JP3176582B2 - 情報の記録及び消去方法 - Google Patents

情報の記録及び消去方法

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JP3176582B2
JP3176582B2 JP22978898A JP22978898A JP3176582B2 JP 3176582 B2 JP3176582 B2 JP 3176582B2 JP 22978898 A JP22978898 A JP 22978898A JP 22978898 A JP22978898 A JP 22978898A JP 3176582 B2 JP3176582 B2 JP 3176582B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報の記録及び消去
方法、特に相変化型情報記録媒体を用いる方法であっ
て、光ビームを照射することにより記録層材料に相変化
を生じさせ、情報の記録、再生を行い、且つ書き換えが
可能である情報記録媒体を用いる方法に関するものであ
り、光メモリー関連機器に応用される。
【0002】
【従来の技術】電磁波特にレーザービームの照射による
情報の記録・再生及び消去可能な光メモリー媒体の一つ
として、結晶−非晶質相間或いは結晶−結晶相間の転移
を利用する、いわゆる相変化型記録媒体が良く知られて
いる。特に光磁気メモリーでは困難な単一ビームによる
オーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系もよ
り単純であることなどから最近その研究開発が活発にな
っている。その代表的な材料例として、USP3,53
0,441に開示されているようにGe−Te、Ge−
Te−Sb−S、Ge−Te−S、Ge−Se−S、G
e−Se−Sb、Ge−As−Se、In−Te、Se
−Te、Se−As等所謂カルコゲン系合金材料が挙げ
られる。又、安定性、高速結晶化等の向上を目的にGe
−Te系にAu(特開昭61−219692)、Sn及
びAu(特開昭61−270190)、Pd(特開昭6
2−19490)等を添加した材料の提案や、記録/消
去の繰返し性能向上を目的に、Ge−Te−Se−Sb
の組成比を特定した材料(特開昭62−73438)の
提案等もなされている。しかしながら、そのいずれもが
相変化型書換え可能光メモリー媒体として要求される諸
特性のすべてを満足し得るものとはいえない。
【0003】又、特開昭63−251290では結晶状
態が実質的に3元以上の多元化合物単相からなる記録層
を具備した光記録媒体が提案されている。ここで実質的
に三元以上の多元化合物単相とは三元以上の化学量論組
成をもった化合物(例えばIn3SbTe2)を記録層中
に90原子%以上含むものとされている。
【0004】このような記録層を用いることにより、高
速記録、高速消去が可能となるとしている。
【0005】しかしながら、記録、消去に要するレーザ
ーパワーは未だ充分ではない。消去比も低い(消し残り
が大きい)等の欠点を有している。
【0006】更に特開平1−277338においては
(SbXTe1-X1-YY(ここで0.4≦X<0.7、
Y≦0.2、MはAg、Al、As、Au、Bi、C
u、Ga、Ge、In、Pb、Pt、Se、Si、Sn
及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種以上)
で表される組成の合金からなる記録層を有する光記録媒
体が提案されている。
【0007】この系の基本はSb2Te3であり、Sb過
剰にすることにより、高速消去、繰返し特性を向上さ
せ、Mの添加により高速消去を促進させている。又、D
C光による消去率も大きいとしている。
【0008】しかしながらオーバーライト時の消去率は
示されておらず(本発明者の検討結果では消し残りを生
じた)、記録感度も不充分である。
【0009】同様に特開昭60−177446では記録
層に(In1-XSbX1-YY(0.55≦X≦0.8
0、0≦Y≦0.20)なる合金を、又、特開昭63−
228433では記録層にGeTe−Sb2Te3−Sb
(過剰)なる合金を各々用いているが、感度、消去比等
の特性を満足するものではない。
【0010】又、特開昭63−173241では記録材
料を熱的に安定なマトリックス中に分散せしめた記録層
