗工程S6)について説明する。
膜ろ過塔18の逆洗は、塩素共存状態とした、溶解性マンガンを含有した原水を一定時間通水した後、水処理システム10Aの運転を停止し、逆洗手段28によって逆洗を実施する。このとき、逆洗水は、処理水槽26内の処理水を用い、逆洗供給ポンプ56により処理水を膜ろ過塔18の上部から下向流で供給する。膜ろ過塔18を逆洗した逆洗排水は、排出配管62介して外部へと排出する(排出工程S8)。このとき、排水配管62のバルブ72は、開放されているが、第1配管36及び第2配管42に設けられたバルブ40,44を閉鎖し、逆洗排水を反応槽16及び接触酸化ろ過塔20に供給しないようにしている。
接触酸化ろ過塔20の逆洗は、水処理システム10Aの運転中、接触酸化ろ過塔20の上流及び下流に設けられた圧力計22,24によって接触酸化ろ過塔20の上流圧力及び下流圧力を検出し、この検出された上流圧力及び下流圧力の圧力差が一定に達したとき、逆洗手段28によって逆洗を実施する。このとき、逆洗水は、処理水槽26内の処理水を用い、逆洗供給ポンプ56により処理水を接触酸化ろ過塔20の下部から上向流で供給する。又、接触酸化ろ過塔20の逆洗と同時に、バブリング配管58を介して空気を供給し、バブリングを実施する。接触酸化ろ過塔20を逆洗した逆洗排水は、返送配管60を介して反応槽16へと返送する(返送工程S7)。このとき、返送配管60に設けられバルブ70は、開放されているが、第2配管42のバルブ44、第3配管46のバルブ50及び第4配管48のバルブ52を閉鎖して、膜ろ過塔18及び処理水槽26に供給しないようにしている。
接触酸化ろ過塔20の逆洗終了後、原水を一定時間通水し、処理水を第4配管48を介して反応槽16に循環させた。このとき、処理水は、第3配管46に設けられたバルブ50を閉鎖し、第4配管48に設けられたバルブ52を開放することにより処理水槽26に供給されず、反応槽16に循環する。
上記の本願発明の第1実施形態の水処理システム10Aによると、塩素共存状態とした、溶解性マンガンを含有する原水を膜ろ過し、原水に含有する濁質分を分離除去して、その後、膜ろ過水に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶化し、不溶化したマンガンを除去する。これにより、膜ろ過装置18による濁質除去工程において、塩素共存状態の原水を膜ろ過することで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、濁質分を確実に分離除去し、その後の処理工程において、濁質分を含有しない水(膜ろ過水)を供給することが可能となる。又、続く接触酸化ろ過塔20によるマンガン除去工程に至るまで、塩素共存状態を維持した膜ろ過水を供給することで、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、塩素成分の触媒作用により、溶解性マンガンの酸化が進行し、マンガン酸化物として析出する。そして、溶解性マンガンを不溶化してろ過することで、処理水中への不溶性マンガンの流出を防ぐ。又、マンガン除去工程では、膜ろ過水中に濁質分が含まれていないため、溶解性マンガンを高LV及び高SVで除去することが可能となる。
又、接触酸化ろ過塔20の接触酸化触媒として、人工的に酸化マンガンを付着させた繊維を用いることで、接触酸化ろ過塔20を小型化することが可能となる。接触酸化ろ過塔20は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンが接触酸化により不溶性マンガンとする工程と、不溶性マンガンをろ過する工程とが、同一工程で行われ、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止することが可能となる。又、接触酸化及びろ過を同一工程で行うことにより、設備コストを低減することが可能となる。
更に、水処理システム10Aは、原水に対して反応槽16、若しくは、反応槽16の上流から塩素系酸化剤を注入することで、原水を膜ろ過する前に塩素共存状態とすることが可能となる。酸化剤は、原水に注入することにより、原水中に含まれる濁質分を酸化反応させ、膜ろ過するときに確実に濁質分を分離除去することができ、溶解性マンガンを含む膜ろ過水が次の処理工程に送られることが可能となる。
