JPH07324226A - 経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプロアミドとのブレンド繊維の製造方法 - Google Patents

経時安定性の高いポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプロアミドとのブレンド繊維の製造方法

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JPH07324226A
JPH07324226A JP11905894A JP11905894A JPH07324226A JP H07324226 A JPH07324226 A JP H07324226A JP 11905894 A JP11905894 A JP 11905894A JP 11905894 A JP11905894 A JP 11905894A JP H07324226 A JPH07324226 A JP H07324226A
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JP
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polyhexamethylene adipamide
caproamide
nylon
fiber
polyepsilon
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JP11905894A
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Tomonori Koizumi
智徳 小泉
Yoshitaka Nakakawara
義啓 中河原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高湿度や高温度雰囲気下での物性の経時安定
性に優れたナイロン66とナイロン6ブレンド繊維の、
特に、構成単糸デニールが1.8d以下の、高タフネス
性の維持およびソフト風合いを要求される衣料、レッ
グ、一般産業資材分野での機能向上を達成させる得る繊
維であって、加工安定性を保証しる得る繊維の製造方法
の提供。 【構成】 ポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプ
ロアミドとのブレンド繊維の製造方法において、上記ポ
リヘキサメチレンアジパミドがアミノ末端基濃度A(ミ
リ等量/kg;meq/kg)とカルボキシル末端基濃
度B(meq/kg)の関係がA≧1.2xBであるも
のを用い、上記ポリεカプロアミドが上記ポリヘキサメ
チレンアジパミドの末端基と等しいチップを用いて、上
記ポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプロアミド
の混合体に対し1600〜5000ppmの濃度で水分
を付与し、270℃以上で溶融吐出して繊維とすること
を特徴とする経時安定性に優れたブレンド繊維の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリヘキサメチレンアジ
パミドとポリεカプロアミドとのブレンド繊維の製造法
に関する。さらに、詳しくは、ポリヘキサメチレンアジ
パミド繊維からみて、染色性が改良され、相対的にソフ
ト感を備え、かつ、脂肪族ポリアミド系繊維の欠点であ
る高湿度や高温雰囲気下での経時的物性低下をミニマイ
ズした、衣料用途、レッグ用途などに好適に用いられる
ポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプロアミドと
の繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロ
ン66)繊維は,強度、タフネス、耐熱性,染色性堅牢
性,発色性等に優れているため、産業資材用、インテリ
ア寝装用、衣料用繊維、レッグ用繊維として幅広く使用
されている。しかし、その高結晶性の為にポリεカプロ
アミド(ナイロン6)繊維に比較して、発色性が低く、
また、剛性が高いので相対的にソフト感は低く、製品と
しても加えられたエネルギーに対する耐性が低くいと云
う間題点を持っている。
【0003】勿論、この逆が、ポリεカプロアミド繊維
の欠点ではある。しかも、両繊維とも、高温高湿条件下
