JP3012734B2 - 光学的情報記録媒体及びその構造設計方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体及びその構造設計方法

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JP3012734B2
JP3012734B2 JP4097607A JP9760792A JP3012734B2 JP 3012734 B2 JP3012734 B2 JP 3012734B2 JP 4097607 A JP4097607 A JP 4097607A JP 9760792 A JP9760792 A JP 9760792A JP 3012734 B2 JP3012734 B2 JP 3012734B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に形成された相
変化材料薄膜にレ−ザ−ビーム等の高エネルギービーム
を照射することにより信号品質の高い情報信号をオーバ
ライトすることのできる書換え可能な光学的情報記録媒
体の構成およびその構成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に形成したカルコゲナイド薄膜に
レーザ光線を照射して局所的な加熱を行い、微小部分の
光学的な特性(屈折率)を変化させることができること
は光誘引性の相変化現象として既に知られている。即
ち、レーザ光線の照射条件を選べば照射部を原子結合状
態が比較的乱れた状態(アモルファス相)から比較的整
った状態(結晶相)、また反対に結晶相からアモルファ
ス相へと高速に相変化させることが可能であり、高密度
情報記録を行う方法の一つとして応用開発が行われてき
た。
【0003】相変化記録のメリットの1つは、記録手段
として単一のレーザビームのみを用い、情報信号をオー
バライトできる点にある。すなわち、レーザー出力を記
録レベルと消去レベルの2レベル間で情報信号に応じて
変調し記録済みの情報トラック上に照射すると、既存の
情報信号を消去しつつ新しい信号を記録することが可能
である(特開昭56−145530号公報)。この方法
は光磁気記録のように磁気回路部品が不要なことからヘ
ッドが簡素化できる点、消去動作を必要としないため書
換え時間を短縮することできる点が映像や音声信号の記
録に有利と考えられ記録媒体の開発研究が進められてい
る。
【0004】オーバライトに特有の課題についても抽出
が行われ、その解決策の提案がなされてきている。例え
ばオーバライト時の消去率が消去動作のみを行った場合
の消去率に比べて低くなるという課題があった。この課
題に対して我々は特開平1−149238号公報におい
て、アモルファス状態である記録マーク部における光吸
収率と結晶状態である未記録部における光吸収率を同等
にした記録媒体、及び結晶状態部での光吸収率をアモル
ファス状態部での光吸収率よりも大きくした記録媒体を
提案した。即ち、図5に示すように表面の平滑な基板1
の上に誘電体3でサンドイッチした記録層2を形成した
媒体、及び誘電体3の上にさらに光反射層4を設け、保
護板5を付けた構成の媒体において、主として誘電体層
各層の厚さを適当に選ぶことで上記光吸収率に関する条
件を満足する光記録媒体を形成し、この媒体ではオーバ
ライト時の消去率が改善されることを開示した。
【0005】しかしながら、この従来例の実施例の媒体
の場合には反射率変化が十分大きいとは言えなかった。
例えば3頁の実施例第2表において、アモルファス状態
の吸収率が結晶状態の吸収よりも大きな媒体No.1、
No.4が19.1%、16.4%という反射率変化を
示すのに対して、結晶状態の方がアモルファス状態より
も吸収率の大きい媒体No.3、No.6は9.7%、
11.2%と小さな反射率変化しか示さなかった。特に
記録膜が40nmの場合には半分以下の値しか示してい
ない。図6は、特開平1−149238号公報中に記載
の実施例の結果をグラフ化したものであって、結晶部で
の光吸収率をA(cry)、アモルファス部での光吸収率を
A(amo)とし、記録前後の2つの状態における光吸収率
の差ΔA(=A(cry)−A(amo))とC/Nならびに消去
率の関係を示したものである。これによれば光吸収率の
差ΔAが正方向に増加するに従って消去率が改善されて
いること、一方C/Nはわずかづつではあるが低下して
いることが分かる。この場合のC/N低下の原因は、図
7によって明らかである。
【0006】図7は、図6と同じく特開平1−1492
