JPH07278677A - 耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法 - Google Patents
耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法Info
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- JPH07278677A JPH07278677A JP7365294A JP7365294A JPH07278677A JP H07278677 A JPH07278677 A JP H07278677A JP 7365294 A JP7365294 A JP 7365294A JP 7365294 A JP7365294 A JP 7365294A JP H07278677 A JPH07278677 A JP H07278677A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は耐圧強度とネックドイン性に極めて
優れたDI缶用表面処理原板並びに製造方法を提供する。 【構成】 鋼の主要成分が、C:0.0005〜0.0060wt%、
sol.Al:0.002〜0.100 wt%、N:0.0055〜0.0120wt%、
Nb或いはTiの1種又は2種を0.08wt%以下、且つ、C.fr
ee:≦0.0030wt%、で G.Snoが 9.5以上で、Hv(10%B
H)が 145以上、Hv(70%BH)が 195以下であることを
特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたDI
缶用表面処理原板、及び上記の成分の鋳片を、熱間圧
延、85〜95%で冷間圧延、再結晶温度〜880 ℃で再結晶
焼鈍し、 G.Snoが 9.5以上の焼鈍板を造り、伸び率で7
%以上40%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が 145以
上、Hv(70%BH)が 195以下に調整することを特徴とす
る製造方法であり、更に100 〜2500℃/sの加熱速度で再
結晶焼鈍を行ってもよい。
優れたDI缶用表面処理原板並びに製造方法を提供する。 【構成】 鋼の主要成分が、C:0.0005〜0.0060wt%、
sol.Al:0.002〜0.100 wt%、N:0.0055〜0.0120wt%、
Nb或いはTiの1種又は2種を0.08wt%以下、且つ、C.fr
ee:≦0.0030wt%、で G.Snoが 9.5以上で、Hv(10%B
H)が 145以上、Hv(70%BH)が 195以下であることを
特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたDI
缶用表面処理原板、及び上記の成分の鋳片を、熱間圧
延、85〜95%で冷間圧延、再結晶温度〜880 ℃で再結晶
焼鈍し、 G.Snoが 9.5以上の焼鈍板を造り、伸び率で7
%以上40%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が 145以
上、Hv(70%BH)が 195以下に調整することを特徴とす
る製造方法であり、更に100 〜2500℃/sの加熱速度で再
結晶焼鈍を行ってもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫メッキが施されるDI
缶用表面処理原板に於いて、DI缶用ぶりき原板の板厚
をゲージダウンした時にも(例えば、板厚を現状の0.
245mmから0.220mmへのゲージダウン)、所定の
耐圧強度が確保できるDI缶の耐圧強度とネックドイン
性に優れたDI缶用表面処理原板及び製造方法に関する
ものである。
缶用表面処理原板に於いて、DI缶用ぶりき原板の板厚
をゲージダウンした時にも(例えば、板厚を現状の0.
245mmから0.220mmへのゲージダウン)、所定の
耐圧強度が確保できるDI缶の耐圧強度とネックドイン
性に優れたDI缶用表面処理原板及び製造方法に関する
ものである。
【0002】尚、本明細書で用いられる主な略語の意味
は次の通りである。 C.free=Cwt%−(2×12/93×Nbwt%+12/48×
Ti.eff) Ti.eff=Tiwt%−3.43×Nwt%……但し、Ti.eff
は負の時は0とする。 G.Sno :原板の結晶粒度番号 BH熱処理 :210℃×5min の熱処理 Hv(10%BH):伸び率10%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv(70%BH):伸び率70%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv値 :ビカース硬度値(荷重:100g)