での経時的物性低下を引き起こすという宿命的間題を有
している。これは,基本的に、水分の作用に基づく構造
変化(水分拡散誘起結晶化)とミクロボイド化に起因す
るものである。したがって、このような繊維にかかる間
題点があると製織、製編、染色、セット段階でも物性低
下が起こり、繊維のもつ潜在能力を十分発揮させること
はできない。
【0004】上記ナイロン66の間題点を改良する原理
は基本的に1つであり、ナイロン66の結晶性を阻害す
ることである。方法論としては線状鎖に分岐構造を導入
する、他のポリマーをブレンドするなどの方法がが主流
である。分岐構造導入法では、ナイロン6にグルタルイ
ミド系ポリマーをグラフトすることが知られているが、
ナイロン66に対しての報告はない。
【0005】ブレンド系ではポリプロピレンのブレンド
が多く報告されている。もっとも簡単に思いつくのは、
エンジニアリング樹脂部門で盛んに行われている様にナ
イロン66にナイロン6をブレンドする方法であるが、
この混合系ではプラスチックと異なりブレンド薄膜に関
する幾多の研究報告から判るように、最終的に相分離を
起こしてしまうとされており、現に、工業的レベルで一
軸配向性で厚さの薄いことを特徴とする、繊維として利
用されている事実は聞かれない。これは、溶融混合条件
と関連して繊維がプラスチックと異なり成形に際する吐
出剪断速度が圧倒的に大きいため、ナイロン66とナイ
ロン6の配向特性に大きな違いがあることによる。ま
た、このようなブレンド繊維では、ポリアミド系繊維の
宿命的問題点である高温、高湿条件下での物性低下は更
に助長される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高湿
度や高温度雰囲気下での物性の経時安定性に優れたナイ
ロン66とナイロン6ブレンド繊維、特に、構成単糸デ
ニールが1.8d以下、を提供し、それに依って高タフ
ネス性の維持およびソフト風合いを要求される衣料、レ
ッグ、一般産業資材分野での機能向上を達成させるとと
もに、加工安定性を保証しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ナイロン
66とナイロン6のブレンド繊維を工業的に意味のある
成形体とすべく鋭意検討した結果、ナイロン66とナイ
ロン6の溶融混合性は、溶融流動特性の改善と、更には
末端基バランスを調整することで効果的になり、上記の
経時的な物性低下の機構である水分拡散誘起結晶化に基
づくミクロボイド形成を抑制でき、さらに、溶融吐出繊
維の本質的凝集性もポリマー自体の溶融混合性と末端基
バランスが関係している事をつきとめ本発明に至った。
【0008】即ち、本発明は、ポリヘキサメチレンアジ
パミド(ナイロン66)とポリεカプロアミド(ナイロ
ン6)とのブレンド繊維の製造方法において、上記ポリ
ヘキサメチレンアジパミドがアミノ末端基濃度A(ミリ
等量/kg;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度
B(meq/kg)の関係がA≧1.2xBであるもの
を用い、上記ポリεカプロアミドが上記ポリヘキサメチ
レンアジパミド(ナイロン66)の末端基と等しいチッ
プを用いて、上記ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイ
ロン66)とポリεカプロアミド(ナイロン6)の混合
体に対し1600〜5000ppmの濃度で水分を付与
し、270℃以上で溶融吐出して繊維とすることを特徴
とする経時安定性に優れたブレンド繊維の製造方法、で
ある。
【0009】本発明のブレンド繊維の1構成員であるナ
イロン66の原料ポリマーは、アジピン酸とヘキサメチ
レンジアミンとの重縮合体であって通常用いられる添加
剤、例えば、リン酸、次亜リン酸ソーダ等の無機リン化
合物、フェニルフォスフォン酸、トリフェニルフォスフ
ァイト等の有機リン化合物、リン- 窒素系錯塩、リン−
窒素系化合物等の重合触媒、酢酸銅、臭化銅、よう化
銅、2-メルカプトベンズイミダゾール銅錯塩等の銅化合
物、2-メルカプトベンズイミダゾール、テトラキス-
[メチレン-3- (3,5-ジt- ブチル-4- ヒドロキシフェ
ニル)- プロピオネート]- メタン等の熱安定剤、乳酸
マンガン、次亜リン酸マンガン等の光安定剤、二酸化チ
タン、カオリン等の艶消剤、エチレンビスステアリルア
ミド、同部分メチロール化物、ステアリン酸カルシュウ
