JP2817302B2 - 二軸配向ポリエステルフイルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフイルム

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JP2817302B2 JP2001529A JP152990A JP2817302B2 JP 2817302 B2 JP2817302 B2 JP 2817302B2 JP 2001529 A JP2001529 A JP 2001529A JP 152990 A JP152990 A JP 152990A JP 2817302 B2 JP2817302 B2 JP 2817302B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二軸配向ポリエステルフイルム、とくに、
磁気記録媒体用フイルムとして好適な積層フイルム構成
の二軸配向ポリエステルフイルムに関する。
[従来の技術] 表面特性の改良をはかった二軸配向ポリエステルフイ
ルムとして、ポリエステルにコロイド状シリカに起因す
る実質的に球形のシリカ粒子を含有させたフイルムが知
られている(たとえば特開昭59−171623号公報)。
このような二軸配向ポリエステルフイルムにおいて
は、含有されたシリカ粒子により、フイルム表面に突起
を形成し、表面の摩擦係数を下げてハンドリング性、走
行性を向上したり、磁気記録媒体用途での磁性層の接着
性を向上したりすることが可能である。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来の二軸配向ポリエステルフイ
ルムでは、含有されたシリカ粒子が、フイルムの厚さ方
向全域にわたってランダムに分布するため、フイルム表
面における含有粒子による突起の密度増大には限界があ
り、しかもその突起高さもランダムに相当ばらつくこと
になる。この突起高さが不均一であること、突起密度が
低いことに起因して、最近つぎのような問題が指摘され
だした。
フイルム表面の突起高さが不均一であると、高さの高
い突起部分が削れやすくなり、フイルムの加工工程、た
とえば磁気記録媒体用途における磁性層塗布・カレンダ
ー工程などの工程速度の増大にともない、接触するロー
ルによってフイルム表面突起が削り取られたりフイルム
表面に傷がつくという欠点が、最近、問題となってきて
いる。とくにフイルム表面から削り取られたフイルム粉
や粒子が混入すると、製品の品質を大きく低下させてし
まう。
また、磁気記録媒体用途、とくにビデオテープは、最
近、ソフト用(製作された映像作品をパッケージ媒体に
記録固定、複製・増製したもの)に用いられるケースが
多いが、この場合、上記従来のフイルムをベースとした
ビデオテープでは、映像作品を録画する工程でマスター
テープから高速でダビング(記録複写)する時のS/N
(シグナル/ノイズ比、画質のパラメータ)の低下が大
きく画質が悪くなるという問題も出てきている。
一方、フイルム表面の突起密度が低いと、フイルム表
面の滑り性改良の効果が低く、ハンドリング性、走行性
改良の効果が期待した程得られない。
本発明は、二軸配向ポリエステルフイルムの表面に高
密度で均一な高さの突起を形成して、表面の傷付き防止
性(以下耐スクラッチ性という)の向上および磁気テー
プ用途におけるダビングによる画質(S/N)の低下の防
止(以下耐ダビング性という)をはかり、併せて、フイ
ルム表面の耐削れ性を向上することを目的とする。
[課題を解決するための手段] この目的に沿う本発明の二軸配向ポリエステルフイル
ムは、ポリエステルAと粒子とを主成分とするフイルム
をポリエステルBを主成分とするフイルムの少なくとも
片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムであっ
て、前記ポリエステルAの積層フイルムの厚さが0.005
〜3μm、該積層フイルム中に含有される前記粒子の平
均粒径が積層フイルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の積層
フイルム中の含有量が0.5〜50重量%であり、かつ、ポ
リエステルAの積層フイルム層組成物の固有粘度ポリエ
ステルBの基層フイルム層組成物の固有粘度よりも0.02
dl/g以上大きく、さらに、前記ポリエステルAの積層フ
イルム層の結晶化パラメータが前記ポリエステルBの基
層フイルム層の結晶化パラメータよりも10℃以上高いフ
イルムから成る。
また、上記目的は、本発明による次の(2)(3)
(4)の二軸配向ポリエステルフイルムによっても達成
される。
(2)ポリエステルAと粒子とを主成分とするフイルム
をポリエステルBを主成分とするフイルムの少なくとも
片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムであっ
て、前記粒子により形成されるポリエステルAの積層フ
イルム表面の突起の平均高さが該粒子の平均粒径の1/3.
