JPH0734107U - 防音パネルの支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 防音性能を維持しつつ、防音パネルの軽量化
を図ることにより、コストを削減するとともに、施工性
を向上させることができる防音パネルの支持構造を提供
することである。 【構成】 防音パネル２を建築構造体１に支持する防音
パネルの支持構造であって、建築構造体１に固定された
支持部材３を備え、支持部材３は、建築構造体１から間
隔を隔てた位置に、防音パネル２の一端部が差し込まれ
る係合溝７を有するとともに、少なくとも係合溝７を形
成する部分が防振材料で構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、遮音パネルや吸音パネルなどの防音パネルを、防音室や防音壁など の建築構造体に支持するのに用いられる防音パネルの支持構造に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

この種の防音パネルの支持構造は、従来一般に、図３に示すような構成を有し ており、部屋の壁などの建築構造体５１に、防音パネルとして、遮音パネル５２ を直接、貼着して構成されている。遮音パネル５２は、鉄板や鉛含有ゴムなどの 比較的、比重の大きな材料で構成されており、質量が大きいほど遮音性能が大き くなるという、いわゆる「質量則」によって、遮音効果を発揮させるようになっ ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、この従来の支持構造では、遮音パネル５２が建築構造体５１に直接、 貼着されているため、両者の一方に加わった振動は、他方に直接、伝搬される。 このため、この支持構造では、遮音性能がもっぱら遮音パネル５２の質量則に依 存することになり、特に低音域に対して十分な遮音性能を得るためには、遮音パ ネル５２を非常に分厚く重いもので構成しなければならない。その結果、遮音パ ネル５２自体のコストが上昇するとともに、これを支持するのに十分な支持強度 を確保するために、建築構造体５１のコストも上昇してしまう。また、遮音パネ ル５２の重量が大きければ、それだけ取り扱いにくくなり、施工性も低下してし まう。

【０００４】 本考案は、このような問題点を解決するためになされたものであり、防音性能 を維持しつつ、防音パネルの軽量化を図ることにより、コストを削減するととも に、施工性を向上させることができる防音パネルの支持構造を提供することを目 的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、防音パネルを建築構造体に支持する防 音パネルの支持構造であって、建築構造体に固定された支持部材を備え、支持部 材は、建築構造体から間隔を隔てた位置に、防音パネルの一端部が差し込まれる 係合溝を有するとともに、少なくとも係合溝を形成する部分が防振材料で構成さ れていることを特徴としている。

【０００６】

【作用】

この防音パネルの支持構造によれば、防音パネルは、建築構造体に支持部材を 固定し、支持部材の係合溝に一端部を差し込むことによって、建築構造体に取り 付けられ、支持される。この場合、係合溝が、建築構造体から間隔を隔てた位置 にあるので、取り付けられた防音パネルと建築構造体との間に空気層が構成され 、この空気層によって、防音パネルと建築構造体との間が音響的に絶縁される。 また、支持部材の少なくとも係合溝を形成する部分が、防振材料で構成されてい ることにより、支持部材が、防音パネルと建築構造体を音響的に接続する「サウ ンド・ブリッジ」として作用することはなく、防音パネルと建築構造体の間の音 響的な絶縁関係が保持される。したがって、この音響的な絶縁によって、大きな 音響透過損失を得ることができるので、防音性能の高い防音パネルを使用する必 要がなくなる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の好ましい実施例を、図面を参照して詳細に説明する。

【０００８】 図１は、本考案の第１実施例に係る遮音パネルの支持構造を示す側断面図であ る。同図に示すように、本実施例の支持構造は、建築構造体１に遮音パネル２を 、支持部材３によって支持するものである。

【０００９】 建築構造体１は、遮音を必要とする防音室、防音壁、防音ドアや防音建屋など の壁や天井などであり、実施例では立設された壁が想定されている。遮音パネル （防音パネル）２は、鉄板や鉛を含有したゴムシートなどの比較的、比重の大き な材料で、長方形状に構成されている。

【００１０】 支持部材３は、ゴムや発泡プラスチックなどの防振材料で構成された帯状のも のである。支持部材３は、両側の固定部４および頭部５と、それらの中間のくび れ部６とによって、ほぼＨ形の断面形状を有しており、固定部４、頭部５および くびれ部６によって、中央に上下２つの係合溝７、７が構成される。支持部材３ は、建築構造体１の前面に水平に延びるように配置され、固定部４の部分で、ね じなどの適当な手段によって、建築構造体１にしっかりと固定されている。

【００１１】 支持部材３の上側の係合溝７には、１枚の遮音パネル２の下端部が差し込まれ て取り付けられるとともに、下側の係合溝７には、別の１枚の遮音パネル２の上 端部が差し込まれて取り付けられる。これにより、遮音パネル２が、支持部材３ を介して、建築構造体１に支持されるとともに、建築構造体１と遮音パネル２の 間に空気層８が構成される。