ムなどの滑剤、可塑剤、結晶阻害剤を含ませる事が出来
る。
【0010】本発明のブレンド繊維を製造方法では、ナ
イロン66としてのアミノ末端基濃度A(ミリ等量/k
g;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(me
q/kg)の関係がA≧1.2xBであるチップを用い
ることが必要である。他の構成員であるナイロン6の原
料は、εカプロラクタムの開環重合体であり、特別の反
応停止剤を用いない限りその末端基はほぼ同一であり、
ナイロン66原料に記載した添加剤などを含有しても構
わない。
【0011】ポリεカプロアミド(ナイロン6)の末端
基がナイロン66のアミノ末端基濃度と略略等しいチッ
プを用いることが必要である。本発明のブレンド繊維を
製造方法は、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン
66)とポリεカプロアミド(ナイロン6)混合体に対
し、1600〜5000ppmの濃度で水分を付与し、
270℃以上で溶融吐出し、そのまま引取り、または、
該引取ったものをを引き続き延伸して繊維を得るもので
ある。
【0012】上記ブレンド繊維を製造する条件として、
ナイロン66としてのアミノ末端基濃度A(ミリ等量/
kg;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B(m
eq/kg)の関係がA≧1.2xBであるチップを用
い、ポリεカプロアミドの末端基がナイロン66として
のアミノ末端基濃度と略略等しいチップを用いることに
より、さらなる経時安定性を確保できるものであり、こ
れを技術骨格とするものである。
【0013】ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン
6)チップのアミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃
度は、仕込モノマー比率によって調整できる。本発明で
規定するナイロン66のアミノ末端基濃度A(ミリ等量
/kg;meq/kg)とカルボキシル末端基濃度B
(meq/kg)の関係、A≧1.2xBは、ナイロン
6との溶融混合性にとって重要である。混合操作によっ
て分子鎖の絡まりは当然できるが、後述するように溶融
混合時には必ず水分が存在し水分がメルト中を拡散す
る。
【0014】このため、本発明のようにアミノ末端基が
リッチの系では水酸イオンが多数をしめ、この水酸イオ
ンは既存のポリマーの分子間水素結合を切断するが、新
たに新しい水素結合起点を作りだし、N66分子とN6
分子間での水素結合確率を上昇させ両者の混合性を増大
する。他方、例えば、カルボキシルリッチな系では、プ
ロトンが拡散するため、既存の水素結合の切断だけが起
こり、N66とN6を強固につなぐ水素結合確率が少な
いため、紡糸における熱的相分離操作に際し、それぞれ
が独立に凝集する確率が増加し全体としての強固な凝集
構造は得られない。
【0015】通常の溶融紡糸で得られる吐出糸状物(第
1ゴデットロール(以下、1GD)引き取り糸)の基本
的凝集構造の緻密さは、1GD引き取り糸を次に冷延伸
する場合の収率や品質安定性の点でも重要で、Aが上記
規定以下では、収率が相対的に低位で、しかも、延伸操
作に付随する品質ばらつきの点で問題になる場合が多
い。A−B(以下、Δa)の上限値は限定的ではない
が、溶融混合に際し、両チップに含まれる水分が通常の
500〜1200ppm程度であると、ナイロン66チ
ップのΔaがマイナス(カルボキシルリッチ)のポリマ
ーに比べ、本発明に用いるポリマーは、同一チップ重合
度で供給しても本質的にメルター系で高度に重合系とな
るため、相対的に溶融粘度が高い。
【0016】上記の同一チップ水分条件で、Δaが更に
大きくなると同一重合度での相対的溶融粘度上昇率も上
がり、通常の紡糸温度より極めて高い温度(300℃以
上)で紡糸せざるを得ず、ポリマーの酸化分解などの問
題や、長期操作中に押出し機壁面へのポリマーゲル生成
の問題も発生し、紡糸安定性を阻害する。これは、混合
不適切になるためでもある。
【0017】そこで、本発明のように チップに含まれ
る水分率が1600〜5000ppmを用いると、紡糸
温度は270℃を切らなければ、十分適正な紡糸がで
き、しかも、凝集構造の均一な1GD巻き取り糸を生産
できる。これは、水分による可塑化効果に加え、分子量
