JP2782910B2 - 光学的情報記録方法、再生方法及び消去方法 - Google Patents

光学的情報記録方法、再生方法及び消去方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、光・熱等を用いて高速かつ高密度に情報を
光学的情報記録媒体に記録する方法に関するものであ
る。
従来の技術 レーザー光をレンズ系によって収束させると、直径が
その光の波長のオーダーの小さな光スポットを作ること
ができる。従って、小さい出力の光源からでも単位面積
当たりのエネルギー密度の高い光スポットを作ることが
可能である。このため物質の微少な領域を変化させるこ
とが可能であり、またその微少領域の変化を読み出すこ
とも可能である。これを情報の記録・再生に利用したも
のが光学的情報記録媒体である。以下、「光記録媒体」
あるいは単に「媒体」と記述する。
光記録媒体の基本的な構造は、表面が平坦な基材上に
レーザースポット光の照射によって何らかの状態が変化
する記録薄膜層を設けたものである。信号の記録・再生
は以下のような方法を用いる。すなわち、平板状の媒体
を例えばモーター等による回転手段や並進手段により移
動させ、この媒体の記録薄膜面上にレーザー光を収束し
照射する。記録薄膜はレーザー光を吸収し昇温する。レ
ーザー光の出力をある閾値以上に大きくすると、記録薄
膜の状態が変化して情報が記録される。この閾値は、記
録薄膜自体の特性の他に基材の熱的な特性・媒体の光ス
ポットに対する相対速度等に依存する量である。記録さ
れた情報は、記録部に前記閾値よりも十分低い出力のレ
ーザー光スポットを照射し、その透過光強度、反射光強
度あるいはそれらの偏光方向何らかの光学的特性が記録
部と未記録部とで異なることを検出して再生する。
従って、小さいレーザーパワーで状態が変化し、大き
な光学的変化を示す材料及び構造が望まれる。
記録薄膜としてはBi、Teあるいはこれらを主成分とす
る金属薄膜、Teを含む化合物薄膜が知られている。これ
らはレーザー光照射により薄膜が溶融あるいは蒸発し小
孔を形成するいわゆる穴開け型の記録を行い、この記録
部及びその周辺部からの反射光あるいは透過光の位相が
異なるため干渉で打ち消す、または回折されて検出系に
至る反射光量あるいは透過光量変化の何れかを検出して
再生を行う。
また、他に相変化型と呼ばれる形状の変化を伴わず
に、記録薄膜材料の結晶構造の変化により光学的な変化
をする記録媒体がある。材料としてはアモルファスカル
コゲン化物薄膜、テルル及び酸化テルルからなるTe−Te
O2を主成分とする酸化物系薄膜がある(特公昭54−3725
号公報)。また、Te−TeO2−Pdを主成分とする薄膜も知
られている(特開昭61−68296号公報)。これはレーザ
ー光照射により薄膜の消衰係数あるいは屈折率のうち少
なくともいずれか1つが変化して記録を行い、この部分
で透過光あるいは反射光の振幅が変化し、その結果検出
系に至る透過光量あるいは反射光量が変化することを検
出して信号を再生する。
相変化型の媒体は形状の変化を伴わないため可逆的な
状態変化が可能であれば、記録した信号を消去・書き換
えが可能である。このように可逆的に相変化が可能な材
料としてGe−Te−Sb−S系材料(特公昭47−26897号公
報)、TE−お−Ge−Sb系材料(特開昭59−185048号公
報)、Te−O−Ge−Sb−Au系材料(特開昭61−2594号公
報)、Ge−Sb−Te系材料(特開昭62−209742号公報)な
どが知られている。これらはいずれも可逆的に変化する
2つの状態としてアモルファス状態(あるいはガラス状
態、無定形状態)と結晶状態とが安定に存在する。
一般的には記録・消去は次のような方法で実現する。
すなわち、アモルファス化は、レーザー光照射により薄
膜を加熱昇温して溶融し、レーザー光照射終了時に冷却
される課程において急冷されたアモルファス状態となる
ことにより実現する。結晶化は、同様にレーザー光照射
による加熱により薄膜を融点以下で結晶化に十分な温度
に昇温し実現する。また、融点以上に昇温した場合で
