JPH07324222A - 経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維 - Google Patents

経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維

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JPH07324222A
JPH07324222A JP6112884A JP11288494A JPH07324222A JP H07324222 A JPH07324222 A JP H07324222A JP 6112884 A JP6112884 A JP 6112884A JP 11288494 A JP11288494 A JP 11288494A JP H07324222 A JPH07324222 A JP H07324222A
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polyhexamethylene adipamide
fiber
yarn
spinning
polymer
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JP6112884A
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Masahiro Tomokiyo
正博 友清
Toshiro Nagaoka
利郎 長岡
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水分の作用に基づく構造変化(水分拡散誘起
結晶化)とミクロボイド化が抑制された、経時的物性低
下、及び後加工による物性低下、具体的には製織,製
編,染色,セット操作による物性低下を防いだ、構成単
糸デニールが1.8d以下で相対的に透明でソフト感を
備えたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の提供。 【構成】 アミノ基末端濃度Aとカルボキシル基末端濃
度Bの関係がB≧1.2×Aの関係を満たすポリヘキサ
メチレンアジパミドに、遷移金属化合物,好ましくは二
酸化チタン,酸化ジルコニウムを3〜50ppm添加し
て紡糸,延伸したポリヘキサメチレンアジパミド繊維で
あって、高湿度,高温度処理による粘弾性的性質の変化
値が以下の範囲を満足するもの。 −0.005≦(αa 分散tanδmax の変化値)≦0.01 (1) −0.005≦(β分散tanδmax )≦0.003 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構成単糸デニールが1.
8d以下で相対的に透明でソフト感を備えたポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維に関する。更に,詳しくは,衣
料用途、レッグ用途などに好適に用いられるポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロ
ン66)繊維は,強度,タフネス,耐熱性,染色性堅牢
性,発色性等に優れているため,産業資材用,インテリ
ア寝装用,衣料用繊維、レッグ用繊維として幅広く使用
されている.特に、衣料用途、レッグ用途分野では、近
年、構成単糸デニールを小さくして、透明でソフト感を
与え、かつ、タフネスの高い素材が求められている。
【0003】特開昭55ー67007号公報に、平均分
子量18000のポリヘキサメチレンアジパミドの極細
繊維に関する製造方法、具体的に紡糸温度290℃,孔
当たりの吐出量0.075g/min,口金径0.1m
m,孔総数120〜240,引き取り速度4500m/
minで溶融紡糸し、紡口近傍の温度をコントロールす
ることで糸斑の少ない極細マルチフィラメントを得ると
いう製造方法が開示されている。しかし、糸の特徴,及
び経時変化問題に関しては何等記載されていない。
【0004】特公昭64ー6282号公報に、tanδ
ー温度解析から得られるtanδmax とそれを与える温