5以上であり、かつ、ポリエステルAの積層フイルム層
組成物の固有粘度がポリエステルBの基層フイルム層組
成物の固有粘度よりも0.02dl/g以上大きく、さらに、前
記ポリエステルAの積層フイルム層の結晶化パラメータ
が前記ポリエステルBの基層フイルム層の結晶化パラメ
ータよりも10℃以上高いことを特徴とする二軸配向ポリ
エステルフイルム。
(3)ポリエステルAと粒子とを主成分とするフイルム
をポリエステルBを主成分とするフイルムの少なくとも
片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムであっ
て、前記粒子により形成されるポリエステルAの積層フ
イルム表面の突起について、該粒子の平均粒径の1/3以
下の高さの突起数が全突起数の70%以下であり、かつ、
ポリエステルAの積層フイルム層組成物の固有粘度がポ
リエステルBの基層フイルム層組成物の固有粘度よりも
0.02dl/g以上大きく、さらに、前記ポリエステルAの積
層フイルム層の結晶化パラメータが前記ポリエステルB
の基層フイルム層の結晶化パラメータよりも10℃以上高
いことを特徴とする二軸配向ポリエステルフイルム。
(4)ポリエステルAと粒子とを主成分とするフイルム
をポリエステルBを主成分とするフイルムの少なくとも
片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムであっ
て、前記粒子により形成されるポリエステルAの積層フ
イルム表面の突起の高さ分布の相対標準偏差が0.6以下
であり、かつ、ポリエステルAの積層フイルム層組成物
の固有粘度がポリエステルBの基層フイルム層組成物の
固有粘度よりも0.02dl/g以上大きく、さらに、前記ポリ
エステルAの積層フイルム層の結晶化パラメータが前記
ポリエステルBの基層フイルム層の結晶化パラメータよ
りも10℃以上高いことを特徴とする二軸配向ポリエステ
ルフイルム。
これら二軸配向ポリエステルフイルムにおいては、ポ
リエステルフイルムA層含有の粒子によりその表面に高
密度かつ高さの均一な突起が形成され、耐スクラッチ
性、および、磁気テープ用途における耐ダビング性が向
上される。このポリエステルA層には、後述の如く、粒
子を集中して存在させ、効率よく高密度かつ均一な高さ
の表面突起を形成することになるが、この層の固有粘度
をポリエステルB層の固有粘度よりも0.02dl/g以上高く
することにより、粒子が集中して介在してもこのフイル
ム層自身が脆くなるのを防止でき、したがって耐削れ性
を高く保ちつつ、上記の如き望ましいフイルム表面突起
を形成できる。つまり、フイルム表面の耐スクラッチ性
および磁気テープ用途における耐ダビング性と、このフ
イルム表面の耐削れ性とを両立させることができる。
本発明におけるポリエステルAは、特に限定されるこ
とはないが、特に、エチレンテレフタレート、エチレン
α、β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′
−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレート単
位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成
分とする場合に表面突起の形成、耐スクラッチ性、およ
び磁気テープ用途における耐ダビング性がより一層良好
となるので望ましい。また、本発明を構成するポリエス
テルは結晶性である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング
性、耐削れ性がより一層良好となるのできわめて望まし
い。ここでいう結晶性とはいわゆる非晶質ではないこと
を示すものであり、定量的に結晶化パラメータにおける
冷結晶化温度Tccが検出され、かつ結晶化パラメータ△T
cgが150℃以下のものである。さらに、示差走査熱量計
で測定された融解熱(融解エンタルピー変化)が7.5cal
/g以上の結晶性を示す場合に透明性、耐スクラッチ性が
より一層良好となるのできわめて望ましい。また、エチ
レンテレフタレート主要構成成分とするポリエステルの
場合にフイルム表面の耐スクラッチ性、磁気テープ用途
における耐ダビング性がより一層良好となるので特に望
ましい。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2種以上
のポリエステルを混合しても良いし、共重合ポリマを用
いても良い。
本発明のポリエステルA中の粒子の形状は、特に限定
されないが、フイルム中での粒径比(粒子の長径/短
径)が1.0〜1.3の粒子、特に、球形状の粒子の場合に、
表面に形成される突起の高さを均一化しやすく、かつ高
密度化しやすくなるので、耐スクラッチ性、耐ダビング
性を大きく高めることができる。
また、本発明のポリエステルA中の粒子はフイルム中
での単一粒子指数が0.7以上、好ましくは0.9以上である
場合に、均一高さの突起が形成されやすく、フイルム表
面の耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一層良好とな
るので特に望ましい。
本発明のポリエステルA中の粒子の種類は特に限定さ
れないが、上記の好ましい粒子特性を満足させるには好
ましい粒子として、コロイダルシリカに起因する実質的
に球形のシリカ粒子、架橋高分子による粒子(たとえば
架橋ポリスチレン)などがある。特に10重量%減量時温
度(窒素中で熱重量分析装置島津TG−30Mを用いて測
定。昇温速度20℃/分)が380℃以上になるまで架橋度
を高くした架橋高分子粒子が特に望ましい。なお、コロ