も、冷却時に十分な急冷条件が得られず除冷された場合
にも結晶化が実現する。
アモルファス状態と結晶状態との何れをそれぞれ情報
の記録状態と消去状態として使用するか、逆に何れをそ
れぞれ消去状態と記録状態として使用するかは任意であ
るが、アモルファス状態を記録状態として使用するのが
一般的であるので、以下では代表としてそのような対応
で説明する。
一般的に光ディスクにはレーザー光により記録及び再
生を行うため、光学的な特性が要求される。使用するレ
ーザー光の波長においてレーザー光の吸収が大きいこ
と、記録状態と消去状態(未記録状態)の間の光学的な
状態差すなわち変化量が大きいことが必要である。
書き換え型相変化記録媒体は上述のように記録薄膜を
融点以上に昇温するため、記録消去時に記録薄膜及び基
材の変形・破壊を防ぐために、第2図のように記録薄膜
を無機誘導体等からなる透明な層で挟んで保護すること
が一般的である。誘電体等の保護層(以下、透明層と記
述する)にはこの保護の機能の他に、前記の光学的な特
性を制御する機能や、薄膜の昇温冷却条件を制御する機
能も併せて持たせることも行われている。前者では透明
層の光学定数(屈折率)と厚さとが、後者では熱定数
(非熱、熱伝導率、密度)と厚さとが、それぞれパラメ
ータとなって特性を左右する。従って、透明層はこれら
全ての特性をその目的に応じて最適化されるように選ぶ
必要がある。
さらに、透明層で挟むだけでは十分な光学的特性が得
られない場合には、第3図のように透明層の上に金属等
の反射層を設けて光学的特性を向上することも提案され
ている。
また、第2図あるいは第3図に示すように、基材上に
透明層・記録薄膜層・反射層からなる薄膜構造の全体的
な機械的保護のため、保護材を設けることも任意であ
る。この保護材は例えば樹脂板を接着剤で貼り付ける、
あるいは溶剤に溶かして樹脂をスピンコート法により塗
布した後乾燥することにより形成することができる。
発明が解決しようとする課題 相変化型の光記録媒体は、前述のようにアモルファス
化のためには記録薄膜材料を融点以上に加熱昇温して溶
融した後、急冷することにより得られる。
従って、媒体を構成する各層、なかでも記録薄膜層・
透明層は記録・消去のためのレーザー光照射時に高温に
なり、熱サイルによる劣化を生ずる。その結果、相対特
性の劣化、すなわち光学的変化量の減少、繰り返し性の
劣化、またはノイズ原因の増加などが発生する。
この劣化の原因は複数のメカニズムが介在していて、
完全に解明されているとは言えないが、考えられる主な
ものを次に示す。
一つは、レーザー光照射により昇温して記録薄膜が溶
融した際の温度分布により、記録薄膜材料の組成の偏析
・相分離が生じ、可逆的な相変化の特性が損なわれる現
象が挙げられる。
また、記録薄膜自身の熱膨張や蒸気圧の上昇による変
形・ピンホールの生成などの物理的な破壊現象もある。
さらに、透明層を構成する誘電体材料の熱的な劣化、
例えば結晶構造の変化による変形や光学定数の変化、記
録薄膜層の変形に追随しておきる変形等の物理的破壊な
どがある。
このような減少を抑える対策として、構成する材料組
成を選択することはもちろんであるが、媒体の構造面で
の対策も考えられる。
記録薄膜材料の偏析・相分離を抑えるためには、記録
薄膜の膜厚を薄くすることが有効である。記録薄膜の膜
厚が、レーザー光照射により溶融する面積を決定する照
射レーザー光の直径に比べて十分薄ければ偏析・相分離
は少ない。これは透明層の界面が物質の移動を抑える効
果があり、記録薄膜層の膜厚が薄ければ、記録薄膜材料
の溶融体積に占める界面の面積が大きくなるため、その
効果が大きくなるからと考えられる。また、記録薄膜層
の膜厚が薄いと、溶融部の冷却速度が高くなることや、
膜厚方向の温度勾配が小さくなることなどから、偏析・
相分離が抑えられることも考えられる。
しかしながら、記録薄膜の膜厚を薄くすると、光学的
な特性が十分得られないという課題がある。
第2図のように単一層の記録薄膜層を透明層で挟んだ
構成の場合、記録薄膜層の膜厚を薄くすると、レーザー