度Tmax の間にTmax ≦ー320tanδmax +13
2、かつ、Tmax ≦95℃、及び微結晶サイズ,(10
0)面の結晶配向度,繊維中心部の複屈折率を規定した
均染性良好なナイロン66繊維が開示されている。この
糸はナイロン66の特徴的欠点である経時的構造変化に
基づく染色性の変化をミニマイズできることを主張して
いる。しかし、この繊維は単糸デニールが3dレベルで
あり、本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維であ
る単糸デニール1.8d以下と比較して、かなり太いレ
ベルにある。さらに、経時的な物性低下,及び後加工操
作による物性低下に関しては何等記載されていない。
【0005】本来、ナイロン66繊維の宿命である、水
分の作用に基づく構造変化(水分拡散誘起結晶化)とミ
クロボイド化に起因する経時的な物性低下は,単糸デニ
ールが小さいほど大きいという欠点がある。糸条にかか
る欠点があると製織、製編、染色、セット段階でも物性
低下が起こる。従来、この欠点を緩和する方法として
は、水の浸透性を阻害する油剤を改良するとか、パーン
やチーズをガスバリアー性が高いパッケイジ方法を考慮
するなどの技術しかなく、ポリマースペックに遡った解
決策は余り考慮されていない。
【0006】もちろん、当該技術者なら容易に分かるよ
うに、上記問題の本質的解決は基本的に、糸条段階での
繊維構造の均一性、つまり、無定型領域の分子鎖の凝集
性にかかっている。この点では、構造歪部分(球晶部分
など)を小さくし、分子鎖配向を容易にして凝集構造の
緻密化を図ることは、通常の紡糸技術として採用されて
いる。
【0007】例えば、吐出されたポリマーメルトの温度
を上げる、また、ポリマーメルトに与える冷風温度を下
げる、冷風速度を上げる、与える冷風を円周方向から均
一に与える、一方向から冷風を与える場合は、ポリマー
メルトが吐出される紡口配列を最適化する、単糸デニー
ルを下げるなどで対応してきた。これは、現在工業的に
採用されている引取りロール温度をポリマーのガラス転
移点(ポリアミドでは65ー75℃)に設定する、いわ
ゆる、冷延伸法では妥当な方法である。上記の方法で
は、球晶の減少に依り、無定形部分に収容される分子鎖
の分率も必然的に増加する。
【0008】しかし、これらの方法だけでは無定形領域
に存在する分子鎖を均一に引伸ばすための、均一凝集構
造を得るには程遠いのが現状である。特に、ポリマーメ
ルト温度を上げることが、効果的であるが、ポリマーの
分解の問題がつきまとう。他方、なるべく分子鎖の充填
密度の均一な無定形分率の絶対的増加を具現化する方法
は、ポリアミド繊維の高タフネス化と称して、色々と提
案されている。先記したもの以外で提案されている技術
は、特許や学術論文で判断すると,1)ポリマーの重合
度を上げる,2)高温でゾーン(非接触型)延伸する,
3)紡糸速度を落として後で,多段延伸する,4)非水
系油剤を用いる,5)吐出冷却固化した糸条に140℃
位で積極的にスチーミングし,結晶化を促進されるなど
がある。
【0009】5)は、糸条が最終製品になってからの耐
久性、耐疲労性向上とは相反する。2)は延伸度にもよ
るが、もっとも、分子鎖の充填密度の均一な無定形分率
の絶対的増加を具現化し、しかも、糸条物がロール等の
媒体に接触しないため、マクロな構造欠陥(毛羽)も出
にくいが、生産性、製造設備面、コスト面できわめて不
利である。3)の場合も設備面、生産性面で不利である
ばかりでなく、ロール等の媒体に接触する機会が多くな
り、摩擦による構造欠陥も出やすい。4)は作業環境面
や比例製造費的に問題がある。もちろんこれらの方法は
重要な技術領域ではあるが、構成単糸が1d以下のナイ
ロン66では、上述のナイロン66繊維の宿命である、
水分の作用に基づく構造変化に起因する経時的な物性低
下解決には不十分である。
【0010】本発明者らは,上記の経時的な物性低下の
機構を科学的に究明し、水分拡散誘起結晶化に基づくミ
クロボイド形成のみならず、カルボキシル末端基の存在
自体が分子鎖凝集性を阻害すること、および、カルボキ
シル末端過剰のポリアミド繊維中に僅かな遷移金属酸化
物を添加すると無定型部分の分子鎖凝集性を飛躍的に高
