JPH0734267B2 - 可逆的光学情報記録媒体および記録再生方法 - Google Patents

可逆的光学情報記録媒体および記録再生方法

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JPH0734267B2
JPH0734267B2 JP60112419A JP11241985A JPH0734267B2 JP H0734267 B2 JPH0734267 B2 JP H0734267B2 JP 60112419 A JP60112419 A JP 60112419A JP 11241985 A JP11241985 A JP 11241985A JP H0734267 B2 JPH0734267 B2 JP H0734267B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、可逆的光学情報記録媒体およびそれを用い
て、情報を可逆的に記録し、再生する方法に関する。
従来の技術 レーザー光線を用いて記録媒体上に情報信号を繰り返し
記録,消去する技術は既に公知である。記録媒体として
例えばTe81Ge15Sb2S2,Te60Ge20Se20(特公昭54−41902
号公報)等のカルコゲナイドガラス薄膜、Te−Se−O
(特開昭55−28530号公報),Te−Ge−Sn−O(特開昭59
−185048号公報)等の酸化物系薄膜のようにレーザー光
線の照射条件に応じて結晶状態が変化し、その結果屈折
率n,消衰係数k等の光学定数が変化するものが知られて
おり、これらは通常、PMMA,ポリカーボネイト等の樹脂
基材,ガラス等の透明基板上に蒸着,スパッタリング等
の方法で着けて用いる。記録,再生方法としては上記、
記録膜の微少部分にレーザー光線を照射して光学定数の
変化を生じさせ、周囲との差を反射率変化として検出す
るわけであるが、この反射率変化の大きさは記録材料の
n,k及び厚みの関数として決定される(特開昭55−45166
号公報)。この際、記録媒体としては記録前の反射率が
小さく光の吸収効率が高いこと記録前後の反射率変化が
大きいことが望ましいが、一般的にTe−Geをベースとす
るカルコゲナイドガラス薄膜,Te−Ge−Oをベースとす
る酸化物薄膜等においては形成された時の膜の屈折率は
3.0〜5.0、又、消衰係数は0.5〜1.0の範囲と考えて良く
上記条件を満足する膜厚は例えば半導体レーザー波長84
0nmに対して80nm〜140nmが適当であり、これより更に薄
い領域では反射率変化が小さい、又は初期反射率が大き
すぎるとの理由で適用がむつかしかった。このことは記
録媒体の設計に一つの制限を与える。即ち、記録媒体の
感度を決定する要因の一つに照射部分の熱容量がある
が、記録膜の膜厚の制限が熱容量の低減化に限界を与
え、更なる高感度化の妨げとなっていた。
そこで記録膜の膜厚をより広範囲に選べる方法が提案さ
れている。例えば特開昭57−11189号公報の明細書の中
の実施例の方法がそれにあたる。この方法の一つは、基
板上にAl,Au等の金属薄膜又は誘電体材料薄膜で形成さ
れる反射層を設け、その上に記録層と上部被覆層を積層
した構造であり、もう一つは更に反射層と記録層との間
に光の光路長を調整するために光学的に透明な挿間層を
追加した構造である。これらの構成によれば各層の膜厚
を適当に選定することで記録媒体の初期反射率を最少に
なるようにも、あるいは記録前後の反射率変化を最大に
なるようにもできる、即ち記録層を従来より薄く選んで
記録感度を大幅に改善できる可能性が有った。
発明が解決しようとする問題点 ところが、この従来例の記録媒体の構造を用いて、これ
までのところ実用化に供することのできる可逆的光学情
報記録媒体は得られていない。これは、以下の理由によ
る。
(1) 上記記録媒体の構成上、記録層の両側に誘電体
層を密着して形成するが、このため記録層において生じ
た熱が容易に周囲へ拡散しやすい。例えばアモルファス
を結晶化する過程においては、漸時、結晶化温度に保っ
てやる必要があるが、この構造においては特に、この過
程においてエネルギーロスを生じやすい。
(2) 上記記録媒体の構成上、記録層を薄くすること
が大切な用件の一つであるが、その結果従来のアモルフ
ァスー−結晶の相変態型の記録材料では、記録層の光吸
収率は非常に小さくなり、多重干渉の結果光エネルギー
は例えば反射層の中においてその多くが消費されてしま
