JPH07316917A - 経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維及び製造方法 - Google Patents

経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維及び製造方法

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JPH07316917A
JPH07316917A JP6109786A JP10978694A JPH07316917A JP H07316917 A JPH07316917 A JP H07316917A JP 6109786 A JP6109786 A JP 6109786A JP 10978694 A JP10978694 A JP 10978694A JP H07316917 A JPH07316917 A JP H07316917A
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JP6109786A
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Masahiro Tomokiyo
正博 友清
Tomonori Koizumi
智徳 小泉
Toshiro Nagaoka
利郎 長岡
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成単糸デニールが1.8d以下で相対的に
透明でソフト感を備えたポリヘキサメチレンアジパミド
繊維の経時的な物性低下、及び後加工による物性低下、
具体的には製織,製編,染色,セット操作による物性低
下を防ぐ。 【構成】 構成単糸デニールが1.8以下であり、高温
高湿処理による粘弾性的性質の変化値が所定範囲内であ
るポリヘキサメチレンアジパミド繊維および製造方法。 【効果】 水分の作用に基づく構造変化(水分拡散誘起
結晶化)とミクロボイド化が抑制され、繊維の経時的な
物性低下、及び後加工による物性低下、具体的には製
織,製編,染色,セット操作による物性低下がなくな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構成単糸デニールが1.
8d以下で相対的に透明でソフト感を備えたポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維および製造方法に関する。更
に、詳しくは、衣料用途、レッグ用途などに好適に用い
られるポリヘキサメチレンアジパミド繊維および製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロ
ン66)繊維は、強度、タフネス、耐熱性、染色性堅牢
性、発色性等に優れているため、産業資材用、インテリ
ア寝装用、衣料用繊維、レッグ用繊維として幅広く使用
されている。特に、衣料用途、レッグ用途分野では、近
年、構成単糸デニールを小さくして、透明でソフト感を
与え、かつ、タフネスの高い素材が求められている。
【0003】特開昭55−67007号公報には、平均
分子量18000のポリヘキサメチレンアジパミドの極
細繊維に関する製造方法、具体的に紡糸温度290℃、
孔当たりの吐出量0.075g/min、口金径0.1
mm、孔総数120〜240、引き取り速度4500m
/minで溶融紡糸し、紡口近傍の温度をコントロール
することで糸斑の少ない極細マルチフィラメントを得る
という製造方法が開示されている。しかし、糸の特徴、
及び経時変化問題に関しては何等記載されていない。
【0004】特公昭64−6282号公報には、tan
δ−温度解析から得られるtanδmaxとそれを与える
温度Tmaxの間にTmax≦−320tanδmax+13
2、かつ、Tmax≦95℃、及び微結晶サイズ、(10