め、経時物性安定化を図れることを見いだし本発明に至
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,高タ
フネス,及びソフト感が要求される衣料、レッグ分野に
おいて、構成単糸デニールが1.8d以下で、経時的な
物性低下がなく、更には、製織,製編,染色,プレセッ
ト等の後加工操作による物性低下の少ないポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、構
成単糸デニールが1.8d以下のポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維であり、高温・高湿処理による粘弾性的性
質の変化値が以下を満足することを特徴とするポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維、 −0.005≦(αa 分散tanδmax の変化値)≦0.01 (1) −0.005≦(β分散tanδmax )≦0.003 (2) [粘弾性的性質の変化値は、処理後の測定値から処理前
の測定値を引いた値である。]、である。
【0013】また、アミノ末端基濃度A(ミリ等量/k
g;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(me
q/kg)の関係がB≧1.2×Aであるポリヘキサメ
チレンアジパミドチップであって、遷移金属酸化物を3
〜50ppm含むことを特徴とする請求項1記載のポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維、である。本発明の高湿
度や高温度雰囲気下での物性の経時安定性に優れた単糸
デニール1.8d以下のポリヘキサメチレンアジパミド
繊維は、アミノ末端基濃度A(ミリ等量/kg;meq
/kg)とカルボキシル末端基濃度B(meq/kg)
の関係がB≧1.2×Aであるポリヘキサメチレンアジ
パミドチップに対し、二酸化チタン,酸化ジルコニウム
等の遷移金属酸化物を3〜50ppm添加して、270
℃以上で溶融吐出後、そのまま引取る、または、該引取
繊維を引き続き延伸する製造方法で得られ、高温・高湿
処理による粘弾性的性質の変化値が、 −0.005≦(αa 分散tanδmax の変化値)≦
0.01 −0.005≦(β分散tanδmax )≦0.003 [粘弾性的性質の変化値は、処理後の測定値から処理前
の測定値を引いた値である。]を満足することを特徴と
するものである。
【0014】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、水
分の作用に基づく繊維構造変化が大きく、これに起因す
るミクロボイド化で経時的な物性低下が引き起こされ
る。すなわち、高温・高湿処理による繊維構造変化が小
さいもの程、経時的な物性低下が抑制される。高温・高
湿処理による強度,伸度保持率ともに95%以上を可能
にするためには、繊維構造の粘弾性的性質の変化値が上
記の範囲を満足する必要がある。
【0015】高温・高湿処理による繊維の粘弾性的性質
の変化値を、上記範囲内にコントロールするためには、
糸条段階での繊維構造の緻密性を高める必要がある。繊
維構造緻密性は図1に示すtanδ−温度(T)曲線解
析から判定でき、特にαa 分散ピークのtanδmax と
25℃におけるtanδの比で判断できる。αa 分散ピ
ークのtanδmax と25℃におけるtanδの比は繊
維の強度レベル、及び紡糸方法で異なってくるが、同一
紡糸方法で得られた繊維であり、かつ同レベルの物性値
を示すものでは、(25℃におけるtanδ値)/(α
a 分散tanδmax 値)が小さいもの程、経時的物性低
下は抑制される。
【0016】なお、ここでいう高温・高湿処理とは、定
長状態で室温45℃,相対湿度85%にコントロールさ
れた恒温室に7日間放置することをいう。本発明のポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維は、原料ポリマーがアジ
ピン酸とヘキサメチレンジアミンとの重縮合体であっ
て,通常用いられる添加剤,例えば,リン酸,次亜リン