う。特に、アモルファス−結晶間の相変態を応用する場
合においては、これまでのところアモルファス状態にお
ける光吸収効率が悪く、記録層内での熱発生が、さらに
小さくなっていた。
即ち、これまでのところ、前述の可逆的光学情報記録媒
体においては、構造に伴なう利点が十分生かされず、そ
の欠点が強調されることになっていた。
そこで、本発明においては前記、記録媒体の構造を生か
すべく、構造に適する材料特性及び材料組成を提供する
ことを目的とする。又、本発明は上記、記録材料を用い
た真に感度の向上した可逆的光学情報記録部材の構成条
件の提供をもう一つの目的とする。さらに、本発明は上
記、記録媒体の特徴を生かす記録消去方法の提供をもう
一つの目的とする。
問題点を解決するための手段 本発明は上記問題点を解決するため、記録媒体の記録層
として、光照射により昇温し、急冷する場合と徐冷する
場合とで、その結晶状態に差が生じ、その結果として光
学定数、n,kに差を生ずる物質、例えばアモルファス−
結晶の相変態を生じやすい材料の中でそのいずれの状態
においても消衰係数が十分大きく、特にアモルファス状
態において消衰係数kが2よりも大きい可逆性記録材料
を適用する。具体的には例えばTe,Ge,Auを主成分とし、
例えば必要に応じてO,Sn,In,Bi,Pb,Sb等の添加物を加え
て成る記録薄膜を適用する。
更に記録層の厚さを50〜300Åとするとともに、記録層
の両側に少くとも誘電体層を設け、それらの厚みの関係
を、記録再生及び消去に用いるレーザー光線の波長にお
いて記録前後の反射率変化及び吸収率が最大となるよう
設定する。
作用 記録層の消衰係数がアモルファス状態においても十分に
大きく、その結果として、50Å〜300Åといった非常に
薄い記録層を形成した場合においても十分に高い吸収率
が得られる。従って記録層そのものにおける光エネルギ
ーの熱変換効率が上昇する。
実 施 例 以下、図面を参照しつつ本発明を説明する。
第1図は本発明の可逆的光学情報記録媒体の基本構成を
示す断面図である。
本発明の光学情報記録媒体は光学的に平滑な表面1を有
する基材2,基材の表面を覆う誘電体層3,誘電体層の表面
を覆う光吸収性の記録層4,記録層の表面を覆う誘電体層
5,誘電体層の表面を覆う反射膜層6で形成される。誘電
体層5と反射層6とを一体化して、一層の誘電体層で置
き代えることも可能である。
基材2としては通常の光ディスクに用いるものであれば
よく、PMMA,ポリカーボネイト,塩化ビニール等の樹脂
基材あるいはガラス基材を円盤状に成形して用いる。
誘電体層3,5としては、熱的,化学的に比較的安定な材
料として例えばSiO,SiO2,GeO2,Al2O3,ZrO2,TiO2,ZnS,Zn
Se,SiC,Si3N4等を蒸着,スパッタリング等の方法で形成
する。前述のように、この誘電体層3,5は記録層4と直
接に接触することから、あまり熱伝達率が大きいと記録
層4からの熱の放射が大きくなりすぎ感度の低下を招
く。従って熱伝達率はなるべく小さい方が望ましいが後
述のように、記録,消去時におけるレーザー光線の照射
条件を工夫することで熱伝達率の比較的大きい誘電体層
3,5にも対応可能となる。また製造上の問題として形成
しやすいというのも重要である。つまり本発明の記録媒
体においては望ましい反射率や反射率変化を得るために
各層の屈折率,消衰係数と関連して各層の膜厚を選ぶ
が、この結果、記録層4の厚さに比べて誘電体層3,5の
厚さがはるかに厚くなる場合が多い。従って形成時に非
常に高温になる、あるいは長時間必要ということになる
と記録層4及び基材2への熱的損傷が大きく記録媒体の
構成が困難になる。発明者等の研究によれば上記物質群
中で、ZnSe,ZnS,SiC等が形成が容易でかつ熱的,化学的
にも安定であった。
記録層4には、レーザー光線の照射に応じてその光学定
数n,kに可逆的な差を生ずる材料、例えば光吸収の結
果、昇温し、急冷された場合の状態と徐冷された場合の
状態との間で屈折率n及び消衰係数kが変化する材料薄
膜の中でも、変化の前後で消衰係数が十分大きく、望ま
しくは2以上であるものを用いる。
一般に記録層4に入射した光は、その記録層4の消衰係
数kで定まる割合でその強度を減衰する。従って消衰係
数が十分大きければ例え記録層4の膜厚が薄くても、そ
の膜中を通過する間に十分な光吸収が得られる。逆にい
えば消衰係数が大きい物質においてはあまり厚くすると
光の減衰が大きく十分な光の干渉効果を得ることができ