38号公報中に記載の実施例の結果をグラフ化したもの
であって、結晶部での光吸収率をA(cry)、反射率をR
(cry)、アモルファス部での光吸収率をA(amo)、反射率
をR(amo)とし、記録前後の2つの状態における光吸収
率の差ΔA(=A(cry)−A(amo))と反射率変化量ΔR
(=R(cry)−R(amo))の関係を示したものである。こ
れによれば、従来例の記録媒体では光吸収率の差ΔAが
増加するにしたがって反射率変化量ΔRは一方向的に減
少しており、オーバライト時の消去率と信号振幅とは相
反する関係にあったことが分かる。
【0007】別の従来例としては特開平3−11384
4号公報は反射層を用いない媒体構造で、かつ記録膜が
80nmと厚い構成の媒体を開示している(3ページ第
1表)。この場合は、しかしながら、この場合には結晶
部の光吸収率がアモルファス部の吸収率に比べて十分大
きいできる媒体条件が開示されていない。例えば、アモ
ルファス部の吸収率が結晶部よりも10%以上大きい構
成の開示はあるが、結晶部の吸収率がアモルファス部よ
り大きい媒体では、その差は高々2.1%であり、融解
潜熱の差をキャンセルするには不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】アモルファス状態であ
る記録マーク部と結晶状態である非記録マーク部の両部
における光吸収率差ΔAに留意した上記従来例(特開平
1−149238号公報)に開示された記録媒体ではオ
ーバライトモード記録における消去率の向上が実現され
たが、その一方では図7に示されたように、記録前後の
反射率変化量ΔRが小さくなっていた。反射率変化量Δ
Rは信号の大きさそのものであるから、基本的にはΔR
が小さくなればC/Nも低下する。この時、従来例の場
合のように、記録マークピッチが2μm以上(線速度1
5m/s,記録周波数7MHzから計算可能)といった
記録条件では、形成される記録マーク部の面積はレーザ
スポットに比較して十分大きくなるから、ΔRが多少小
さくても全体として大きな反射光量の変化が生じ大きな
C/Nが得られるが、マークピッチをもっと詰めて記録
密度を高めようという場合には同様ではない。この場合
には、記録マークの大きさがレーザスポットの大きさと
同等およびそれ以下に小さくなるからΔRが小さけれ
ば、それだけ小さな反射光量変化しか得られなくなり、
ΔR低下の影響がもろにC/Nの大きな低下となって現
れる。即ち、高密度記録を行うという前提ではオーバラ
イト時におけるC/Nと消去率とを同時に満足できる記
録媒体は未だ実現されていなかったと言える。
【0009】別の課題としては、従来相変化記録媒体に
用いられてきたマーク位置記録(あるいはPPM記録)
方式をマークエッジ記録(あるいはPWM記録)方式に
置き換えるためにはより高い消去率が必要になるという
ことである。マーク位置記録では記録マークの形状が多
少歪んでいてもピーク位置さえ検出できればエラーにな
らないが、マーク位置記録では形状の歪がそのままエラ
ーになる。この場合には例えば磁気記録の場合と同様、
26dB程度の消去率をクリアーする必要がある。
【0010】本発明の目的は、記録マーク長がレーザス
ポットの大きさに近い高密度信号のオーバライト記録を
行っても、C/N及び消去率がともに大きいこと、ある
いはマークエッジ記録に適合する大きな消去率が得られ
ることを目指し、上記ΔA,ΔRがいずれも十分大きな
記録媒体を提供するものである。また本発明のもう1つ
の目的は上記記録媒体を構成する方法を提供するもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は基板上に少なく
とも第1の誘電体薄膜層、波長λのレーザ光線を照射す
ることにより可逆的構造変化を生じ、光学定数(屈折率
n、消衰係数k)が相対的に大である結晶状態と相対的
に小であるアモルファス状態との間で光学的特性を可逆
的に変化する相変化物質薄膜からなる記録層および第2
の誘電体薄膜層を順次積層してなる光学的情報記録媒体
において、記録前後での反射率差および吸収率差の和よ
りも記録前後の透過率変化量が等しいか大きくなるよう
に記録膜の厚さを選ぶ。
【0012】この場合の透過率変化量は上記記録膜が上
記誘電体材料で挟まれた条件下(即ち、誘電体材料から
記録材料に入射し、記録材料中を通過して、反対側の誘
電体材料中に出射する条件)での光透過率T0(amo)とT
0(cry)の差、ΔT0(=T0(amo)−T0(cry))で定義
し、反射率変化量15%以上、吸収率差5%以上を実現
