JPH0730855Y2 - 金属系サッシ廻りの結露防止構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、優れた結露防止効果を有する金属系サッシ廻
りの結露防止構造に関する。

〔従来の技術〕

RC造り、PC造り等の建物における金属系サッシの取り付
け構造は、第１図に示すように、コンクリート等からな
る壁体１の開口部にサッシ枠体２を嵌め込み、その壁体
１とサッシ枠体２との間に生じる間隙部分３の一部にモ
ルタル等の防火性素材４を充填した基本構造からなる。

このような構造からなるサッシ廻りにおいては壁体１と
サッシ枠体２の間隙部分３に結露が生じ易い問題があ
り、この問題は特に寒冷地において多発している。上記
の結露現象は、断熱材による外壁面の断熱性向上や壁体
開口部への金属系サッシの取付による室内の気密性向上
が起因している他、上記空隙部分における断熱材の欠損
が主因となって、室外と室内との温度差や室内における
水蒸気の存在等により生じるものである。そこで、従来
はこの結露を防止するために上記間隙部分に硬質ウレタ
ンフォームを建設現場において注入発泡せしめて充填し
た構造としていた。

〔考案が解決しようとする課題〕 しかしながら、上述の結露防止手段は一様な発泡体の充
填がなされないために充分な結露防止効果が得られない
という問題があり、その他にも発泡装置の搬入、搬出作
業が煩雑であり、施工作業自体が大掛かりであり、しか
もフォーム注入時における他の建築部材への汚損の虞
れ、さらに注入発泡作業中は他の作業を平行して行えな
い等の種々問題があり好ましいものではなかった。

また、断熱材としての発泡体の設置により間隙部分の断
熱性をある程度保持できるものの発泡体表面がそのまま
の状態で放置されているため、特に冬期において室内が
高温高湿状態、室外が低温低湿圧状態であるために発生
する湿圧差により、水蒸気が発泡体内部に浸透してしま
う問題があった。そして、充填された発泡体は室内−室
外方向の温度勾配が急激で中でも壁体直近の発泡体温度
が外気温に近くなっているため、発泡体内部に浸透した
水蒸気が結露していまう、所謂内部結露が発生する欠点
があった。その後、結露水が経時的に発泡体と壁体又は
枠体との僅かな隙間を通して間隙内側に進入し、最終的
にその結露水が室内側に侵入してしまい、その結果、内
装材の汚損、木製部材の腐食、カビ等が発生するという
問題があった。

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、壁体とサッシ
枠体の間隙部分における確実な断熱化が図れ、しかも上
記間隙部分への結露水等の進入を確実に防ぐことができ
る金属系サッシ廻りの結露防止構造を提供することを目
的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は壁体とサッシ枠体の間隙部分の一部に防火性素
材を充填してなる金属系サッシ廻りにおいて、上記間隙
部分の余部に、該間隙余部の横断面積より大きい横断面
積を有し且つ弾性を有する軟質断熱材を設けると共に、
少なくとも軟質断熱材の室内側表面を被覆する状態で防
湿部材を設けたことを特徴とする金属系サッシ廻りの結
露防止構造を要旨とする。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。第１図
は本考案の金属系サッシ廻りの結露防止構造を示す横断
面図であり、図中１は壁体、２はサッシ枠体、３は壁体
１とサッシ枠体２の間に形成される間隙部分、４は防火
性素材、５は軟質断熱材、６は防湿部材、７は木枠、８
は断熱ボード、９は内装材をそれぞれ示す。

壁体１はRC造り、PC造り等の建造物におけるコンクリー
ト等からなる壁であり、サッシ枠２を取り付ける箇所に
は所定の開口部が設けられている。この壁体１は例え
ば、室内側の壁面に硬質ウレタンフォーム等からなる断
熱ボード８を設け、その断熱ボード上に更にGLボンド等
を点在させた接着剤10により石膏ボード等の内装材９を
設けたものでも、また第２図に示すように断熱ボード８
と内装材９が予め積層されたものを接着剤10により設け
たものでもよい。

