JPH07134838A - 光学的情報記録媒体および記録方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体および記録方法

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JPH07134838A
JPH07134838A JP5282651A JP28265193A JPH07134838A JP H07134838 A JPH07134838 A JP H07134838A JP 5282651 A JP5282651 A JP 5282651A JP 28265193 A JP28265193 A JP 28265193A JP H07134838 A JPH07134838 A JP H07134838A
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recording
groove
layer
land
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JP5282651A
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English (en)
Inventor
Eiji Ono
鋭二 大野
Kenichi Nishiuchi
健一 西内
Yoshitaka Sakagami
嘉孝 坂上
Kenichi Osada
憲一 長田
Nobuo Akahira
信夫 赤平
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光,熱等を用いて高速かつ高密度に情報を記
録再生する光ディスクに関するもので、特にグルーブと
ランドの双方に信号を記録した場合の両者における記録
特性差を低減し、装置構成を複雑にすることなく記録密
度を向上(従来の約2倍)する。 【構成】 基板1上に、第1の誘電体層2,記録層3,
第2の誘電体層4,反射層5の順に積層した所定周波数
の再生レーザー光線を用いる再生装置に使用する光学的
情報記録媒体であって、前記基板1は信号記録用のグル
ーブ7およびランド8を備えてなり、かつグルーブの幅
とランドの幅が略同一で、さらに前記グルーブの深さD
が、 λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) (ただし、λは再生光の波長、nは基板の屈折率)を満た
し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する場合に、反
射層と第2の誘電体層の膜厚を限定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光,熱等を用いて高速
かつ高密度に情報を記録再生する光学的情報記録媒体
(特に光ディスク)および記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光をレンズ系によって収束させ
ると、直径がその光の波長のオーダーの小さな光スポッ
トを作ることができる。そのために小さい出力の光源か
らでも単位面積あたりのエネルギー密度の高い光スポッ
トを作ることが可能である。したがって、物質の微少な
領域を変化させることが可能であり、またその微少領域
の変化を読み出すことも可能である。これを情報の記録
・再生に利用したものが光学的情報記録媒体である(以
下、「光記録媒体」あるいは単に「媒体」と記述す
る)。
【0003】光記録媒体の一つに、レーザー光照射によ
って記録膜材料の状態を変化させ光学定数を変化させ
て、それに伴う反射率の変化を検出して信号を記録再生
する、いわゆる相変化記録媒体がある。相変化記録媒体
は、記録膜を変形させることなく信号が記録でき、また
記録膜材料の状態を可逆的に変化させることにより信号
の書き換えも可能であるため、近年、勢力的に研究が進
められている。相変化記録材料としては、カルコゲン合
金がよく知られており、例えばGeSbTe系,InSbTe
系,GeSnTe系,InSe系,SbTe系等がある。これ
らの材料は比較的強いパワーのレーザー照射によって溶
融後冷却することでアモルファス状態になり、比較的弱
いパワーのレーザー照射によって、アモルファス領域は
結晶化温度以上に達して結晶状態となる。アモルファス
状態と結晶状態では光学定数が異なるため、レーザー照
射による反射光量変化として記録信号を再生できる。
【0004】一方、高密度記録を目指した開発も進めら
れており、例えば光ディスクの信号記録用の案内溝上の
みならず、案内溝(以下、グルーブという)と案内溝の間