ないため、むしろ積極的に薄い膜厚で利用すべきであ
る。前述のように、これまでに得られている材料組成に
おいて相変態の可逆性に優れ、かつ変態後のいずれの状
態もが熱的に安定とされているものの中にはこのような
特性をもったものは無い。本発明においては記録層4と
してTeをベースとし、Ge及びAuを主成分とする材料組成
を適用して上記条件を満足した。材料組成中Geは特にTe
の結合中に介在し、アモルファスネットワーク構造を強
化するものであり、AuはTeと一部置き代わって共晶を形
成しやすく、構造の可逆性を高める。発明者等はAuの添
加によってアモルファス状態においても飛躍的に消衰係
数が高まりその結果、例えば50Å〜300Å程度の極めて
薄い記録層4を構成しても十分な吸収効率が確保できる
ことを見出した。即ち、この材料組成を用いて従来例の
記録媒体を構成した場合において、記録状態,消去状態
のいずれの場合においても記録層4自体の内部で光が熱
に変換される効率が高まり、高い記録感度及び消去感度
が得られ、従来例の記録媒体構造が生かされるものであ
る。記録材料組成としては、添加物として、更にSn,Sb,
In,Bi,Pb等の半金属物質を添加して一部Au又はGeと置き
換えることも可能である。更に酸素の添加によって他の
特性、例えば耐熱性,耐湿性等を改良した組成をも適用
可能である。
反射層6は入射光線の吸収効率を高める目的で使用され
通常Au,Al等の反射係数の高い金属で形成される。この
層のもう一つの目的としては他の層の屈折率n,消衰係数
k,膜厚dと関連して本発明の光学情報記録媒体の設計範
囲を拡大することにある。例えば各種の膜厚を適当に選
んで反射率変化の方向を、記録時に増大するようにも減
少するようにも比較的自由に設定できるようになる。こ
の結果として例えば消去状態の反射率を低くするように
選んだ条件では次の記録時の光線が入射しやすく特に記
録感度が向上できる。又逆に記録状態の反射率を低くす
るように選んだ条件では次の消去時の光線が入射しやす
く特に消去感度が向上できる。いずれの方向を選ぶか
は、機器設計上の問題である。
次に、本発明の光学情報記録媒体の設計条件について説
明する。本発明の光学情報記録媒体の誘電体層3,5,記録
層4,反射層6の厚さの最適値は、例えば1965年トーバー
社発行のヘブンズの著書「固体薄膜の光学的性質」(OP
TICAL PROPERTIES OF THIN SOLID FILMS)第69頁記載の
マトリックス法を用いて予想することができる。ただ
し、実際に各種の物質を用いて記録媒体を形成する場合
には各層の界面での例えば相互拡散の影響等から必ずし
も計算通りとはいかず、実際に各層の厚さをパラメータ
ーにして記録媒体を形成し、実験的に最適点に定めるこ
とが必要となる。実際に実験的に測定を行なった結果に
ついては後述する。
次に本発明の光学情報記録媒体に情報信号を効率良く記
録し、消去する方法について説明する。
第2図は本発明の光学情報記録媒体に情報信号を記録消
去し評価するための光学系を簡単に示したものである。
半導体レーザー12を発した光は第1のレンズ13で平行光
とされた後、第2のレンズ系14で円いビームに整形さ
れ、ビームスプリッター15,λ/4板16を通して第3のレ
ンズ17で収束され記録媒体18上に照射される。反射光19
は、入射光と反対の経路をたどりビームスプリッター15
で曲げられ、第4のレンズ20で収束された光ディテクタ
ー21に入り記録状態の確認がおこなわれる。
又、第3図は記録前後の反射率変化の様子を示してい
る。記録層4は、レーザー照射,熱処理等の方法であら
かじめ結晶化されることによって光学定数の高い状態に
されている。この際、各層の厚さは記録層4が結晶状態
であるときに反射光9が最小になるように設計されてい
る。これを未記録状態又は消去状態8とするこの記録媒
体に基材2側から例えば1μmφ程度の微少スポットに
絞り込んだレーザー光線をごく短い時間(例べば数100n
sec)照射すると、照射された微少部分のみが急速に昇
温して瞬時溶融状態となるが、レーザー照射が終了する
と今度は熱拡散により急速に冷却され照射部はアモルフ
ァス状態となって記録ビット11が形成される。アモルフ
ァス状態の光学定数は結晶状態よりも小さいためこの照
射領域では周囲の結晶状態の部分よりも反射光10が多く
なり、反射光量差を生じる。この反射光量差を例えばフ
ォトダイオード等を用いて電気信号に変換して取り出