水処理システム10Aの逆洗手段28は、接触酸化ろ過塔20内を逆洗及びバブリングを実施することにより、確実に洗浄することが可能となる。また、逆洗手段28は、返送配管60を介して反応槽16と接触酸化ろ過塔20とを接続することにより、逆洗された逆洗排水を反応槽16へ確実に返送することが可能となる。反応槽16内は、塩素共存状態で維持されているため、逆洗排水が反応槽16に返送された際、溶解性マンガンの一部を不溶化させ、不溶化されたマンガンを膜ろ過塔18で膜ろ過することにより、システムの負荷を低減するものとなる。逆洗水は、接触酸化ろ過塔20を通過した処理水を使用することにより、接触酸化ろ過塔20の2次側での膜閉塞を防止することが可能となる。
又、逆洗手段28は、接触酸化ろ過塔20の上流及び下流に設けられた圧力計22,24によって検出された上流及び下流の圧力差に基づいて運転を適切に制御することで、接触酸化ろ過塔20を適切なタイミングで逆洗することが可能となる。逆洗手段28は、圧力差に基づいて制御することで、逆洗頻度を抑制することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図2に示すように、第2実施形態に係る水処理システム10Bでは、上記第1実施形態の接触酸化ろ過塔20の代わりに、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶化する接触酸化塔80と、不溶性マンガンを除去するろ過塔82とを用いている。
接触酸化塔80は、触媒としてろ過抵抗が低い触媒を用いられていることが望ましい。具体的には、毛糸状の繊維、中空糸膜、不織布等に人工的にマンガンを付着して用いる。又、接触酸化塔20は、第5配管84を介してろ過塔82と接続されている。接触酸化塔80は、逆洗手段28の逆洗配管54及び第1バブリング配管102と接続され、更に、逆洗した際の逆洗水を反応槽16へ返送するための第1返送配管98と接続されている。接触酸化塔80の逆洗は、原水性状を考慮して、積算処理時間で一定時間に達したときに逆洗を実施することが望ましい。接触酸化塔20の通水条件としては、LV=20〜100m/Hr、SV=20〜200m/Hrで設定されていることが望ましい。第5配管84は、バブル86及び上流圧力計22を設けている。
ろ過塔82は、10μm程度の不溶性マンガンを除去することができ、かつ、逆洗可能なろ過方法とすることが望ましい。具体的には、大孔径ろ過膜、砂ろ過又は繊維ろ過等のろ過を用いることができ、本実施形態では、繊維ろ過を用いている。ろ過塔82は、逆洗配管54及び第2バブリング配管104と接続され、更に、逆洗した際の逆洗水を反応槽16へ返送するための第2返送配管100と接続されている。ろ過塔82の通水条件としては、選択するろ過方法によって適正範囲で通水することが好ましく、繊維ろ過の場合、LV=20〜100m/Hrの範囲で通水することが望ましい。
圧力計22,24は、ろ過塔82の上流及び下流の圧力を検出し、上流圧力計22は、第5配管84に設けられ、下流圧力計24は、第3配管46に設けられている。逆洗手段28は、各バルブ88,90及び92を逆洗配管54に設け、逆洗配管54は、第1バブリング配管94及び第2バブリング配管96と接続されている。又、逆洗手段28は、反応槽16と接触酸化塔80とを接続する第1返送配管98と、反応槽16とろ過塔82とを接続する第2返送配管100とを備えている。第1バブリング配管94及び第2バブリング配管96は、バルブ102,104を設けている。第1返送配管98及び第2返送配管100は、バルブ106,108を設けている。
以上のように構成した第2実施形態に係る水処理システム10Bによる溶解性マンガンを含有する原水の水処理方法について図4のフローチャートを参照して次に説明する。
なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、異なる工程についてのみ詳細に説明する。
膜ろ過塔18によって膜ろ過された膜ろ過水を、第2配管42を介して接触酸化塔80に下向流で供給し、膜ろ過水に残存する溶解性マンガンを、人工的にマンガンを付着した繊維ろ過材による接触酸化により、不溶化する(膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする工程S5)。その後、接触酸化塔80を通過した水は、第5配管84を介してろ過塔82に下向流で供給し、不溶性マンガンを除去する(不溶性マンガンを除去する工程S6)。そして、処理水を処理水槽26へと供給する。