(以下、ランドという)にも信号を記録して記録密度を高
める方法が提案されている(特公昭63−57859号公報)。
さらに、この場合、溝深さ,溝幅等の溝形状を限定すれ
ば隣接トラック(信号はグルーブ,ランドの双方に記録
するため、両者ともに記録トラックである。以下、単に
トラックとも記す)からのクロストークを非常に小さく
できる(特願平4−79483号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】基板上に、第1の誘電
体層,記録層,第2の誘電体層,反射層の順に積層した
光ディスクにおいては、グルーブに記録する場合とラン
ドに記録する場合において、記録特性が異なる場合があ
ることがわかった。これは信号記録時における記録層か
らの放熱条件がグルーブとランドでは異なるためと考え
られる。すなわち、一方はレーザー光の入射側に凸、他
方はレーザー光の入射側に凹となっているため、記録層
から反射層への放熱が、特にそのエッジ部分において異
なることに因るものと考えられる。
【0006】本発明は上記の記録特性を改善するもの
で、グルーブとランドの双方に信号を記録した場合の両
者の記録特性差を低減し、装置構成を複雑にすることな
く記録密度を向上させる光学的情報記録媒体および記録
方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、基板上に、第1の誘電体層,記録層,第2
の誘電体層,反射層の順に積層した所定周波数の再生レ
ーザー光線を用いる再生装置に使用する光学的情報記録
媒体であって、前記基板は信号記録用のグルーブおよび
ランドを備えてなり、かつグルーブの幅とランドの幅が
略同一で、さらに前記グルーブの深さDが(数1)を満た
し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する場合に、反
射層と第2の誘電体層の膜厚を限定するものである。
【0008】
【数1】λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) λ:再生光の波長、 n:基板の屈折率
【0009】
【作用】上記のように、特に反射層と第2の誘電体層の
膜厚を限定することにより、ランドおよびグルーブから
の放熱条件を制御でき、ランドとグルーブの記録特性を
ほぼ等しくできる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の光学的情報記録媒体および記
録再生方法について、図面を参照しつつ詳細に説明す
る。光ディスクの高密度化のために様々な提案がなされ
ているが、その一つに上述のグルーブとランドの両方に
信号を記録する方法がある。さらに、この場合、溝深
さ,溝幅等の溝形状を限定すれば隣接トラックからのク
ロストークを非常に小さくできる。特願平4−78483号
において、クロストーク量を−20dB以下にするために
は、溝深さDを、λ/(7n)≦D≦5λ/(14n)(ただ
し、λは再生光の波長、nは基板の屈折率)を満たすよ
うに設定すればよく、さらに、略λ/(5n)または略3
λ/(10n)にすればクロストークは極小になることが示
されている。
【0011】さらに、ランドとグルーブの幅をほぼ同じ
に保ちながら溝深さを種々変えて基板上にアモルファス
相と結晶相の間で可逆的に状態変化を起こす相変化媒体
を作製して、記録再生特性について検討を重ねた結果、
ランドとグルーブにおいて記録特性が異なる場合がある
ことがわかった。つまり、媒体の構造によってはランド
とグルーブで最適な記録パワーの範囲が異なり、したが
ってランドとグルーブで記録パワーを変える必要がある
場合があることが明らかになった。ランドとグルーブで
記録パワーを変化させることは記録再生装置を複雑にす
るものであり好ましくない。そこでランドとグルーブで
記録特性の差が生じる要因について種々検討した結果、
これは媒体構造に大きく依存し、媒体構造を限定するこ
とで差を小さくできることがわかった。
【0012】図1に本発明の一実施例における光ディス
クの断面図を示す。図1において、1は基板であり、そ
の表面には信号記録用トラックとしてグルーブ7および
ランド8が設けてある。なお、本明細書におけるランド
とグルーブの区別は、レーザー光投入側に対して凸にな
っている方をグルーブ、反対側に凸になっている方をラ
ンドと定義する。本発明はランドとグルーブの両方に信
号を記録する光ディスクに関するものであり、したがっ
てランドとグルーブからの再生信号振幅が同じになるよ
うにランドの幅Wlとグルーブの幅Wgは略同一にするの
が望ましい。基板の材質としては一般的に、透明なガラ