イダルシリカに起因する球形シリカの場合にはアルコキ
シド法で製造された、ナトリウム含有量が少ない、実質
的に球形のシリカが特に望ましい。しかしながら、その
他の粒子、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、アル
ミナ等の粒子でもフイルム厚さと平均粒径の適切なコン
トロールにより十分に使いこなせるものである。
本発明のポリエステルAを主成分とするフイルム層の
厚さは0.005〜3μm、好ましくは0.01〜1μm、さら
に好ましくは0.03〜0.8μmである。フイルム厚さが上
記の範囲より小さいと積層フイルム層としての耐削れ
性、耐スクラッチ性が確保できなくなり、逆に大きいと
含有粒子との関係から、均一な高さの表面突起を高密度
に形成するのが困難になり、耐ダビング性、耐スクラッ
チ性が不良となる。
また、本発明における粒子の大きさは、該粒子を含有
する積層フイルム中での平均粒径が該積層フイルム厚さ
の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜5倍、さらに好ましくは
1.1〜3倍の範囲とされる。平均粒径/積層フイルム厚
さ比が上記の範囲より小さいと表面に形成される突起の
高さが不均一になり、耐スクラッチ性、耐ダビング性が
不良となり、逆に大きくても粒子により形成される表面
突起が削れやすくなって耐削れ性、耐スクラッチ性、耐
ダビング性が不良となるので好ましくない。
また、ポリエステルA中の粒子のフイルム中での平均
粒径(直径)が0.005〜3μm、好ましくは0.02〜0.45
μmの範囲である場合に、耐スクラッチ性、耐久ダビン
グ性がより一層良好となるので望ましい。
そして、このような粒子が、0.5〜50重量%、好まし
くは2〜40重量%、さらに好ましくは3〜20重量%、ポ
リエステルAのフイルム中に含有される。これより小さ
いと、フイルム表面突起形成密度が低くなりすぎるので
良好な耐スクラッチ性、耐ダビング性が得られず、逆に
高すぎると、含有粒子の割合が高くなりすぎ、積層フイ
ルム層自身が脆くなりすぎ、耐削れ性、耐スクラッチ
性、耐ダビング性が確保できなくなるので好ましくな
い。
また、上記粒子により形成される、ポリエステルAの
積層フイルム層の表面の突起の平均高さは、粒子の平均
粒径の1/3.5以上好ましくは1/3以上である。このような
平均高さの表面突起は、前述の範囲から、積層フイルム
厚さに対し含有粒子の平均粒径を適切に選択、設定する
ことにより、得られる。
あるいはまた、上記粒子により形成されるポリエステ
ルAの積層フイルム表面の突起について、該粒子の平均
粒径の1/3以下の高さの突起数が全突起数の70%以下に
抑えられる。つまり、高さの低すぎる突起、換言すれ
ば、耐スクラッチ性、耐ダビング性向上効果の低い突起
の数が多くなりすぎないように抑えられる。
さらにまた、上記粒子により形成されるポリエステル
Aの積層フイルム表面の突起の高さ分布の相対標準偏差
が0.6以下とされる。つまり、高さの揃った均一な突起
とされることにより、耐スクラッチ性、耐ダビング性が
効果的に向上される。
つまり、本発明における二軸配向ポリエステルフイル
ムの積層フイルム層には、該フイルム層厚さ近傍あるい
はそれよりも大きな平均粒径の粒子が、この層に集中さ
せて含有される。換言すれば、極薄積層フイルムに、そ
のフイルム厚さ近傍あるいはそれよりも大きな平均粒径
の微小粒子が含有される。したがって、二軸配向ポリエ
ステルフイルム全体に対し、その厚さ方向に、実質的に
積層フイルム層のみに集中して粒子を分布させることが
できる。その結果、積層フイルム中における粒子密度を
容易に高くすることができ、該粒子により形成されるフ
イルム表面の突起の密度も容易に高めることができる。
また、粒子は、上記積層フイルム中に含有されること
で、二軸配向ポリエステルフイルム全体に対し、その厚
さ方向に位置規制されることになり、しかも積層フイル
ムの厚さと平均粒径とは前述の如き関係にあるから、該
粒子により形成される表面突起の高さは、極めて均一に
なる。したがって、この積層フイルム表面の耐スクラッ
チ性が高く保たれ、磁気テープ用途における耐ダビング
性が向上される。
このようなポリエステルAと粒子とを主成分とするフ
イルムがポリエステルBを主成分とするフイルムに積層
される。
ポリエステルBは、前述のポリエステルAと同様のも
のからなり、ポリエステルBとポリエステルAとは同じ
種類のものでも異なるものでもよい。
ポリエステルAのフイルム層は、ポリエステルBから
なるフイルム層の両面、又は片面に積層される。つま
り、積層構成がA/B/A、A/Bの場合であるが、もちろん、
Aと異なる表面状態を有するC層をAと反対面に設けた
A/B/Cでも、あるいはそれ以上の多層構造でもよい。
(ここで、A、B、Cそれぞれの樹脂の種類は同種で
も、異種でもよい。また、少なくとも片方の表面はA層
であることが必要である。磁性層を設ける場合は、A/B
構成の場合はB層、A/B/C構成の場合は平滑な方の面に
設けるのが好適である。) ポリエステルBとしても、結晶性ポリマが望ましく、
特に、結晶性パラメータ△Tcgが20〜100℃の範囲の場合
に、該ポリエステルBのフイルム表面の耐スクラッチ性
等がより一層良好となるので望ましい。具体例として、
エチレンテレフタレート、エチレンα、β−ビス(2−
クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレー
ト、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれた少な
くとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐ス
クラッチ性が特に良好となるので望ましい。ただし、本
発明を阻害しない範囲内、望ましい結晶性を損なわない
範囲内で、好ましくは5モル%以内であれば他成分が共
重合されていてもよい。
本発明のポリエステルBにも、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、他種ポリマをブレンドしてもよいし、ま
た酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有
機添加剤が通常添加される程度添加されていてもよい。
ポリエステルBを主成分とするフイルム中には粒子を
含有している必要は特にないが、平均粒径が0.007〜2
μm、特に0.02〜0.45μmの粒子がごく少量、たとえば
0.001〜0.7重量%、特に0.005〜0.20重量%、さらには
0.005〜0.15重量%含有されていると、加工工程上、使
用上において、摩擦係数や、耐スクラッチ性がより一層
良好となるのみならず、フイルムの巻姿が良好となるの
できわめて望ましい。含有する粒子の種類はポリエステ
ルAに望ましく用いられるものを使用することが望まし
い。ポリエステルAとBに含有される粒子の種類、大き
さは同じでも異なっていても良い。
上述の如き粒子含有するポリエステルAと、ポリエス
テルBとが共押出により積層され、シート状に形成され
た後二軸に延伸され、二軸配向ポリエステルフイルムと
される。本発明における共押出による積層とは、粒子を
含有するポリエステルAと、ポリエステルBとをそれぞ
れ異なる押出装置で押出し、口金から積層シートを吐出
する前にこれらを積層することをいう。この積層は、シ
ート状に成形、吐出するための口金内(たとえばマニホ
ルド)で行ってもよいが、前述の如く積層フイルム層が
薄層であることから、口金に導入する前のポリマ管内で
行うことが好ましい。とくに、ポリ管内の積層部を、矩
形に形成しておくと、幅方向に均一に積層できるので特
に好ましい。ポリマ管内矩形積層部で積層された溶融ポ
リマは、口金内マニホルドでシート幅方向に所定幅まで
拡幅され、口金からシート状に吐出された後、二軸に延
伸される。したがって、たとえば二軸配向後の積層フイ
ルム層が極薄であっても、ポリマ管内矩形積層部では、
粒子含有ポリエステルポリマを、かなりの厚さで積層す
ることになるので、容易にかつ精度よく積層できる。
このように積層構成とされた本発明における二軸配向
ポリエステルフイルムにおいては、ポリエステルAの積
層フイルム層組成物の固有粘度がポリエステルBの基層
フイルム層組成物の固有粘度よりも0.02dl/g以上大きく
設定される。好ましくは、固有粘度の差が0.05dl/g以
上、さらに好ましくは、0.07dl/g以上とされる。このよ
うに固有粘度に大小関係をもたせることにより、ポリエ
ステルA層の粒子保持強度が高く保たれ、ポリエステル
A層の粒子が集中して存在するとしても、この層の固有
粘度を高くすることにより、粒子介在によりこの層が脆
くなることを防止でき、耐削れ性、耐スクラッチ性を高
く保ちつつ、前述の如くフイルム表面に高密度かつ均一
高さの突起を効率よく形成できる。
このような積層フイルム構成の本発明の二軸配向ポリ
エステルフイルムにおいては、さらに、ポリエステルA
の積層フイルム層の結晶化パラメータと前記ポリエステ
ルBの基層フイルム層の結晶化パラメータとの差(前者
が後者よりも大)が10℃以上あることが必要であり、15
℃以上であることが好ましい。このようにすることによ
って、上記耐削れ性の一層の向上が可能になるととも
に、ポリエステルA層における所望の表面突起の形成が
行いやすくなる。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフイルムにおい
ては、格子を含む積層フイルム側の表面の粒子による粒
子濃度比が0.1以下であることが好ましい。この表層粒
子濃度比は、後述の測定法に示す如く、フイルム表面突
起を形成する粒子がフイルム表面において如何にポリエ
ステルAの薄膜で覆われているかを示すものであり、粒
子がフイルム表面に実質的に直接露出している度合が高
い程表層粒子濃度比が高く、表面突起は形成するがポリ
エステルAの薄膜に覆われている度合が高い程表層粒子
濃度比は低い。突起を形成する粒子がポリエステルAの
薄膜で覆われていることにより、粒子が高密度に極薄積
層フイルム層に分布している状態にあっても、該粒子が
該積層フイルム層、ひいてはポリエステルBのベースフ
イルム層にしっかりと保持されることになる。したがっ
て、表層粒子濃度比を上記値以下とすることにより、粒
子の脱落等が防止されて、フイルム表面の耐スクラッチ
性、さらには耐削れ性が高く維持される。このような表
層粒子濃度比は、共押出による積層を行うことによって
達成可能となる。ちなみに、コーティング方法によって
も、本発明と類似の密度の表面突起を有するフイルム、
すなわち、ポリエステルBのフイルム層に対し極薄厚さ
で樹脂層をコーティングし、該樹脂層内に粒子を含有さ
せることは可能であるが、表層粒子濃度比が著しく高く
なり(つまり粒子が実質的に表面に直接露出する度合が
著しく高くなり)、本発明フイルムに比べ表面の極めて
脆いものしか得られない。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフイルムの製造方
法について説明する。
まず、ポリエステルAに粒子を含有せしめる方法とし
ては、重合後、重合中、重合前のいずれでも良いが、ポ
リマにベント方式の2軸押出機を用いて練り込む方法が
本発明範囲の表面形態のフイルムを得るのに有効であ
