JPH11128742A

JPH11128742A - 溶解性マンガンおよび溶解性鉄の除去用酸化触媒およびこれを用いた除去装置

Info

Publication number: JPH11128742A
Application number: JP9303176A
Authority: JP
Inventors: Tatsumi Shimono; 達観下野
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 1997-11-05
Filing date: 1997-11-05
Publication date: 1999-05-18

Abstract

(57)【要約】【課題】井戸水などの原水に含まれる鉄イオン，マン
ガンイオンが高濃度であっても、確実にこれを除去で
き、かつ除去用触媒の調製が容易で、軽量であり、長寿
命であるような溶解性鉄，マンガンの除去装置を得る。【解決手段】多孔質材料からなる担体と、この担体に
担持された酸化マンガン水和物を主体とする反応触媒本
体から除去用酸化触媒を構成する。この除去用酸化触媒
を反応槽に１０に収め、ここで原水中の溶解性鉄，マン
ガンを酸化物の固体粒子とし、これを次段の濾過槽１６
に送って、中空糸膜モジュールなどにより、この固体粒
子を濾別する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、井戸水などの水
に溶解しているマンガンイオン，鉄イオンを除去する除
去装置およびこれに用いられる除去用酸化触媒に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】井戸水には、鉄イオン，マンガンイオン
が溶解して含まれており、井戸の掘削場所によっては、
これらイオンの溶解量が２０ｐｐｍを越えることがあ
る。このような鉄イオン，マンガンイオンが溶解してい
る井戸水を工業用水等として種々の用途に用いる場合に
は、これらを除去する必要がある。

【０００３】このような目的のための除去装置として
は、図３に示すようなものが従来知られている。図３に
おいて、符号１は受水槽であって、この受水槽１には管
２から井戸水が原水として供給され、一時的に貯留され
る。受水槽１に受水された原水には塩素剤タンク３から
管４を経て次亜塩素酸ソーダ水溶液が添加され、ブロア
５により空気（酸素）が吹き込まれるようになってい
る。

【０００４】この原水はポンプ６により汲み上げられ、
管７を経て反応濾過槽８に送られる。この反応濾過槽８
内には、濾過砂が充填されている。この濾過砂は、粒径
０．１〜０．５ｍｍ程度の砂を濾材兼担体とし、その表
面に触媒本体を担持したものである。この触媒本体は、
上記砂を塩化マンガンや硫酸マンガンの水溶液に浸漬
し、乾燥したのち、さらにこれを過マンガン酸カリウム
などの過マンガン酸塩の水溶液に浸漬し、乾燥して、砂
の表面に形成したもので、ＭｎＯ₂・Ｈ₂Ｏなどの酸化マ
ンガン水和物を主体とするものである。

【０００５】この濾過砂により、塩素（Ｃｌ₂）が添加
された原水中に含まれるＦｅイオン，Ｍｎイオンは酸化
され、その表面で酸化物の固体の微小粒子となり、この
微小粒子は濾過砂の層によって濾別され、この層に捕獲
される。以上により、反応濾過層８から、原水中に溶解
している鉄イオンおよびマンガンイオンが除去された処
理水が管９を介して得られることになる。

【０００６】このような除去装置にあっては、鉄イオ
ン，マンガンイオンの原水中の濃度が２０ｐｐｍを越え
ると、これらのイオンを十分に除去しきれない不都合が
あった。また、濾過砂の調製に手間を要し、重量があ
り、寿命に達した濾過砂が塊となって固化するため、そ
の交換が面倒であるなどの欠点もあった。さらには、
鉄，マンガンの酸化物粒子の粒径が細いものでは、砂濾
過層を通過して濾別することができない不都合もあっ
た。