0)面の結晶配向度、繊維中心部の複屈折率を規定した
均染性良好なナイロン66繊維が開示されている。この
糸はナイロン66の特徴的欠点である経時的構造変化に
基づく染色性の変化をミニマイズできることを主張して
いる。しかし、この繊維は単糸デニールが3dレベルで
あり、本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維であ
る単糸デニール1.8d以下と比較して、かなり太いレ
ベルにある。さらに、経時的な物性低下、及び後加工操
作による物性低下に関しては何等記載されていない。
【0005】本来、水分の作用に基づく構造変化(水分
拡散誘起結晶化)とミクロボイド化に起因するナイロン
66繊維の経時的な物性低下は、単糸デニールが小さい
ほど大きいという欠点がある。原糸にかかる欠点がある
と、製織、製編、染色、セット段階でも物性低下が起こ
る。従来、この欠点を緩和する方法としては、水の浸透
性を阻害する油剤を改良したり、パーンやチーズをガス
バリアー性の高いパッケイジ方法を考慮するなどの技術
しかなく、ポリマースペックに遡った解決策は余り考慮
されていない。
【0006】もちろん、当該技術者なら容易に分かるよ
うに、上記問題の本質的解決は基本的に、原糸段階での
繊維構造の均一性、つまり、無定型領域の分子鎖の凝集
性にかかっている。この点では構造歪部分(球晶部分な
ど)を小さくし、分子鎖配向を容易にして凝集構造の緻
密化を図ることは、通常の紡糸技術として採用されてい
る。例えば、吐出されたポリマーメルトの温度を上げ
る、また、ポリマーメルトに与える冷風温度を下げる、
冷風速度を上げる、与える冷風を円周方向から均一に与
える、一方向から冷風を与える場合は、ポリマーメルト
が吐出される紡口配列を最適化する、単糸デニールを下
げるなどで対応してきた。これは、現在工業的に採用さ
れている引取りロール温度をポリマーのガラス転移点
(ポリアミドでは65〜75℃)に設定する、いわゆ
る、冷延伸法では妥当な方法である。上記の方法では、
球晶の減少に依り、無定形部分に収容される分子鎖の分
率も必然的に増加する。しかし、これらの方法だけでは
無定形領域に存在する分子鎖を均一に引伸ばすための、
均一凝集構造を得るには程遠いのが現状である。特に、
ポリマーメルト温度を上げることが、効果的であるが、
ポリマーの分解の問題がつきまとう。
【0007】他方、なるべく分子鎖の充填密度の均一な
無定形分率の絶対的増加を具現化する方法は、ポリアミ
ド繊維の高タフネス化と称して、色々と提案されてい
る。先記したもの以外で提案されている技術は、特許や
学術論文で判断すると、1)ポリマーの重合度を上げ
る、2)高温でゾーン(非接触型)延伸する、3)紡糸
速度を落として後で、多段延伸する、4)非水系油剤を
用いる、5)吐出冷却固化した糸条に140℃位で積極
的にスチーミングし、結晶化を促進されるなどがある。
5)は、原糸が最終製品になってからの耐久性、耐疲労
性向上とは相反する。2)は延伸度にもよるが、もっと
も、分子鎖の充填密度の均一な無定形分率の絶対的増加
を具現化し、しかも、糸条物がロール等の媒体に接触し
ないため、マクロな構造欠陥(毛羽)も出にくいが、生
産性、製造設備面、コスト面できわめて不利である。
3)の場合も設備面、生産性面で不利であるばかりでな
く、ロール等の媒体に接触する機会が多くなり、摩擦に
よる構造欠陥も出やすい。4)は作業環境面や比例製造
費的に問題がある。もちろんこれらの方法は重要な技術
領域ではあるが、構成単糸が1.8d以下のナイロン6
6では、上述のナイロン66繊維の水分の作用に基づく
構造変化に起因する経時的な物性低下解決には不十分で
ある。
【0008】本発明者らは、上記の経時的な物性低下の
機構を科学的に究明し、水分拡散誘起結晶化に基づくミ
クロボイド形成のみならず、カルボキシル末端基の存在