光の吸収量が減少し、感度が悪くなる。また、光学的な
変化量が得難くなり、再生信号が減少するという弊害が
ある。
また、第3図のように反射層を用いた構成では、記録
薄膜層の膜厚を薄くした際には、2つの透明層の膜厚を
選ぶことによってかなりの程度まで光学的な特性を維持
することは可能ではあるが、透明層の膜厚の裕度が低く
なり、高精度な膜厚制御を要し、製造コストが増大する
という課題がある。また、反射層を必要とすること自体
で反射層を積層するための製造工程が増加しコストが上
昇し、信頼性の面からも、異質の材料を積層させること
は問題が多い。さらに、この反射層を有する構成では、
反射層側からレーザー光を照射して記録再生はできない
という課題もある。
以上のように、記録薄膜材料の偏析・相分離を抑制す
るために記録薄膜層の膜厚を薄くした書き換え型相変化
記録媒体に適した記録方法、再生方法及び消去方法は提
案されてはいなく、このような課題を鑑み、本発明は薄
膜化記録薄膜層を備えた光学的情報記録相対に適した記
録方法、再生方法及び消去方法を提供することを目的と
する。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために、基材上に、レーザー光照
射によって光学的に検知し得る変化を生じる記録薄膜層
を複数層備え、前記記録薄膜層の各々は前記レーザー光
を少なくとも透過する透明層で挟持した光学適情報記録
媒体に所定の情報を記録する方法であって、前記レーザ
ー光を照射することにより、前記複数層の記録薄膜層そ
れぞれに同一の前記所定の情報をほぼ同一の大きさに同
時に記録する光学的情報記録方法を用いる。
作用 上記の構成を備えた記録方法を用いると、それぞれの
記録薄膜層の記録状態にある部分がほぼ同一の大きさに
同時に記録するため、単独では光学的な特性変化の検出
に劣る記録薄膜層を複数積層することで相補填し、再生
信号が検出できる光学的情報記録方法を提供できる。
また、本発明の記録方法によれば、それぞれの記録薄
膜層の膜厚が薄い光学的情報記録媒体が適用できるた
め、記録薄膜層の偏析・相分離を抑制することもでき
る。
実施例 つぎに、詳細な作用を具体的な実施例を用いて説明す
る。
記録媒体の構成としては、第1図に示すように、基材
1上に透明な誘電体等の透明層2、記録薄膜層3、第2
の透明な誘電体等の透明層4、第2の記録薄膜層5、第
3の透明な誘電体等の透明層6を順次設ける。さらに、
透明な保護材7をその上に密着して設ける。この他に図
には示さないが保護材7を施さない構成でもよい。この
場合は保護材7の代わりに空気(屈折率1.0)を考える
と光学的には同等であり、同じ効果が得られる。
これらの記録薄膜の厚さt2、t4、透明層の厚さt1、t3
およびt5を適当に選ぶことによって光学特性をコントロ
ールすることができる。
この場合、透明層2には基材1と屈折率の異なる材質
を用いることが望ましい。透明層2の屈折率が基材1の
屈折率と等しいと、光学的には基材1上に直接記録薄膜
層3を設けた場合と透過になり、透明層2は光学特性の
コントロールに寄与しなくなる。
基材1としてはガラス、樹脂等の透明で平滑な平板が
供される。また、基材1表面にトラッキングガイド用の
溝の凹凸があってもよい。
保護材7としては、樹脂を溶剤に溶かして塗布・乾燥
したものや、樹脂板を接着剤で接着したもの等が使え
る。
記録薄膜層3、5に適用できる記録薄膜材料としては
アモルファス・結晶間で相変化をする材料、例えばSbTe
系、InTe系、GeTeSn系、SbSe系、TeSeSb系、SnTeSe系、
Inse系、TeGeSnO系、TeGeSnAu系、TeGeSnSb系、TeGeSb
系等のカルコゲン化合物を用いる。また、結晶・結晶間
で相転移するAgZn系、InSb系等の金属化合物も適用でき
る。
透明層2、4、6としてはSiO2、SiO、TiO2、MgO、Ge
O2等の酸化物、Si3N4、BN、AlN等の窒化物、ZnS、ZnS
e、ZnTe、PbS等の硫化物等のカルコゲン化物あるいはこ
れらの混合物が使える。
