JPH073022B2 - 織機における不良緯糸処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は織布に織り込まれた緯入れ異常の緯糸を除去処
理する装置に関するものである。

（従来の技術） ジェットルームにおける緯入れミス発生の場合の機台停
止は緯糸検出器からの緯入れミス検出信号に基づいて行
われるが、高速回転するジェットルームでは各部の破損
防止を考慮して機台１回転以上慣性作動した後に機台停
止が行われるため、緯入れミスの緯糸（以下、ミス糸と
いう）が機台停止直前に筬打ちされて織布に織りこまれ
る。

織布の織りきずとなる前記ミス糸を織布から取り除く緯
糸処理装置が特開昭61−245339号公報及び実開昭62−41
083号公報に開示されている。この従来装置では、緯入
れミス発生に伴う機台停止時に後続する緯糸の緯入れが
阻止されると共に、緯入れ用メインノズル側の織成用緯
糸切断装置が不作動状態におかれ、織布の織前に織り込
まれたミス糸が緯入れ用メインノズルから織布に連なる
緯糸を手掛かりとして側方へ引き出し除去されるように
なっている。手掛かりとなる緯糸はブローノズルからの
噴射流によりまず案内筒内へ導入されると共に、案内筒
と直交するハウジング内へ導入され、次いでハウジング
内の巻取り装置により巻取られるようになっており、こ
の巻取り動作に伴ってミス糸が織前から側方へ引き出し
除去される。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、コンパクト化の観点から直交された案内
筒とハウジングとは案内筒の側面に形成された出口とハ
ウジングの側面に形成された入口とを介して接続されて
おり、これら出口及び入口を介して案内筒内の緯糸をハ
ウジング内へ導く通路構成はミス糸に後続する緯糸を案
内筒内へ導入する上で確実性を欠き、吹き付け作用から
巻き取り作用へ緯糸受け渡しに失敗する割合が高い。そ
のため、機台稼動効率低下に繋がるミス糸処理失敗の割
合が高くなり、ジェットルームの高生産性という利点が
阻害される。案内筒の一方の開口を出口として案内筒を
適宜湾曲し、この出口を巻取装置に連絡する構成も可能
であるが、案内筒の湾曲程度の関係で案内筒及び巻取装
置の配置スペースが大きくなり、しかも案内筒の導入口
から巻取装置までの距離が長くなって巻取装置への緯糸
受け渡しが不利となる。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） そこで本発明では、緯入れ正常の緯糸を筬打ち毎に緯入
れ用メインノズルから切断分離する織成用緯糸切断装置
の切断動作を緯入れ異常の際の機台停止時に阻止する緯
糸切断阻止手段と、緯入れ用メインノズルから射出され
る緯糸に向けて緯入れ経路を横切って噴射するブローノ
ズルと、ブローノズルの噴射軸線上に導入口を備え、か
つ噴射軸線と交差する方向へ前記緯糸を案内する緯糸導
入ダクトと、緯糸導入ダクト内へ導入された緯糸を引き
取る緯糸引き取り手段と、緯糸引き取り手段に引き取ら
れる緯糸を緯入れ用メインノズルから切断分離する緯糸
除去用切断装置とにより構成し、前記緯糸導入ダクト内
の前記ブローノズルの噴射軸線と交差する位置の内壁面
を断面でみて直線状となる反射誘導面に形成し、前記ブ
ローノズルからの噴射空気流を前記反射誘導面により前
記緯糸引き取り手段側へ反射誘導するようにした。

（作用） 即ち、織前上のミス糸を引き出すための手掛りとなる後
続の緯糸を緯糸導入ダクトの導入口へ吹き付けるブロー
ノズルからの噴射流体は緯糸導入ダクト内へ導入され、
前記直線状反射誘導面により緯糸引き取り手段側へ反射
誘導される。従って、噴射流体により搬送される緯糸が
前記反射誘導面付近で緯糸引き取り手段側へ案内され、
ミス糸に後続する緯糸を緯糸導入ダクト内へ導入する吹
き付け作用から緯糸引き取り手段の機械的な引き取り作
用への受け渡しの円滑化が可能となる。これによりミス
糸引き出しの成功割合が大幅に増大し、しかも緯糸導入
ダクトのコンパクト化も可能となる。

