JPH072850B2 - 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

二軸配向熱可塑性樹脂フィルム

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JPH072850B2
JPH072850B2 JP208790A JP208790A JPH072850B2 JP H072850 B2 JPH072850 B2 JP H072850B2 JP 208790 A JP208790 A JP 208790A JP 208790 A JP208790 A JP 208790A JP H072850 B2 JPH072850 B2 JP H072850B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は二軸配向熱可塑性樹脂フィルムに関するもので
ある。
[従来の技術] 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル
に不活性無機粒子を含有せしめたフィルムが知られてい
る(たとえば、特開昭59-171623号公報)。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記従来の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、
フィルムの加工工程、たとえば包装用途における印刷工
程、磁気媒体用途における磁性層塗布・カレンダー工程
などの工程速度の増大にともない、接触するロールなど
でフィルムの表面に傷がつくという欠点が最近、問題と
なってきている。また、最近の磁気記録媒体はますます
高画質が要求されており、S/N(シグナル/ノイズの比
でありこの値が高いほど画質や音質が良好となる)を高
くするため基材フイルムの表面はますます平滑化されて
いる。しかし、フイルム表面が平滑になると走行時の摩
擦係数が大きくなるため上記高速走行時にますます傷が
入りやすくなるという問題点があった。
本発明はかかる課題を解決し、高速走行した時も傷がつ
かず(以下耐スクラッチ性良好という)、かつ、磁気記
録媒体とした時のS/Nが高くできるフィルムを提供する
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するために、熱可塑性樹脂と
粒子からなる組成物を主たる成分とするフィルムであっ
て、フイルムの少なくとも片面に形成された表面突起の
平均突起径d1と粒子の平均粒径d2の比d1/d2が2.8以下
であり、該面の突起個数が1万個/mm2以上であること
を特徴とする二軸配向熱可塑性樹脂フィルムとしたもの
である。
本発明における熱可塑性樹脂は特に限定されないが、熱
可塑性樹脂が結晶性ポリマである場合に本発明の突起構
造が得られやすく、また耐スクラッチ性も一層良好にな
るので望ましい。ここでいう結晶性とはいわゆる非晶質
ではないことを示すものであり、定量的には示差走査熱
量計(DSC)による昇温速度10℃/分の熱分析によって
融点が検出され、好ましくは結晶化パラメータΔTcgが1
50℃以下のものである。さらに、示差走査熱量計で測定
された融解熱(融解エンタルピー変化)が7.5cal/g以上
の結晶性を示す場合に耐スクラッチ性がより一層良好と
なるのできわめて望ましい。具体例としては、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンス
ルフィドなどを用いることができるが、ポリエステル、
特に、エチレンテレフタレート、エチレンα,β−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキ
シレート、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれ
た少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするポリ
エステルの場合に本発明の突起構造にした時の効果が一
層顕著になるので望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂中の粒子の種類は特に限定されな
いが、アルミナ珪酸塩、1次粒子が凝集した状態のシリ
カ、内部析出粒子などは好ましくなく、粒子のは真球度
が1.6以下、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3
以下である場合にS/N、耐スクラッチ性がより一層良好
となるので特に望ましい。また粒子の粒径分布の相対標
準偏差が0.6以下、好ましくは0.5以下のものを用いるこ
とが本発明の突起構造を得るのに有効である。上記の特
性を満足する粒子としてはコロイダルシリカに起因する
実質的に球形のシリカ粒子、架橋高分子による粒子(た
とえば架橋ポリスチレン)などがあるが、特に10重量%
減量時温度(窒素中で熱重量分析装置島津TG-30Mを用い
て測定。昇温速度20℃/分)が380℃以上になるまで架
橋度を高くした架橋高分子粒子の場合に耐スクラッチ
性、S/Nがより一層良好となるので特に望ましい。な
お、コロイダルシリカに起因する球形シリカの場合には
アルコキシド法で製造された、ナトリウム含有量が少な
い、実質的に球形のシリカの場合に耐スクラッチ性がよ
り一層良好となるので特に望ましい。しかしながら、そ
の他の粒子、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、ア
ルミナ等の粒子でもフイルム厚さと平均粒径の適切なコ
ントロールにより十分使いこなせるものである。
粒子の平均粒径は特に限定されず好ましい範囲も種類に