これらの薄膜層を成膜する方法としては多元蒸着源を
用いた真空蒸着法やモザイク状の複合ターゲットを用い
たスパッタリング法その他が使える。
実施例1 記録薄膜として相変化材料であるGe2Sb2Te5の組成を
持つゲルマニウム、アンチモンおよびテルルの3元化合
物を用いる。形成法としてGe、Sb、Teの3つの蒸着源を
用いた電子ビーム蒸着源を用いる。記録薄膜はアモルフ
ァス状態で形成される。ガラス板上に上記Ge2Sb2Te5
けを蒸着したアモルファス状態の光学定数を測定したと
ころ、波長830nmにおいて複素屈折率n+kiが4.8+1.3i
であった。これを不活性雰囲気中で300℃5分間熱処理
して結晶状態にすると5.8+3.6iに変化する。
本発明の記録方法に供する光学的情報記録媒体の1態
様として第1図に示すように、基材1としてポリカーボ
ネート樹脂板(PC、屈折率1.58(波長830nmで。以下同
様))上に透明層2として硫化亜鉛(ZnS、屈折率2.2
0)をエレクトロンビーム蒸着法で厚さt1蒸着し、その
上に記録薄膜層3として前述のGe2Sb2Te5を実施例1と
同様の方法で厚さt2形成し、その上に透明層4としてZn
Sを厚さt3を同様に蒸着し、その上に記録薄膜層5とし
て同様にGe2Sb2Te5を厚さt4蒸着し、その上に透明層6
としてZnSを厚さt5蒸着する。さらに、保護材7として
基材1と同じ屈折率の材質の樹脂をコーティングする。
このような構成の場合の熱処理前後、すなわちアモル
ファス状態と結晶状態とでの反射率(振幅反射率)をそ
れぞれRw、Rdとし、その差ΔR(=Rw−Rd)、それぞれ
の状態での記録薄膜層2の吸収率Aw2、Ad2、記録薄膜層
4の吸収率Aw4、Ad4を各層の膜厚t1、t2、t3、t4、t5を
変化させて計算した。
反射率および吸収の計算には各層の複素屈折率と膜厚
からマトリックス法で計算した(例えば、久保田広著
「波動光学」岩波書店、1971年 第3章参照)。また、
基材1と密着保護材7とは無限大の膜厚を持つものとし
て(基材−空気界面、密着保護材−空気界面の効果を無
視)、反射率Rは基材から入射した光の基材中に出射し
てくる比率として求めた。
その条件と計算結果とを第1表に示す。第1表には代
表的なものとして2つの記録薄膜層の厚さが等しい条件
(t2=t4)で5nm刻みで計算した結果の内、各記録薄膜
層の膜厚で最も反射率変化ΔRが大きい透明層厚t1、t
3、t4の組み合わせの計算結果を示してある。
第1表に示すように、膜厚t2、t4が15nm以上では2つ
の記録薄膜層の吸収が異なるが、10nm以下ではほぼ等し
いことが分かる。各記録薄膜層の吸収は多層構造全体の
多重反射の結果であるが、記録薄膜層、特にレーザー光
入射側の記録薄膜層の厚さが大きいと他の記録薄膜層に
到達するレーザー光量の絶対値が小さくなり、2つの記
録薄膜層の吸収を等しくすることが不可能になる。
前述の相変化記録薄膜に用いられる他の材料の場合で
もその光学定数から見て概ね15ないし20nm以下の膜厚で
あることが必要である。
この各記録薄膜層の吸収が異なると、記録に際して2
つの層の記録の状態及び大きさが異なり、各記録薄膜層
における記録の状態が異なれば反射率が異なり、記録の
大きさが異なれば当該記録を再生する際に再生信号の誤
差が生じ(すなわちノイズが増大)、共に所望の再生信
号が得られなくなる。したがって各記録薄膜層の吸収は
略々等しいことが望ましい。また、各記録薄膜層の吸収
を絡々等しい記録媒体を用いることで、各記録薄膜層そ
れぞれに同一の情報をほぼ同一の大きさの記録状態に同
時に記録できる。
さらに、各透明層の厚さが光学長でλ/32、この場合
は約12nm程度変化しても特性に大きな変化はなく、膜厚
の裕度が大きいことも計算の結果分かった。例えば記録
薄膜層の厚みt2=t4=5nmの時、透明層の厚みt1は165〜
189nm、t3は165〜189nm、t5は130〜165nmの範囲でも、
反射率変化ΔRは17%以上あり、記録薄膜層の厚みt2=
t4=10nmの時透明層の厚みt1は141〜165nm、t3は165〜1