（実施例） 以下、本発明を具体化した一実施例を第１〜５図に基づ
いて説明する。

第１図に示すようにスレイ１の一端側には緯入れ用メイ
ンノズル２が装着されており、緯糸測長貯留装置３の糸
巻付面を形成するドラム４上に糸巻付管５から供給され
て巻付測長貯留された緯糸Ｙが緯入れ用メインノズル２
内に導かれ、スレイ１上に立設された変形筬６の緯糸案
内通路（図示略）内に緯入れ用メインノズル２から緯入
れタイミングに同期して射出緯入れされる。

糸巻付管５はドラム４を相対回転可能に静止保持するす
る回転支持管７に取付けられており、図示しないチーズ
から回転支持管７内に導入された緯糸Ｙが糸巻付管５に
案内されている。ドラム４からの緯糸引き出しは、揺動
可能に支持されたカムレバー８の先端に止着された緯糸
係止体９とドラム４上の糸巻付面との交差及び離間によ
り制御され、カムレバー８の揺動は機台に同期して回転
駆動される駆動軸（図示略）上のカム（図示略）の作用
により行われる。この駆動軸の回転はタイミングプーリ
10、タイミングベルト11及びタイミングプーリ12を介し
て回転支持管７に伝達され、糸巻付管５がドラム４の周
囲を公転することにより緯糸Ｙが糸巻付管５からドラム
４上に供給される。

カムレバー８先端部の上方近傍には電磁ソレノイド13が
設置されており、その駆動ロッド13aがカムレバー８に
向けて配設されている。駆動ロッド13aの突出状態にお
いては、同ロッド13aの先端がカムレバー８の先端部に
当接して押圧し、緯糸係止体９を前記糸巻付面と交差す
る状態に保持し得るようになっている。即ち、緯糸測長
貯留装置３と電磁ソレノイド13とにより緯入れ阻止装置
が構成されている。

緯入れ用メインノズル２から射出された緯糸Ｙが正常に
緯入れされ、織布Ｗの反メインノズル側の端部まで到達
した場合には同緯糸が変形筬６により筬打ちされて織布
Ｗの織前W1に織りこまれる。そして、筬打ちされた緯糸
が緯入れ用メインノズル２側の電磁駆動方式の織成用緯
糸切断装置14により切断され、以後の織成動作が継続さ
れる。

緯糸が反メインノズル側の端部まで到達しないといった
緯入れミスが発生した場合には、同端部に対応配置され
たフィーラ15が緯入れミスを検出し、フィーラ15からの
緯入れミス検出信号に基づいて織機の運転が停止され
る。緯入れミス検出信号が発せられた後、機台は１回ほ
ど慣性で回転して停止する。即ち、スレイ１が第１図に
実線で示す最後退位置から織布Ｗ側へ前進する間に緯入
れミス検出信号が発せられ、ミス糸Ｙ′が織布Ｗに筬打
ちされた後、スレイ１がさらに往復動し、第１図の鎖線
で示す筬打ち位置直前で停止する。緯入れミス検出信号
発信と共に織成用緯糸切断装置14は不作動状態におか
れ、織布Ｗの織前W1に織り込まれたミス糸Ｙ′は緯入れ
用メインノズル２側に接続維持される。なお、緯糸の切
断防止は適当な他の手段により緯糸切断装置の作用領域
外に緯糸を移行するようにしてもよい。

スレイ１が最後退位置に後退している状態での緯入れ用
メインノズル２の緯入れ経路の後方近傍には直線状の緯
糸導入ダクト16が緯入れ方向と略平行して配設されてお
り、緯入れ経路を挟んで反対側には図示しないブロー装
置に接続されたブローノズル17がスレイ１に装着された
支持台18上に配設されている。ブローノズル17の噴射管
17aの先端部は緯糸導入ダクト16側に向けて折曲されて
おり、噴射管17aの折曲先端部にはコ字状のブローガイ
ド19が上下から緯入れ経路を挟んで固設されている。

緯入れ経路を挟んでブローノズル17と対向する緯糸導入
ダクト16の前面にはその案内通路16aの導入口16bが設け
られていると共に、緯糸導入ダクト16の左端上部の後方
寄りには出口16cが設けられている。導入口16b近傍の前
記ブローノズル17の噴射軸線と交差する位置の案内通路
16aの内壁には、この内壁を断面で見た場合に直線状の
反射誘導面16dがブローノズル17の噴射軸線に対して略4
5°の傾斜で形成されており、案内通路16aのエア通過断
面積は出口16cに向かうにつれて徐々に減少してゆく。
緯入れ用メインノズル２から射出される緯糸はブローノ
ズル17と緯糸導入ダクト16との間に生じた空気流により
緯糸導入ダクト16内へ導入可能であり、緯糸導入ダクト
16内へ吹き付け導入された緯糸がブローガイド19の先端
部間に装着された固定刃20により緯入れ用メインノズル
２から切断分離可能である。