る。また、粒子の含有量を調節する方法としては、上記
方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に粒
子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の
含有量を調節する方法が本発明範囲の表面形態のフイル
ムを得るのに有効である。さらにこの粒子高濃度マスタ
ーポリマの溶融粘度、共重合成分などを調節して、その
結晶化パラメータ△Tcgを30〜80℃の範囲にしておく方
法は延伸破れなく、本発明範囲の表面形態のフイルムを
得るのに有効である。
かくして、粒子を含有するペレットAを十分乾燥した
のち、公知の溶融押出機に供給し、ポリエステルの融点
以上分解点以下の温度で溶融し、もう一方の実質的に粒
子を含有しないポリエステルB(種類は粒子を含有する
ポリエステルと同一であっても異なっていてもよい)を
前述の如き積層用装置に供給し、スリット状のダイから
シート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化
せしてめ未延伸フイルムを作る。すなわち、2または3
台の押出機、2または3層用の合流ブロックあるいは口
金を用いて、これらのポリエステルポリマを積層する。
合流ブロック方式を用いる場合は積層部分を前述の如く
矩形のものとしておくことが本発明範囲の表面形態のフ
イルムを安定して、幅方向の斑なく、工業的に製造する
のに有効である。
次にこの複層の未延伸フイルムを二軸延伸し、二軸配
向せしめる。二軸延伸の方法は同時二軸延伸、逐次二軸
延伸法のいずれでもよいが、長手方向、幅方向の準に延
伸する逐次二軸延伸法の場合に本発明範囲の表面形態の
フイルムを安定して、幅方向の斑なく、工業的に製造す
るのに有効である。逐次二軸延伸の場合、長手方向の延
伸を、2段階、特に3段階以上に分けて、40〜150℃の
範囲で、かつ、1000〜50000%/分の延伸速度で、3〜
6倍行なう方法は本発明範囲の表面形態を有するフイル
ムを得るのに有効である。幅方向の延伸濃度、速度は、
80〜170℃、1000〜20000%/分の範囲が好適である。延
伸倍率は3〜10倍が好適である。また必要に応じてさら
に長手方向、幅方向の少なくとも一方向に再延伸するこ
ともできる。いずれにしても粒子を含有するきわめて薄
い層を設けてから、面積延伸倍率(長手方向倍率×幅方
向倍率)として9倍以上の延伸を行なうことが本発明の
ポイントである。次にこの延伸フイルムを熱処理する。
この場合の熱処理条件しては、幅方向に弛緩、微延伸、
定長下のいずれかの状態で140〜250℃、好ましくは160
〜220℃の範囲で0.5〜60秒間が好適であるが、熱処理に
マイクロ波加熱を併用することによって本発明範囲の表
面形態を有するフイルムが得られやすくなるので望まし
い。とくに、前述の如く、粒子高濃度マスターポリマの
段階での結晶パラメータΔTcgの適切な調製に加え、熱
処理の段階でマイクロ波加熱併用を行なうことによっ
て、フイルムに成形後の状態にて、ポリエステルAの積
層フイルム層の結晶化パラメータとポリエステルBの基
層フイルム層の結晶化パラメータとの差を容易に10℃以
上にすることができるようになる。
本発明フイルムの製法の特徴は、特殊な方法で調製し
た特定範囲の熱特性を有する高濃度粒子ポリマを用い
て、粒子を含有するきわめて薄い層を設けた後にフイル
ムを二軸延伸することであり、製膜工程内で、フイルム
を一軸延伸した後、コーティングなどを施しさらに延伸
する方法、あるいは二軸延伸フイルムをコーティングし
て作られる積層フイルムでは本発明フイルムの性能には
遠く及ばず、また、コスト面でも本発明フイルムが優れ
ている。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次
の通りである。
(1)粒子の平均粒径 フイルム表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処
理法(たとえばヤマト科学製PR−503型)で除去し粒子
を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが
粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM
(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によ
ってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえ
ばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付
け、粒子の個数を測定するとともに、観察箇所を変えて
粒子を5000個以上で次の数値処理を行ない、それによっ
て求めた平均径Dを平均粒径とする。
D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によって赤外分光法の併用も有効である。
(3)ガラス転移点T g、冷結晶化温度Tcc、結晶化パラ
メータ△Tc g、融点 パーキシエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りである。
すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度
で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷する。この急冷
試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。