次に、接触酸化塔80及びろ過塔82の逆洗(逆洗工程S7)について説明する。
接触酸化塔80の逆洗は、一定時間ごとに実施し、逆洗供給ポンプ56によって処理水槽26内の処理水を汲み上げ、処理水を接触酸化塔80の下部から上向流で供給する。又、接触酸化塔80の逆洗と同時に、第1バブリング配管94を介して空気を供給し、バブリングを実施する。接触酸化塔20を逆洗した逆洗排水は、第1返送配管98を介して反応槽16へと返送する(返送工程S8)。このとき、制御手段30によって第2配管42のバルブ44、第5配管84のバルブ86、逆洗配管54のバルブ88,92及び第2バブリング配管96のバルブ104を閉鎖して、逆洗水又は逆洗排水を膜ろ過塔18及びろ過塔82に供給しないようにしている。
ろ過塔82の逆洗は、水処理システム10Bの運転中、ろ過塔82の上流及び下流に設けられた圧力計22,24によって上流圧力及び下流圧力を検出し、この検出された上流圧力及び下流圧力の圧力差が一定に達したとき、逆洗供給ポンプ56によって処理水を汲み上げ、処理水をろ過塔82の下部から上向流で供給する。又、ろ過塔82の逆洗と同時に、第2バブリング配管96を介して空気を供給し、バブリングを実施する。ろ過塔82を逆洗した逆洗排水は、第2返送配管100を介して反応槽16へと返送する(返送工程S8)。ろ過塔82の逆洗終了後、原水を一定時間通水し、処理水を第4配管48を介して反応槽16へ循環させた。ろ過塔82を逆洗する際、制御手段30によって第5配管84のバルブ86、逆洗配管54のバルブ88,90及び第1バブリング配管94のバルブ102を閉鎖して、逆洗水又は逆洗排水を膜ろ過塔18及び接触酸化塔80に供給しないようにしている。
上記第2実施形態に係る水処理システム10Bでは、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、塩素共存状態を維持したまま供給し、微生物の増殖を塩素成分によって抑制し、かつ、接触酸化により不溶性マンガンとする。その後、不溶性マンガンをろ過することで、不溶性マンガンを確実に除去することができ、ろ過後の処理水中への不溶性マンガンの流出を確実に防止することが可能となる。又、接触酸化塔80(接触酸化する工程)とろ過塔82(ろ過する工程)とを適切に選択することで、処理能力を適切に発揮することが可能となる。又、水処理システム10Bは、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
次に、上記第1実施形態に係る水処理システム10A、及び、上記第2実施形態に係る水処理システム10Bを比較するための比較例について、図5を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図5を参照して、比較例の水処理システム10Cは、膜ろ過塔18の下流に設けられた上記第1実施形態の接触酸化ろ過塔20又は上記第2実施形態の接触酸化塔80及びろ過塔82を設けず、膜ろ過塔18と処理水槽26とを配管116を介して接続した。配管116は、膜ろ過塔18によって膜ろ過した処理水を処理水槽26に供給するものである。又、配管116は、バルブ118を設けている。
以上のように構成した比較例の水処理システム10Cによる溶解性マンガンを含有する原水の水処理方法について次に説明する。
なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、異なる工程についてのみ詳細に説明する。
膜ろ過した処理水は、配管116を介して処理水槽26へ貯留する。このとき、処理水は、溶解性マンガンを含有した状態で処理水槽26に貯留する。
膜ろ過塔18の逆洗は、一定時間ごとに実施し、逆洗供給ポンプ56によって処理水槽26内の処理水を汲み上げて、膜ろ過塔18の上部から下向流で供給する。このとき、配管116のバルブ118を閉鎖して、逆洗排水を処理水槽26に供給しないようにしている。逆洗による逆洗排水は、排出配管62を介して外部に排出した。このとき、水処理システム10Cは、膜ろ過塔18への通水を停止して、逆洗を実施する。
ここで、第1実施形態、第2実施形態及び比較例の水処理システム10A,10B及び10Cにおける膜閉塞評価及び水質分析評価について説明する。
まず、第1実施形態、第2実施形態及び比較例の水処理システム10A,10B及び10Cの実施条件について説明する。