酸ソーダ等の無機リン化合物,フェニルフォスフォン
酸,トリフェニルフォスファイト等の有機リン化合物,
リン- 窒素系錯塩,リン−窒素系化合物等の重合触媒,
酢酸銅,臭化銅,よう化銅,2-メルカプトベンズイミダ
ゾール銅錯塩等の銅化合物,2-メルカプトベンズイミダ
ゾール,テトラキス- [メチレン-3- (3,5-ジt- ブチ
ル-4- ヒドロキシフェニル)- プロピオネート]- メタ
ン等の熱安定剤,乳酸マンガン,次亜リン酸マンガン等
の光安定剤,二酸化チタン,カオリン等の艶消剤,エチ
レンビスステアリルアミド,同部分メチロール化物,ス
テアリン酸カルシュームなどの滑剤,可塑剤,結晶阻害
剤を含ませる事が出来る。
【0017】本発明で規定するヘキサメチレンジアミン
のアミノ末端基濃度A(ミリ等量/kg;meq/k
g)とカルボキシル末端基濃度B(meq/kg)の関
係がB≧1.2×Aでないと本質的なポリマーゲル阻害
効果が弱く、重合工程の安定化作用も少ない。また、B
の上限値は限定的ではないが、余り高いとポリマーメル
ト中に存在する水分と高温作用で紡糸中に極度に加水分
解され全く紡糸安定性を欠くので留意して決定すべきで
ある。さらに、好ましくはB≧1.3×Aである。
【0018】かかる上記ヘキサメチレンジアミンのポリ
マーは重合安定性はよいが、実は紡糸安定性は相対的に
低い。これは、通常の溶融紡糸で得られる吐出糸状物
(第1ゴデットロール(以下GD)引き取り糸)の基本
的凝集構造の緻密さが低いためであり、特に1GD引き
取り糸を次に冷延伸する場合の収率や品質安定性の点で
も問題であることが判明してきた。もちろん、かかる繊
維は水分拡散誘起結晶化とミクロボイド形成性も大き
く、機械特性の経時安定性は低い。かかるポリマーであ
っても、僅かな遷移金属酸化物の存在が、驚くほど紡糸
繊維の無定型凝集構造の緻密さを増大させ、紡糸収率の
安定化はもちろん、機械特性の経時安定性が著しく改善
された繊維となる。
【0019】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊
維は、遷移金属酸化物が二酸化チタン,酸化ジルコニウ
ムである、である。本発明に用いる遷移金属の酸化物と
は、チタン,マンガン,クロム,コバルト,ニッケル,
銅,亜鉛,ジルコニウムなどの酸化物をいう。衣料用繊
維の白度、透明性の点で有色物は難点があるので、一般
的にはチタン,ジルコニウムの酸化物が好ましい。
【0020】遷移金属の酸化物は、凝集構造安定化に必
要な量が3〜50ppm程度であり、特に透明性を要求
される場合は3〜20ppmで十分である。特にチタン
酸化物は繊維業界では艶消し剤、紫外線吸収剤とごくあ
りふれたものであるが、通常200ppm以上使用する
か、用途的に全く添加しないか、どちらかであり、本発
明の末端基バランスを有するポリマーに極少量添加する
系は余り知られていない。
【0021】本発明に用いるポリヘキサメチレンアジパ
ミドは、遷移金属酸化物の量が3ppm以下になると、
冷延伸操作の入る紡糸では、糸切れが頻発する。50p
pm以上になると、繊維凝集構造的には更に緻密になる
が、紡糸中のポリマーメルトの流れ特性が弾性的になる
傾向を示し、紡口吐出時のメルト流動の不安定性につな
がり、また、実用上の機械特性の経時安定化にさほどプ
ラス効果も与えない。
【0022】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊
維は、ポリマーメルト温度が270℃なら通常の溶融紡
糸設備で容易に紡糸できるが、最適ポリマー温度は使用
チップの水分率によって定められるべきである。チップ
水分が通常の500〜1200ppm程度であると、1
GD巻き取り糸の構造安定性の点で285℃以上必要
で、水分率を1600〜5000ppmにすると、紡糸
温度は270℃を切らなければ、十分適正な紡糸がで
き、しかも、凝集構造の均一な1GD巻き取り糸を生産
できる。
【0023】これは、水分による可塑化効果に加え、分
子量の多分散性を小さくする効果とも考えられる。水分
率が1600ppm以下では溶融吐出されるポリマーメ
ルトのダイスエル改善効果が低く,紡糸された1GD引
取り糸の凝集構造の均一性に問題を残す。また、基本的