は次の通りである。 C.free=Cwt%−(2×12/93×Nbwt%+12/48×
Ti.eff) Ti.eff=Tiwt%−3.43×Nwt%……但し、Ti.eff
は負の時は0とする。 G.Sno :原板の結晶粒度番号 BH熱処理 :210℃×5min の熱処理 Hv(10%BH):伸び率10%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv(70%BH):伸び率70%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv値 :ビカース硬度値(荷重:100g)
【0003】
【従来の技術】錫メッキが施されるDI缶用表面処理原
板は、過去に於いては、特開昭61−243124、特
開昭53−48913に示されるような箱焼鈍法で製造
されたイヤリング性を改良した等軸粒のアルミキルド鋼
や古くからある延伸粒のアルミキルド鋼が適用され、テ
ンパー度が1〜2(以下T−1,T−2と記す)程度の
軟質で非時効性の鋼板であった。その後、鋼板の板厚を
減少させ、DI缶の軽量化が進められた。この軽量化を
行うに当たり、DI缶のボトム部の内圧に対する耐圧強
度不足を補うため、従来から製造されていたAl−K鋼
を連続焼鈍で製造するT−4CAと称される硬質でBH
性のある鋼板に切り替えられ適用されてきた。
板は、過去に於いては、特開昭61−243124、特
開昭53−48913に示されるような箱焼鈍法で製造
されたイヤリング性を改良した等軸粒のアルミキルド鋼
や古くからある延伸粒のアルミキルド鋼が適用され、テ
ンパー度が1〜2(以下T−1,T−2と記す)程度の
軟質で非時効性の鋼板であった。その後、鋼板の板厚を
減少させ、DI缶の軽量化が進められた。この軽量化を
行うに当たり、DI缶のボトム部の内圧に対する耐圧強
度不足を補うため、従来から製造されていたAl−K鋼
を連続焼鈍で製造するT−4CAと称される硬質でBH
性のある鋼板に切り替えられ適用されてきた。
【0004】最近では、DI缶の軽量化はより一層の進
展が望まれている一方、DI缶のTOP部(ネックドイ
ン部)の径は、缶蓋に使用されるAl板のコストダウン
のため、小径化が行われ、多段ネックドイン加工が施さ
れるようになり、ついには、5段ネックドイン加工が検
討されはじめた。
展が望まれている一方、DI缶のTOP部(ネックドイ
ン部)の径は、缶蓋に使用されるAl板のコストダウン
のため、小径化が行われ、多段ネックドイン加工が施さ
れるようになり、ついには、5段ネックドイン加工が検
討されはじめた。
【0005】しかし、現状のDI缶用素材として供給さ
れているT−4CAでは、缶の耐圧力は充分であるが、
例えば缶蓋の径が202φすなわち(2+2/16)φ
吋のような小径化時にはネックドイン率がより厳しくな
る5段ネックドイン加工を行わねばならないが、皺が発
生するという問題があり、進展が停滞している状況にあ
る。一方、コストダウンのためのDI缶用表面処理原板
のゲージダウンのニーズも大きいが、まだ、優れたネッ
クドイン性と更なるゲージダウンに耐え得る表面処理原
板はまだない。
れているT−4CAでは、缶の耐圧力は充分であるが、
例えば缶蓋の径が202φすなわち(2+2/16)φ
吋のような小径化時にはネックドイン率がより厳しくな
る5段ネックドイン加工を行わねばならないが、皺が発
生するという問題があり、進展が停滞している状況にあ
る。一方、コストダウンのためのDI缶用表面処理原板
のゲージダウンのニーズも大きいが、まだ、優れたネッ
クドイン性と更なるゲージダウンに耐え得る表面処理原
板はまだない。
【0006】以上述べたように、より優れた金属容器と
してのDI缶を造るには、まだ、充分な特性を持ったD
I缶用の表面処理原板はないのである。この問題を解決
するための、耐圧強度とネックドイン性に優れたDI缶
用表面処理原板並びに製造方法の提供が強く望まれてい
る。
してのDI缶を造るには、まだ、充分な特性を持ったD
I缶用の表面処理原板はないのである。この問題を解決
するための、耐圧強度とネックドイン性に優れたDI缶
用表面処理原板並びに製造方法の提供が強く望まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような技術の現状
から本発明は、更なるゲージダウンにも耐え得る優れた
耐圧強度とネックドイン性に優れたDI缶用表面処理原
板並びに製造方法を提供することである。
から本発明は、更なるゲージダウンにも耐え得る優れた
耐圧強度とネックドイン性に優れたDI缶用表面処理原