89nm、t5は130〜153nmの範囲でも、反射率変化ΔRは22
%以上とれることが分かった。
これらの膜厚範囲のなかで、透明層2と透明層6の膜
厚t1とt5とが等しい組み合わせが可能である。その場合
は、記録薄膜層3と5との材質が等しく膜厚も等しいt2
=t4であり、透明層2、4、6の材質が等しくかつ基材
と保護材との屈折率が等しいため、全体の膜厚構成が膜
厚方向で対称となる。
この場合、前述のように記録薄膜層、透明層の厚さは
光学長で約λ/32の裕度があるため、それぞれの厚さは
その範囲内で略々等しければよい。
また、記録薄膜層の厚みが5nmと10nmとの場合におい
て透明層の最適値は大きく変わらないことから、記録薄
膜層の厚みの裕度もこの膜厚領域では大きく、記録薄膜
層の厚みt2、t4も略々等しければよい。
さらに、基材と保護材との光学的な厚さが等しけれ
ば、基材側から記録あるいは再生をしても、保護材側か
ら記録あるいは再生をしても同等な特性が得られる。
以上の結果から、各層の厚さを適当に選ぶことによっ
て、記録薄膜層が20nm以下の充分薄い場合でも、反射率
変化の大きい構成を備えた記録媒体が得られることが分
かる。この計算をもとに以下の実験を行った。
基材に予め幅0.6μm、深さ65nmの溝トラックを形成
した厚さ1.2mm直径200mmのPC樹脂円板を用い、これを真
空中で回転させながら上記の方法でZnS薄膜を177nm蒸着
し、その上に記録薄膜Ge2Sb2Te5を同様に5nmの膜厚でア
モルファス状態で形成し、その上にZnS薄膜を厚さ177nm
蒸着し、その上に記録薄膜Ge2Sb2Te5を同様に5nmの膜厚
でアモルファス状態で形成し、さらにZnS薄膜を厚さ153
nm蒸着した。また、同じ構成の多層薄膜を18×18mm厚さ
0.2mmのガラス基材上にも形成した。さらに、PC樹脂円
板上に成膜したものは、同じPC樹脂円板を紫外線硬化性
の接着剤で貼り付け密着した保護材を設け光記録媒体を
形成した。
ガラス基材上に形成したサンプルを、300℃で5分間
アルゴン雰囲気中で加熱し全面を結晶化し、結晶化前後
で基板側から反射率を測定したところ、熱処理前は8
%、熱処理後は26%で反射率変化ΔRは18%が得られ
た。
この媒体を回転させ、線速度10m/secで、波長830nmの
半導体レーザー光を、開口数0.5のレンズ系で絞って基
材側から記録薄膜上に公知の焦点制御手段で焦点を合わ
せ、溝トラックに公知のトラッキング制御手段でトラッ
キングしながら照射した。記録薄膜面上で8mWの出力で
連続的に照射したところ、照射部の記録薄膜が結晶化し
た。
さらに、同様に16mWの出力で単一周波数5MHzデューテ
ィー50%で変調した光を記録薄膜に照射し、記録薄膜を
部分的にアモルファス化させて記録を行い、1mWの連続
出力を照射してその反射光をフォトディテクターで検出
して再生を行ったところ、再生信号振幅が観測され、CN
比53dB(帯域分解能30kHz)が得られた。
さらに、レーザー光出力を8mWとし16mWの2つのレベ
ルの間で変調し、単一周波数5MHzと2MHz(ともにデュー
ティー50%)の2つの波長で交互に同一トラック上に照
射し、信号の重ね書きを行ったところ、104回記録後に
も再生信号のCN比50dBが得られ、良好な書換記録が行わ
れていることが確認された。
実施例2 基材に予め幅0.6μm、深さ65nmの溝トラックを形成
した厚さ1.2mm直径200mmのPC樹脂円板を用い、これを真
空中で回転させながら実施例1と同様の方法でZnS薄膜
を153nm蒸着し、その上に記録薄膜Ge2Sb2Te5を実施例1
と同様に10nmの膜厚でアモルファス状態で形成し、その
上にZnS薄膜を厚さ177nm蒸着し、その上に記録薄膜Ge2S
b2Te5を同様に10nmの膜厚でアモルファス状態で形成
し、さらにZnS薄膜を厚さ141nm蒸着した。また、同じ構
成の多層薄膜を18×18mm厚さ0.2mmのガラス基材上にも
形成した。さらに、PC樹脂円板上に成膜したものは、同
じPC樹脂円板を紫外線硬化性の接着剤で貼り付けて密着
