JPH07302588A - リチウム二次電池用負極およびその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用負極およびその製造方法

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JPH07302588A
JPH07302588A JP6096704A JP9670494A JPH07302588A JP H07302588 A JPH07302588 A JP H07302588A JP 6096704 A JP6096704 A JP 6096704A JP 9670494 A JP9670494 A JP 9670494A JP H07302588 A JPH07302588 A JP H07302588A
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JP
Japan
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negative electrode
secondary battery
lithium secondary
lithium
source gas
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JP6096704A
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Masaharu Kamauchi
正治 鎌内
Yoshinori Takada
善典 高田
Toshio Nishihara
敏夫 西原
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Liと、Siと、Cとを含有してなるリチウ
ム二次電池用負極であって、好ましくはLi−Si−C
系の合成物からなるものであるか、またはLi−SiC
複合物からなるもので、Liの組成が70〜99.9モ
ル%、SiとCとの組成の合計が0.1〜30モル%で
あるものである。該Li−Si−C系の合成物は、原料
ガスを基板上に蒸着するかLi−SiマトリックスにC
原子を反応させて製造される。また、Li−SiC複合
物は、LiマトリックスにSiC層を形成またはSiC
粒子を分散させて製造される。 【効果】 高起電力、高容量、高エネルギー密度を有
し、またデンドライトの発生が防止されてサイクル寿命
に優れるリチウム二次電池用負極が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム二次電池用負
極およびその製造方法に関し、詳しくはデンドライトの
発生が抑止され、放電・充電を長期にわたり繰り返して
行うことができるサイクル寿命に優れるリチウム二次電
池用負極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に二次電池に要求される性能とし
て、エネルギー密度が大きい、出力密度が大きい、
自己放電率が小さい、安価である、エネルギー効
率が高い、サイクル寿命が長い等が挙げられる。この
ような性能を有する二次電池として、リチウム二次電池
が高エネルギー密度を有するものとして知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このリチウム二次電池
においては、負極材料として金属リチウム、炭素、
リチウム合金等が使用されている。上記金属リチウ
ムは、充電・放電を繰り返すと、充電時に負極表面にエ
ネルギー的に活性なポイントができ、そこからLiが析
出する、所謂デンドライトが生じ、正極と短絡したりし
て発火する等の問題がある。また、炭素またはリチ
ウム合金は、Li以外の成分を多く含んでいるので、容
量の低下、電池電圧の低下をきたすという欠点があっ
た。したがって、リチウム二次電池においては、できる
限り金属リチウムに近い組成で、デンドライトが発生
しにくく安全性が確保できる負極が要望される。
【0004】本発明の目的は、上記の課題を満足し、デ
ンドライトの発生が抑制され、高容量・高エネルギー密
度を有し、かつ、サイクル寿命に優れるリチウム二次電
池用負極を提供することにある。また、本発明の他の目
的は、上記リチウム二次電池用負極の製造方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するために検討を重ねた結果、LiとSiとCと
を含有する負極材料からなる負極は、SiやCがLiを
拡散させる作用を有するため、充電時におけるLi析出
で負極内部へのLiの拡散が促進され、デンドライト発
生を防止できること、さらに上記SiやCはLiに添加
しても起電力の低下が小さく、高容量・高エネルギー密
度のリチウム二次電池にできるという知見を得、さらに
研究を重ねて本発明を完成した。
【0006】本発明は次の要旨を有するものである。 (1)Li、SiおよびCを含有してなるリチウム二次電
池用負極。 (2)Li−Si−C系の合成物からなるリチウム二次電