ス,石英,ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレー
ト等が用いられる。基板上には第1の誘電体層2,記録
層3,第2の誘電体層4,反射層5の順に積層されてい
る。さらに必要に応じて薄膜層を保護するために保護カ
バー9を設けてもよい。
【0013】記録層3はレーザー光等の照射によって光
学的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する材料から
なり、例えば相変化物質として一般的に知られているも
のが使用できる。相変化物質はアモルファスと結晶間、
あるいは結晶とさらに異なる結晶間で状態変化を起こす
Te,Se,Sb,In,Ge等の合金であり、これらの合
金はアモルファス状態と結晶状態では光学定数が変化し
反射率が異なるために、レーザー光等の照射により、そ
の状態が光学的に識別できる。具体的にはGeSbTe,
InSbTe,InSbTeAg,GaSb,InGaSb,GeSn
Te,AgSbTe等の合金である。また、第1の誘電体層
2および第2の誘電体層4は透明で、かつ熱的に安定な
物質がよく、例えば、半金属の酸化物,窒化物,カルコ
ゲン化物,フッ化物,炭化物等およびこれらの混合物で
あり、具体的にはSiO2,SiO,Al23,GeO2,I
n23,Ta25,TeO2,TiO2,MoO3,WO3,Zr
2,Si34,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,C
dSe,ZnSe,ZnTe,AgF,PbF2,MnF2,NiF
2,SiCの単体あるいはこれらの混合物等である。さら
に、反射層5は金属膜で構成され、材料としては例えば
Au,Al,Ti,Ni,Cu,Cr等の単体、あるいはこれ
らの合金を用いることができる。
【0014】本発明の特徴は、グルーブの深さD(ラン
ドの深さに等しい)をλ/(7n)≦D≦5λ/(14n)(た
だし、λは再生光の波長、nは基板の屈折率)に限定
し、かつ第2の誘電体層と反射層の膜厚を限定したこと
にある。グルーブの深さDを限定することでランドとグ
ルーブの両者に信号を記録したときのクロストークを低
減でき、かつ第2の誘電体層と反射層の膜厚を限定する
ことでランドとグルーブの両者に記録した場合に生じた
新たな課題であるランドとグルーブの記録特性の差を解
消することができる。
【0015】ここで、図2を用いてランドとグルーブで
記録特性の差が生じる原因について説明する。相変化光
ディスクの場合、信号を記録する場合はレーザー光を信
号に応じて強度変調して照射し、レーザーのエネルギー
の大半を記録層12で吸収させ、記録層を昇温し溶融し
て、その後、急冷することでアモルファス状態で記録す
る。すなわち、記録層の昇温,冷却過程によって記録特
性は変化する。
【0016】図2においてグルーブ16に信号を記録する
場合を考える。レーザー光18で照射されたグルーブ16上
の記録層12は時間とともに昇温し、やがて融点を越え溶
融する。その後、レーザー光18の照射が終わると溶融さ
れた部分は冷却され、アモルファスとなる。このとき記
録層からの放熱は金属からなる反射層14の熱伝達率が記
録層に比べて非常に大きいために、記録層12の膜面に拡
散するよりも第2の誘電体13を介して反射層14へ熱流20
として拡散するものと考えられる。次に、ランド17に信
号を記録する場合は、記録再生装置のトラッキングの極
性を反転してレーザー光19のようにランド17上を照射す
る。ランドにおける信号の記録過程はグルーブと同じで
あるが、記録層12と反射層14の幾何学的関係がグルーブ
とは異なるために、その昇温・冷却条件も異なる。ラン
ド17はレーザー光18投入側に対して反対側に凸になって
いるため、ランド17の両端からの反射層14への熱拡散は
図2において上方向だでけでなく、熱流21のように斜め
上方へも行われる。すなわち、ランドではグルーブより
も熱拡散が起きやすいために、記録層が昇温しにくく、
また溶融後の冷却速度は大きいものと考えられる。この
記録層の昇温,冷却過程の差が光ディスクの記録特性の
差の原因と考えられる。
【0017】図3にランドとグルーブの記録特性に差が
ある場合の一例を示す。相変化光ディスクでは古い信号
を消去しながら新しい信号を記録する、いわゆるオーバ
ーライトが可能であり、その場合はレーザー光を記録信
号に応じて、記録ピークパワーとバイアスパワーの間で
変調しながら照射することで行う(例えば、JJAP,Vol.2
6(1987)Supplement 26−4,P61参照)。図3はランドと
グルーブにおけるオーバーライトのときの記録ピークパ
ワーと信号対雑音比(以下、CNRと記す)の関係を示