した保護材を設け光記録媒体を形成した。
ガラス基材上に形成したサンプルを、300℃で5分間
アルゴン雰囲気中で加熱し全面を結晶化し、結晶化前後
で基板側からの反射率を測定したところ、熱処理前は18
%、熱処理後は42%で、反射率変化ΔRは24%が得られ
た。
この媒体を回転させ、線速度10m/secで、波長830nmの
半導体レーザ光を、開口数0.5のレンズ系で絞って実施
例1と同様に基材側から照射した。記録薄膜面上で7mW
の出力で連続的に照射したところ、照射部の記録薄膜が
結晶化した。
さらに、同様に15mWの出力で単一周波数5MHzデューテ
ィー50%で変調した光を記録薄膜に照射し、記録薄膜を
部分的にアモルファス化させて記録を行い、1mWの連続
出力を照射してその反射光をフォトディテクターで検出
して再生を行ったところ、再生信号振幅が観測され、CN
比56dBが得られた。
さらに、レーザー光出力を7mWと15mWの2つのレベル
の間で変調し、単一周波数5MHzと2MHz(ともにデューテ
ィー50%)の2つの波長で交互に同一トラック上に照射
し、信号の重ね書きを行ったところ、105回記録後にも
再生信号のCN比51dBが得られ、良好な書換記録が行われ
ていることが確認された。
実施例3 基材に予め幅0.6μm、深さ65nmの溝トラックを形成
した厚さ1.2mm直径200mmのPC樹脂円板を用い、これを真
空中で回転させながら実施例1及び2と同様の方法でZn
S薄膜を153nm蒸着し、その上に記録薄膜としてGe2Sb2Te
5を実施例1及び2と同様に10nmの膜厚でアモルファス
状態で形成し、その上にZnS薄膜を厚さ165nm蒸着し、そ
の上に記録薄膜としてGe2Sb2Te5を同様に10nmの膜厚で
アモルファス状態で形成し、さらにZnS薄膜を厚さ153nm
蒸着した。また、同じ構成の多層薄膜を18×18mm厚さ0.
2mmのガラス基材上にも形成した。さらに、PC樹脂円板
上に成膜したものは、同じPC樹脂円板を紫外線硬化性の
接着剤で貼り付けて密着した保護材を、保護材の膜厚が
1.2mmになるように設け光記録媒体を形成した。
ガラス基材上に形成したサンプルを、300℃で5分間
アルゴン雰囲気中で加熱し全面を結晶化し、結晶化前後
で基板側からの反射率を測定したところ、熱処理前は16
%、熱処理後は39%で、反射率変化ΔRは23%が得られ
た。
この媒体を回転させ、線速度10m/secで、波長830nmの
半導体レーザー光を、開口数0.5のレンズ系で絞って実
施例1及び2と同様に基材側から照射した。記録打薄膜
面上で6.5mWの出力で連続的に照射したところ、照射部
材の記録薄膜が結晶化した。
さらに、同様に15mWの出力で単一周波数5MHzデューテ
ィー50%で変調した光を記録薄膜に照射し、記録薄膜を
部分的にアモルファス化させて記録を行い、1mWの連続
出力を照射してその反射光をフォトディテクターで検出
して再生を行ったところ、再生信号振幅が観測され、CN
比55dBが得られた。
また、同様に保護材側から記録・再生を行ったとこ
ろ、同等の特性を得ることができた。
なお、上記実施例で適用した記録媒体の記録薄膜層は
2層であるが、本発明の記録方法は記録媒体の層数に依
存せず有効である。すなわち、本発明は複数の記録薄膜
層に同一の情報をそれぞれほぼ同一の大きさで同時に記
録することで、反射率変化が高い充分な再生信号が得ら
れる記録ができると同時に、記録薄膜層の偏析・相分離
を抑制できるため、繰り返し特性が向上できる。また、
上記記録方法を用いて記録した情報を、それぞれの記録
薄膜層を同時に再生または消去することで、複数の記録
薄膜層の情報を忠実に再生、または確実に消去できる。
発明の効果 本発明によれば、複数層積層した記録薄膜層のそれぞ
れに同一情報をほぼ同一の大きさに同時に記録・再生・
消去するため、膜厚が薄い記録薄膜層を備えた記録媒体
に対しても、繰り返し記録を行っても劣化しにくく、か
つ光学的な特性の良好な書き換え可能な相変化型記録媒
体の記録・再生・消去法方が提供できる。
また、本発明の方法に供される記録相対は、各層の膜