す。この信号ビットを消去する際の1つの方法は記録時
と同様に微少スポットに絞り込んだレーザ光線を今度は
記録時よりもやや光量を下げ、記録時よりもやや長目の
時間(例えば数μsec)照射する。その結果、照射部は
ややゆるやかに昇温し周囲への熱拡散と平衡した温度に
漸次保たれ結晶化が進行して元の状態へ復帰する。即
ち、消去が行なわれる。上記信号ビットを消去するもう
一つの方法は、やはり記録時と同様に微少スポットに絞
り込んだレーザー線を記録時と同様の光量でひとまず照
射して照射部を瞬時溶融状態にした後、直ちにレーザ光
線の光量を下げて照射し、照射部をゆっくりと冷却して
結晶化し、消去を行なうことができる。この2番目の方
法は、発明者等の発明に係る出願であるところの特願昭
59−86474号に記載の記録消去方法を全くそのまま応用
できるものであるが、本発明の光学情報記録媒体のよう
に記録層の熱が周囲に拡散しやすい構造においては極め
て効果的であり、1番目の方法に比べて短時間に消去を
完了することができる。
次に更に具体的な例をもって本発明を詳述する (実施例1) 第4図に示す構成のテストピースを多数用意した。基材
22としては厚さ1.2mmのPMMA樹脂、第1及び第2の誘電
体層23a,23bとしてはZnSe層、記録層24としては、Te,G
e,AuにSnを添加した系で、Te55Ge10Sn10Au25の組成のア
モルファス薄膜を用い、反射層25は無いもの(A)と、
Auを用いたもの(B)の両方を用意した。各層はそれぞ
れ2×10-6Torr以下の高真空槽内で電子ビーム蒸着法に
より形成した。記録層24は4元のソースからそれぞれの
蒸着レートを制御しながら同時蒸着して形成する。各層
の膜厚は、記録消去に用いるレーザー波長λ(〜8400
Å)と、各層の屈折率nとを基準に選ぶ。例えば第1の
ZnSe層の膜厚をλ/4n(〜840Å),5λ/16n(〜1050
Å),3λ/8n(〜1260Å)、記録層24の厚さは50,100,20
0,300,400Å、第2のZnSe層の膜厚をλ/4n(〜840Å),
3λ/8n(〜1050Å),λ/2n(〜1680Å)、Au層の厚さ
を〜250Åに選んで第3図の系を用いて記録層24がアモ
ルファス状態(n4.66,k2.32)の場合と結晶状態の
場合(n4.85,k4.25)の両方の場合の反射率を測定
した。第5図に第1のZnSe層の厚さをλ/4nとした場合
の結果を示す。図中(A)は反射層を特につけない場
合、(B)は反射層としてAuの層をつけた場合である。
各曲線のうち実線で示したものは、記録層24がアモルフ
ァス状態での媒体の反射率、破線で示したものは記録層
24が結晶状態での媒体の反射率を表わし、両線の差が反
射率変化の大きさを表わしている。又、曲線a,b,cは第
2のZnSe層の厚さをそれぞれλ/4n,3λ/8n,λ/2nとした
場合に相当する。この図から反射層25の有無にかかわら
ず、50Å〜500Åという非常に薄い記録層24を用いて記
録媒体として適正な反射率(即ちトラッキング,フォー
カッシング等のサーボのために10%前後の反射率が必
要)と、十分な反射率変化を持つ条件の存在が確認され
た。
第6図は、アモルファス状態の上記サンプルを2mWのレ
ーザ光で照射した記録開始に要するレーザー照射時間を
示す。図中(A)は反射層25をつけない場合、(B)は
反射層25をつけた場合である。a,b,cは上記条件に対応
している。第5図およびこの図から、照射前の反射率が
10%前後と低ければ1μsec以下の短パルス光に応答し
て結晶化が可能であることがわかる。又、同様照射後の
反射率が10%前後と低ければ次のアモルファス化のため
のレーザ照射効率が高く、記録感度が向上することがわ
かった。
第1のZnSe層の厚さを例えば5λ/16n,3λ/8n等に選ん
だ場合においてもn/4nの場合と同様、記録媒体に適する
条件がみつかった。第1表に具体的な条件例を示す。
(実施例2) 実施例1におけるZnSeを、ZnS,SiCに置き換えて同様の
実験を行なった。第7図〜第8図にその結果の一部を示
す。
第7図(A)は第1のZnS層の厚さをλ/4nとし、反射層
を設けない場合、(B)は第2のZnS層の厚さをλ/2nと
し反射層としてAuをつけた場合の結果を示す。各曲線の
うち実線で示したものは記録層がアモルファス状態での
媒体の反射率、破線で示したものは記録層が結晶状態で
の媒体の反射率を表わし、両線の差が反射率変化の大き
さに表わしている。(A)においてa,b,cは第2のZnS層