するためにはΔT0=20%となる膜厚よりも薄く選ぶ
ことが必要である。さらに、その上で上記第1および第
2の誘電体薄膜層の厚さd1,d2をそれぞれ独立に様
々に仮定して、マトリクス法により上記記録膜がアモル
ファス状態にある場合、結晶状態にある場合の反射率、
吸収率をそれぞれ算出し、上記条件を満たす誘電体厚さ
d1,d2の組合せを決定する。
【0013】
【作用】上記光学的情報記録媒体においては入射光Iの
行方は記録層で吸収されて熱に変わる部分(A)、媒体
から反射される部分(R)、媒体を通過してしまう部分
(T)の3つに分けることができる。ここで記録層に吸
収される光は記録層がアモルファス状態である時と結晶
状態である時とで異なり、各々A(amo)=I−[R(amo)
+T(amo)]、A(cry)=I−[R(cry)+T(cry)]とな
る。つまりアモルファス部と結晶部の間の光吸収率差
は、ΔA==A(cry)−A(amo)=[R(amo)−R(cry)]
+[T(amo)−T(cry)]、即ちΔT=T(amo)−T(cry)
とおいてΔA=ΔT1−ΔRと表わされる。本願の場合
には記録膜は誘電体材料で挟まれているので上記ΔTは
上記ΔT0として考える。
【0014】記録層が厚くなりすぎると記録層の状態に
関係なく入射光の大部分は記録層に吸収されるか媒体表
面で反射されてしまうことになる。つまり、上式ΔA=
Δ−ΔRの右辺第1項は零に近づく。即ちΔA≒−ΔR
(<0)となり、本願の目的は達成できない。従って、
吸収率差ΔAならびに反射率変化を十分大きく、例えば
ΔA≧5%かつΔR≧15%を確保しようとすれば、透
過率差ΔT0を20%以上確保することが必要条件であ
る。この条件下で初めて、ΔR≧15%かつΔA≧5%
を満たす第1の誘電体層、第2の誘電体層の膜厚を選ぶ
ことが可能となる。
【0015】
【実施例】本発明の代表的な光学情報記録媒体は、図1
に示すように基板6の上に第1の誘電体層7、波長λの
レーザ光線の照射により上記波長λでの光学定数(屈折
率n、消衰係数k)が相対的に大である結晶状態と相対
的に小であるアモルファス状態との間で光学的特性を可
逆的に変化する相変化材料薄膜からなる記録層8、第2
の誘電体層9を順次積層して形成し、基板側から記録再
生のためのレーザ光線11を入射させるものである。図
1ではホットメルトタイプの接着層10を介して上下対
称になるように2枚が張り合わせた構成になっている
が、図2のように第2の誘電体の上にUV樹脂等の保護
層12を形成した単板構造も可能である。また、図3の
ように基板上に第2の誘電体層8、記録層7、第1の誘
電体層6を順に積層し膜面がむきだしの状態または保護
層12を通じてレーザ光線を照射することも当然可能で
ある。この場合の保護層12は対摩耗性等の強度が要求
され、ダイアモンドライクカーボン膜、BN膜、TiN
膜等を用いる。
【0016】基板6に用いる材料としては通常光ディス
ク等に用いられているPMMA、ポリカーボネイト、ア
モルファスポリオレフィン等の透明樹脂、Al,Cu等
の金属やこれらをベースにした合金、ガラス等を用い
る。不透明板を用いる場合には基板側からの光入射がで
きないので、図3の構成に準じる。また、光ディスクの
用途では記録再生に用いるレーザ光線を導くために基板
表面にサブミクロンサイズの幅、深さで同芯円またはス
パイラル状の連続溝、あるいはピット列が凹凸を備える
のが通常である。
【0017】上下2層の誘電体層7,9は樹脂の基板を
用いる場合に基板6の表面の熱ダメージを抑える、記録
時に相変化材料層が変形したり蒸発したりすることを抑
える等の働きをなすものであって、樹脂、記録膜材料と
比較して融点の高いこと、記録再生に用いるレーザ光線
に対して透明であること、硬度が大きくて傷がつきにく
いこと等の性質を有することが必要である。例えば、S
iO2,ZrO2、TiO2,Ta25等の酸化物、B
N、Si34,AlN,TiN等の窒化物、ZnS,P
bS等の硫化物、SiC等の炭化物、CaF2等のフッ
化物、ZnSe等のセレン化物及びこれらの混合物とし
てZnS−SiO2、SiNO等、あるいはダイヤモン
ド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン等を用いることが
できる。
【0018】本発明で記録層8に用いる物質薄膜は、相
変化物質薄膜の中でもレーザ光線の照射でアモルファス
−結晶間の可逆的相変態を生じるものであって、結晶状
態ではアモルファス状態よりも大きな屈折率、消衰係数
を示すものを用いる場合に最も有効的である。代表的に