緯糸導入ダクト16の左方には吸引装置（図示略）に接続
された吸引ダクト21が出口16cと対向して配設されてお
り、吸引ダクト21と緯糸導入ダクト16との間にはエアガ
イド22が介在されていると共に、エアガイド22内壁には
投光素子23及び受光素子24からなる緯糸検出器が配設さ
れている。エアガイド22と緯糸導入ダクト16との間の下
側には駆動ローラ25が配設されていると共に、その支軸
25aには被動プーリ26が止着されており、その下方のモ
ータ27の駆動プーリ27aの回転駆動力がベルト28を介し
て被動プーリ26に伝達される。モータ27にはロータリエ
ンコーダ27bが取り付けられており、モータ27の回転量
が測定されるようになっている。

駆動ローラ25の直上にはエアシリンダ29が下向きに配設
されており、その駆動ロッド29aの先端に止着された支
持板30にはローラ支持枠31が上下にスライド可能に支持
されていると共に、押圧ばね32により駆動ローラ25側へ
押圧付勢されている。ローラ支持枠31には摺動ローラ33
が駆動ローラ25と対向して回転可能に支持されており、
エアシリンダ29の突出作動により駆動ローラ25に押接可
能である。なお、両ローラ25,33の圧接把持力は押圧ば
ね32とエアシリンダ29の圧力との組み合せにより設定し
たり、あるいは押圧ばね32を省略してエアシリンダ29の
圧力のみで設定してもよい。

さて、緯入れミスの発生に伴い、緯入れ用メインノズル
２における噴射停止及び織成用緯糸切断装置14の不作動
状態のもとにスレイ１が第１図の鎖線位置に停止し、ミ
ス糸Ｙ′に後続する緯糸Y1が緯入れされることなくミス
糸Ｙ′が緯入れ用メインノズル２側に接続した状態で織
前W1に織り込まれる。緯入れミス検出と共に前記図示し
ないブロー装置及び吸引装置が作動され、ブローノズル
17の噴射管17aと緯糸導入ダクト16の導入口16bとの間に
は緯入れ経路を横切る空気流が生じる。緯入れミス検出
から機台停止までの間に緯糸係止体９がドラム４から離
間すると共に再交差し、この交差状態が電磁ソレノイド
13の励磁により維持される。緯糸係止体９の離間及び再
交差によりドラム４上には緯入れ１回分の緯糸YIが引き
出し可能に待機し、この緯入れ１回分の緯糸Y1が前記空
気流により緯入れ用メインノズル２から引き出されて緯
糸導入ダクト16の導入口16bへ強制導入される。

案内通路16a内へ緯糸Y1を強制導入する噴射空気流は緯
糸導入ダクト16内の反射誘導面16dにて略直角に反射
し、出口16c側へ誘導される。これにより緯糸Y1の屈曲
先端部が搬送空気流と共に出口16c側へ誘導され、案内
通路16aの絞り効果により出口16cから勢いよく噴出する
空気流にのって吸引ダクト21に向けて噴出される。そし
て、ドラム４上の緯糸Y1は機台停止までの間に全て引き
出され、緯糸導入ダクト16へ導入される。次いで、機台
の逆転と共にスレイ１が最後退位置へ後退すると共に、
経糸Ｔの開口状態が形成され、上下経糸Ｔによるミス糸
Ｙ′の織り込み状態が解除される。

出口16cから噴出さた緯糸Y1の屈曲先端部がエアガイド2
2へ到達すると緯糸検出器23,24により検出され、この検
出信号に基づいてモータ27及びエアシリンダ29が作動さ
れる。これにより第３図に示すように、被動ローラ33が
回転する駆動ローラ25へ押接され、緯糸Y1が両ローラ2
5,33間に把持される共に、被動ローラ33が回転開始す
る。両ローラ25,33の回転により緯糸Y1が吸引ダクト21
側へ引き取られてゆき、この引き取り張力により緯糸Y1
が固定刃20により緯入れ用メインノズル２から切断分離
されると共に、織前W1上のミス糸Ｙ′が織前W1から分離
されてゆく。