池用負極。 (3)Li−Si−C系の合成物が、基板上にLi原料ガ
ス、Si原料ガスおよびC原料ガスを蒸着することによ
って作成したものである上記(2) 記載のリチウム二次電
池用負極。 (4)Li−Si−C系の合成物が、Li−Siマトリッ
クスにC原子を反応させたものである前記(2) 記載のリ
チウム二次電池用負極。 (5)LiとSiCとの複合物よりなるリチウム二次電池
用負極。 (6)LiとSiCとの複合物がLiマトリックスの表面
にSiCを分散せしめたものである前記(5) 記載のリチ
ウム二次電池用負極。 (7)Liの組成が70〜99.9モル%、SiとCとの
組成の合計が0.1〜30モル%である前記(1) 〜(6)
のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
【0007】(8)基板上にLi原料ガス、Si原料ガス
およびC原料ガスを蒸着させてLi−Si−C系の合成
物膜を形成させることを特徴とする前記(1) または(2)
記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。 (9)反応容器内にLi原料ガス、Si原料ガスおよびC
原料ガスを導入し、プラズマ反応により容器内の基板上
にLi−Si−C系の合成物を形成することを特徴と
する前記(1) または(2) 記載のリチウム二次電池用負極
の製造方法。 (10) Li−SiマトリックスにC原子を反応させてL
iとSiとCとの合成物膜を形成させることを特徴とす
る前記(1) または(2) 記載のリチウム二次電池用負極の
製造方法。 (11) Liシート上にSiC層を形成またはLiシート
にSiC粒子を分散させることを特徴とする前記(1) ま
たは(5) 記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【0008】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明の負極における材料としては、例えばLi−Si−C
系の合成物、LiとSiCとを複合化したもの等が挙げ
られる。Li−Si−C系の合成物としては、例えばL
iと、Siと、Cとの各原料ガスを基板上に蒸着させた
もの、具体的には、Li,Si,Cの3成分を、プラズ
マCVD,MOCVD,減圧CVD等の化学蒸着法、ス
パッタリング,RFマグネトロンスパッタリング,3元
クラスタイオンビーム蒸着,3元イオンプレーティン
グ,反応性イオンプレーティング,反応性電子ビーム蒸
着,プラズマフラッシュ蒸着等の物理蒸着等のドライプ
ロセスにて原子レベルで混合させてなる合成物、また、
Li−SiマトリックスにC原子を反応させたもの、具
体的には、Li−Si合金膜にカーボンイオンを注入し
て得られる化合物、Li−Si合金皮膜上にカーボン薄
膜を形成後、イオンビームミキシングして得られる化合
物、ダイナミックイオンビームミキシングして得られる
化合物、蒸着およびイオン注入を交互に用いて得られる
もの等が挙げられる。
【0009】また、LiにSiCを複合化したものとし
ては、LiマトリックスにSiC粒子を分散せしめてな
るもの、Liマトリックス上にSiC層を形成させてな
るものが例示される。LiマトリックスにSiC粒子を
分散せしめてなるものとしては、Liマトリックス表面
にSiC粒子が分散してなるもの、Liマトリックス中
にSiC粒子が分散してなるもの、Liマトリックス表
面およびLiマトリックス中にSiC粒子が分散してな
るものが挙げられる。Liマトリックス上にSiC層を
形成させてなるものとしては、例えば各種PVD法やC
VD法にてLiマトリックス表面にSiC層を形成させ
てなるものが例示される。Liマトリックス上にSiC
粒子を分散せしめてなるものとしては、例えばLiマト
リックス上にSiC粒子をふりかけてなるもの、Liマ
トリックス上にSiC粒子を電着してなるものが例示さ
れる。Liマトリックス中にSiC粒子が分散してなる
ものとしては、例えばSiC粒子をスプレーガンで打ち
込んでなるもの、Liマトリックス上へのSiC粒子の
ふりかけ、圧延、折りたたみを繰り返してなるもの、S
iC粒子を分散した液体Liから連続的に鋳造されてな
るものが例示され、これらのものには、Liマトリック
ス表面にもSiC粒子が分散した態様も存在する。
【0010】上記負極材料のLiの組成は、70〜9
9.9モル%、好ましくは80〜97モル%、特に好ま
しくは85〜95モル%程度が適当である。上記Liの
組成が70モル%未満であると、Liに対する電位が増
大してエネルギー密度が低下する傾向があり、一方9
9.9モル%を越えると、デンドライトが発生し易くな
る傾向がある。
【0011】Li−Si−C系の合成物は、膜状に成形
される場合は、通常1〜100μm、好ましくは3〜5
0μm、特に好ましくは5〜20μmの厚みに成膜され
る。上記Li−Si−C系合成物の厚みが、1μm未満
であると、デンドライトが発生し易くなる傾向があり、
一方、100μmを越えると、電池反応に寄与しない部