厚値の裕度が大きく、製造が容易で、低コストな光記録
媒体である。
また、金属反射層を備えない媒体構成の記録・再生・
消去法方であるため、信頼性が高く、製造工程が簡単
で、低コストの光記録媒体が適用できる。
さらに、記録薄膜層に対して基材側と保護材側のどち
ら側からも同等な光学的特性を有する媒体が適用できる
ため、どちら側からでも書き換え可能な相変化記録・再
生・消去ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法に適用できる記録媒体の1実施態
様を示す断面模式図、第2図および第3図は比較のため
の記録媒体の従来例の構成を示す断面模式図である。 1……基材、 2、4、6……透明層、 3、5……記録薄膜層、 7……反射層、 8……保護材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−44692(JP,A) 特開 昭61−66696(JP,A) 特開 昭62−102438(JP,A) 特開 昭63−83932(JP,A) 特開 昭61−148645(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/24 G11B 7/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、レーザー光照射によって光学的
    に検知し得る変化を生じる記録薄膜層を複数層備え、前
    記記録薄膜層の各々は前記レーザー光を少なくとも透過
    する透明層で挟持され、必要に応じて最上層に形成され
    た前記透明層の上に接して設けた保護材を含む光学的情
    報記録媒体に所定の情報を記録する方法であって、前記
    光学的情報媒体の一方の面から前記レーザー光を照射す
    ることにより、前記複数層の記録薄膜層それぞれに同一
    の前記所定の情報をほぼ同一の大きさに同時に記録する
    ことを特徴とする光学的情報記録方法。
  2. 【請求項2】記録薄膜層の厚さがそれぞれ20nm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光学的情報記録方
    法。
  3. 【請求項3】各々の記録薄膜層が同一の材質からなると
    共に、前記各々の記録薄膜層の厚みが略々等しく、かつ
    各々の透明層が同一の材質からなると共に、基材と前記
    基材に最近接している記録薄膜層との間の透明層の光学
    的厚さと、前記基材に対し最遠の記録薄膜層と保護材と
    の間の透明層の光学的厚さが略々等しいことを特徴とす
    る請求項1記載の光学的情報記録方法。
  4. 【請求項4】保護材の光学的な厚さが基材の光学的な厚
    さと略々等しいことを特徴とする請求項1または3記載
    の光学的情報記録方法。
  5. 【請求項5】複数の記録薄膜層のそれぞれの膜厚が,照
    射するレーザー光の直径に比べて十分小さいことを特徴
    とする請求項1記載の光学的情報記録方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜6何れかに記載の光学的情報記
    録方法を用いて記録した複数層の記録薄膜層に記録され
    た所定の情報を、光学的情報媒体の一方の面から前記複
    数層の記録薄膜層それぞれにレーザー光を照射すること
    により同時に再生することを特徴とする光学的情報再生
    方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6何れかに記載の光学的情報記
    録方法を用いて記録した複数層の記録薄膜層に記録され
    た所定の情報を、光学的情報媒体の一方の面から前記複
    数層の記録薄膜層それぞれにレーザー光を照射すること
    により同時に消去することを特徴とする光学的情報消去
    方法。
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