が提案されている。
【0011】しかしながらマトリックス材料はいずれも
透光性の高い高融点材料であり、記録層全体として充分
な光吸収率、反射率が得られず感度、コントラスト等の
低下をきたす。又、1ビームオーバーライト性能も充分
とはいえない。
【0012】特に記録感度、消去感度の向上、オーバー
ライト時の消し残りによる消去比低下の防止、並びに記
録部、未記録部の長寿命化が解決すべき最重要課題とな
っている。
【0013】中でもレーザー照射時間が100nsen
以下という条件下で媒体面でのレーザー書込みパワーに
ついては、現在までの報告例のいずれもが、15mW程
度以上のパワーを必要としており、転送速度向上のため
大きな障壁となっている。又、記録・消去のくり返し時
に発生する熱により、記録層、耐熱保護層等が損傷を受
け、特性劣化をきたすため、くり返し性能向上に対して
も大きな障害となっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術に比較して下記の点を改良した情報記録媒体を用いる
情報の記録及び消去方法を提供しようとするものであ
る。
【0015】(1)レーザー書込み(記録)感度の向
上、(2)消去感度の向上、(3)記録−消去のくり返
し性能向上、(4)消去比の向上
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
には相変化形情報記録媒体の記録層材料として以下に示
す物質を用いることが極めて有効であることを見出し
た。
【0017】基板上に設けられた記録層の主成分が記録
・消去時に結晶−非晶間あるいは結晶−結晶間の相転移
を生じる相(M相)と、記録・消去時に相転移を生じな
い相(L相)との混相状態で存在し、M相とL相が下記
条件を満足する情報記録媒体。
【0018】L1-a+Ma(0.30≦a≦0.92) Mの融点≦700℃ Lの融点>Mの融点 記録・消去に使用する波長の電磁波に対するM相、L相
各々の光吸収係数αM、αLが αM≧103cm~1、 αL≧102cm~1 ここでαはI=IO(1−R)2exp~α1O:入射光強度 I:透過光強度 l:膜厚 R:反射率 αMは好適には5×103cm~1以上、最適には1×10
4cm~1以上、αLは好適には1×103cm~1以上、最
適には5×103cm~1以上である。
【0019】更にLは繰り返し性能向上のために、二元
以上の化合物組成か、その近傍の組成が望ましい。M相
とL相とは混相状態にある必要があるが、望ましくは相
転移相であるM相同士はL相により完全に隔離された状
態にあるのがよい。その場合剥離されたM相の平均的な
大きさ(以後、微粒子粒径と呼ぶ)は30〜500Å、
好適には50〜300Å、最適には80〜200Åであ
る。Mの含有率aは、0.30≦a≦0.92、好適に
は0.50≦a≦0.90、最適には0.60≦a≦
0.90である。
【0020】更にMの融点は700℃以下、好適には6
50℃以下、最適には600℃以下がよい。
【0021】添付図面は本記録層を単純化し模式的に表
わしたものである。
【0022】相転移相(M相)1がマトリックスを形成
している非相転移相(L相)2の中に分散している状態
の混相を形成している。M相としては例えばSb(m.
p.630℃)、L相としてはAgInTe2(m.
p.680℃)がある。
【0023】このような構成にすることにより、記録層
は以下のような特徴を持つようになる。
【0024】(1)相転移相(M相)、非相転移相(L
相)が共に、光吸収能を持つため、記録・消去時に電磁
波(例えばLD光)の利用効率が高くなる。その結果、
感度が向上する。
【0025】(2)M相が微粒子状態で存在するため、
融点がバルク状態の値に比べ、降下する。したがってア
モルファス化記録(通常は溶融・急冷)時に必要とされ
るエネルギーを低くすることができる。すなわち記録感
度、応答速度が向上する。
【0026】又、再結晶化(消去)時にも感度、応答速
度が向上する。
【0027】その中でも特に記録層材料として、下記一
般式で表わされる物質を主成分とする情報記録媒体を用
いることにより、極めて大きな改善が可能であることを
見出した。
【0028】
【発明の実施の形態】その情報記録媒体の構成は、 (1)基板上に設けられた記録層の主成分が下記一般式