分が多くなるため好ましくない。
【0012】以下に本発明のリチウム二次電池用負極の
製造方法を示す。上記Li−Si−C系の合成物(3元
系合金)からなる負極は、Liと、Siと、Cとの各原
料ガスから製造される。具体的には、Li,Si,Cの
3成分を、プラズマCVD,MOCVD,減圧CVD等
の化学蒸着法、スパッタリング,RFマグネトロンスパ
ッタリング,3元クラスタイオンビーム蒸着,3元イオ
ンプレーティング,反応性イオンプレーティング,反応
性電子ビーム蒸着,パルスプラズマ蒸着,プラズマフラ
ッシュ蒸着等の物理蒸着等のドライプロセスにて容器内
の基板上に成膜して製造される。
【0013】例えば、Li原料ガス、Si原料ガスおよ
びC原料ガスをアルゴンガス等のキャリヤーガスととも
に反応容器中に導入し、RFパワー10〜500Wでプ
ラズマ反応させることによって容器内の基板上に目的と
するLi−Si−C系の3元系合金を成膜することがで
きる。Li原料ガスとしては、プロピルリチウム、セカ
ンダリーブチルリチウム、t-ブトキシリチウム等が、S
i原料ガスとしては、SiH4 、Si(C2 3 4
Si(C4 9 4 、Si(OC2 5 4 等が、C原
料ガスとしては、CH 4 、C2 6 、C3 8 等がそれ
ぞれ例示される。
【0014】このLi−Si−C系の合成物は、通常、
1〜100μm、好ましくは3〜50μm、特に好まし
くは5〜20μmの厚みに成膜される。
【0015】上記反応においては、基板上にLi−Si
−C系合金を成膜するが、その際、負極用集電体をこの
基板として用いることができる。この場合、基板として
は導電性に優れるものが好ましく、ニッケル基板、ステ
ンレス基板、鉄基板、銅基板、あるいは上記各種金属基
板にニッケルメッキを施したもの等が例示され、なかで
もニッケル基板が好適である。
【0016】また、Li−SiマトリックスにC原子を
反応させて作製される。具体的には、Li−Si合金膜
にカーボンイオンを注入すること、Li−Si合金皮膜
上にカーボン薄膜を形成後、イオンビームミキシングす
ること、上記の方法を併用してダイナミックイオンビー
ムミキシングすること、蒸着およびイオン注入を交互に
行うこと等が挙げられる。
【0017】上記Li−Si−C系の3元系合金の製造
においては、該Li,Si,Cの3成分を化学蒸着、物
理蒸着等のドライプロセスにて原子レベルで混合するこ
とが重要である。
【0018】また、上記LiにSiCを複合物化してな
る負極は、Liシート上にSiC層を形成させるか、L
iシートにSiC粒子を分散させることによって製造さ
れる。LiシートにSiC粒子を分散させる方法として
は、Liシート表面にSiC粒子を分散させる方法、L
iシート中にSiC粒子を分散させる方法が挙げられ
る。上記LiシートにSiC層を形成させる方法として
は、具体的には各種PVD法やCVD法にてSiC層を
形成する方法が例示される。上記Liシート表面にSi
C粒子を分散させる方法としては、具体的にはLiシー
ト表面にSiC粒子をふりかける方法、SiC粒子を電
着する方法が例示される。Liマトリックス中にSiC
粒子を分散させる方法としては、例えばSiC粒子をス
プレーガンで打ち込む方法、Liマトリックス上へのS
iC粒子のふりかけ、圧延、折りたたみを繰り返す方
法、SiC粒子を分散した液体Liから連続的に鋳造す
る方法が例示され、これらのものの中には、その条件を
選択することによって、Liマトリックス表面にもSi
C粒子が分散した態様のものを製造することができる場
合もある。上記LiにSiCを複合化してなる負極は、
通常1〜100μm、好ましくは3〜50μm程度の厚
みに形成する。
【0019】本発明の負極材料は、通常シート状とされ
る。その形状には特に制限はなく、必要に応じて適当な
基材に圧着して用いるか、あるいはシート状のままロー
ル状に巻いて使用する等によって、円筒型やシート型電
池等のあらゆる形態のリチウム二次電池用の負極に適用
可能である。
【0020】上記負極と、正極と、電解質とを、例えば
図2に示すように組立てると、リチウム二次電池を作製
できる。リチウム二次電池の正極材としては、本発明の
目的を達成しえるものであれば特に制限はなく、例え
ば、V2 5 ,LiMn2 4 ,LiCoO2 ,LiN
0.5 Co0.5 2 ,LiNiO2 ,TiS2 ,MoO
2 ,MoO3 等の公知の材料を用いることができる。ま
た、リチウムのリン酸塩、リチウム・コバルトのリン酸
塩、コバルト酸化物およびリチウム・コバルト酸化物よ
りなる群から選ばれる少なくとも一種よりなり、かつリ
チウムとコバルトとリンの含量が、リチウム1モルに対
してコバルトが0.1モルを越え、リンが0.2モルを
越える物質を活物質とする正極が好適に使用される。
【0021】また、電解質としては、本発明の目的を達
成しえるものであれば特に制限はなく、例えば塩類を有
機溶媒に溶解させた電解液や固体電解質が使用できる。
この電解質が電解液の場合、この塩類としては、LiC