【００１２】 次に、上述のように支持された遮音パネル２の遮音動作を説明する。遮音パネ ル２側で音が発生すると、その振動は、遮音パネル２によって反射され、主にそ の質量則による遮音特性によって、透過損失を受ける。遮音パネル２に透過した 振動の一部は、遮音パネル２から、空気層８を介して、建築構造体１に伝播され る。この場合、遮音パネル２と建築構造体１の間が、空気層８によって音響的に 絶縁されていて、振動が遮音パネル２から空気層８に伝播される際、および空気 層８から建築構造体１に伝播される際に、それらの前後で音響インピーダンスが 大きく変化することにより、大きな音響透過損失が生じる。また、前述したよう に、支持部材３が、防振材料で構成されているので、遮音パネル２と建築構造体 １を音響的に接続する「サウンド・ブリッジ」として作用することはない。

【００１３】 このように、本実施例の支持構造では、遮音パネル２と建築構造体１の間の音 響的な絶縁関係が保持され、この音響的な絶縁によって、大きな音響透過損失を 確実に得ることができる。したがって、本実施例の支持構造は、遮音パネル自体 の遮音性能にもっぱら依存していた従来の支持構造と比較し、同等の遮音特性を 確保するのに、遮音性能の低い遮音パネルを使用してもよくなり、すなわち遮音 パネルの軽量化が可能になる。その結果、遮音パネルおよび建築構造体のコスト を削減できるとともに、遮音パネルの施工性を向上させることができる。

【００１４】 図２は、本考案の第２実施例に係る遮音パネルの支持構造を示す側断面図であ る。本実施例は、上述した第１実施例と比較し、支持部材の構成だけが異なるも のである。同図に示すように、本実施例の支持部材１３は、建築構造体１に固定 された支持本体１４と、支持本体１４に取り付けられた２つの防振部材１５、１ ５とによって構成されている。

【００１５】 支持本体１４は、鋼やステンレスなどの金属製の形材で構成されており、外側 の１つの大フランジ部１６と、２つの小フランジ部１７、１７とを備え、ほぼ「 王」字状の断面形状を有している。支持本体１４は、建築構造体１の前面に水平 に延びるように配置され、大フランジ部１６の部分で、ねじなどによって、建築 構造体１にしっかりと固定されている。

【００１６】 防振部材１５は、ゴムや発泡プラスチックなどから成る帯状のものであり、支 持本体１４の小フランジ部１７、１７間に挿入・接着されている。防振部材１５ は、外側に開放する係合溝１８を有し、この係合溝１８に遮音パネル２の一端部 が差し込まれて取り付けられることにより、遮音パネル２が、支持部材１３を介 して、建築構造体１に支持されるとともに、建築構造体１と遮音パネル２の間に 空気層１９が構成される。

【００１７】 以上の構成によれば、遮音パネル２と建築構造体１の間が、空気層１９によっ て音響的に絶縁されるとともに、遮音パネル２が防振部材１５を介して建築構造 体１に支持されるので、第１実施例と同様の効果が得られ、すなわち遮音パネル の軽量化により、遮音パネルおよび建築構造体のコストの削減と、遮音パネルの 施工性の向上とを図ることができる。本実施例では特に、支持部材１３の支持本 体１４が金属で構成されているので、支持部材１３の支持強度を大きくできると いう利点がある。

【００１８】 なお、本考案は、説明した実施例に限定されることなく、様々な態様で実施す ることができる。例えば、実施例は、防音パネルとして遮音パネルを支持した例 であるが、吸音パネルを支持する場合にも、本考案を適用できることは勿論であ る。

【００１９】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案の防音パネルの支持構造は、防音性能を維持しつ つ、防音パネルの軽量化を図ることにより、コストを削減するとともに、施工性 を向上させることができるなどの効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係る防音パネルの支持構
造を示す側断面図である。

【図２】本考案の第２実施例に係る防音パネルの支持構
造を示す側断面図である。

【図３】従来の防音パネルの支持構造を示す側断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 建築構造体 ２ 防音パネル ３ 支持部材 ７ 係合溝 １３ 支持部材 １５ 防振部材 １８ 係合溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 防音パネルを建築構造体に支持する防音
   パネルの支持構造であって、 前記建築構造体に固定された支持部材を備え、 当該支持部材は、前記建築構造体から間隔を隔てた位置
   に、前記防音パネルの一端部が差し込まれる係合溝を有
   するとともに、少なくとも当該係合溝を形成する部分が
   防振材料で構成されていることを特徴とする防音パネル
   の支持構造。