で表され、かつ記録層中の存在状態がXYZ2相とM相
との混相であることを特徴とする情報記録媒体。
【0029】一般式 (XYZ21-aa XYZ2は周期表のIb−IIIb−VIb2あるいはIIb−I
Vb−Vb2で表されるカルコパイライト型化合物、M
は、Sb、Bi、S、Se、Teの中から選ばれる1種
以上の元素あるいはAgSbTe2、 0.30≦a≦0.92 である。
【0030】(2)XYZ2がAgInTe2であり、M
がSb又はBiであることを特徴とする上記(1)項記
載の情報記録媒体。
【0031】aが0.3未満或いは0.92を超えると
感度、消去比、コントラストの向上に効果がなくなる。
【0032】又、記録層中には他の不純物等を微量(1
%以下)含んでいてもよい。
【0033】更に本発明はその実施態様とし下記各事項
を包含するものである。
【0034】a)L相が二元以上の化合物である情報記
録媒体。
【0035】b)基板上に設けられた記録層の主成分が
下記一般式で表わされ、かつ記録層中の存在状態がXY
2相とM相との混相である情報記録媒体、一般式 (XYZ21-aa XYZ2は周期表のIb−IIIb−VIb2あるいはIIb−I
Vb−Vb2で表されるアルコパイライト型化合物、M
は、Sb、Bi、S、Se、Teの中から選ばれる1種
以上の元素あるいはAgSbTe2、 0.30≦a≦0.92 c)XYZ2がAgInTe2であり、MがSb又はBi
である上記b)項記載の情報記録媒体。
【0036】d)上記b)又はc)項における一般式
(XYZ21-aaで表わされる物質が微量の酸素を含
有した結果、一般式が(XYZ21-aaに代り {(XYZ21-aa1-bb (ただし、0.01≦b≦0.30、その他の記号は
b)項と同じ)で表わされる上記b)項又はc)項記載
の情報記録媒体である。
【0037】XYZ2の具体例としては、 Ib−IIIb−VIb2;AgInTe2、AgInSe2
AgGaSe2、AgInS2、CuInTe2、CuI
nSe2 IIb−IVb−Vb2 ;ZnSnSb2、ZnSnAs2
ZnSnP2、ZnGeAs2、CdSnP2、CdSn
As2 等が挙げられる。
【0038】XYZ2は化学量論組成が望ましいが、各
々若干の組成ずれがあっても構わない。
【0039】具体的には、Xopqとした場合 0.2≦o≦0.3 0.2≦p≦0.3 0.4≦q≦0.6 o+p+q=1.0
【0040】
【作用】本発明の記録層にレーザービームを照射する
と、照射条件により、以下の様な相転移を生じるものと
考えられる。
【0041】わかり易くするためにXYZ2としてAg
InTe2をとり、MとしてSbを例にとり説明する。
【0042】AgInTe2の非晶質及び/又はChalcop
yrite型構造及び/又はZincblende型構造中でのM(こ
の場合はSb)の結晶−結晶間及び/又は結晶−非晶
間、及び/又は微結晶−粗大結晶間転移(AgInTe
2は転移を容易かつ安定化させる)。
【0043】現在得られている情報だけでは相転移の機
構を明確に特定することはできないが、いずれにせよA
gInTe2及びSbが単独で存在する場合に比べ以下
の点が特に優れていることが判明した。
【0044】(1)光吸収率が大きくなり、記録・消去
感度が向上する。
【0045】(2)転移前後の光学的コンラストが大き
くなりC/Nが向上する。
【0046】(3)オーバーライト時の消去比が飛躍的
に向上する。
【0047】特に消去特性については、驚くべきこと
に、DC光による単純消去時のみならず、1ビームのオ
ーバーライトモードにおいてもほぼ完全な消去が可能で
あった。
【0048】これは現在までに公知となっているいかな
る材料にも全く見られない性能である。
【0049】次にAgSbTe2系の相をM相とする場
合を例にして説明すると、本発明にかかる記録層はAg
SbTe2系の相(M相)と、L系の相とが混相の状態
で存在している。この様な混相状態を得る方法はいくつ
かある。例えばスパッタリング等の成膜法でAg、S
b、Teを含む薄膜を基板上に成膜し、これに熱処理し
てAgSbTe2とL相とに相分離させることにより得
られる。熱処理方法としてはレーザービームによる方
法、ヒーターによる方法などがある。レーザービームに
よる場合、ディスクを回転させることでレーザービーム
強度、回転数を制御することにより熱処理条件を任意に