はGe−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb−Te,
Sb−Te,Ge−Sb−Te−Pd,Ag−Sb−I
n−Te,Ge−Bi−Sb−Te,Ge−Bi−T
e,Ge−Sn−Te、Ge−Sb−Te−Se,Ge
−Bi−Te−Se、Ge−Te−Sn−Au等の系、
あるいはこれらの系に酸素、窒素、遷移金属等の添加物
を加えた系を用いることができる。これらの薄膜は通常
成膜された時はアモルファス状態であるが、レーザ光線
等のエネルギーを吸収して結晶化し光学的濃度が高くな
る。実際に記録媒体として用いる場合には記録膜面の全
体を予め結晶化しておき、レーザ光線を細く絞って照射
し、照射部をアモルファス化して光学定数を変化させ
る。上記変化は、上記記録膜にさらに変化を与えない程
度に弱くしたレーザ光線を照射し、反射光の強度変化、
透過光の強度変化を検出して情報を再生する。記録層の
厚さは記録再生に用いるレーザ光線の波長に依存し、記
録層がアモルファス状態および結晶状態にある時に上記
誘電体材料で挟まれた条件下での光透過率T0(am
o)とT0(cry)の差、ΔT0(=T0(amo)
−T0(cry))が20%となる厚さよりも薄く選
ぶ。
【0019】本願において最も好ましい特性を有する記
録材料はGeTe−Sb2Te3擬2元系材料の内でもG
eTeの割合が67〜33モル%の組成、とりわけGe
2Sb2Te5,GeSb2Te4,GeSb4Te7の化合
物組成、および上記組成にSb,Bi,Ge,Sb,C
o,Pd等の添加を行った系である。図4は代表的にG
2Sb2Te5膜(アモルファス状態の複素屈折率=
4.65+i1.5,結晶状態の複素屈折率=5.5+
i4.2)が光学的に干渉を生じない程度に十分厚いZ
nS−SiO2(屈折率は2.1)に挟まれた状態での
膜厚と透過率の関係を示す。この系では記録膜の厚さが
45nmよりも薄い場合にΔT0≧20%となること、
25nmよりも薄い場合にΔT0≧25%となることが
示された。
【0020】GeSbTe系薄膜の膜厚を40nm以下
と薄くした媒体構成ではアモルファス部での光吸収率の
絶対値が減少することから反射膜を用いるのが常識と考
えられてきていた。40nmや25nmの薄い記録層を
用い、かつ反射層を用いずにオーバライト可能な媒体を
構成した例はまだ無い。
【0021】記録層の厚さを固定した上で各層の複素屈
折率と膜厚からマトリクス法(例えば久保田広著「波動
光学」岩波書店、1971年、第3章を参照)によって
第1及び第2の誘電体の膜厚を計算した。具体的には、
各層を構成する物質の光学定数(屈折率、消衰係数)を
求め、各層の膜厚を仮定して表面を含む全ての界面に対
してエネルギー保存則に基づき光エネルギーの収支を計
算する。即ち、多層媒体での各界面についてこのエネル
ギー収支の方程式をたて、得られた連立方程式を解くこ
とで、入射光に対する透過光の強度、反射光の強度なら
びに各層での吸収量を求めることができる。記録膜が結
晶状態にある時とアモルファス状態にある時のいずれの
場合についても上記計算を行うことにより、記録前後の
反射率変化量、吸収差を知ることができる。2つの状態
間での反射率の差がなるべく大きく(≧15%)、結晶
状態の吸収がアモルファス状態の吸収よりも5%以上大
きい膜厚条件を選ぶ。
【0022】本発明の書換え可能な光学的情報記録媒体
は通常の光学薄膜を形成する場合と同様に真空蒸着、マ
グネトロンスパッタリング、DCスパッタリング、イオ
ンビームスパッタリング、イオンプレーティング等の方
法で各層を順次積み重ねて行く方法で形成することがで
きる。計算に基づき形成した媒体が設定通りにできたい
るか否かは媒体の反射率、透過率をスペクトルメーター
で実測することによって検証することができる。
【0023】以下、具体例をもって本発明をさらに詳し
く説明する。 (実施例1)1つの真空チャンバー中に直径100mm
ターゲットに対応する4つのカソードを備えたスパッタ
装置を用い、上述の計算に基づいてレーザ波長680n
mに対応する記録媒体を5枚作成した(表1)。基板の
材質はポリカーボネイトで、サイズは外径300mm、
内径35mm、厚さ1.2mmとした。基板の表面はピ
ッチ1.3μm、深さ60nm、幅0.6μmの連続溝
で覆われている。この溝のある面に以下のように誘電体
膜、相変化記録膜を形成した。(表1)に掲げたよう
に、各媒体は誘電体層の厚さ以外はほぼ同様な構成をし
ており、第1の誘電体層は厚さ93nmのZnS−Si
2(SiO2:20モル%)混合物膜、記録層は厚さ3