よって異なるが、平均粒径が0.01〜1μmの場合にS/
N、耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に望ま
しい。
本発明フイルムは上記組成物を主要成分とするが、本発
明の目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンド
または共重合してもよいし、また酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤などの無機または有
機添加剤が通常添加される程度添加されていてもよい。
また、粒子の他に内部析出粒子を含有していてもよい。
本発明における内部析出粒子とは、ポリエステル重合時
に添加したカルシウム化合物、マグネシウム化合物、リ
チウム化合物の少なくとも一種の化合物とポリエステル
構成成分とが結合して生成する粒子である。なお、本発
明の内部析出粒子には、本発明の目的を阻害しない範囲
内で、リン元素および微量の他の金属成分、たとえば、
亜鉛、コバルト、アンチモン、ゲルマニウム、チタンな
どが含まれていてもよい。
本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せしめたフィル
ムである。未延伸フィルムでは耐スクラッチ性が不良と
なるので好ましくないし、また表面部分のみが一軸配向
になっているような塗布延伸法によるフイルムでは耐ス
クラッチ性を満足し得ない。すなわち、本発明で規定す
る特定の表面突起を有する側の表面の表面近傍の分子が
二軸配向になっていることが必要である。二軸配向の程
度は特に限定されないが、分子配向の程度を表わすフイ
ルムのヤング率が長手方向、幅方向ともに、350kg/m
m2、好ましくは400kg/mm2以上の場合に耐スクラッチ性
が一層良好となるので特に望ましい。また極表層の分子
配向は全反射ラマン法、赤外スペクトルなどで確認でき
る。
本発明フイルムは、フイルムの少なくとも片面に形成さ
れた表面突起の平均突起径d1と、該面から後述の方法で
測定された粒子の平均粒径d2の比d1/d2が2.8以下、好
ましくは2.7以下、さらに好ましく2.6以下であることが
必要である。上記d1/d2が上記の範囲より大きいとS/
N、耐スクラッチ性が不良となるので好ましくない。d1
/d2の下限は特に限定されないが1.1程度が製造上の限
界である。
また本発明フイルムは、上記突起を有する面の突起個数
が1万個/mm2以上、好ましくは5万個/mm2以上、さら
に好ましくは10万個/mm2以上であることが必要であ
る。突起個数が上記の範囲より小さいと耐スクラッチ
性、S/Nが不良となるので好ましくない。
本発明フィルムは、該表面突起の平均突起径d1が20〜15
00nm、好ましくは30〜1000nm、さらには40〜600nmの範
囲の場合に耐スクラッチ性、S/Nが一層良好となるので
望ましい。
本発明フィルムは、該表面突起の径分布の標準偏差が50
0nm以下、好ましくは400nm以下の範囲の場合に耐スクラ
ッチ性、S/Nが一層良好となるので望ましい。
本発明フィルムは上述の特徴を有する表面突起を構成す
る粒子の上の熱可塑性樹脂の皮(表皮)の厚さが5〜50
0nm、好ましくは10〜400nm、さらに好ましくは10〜150n
mの範囲の場合に耐スクラッチ性、S/Nが一層良好となる
ので望ましい。この表皮厚さの別の見方として、表層粒
子濃度比を用いることもできる(例えば表皮厚さが厚い
場合は表層粒子濃度比が小さい)。この表面の2次イオ
ンマススペクトルによって測定される表層粒子濃度比が
1/10000〜1/10、特に1/1000〜1/50の範囲である場合に
上記表皮厚さが得られ、耐スクラッチ性、S/Nがより一
層良好となるので特に望ましい。
本発明フイルムは上述の特徴を有する表面の突起高さ分
布の相対標準偏差が0.6以下、好ましくは0.55以下、さ
らに好ましく0.5以下の場合にS/N、耐スクラッチ性がよ
り一層良好となるので望ましい。
本発明フイルムは上述の特徴を有する表面の突起の平均
高さが25〜500nmの範囲である場合にS/N、耐スクラッチ
性がより一層良好となるので望ましい。
本発明フイルムは上述の特徴を有する表面の突起高さ分
布の相対標準偏差を長手方向10mについて測定した時の
バラツキ(=100×(最大値−最小値)/平均値(単位
%))が40%以下である場合にS/N、耐スクラッチ性が
より一層良好となるので望ましい。
次に本発明フィルムの製造方法について説明する。
まず、所定の熱可塑性樹脂に粒子を含有せしめる方法と
しては、重合前、重合中、重合後のいずれに添加しても
よいが、ポリエステルの場合はジオール成分にスラリー
の形で混合、分散せしめて重合する方法、あるいはこの
スラリーを熱可塑性樹脂に二軸ベント式押出機を用いて
練り込む方法が本発明の突起径パラメータを満足させ、
十分な突起個数を得るのに有効である。また、粒子の含
有量を調節する方法としては、高濃度のマスターポリマ
を製膜時に稀釈する方法を用い、かつこのマスターポリ
マの溶融粘度を稀釈する方法を用い、かつこのマスター
ポリマの溶融粘度を稀釈する熱可塑性樹脂の溶融粘度よ
り高く、好ましくは500ポイズ以上高くしておくことが
本発明の突起径パラメータ構成を満足させるのに有効で
ある。
かくして、本発明の突起個数を満足させるため、2〜30
重量%の粒子を含有する熱可塑性樹脂Aのペレットを必
要に応じて乾燥したのち、公知の溶融押出機に供給し、
スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティン
グロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。