選択できるため好適である。
【0050】ところで、記録パワー(Pw)のレーザー
ビームを照射した場合、AgSbTe2系の相は結晶か
ら非晶質へと相転移を生じ、混相のもう一方のL相(記
録・消去時に結晶−非晶質間の相転移を生じない材料よ
りなる相)は常に非晶質状態を維持する。
【0051】又、消去パワー(PE)のレーザービーム
を照射した場合、AgSbTe系の相は非晶質から結晶
へと相転移を生じ、L相は相転移を生じることなく非晶
質状態を維持する。
【0052】この例ではL相が非晶質であったが、L相
が結晶であってもよい。又、この例ではAgSbTe2
相が非晶質状態を記録状態としてが、逆に結晶状態を記
録状態としてもよい。
【0053】いずれにしてもAgSbTe2相とL相と
はいわゆる混相状態になっている。
【0054】L相としては光吸収係数が102cm~2
上のものが望ましく、その具体例としては、In−Sb
系、In−Sb−Te系、Sb−Te系、In−Te
系、Ge−Sb系、Ge−Te系、Ge−Sb−Te系
等があげられる。
【0055】本発明においては前記のようにL相はいず
れにしても相変化が起きず、AgSbTe2相が結晶・
非晶質が相転移することにより、ディスクの反射率が変
化し、ここに記録・消去が行われるとともに、著しく高
い消去比が得られるようになる。
【0056】高い消去比が得られるメカニズムは必ずし
も明確にはなっていないが、次の様に考えることができ
る。AgSbTe2はもともと結晶化しやすい物質であ
るため、これを非相転移相Lでおおうことで記録(非晶
質化)を容易にする効果が期待される。そのメカニズム
としては下記が考えられる。
【0057】AgSbTe2をおおうL相のためにA
gSbTe2のオーダリングが起こりにくくなる。
【0058】AgSbTe2の特性をある程度維持し
たまま、記録層としての熱伝導率をL相で制御すること
により、記録時には急冷条件を満足するようにする。こ
の場合には、L相としてAgSbTe2よりも熱伝導率
の大きなものが望ましい。
【0059】又、AgSbTe2相をL相でおおうこと
により、AgSbTe2の粒径を一定に保つことがで
き、繰返し信頼性を向上させることができる。
【0060】前記一般式から判るように、本発明の記録
層においては、AgSbTe2相の量がL相の量に比較
してかなり大きくなっている。すなわち、前者のAgS
bTe2相の量は混相全体の30〜92%を占めてい
る。なお、前記一般式において、aの値が30%未満又
は92%を超えると消去比の向上に効果が認められなく
なる。又、記録層には他の不純物(例えば酸素など)が
微量(1重量%以下)含まれていてもかまわない。
【0061】すなわち、高消去比が得られるということ
は、記録部に対して消去動作を行った時、記録部を完全
におおいつくす形で結晶化又は非晶質化が進行すること
を意味している。そこで非晶質又は結晶質としての記録
部において多量のAgSbTe2の均一核形成並びに成
長がまず進行し、それに平行して非晶質L相の表面から
AgSbTe2の不均一核形成及び成長が進行するとい
うプロセスが生じているものと考えられる。
【0062】又、本発明にかかる記録層によれば、
(1)光吸収率が大きくなり、記録・消去感度が向上す
る、(2)転移前後の光学的コントラストが大きくなり
C/Nが向上する、(3)オーバーライト時の消去比が
飛躍的に向上する、なども認められた。
【0063】本発明の光情報記録媒体は、基本的には、
かかる記録層が200〜10000Å厚、好ましくは5
00〜3000Å、更に好ましくは700〜2000Å
厚で基板上に形成されたものからなっている。
【0064】本発明の前記情報記録媒体は、必要に応じ
て耐熱保護層、表面保護層、反射層、放熱層、接着層等
の補助層を設けてもよい。
【0065】本発明で用いられる基板は通常、ガラス、
セラミックスあるいは樹脂であり、樹脂基板が成型性、
コスト等の点で好適である。樹脂の代表例としてはポリ
カーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン
系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が
挙げられるが、加工性、光学特性等の点でポリカーボネ