板並びに製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、DI缶の
更なるゲージダウンにも耐え得る優れた耐圧強度と優れ
たネックドイン性とを両立させ得る鋼板について、種々
検討し、両立する耐圧強度とネックドイン性に優れたD
I缶用表面処理原板を初めて見いだした。更に、鋼板の
製造法についても種々検討し、その製造方法を見いだし
たものである。
更なるゲージダウンにも耐え得る優れた耐圧強度と優れ
たネックドイン性とを両立させ得る鋼板について、種々
検討し、両立する耐圧強度とネックドイン性に優れたD
I缶用表面処理原板を初めて見いだした。更に、鋼板の
製造法についても種々検討し、その製造方法を見いだし
たものである。
【0009】すなわち本発明の要旨は下記の通りであ
る。すなわち、 (1)重量%で、C:0.0005〜0.0060%、
Si:≦0.30%、Mn:0.05〜1.00%、
P:≦0.030%、S:≦0.025%、sol.Al:
0.002〜0.100%、N:0.0055〜0.0
120%、Nb或いはTiの1種又は2種を0.08%
以下、且つ、C.free:≦0.0030%、残部不可避
的不純物及び鉄よりなり、G.Snoが9.5以上、Hv
(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が195以下
であることを特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極
めて優れたDI缶用表面処理原板。及び、 (2)前項(1)記載の成分を含有する鋳片を、熱間圧
延を行い熱延鋼帯とし、85〜95%の冷間圧延率で冷
間圧延を行い、再結晶温度〜880℃で再結晶焼鈍を行
い、室温まで冷却し、G.Snoが9.5以上の焼鈍板を
造り、伸び率で7%以上40%以下の調質圧延で、Hv
(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が195以下
に調整することを特徴とする耐圧強度とネックドイン性
に極めて優れたDI缶用表面処理原板の製造方法。更
に、 (3)前項(2)記載の方法に於いて、再結晶焼鈍をす
るに際し、少なくとも500℃以上の温度域を100〜
2500℃/sの加熱速度で再結晶温度〜920℃に加熱
し、その温度域で0〜10sec 滞在せしめて再結晶焼鈍
を行うことによって、G.Snoを10.0以上とするこ
とを特徴とするHv(10%BH)が145以上、Hv(70
%BH)が195以下の耐圧強度に優れ且つネックドイン
性が更に優れたDI缶用表面処理原板の製造方法であ
る。
る。すなわち、 (1)重量%で、C:0.0005〜0.0060%、
Si:≦0.30%、Mn:0.05〜1.00%、
P:≦0.030%、S:≦0.025%、sol.Al:
0.002〜0.100%、N:0.0055〜0.0
120%、Nb或いはTiの1種又は2種を0.08%
以下、且つ、C.free:≦0.0030%、残部不可避
的不純物及び鉄よりなり、G.Snoが9.5以上、Hv
(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が195以下
であることを特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極
めて優れたDI缶用表面処理原板。及び、 (2)前項(1)記載の成分を含有する鋳片を、熱間圧
延を行い熱延鋼帯とし、85〜95%の冷間圧延率で冷
間圧延を行い、再結晶温度〜880℃で再結晶焼鈍を行
い、室温まで冷却し、G.Snoが9.5以上の焼鈍板を
造り、伸び率で7%以上40%以下の調質圧延で、Hv
(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が195以下
に調整することを特徴とする耐圧強度とネックドイン性
に極めて優れたDI缶用表面処理原板の製造方法。更
に、 (3)前項(2)記載の方法に於いて、再結晶焼鈍をす
るに際し、少なくとも500℃以上の温度域を100〜
2500℃/sの加熱速度で再結晶温度〜920℃に加熱
し、その温度域で0〜10sec 滞在せしめて再結晶焼鈍
を行うことによって、G.Snoを10.0以上とするこ
とを特徴とするHv(10%BH)が145以上、Hv(70
%BH)が195以下の耐圧強度に優れ且つネックドイン
性が更に優れたDI缶用表面処理原板の製造方法であ
る。
【0010】以下に本発明について詳細に述べる。本発
明者等は、本発明が解決しようとする課題に関連した課
題について、以前に検討し、特願平5−99841の表
面処理原板並びにその製造方法を発明し、提供した。そ
の考え方は、下記に示す概要の通りである。
明者等は、本発明が解決しようとする課題に関連した課