す。記録ピークパワーを高めていくことによってCNR
は上昇し、やがて飽和する傾向はランド,グルーブとも
に同じであるが、記録開始のパワーおよび飽和CNRの
−3dBに達する記録パワーPG,PLが異なっている。な
お、PG,PLより記録パワーが小さくなるとCNRが急
激に小さくなってしまう。つまり、実用的な記録ピーク
パワーはグルーブではPG以上、ランドではPL以上が好
ましい。図3からわかるように、この光ディスクではP
GとPLの値が異なるために、場合によってはランドとグ
ルーブで記録パワーを変えなければならいことになり、
これは記録再生装置を複雑にする原因となる。本発明は
このPGとPLを同じ大きさにすることを目的としてなさ
れたものである。
【0018】ここでグルーブよりランドの方が大きな記
録パワーが必要な理由は、前述したようにグルーブより
ランドの方が放熱効果が大きく、記録層が昇温しにくい
ためと考えられる。光ディスクにおける放熱条件は反射
層の材質とその膜厚および第2の誘電体層の膜厚によっ
て大きく左右されると考えられるため、記録特性とそれ
らの関係について詳しく調べた。その結果、反射層が熱
伝導率が大きいAu、もしくはAuを主成分とする合金の
場合には、反射層の膜厚a(nm)と第2の誘電体層の膜厚
b(nm)が(数2)を満たすとき、ランドとグルーブの記録
感度差は10%以下となることがわかった。
【0019】
【数2】5≦a<100のとき b≧0.15a+35 a≧100 のとき b≧50 同様に反射層がAuより小さいAl、もしくはAlを主成
分とする合金の場合には、反射層の膜厚a(nm)と第2の
誘電体層の膜厚b(nm)が(数3)を満たすとき、ランドと
グルーブの記録感度差は10%以下となることがわかっ
た。
【0020】
【数3】5≦a<150のとき b≧0.133a+30 a>150 のとき b≧50 また、前記反射層がNiとCrを主成分とする合金の場合
には、反射層の膜厚a(nm)と第2の誘電体層の膜厚b(n
m)が(数4)を満たすとき、ランドとグルーブの記録感度
差は10%以下となることがわかった。
【0021】
【数4】5≦a<200のとき b≧0.125a+25 a≧200 のとき b≧50 さらには、Au,Al,NiCr、あるいはその他の反射層
材質に関わらず第2の誘電体層の膜厚がグルーブの深さ
より大きくなった場合において、ランドとグルーブの記
録感度差は5%以下と非常に良好になることがわかっ
た。
【0022】次に、反射層の膜厚と第2の誘電体層の膜
厚を上記範囲に限定した具体的実施例について詳細に記
す。最初に反射層材料としてAuを用いた場合の実施例
(実施例1)について示す。光ディスクの構造は図1と同
じである。基板はポリカーボネイト製であり、その表面
に深さ約83nmのグルーブが設けてある。記録再生に使用
したレーザー波長はλ=780nmであり、またポリカーボ
ネイトの屈折率がn=1.58であるから、検討に用いた基
板のグルーブ深さは約λ/6nである。グルーブ幅およ
びランド幅はほぼ等しくそれぞれ0.8μmである。この基
板上に、ZnSとSiO2の混合物からなる第1の誘電体
層,GeSbTe3元合金の相変化材料からなる記録層,Z
nSとSiO2の混合物からなる第2の誘電体層,Au反射
層の順に積層し、さらに基板と同じポリカーボネイト製
の保護カバーを張り合わせて光ディスクを作製した。G
eSbTe3相変化材料はレーザー光の照射条件によってア
モルファスと結晶間で可逆的に状態変化を起こすもので
あり、したがって本光ディスクは書き換え可能型であ
る。光ディスクはレーザー光照射によって全面結晶化し
て初期化した。各層の膜厚は第1の誘電体層を130nm,
記録層を30nmとし、第2の誘電体層およびAu反射層の
膜厚を種々変化させた。
【0023】次に、この光ディスクを線速度(レーザー
スポットと光ディスクの相対速度)6m/sで回転させ、7
80nmの半導体レーザ光を開口数0.55のレンズで記録層上
に絞り込み信号の記録,再生を行った。最初にレーザー
スポットをグルーブ上にトラッキングさせ、信号の記録
は3MHzと2MHzを交互にオーバーライトして行った。そ
して、3MHzを記録したときの記録ピークパワー対CN
Rの関係を測定し、前述の飽和CNRの−3dBに達する
記録パワーPGを求めた。次にトラッキングの極性を切
り替えてレーザースポットをランド上にトラッキングさ
せ、同様のオーバーライトを行った。そしてランドにお
ける飽和CNRの−3dBに達する記録パワーPLを求め
た。
【0024】ここでランドとグルーブにおける記録感度
の差をPLのPGに対する比率で定義し、第2の誘電体層
およびAu反射層の膜厚との関係を詳細に調べた。結果