ミス糸Ｙ′を織前W1から分離して引き出すための手掛り
となる後続の緯糸Y1を緯糸導入ダクト16内へ送り込む空
気流の送り込み作用は反射誘導面16dの介在によりその
噴射軸線方向から略直角方向へ反射偏向され、この偏向
によりブローノズル17からの噴射空気流による送り込み
作用が短い案内通路16aに沿ってローラ対25,33の機械的
な引き取り位置に至る搬送作用に変換される。これによ
り緯糸導入ダクト16を湾曲することなくブローノズル17
の送り込み作用がローラ対25,33という機械的引き取り
手段による引き取り作用へ確実に受け渡され、織前W1上
のミス糸Ｙ′の引き出しが高い割合で成功する。しか
も、緯糸導入ダクト16の短縮化により緯糸導入ダクト1
6、ローラ対25,33、吸引ダクト21等の緯糸処理装置を構
成する部材の配置のコンパクト化が可能となり、噴射空
気流の搬送作用から機械的な引き取り手段への受け渡し
は一層確実となる。

ミス糸Ｙ′が織前W1から全て分離され、ミス糸Ｙ′の先
端が緯糸検出器23,24の設置位置を通過すると、この緯
糸無の検出信号に基づいてモータ27の作動が停止される
と共に、エアシリンダ29が投入作動される。

本実施例では緯糸検出器23,24とロータリエンコーダ27b
との組合わせにより緯糸引き出し量を測定することがで
き、この測定機能に基づいてミス糸Ｙ′の引き出しの成
否を判定することができる。即ち、測定引き出し量が設
定された範囲内にあれば全てのミス糸Ｙ′の引き出しが
行われたと見なすことができ、測定引き出し量が前記設
定範囲に到達しなければ引き出し途中の糸切れあるいは
緯入れ最中の吹き切れによるミス糸Ｙ′の取り残しが予
測される。これにより織前W1上にミス糸Ｙ′を取り残し
たまま機台再起導に入ってしまうことはなく、織りきず
の発生が回避される。

本発明は勿論前記実施例にのみ限定されるものではな
く、緯糸除去用切断装置として電磁駆動方式のカッター
を用いたり、緯糸引き取り手段としてローラ対25,33に
代えて巻取装置を採用したり、あるいは緯入れミス発生
以外の機台停止において織段発生防止のために機台停止
直前に緯入れされた緯糸の除去処理を行なう際にも本発
明を適用可能である。

発明の効果 以上詳述したように本発明は、緯入れ異常の緯糸に連な
る後続の緯糸を緯入れ方向と交差するブローノズルの吹
き付け作用により緯糸導入ダクト内へ強制導入し、緯糸
導入ダクト内の反射誘導面にて前記吹き付け作用を緯糸
引き取り手段側へ偏向することにより緯糸を緯糸引き取
り手段の引き取り作用へ受け渡すようにしたので、織前
からのミス糸引き出しの成否を左右する後続緯糸の引き
取り成功割合を大幅に高めることができ、高いミス糸処
理能力を達成し得るなかりでなく、緯糸処理装置を構成
する部材の配置をコンパクトかつ計量化するという優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本発明を具体化した一実施例を示し、第１
図はスレイ付近の略体平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
線拡大断面図、第３図は駆動ローラ25と被動ローラ33と
を接合した状態を示す正断面図である。 緯入れ用メインノズル２、織成用緯糸切断装置14、緯糸
導入ダクト16、反射誘導面16d、ブローノズル17、緯糸
除去用切断装置としての固定刃20、緯糸引き取り手段を
構成する駆動ローラ25及び被動ローラ33、同じくモータ
27及びエアシリンダ29、緯糸Y1、ミス糸Ｙ′。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】緯入れ正常の緯糸を筬打ち毎に緯入れ用メ
   インノズルから切断分離する織成用緯糸切断装置の切断
   動作を緯入れ異常の際の機台停止時に阻止する緯糸切断
   阻止手段と、緯入れ用メインノズルから射出される緯糸
   に向けて緯入れ経路を横切って噴射するブローノズル
   と、ブローノズルの噴射軸線上に導入口を備え、かつ噴
   射軸線と交差する方向へ前記緯糸を案内する緯糸導入ダ
   クトと、緯糸導入ダクト内へ導入された緯糸を引き取る
   緯糸引き取り手段と、緯糸引き取り手段に引き取られる
   緯糸を緯入れ用メインノズルから切断分離する緯糸除去
   用切断装置とにより構成し、前記緯糸導入ダクト内の前
   記ブローノズルの噴射軸線と交差する位置の内壁面を断
   面でみて直線状となる反射誘導面に形成し、前記ブロー
   ノズルからの噴射空気流を前記反射誘導面により前記緯
   糸引き取り手段側へ反射誘導する織機における不良緯糸
   処理装置。