lO4,LiBF4,LiPF6,LiAsF6,LiAlCl
4,Li(CF3 SO2 2 N等が使用でき、エチレンカ
ーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルスルホ
キシド,スルホラン,γ−ブチロラクトン,1,2−ジ
メトキシエタン,N,N−ジメチルホルムアミド,テト
ラヒドロフラン,1,3−ジオキソラン,2−メチルテ
トラヒドロフラン,ジエチルエーテル,ジメトキシカー
ボネート,ジエトキシカーボネートおよびこれらの混合
物等の有機溶媒に溶解させて濃度0.1〜3モル/リッ
トルに調製して使用される。この電解液は、多孔性ポリ
マーやガラスフィルタのようなセパレータに含浸あるい
は充填して使用される。
【0022】電解質が固体電解質の場合、上記塩類をポ
リエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド,ポリホ
スファゼン,ポリアジリジン,ポリエチレンスルフィ
ド,ポリビニルアルコール等やこれらの誘導体、混合
物、複合体等に混合して使用される。この固体電解質
は、正極と負極とのセパレータを兼ねる。
【0023】なお、このリチウム二次電池においては、
正極,セパレータ(あるいは固体電解質),負極等をロ
ール状に巻く構成とすると、さらに高電気容量のリチウ
ム電池が得られるので好ましい。
【0024】
【作用】上記構成のリチウム二次電池用負極は、Li
と、Siと、Cとを含有してなるので、充電時に負極に
析出したLiは、CまたはSiCにより拡散が促進され
て内部に入り込むようになり、これによりデンドライト
の発生が防止される。また、SiやCはLiに添加して
も起電力の低下は極めて小さいので、Liと、Siと、
Cとを含有してなる負極を用いたリチウム二次電池は、
その容量やエネルギー密度が殆ど低下しない。
【0025】また、リチウム二次電池用負極の製造方法
によれば、Li−Si−C系の合成物は、原料ガスを化
学蒸着や物理蒸着等により基板上に蒸着して作製するの
で、LiとSiとCとが原子レベルにて混合された均質
な負極が得られる。また、Li−Si合金シートにカー
ボンイオンを注入したり該シート上のカーボン蒸着膜を
イオンビームミキシング等によってC原子を分散させる
ので、C原子が均一に分散した均質な負極が得られる。
また、Li−SiCの複合物は、例えばLiシートにS
iC粒子を分散し、これを圧延、さらに折りたたみを繰
り返すので、SiC粒子が均一に分散した均質な負極が
得られる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をより具体的に説
明する。なお、本発明がこれに限定されるものでないこ
とは言うまでもない。 実施例1〜2 (負極の作製)RFプラズマ反応容器内に、直径18m
m、厚さ0.1mmのニッケル基板を設置し、Li源と
してプロピルリチウム、Si源としてSiH4 、炭素源
としてCH4 をそれぞれArガスをキャリヤーとして導
入し、RFパワー100Wで成膜し、厚さ100μmの
Li−Si−C系の合成物質を得、これを負極とした。
なお、各原料ガスの流量は、プロピルリチウム100ml
/min、SiH4 140ml/min、CH4 160ml/minとし
た。
【0027】(正極の作製)市販の結晶性五酸化バナジ
ウム(純度99.9%)を粉砕してふるいにより20μ
m以下のものを正極活物質とした。この正極活物質80
mg、アセチレンブラック10mgおよびポリテトラフ
ルオロエチレン10mgをよく混合して、直径15mm
φの円板状に成形して正極を作製した。
【0028】(電池の作製)上記負極と正極との間にポ
リプロピレン製の微多孔性セパレータ(直径19mm、
厚さ25μm)をはさみ図2に示すコイン型のテストセ
ルを作製した。なお、封止する前にプロピレンカーボネ
ートとジエチルカーボネートの体積比で50:50の溶
液に1モル/リットルの過塩素酸リチウムを溶解させた
電解液を注入した。
【0029】(充放電試験)上記電池は充電状態にあ
り、まず放電を一定電流値で2.8ボルトまで行い1時
間休止した。ついで、一定電流値で3.8ボルトまで充
電を行った後、1時間休止した。これを1セットとして
放電と充電を繰り返し、電流値を1mA(実施例1)、
10mA(実施例2)として試験電池を評価した。な
お、この実施例で得られた試験電池は、起電力が3.4
ボルトであり金属リチウム負極を用いた電池と同様に高
起電力を有するものであった。
【0030】比較例1〜2 上記実施例において、Li−Si−C系の合成物質のか
わりに直径18mm、厚さ100μmのLiシートをニ
ッケル基板上に圧着して負極とした以外は全て同様にし
て充放電試験を行った。なお、電流値を1mA(比較例
1)、10mA(比較例2)として試験電池を評価し
た。
【0031】実施例3〜4 平均粒径0.1μmのSiC粒子を分散させた液中で、
厚さ100μmのLiシート上に電気泳動法によって、
SiC粒子を析出させた。このシートを直径18mm、
厚さ50μmの円板状に打ち抜き、これをニッケル製の