にチップの水分率を制御するのは極めて難しく、水分率
が低いとその変動に基づく紡糸安定性に対する影響も大
きくなる。逆に、5000ppm以上では,急激な結晶
化作用を誘起し,安定な紡糸性が確保できない。より好
適なチップ水分率の範囲は、水分変動による吐出ポリマ
ーメルトの粘性変動が小さい点、紡糸された1GD卷取
り糸の構造安定性、及び紡糸性を考慮して、1800p
pm〜3500ppmである。
【0024】また、ポリマーメルトの水分が高い系で紡
糸する利点は、基本的に吐出繊維の白度は高く、衣料用
途向けには格段の有利性を与える。これは、溶融中に起
こる黄変原因物質であるピロール環誘導体の生成を抑え
る為である。更に、ポリヘキサメチレンアジパミドと同
様に、その水素結合性が水分により制御できる他のポリ
マーや低分子物質などとの溶融混合性を飛躍的に向上さ
せ、ポリヘキサメチレンアジパミドとの相分離をミニマ
イズした新しい繊維素材を提供し得る利点も持つ。
【0025】次いで、本発明のポリヘキサメチレンアジ
パミド繊維の紡糸方法の1例を図2に示す。ポリヘキサ
メチレンアジパミドポリマーを紡糸口金1より溶融紡糸
し、スチームコンデイショナーカラム3までの間で冷却
風2で冷却する。次いで長さ2mのスチームコンデイシ
ョナーカラム3でスチームを付与し、オイリングロール
4で仕上げ剤を付与した後、引き取りロール5を介して
1100m/分の巻き取り速度で巻き取り機6に未延伸
糸7を巻き取った。
【0026】得られた未延伸糸7を20℃,相対湿度6
5%の雰囲気下に3日間保管後、図3に示すような延伸
装置を用いて延伸した。すなわち、未延伸糸7をコット
ロール8で送り出しフィードロール9を介して延伸ピン
10に導きドロロール11までで延伸した。次いで巻き
取り機12で延伸糸13を巻き取った。なお、本発明の
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、一旦、巻き取る
ことなく、直接紡糸・延伸する方法でも、特公昭64ー
6282号公報に記載されているような引き取り速度4
000m/min以上の高速紡糸法でも製造可能であ
る。
【0027】
【実施例】以下実施例にて説明するが,これに限定され
るものではない。実施例の説明に先立ち、アミノ基末端
濃度の測定法、ポリヘキサメチレンアジパミド中の二酸
化チタンの定量方法など物性測定について述べる。 (1)アミノ基末端濃度の測定法 ポリマー6gを小数点以下3桁まで正確に秤量し、これ
を90%フェノール水溶液50ccに溶解する。完全溶
解後溶液温度を25℃に安定させ、0.05Nー塩酸水
溶液でPH3まで滴定する。この時の0.05N塩酸水
溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー1kg
当たりのアミノ基末端濃度(ミリ等量/kg)を算出す
る。
【0028】アミノ基末端濃度=A×F×50/B A:滴定に要した0.05Nー塩酸水溶液量(ml) F:0.05Nー塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g) (2)カルボキシル基末端濃度の測定法 ポリマー4gを小数点下3桁まで正確に秤量し、これを
170℃のベンジルアルコール50ccに溶解する。完
全溶解後、ベンジルアルコール1リットル、フェノール
フタレイン5g、酢酸銅0.5g、二酸化チタン12g
から調整された指示薬を0.3ml添加する。その後、
0.1NーNaOHエチレングリコール溶液を滴下し、
液色が紅色を呈した時点を終点とする。この時の0.1
NーNaOHエチレングリコール溶液滴下量を記録し、
以下の計算式にてポリマー1kg当たりのカルボキシル
基末端濃度(ミリ等量/kg)を算出する。
【0029】 カルボキシル基末端濃度 =A×F×100/B A:滴定に要した0.1NーNaOHエチレングリコー
ル溶液(ml) F:0.05Nー塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g) (3)ポリヘキサメチレンアジパミドチップの水分率測
定方法 電気滴定方式微量水分測定装置(三菱CAー05型)、