ート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。又、基板の形状
としてはディスク状、カード状あるいはシート状であっ
ても良い。
【0066】耐熱性保護層の材料としては、SiO、S
iO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2、In2
3、MgO、ZrO2等の金属酸化物、Si34、Al
N、TiN、BN、ZrN等の窒化物、ZnS、In2
3、TaS4等の硫化物、SiC、TaC、B4C、W
C、TiC、ZrC等の炭化物やダイヤモンド状カーボ
ン或いはそれらの混合物が挙げられる。又、必要に応じ
て不純物を含んでいてもよい。このような耐熱性保護層
は各種気相成膜法、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、
プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング
法、電子ビーム蒸着法等によって形成できる。
【0067】耐熱性保護層の膜厚としては200〜50
00Å、好適には500〜3000Åとするのが良い。
200Åより薄くなると耐熱性保護層としての機能を果
たさなくなり、逆に5000Åより厚くなると、感度低
下を来たしたり、界面剥離を生じ易くなる。又、必要に
応じて保護層を多層化することもできる。
【0068】反射層と放熱層を兼ねるものとしてはA
l、Auなどの薄膜(厚さ200〜2000Åくらい)
が用いられる。
【0069】相変化材料は単層のみならず、多層膜ある
いは超微粒子状の請求項1記載の相変化物質を耐熱性マ
トリックス中に分散せしめたようなものであっても良
い。
【0070】後者のような記録膜の作製法としては、前
記気相成膜以外にゾル−ゲル法のような湿式プロセスも
適用可能である。
【0071】気相成膜法の中では、膜の特性、成膜の容
易さ等の点で高周波(rf)スパッタ法が好適な方法で
ある。
【0072】rfスパッタ法の代表的な記録層作製条件
としては、 ・ターゲット…XYZ2+M(例えばAgInTe2+S
b) ・スパッタ(反応)時圧力…0.5〜20Pa ・rfパワー…20W〜1kW ・スパッタガス…Ar+(O2:膜中酸素量制御時) ・スパッタ時間…10秒〜20分 等が挙げられるが、製法及び条件については何ら限定さ
れるものではない。
【0073】記録層の膜厚としては200〜10,00
0Å、好適には500〜3000Å、最適には700〜
2000Åである。
【0074】記録、再生及び消去に用いる電磁波として
はレーザー光、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外
線、マイクロ波等、種々のものが採用可能であるが、ド
ライブに取付ける際、小型でコンパクトな半導体レーザ
ーのビームが最適である。
【0075】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。ただし、これらの実施例は本発明を何ら制限する
ものではない。
【0076】実施例I−1 ピッチ1.6μm、深さ700Åの溝付、厚さ1.2m
m、86mmφポリカーボネート基板上にrfスパッタ
リング法により耐熱保護層、記録層、耐熱保護層、反射
層を順次積層し、評価用光ディスクを作製した。各層に
用いた材料と膜厚を下記表I−1に示す。
【0077】光ディスクの評価は830nmの半導体レ
ーザー光をNA0.5のレンズを通して媒体面で1μm
φのスポット径に絞りこみ基板側から照射することによ
り行った。
【0078】成膜後の記録膜は非晶質であったが、測定
に際し、最初に媒体面で4〜10mWのDC光でディス
ク全面を充分に結晶化させ、それを初期(未記録)状態
とした。ディスクの線速度は7m/sとした。
【0079】記録の書込み条件は、線速度7m/s、周
波数3.7MHz一定とし、レーザーパワー(PW)を
7〜14mWまで変化させた。
【0080】読みとりパワー(PR)は1.0mWとし
た。C/N(キャリア対ノイズ比)値が飽和もしくは最
大となった時のレーザーパワー(PW)と最適消去パワ
ー(PE)、並びに得られたC/N値及び消去比を表I
−1に示す。
【0081】更にC/N値45dB以上で、かつ消去比
35dB以上となったディスクについては2つの書込み
周波数(f1=3.7MHz、f2=4.5MHz)で、