の多分散性を小さくする効果とも考えられる。水分率が
1600ppm以下では溶融吐出される両混合ポリマー
メルトのダイスエル改善効果が低く、紡糸された1GD
引取り糸の凝集構造の均一性に問題を残す。また、基本
的にチップの水分率を制御するのは極めて難しく、水分
率が低いとその変動に基づく紡糸安定性に対する影響も
大きくなる。
【0018】逆に、5000ppm以上では、急激なナ
イロン66部分の結晶化作用を誘起し、安定な紡糸性が
確保できず、引き続き延伸操作をする際、無定型領域の
分子鎖分率が低いことも災いしてスムースな延伸を確保
できず、結果的に経時安定性を保証できない。より好適
なチップ水分率の範囲は、水分変動による吐出ポリマー
メルトの粘性変動が小さい点、および、紡糸された1G
D卷取り糸の構造安定性を考慮して、1800ppm〜
3500ppmである。
【0019】また、混合ポリマーメルトの水分が本発明
の範囲であると、基本的に吐出繊維の白度は高く、衣料
用途向けには格段の有利性を与える。これは、溶融中に
起こる黄変原因物質であるピロール環誘導体の生成を抑
える為である。もちろん、当該技術者なら容易に分かる
ように、ポリアミド系繊維の経時安定性の問題の本質的
解決は基本的に、原糸段階での繊維構造の均一性、つま
り、無定型領域の分子鎖の凝集性にかかっている。この
点では構造歪部分(球晶部分など)を小さくし、分子鎖
配向を容易にして凝集構造の緻密化を図ることが通常の
紡糸技術として採用されている。
【0020】例えば、吐出されたポリマーメルトの温度
を上げる、また、ポリマーメルトに与える冷風温度を下
げる、冷風速度を上げる、与える冷風を円周方向から均
一に与える。一方向から冷風を与える場合は、ポリマー
メルトが吐出される紡口配列を最適化する、単糸デニー
ルを下げるなどで対応してきた。これは、現在工業的に
採用されている引取りロール温度をポリマーのガラス転
移点(ポリアミドでは65〜75℃)に設定する、いわ
ゆる、冷延伸法では妥当な方法である。上記の方法で
は、球晶の減少に依り無定形部分に収容される分子鎖の
分率も必然的に増加する。
【0021】しかし、これらの方法だけでは無定形領域
に存在する分子鎖を均一に引伸ばすための均一凝集構造
を得るには程遠いのが現状である。特に、ポリマーメル
ト温度を上げることが効果的であるが、ポリマーの分解
の問題がつきまとう。他方、なるべく分子鎖の充填密度
の均一な無定形分率の絶対的増加を具現化する方法は、
ポリアミド繊維の高タフネス化と称して色々と提案され
ている。
【0022】先記したもの以外で提案されている技術
は、特許や学術論文で判断すると、1)ポリマーの重合
度を上げる、2)高温でゾーン(非接触型)延伸する、
3)紡糸速度を落として後で多段延伸する、4)非水系
油剤を用いる、5)吐出冷却固化した糸条に140℃位
で積極的にスチーミングし、結晶化を促進させるなど、
がある。
【0023】5)は、原糸が最終製品になってからの耐
久性、耐疲労性向上とは相反する。2)は延伸度にもよ
るが、もっとも分子鎖の充填密度の均一な無定形分率の
絶対的増加を具現化し、しかも、糸条物がロール等の媒
体に接触しないため、マクロな構造欠陥(毛羽)も出に
くいが、生産性、製造設備面、コスト面できわめて不利
である。3)の場合も設備面、生産性面で不利であるば
かりでなく、ロール等の媒体に接触する機会が多くな
り、摩擦による構造欠陥も出やすい。4)は作業環境面
や比例製造費的に問題がある。
【0024】もちろん、これらの方法は重要な技術領域
ではあるが、構成単糸が1.8d以下のナイロン66と
ナイロン6とのブレンド繊維では、水分の作用に基づく
構造変化に起因する経時的な物性低下解決には不十分で
あり、本発明の方法を持ってしないと効果は極めて少な
い。本発明のブレンド繊維の組成は限定的ではなく、例
えば、ナイロン66の良さを維持しながら、発色性の向
上やソフト感を与えるなら,ポリヘキサメチレンアジパ
ミドのポリマーに対し、5重量%程度のポリεカプロア
ミドが配合されればよい、さらに全体として高タフネス
化を狙うなら、ポリεカプロアミドは10〜25重量%
を配すれば十分である。
【0025】また、基本的には両ポリマーの混合性が問
題であるがアミノリッチである場合は、更に凝集構造を
向上できる。本発明の方法で得られるナイロン66とナ
イロン6とのブレンド繊維は、特に、その構成単糸デニ
ールが1.8d以下のものものは、パーンまたはケーク