さらに昇温を続け、ガラス状態からの結晶化発熱ピーク
温度をもって冷結晶化温度Tccとした。さらに昇温を続
け、融解ピーク温度を融点とした。また、TccとT gの差
(Tcc−T g)を結晶化パラメータΔTc gと定義する。
(4)表面突起の平均高さ、高さ分布の相対標準偏差 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオ
ニクス(株)製]においてフイルム表面の平坦面の高さ
を0として走査したときの突起の高さ測定値を画像処理
装置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送り、画
像処理装置上にフイルム表面突起画像を再構築する。次
に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた
個々の突起の面積から円相当径を求めこれをその突起の
平均径とする。また、この2値化された個々の突起部分
の中で最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の
突起について求める。この測定を場所をかえて500回繰
返し、突起個数を求め、測定された全突起についてその
高さの平均値を平均高さとした。また個々の突起の高さ
データをもとに、高さ分布の標準偏差を求めた。求めら
れた標準偏差を上記高さの平均値で割った値を、相対標
準偏差とした。また走査型電子顕微鏡の倍率は、1000〜
8000倍の間の値を選択する。なお、場合によっては、高
精度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製TOPO−3D、
対物レンズ:40〜200倍、高解像度カメラ使用が有効)を
用いて得られる高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用
いてもよい。
(5)表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フイル
ム中の粒子に起因する元素の内のもっとも高濃度の元素
とポリエステルの炭素原子の濃度比を粒子濃度とし、厚
さ方向の分析を行なう。SIMSによって測定される最表層
粒子濃度(深さ0の点)における粒子濃度Aとさらに深
さ方向の分析を続けて得られる最高濃度Bの比、A/Bを
表層粒子濃度比と定義した。測定装置、条件は下記のと
おりである。
測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×109Torr E−GUN:0.5KV−3.0A (6)単一粒子指数 フイルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。観察倍率を100000倍程度にすれ
ば、それ以上分けることができない1個の粒子が観察で
きる。粒子の占める全面積をA、その内2個以上の粒子
が凝集している凝集体の占める面積をBとした時、(A
−B)/Aをもって、単一粒子指数とする。TEM条件は下
記のとおりであり1視野面積:2μm2の測定を場所を変え
て、500視野測定する。
・装置:日本電子製JEM−1200EX ・観察倍率:100000倍 ・切片厚さ:約1000オングストローム (7)粒径比 上記(1)の測定において個々の粒子の長径の平均値
/短径の平均値の比である。
すなわち、下式で求められる。
長径=ΣD1i/N 短径=ΣD2i/N D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大径)、短
径(最短径)、Nは総個数である。
(8)積層されたフイルム中のポリエステルA層の厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フイルム
中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエ
ステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、
ポリエステルA層の表面から深さ(厚さ)方向の分析を
行なう。表層では表面という界面のために粒子濃度は低
く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発
明フイルムの場合は深さ[I]でいったん極大値となっ
た粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をも
とに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここでI
I>I)を積層厚さとした。条件は測定法(5)と同様
である。
なお、フイルム中にもっとも多く含有する粒子が有機
高分子粒子の場合はSIMSで測定が難しいので、表面から
エッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤
外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、その
粒子濃度のデプスプロファイルを測定し、上記同様の手
法から積層厚さを求めても良い。
さらに上述のデプスプロファイルからではなく、フイ
ルムの断面観察あるいは薄膜段差測定機等によって求め
ることができる。
(9)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下記式から計算される値を用いる。
すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.