を図4に示す。図4において、領域1は記録感度差が10
%以上、領域2は記録感度差が5〜10%、領域3は記録
感度差が5%以下を示す。なお、反射層は5nmより薄く
するとレーザー光の透過率が高くなって反射層の役割を
果たさなくなり、第2の誘電体層も3nmより薄くすると
記録層と反射層の分離が不完全になってしまう。ランド
とグルーブにおける記録感度差は記録再生装置の設計上
からは小さい方がよく、その差が10%以下であればラン
ドとグルーブにおいて記録パワーを変えることなく設計
することが可能であり、特に5%以下が望ましい。図4
から反射層がAuの場合、記録感度差が10%以下となる
領域は、反射層の膜厚をa(nm)、第2の誘電体層の膜厚
をb(nm)とするとき、前述の(数2)で表されることがわ
かった。
【0025】以上のようなランドとグルーブにおいて、
その記録感度差が生じる原因は、媒体の放熱能が大きい
ほどその感度差が大きい点から、上述したランドとグル
ーブの放熱条件の差によるものと考えられるが、詳細は
不明である。また、第2の誘電体層の膜厚が約80〜85nm
を超えた場合、反射層厚に関わらず記録感度差が5%以
下の非常に良好な値になることがわかった。この膜厚は
基板のグルーブ深さと略同一である。原因は図2におい
て第2の誘電体層の膜厚がグルーブ深さよりも厚くなる
ことで、ランドの記録層の上面がグルーブの反射層の下
面よりも下になるため、ランドの両端からの反射層14へ
の熱流21のうちの斜め上方への成分が少なくなるためと
考えられる。なお、本実施例では反射層としてAuを用
いたが、Auを主成分とする合金でもよいことは言うま
でもない。
【0026】次に反射層材料としてAlを用いた場合の
実施例(実施例2)について示す。光ディスクの基板,構
造等は反射層材料以外はすべて実施例1と同じであり、
また光ディスクの評価装置,ランドとグルーブの記録感
度差の測定方法も実施例1と同じである。図5にランド
とグルーブにおける記録感度差と、第2の誘電体層およ
びAl反射層の膜厚との関係を示す。図5において、領
域1は記録感度差が10%以上、領域2は記録感度差が5
〜10%、領域3は記録感度差が5%以下を示す。図5か
ら反射層がAlの場合、記録感度差が10%以下となる領
域は、反射層の膜厚をa(nm)、第2の誘電体層の膜厚を
b(nm)とするとき、前述の(数3)で表されることがわか
った。また、反射層がAlの場合においても、Auの場合
と同様に第2の誘電体層の膜厚が約80〜85nmを超えた場
合、反射層厚に関わらず記録感度差が5%以下の非常に
良好な値になることがわかった。なお、本実施例では反
射層としてAlを用いたが、Alを主成分とする合金でも
よいことは言うまでもない。
【0027】次に反射層材料としてNiCr合金を用いた
場合の実施例(実施例3)について示す。光ディスクの基
板,構造等は反射層材料以外はすべて実施例1と同じで
あり、また光ディスクの評価装置,ランドとグルーブの
記録感度差の測定方法も実施例1と同じである。図6に
ランドとグルーブにおける記録感度差と、第2の誘電体
層およびNiCr反射層の膜厚との関係を示す。図6にお
いて、領域1は記録感度差が10%以上、領域2は記録感
度差が5〜10%、領域3は記録感度差が5%以下を示
す。図6から反射層がNiCrの場合、記録感度差が10%
以下となる領域は、反射層の膜厚をa(nm)、第2の誘電
体層の膜厚をb(nm)とするとき、前述の(数4)で表され
ることがわかった。また、反射層がNiCrの場合におい
ても、Auの場合と同様に第2の誘電体層の膜厚が約80
〜85nmを超えた場合、反射層厚に関わらず記録感度差が
5%以下の非常に良好な値になることがわかった。な
お、本実施例では反射層としてNiCrを用いたが、さら
に他の元素を小量添加した合金でもよいことは言うまで
もない。
【0028】さらに、記録層膜厚,第1の誘電体層の膜
厚,誘電体層の材質をそれぞれ変化させて記録感度を測
定したが、それぞれを変化させることによって記録感度
の絶対値は変化したものの、ランドとグルーブの記録感
度の比はほとんど変わらなかった。また、グルーブ深さ
が異なる基板を用いてランドとグルーブの記録感度差を
調べた。その結果、すべての場合において第2の誘電体
層の膜厚がグルーブ深さを超えたとき、反射層厚および
反射層材料に関わらず記録感度差が非常に小さくなるこ
とがわかった。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による光学
的情報記録媒体および記録再生方法によれば、ランドと
グルーブで記録パワーをほぼ等しくすることができる。
このため、ランドとグルーブで記録パワーを変える必要