この場合、公知の積層シート用製膜装置(たとえば、2
または3台の押出し機、2または3層のマニホールドな
ど)を用いて、粒子含有量が上記熱可塑性樹脂A組成物
の1/4以下の熱可塑性樹脂B組成物(BとAは同種また
は異種)に積層してなる2〜3層構造の未延伸フイルム
としておくことが本発明の突起径パラメータを得るのに
有効である。
また、積層したときに表面層に用いる熱可塑性樹脂Aの
溶融粘度をそれと接触する他層の熱可塑性樹脂の溶融粘
度よりも150ポイズ、好ましくは300ポイズ程度低くして
おくことが本発明の突起径パラメータを満足させるのに
有効である。また、表面層の熱可塑性樹脂Aのポリマ流
路に、スタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方
法は延伸破れなく、本発明の突起径パラメータ、突起個
数を満足させるのにきわめて有効である。また熱可塑性
樹脂Aの結晶化パラメータΔTcgをそれと接触する他層
の熱可塑性樹脂のΔTcgよりも小さく、好ましくは10℃
以上小さくしておくことは本発明の突起径パラメータを
満足させるのにきわめて有効である。
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめ
る。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸
延伸法、チューブラー延伸法を用いることができる。た
だし、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次
二軸延伸法を用い、長手方向の延伸を熱可塑性樹脂のガ
ラス転移点から10℃低い温度から10℃高い温度の範囲で
行なうことが本発明の突起径パラメータを満足させるの
にきわめて有効である。幅方向の延伸方法としてはガラ
ス転移点より10℃低い温度からガラス転移点より30℃高
い温度までの範囲で延伸する方法が本発明の突起径パラ
メータを満足させるのに有効である。延伸倍率は長手、
幅方向ともに2.5〜7倍が好適であり、また、総面積倍
率(縦総倍率×横総倍率)を8倍以上、好ましくは10倍
以上としておくことが本発明の突起径パラメータ構成を
満足させるのに有効である。る。また機械強度が要求さ
れる用途に用いる場合は二軸延伸フイルムをさらに少な
くとも1方向に再延伸しても良い。次にこの延伸フィル
ムを熱処理するが、公知の方法を用いることができる。
ただし最終的なフイルムの状態での熱可塑性樹脂Aより
なる層(A層)の積層厚さt(nm)とその層に含有する
粒子の平均粒径d2(nm)との関係を、0.1≦t/d2≦3、
好ましくは0.3≦t/d2≦1.5、さらに好ましくは0.4≦t/d
2≦0.9となるよう吐出量、延伸倍率を調整することが本
発明の突起径パラメータを満足させるのにきわめて有効
である。る。また該A層の厚さは0.03〜0.5μmとする
ことは本発明の突起径パラメータを満足させるのにきわ
めて有効である。
なお、1層構造のフイルムでも粒子マスタポリマの溶融
粘度、凝集エネルギー密度の調整、ポリマ流路へのギヤ
ポンプ、スタティックミキサーの導入、延伸条件の厳密
な調整あるいは溶液製膜などの手法で本発明の突起径パ
ラメータを満足させることも不可能ではないが、安定
性、再現性などの問題があり、工業的には好ましくな
い。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の
通りである。
(1) 粒子の含有量 熱可塑性樹脂は溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子を熱可塑性樹脂から遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
(2) 結晶化パラメータΔTcg、融解熱 示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。DSCの測定条
件は次の通りである。すなわち、試料10mgをDSC装置に
セットし、300℃の温度で5分間溶解した後、液体窒素
中に急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラ
ス転移点Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態
からの結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶化温度Tcc
とした。さらに昇温を続け、融解ピークから融解熱を求
めた。ここでTccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化パラメー
タΔTcgと定義する。
(3) フイルムの断面観察 ・装置:電界放射型走査電子顕微鏡 (日立製S−800型) ・加速電圧:10kV ・切断:凍結ミクロトームによる切断面にカーボン蒸着
して測定試料作成 (切断方向はフイルムの横方向) (4) 突起部分の表皮厚さ 上記(3)で突起部分のみ注目した観察を行ない突起を
頂上から粒子までの距離の突起500個の平均値をもって
表皮厚さとした(倍率は4万〜10万倍)。
なお、さらに、同様の値は、表面からのラザフォード後
方散乱分光法によっても得ることができる。原理はフイ
ルム表面から高エネルギーのイオンを打ち込み、原子核
同士の弾性散乱(ラザフォード散乱)によって反跳して
きたHeイオンのエネルギーを調べることによって、フイ
ルム表面近傍の元素分布の情報を得るものであり、その
条件は下記の通りである。
・装置:日新ハイボルテージ製の後方散乱測定装置(AN