2)、Kはハギンス定数(0.343とする)。また、溶液粘
度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(10)耐スクラッチ性 フイルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度1000m/分、走
行回数10パス、巻き付け角:60゜、走行張力:20g)。こ
の時、フイルムに入った傷を顕微鏡で観察し、幅2.5μ
m以上の傷がテープ幅あたり2本未満は優、2本以上10
本未満は良、10本以上は不良と判定した。優が望ましい
が、良でも実用的には使用可能である。
(11)耐ダビング法 フイルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールによ
り塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テ
ストカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロー
ル、5段)で、温度:70℃、線圧:200Kg/cmでカレンダー
処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テー
プ原反を1/2インチにスリットし、パンケーキを作成し
た。このパンケーキから長さ250mの長さVTRカセットに
組み込みVTRカセットテープとした。
(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2/g): 100 重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共
重合体): 10 重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエ
ラストマ): 10 重量部 ・コトネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネー
ト) :5 重量部 ・レシチン :1 重量部 ・メチルエチルケトン :75 重量部 ・メチルイソブチルケトン :75 重量部 ・トルエン :75 重量部 ・カーボンブラック :2 重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ
試験波形発生器(TG7/U706)により100%クロマ信号を
記録し、その再生信号からシバソク製カラービデオノイ
ズ測定器(925D/1)でクロマS/Nを測定しAとした。ま
た上記と同じ信号を記録したマスターテープのパンケー
キを磁界転写方式のビデオソフト高速プリントシステム
(たとえばソニーマグネスケール(株)製のスプリン
タ)を用いてAを測定したのと同じ試料テープ(未記
録)のパンケーキへダビングした後のテープのクロマS/
Nを上記と同様にして測定し、Bとした。このダビング
によるクロマS/Nの低下(A−B)が3dB未満の場合は耐
ダビング性:優、3dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上
は不良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には
使用可能である。
(12)耐削れ性 フイルムを幅1/2インチにテープ状にスリットしたも
のに片刃を垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状
態で20cm走行させる(走行張力:500g、走行速度:6.7cm/
秒)。この時片刃の先に付着したフイルム表面の削れ物
の高さを顕微鏡で読みとり、削れ量とした(単位はμ
m)。少なくとも片面について、粉の削れ量が10μm以
下の場合は耐削れ性:良好、10μmを越える場合は耐削
れ性:不良と判定した。この削れ量:10μmという値
は、印刷工程やカレンダー工程などの加工工程で、フイ
ルム表面が削れることによって、工程上、製品性能上の
トラブルがおこるか否かを判定するための臨界点であ
る。
[実 施 例] 本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1〜8、比較例1〜6 平均粒径の異なる架橋ポリスチレン粒子、コロイダル
シリカに起因する球状シリカ粒子等を含有するエチレン
グリコールスラリーを調製し、このエチレングリコール
スラリーを190℃で1.5時間熱処理した後、常法によって
該粒子を所定量含有するポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略記する)のペレットを作った。このペレ
ットを用いてポリエステルAを調製し、また、常法によ
って、実質的に粒子を含有しないPETを製造し、ポリエ
ステルBとした。これらのポリマをそれぞれ180℃で3
時間減圧乾燥(3Torr)した。ポリエステルAを押出機
1に供給し310℃で溶融し、さらに、ポリエステルBを
押出機2に供給、280℃で溶融し、これらのポリマを矩
形積層部を備えた合流ブロックで口金に入る前に合流積
層し、静電印加キャスト法を用いて表面温度45℃のキャ
スティング・ドラムに巻きつけて冷却固化し、片面にポ
リエステルA層を有する2または3層構造の未延伸フイ
ルムを作った。この時、それぞれの押出機の吐出量を調
節し総厚さ、ポリエステルA層の厚さを調節した。(た
だし比較例6はA層単層)。この未延伸フイルムを温度
80℃にて長手方向に4.5倍延伸した。この延伸は2組ず
つのロールの周速差で、2段階で行なった。この一軸延
伸フイルムをステンタを用いて延伸速度2000%/分で10
0℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で、200℃にて5秒
間熱処理し、総厚さ15μm、ポリエステルA層厚さ0.03
〜4μmの二軸配向積層フイルムを得た。このフイルム
のポリエステルA層側の耐スクラッチ性を評価するとと
もに、ポリエステルA層側の耐削れ性を評価した。な
お、実施例1〜8におけるポリエステルAの積層フイル