自体が分子鎖凝集性を阻害し、場合によっては加水分解
起点になること、および、ポリアミド繊維のアルカリ処
理が基本的に無定型部分の分子鎖凝集性を高めることな
どを見い出し本発明に至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高タ
フネス、及びソフト感が要求される衣料、レッグ分野に
おいて、構成単糸デニールが1.8d以下で、経時的な
物性低下がなく、更には、製織、製編、染色、プレセッ
ト等の後加工操作による物性低下の少ないポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、構成単
糸デニールが1.8d以下であり、高温・高湿処理によ
る粘弾性的性質の変化値が下記式(1)、(2)を満足
するポリヘキサメチレンアジパミド繊維および製造方法
である。 −0.005≦(αa分散tanδmaxの変化値)≦0.01 (1) −0.005≦(β分散tanδmaxの変化値)≦0.003 (2) [粘弾性的性質の変化値は、処理後の測定値から処理前
の測定値を引いた値である。] 本発明の高湿度や高温度雰囲気下での物性の経時安定性
に優れた単糸デニール1.8d以下のポリヘキサメチレ
ンアジパミド繊維は、アミノ末端基濃度A(ミリ等量/
kg;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(m
eq/kg)の関係がA≧1.2×Bであるポリヘキサ
メチレンアジパミドチップの水分量を1600〜500
0ppmに調整し、270℃以上で溶融吐出して、その
まま引取る、または、該引取糸を引き続き延伸すること
によって得られる。
【0011】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、水
分の作用に基づく繊維構造変化が大きく、これに起因す
るミクロボイド化で経時的な物性低下が引き起こされ
る。すなわち、高温・高湿処理による繊維構造変化が小
さいもの程、経時的な物性低下が抑制される。高温・高
湿処理による強度、伸度保持率ともに95%以上を可能
にするためには、繊維構造の粘弾性的性質の変化値が上
記の範囲を満足する必要がある。
【0012】高温・高湿処理による繊維の粘弾性的性質
の変化値を、上記範囲内にコントロールするためには、
原糸段階での繊維構造の緻密性を高める必要がある。繊
維構造緻密性は図1に示すtanδ−温度(T)曲線解
析から判定でき、特にαa分散ピークのtanδmaxと2
5℃におけるtanδの比で判断できる。αa分散ピー
クのtanδmaxと25℃におけるtanδ値の比は、
繊維強度レベル、及び紡糸方法で異なるが、同一紡糸方
法、及び同強度レベルで比較する限りにおいては、(2
5℃におけるtanδ値)/(αa分散tanδmax値)
が小さい程、高温、高湿処理による物性低下が小さい。
【0013】なお、ここでいう高温・高湿処理とは、定
長状態で室温45℃、相対湿度85%にコントロールさ
れた恒温室に7日間放置することをいう。本発明のポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維の構成単糸デニールは、
1.8以下であり、柔軟性の点から細い程好ましい。本
発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維の原料ポリマ
ーは、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの重縮合
体であって、通常用いられる添加剤、例えば、リン酸、
次亜リン酸ソーダ等の無機リン化合物、フェニルフォス
フォン酸、トリフェニルフォスファイト等の有機リン化
合物、リン-窒素系錯塩、リン−窒素系化合物等の重合
触媒、酢酸銅、臭化銅、よう化銅、2-メルカプトベンズ
イミダゾール銅錯塩等の銅化合物、2-メルカプトベンズ