がなく、記録再生装置をほとんど複雑にすることなしに
記録密度を従来の約2倍にできる記録媒体を提供するこ
とが可能になるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による記録媒体を説明するための断面図
である。
【図2】本発明の効果を説明するための断面図である。
【図3】記録媒体の記録ピークパワーとCNRの関係を
示す図である。
【図4】Au反射層の場合におけるランドとグルーブの
記録感度差と反射層厚および第2の誘電体厚との関係を
示す図である。
【図5】Al反射層の場合におけるランドとグルーブの
記録感度差と反射層厚および第2の誘電体厚との関係を
示す図である。
【図6】NiCr反射層の場合におけるランドとグルーブ
の記録感度差と反射層厚および第2の誘電体厚との関係
を示す図である。
【符号の説明】
1,10…基板、 2,11…第1の誘電体層、 3,12…
記録層、 4,13…第2の誘電体層、 5,14…反射
層、 6,18,19…レーザー光、 7,16…グルーブ、
8,17…ランド、 9,15…保護カバー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長田 憲一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 赤平 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、第1の誘電体層,記録層,第
    2の誘電体層,反射層の順に積層した所定周波数の再生
    レーザー光線を用いる記録再生装置に使用する光学的情
    報記録媒体であって、 前記基板は信号記録用のグルーブおよびランドを備えて
    なり、かつグルーブの幅とランドの幅が略同一で、さら
    に前記グルーブの深さDが、 λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) (ただし、λは再生光の波長,nは基板の屈折率)を満た
    し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
    的に識別が可能な状態間で可逆的に変化し、さらに、前
    記反射層がAu、もしくはAuを主成分とする合金からな
    り、前記反射層の膜厚a(nm)と前記第2の誘電体層の膜
    厚b(nm)が、 5≦a<100のとき b≧0.15a
    +35 a≧100 のとき b≧50 を満たすことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 基板上に、第1の誘電体層,記録層,第
    2の誘電体層,反射層の順に積層した所定周波数の再生
    レーザー光線を用いる記録再生装置に使用する光学的情
    報記録媒体であって、 前記基板は信号記録用のグルーブおよびランドを備えて
    なり、かつグルーブの幅とランドの幅が略同一で、さら
    に前記グルーブの深さDが、 λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) (ただし、λは再生光の波長,nは基板の屈折率)を満た
    し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
    的に識別が可能な状態間で可逆的に変化し、さらに、前
    記反射層がAl、もしくはAlを主成分とする合金からな
    り、前記反射層の膜厚a(nm)と前記第2の誘電体層の膜
    厚b(nm)が、 5≦a<150のとき b≧0.133a
    +30 a≧150 のとき b≧50 を満たすことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 基板上に、第1の誘電体層,記録層,第
    2の誘電体層,反射層の順に積層した所定周波数の再生
    レーザー光線を用いる記録再生装置に使用する光学的情
    報記録媒体であって、 前記基板は信号記録用のグルーブおよびランドを備えて
    なり、かつグルーブの幅とランドの幅が略同一で、さら
    に前記グルーブの深さDが、 λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) (ただし、λは再生光の波長,nは基板の屈折率)を満た
    し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
    的に識別が可能な状態間で可逆的に変化し、さらに、前
    記反射層がNiとCrを主成分とする合金からなり、前記