サッシ枠体２はアルミニウム等の金属性部材からなる一
般のサッシ枠であり、壁体１の開口部に嵌着されるが、
この際、壁体１とサッシ枠体２の間に間隙部分３が形成
される。この間隙部分３の外側の一部にはモルタル等の
防火性素材４が枠体全周に亘って充填される。防火性素
材４の充填量は第１図に示す如く間隙部分の横断面積に
おいて外側半分の量に限らず、こりより多くても或いは
少なくてもよく、特に壁体の室内面側近辺まで充填した
場合は後述の軟質断熱材の挿入作業が容易となる。

防火性素材４が充填された間隙部分３の余部には、軟質
ポリウレタンフォーム等の軟質断熱材５が設けられる。
この断熱材５は軟質であって上記余部の横断面積よりも
大きい横断面積を有し且つ弾性を有するものであるた
め、不規則な間隙部分であっても挿入施工が容易であり
間隙内面に密接して固定され、その結果、間隙部分の良
好な断熱化を図ることができる。また軟質断熱材５を確
実に固定するため、必要に応じて接着剤等を接触面に塗
布するか若しくは粘着テープを貼着して固定することが
できる。防湿部材６は特に室内に存在する高湿圧の水蒸
気が、挿入充填された断熱材５の内部に進入することを
防止するためのものであり、そのため少なくとも軟質断
熱材５の室内側表面を被覆する部位に接着剤若しくは粘
着テープ等にて設けられる。この防湿部材６の施工は断
熱材５が断熱性能に優れたものであっても耐水性能に劣
るものである場合に有効となる。防湿部材６を実際に設
けるに当たっては、軟質断熱材５を設けた後に取り付け
る場合は第１図及び第２図に示すように断熱材５の室内
側表面（その表面の一部でもよい）に最低限設けるとと
もに、断熱材５と隣接する各種部材の一部をも被覆する
ように設けることが好ましい。防湿部材６は軟質断熱材
５を設けた後に別途設ける場合の他、第３図に示すよう
に予め軟質断熱材５の所定箇所に接着剤等により貼着し
て設けておいてもよい。この場合、防湿部材６は第３図
（ａ）の如く少なくとも軟質断熱材５の室内側に位置す
る面Ａに設けておけばよいが、同図（ｂ）、（ｃ）の如
く室内側の面Ａと該面Ａに隣接する面の一部に亘って設
けても、また同図（ｄ）の如く軟質断熱材５の全周に亘
って設けてもよい。例えば、第３図（ｂ）に図示の如き
軟質断熱材５を間隙部分３の所定箇所に設けた本考案の
構造例を第４図に示す。

防湿部材６としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム単
体；アルミニウム等の金属箔；或いはプラスチックフィ
ルムと金属箔との積層部材が挙げられる。本考案におけ
る防湿部材は透湿抵抗が10m²・ｈ・mm Hg/g以上のもの
が好ましい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の結露防止構造は壁体とサ
ッシ枠体の間隙部分の余部に、該間隙余部の横断面積よ
り大きい横断面積を有し且つ弾性を有する軟質断熱材を
設けると共に、少なくとも軟質断熱材の室内側表面を被
覆する状態で防湿部材を設けてなるため、挿入した軟質
断熱材の内部結露防止効果に優れ、断熱性能の低下、結
露水による汚染、カビ発生等が確実に防止される効果が
ある。

また本考案によれば、軟質断熱材を使用するため施工が
迅速且つ容易であり間隙部分への密着した固定を確実に
行うことができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案結露防止構造の１例を示す横断面図、第
２図と第４図は本考案構造の他の態様を示す横断面図、
第３図は防湿部材を予め設けた軟質断熱材の各種態様を
示す説明図である。 １……壁体、２……サッシ枠体 ３……間隙部分、４……防火性素材 ５……軟質断熱材、６……防湿部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】壁体とサッシ枠体の間隙部分の一部に防火
   性素材を充填してなる金属系サッシ廻りにおいて、上記
   間隙部分の余部に、該間隙余部の横断面積より大きい横
   断面積を有し且つ弾性を有する軟質断熱材を設けると共
   に、少なくとも軟質断熱材の室内側表面を被覆する状態
   で防湿部材を設けたことを特徴とする金属系サッシ廻り
   の結露防止構造。