イミダゾール、テトラキス-[メチレン-3-(3,5-ジt-
ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]-メ
タン等の熱安定剤、乳酸マンガン、次亜リン酸マンガン
等の光安定剤、二酸化チタン、カオリン等の艶消剤、エ
チレンビスステアリルアミド、同部分メチロール化物、
ステアリン酸カルシュームなどの滑剤、可塑剤、結晶阻
害剤を含ませる事が出来る。
【0014】ポリヘキサメチレンアジパミドチップのア
ミノ末端基とカルボキシル末端基濃度は仕込モノマー比
率によって調整できる。本発明で規定するアミノ末端基
濃度A(ミリ等量/kg;meq/kg)とカルボキシ
ル末端基濃度B(meq/kg)の関係がA≧1.2×
Bであれば、繊維構造の緻密性が高くなり、具体的に
(25℃におけるtanδ)/(αa分散ピークのta
nδmax)値が小さくなり、高温、高湿処理による繊維
構造の動き幅が小さくなる。すなわち経時的な物性安定
性、及び後加工安定性が保証できる。β分散ピークの動
きに注目すると、Aが規定量以上の場合、高温・高湿処
理によってピークがほとんど動かなくなる。学術論文等
で判断する限りにおいて、繊維中に含まれる水分量が一
定の場合、β分散ピークは末端部側鎖の熱運動を反映し
ており、この領域が変化しやすいと基本的に応力集中点
(末端部)での弱点を持っていることになる。
【0015】更に、Aが規定量以上であると、溶融紡糸
で得られる吐出糸状物(第1ゴデットロール(GD)引
き取り糸)の基本的凝集構造の緻密性が増し、無定型部
に水分が浸透しても、アルカリ雰囲気下であるがゆえに
繊維構造の緻密性を乱さない。基本的凝集構造の緻密さ
は、1GD引き取り糸を次に冷延伸する場合の収率や品
質安定性の点でも重要で、Aが上記規定以下では、収率
が相対的に低位で、しかも、延伸操作に付随する品質ば
らつきの点で問題になることが多い。
【0016】更に、溶融に際して、チップに含まれる水
分が通常の500〜1200ppm程度であると、極め
て高い温度(300℃以上)で紡糸せざるを得ず、ポリ
マーの酸化分解などの問題や、長期操作中に押出し機壁
面へのポリマーゲル生成の問題も発生し、紡糸安定性を
阻害する。しかし、本発明のように本発明に用いられる
チップに含まれる水分率を1600〜5000ppmに
すると、紡糸温度は270℃を切らなければ、十分適正
な紡糸ができ、しかも、凝集構造の均一な1GD巻き取
り糸を生産できる。これは、水分による可塑化効果に加
え、分子量の多分散性を小さくする効果とも考えられ
る。水分率が1600ppm以下では溶融吐出されるポ
リマーメルトのダイスエル改善効果が低く、紡糸された
1GD引取り糸の凝集構造の均一性に問題を残す。ま
た、基本的にチップの水分率を制御するのは極めて難し
く、水分率が低いとその変動に基づく紡糸安定性に対す
る影響も大きくなる。逆に、5000ppm以上では、
急激な結晶化作用を誘起し、安定な紡糸性が確保でき
ず、引き続き延伸操作をする際、無定型領域の分子鎖分
率が低いことも災いしてスムースな延伸を確保できず、
結果的に経時安定性を保証できない。より好適なチップ
水分率の範囲は、水分変動による吐出ポリマーメルトの
粘性変動が小さい点、および、紡糸された1GD卷取り
糸の構造安定性を考慮して、1800ppm〜3500
ppmである。
【0017】また、ポリマーメルトの水分が本発明の範
囲であると、基本的に吐出繊維の白度は高く、衣料用途
向けには格段の有利性を与える。これは、溶融中に起こ
る黄変原因物質であるピロール環誘導体の生成を抑える
為である。更に、ポリヘキサメチレンアジパミドと同様
に、その水素結合性が水分により制御できる他のポリマ
ーや低分子物質などとの溶融混合性を飛躍的に向上さ
せ、ポリヘキサメチレンアジパミドとの相分離をミニマ
イズした新しい繊維素材を提供し得る利点も持つ。