の厚さをそれぞれλ/4n,3λ/8n,λ/2nとした場合、
(B)においてd,e,fは第1のZnS層の厚さをそれぞれλ
/4n,5λ/16n,3λ/8nとした場合に相当する。
第8図(A)は第1のSiC層の厚さを5λ/16nとし、反
射層を設けない場合、(B)は第2のSiC層の厚さをλ/
2nとし反射層としてAuをつけた場合の結果を示す。a,b,
c,d,e,fの示す意味は実施例1と同様である。
これらの図からZnS,SiCを誘電体層に用いた場合にも、
反射層の有無に関わらず、50〜500Åという非常に薄い
記録層を用い、記録媒体として適正な反射率と、十分な
反射率変化を持つ条件が得られた。
第2表,第3表に具体的な条件例を示す。
(実施例3) 実施例1で説明した条件のうち、第1表の条件6を用い
て光ディスクを作成しそのダイナミックな特性を測定し
た。第9図にディスクの断面図を示す。
基材にはインジェクション法で作られたポリカーボネイ
ト樹脂基材26を用いた。厚さは1,2mmでその上面にはレ
ーザー光線のガイドのためには深さ約700Å,幅6500Å
のトラック27が設けられている。
まず、この上にZnSe層28を蒸着する。真空度は10-6Torr
(各層とも、この程度で十分である。)蒸着レートは10
Å/Sで約890Åの厚さにした。この上にTe,Ge,Auと、添
加物としてSnを用い、4つのソースから各ソースの蒸着
レートを制御しながらTe55Ge10Sn10Au25の記録層29を蒸
着した。蒸着レートは水晶振動子を用いてコントロール
し、トータルとして約10Å/Sで、約100Åの厚さにつけ
た。この上にZnSe層30を先程と同様にして890Åの厚さ
につけ、更に反射層31としてAuを10Å/Sの蒸着レートで
250Åつけた。最後に紫外線硬化樹脂層32を用いてポリ
カーボネイト樹脂製の保護基材33を貼り合わせ完成し
た。紫外線硬化樹脂層の厚さは約0.1mmで、保護基材の
厚さを1.1mmとし、上下対称とした。
この光ディスクに、特願昭59−86474号記載の方法を用
いて信号を記録,消去した。第10図にレーザスポットの
配置を示す。1本のトラック上には記録用のレーザスポ
ット38と、消去用のレーザスポット37がディスクの進行
方向39に対して消去用レーザスポットが先に照射される
ように配置する。又消去用レーザスポットは光パワー密
度が高い円いスポット(溶融用光スポット)35と、光パ
ワー密度が低い、ややトラック方向に長い楕円形のスポ
ット(アニール用光スポット)36の2つに分かれてお
り、溶融用光スポットが先にくるように配置されてい
る。消去用レーザスポットの波長は>80nmであり、溶融
用光スポットの大きさは半値で約0.9μmφ,アニール
用光スポットの大きさは半値で1μm×8μmであり両
者の間隔は中心部と中心部が10μm程度になるように調
整する。記録用レーザスポットの波長は830nmであり大
きさは半値で約0.9μmφ,アニール用光スポットとの
間隔は中心部と中心部が15μm程度になるように調整す
る。
光ディスクを1800RPMの回転速度で回しながらφ180の辺
りトラックに5MHzの信号を記録し、消去することを繰り
返し試みた。
記録時は、全部のスポットを用いる。溶融用スポットの
出力を6mW,アニール用スポットの出力を12mW,記録用ス
ポットの出力を6mWとし、消去用スポットで未処理トラ
ックを無変調で照射して反射率を低い状態とし、直ちに
記録用スポットを変調して照射して、照射部のみを反射
率の高い状態とする。即ち、未処理の状態から1回転の
間に記録を完了した。記録信号のC/NをHP社のスペクト
ルアナナイザーで測定し54dBを得た。消去する場合は、
消去スポットのみを1回転の間無変調で照射し、消去後
の記録信号は、記録時のCレベルから−56dBに下がって
いることを確認できた。その後、1000回の繰り返しを行
なったがC/Nは54dBと変わらないことが確かめられた。
(実施例4) 実施例3と同様に第1表の条件13の光ディスクを作成
し、その特性を測定したところ、C/N52dB,くり返し1000
回に対して信号品質に劣化が認められないことが確認で
きた。
発明の効果 以上、述べたように、本発明によって従来の光記録媒体
より、大幅に記録感度が高く、かつ消去速度が速く、さ
らに繰り返しても特性が劣化しない可逆性光学情報記録
媒体が提供された。
この効果に基づき、例えば画像処理用のコンピューター