【０００７】一方、中空糸膜の表面およびに微細孔に酸
化触媒として酸化マンガン水和物を付着せしめ、この中
空糸膜を用いて原水中の鉄，マンガンのイオンを酸化物
粒子とすると同時にこの酸化粒子を中空糸膜で濾別する
ようにした除去装置が、提案されている（特開平９−５
７２６３号公報参照）。このものは、装置構成が簡略化
され、除去効率も優れたものとされているが、中空糸膜
の微細孔が生成した酸化物粒子によってすぐに目詰りを
生じ、寿命が短く、実用に不適である大きな欠点があ
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】よって、本発明におけ
る課題は、鉄イオン，マンガンイオンの濃度が２０ｐｐ
ｍを越えても十分に除去が可能であり、除去用触媒の調
製が容易でかつ軽量であり、生成した酸化物粒子が微小
であっても確実に濾別でき、長寿命であるようにするこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる課題は、マンガン
イオンを酸化物粒子とするための除去用酸化触媒とし
て、多孔質材料からなる担体とこれに担持された酸化マ
ンガン水和物を主体とする触媒本体とからなるものを用
い、この除去用酸化触媒を反応槽内で流動させるかもし
くは反応槽内に充填すること、濾過槽として中空糸膜モ
ジュールを有するものを用いることで解決される。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図１は、本発明の溶解性マンガンおよび溶解性鉄の除去
装置の一例を示すもので、図中符号１は受水槽である。
この受水槽１には管２から井戸水が原水として供給さ
れ、一時的に貯留され、塩素剤タンク３から管４を経て
次塩素酸ソーダ水溶液が添加され、ブロア５により空気
（酸素）が吹き込まれるようになっている。受水槽１
の原水は、ポンプ６により管７を介して反応槽１０に送
られる。

【００１１】反応槽１０は、図２に示すように、タンク
状の容器であって、その底部には管７に連通する流入口
１１が形成され、この流入口１１には目皿１２が設けら
れている。また、その側部には反応後の原水を流出させ
る流出口１３が形成され、管１４に連通されている。こ
の流出口１３には、除去用酸化触媒の流出を防止する大
型目皿１５が設けられている。さらに、反応槽１０の内
部空間のほぼ中央には、底部の流入口１１から流入する
原水を上下方向の旋回流とするパイプ状の整流筒１６が
設けられている。

【００１２】この反応槽１０内には、多数の除去用酸化
触媒が原水に分散され、原水とともに内部で流動，旋回
するようになっている。ここでの除去用酸化触媒には、
比重が１．３８のアセテート繊維のモノフィラメントを
多数本集束，一体化した長さ１０〜２０ｍｍ、径３〜１
０ｍｍ程度の円柱状の多孔性のフィルタチップを担体と
し、このチップのモノフィラメントの表面に担持された
酸化マンガン水和物を主体とする触媒本体とからなるも
のが用いられている。この除去用酸化触媒の製造は、上
述のフィルタチップを塩化マンガン，硫酸マンガンなど
のマンガン塩水溶液に浸漬し、乾燥したのち、過マンガ
ン酸カリなどの過マンガン酸塩水溶液に浸漬し、乾燥す
る操作を１回以上繰り返す方法によって行われる。

【００１３】この除去用酸化触媒の反応槽１０への見掛
けの装填量は、体積比で反応槽１０の内部の実効体積の
３０％程度とされる。この反応槽１０において、流入口
１１から流入した原水は、整流筒１５により、上下方向
に旋回しつつ、多数の除去用酸化触媒と接触し、原水中
のマンガンイオンが酸化されて酸化物となり、固体粒子
となる。また、原水中の鉄イオンは、次亜塩素酸ソーダ
によって酸化されて、酸化物の固体粒子となる。これら
の固体粒子を含んだ原水は、所定時間反応槽１０内で流
動したのち、流出口１３から管１４を通り、濾過槽１７
に送られる。

【００１４】この濾過槽１７は、濾過部材として周知の
中空糸膜モジュールが組み込まれたものであり、ここに
おいて反応槽１０で生成した鉄，マンガンの酸化物の粒
子を初め、種々の微細な粒子，細菌類などが濾過され、
除去され、原水は、鉄，マンガンイオンを含まない処理
水として管１８から各用途に向けて送られる。