状の緊張状態で45℃、相対湿度85%の雰囲気で7日
処理し、処理前と処理後の繊維のtanδー温度(T)
曲線で現れるβ分散ピーク温度Tβ、とその値tanδ
βの差が5℃以下、および0.005以下のものが得ら
れ、さらに好ましい2℃以下、及び0.002以下のも
のが得られ、特に、その構成単糸デニールが1.8d以
下のものものは、高湿度や高温度雰囲気下での物性の経
時安定性に優れたブレンド繊維である。
【0026】上記のβ分散体はポリアミド系ポリマーの
側鎖、末端基部分の運動領域であることが知られてい
る。末端基部分は通常、緊張下では応力集中点になり、
この部分が外的刺激に対して動き易い場合は結果的に経
時物性の低下につながると考えられる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて説明するが、これに限
定されるものではない.物性測定などは、以下の通りに
行った。 (1) ポリヘキサメチレンアジパミドチップの水分
率: 電気滴定方式水分測定装置(三菱CA−05
型)、水分気化装置(VA−05型)を用い、気化温度
208℃、N2 キャリアーガス流量300ml/mi
n、ENDSENS;0,5μg/sec,遅延時間;
5分、バックグランド;0,05以下の条件でサンプル
重量約1gのチップについて測定した値である。
【0028】(2) アミノ基末端濃度: ポリマー6
gを小数点以下3桁まで正確に秤量し、これを90%フ
ェノール水溶液50ccに溶解する。完全溶解後溶液温
度を25℃に安定させ、0.05Nー塩酸水溶液でPH
3までて滴定する。この時の0.05N塩酸水溶液の滴
下を記録し、以下の計算式にてポリマー1Kg当たりの
アミノ基末端濃度(ミリ等量/Kg)を算出する。
【0029】アミノ基末端濃度=A×F×50/B A:滴定に要した0.05Nー塩酸水溶液(ml) F:0.05Nー塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g) (3) カルボキシル基末端濃度: ポリマー6gを小
数点以下3桁まで正確に秤量し、これを170℃のベン
ジルアルコール50ccに溶解する。完全解後、ベンジ
ルアルコール1リットル、フェノールフタレイン5g、
酢酸銅0,5g、二酸化チタン12gから調整された指
示薬を0,3ml添加する。その後、0,1N−NaO
エチレングリコール溶液を滴下し、液色が紅色を呈した
時点とする。この時の0,1N−NaOHエチレングリ
コール溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー
1Kg当たりのカルボキシル基末端濃度(ミリ等量/K
g)を算出する。
【0030】 カルボキシル基末端濃度=A×F×100/B A:滴定に要した0,1N−NaOHエチレングリコー
ル溶液(ml) F:0.05Nー塩酸水溶液のファクター B:ポリマー重量(g) (4) tanδ−T解析: 粘弾性測定装置(オリエ
ンテック社製:レオバイブロンDDVー01FP型)を用
い、昇温速度:3℃/分、測定周波数:110Hz、初
期過重:0.15g/d、加振振幅:16.0μm、試
料長:2cmにて測定する。
【0031】(5) 繊維物性: 東洋ボールドウイン
社製テンシロンRTA−100型機を使用し、繊維糸長
20cm、クロスヘッドスピード200mm/minで
測定した。なお、タフネスとは強度×伸度で表わすもの
とする。 (6) 白度: 官能判定で行い、従来のナイロン66
に比らべて、◎極めて良好、○:良好、△:やや不良、
×:不良とと4段階に評価する。
【0032】(7) 走査型電子顕微鏡観察: 日立製
作所 Sー570を用い、電圧:7kV(倍率:8K)
にて観察した。 (8) 加工処理条件(条件:1): 実施例1にて得
られた7d /5f の繊維を0.5g/d の張力でボビンに
リワインドした後、湿熱処理90℃×30min、染色処
理90℃×45min 、乾熱処理110℃×30sec の工
程処理を行なった。
【0033】
【実施例1】アミノ末端基濃度 76.5(meq/k
g)、カルボキシル末端基濃度 46.0(meq/k
g)のポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)
と、アミノ末端基濃度 44.2(meq/kg)、カ
ルボキシル末端基濃度 36.4(meq/kg)のポ