-2500) ・測定条件: 入射イオン 4He+ 入射エネルギー 2.0MeV イオン電流 5nA 入射量 40μC イオンビーム径 1mmφ 入射角 0度 散乱角 160度 マルチチャンネルアナライザー 2keV/channel エネルギー分解能 18keV 上記測定によって得られた原スペクトルから粒子濃度の
デプスプロファイルを求め、粒子濃度が極大値の1/2に
なる表面からの深さaを表皮厚さとした(ここで、粒子
濃度が極大値となる深さをbとするとa<b)。なお、
ラザフォード後方散乱分光法によって得られる情報を厚
さに換算する時の原子数密度はフイルムの密度、熱可塑
性樹脂の繰り返し単位の分子構造から求めた値を用い
た。熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合
は原子数密度:9.7×1022個/cm3を用いることができ
る。
(5) 粒径 フィルム表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理
法で除去し、表面近傍の粒子を露出させる。処理条件は
熱可塑性樹脂は灰化されるが粒子はダメージを受けない
条件を選択する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観
察し、粒子の画像をイメージアナライザーで処理する。
観察箇所を変えて粒子数5,000個以上で次の数値処理を
行ない、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とす
る。
D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数である。
(6) 真球度 上記(5)の測定において個々の粒子の(長径の平均
値)/(短径の平均値)の比である。すなわち、下式で
求められる。
長径=ΣD1i/N 短径=ΣD2i/N D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大径)、短径
(最短径)、Nは粒子数である。
(7) 粒径の相対標準偏差 上記(5)の方法で測定された個々の粒径Di、平均径
D、粒子数Nから計算される標準偏差σ(={Σ(Di-D)
2/N}1/2)を平均径Dで割った値(σ/D)で表わした。
(8) 表面突起径、突起高さ、高さ分布、個数 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM-3200、エリオニ
クス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオニク
ス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高さを0
として走査した時の突起の高さ測定値を画像処理装置
[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送り、画像処
理装置上にフイルム表面突起画像を再構築する。次に、
この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた個々
の突起の面積から円相当径を求めこれをその突起の平均
径d1とする。また、この2値化された個々の突起部分の
中で最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の突
起について求める。この測定を場所をかえて500回繰返
し、突起個数を求め、測定された全突起についてその高
さの平均値を平均高さとした。また個々の突起の径およ
び高さのデータをもとに、突起径分布および高さ分布の
標準偏差を求めた。それぞれの相対標準偏差はこの標準
偏差を平均径、平均高さで割った値である。また走査型
電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間の値を選択す
る。なお、場合によっては、突起高さについては、高精
度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製TOPO-3D)、
対物レンズ:40〜200倍、高解像度カメラ使用が有効)を
用いて得られる高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用
いてもよい。
(9) 表面粗さ 表面粗さ計を用いて測定した。条件は下記のとおりであ
り、20回の測定の平均値をもって値とした(小坂研究所
ET-10)。
・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm (10) 積層厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深
さ3000nmの範囲のフイルム中の粒子の内もっとも高濃度
の粒子に起因する元素と熱可塑性樹脂の炭素元素の濃度
比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ3000nmまで
厚さ方向の分析を行なう。表層では表面という界面のた
めに粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度
は高くなる。本発明フイルムの場合は通常いったん極大
値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布
曲線をもとに表層粒子濃度がの極大値の1/2となる深さ
(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、こ
れを積層厚さとした。条件は次の通り。