【0018】ポリヘキサメチレンアジパミドチップの水
分量は、従来の乾燥または吸湿方法によって調整でき
る。特に、ポリマーチップの製造は、通常、水浴中にメ
ルトロープを押し出した後カットされるのが普通であ
り、この時のメルトロープ中の水分量は2500ppm
から3500ppmであり、水温をコントロールするこ
とによって高水分量に制御するのは比較的容易である。
【0019】次いで、本発明のポリヘキサメチレンアジ
パミド繊維の紡糸方法の1例を図2に示す。水分量を調
整したポリヘキサメチレンアジパミドポリマーを紡糸口
金1より溶融紡糸し、スチームコンデイショナーカラム
3までの間で冷却風2で冷却する。次いで長さ2mのス
チームコンデイショナーカラム3でスチームを付与し、
オイリングロール4で仕上げ剤を付与した後、引き取り
ロール5を介して1000〜1200m/分の巻き取り
速度で巻き取り機6に未延伸糸7を巻き取る。
【0020】得られた未延伸糸7を20℃、相対湿度6
5%の雰囲気下に3日間保管後、図3に示すような延伸
装置を用いて延伸する。すなわち、未延伸糸7をコット
ロール8で送り出しフィードロール9を介して延伸ピン
10に導きドロロール11までで延伸し、次いで巻き取
り機12で延伸糸13を巻き取る。延伸することによっ
て高強力化が可能となるため、延伸を行なうことは好ま
しい。延伸倍率としては、2〜3.5倍程度が好まし
い。
【0021】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊
維は、一端巻き取ることなく、直接紡糸・延伸する方法
でも、特公昭64ー6282号公報に記載されているよ
うな引き取り速度4000m/min以上の高速紡糸法
でも製造可能である。 次にポリヘキサメチレンアジパ
ミドのアミノ基末端濃度、及びカルボキシル基末端濃度
の測定法を示す。
【0022】(アミノ基末端濃度の測定法)ポリマー6
gを小数点以下3桁まで正確に秤量し、これを90%フ
ェノール水溶液50ccに溶解する。完全溶解後、溶液
温度を25℃に安定させ、0.05N−塩酸水溶液でP
H3まで滴定する。この時の0.05N塩酸水溶液滴下
量を記録し、以下の計算式にてポリマー1kg当たりの
アミノ基末端濃度を算出する。
【0023】
【数1】
【0024】(カルボキシル基末端濃度の測定法)ポリ
マー4gを小数点下3桁まで正確に秤量し、これを17
0℃のベンジルアルコール50ccに溶解する。完全溶
解後、ベンジルアルコール1リットル、フェノールフタ
レイン5g、酢酸銅0.5g、二酸化チタン12gから
調整された指示薬を0.3ml添加する。その後、0.
1NーNaOHエチレングリコール溶液を滴下し、液色
が紅色を呈した時点を終点とする。この時の0.1Nー
NaOHエチレングリコール溶液滴下量を記録し、以下
の計算式にてポリマー1kg当たりのカルボキシル基末
端濃度を算出する。
【0025】
【数2】
【0026】(ポリヘキサメチレンアジパミドチップの
水分率測定方法)電気滴定方式微量水分測定装置(三菱
CAー05型)、水分気化装置(VAー05型)を用
い、気化温度208℃、N2キャリアーガス流量300
ml/min、END SENS;0.5μg/se
c、遅延時間;5分、バックグランド;0.05以下の
条件でサンプル重量約1gのチップについて測定した値
である。
【0027】(tanδ−T解析) 粘弾性測定装置:オリエンテック社製レオバイブロンD
DVー01FP型 測定糸長 :2cm 初期荷重 :0.15g/d 加振振幅 :16.0μm 昇温速度 :3℃/min 加振周波数 :110Hz 測定値は、同じサンプルについて10回の測定を繰り返
した平均値である。
【0028】なお、サンプルは20℃、相対湿度65%
にコントロールされた恒温室に3日間以上保管したもの
を使用した。以下実施例にて説明するが、本発明はこれ
に限定されるものではない.