0nmのGe2Sb2Te5膜である。第2の誘電体層は
ZnS−SiO2(SiO2:20モル%)混合物膜であ
り、厚さは70nm、93nm、116nm、139n
m、162nmとなっていて、それぞれ吸収率差ΔAお
よび反射率差ΔRの異なる媒体となっている。スパッタ
ガスはいずれもアルゴンを用い、ガス圧を3mTorr
とした。誘電体はRFスパッタを用い、300Wのパワ
ーで毎分10nmの堆積速度で成膜した。また記録層に
はDCスパッタを用い、100Wのパワーで毎分10n
mの速度で成膜を行った。(表1)は上記5種類の媒体
について、それぞれ第2の誘電体層の厚さを変化させた
場合のΔA,ΔRの計算値、スペクトロメータによる実
測値を示したものである。いずれの媒体においても計算
値と実測値とはよく一致していてΔA≧5%、ΔR≧1
5%の条件が満足されており、確かに本発明の目的とす
る媒体が構成可能であることが示された。また、本願の
方法によって上記条件を有する媒体の設計が容易に行え
ることが示された。
【0024】
【表1】
【0025】(実施例2)実施例1のディスクを各2枚
用意し、膜のついた面を内側にしてホットメルト接着剤
を用いて張り合わせた。各ディスクを毎分1800回転
で回転し、最外周部(線速度27m/s)でオーバライ
ト特性を評価した。記録信号はマークエッジ記録を想定
して17.5MH(f1)および6.5MH(f2)の
単一周波数信号とし、波長680nmの半導体レーザ光
線をN.A.0.55の対物レンズを用いて記録した
(デューティー50%)。測定手順は、まずf1を記録
してCN比を測定した後、f2をオーバライトしてf1
成分の減衰比を測定し消去率を測定する方法によった。
(表2)はCN比が50dBに到達するピークパワー
(測定限界16mW)、CN比の飽和値、消去率の最大
値及び消去率が26dBを越えるバイアスパワー域を示
したものである。
【0026】
【表2】
【0027】(表2)から分かるように、(表1)のΔ
R、ΔAは(表2)のCN比、消去率およびバイアスパ
ワーマージンとそれぞれ強い相関性を有しており、ΔA
が5%に満たない場合には消去率26dBを越えるバイ
アスパワー領域はほとんどないことが示された。これは
結晶部とアモルファス部で同等の昇温を実現するために
は、結晶部ではアモルファス部よりも融解潜熱に相当す
る分だけより大きなエネルギーを必要とするということ
であって、それがΔAの5%程度に相当することを示す
のであろう。またCN比で50dB以上を得るためには
ΔRが15%以上は必要であることが示された。
【0028】(実施例3)実施例1、2と同様にポリカ
ーボネイト基板、ZnS−SiO2混合物薄膜、Ge2
2Te5薄膜を用いて各種記録媒体を試作し、その特性
を評価した。(表3)は680nm、780nm、83
0nmの各波長に適合するように設計試作した記録媒体
についての評価結果を示す。表中、◎印はΔR≧20%
かつΔA≧5%を満足する膜厚条件またはΔR≧15%
かつΔA≧10%を満足する誘電体層膜厚の条件がある
こと、○印は同じくΔR≧15%かつΔA≧5%を満足
する条件があること、×印は上記条件が満たされないこ
とを示す。
【0029】
【表3】
【0030】(実施例4)実施例1、2と同様のことを
ガラス基板でも行い、同様の結果を得た。
【0031】
【発明の効果】本発明によって、大きなCN比、高い消
去率ならびにその広いパワー許容幅(マージン)を有す
る記録媒体ならびにその設計方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学情報記録媒体の1実施例の構成を
示す図
【図2】本発明の光学情報記録媒体の1実施例の構成を
示す図
【図3】本発明の光学情報記録媒体の1実施例の構成を
示す図
【図4】本発明の1実施例において。記録媒体を構成す
る記録層の厚さと透過率の関係を示す図
【図5】従来の相変化光記録媒体の構成を示す断面図
【図6】従来例の実施例中に記載されている記録媒体の
有するCN比および消去率と光吸収率差ΔAとの関係を
グラフ化した図
【図7】従来例の実施例中に記載されている記録媒体の
有する反射率変化量ΔRと光吸収率差ΔAとの関係をグ
ラフ化した図