水分気化装置(VAー05型)を用い、気化温度208
℃、N2 キャリアーガス流量300ml/min、EN
DSENS;0.5μg/sec、遅延時間;5分、バ
ックグランド;0.05以下の条件でサンプル重量約1
gのチップについて測定した値である。 (4)tanδ−T解析 卷取り糸の構造安定性を調べるtanδ−T解析は、以
下の方法で実施できる。なお、サンプルは20℃,相対
湿度65%にコントロールされた恒温室に3日間以上保
管したものを使用した。
【0030】粘弾性測定装置:オリエンテック社製レオ
バイブロンDDVー01FP型 測定糸長 :2cm 初期荷重 :0.15g/d 加振振幅 :16.0μm 昇温速度 :3℃/min 加振周波数 :110Hz 測定値は、同じサンプルについて10回の測定を繰り返
した値の平均値である。 (5)ポリヘキサメチレンアジパミド中の二酸化チタン
の定量方法 なお、二酸化チタンは富士チタン製TA300を使用し
た。
【0031】二酸化チタンを含んだポリヘキサメチレン
アジパミドチップを約10g程度秤量し、磁性るつぼ中
で燃焼、炭化させる。次いで500℃の電気炉の中に5
0分間放置し灰化させる。なお、ポリマー中にハロゲン
化物が含まれている時は、上記操作中にチタンが昇華し
てしまうので、燃焼させる前に酸化マグネシウムを約
0.05g程度加えた方がよい。完全に灰化したら、放
冷後、硫酸アンモニウム5g,硫酸8mlを加え、加熱
して二酸化チタンを完全に溶解する。この溶液に3%の
過酸化水素水5mlを加えた後、水で正確に100ml
にメスアップする。
【0032】分光光度計にて調整した溶液の波長420
nmの位置の吸光度を測定する。事前に二酸化チタン量
と波長420nmでの吸光度の関係を求め検量線を作成
しておき、この検量線よりポリマー中に含まれる二酸化
チタン含有量を求める。
【0033】
【実施例1〜4】アミノ基末端濃度(A)とカルボキシ
ル基末端濃度(B)の比、(B/A)が1.3となるよ
うに、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の成分比を
コントロールし、常法の重合方法にて90%蟻酸相対粘
度(以降VRと称す)45(A+B=115mmol/ポリ
マーkg)のポリヘキサメチレンアジパミドポリマーを
得た。ここでいう90%蟻酸相対粘度とは、90%蟻酸
にポリマー重量8.4重量%となるように溶解せしめた
溶液の25℃における相対粘度である。
【0034】更に、ポリマー中の二酸化チタン含有量が
5ppm,15ppm,50ppm、及び、酸化ジルコ
ニウムが15ppmとなるように、重合途中で二酸化チ
タン,酸化ジルコニウムをそれぞれ添加した。得られた
ペレットをチップ水分率が2000ppmとなるよう従
来の乾燥,吸湿方法で処理し調整した後、図2に示すよ
うな紡糸装置を用いて紡糸,延伸し、単糸1本当たり
1.4デニール,5フィラメントのポリヘキサメチレン
アジパミド繊維を得た。
【0035】得られた延伸糸を東洋ボールドウイン社製
テンシロンRTAー100型機を使用し、繊維糸長20
cm,クロスヘッドスピード200mm/分の測定条件
で繊維物性を測定した。測定結果を表1に示す。なおこ
こでいう強度は、強力を繊度(デニール)で割った値で
ある。次いでこの延伸糸を45℃,相対湿度85%の雰
囲気下で7日間高温,高湿処理を施した。高温,高湿処
理後の繊維物性,及び高温,高湿処理前のtanδ−T
解析から得た繊維構造凝集性を代表する値と処理前後で
のαa 分散ピーク,及びβ分散ピークのtanδmax の
変化値,更に72hr紡糸,延伸した時の切れ糸回数を
表1に示す。二酸化チタン含有量5ppm,15pp
m,50ppmであるポリマーから得られた繊維,及び
酸化ジルコニウム含有量15ppmであるポリマーから
得られた繊維は、高温,高湿処理による経時的な物性低
下がなく、繊維構造の変化も小さい。また、紡糸,延伸
安定性も高い。
【0036】
【比較例1〜3】実施例1,2と同様な重合方法でアミ
ノ基末端濃度(A)とカルボキシル基末端濃度(B)の
比、(B/A)=1.2であり、VR45で、二酸化チ
タン含有量0ppm,80,160ppmのポリヘキサ
メチレンアジパミドを得た。これを実施例1,3と同様