交互にオーバーライトテストを実施した。
【0082】オーバーライト時の書込みパワー(PW
及び消去パワー(PE)はディスクによって最適な値を
選択した。
【0083】線速度、PR等、他の条件は書込みテスト
時と同様とした。
【0084】オーバーライト性能の結果を下記表I−2
に示す。
【0085】表I−1、2より本発明による相変化型光
記録媒体が優れた性能を有すること、特に記録感度の点
で高感度化が達成されていることが確認される。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】実施例I−2 層構成を替えた外は実施例I−1と同じ条件で書き込み
性能を試験した。その結果を下記表I−3に示す。
【0089】又、実施例I−1と同じ条件でオーバーラ
イト性能を試験した。その結果を下記表I−4に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】実施例I−3 実施例I−2と同様に、実施例I−1の層構成を替えた
外は実施例I−1と同じ条件で書き込み性能を試験し
た。その結果を下記表I−5に示す。
【0093】又、実施例I−1と同じ条件でオーバーラ
イト性能を試験した。その結果を下記表I−6に示す。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】実施例II−1 ピッチ1.6μm、深さ700Åの溝付、厚さ1.2m
m、86mmφポリカーボネート基板上にrfスパッタ
リング法により耐熱保護層、記録層、耐熱保護層、反射
層を順次積層し、評価用光ディスクを作製した。実施例
II−(1,2,3)の記録層作製時には、スパッタガス
中酸素濃度をO2ガスとArガスの流量比(O2/Ar)
を変化させることにより制御し、酸素濃度の異なる記録
層を得た。各層に用いた材料と膜厚を下記表II−1に示
す。
【0097】光ディスクの評価は830nmの半導体レ
ーザー光をNA0.5のレンズを通して媒体面で1μm
φのスポット径に絞りこみ基板側から照射することによ
り行った。
【0098】成膜後の記録膜は非晶質であったが、測定
に際し、最初に媒体面で4〜10mWのDC光でディス
ク全面を充分に結晶化させ、それを初期(未記録)状態
とした。ディスクの線速度は7m/sとした。
【0099】記録の書込み条件は、線速度7m/s、周
波数3.7MHz一定とし、レーザーパワー(PW)を
7〜14mWまで変化させた。
【0100】読みとりパワー(PR)は1.0mWとし
た。C/N(キャリア対ノイズ比)値が飽和もしくは最
大となった時のレーザーパワー(PW)と最適消去パワ
ー(PE)、並びに得られたC/N値及び消去比を表II
−1に示す。
【0101】更にC/N値45dB以上で、かつ消去比
35dB以上となったディスクについては2つの書込み
周波数(f1=3.7MHz、f2=4.5MHz)で、
交互にオーバーライトテストを実施した。
【0102】オーバーライト時の書込みパワー(PW
及び消去パワー(PE)はディスクによって最適な値を
選択した。
【0103】線速度、PR等、他の条件は書込みテスト
時と同様とした。
【0104】オーバーライト性能の結果を下記表II−2
に示す。
【0105】表II−1、2より本発明による相変化型光
記録媒体が優れた性能を有すること、特に記録感度の点
で高感度化が達成されていることが確認される。
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】実施例II−2 層構成を替えた外は実施例II−1と同じ条件で書き込み
性能を試験した。その結果を下記表II−3に示す。
【0109】又、実施例II−1と同じ条件でオーバーラ
イト性能を試験した。その結果を下記表II−4に示す。
【0110】
【表9】
【0111】
【表10】
【0112】実施例II−3 実施例II−2と同様に、実施例II−1の層構成を替えた
外は実施例II−1と同じ条件で書き込み性能を試験し
た。その結果を下記表II−5に示す。
【0113】又、実施例II−1と同じ条件でオーバーラ
イト性能を試験した。その結果を下記表II−6に示す。
【0114】
【表11】
【0115】
【表12】
【0116】実施例III−1、比較例III−1及びIII−
2 ピッチ約1.6μm、深さ約700Åの溝付で厚さ1.