(1) 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 (2) 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:5.0×10-9Torr E−GUN:0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲にもっとも多く含有す
る粒子が有機高分子粒子等で、SIMSでは測定が難しい場
合は、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分
光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロ
ファイルを測定し積層厚さを求めても良いし、また、電
子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度の変化状態やコン
トラストの差から界面を認識し積層厚さを求めることも
できる。
(11) ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、インス
トロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65%RH
にて測定した。
(12) 溶融粘度 高化式フローテスターを用いて290℃、ずり速度200sec
-1で測定した。
(13) 表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フイルム
中の粒子に起因する元素の内のもっとも高濃度の元素と
熱可塑性樹脂の炭素元素の濃度比を粒子濃度とし、厚さ
方向の分析を行なう。SIMSによって測定される最表層粒
子濃度(深さ0の点)における粒子濃度Aとさらに深さ
方向の分析を続けて得られる最高濃度Bの比、A/Bを表
層濃度比と定義した。測定装置、条件は下記のとおりで
ある。
測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUN:0.5KV−3.0A (14) 表面の分子配向(屈折率) ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈折率
計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレンを
用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの二軸配向性
は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN1、N2、N3と
した時、(N1−N2)の絶対値が0.07以下、かつ、N3/
[(N1+N2)/2]が0.95以下であることをひとつの基準
とできる。また、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を
測定しても良い。さらに、この方法では測定が難しい場
合は全反射レーザーラマン法を用いることもできる。レ
ーザー全反射ラマンの測定は、Jobin-Yvon社製Ramanor
U−1000ラマンシステムにより、全反射ラマンスペクト
ルを測定し、例えばPETの場合では、1615cm-1(ベンゼ
ン環の骨格振動)と1730cm-1(カルボニル基の伸縮振
動)のバンド強度比の偏光測定比(YY/XX比など。ここ
でYY:レーザーの偏光方向をYにしてYに対して平行な
ラマン光検出、XX:レーザーの偏光方向をXにしてXに
対して平行なラマン光検出)が分子配向と対応すること
を利用できる。ポリマの二軸配向性はラマン測定から得
られたパラメータを長手方向、幅方向の屈折率に換算し
て、その絶対値、差などから判定できる。この場合の測
定条件は次のとおりである。
光源 アルゴンイオンレーザー(5145Å) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レーザのプ
リズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60°
とした。
検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System(Hamamatsu C123
0)(supply 1600V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 (15) 磁気記録媒体とした時のS/N フィルムに磁性塗料をグラビヤロールを用いて乾燥厚さ
が3μmとなるよう塗布した。磁性塗料は次のようにし
て調製した。
・Fe(鉄) 100部 平均粒子サイズ 長さ :0.3μm 針状比:10/1 抗磁力 2000 Oe ・ポリウレタン樹脂 15部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 5部 ・ニトロセルロース樹脂 5部 ・酸化アルミ粉末 3部 平均粒径 :0.3μm ・カーボンブラック 1部 ・レシチン 2部 ・メチルエチルケトン 100部 ・メチルイソブチルケトン 100部 ・トルエン 100部 ・ステアリン酸 2部 上記組成物をボールミルで48時間混合分散した後、硬化
剤6部を添加して得られた混練物をフィルターでろ過し
て磁性塗布液を準備し、上記フィルム上に塗布、磁場配
向させ、110℃で乾燥し、さらに小型テストカレンダー
装置(スチールロール/ナイロンロール、5段)で、70
℃、線圧:200kg/cmでカレンダー処理した後ロール状に
巻とり、50℃で48時間キュアリングした後幅8mmにスリ
ットして磁気記録テープを得た。
この磁気記録テープをVTRカセットに組み込み、家庭用V
TRを用いてシバソク製のテレビ試験波形発生器(TG7/U7
06)により100%クロマ信号を記録し、その再生信号か