【0029】
【実施例】
【0030】
【実施例1、2】アミノ基末端濃度(A)とカルボキシ
ル基末端濃度(B)の比、(A/B)が1.2、1.5
となるように、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の
成分比をコントロールし、常法の重合方法にて90%蟻
酸相対粘度(以降VRと称す)45(A+B=115mm
ol/ポリマーkg)のポリヘキサメチレンアジパミドポ
リマーを得た。ここでいう90%蟻酸相対粘度とは、9
0%蟻酸にポリマー重量8.4重量%となるように溶解
せしめた溶液の25℃における相対粘度である。
【0031】得られたペレットをチップ水分率が200
0ppmとなるよう調整した後、図2、図3に示すよう
な紡糸装置、延伸装置を用いて、単糸1本当たり1.4
デニール、5フィラメントのポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維を得た。この時の紡糸温度、紡糸口金吐出糸状
物のVRを表1に示す。得られた延伸糸を東洋ボールド
ウイン社製テンシロンRTA−100型機を使用し、繊
維糸長20cm、クロスヘッドスピード200mm/分
の測定条件で繊維物性を測定した。その結果を表1に示
す。なお、ここでいう強度は、強力を繊度(デニール)
で割った値である。
【0032】次いでこの延伸糸を45℃、相対湿度85
%の雰囲気下で7日間高温、高湿処理を施した。高温、
高湿処理後の繊維物性、及び高温、高湿処理前のtan
δ−T解析から得た繊維構造凝集性を代表する値と処理
前後でのαa分散ピーク、及びβ分散ピークのtanδm
axの変化値を表1に示す。ポリヘキサメチレンアジパミ
ドの末端バランスがA≧1.2×Bを満たす条件の繊維
は高温、高湿処理による経時物性低下がほとんど無い。
また、高温、高湿処理前後でのαa分散ピーク、β分散
ピークのtanδmaxの変化の絶対値は、それぞれ0.
01、0.005以下であり水分の浸入による繊維構造
変化が抑制されている。
【0033】
【比較例1、2】実施例1、2と同様な重合方法でアミ
ノ基末端濃度(A)とカルボキシル基末端濃度(B)の
比、(A/B)が0.7、0.9の組成を持つVR45
のポリヘキサメチレンアジパミドを得た。これを実施例
1、2と同様な乾燥、調湿方法でチップ水分率2000
ppmに調整した。得られたチップを実施例1、2と同
様な方法で紡糸延伸し、単糸1本当たり1.4デニー
ル、5フィラメントのポリヘキサメチレンアジパミド繊
維を得た。
【0034】表1に、紡糸温度、紡糸口金吐出糸状物の
VR、得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維の物
性、及び7日間高温、高湿処理したポリヘキサメチレン
アジパミド繊維の物性、更に、高温、高湿処理前のta
nδ−T解析から見た繊維構造凝集性を代表する値と処
理前後での繊維構造の変化値を表1に示す。ポリヘキサ
メチレンアジパミドの末端バランスがA<1.2×Bの
組成からなる繊維は高温、高湿処理による経時物性低下
が実施例1、2と比較して大きくなる。また、高温、高
湿処理前後でのαa分散ピークとβ分散ピークのtan
δmaxの変化の絶対値が、それぞれ0.02、0.01
以上と大きく水分浸入による繊維構造変化が大きくな
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【実施例3、4】実施例1、2と同様な重合方法でアミ
ノ基末端濃度(A)とカルボキシル基末端濃度(B)の
比、(A/B)が1.2の組成を持つVR45のポリヘ
キサメチレンアジパミドを得た。得られたペレットを従
来の乾燥、調湿方法で水分率1800ppm、3500
ppmに調整した。
【0037】このペレットを実施例1、2と同様な方法
で紡糸、延伸糸単糸デニールが1.4デニール、5フィ
ラメントのポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
表2に紡糸温度、得られた繊維の物性、7日間高温、高
湿処理した繊維の物性、及び72時間紡糸した時の切れ
糸回数、72時間延伸した時の切れ糸回数を示す。更に
高温、高湿処理前のtanδ−T解析から見た繊維構造
凝集性を代表する値と処理前後でのαa分散ピーク、β
分散ピークのtanδmaxの変化値も表2に示す。
【0038】チップ水分率1800ppm、3500p
pmで紡糸したポリヘキサメチレンアジパミド繊維は高
温、高湿処理による経時物性低下がなく、かつ紡糸安定
性も高い。また、高温、高湿処理前後での水分浸入によ
る繊維構造変化を受けにくい。
【0039】
【比較例3、4】実施例3、4と同じアミノ基末端濃度
とカルボキシル基末端濃度を持つポリヘキサメチレンア
ジパミドを従来の乾燥、調湿方法で水分率1000pp
mと5500ppmに調湿し、実施例3、4と同じ方法
で紡糸延伸し単糸デニールが1.4デニール、5フィラ
メントのポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得た。
【0040】表2に紡糸温度、得られた繊維の物性、7
日間高温、高湿処理した繊維の物性、及び72時間紡糸
した時の切れ糸回数、72時間延伸した時の切れ糸回数
を示す。更に、高温、高湿処理前のtanδ−T解析か
ら見た繊維構造凝集性を代表する値と処理前後でのαa
分散ピーク、β分散ピークのtanδmax値の変化値も
表2に示す。
【0041】チップ水分率1000ppm、5500p
pmで紡糸したポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、
高温、高湿処理による経時物性低下がチップ水分率18
00ppm、3500ppmに対して大きく、水分によ
る経時的な繊維構造変化が実施例3、4と比較して大き
くなっている。またチップ水分率1000ppm、55
00ppmでは紡糸、延伸時の糸切れ回数も格段に多く
なり紡糸安定性も低くなる。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド
繊維は、単糸デニール1.8d以下であり、衣料用途、
レッグ用途に用いた時、透明で、且つソフト感を備えた
製品を提供することが可能となる。さらに、原糸の経時
物性低下、及び後加工操作による物性の低下が大きく改
善されていることから、加工中の糸切れ等のトラブルが
解消されるのと同時に、品質安定性の高い製品を提供す
ることが可能となる。
【0044】
【図面の詳細な説明】
【0045】
【図1】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維のtanδ
−温度(T)曲線のモデル図である。
【0046】
【図2】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの紡糸設備図を示す。
【0047】
【図3】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの延伸設備図を示す。
【0048】
【符号の簡単な説明】
1.紡糸口金 2.冷却風 3.スチームコンデイショナーカラム 4.オイルングロール 5.引き取りロール 6.巻き取り機 7.未延伸糸 8.コットロール 9.フィードロール 10.延伸ピン 11.ドロロール 12.巻き取り機 13.延伸糸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維のtanδ
−温度(T)曲線のモデル図である。
【図2】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの紡糸設備図を示す。
【図3】実施例で使用したポリヘキサメチレンアジパミ
ドの延伸設備図を示す。
【符号の説明】 1.紡糸口金 2.冷却風 3.スチームコンデイショナーカラム 4.オイリングロール 5.引き取りロール 6.巻き取り機 7.未延伸糸 8.コットロール 9.フィードロール 10.延伸ピン 11.ドロロール 12.巻き取り機 13.延伸糸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成単糸デニールが1.8d以下であ
    り、高温・高湿処理による粘弾性的性質の変化値が下記
    式(1)、(2)を満足するポリヘキサメチレンアジパ
    ミド繊維。 −0.005≦(αa分散tanδmaxの変化値)≦0.01 (1) −0.005≦(β分散tanδmaxの変化値)≦0.003 (2) [粘弾性的性質の変化値は、処理後の測定値から処理前
    の測定値を引いた値である。]
  2. 【請求項2】 アミノ末端基濃度A(ミリ等量/kg;
    meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(meq/
    kg)の関係が下記式(3)を満足するポリヘキサメチ
    レンアジパミドチップの水分量を1600〜5000p
    pmに調整し、270℃以上で溶融吐出して、そのまま
    引取ることを特徴とするポリヘキサメチレンアジパミド
    繊維の製造方法。 A≧1.2×B (3)
  3. 【請求項3】 アミノ末端基濃度A(ミリ等量/kg;
    meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(meq/
    kg)の関係が下記式(3)を満足するポリヘキサメチ
    レンアジパミドチップの水分量を1600〜5000p
    pmに調整し、270℃以上で溶融吐出して、更に、延
    伸してから引取ることを特徴とするポリヘキサメチレン
    アジパミド繊維の製造方法。 A≧1.2×B (3)
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