【００１５】このような除去用酸化触媒にあっては、多
孔質材料を担体としているので、その実質的な表面積が
多く、これに担持される触媒本体量も多くなって単位体
積当りの触媒活性が高いものとなる。また、多孔質材料
を担体としているので、軽量であり、取り扱いが容易
で、交換も簡単である。また、このような除去装置にあ
っては、除去用酸化触媒の触媒活性が高く、しかも原水
と除去酸化触媒との接触が十分に行われ、原水中に溶解
している鉄，マンガンイオンのほぼ全量が酸化されて固
体粒子となり、この固体粒子は濾過槽１６の中空糸膜モ
ジュールで完全に濾別される。このため、原水中の溶解
性鉄，溶解性マンガンの濃度が５０ｐｐｍ以上の高濃度
であっても完全に除去でき、これらイオンを完全に除去
した処理水が得られる。さらに、濾過槽１６内の中空
糸膜モジュールの微細孔が酸化物の固体粒子で目詰りす
ることがなく、長寿命となる。

【００１６】また、本発明の除去用酸化触媒では、多孔
質材料からなる担体として、上述のフィルタチップ以外
に、樹脂発泡体の小塊，布切れ，綿の小塊，不繊布など
も同様に用いることができる。また、天然繊維，合成繊
維からなる糸，紐，なわなどの線条体を担体として用い
ることができ、このような線条体を担体とした除去用酸
化触媒では、これを反応槽の底部に支持体などを介して
その一端を固定し、他端を水中に泳動させて使用に供し
てもよい。

【００１７】また、本発明の除去装置においては、反応
槽に上述の除去用酸化触媒を密に充填しておき、反応槽
の上部または下部から原水を流し、酸化反応後の原水を
下部または上部から流出させる固定床方式を採用するこ
ともできる。また、濾過槽には、中空糸膜モジュール以
外に、酸化物粒子を濾別しうるもの、例えば砂濾過，珪
藻土類濾過などを用途に応じて採用しうることは当然で
ある。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の溶解性マ
ンガンおよび溶解性鉄の除去用酸化触媒にあっては、触
媒活性が高く、酸化能力が良好であり、軽量で取扱が容
易であり、その調製も容易である。また、本発明の除去
装置にあっては、原水中に溶解している鉄，マンガンイ
オンのほぼ全量を酸化して酸化物粒子とし、これを濾過
することができるため、原水中の鉄，マンガンイオンの
濃度が５０ｐｐｍ以上の高濃度であっても、これをほぼ
完全に除去することができる。また濾過槽における目詰
りの発生も少なく、長寿命となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の溶解性マンガンおよび溶解性鉄の除
去装置の一例を示す概略構成図である。

【図２】本発明の除去装置の反応槽の一例を示す構成
図である。

【図３】従来の除去装置を示す構成図である。

【符号の説明】

１受水槽２，４，７，９，１４管３塩素剤タンク５ブロア６ポンプ８反応濾過槽１０反応槽１１流入口１２目皿１３流出口１５大型目皿１６整流板１７濾過槽

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】多孔質材料からなる担体と、この担体に
担持された酸化マンガン水和物を主体とする触媒本体と
からなる溶解性マンガンおよび溶解性鉄の除去用酸化触
媒。
【請求項２】上記多孔質材料が、繊維モノフィラメン
トを集束してなるフィルタチップ，布，不繊布，糸，
紐，発泡体のいずれかである請求項１記載の除去用酸化
触媒。
【請求項３】多孔質材料をマンガンイオンを含む水溶
液に浸漬し、ついで過マンガン酸塩水溶液に浸漬，乾燥
して得られたものである請求項１記載の除去用酸化触
媒。
【請求項４】塩素を添加した原水が流入し、原水中に
含まれるマンガンイオン，鉄イオンを酸化して酸化物粒
子とする除去用酸化触媒が収められた反応槽と、この反
応槽で生成した酸化物粒子が原水とともに流入し、酸化
物粒子を濾過する濾過槽を有し、上記除去用酸化触媒
が、多孔質材料からなる担体と、この担体に担持された
酸化マンガン水和物を主体とする触媒本体とからもので
ある溶解性マンガンおよび溶解性鉄の除去装置。
【請求項５】上記除去用酸化触媒が反応槽内で流動す
るようになされた請求項４記載の除去装置。
【請求項６】上記除去用酸化触媒が反応槽内に密に充
填され、移動しないようになされた請求項４記載の除去
装置。
【請求項７】上記濾過槽が中空糸膜モジュールを有す
るものである請求項４記載の除去装置。