らシバソク製カラービデオノイズ測定器(925D/1)でク
ロマS/Nを測定した。
このクロマS/Nを市販されているHi8テープ(ハイバンド
用8mmVTRテープ、SONY製Hi8MP120)と比較して、S/Nが1
dB以上高い場合はS/N良好、1dB未満の場合はS/N不良と
判定した。
(16) 耐スクラッチ性 20℃相対湿度60%の雰囲気で、外形6mmφのガイドピン
に1/2インチ幅のテープ状フイルムを角度θ=π/2(ra
d)、テンションT1=200g、1000m/分の速さで走行させ
た後のフイルム表面をアルミ蒸着して、傷の本数、幅の
大きさ、白粉の発生状態を微分干渉顕微鏡で観察した。
全く傷が見られずかつ白粉の発生がほとんどないものを
耐スクラッチ性:4、傷が3本未満でかつ白粉の発生がほ
とんどないものを耐スクラッチ性:3、傷が3〜10本で幅
の大きいものもあり、かつ白粉の発生が見られるものを
耐スクラッチ性:2、傷が10本以上でで幅の大きいものも
あり、かつ白粉の発生が激しく見られるものを耐スクラ
ッチ性:1と判定した。耐スクラッチ性は4が望ましいが
3であれば実用上問題なく使用できる。
[実施例] 本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1〜6、比較例1〜3 平均粒径の異なるコロイダルシリカに起因するシリカ粒
子、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(架橋
ポリスチレン粒子)を含有するポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを調整した
(熱可塑性樹脂A)。この熱可塑性樹脂Aと種々の熱可
塑性樹脂(B)をそれぞれ押出機1、押出機2に供給、
290℃で溶融し、これらのポリマを合流積層し、静電引
加キャスト法を用いて表面温度45℃のキャスティング・
ドラムに巻きつけて冷却固化し、合流装置を変更するこ
とにより2層(A/B)または3層(A/B/A)構造の未延伸
フィルムを作った。また、それぞれの押出機の吐出量を
調節し熱可塑性樹脂A層の厚さを調節した。この未延伸
フイルムを90℃(B層がポリエチレンテレフタレート
(以下PETと称する)の場合)、140℃(B層がポリエチ
レン−2,6−ナフタレート(以下PENと称する))で長手
方向に4.0倍延伸した。この一軸延伸フイルムをステン
タを用いて長手方向延伸と同じ温度で幅方向に4.5倍延
伸し、さらに140℃で長手方向に1.5倍再延伸した後、定
長下で、200℃にて5秒間熱処理し、総厚さ7μmの二
軸配向積層フィルムを得た。これらのフィルムの本発明
のパラメータは第1表に示したとおりであり、本発明の
パラメータが範囲内の場合は耐スクラッチ性、S/Nは第
1表に示したとおり良好であったが、そうでない場合は
耐スクラッチ性、S/Nをともに満足するフイルムは得ら
れなかった。
[発明の効果] 本発明はフイルムの少なくとも片面に形成された表面突
起の突起径パラメータを特殊な状態にしたため、高速走
行等の苛酷な条件で走行しても傷がつかず、また、それ
を用いた磁気記録媒体の磁性層の表面が特異な形態とな
りS/Nが高い、すなわち、高画質な磁気記録媒体を作り
得るものである。また本方法によるフイルムは粒子を含
有する塗料をフイルム表面に塗布したりあるいは塗布し
てから延伸して作られるフイルムに比べて、表皮厚さが
厚くなる特徴を有し、その結果、S/Nが高く、かつ耐ス
クラッチ性に優れるのみならず工業的な生産性にも優れ
るものである。
本発明フイルムの用途は特に限定されないが、磁気記録
媒体であるビデオテープ、フロッピーディスク、ビデオ
フロッピー、オーディオテープ、メモリーテープ等の磁
気記録媒体、特に高密度記録の8mmビデオ、8mmハイバン
ドビデオ、SVHSビデオ、デジタルビデオ用、デジタルオ
ーディオ用、HDTV(ハイビジョン等の高品位テレビ)用
等の高密度磁気記録媒体あるいは繰り返し使用が多いソ
フト用ビデオテープ等に有用である。
また、フイルムの傷はフイルムのほとんど全ての用途、
例えば、包装用、グラフィック用、コンデンサー等の電
気材料用などで工程上、性能上のトラブルの原因となる
のでそれらの用途にももちろん有利である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と粒子からなる組成物を主た
    る成分とするフィルムであって、フイルムの少なくとも
    片面に形成された表面突起の平均突起径d1と粒子の平均
    粒径d2の比d1/d2が2.8以下であり、該面の突起個数が
    1万個/mm2以上であることを特徴とする二軸配向熱可
    塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】該表面突起の平均突起径d1が20〜1500nmの
    範囲であることを特徴とする請求項(1)記載の二軸配
    向熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】該表面突起の径分布の標準偏差が500nm以
    下であることを特徴とする請求項(1)または(2)記
    載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】該表面突起を形成する粒子の上の熱可塑性
    樹脂の皮の厚さが5〜500nmの範囲であることを特徴と
    する請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向
    熱可塑性樹脂フィルム。
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