エキスパンドメタル(18mmφ)に圧着し負極を作製
した。上記負極を用いる他は実施例1と同じ正極、電解
液を用いてコイン型のテストセルを作製し、この電池を
実施例1と同様にして電流値を1mA(実施例3)、1
0mA(実施例4)として充放電試験を行い、試験電池
を評価した。なお、この実施例で得られた試験電池は、
起電力が3.4ボルトであり金属リチウム負極を用いた
電池と同様に高起電力を有するものであった。
【0032】〔評価結果〕上記試験の100サイクル後
に電池を解体し負極を観察したところ、実施例で作製し
た電池のいずれにもデンドライト状のリチウムの析出は
見られなかったが、比較例の電池には上記デンドライト
状のリチウムの析出があり、また、セパレータの貫通に
よる正極と負極とのショート跡が見られた。上記実施例
および比較例で作製した試験電池の放電容量(正極活物
質1g当たり)とサイクル数との関係は、図1に示す通
りであった。上記結果から明らかなように、実施例では
電流値とともに放電容量は小さくなるが、サイクル数に
ともなう容量の低下は非常に小さい。一方、比較例では
初期容量は実施例と同じであるが、サイクル数の増加に
ともない上記デンドライト状のリチウムの析出や正極と
負極のショートによる容量の低下が著しかった。
【0033】
【発明の効果】本発明のリチウム合金負極を用いたリチ
ウム二次電池は、デンドライトの発生が防止され、高容
量・高エネルギー密度を有し、充放電の繰り返しによる
放電容量の低下が抑制されサイクル寿命に優れる。ま
た、デンドライトの発生が防止されるので、ショートに
よる発火等もなく安全性にも優れる。さらに、金属リチ
ウム負極を用いたリチウム二次電池と同様の高起電力を
有する。したがって、本発明によって、サイクル寿命に
優れ、高起電力、高容量・高エネルギー密度を有し、か
つ、安全性に優れるリチウム二次電池用負極が提供でき
る。また、本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法
によると、均質な負極が製造でき、目的とする負極が効
率的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で作製された試験電池の放電容
量とサイクル数との関係を示すグラフ図である。
【図2】実施例で作製した試験用リチウム二次電池の構
成を示す模式図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Li、SiおよびCを含有してなるリチ
    ウム二次電池用負極。
  2. 【請求項2】 Li−Si−C系の合成物からなるリチ
    ウム二次電池用負極。
  3. 【請求項3】 Li−Si−C系の合成物が、基板上に
    Li原料ガス、Si原料ガスおよびC原料ガスを蒸着す
    ることによって作成したものである請求項2記載のリチ
    ウム二次電池用負極。
  4. 【請求項4】 Li−Si−C系の合成物が、Li−S
    iマトリックスにC原子を反応させたものである請求項
    2記載のリチウム二次電池用負極。
  5. 【請求項5】 LiとSiCとの複合物よりなるリチウ
    ム二次電池用負極。
  6. 【請求項6】 LiとSiCとの複合物が、Liマトリ
    ックスにSiC層を形成させてなるか、またはLiマト
    リックスにSiC粒子を分散せしめてなるものである請
    求項5記載のリチウム二次電池用負極。
  7. 【請求項7】 Liの組成が70〜99.9モル%、S
    iとCとの組成の合計が0.1〜30モル%である請求
    項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  8. 【請求項8】 基板上にLi原料ガス、Si原料ガスお
    よびC原料ガスを蒸着させてLi−Si−C系の合成物
    膜を形成させることを特徴とする請求項1または2記載
    のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  9. 【請求項9】 反応容器内にLi原料ガス、Si原料ガ
    スおよびC原料ガスを導入し、プラズマ反応により容器
    内の基板上にLi−Si−C系の合成物膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のリチウム二次電
    池用負極の製造方法。
  10. 【請求項10】 Li−SiマトリックスにC原子を反
    応させてLiとSiとCとの合成物膜を形成させること
    を特徴とする請求項1または2記載のリチウム二次電池
    用負極の製造方法。
  11. 【請求項11】 Liマトリックス上にSiC層を形成
    させるかまたはLiマトリックスにSiC粒子を分散さ
    せることを特徴とする請求項1または5記載のリチウム
    二次電池用負極の製造方法。
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