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 誘電体層 4 光反射層 5 保護板 6 基板 7 第1の誘電体層 8 記録層 9 第2の誘電体層 10 接着層 11 レーザ光線 12 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤平 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大野 鋭二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 古川 惠昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−128330(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも第1の誘電体材料薄
    膜層、波長λのレーザ光線の照射により上記波長λでの
    光学定数(屈折率n、消衰係数k)が相対的に大である
    結晶状態と相対的に小であるアモルファス状態との間で
    光学的特性を可逆的に変化する相変化材料薄膜からなる
    記録層、第2の誘電体材料薄膜層を順次積層してなる光
    学的情報記録媒体であって、上記記録層の厚さxは、記
    録層がアモルファス状態および結晶状態にある時に上記
    誘電体材料で挟まれた条件下での光透過率T0(am
    o)とT0(cry)の差、ΔT0(=T0(amo)
    −T0(cry))が20%となる厚さよりも薄く選
    び、よって上記波長λの照射レーザ光線の内で上記記録
    層で吸収される比率(以降吸収率と呼ぶ)ならびに上記
    記録媒体から反射される比率(以降反射率と呼ぶ)を上
    記記録層がアモルファス状態である場合にはそれぞれA
    (amo)およびR(amo)、また記録層が結晶状態
    である場合にはそれぞれA(cry)およびR(cr
    y)として、2つの状態間での吸収率の差ΔA(=A
    (cry)−A(amo))および反射率の差ΔR(=
    R(cry)−R(amo))がΔA≧5%およびΔR
    ≧15%の2条件を同時に満足する書換え可能な光学的
    情報記録媒体。
  2. 【請求項2】記録層の厚さxをΔT0(=T0(am
    o)−T0(cry))=25%となる膜厚よりも薄く
    選び、吸収率の差ΔA≧10%とした請求項1記載の光
    学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】記録層の厚さxをΔT0(=T0(am
    o)−T0(cry))=25%となる膜厚よりも薄く
    選び、反射率の差ΔR≧20%とした請求項1記載の光
    学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】誘電体材料薄膜をZnS−SiO2、記録
    層をGe−Sb−Teとし、記録層の厚さを40nm以
    下とした請求項1記載の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】誘電体材料薄膜をZnS−SiO2、記録
    層をGe−Sb−Teとし、記録層の厚さを25nm以
    下とした請求項1記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】基板上に少なくとも第1の誘電体材料薄膜
    層、波長λのレーザ光線の照射により上記波長λでの光
    学定数(屈折率n、消衰係数k)が相対的に大である結
    晶状態と相対的に小であるアモルファス状態との間で光
    学的特性を可逆的に変化する相変化物質薄膜からなる記
    録層および第2の誘電体材料薄膜層を順次積層して成
    り、上記記録層が結晶状態にある時には記録層がアモル
    ファス状態にある時に比較して15%以上大きな反射率
    を示し、かつ5%以上大きな吸収率を示す書換え可能な
    光学的情報記録媒体を構成する方法であって、上記記録
    層の厚さxは、記録層がアモルファス状態および結晶状
    態にある時に上記誘電体材料で挟まれた条件下での光透
    過率T0(amo)とT0(cry)の差、ΔT0(=
    T0(amo)−T0(cry))=20%となる膜厚
    よりも薄く選び、その上で上記第1および第2の誘電体
    材料薄膜層の厚さd1,d2を様々に仮定して、マトリ
    クス法により、上記記録膜がアモルファス状態にある場
    合、結晶状態にある場合の反射率、吸収率をそれぞれ算
    出し、上記条件を満たす誘電体厚さd1,d2の組合せ
    を求める光学的情報記録媒体の設計方法。
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