な乾燥,調湿方法でチップ水分率2000ppmに調整
した。得られたチップを実施例1,2と同様な方法で紡
糸延伸し、単糸1本当たり1.4デニール、5フィラメ
ントのポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0037】表1に、得られたポリヘキサメチレンアジ
パミド繊維の物性,及び7日間高温,高湿処理したポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維の物性、更に、高温,高
湿処理前のtanδ−T解析から見た繊維構造凝集性を
代表する値と処理前後での繊維構造の変化値、及び72
時間紡糸,延伸した時の切れ糸回数を表1に示す。二酸
化チタン含有量が0ppmであるポリマーから得られた
繊維は、高温,高湿処理による経時物性低下が大きく、
処理前後での繊維構造変化も大きくなる。更に、72時
間紡糸,延伸における糸切れ回数も多い。
【0038】二酸化チタン含有量80ppm,160p
pmからなる繊維は高温,高湿処理による経時物性低下
は、二酸化チタン含有量5ppm,15ppm,50p
pmと比較して同レベルであるが、原糸の物性が低下
し、且つ72hr紡糸,延伸における糸切れ回数が多く
なる。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド
繊維は、単糸デニール1.8d以下であり、衣料用途,
レッグ用途に用いた時、透明で、且つソフト感を備えた
製品を提供することが可能となる。さらに、糸条の経時
物性低下,及び後加工操作による物性の低下が大きく改
善されていることから、加工中の糸切れ等のトラブルが
解消されるのと同時に、品質安定性の高い製品を提供す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維のtanδ
ー温度(T)曲線のモデル図を示す。
【図2】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの紡糸設備を模式的に示す工程図。
【図3】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの延伸設備を模式的に示す工程図。
【符号の説明】
1.紡糸口金 2.冷却風 3.スチームコンデイショナーカラム 4.オイルングロール 5.引き取りロール 6.巻き取り機 7.未延伸糸 8.コットロール 9.フィードロール 10.延伸ピン 11.ドロロール 12.巻き取り機 13.延伸糸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成単糸デニールが1.8d以下のポリ
    ヘキサメチレンアジパミド繊維であり、高温・高湿処理
    による粘弾性的性質の変化値が以下の条件を満足するこ
    とを特徴とするポリヘキサメチレンアジパミド繊維。 −0.005≦(αa 分散tanδmax の変化値)≦0.01 (1) −0.005≦(β分散tanδmax )≦0.003 (2)
  2. 【請求項2】 アミノ末端基濃度A(ミリ等量/kg;
    meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(meq/
    kg)の関係がB≧1.2×Aであるポリヘキサメチレ
    ンアジパミドチップであって、遷移金属酸化物を3〜5
    0ppm含むことを特徴とする請求項1記載のポリヘキ
    サメチレンアジパミド繊維。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の遷移金属酸化物が二酸化
    チタン,酸化ジルコニウムであることを特徴とする請求
    項1,2記載のポリヘキサメチレンアジパミド繊維。
JP6112884A 1994-05-26 1994-05-26 経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維 Pending JPH07324222A (ja)

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