2mm、86mmφのポリカーボネート基板上にrfス
パッタリング法により下部(基板側)耐熱保護層、記録
層、上部耐熱保護層、反射層を順次積層し、3種類の評
価用光ディスクを作製した。
【0117】各層に用いた材料と膜厚とを下記表III−
1に示した。なお共通して、下部耐熱保護層としてはS
34(約2000Å厚)、上部耐熱保護層としてはS
34(約1000Å厚)、反射層としてはAl(約5
00Å厚)とした。
【0118】光ディスクの評価は830nmの半導体レ
ーザー光をNA0.5のレンズを通して記録層面で約1
μmφのスポット系に絞りこみ基板側から照射すること
により行った。
【0119】成膜後の記録層は非晶質であったが、測定
に際し、最初に記録層面で4〜10mWのDC光でディ
スク全面を充分に結晶化させ、それを初期(未記録)状
態とした。ディスクの線速度は7m/sとした。
【0120】記録の書込み条件は、線速度7m/s、周
波数3.7MHz一定とし、レーザーパワー(PW)を
7〜14mWまで変化させた。
【0121】読み取りパワー(PR)は1.0mWとし
た。C/N(キャリア対ノイズ比)値が飽和もしくは最
大となった時のレーザーパワー(PW)と最適消去パワ
ー(PE)、並びに得られたC/N値及び消去比をも併
せて表III−1に示す。
【0122】
【表13】
【0123】つづいて、オーバーライト特性を評価し
た。方法は2つの書き込み周波数f1=3.7MHz、
2=4.5MHzで交互にオーバーライトを実施し
た。又、オーバーライト時の書き込みパワー(PW)及
び消去パワー(PE)はディスクによって最適な値を選
択した。その他の条件は書き込みテスト時と同様にし
た。表III−2にその結果を示す。
【0124】
【表14】
【0125】又、オーバーライトした記録層の記録部、
消去部のそれぞれに電子線回折を行ったところ、記録部
についてはアモルファス特有のブロードなリングパター
ンが観察された。これに対して消去部については記録部
と同様のリングパターンに加え、明確なブラッグ反射点
が観察され、面間隔よりこの結晶がAgSbTe2であ
ることが確認された。
【0126】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の効果を要
約すると下記のとおりである。
【0127】(1)記録・消去時に要求される加熱温度
が低い。又、本発明の材料は光吸収率が高いためレーザ
ー光の吸収時の記録層加熱昇温効率も高い。以上の理由
により、必要レーザーパワーを低くすることができる。
即ち記録・消去感度が大巾に向上する。
【0128】(2)必要レーザーパワーを低くできるた
め、市販の安い、安定した半導体レーザーを使用でき
る。
【0129】(3)レーザー照射部の温度を低く抑える
ことが可能なため、熱損傷による特性劣化を低減でき
る。
【0130】(4)オーバーライト時の消去比を飛躍的
に高くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の混相記録層の模式図で
ある。
【符号の説明】
1…相転移相 2…非相転移相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 博子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭64−72341(JP,A) 特開 昭64−72340(JP,A) 特開 平3−104019(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを照射することによって、記録
    層材料に相変化を生じさせ、情報の記録を行なう記録方
    法において、記録層の主成分として記録時に結晶−非晶
    間あるいは結晶−結晶間の相転移を生じる相(M相)
    と、記録時に相転移を生じない相(L相)との混相状態
    で存在し、かつ、M相とL相が下記条件を満足する情報
    記録媒体に記録パワーのレーザービームを照射してL相
    は相転移を生じさせずにM相を結晶状態もしくは非晶質
    状態から相転移を生じさせて情報を記録することを特徴
    とする記録方法。ただし、上記M相とL相の関係は 1-a +M a (0.30≦a≦0.92)である。
  2. 【請求項2】 光ビームを照射することによって、記録
    層材料に相変化を生じさせ、情報の消去を行なう消去方
    法において、記録層の主成分として消去時に結晶−非晶
    間あるいは結晶−結晶間の相転移を生じる相(M相)
    と、消去時に相転移を生じない相(L相)との混相状態
    で存在し、かつ、M相とL相が下記条件を満足する情報
    記録媒体に消去パワーのレーザービームを照射してL相
    は相転移を生じさせずにM相を結晶状態もしくは非晶質
    状態から相転移を生じさせて情報を消去することを特徴
    とする消去方法。ただし、上記M相とL相の関係は 1-a +M a (0.30≦a≦0.92)である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014202496A (ja) * 2013-04-01 2014-10-27 株式会社島津製作所 キャピラリセル用コネクタ及びこれに用いられるフェルール

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