水処理システム10A,10B及び10Cは、Fe(鉄)5mg/L、Mn(マンガン)0.1mg/L及びpH7.5の水を人口原水として3ヶ月間連続通水を実施した。酸化剤注入ポンプ14によって原水に注入される塩素系酸化剤としては、次亜塩素酸ソーダを用いた。
膜ろ過塔18の運転条件としては、膜ろ過流速1m3/m2/Dayでろ過を実施し、原水を90分間通水した後、膜ろ過塔18の逆洗として処理水の通水を2.2m3/m2/Dayで1分間実施した。
接触酸化ろ過塔20の通水条件としては、LV=100m/Hr、SV=200m/Hrで処理を行った。
まず、第1実施形態に係る水処理システム10Aの水処理方法において、3ヶ月間連続通水した結果、膜閉塞評価では、膜ろ過塔18の初期差圧50kPa(25℃換算)を維持した状態で、3ヶ月間通水を行うことができたことを確認した。これにより、不溶性マンガンによる膜閉塞を引起さないことが確認された。
水質分析評価では、初期の原水に含有されたFe5mg/L、Mn0.1mg/Lに対して、処理水は、Fe0.03mg/L未満、Mn0.005mg/L未満となり、良好な水質を保持していることが確認された。
第2実施形態に係る水処理システム10Bの水処理方法において、3ヶ月間連続通水した結果、膜閉塞評価では、膜ろ過塔18の初期差圧50kPa(25℃換算)を維持した状態で、3ヶ月間通水を行うことができたことを確認した。これにより、不溶性マンガンによる膜閉塞を引起さないことが確認された。
水質分析評価では、初期の原水に含有されたFe5mg/L、Mn0.1mg/Lに対して、処理水は、Fe0.03mg/L未満、Mn0.005mg/L未満となり、良好な水質を保持していることが確認された。
比較例に係る水処理システム10Cの水処理方法において、3ヶ月間連続通水した結果、膜閉塞評価では、膜ろ過塔18の初期差圧50kPa(25℃換算)に対して、1ヶ月経過後膜ろ過塔18の差圧100kPa(25℃換算)となり、1.5ヶ月経過後膜ろ過18の差圧200kPa(25℃換算)となることが確認された。差圧が上昇したため、原水の通水を停止した。これにより、不溶性マンガンによる膜閉塞が引起されていることが確認された。
水質分析評価では、初期の原水に含有されたFe0.03mg/L、Mn0.1mg/Lに対して、1ヶ月経過後Fe0.03mg/L未満、Mn0.07mg/Lとなり、1.5ヶ月経過後Fe0.03mg/L未満、Mn0.05mg/L未満であることが確認された。これにより、所定水準の水質を得ることができなかった。
この結果、水処理システム10Cは、溶解性マンガンを含有した処理水を処理水槽26に貯留することで、時間の経過により、溶解性マンガンの不溶化が進行し、処理水槽26内に不溶性マンガンが析出された。このため、不溶性マンガンを含有した処理水を逆洗水として用いることで膜閉塞を引起すことがわかった。これに対して、水処理システム10A及び10Bは、接触酸化ろ過塔20、又は、接触酸化塔80及びろ過塔82によって溶解性マンガンを接触酸化により不溶化させ、不溶性マンガンを除去したことにより、処理水槽26内に不溶性マンガンの流出を防止した。このため、不溶性マンガンを含有しない処理水を逆洗水として用いることで膜閉塞を防止することが確認された。
なお、上記第1実施形態の接触酸化ろ過塔20及び上記第2実施形態の接触酸化塔80の触媒として、人工的にマンガンを付着したものを用いているが、マンガン砂、二酸化マンガン鉱石、マンガンゼオライト、人工的に酸化マンガンを付着させた担体等を用いてもよい。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態の反応槽16は、共存する塩素としては、遊離残留塩素として0.1mg/L以上であるか、結合塩素を含んだ全残留塩素として0.3mg/L以上注入することが好ましい。また、必要に応じ溶解性マンガンを含有する原水を塩素共存状態で維持しながら、pH(水素イオン指数)を調整する凝集剤を含ませてもよい。これにより、原水中に含まれる有機物及び無機物を、より効率的に除去することが可能となる。
上記第1実施形態の接触酸化ろ過塔20及び上記第2実施形態のろ過塔82の下流に濁度計を設けてもよい。これにより、濁度により不溶性マンガンを監視することができ、膜の閉塞を抑制することが可能となる。
10A,10B…水処理システム、16…反応槽、18…膜ろ過塔(膜ろ過装置)、20…接触酸化ろ過塔(接触酸化・ろ過塔)、26…処理水槽、80…接触酸化塔(接触酸化・ろ過塔)、82…ろ過塔(接触酸化・ろ過塔)