    反射層の膜厚a(nm)と前記第2の誘電体層の膜厚b(nm)
    が、 5≦a<200のとき b≧0.125a+25 a≧200 のとき b≧50 を満たすことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 基板上に、第1の誘電体層,記録層,第
    2の誘電体層,反射層の順に積層した所定周波数の再生
    レーザー光線を用いる記録再生装置に使用する光学的情
    報記録媒体であって、 前記基板は信号記録用のグルーブおよびランドを備えて
    なり、かつグルーブの幅とランドの幅が略同一で、さら
    に前記グルーブの深さDが、 λ/(7n)≦D≦5λ/(14n) (ただし、λは再生光の波長,nは基板の屈折率)を満た
    し、かつ前記記録層はレーザー光等の照射によって光学
    的に識別が可能な状態間で可逆的に変化し、さらに前記
    第2の誘電体層の膜厚が前記グルーブの深さより大きい
    ことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記溝の深さDが、略λ/(5n)である
    ことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の光学
    的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記溝の深さDが、略3λ/(10n)であ
    ることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の光
    学的情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記記録層がレーザー光照射によって、
    反射光量変化を起こす媒体からなることを特徴とする請
    求項1,2,3または4記載の光学的情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記記録層がレーザー光照射によって、
    アモルファス相と結晶相の間で可逆的に状態変化を起こ
    す相変化媒体からなることを特徴とする請求項7記載の
    光学的情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記相変化媒体がGe,Sb,Teの3元
    合金を主成分とすることを特徴とする請求項8記載の光
    学的情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記第1および第2の誘電体層がZn
    SとSiO2の混合物からなることを特徴とする請求項
    1,2,3または4記載の光学的情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1,2,3または4記載の光学
    的情報記録媒体に光学的に信号を記録する方法であっ
    て、信号記録時には記録装置のトラッキングの極性を切
    り替えることでグルーブとランドの両方に信号を記録す
    る光学的な情報の記録方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2315907A (en) * 1996-07-31 1998-02-11 Samsung Electronics Co Ltd High density compact disc
US6096400A (en) * 1997-12-25 2000-08-01 Tdk Corporation Optical recording medium
US6192024B1 (en) 1997-12-25 2001-02-20 Tdk Corporation Optical recording medium
US6403193B1 (en) 1999-03-19 2002-06-11 Tdk Corporation Optical recording medium
US6731590B1 (en) 1999-11-19 2004-05-04 Tdk Corporation Optical recording medium containing a substrate, an intermediate layer having therein an amorphous material, the intermediate layer having a reflective layer thereon

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