用ファイルメモリー等への応用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光学情報記録媒体の基本構成を示す断
面図、第2図は本発明の光学情報記録媒体にレーザー光
線を照射する光学系の基本構成の断面図、第3図は記録
後の記録媒体の反射率変化を表わす断面図、第4図は本
発明の光学情報記録媒体の設計に用いたテストサンプル
の断面図、第5図は本発明の光学情報記録媒体の一実施
例において、記録層の厚さと、誘電体層の厚さを変えた
時の反射率変化の大きさを表わしたグラフ、第6図は本
発明の光学情報記録媒体の一実施例において、記録層と
誘電体層の厚さを変えた時の記録開始に要するレーザー
照射時間の変化を表わしたグラフ、第7図及び第8図は
本発明の光学情報記録媒体のそれぞれ別の実施例におい
て、記録層の厚さと誘電体層の厚さを変えた時の反射率
変化の大きさを表わしたグラフ、第9図は本発明の光学
情報記録媒体の動特性を測定する光ディスクの断面図、
第10図は本発明の光学情報記録媒体に記録,消去を行な
うための光スポットの構成を示す図である。 2……基材、3,5……誘電体層、4……記録層、6……
反射層。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、第1の誘電体層、光吸収性の記
    録層、第2の誘電体層を積層して構成された記録媒体に
    おいて、上記記録層が、光照射により昇温して急冷する
    場合と徐冷する場合とにおいてその屈折率n及び消衰係
    数kに可逆的な差を生じ、かつその変化後といずれの状
    態においても上記消衰係数kが2よりも大なる特性を有
    する物質としてTeを主成分としGe又はAuの少なくとも何
    れか一方を添加した厚さ50〜300Åの膜厚で構成される
    とともに、上記各層の膜厚が上記記録層の膜厚に応じて
    記録再生及び消去に用いるレーザ光線の波長において記
    録前後の反射率変化及び吸収率が最大となるように選ば
    れてなることを特徴とする可逆的光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】記録層が、Te,Ge,Auを主成分とする系に、
    Sn,Sb,In,Bi,Pbの物質群から選ばれる少なくとも1種を
    添加した系で構成されていることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の可逆的光学情報記録媒体。
  3. 【請求項3】誘電体層が、熱伝達率の小さい物質として
    ZnSe,ZnSの中から1種以上選ばれる物質を用いて構成さ
    れていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    可逆的光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】誘電体層が、熱伝達率の高い物質としてSi
    Cを用いて構成されていることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の可逆的光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】基材上に、第1の誘電体層、光吸収性の記
    録層、第2の誘電体層を積層して構成され、上記記録層
    が、光照射により昇温して急冷する場合と徐冷する場合
    とにおいてその屈折率n及び消衰係数kに可逆的な差を
    生じ、かつその変化後のいずれの状態においても上記消
    衰係数kが2よりも大なる特性を有する厚さ50〜300Å
    の薄膜で構成されるとともに、上記各層の膜厚が上記記
    録層の膜厚に応じて記録再生及び消去に用いるレーザー
    光線の波長において記録前後の反射率変化及び吸収率が
    最大となるように選ばれて構成された可逆的光学情報記
    録媒体に光照射して記録再生を行なう際に、記録時は光
    照射パワーを高めて照射部を溶融させた後急冷し、消去
    時は光照射パワーを高めて照射部を溶融させた後直ちに
    光照射パワーを低くして照射を行ない徐冷する方法を適
    用することを特徴とする可逆的光学情報記録媒体への記
    録再生方法。
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