Claims (9)

  1. 溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態で貯留する反応槽と、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する膜ろ過装置と、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽とを含むことを特徴とする水処理システム。
  2. 前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとし、前記不溶性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔、若しくは、
    膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする接触酸化塔の下流に、前記不溶性マンガンを除去するろ過塔を含むことを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
  3. 前記接触酸化・ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗系統、若しくは、接触酸化塔及びろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗系統を含むことを特徴とする請求項2に記載の水処理システム。
  4. 前記接触酸化・ろ過塔の、上流及び下流の圧力差を検出する圧力計と、該圧力計の検出値に基づき、前記逆洗系統の運転制御を行う制御手段とを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システム。
  5. 溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態とし、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する濁質除去工程の後に、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去するマンガン除去工程を含むことを特徴とする水処理方法。
  6. 前記マンガン除去工程において、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする工程を同一工程で行う、若しくは、
    膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする工程の後に、別工程として、前記不溶性マンガンを除去する工程を行うことを特徴とする請求項5に記載の水処理方法。
  7. 上記請求項5又は6に記載の水処理方法において、
    溶解性マンガンを含む原水を塩素共存状態とする反応槽と、前記原水に含まれる濁質分を膜ろ過する膜ろ過装置と、前記塩素共存状態を維持したまま、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを、接触酸化により不溶性マンガンとして除去する接触酸化・ろ過塔と、ろ過水を貯留する処理水槽とを用い、
    前記接触酸化・ろ過塔は、膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとし、前記不溶性マンガンを除去する接触酸化ろ過塔、若しくは、
    膜ろ過水中に残存する溶解性マンガンを接触酸化により不溶性マンガンとする接触酸化塔の下流に、前記不溶性マンガンを除去するろ過塔を含むことを特徴とする水処理方法。
  8. 前記接触酸化ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗工程、若しくは、前記接触酸化塔及び前記ろ過塔の逆洗排水を前記反応槽へと返送する逆洗工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の水処理方法。。
  9. 前記接触酸化・ろ過塔の、上流及び下流の圧力差を検出し、該圧力差の検出値に基づき、前記逆洗工程を行うタイミングを計ることを特徴とする請求項8に記載の水処理方法。
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