リεカプロアミド(ナイロン6)をチップとして80:
20の割合で混合し、この混合体に対し、2000±1
00ppmの濃度で水分を付与し、紡糸温度280℃で
溶融吐出し、引取った繊維を引き続き延伸し、7デニー
ル、5フィラメントの繊維を得た。
【0034】この繊維をパーン形状のまま45℃×85
%RH環境下で7日間処理し経時前後での繊維物性を測定
したところ、本発明である実施例1のサンプルは表1に
示すように極めて良好な経時安定性が確認された。
【0035】
【実施例2】アミノ末端基濃度 46.7(meq/k
g)、カルボキシル末端基濃度 80.5(meq/k
g)のポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)
と、アミノ末端基濃度 43.2(meq/kg)、カ
ルボキシル末端基濃度 36.4(meq/kg)のポ
リεカプロアミド(ナイロン6)のチップとして80:
20の割合で混合し、この混合体に対し、2000±1
00ppmの濃度で水分を付与し、紡糸温度280℃で
溶融吐出し、引取った繊維を引き続き延伸し、7デニー
ル、5フィラメントの繊維を得た。
【0036】
【比較例1】さらに、比較例1として上記実施例2と同
様のアミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度を有す
るポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)とポ
リεカプロアミド(ナイロン6)のチップを80:20
の割合で混合し、この混合体に対し、1000±100
ppmの濃度で水分を付与し、紡糸温度280℃で溶融
吐出し、引取った繊維を引き続き延伸し、7デニール、
5フィラメントの繊維を得た。
【0037】この繊維をパーン形状のまま45℃×85
%RH環境下で7日間処理し経時前後での繊維物性を測定
したところ、本発明である実施例2のサンプルは表1に
示すように比較例1に比べ良好な経時安定性が確認され
た。また、この処理後の繊維断面を走査型電子顕微鏡を
用い、形態観察を行ったところ、図1で明らかな様に経
時安定性の低い比較例1のサンプルではマクロボイドが
繊維断面全体に発生していることが判る。
【0038】さらに実施例1と比較例1についての加工
安定性を確認すべく前記処理条件下(条件:1)での処
理を試みた結果、(表2)、大幅に加工工程での物性保
持率が向上している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、従来のナイロン66に
くらべ、高湿度や高温度雰囲気下での物性の経時安定性
に優れたナイロン66とナイロン6とのブレンド繊維が
得られる。また、このブレンド繊維は、高タフネス性の
維持およびソフト風合いを要求される衣料、レッグ、一
般産業資材分野での機能向上を達成させるとともに、加
工安定性を保証することが可能となるものである。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1の処理後の繊維の形状をを示す繊維断
面の走査型電子顕微鏡写真
【0044】
【図2】比較例1の処理後の繊維の形状をを示す繊維断
面の走査型電子顕微鏡写真
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】経時安定性の高いポリヘキサメチレンア
ジパミドとポリεカプロアミドとのブレンド繊維の製造
方法

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヘキサメチレンアジパミドとポリε
    カプロアミドとのブレンド繊維の製造方法において、上
    記ポリヘキサメチレンアジパミドがアミノ末端基濃度A
    (ミリ等量/kg;meq/kg)とカルボキシル末端
    基濃度B(meq/kg)の関係がA≧1.2xBであ
    るものを用い、上記ポリεカプロアミドが上記ポリヘキ
    サメチレンアジパミドの末端基と等しいチップを用い
    て、上記ポリヘキサメチレンアジパミドとポリεカプロ
    アミドの混合体に対し1600〜5000ppmの濃度
    で水分を付与し、270℃以上で溶融吐出して繊維とす
    ることを特徴とする経時安定性に優れたブレンド繊維の
    製造方法。
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