ム層の結晶化パラメータは、すべて、ポリエステルBの
基層フイルム層の結晶化パラメータよりも10℃以上高か
った。
次にこれらフイルムを磁気テープとして用いた場合の
耐ダビング性を評価した。
ベースフイルムとしての各パラメータは第1表に示し
たとおりであり、これらが本発明の範囲内の場合には、
耐スクラッチ性、耐ダビング性、耐削れ性は第1表に示
したとおり良好な値を示したが、そうでない場合はこれ
ら特性を兼備することはできなかった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の二軸配向ポリエステル
フィルムによるときは、粒子を含有するポリエステルA
層の表面に、高さの均一な突起を高密度で形成し、かつ
ポリエステルA層とポリエステルB層との固有粘度の大
小関係を特定関係としたので、均一な突起形成により優
れた耐スクラッチ性を得ることができるとともに、これ
を磁気テープ用に使用する場合に優れた耐ダビング性を
得ることができ、さらに粒子が集中して存在するポリエ
ステルA層の固有粘度を高く保つことにより、優れた耐
削れ性を得ることができ、これら耐スクラッチ性、耐ダ
ビング性、耐削れ性を兼備した磁気記録媒体用として極
めて好適なフイルムが得られる。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは、製
膜工程内で、コーティングなどの操作なしで共押出によ
り直接複合積層することによって作ったフイルムであ
り、製膜工程中あるいはその後のコーティングによって
作られる積層フイルムに比べて、最表層の分子も二軸配
向であるため、フイルム全体とともにその表層部も極め
て強度の高いものとなり、しかもコスト面、品質の安定
性などにおいて有利になる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:16 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平2−77431(JP,A) 特開 平1−198350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルAと粒子とを主成分とするフ
    イルムをポリエステルBを主成分とするフイルムの少な
    くとも片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムで
    あって、前記ポリエステルAの積層フイルムの厚さが0.
    005〜3μm、該積層フイルム中に含有される前記粒子
    の平均粒径が積層フイルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の
    積層フイルム中の含有量が0.5〜50重量%であり、か
    つ、ポリエステルAの積層フイルム層組成物の固有粘度
    がポリエステルBの基層フイルム層組成物の固有粘度よ
    りも0.02dl/g以上大きく、さらに、前記ポリエステルA
    の積層フイルム層の結晶化パラメータが前記ポリエステ
    ルBの基層フイルム層の結晶化パラメータよりも10℃以
    上高いことを特徴とする二軸配向ポリエステルフイル
    ム。
  2. 【請求項2】ポリエステルAと粒子とを主成分とするフ
    イルムをポリエステルBを主成分とするフイルムの少な
    くとも片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムで
    あって、前記粒子により形成されるポリエステルAの積
    層フイルム表面の突起の平均高さが該粒子の平均粒径の
    1/3.5以上であり、かつ、ポリエステルAの積層フイル
    ム層組成物の固有粘度がポリエステルBの基層フイルム
    層組成物の固有粘度よりも0.02dl/g以上大きく、さら
    に、前記ポリエステルAの積層フイルム層の結晶化パラ
    メータが前記ポリエステルBの基層フイルム層の結晶化
    パラメータよりも10℃以上高いことを特徴とする二軸配
    向ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】ポリエステルAと粒子とを主成分とするフ
    イルムをポリエステルBを主成分とするフイルムの少な
    くとも片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムで
    あって、前記粒子により形成されるポリエステルAの積
    層フイルム表面の突起について、該粒子の平均粒径の1/
    3以上の高さの突起数が全突起数の70%以下であり、か
    つ、ポリエステルAの積層フイルム層組成物の固有粘度
    がポリエステルBの基層フイルム層組成物の固有粘度よ
    りも0.02dl/g以上大きく、さらに、前記ポリエステルA
    の積層フイルム層の結晶化パラメータが前記ポリエステ
    ルBの基層フイルム層の結晶化パラメータよりも10℃以
    上高いことを特徴とする二軸配向ポリエステルフイル
    ム。
  4. 【請求項4】ポリエステルAと粒子とを主成分とするフ
    イルムをポリエステルBを主成分とするフイルムの少な
    くとも片面に積層した二軸配向ポリエステルフイルムで
    あって、前記粒子により形成されるポリエステルAの積
    層フイルム表面の突起の高さ分布の相対標準偏差が0.6
    以下であり、かつ、ポリエステルAの積層フイルム層組
    成物の固有粘度がポリエステルBの基層フイルム層組成
    物の固有粘度よりも0.02dl/g以上大きく、さらに、前記
    ポリエステルAの積層フイルム層の結晶化パラメータが
    前記ポリエステルBの基層フイルム層の結晶化パラメー
    タよりも10℃以上高いことを特徴とする二軸配向ポリエ
    ステルフイルム。
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