題について、以前に検討し、特願平5−99841の表
面処理原板並びにその製造方法を発明し、提供した。そ
の考え方は、下記に示す概要の通りである。
【0011】先の発明では、先ず、一方で高い強度を維
持することが求められ、もう一方でより軟質であること
が求められるといった相反することが要求されるDI缶
の優れた耐圧強度と優れたネックドイン性を両立させ得
る鋼板特性が有り得るのかについて検討し、可能性があ
ることを見いだしたもので、その考え方は、3%の加工
後のBH熱処理後の変形抵抗がより高く、且つ、40%
の圧延加工後のBH熱処理後の変形抵抗がより低い鋼で
あればよいとの考えである。具体的には、耐圧力は、
Y.P(3%BH)が39kgf/mm2 以上でゲージダウン時
にも耐圧力が確保でき、ネックドイン時の皺発生につい
てはY.P(50%BH)が62kgf/mm2 以下で皺の発生も
なくなるという優れた耐圧力とネックドイン性を有する
DI缶用原板であった。
持することが求められ、もう一方でより軟質であること
が求められるといった相反することが要求されるDI缶
の優れた耐圧強度と優れたネックドイン性を両立させ得
る鋼板特性が有り得るのかについて検討し、可能性があ
ることを見いだしたもので、その考え方は、3%の加工
後のBH熱処理後の変形抵抗がより高く、且つ、40%
の圧延加工後のBH熱処理後の変形抵抗がより低い鋼で
あればよいとの考えである。具体的には、耐圧力は、
Y.P(3%BH)が39kgf/mm2 以上でゲージダウン時
にも耐圧力が確保でき、ネックドイン時の皺発生につい
てはY.P(50%BH)が62kgf/mm2 以下で皺の発生も
なくなるという優れた耐圧力とネックドイン性を有する
DI缶用原板であった。
【0012】本発明者等は、その後、更なる缶蓋の縮径
{204(2+4/16吋)φ→202φ}にも耐え得
るネックドイン性が更に優れたDI缶用原板並びに製造
方法を検討し、本発明の方法を見いだしたものである。
{204(2+4/16吋)φ→202φ}にも耐え得
るネックドイン性が更に優れたDI缶用原板並びに製造
方法を検討し、本発明の方法を見いだしたものである。
【0013】本発明者等は、種々の鋼について、更に詳
細に鋼板の特性と缶の耐圧力並びにより厳しいネックド
イン加工時のネック皺の発生状況との関係について、種
々検討した結果、先ず、耐圧強度の指標としてはHv
(10%BH)が、又、より厳しいネックドイン加工時のネ
ックドイン性の指標としてはHv(70%BH)が、より優
れた指標であること、ネックドイン性は、Hv(70%
BH)のみならず、G.Snoも大きく影響すること、を見
いだした。
細に鋼板の特性と缶の耐圧力並びにより厳しいネックド
イン加工時のネック皺の発生状況との関係について、種
々検討した結果、先ず、耐圧強度の指標としてはHv
(10%BH)が、又、より厳しいネックドイン加工時のネ
ックドイン性の指標としてはHv(70%BH)が、より優
れた指標であること、ネックドイン性は、Hv(70%
BH)のみならず、G.Snoも大きく影響すること、を見
いだした。
【0014】図1は、Nb添加極低炭素鋼を箱焼鈍法
(BAF)で焼鈍した後、調質圧延率を変えて試作した
SDI原板を用いて、DI缶を試作し、SDI原板のH
v(10%BH)と試作した缶の耐圧強度との関係を示した
もので、Hv(10%BH)を145以上とすることで所定
の耐圧強度が得られる。
(BAF)で焼鈍した後、調質圧延率を変えて試作した
SDI原板を用いて、DI缶を試作し、SDI原板のH
v(10%BH)と試作した缶の耐圧強度との関係を示した
もので、Hv(10%BH)を145以上とすることで所定
の耐圧強度が得られる。
【0015】図2は、種々の製造法で製造した焼鈍板に
1〜50%の調質圧延を施し、試作したSDI原板を用
いより過酷な条件でDI缶を試作しネックドイン性とH
v(70%BH)、G.Snoとの関係を整理し、Hv(70%
BH)が185の時のG.Snoとネック皺不良率を求めて
表示したものであり、G.Snoの影響も大きく、過酷な
ネックドイン加工時のネック皺の発生を抑制するには少
なくともG.Snoを9.5以上にする必要がある。又、
好ましくはG.Snoは10以上がよく、10以上とする
ことにより更に優れたネックドイン性が得られる。尚、
この実験に於いて、Hv(70%BH)もネックドイン性に
大きく影響を及ぼしHv(70%BH)が低いほど優れたネ
ックドイン性が得られることが明らかとなり、過酷なネ
ックドイン加工時のネック皺の発生を抑制するには少な
くともHv(70%BH)を≦195(好ましくは≦19
0)にする必要があることがわかった。
1〜50%の調質圧延を施し、試作したSDI原板を用
いより過酷な条件でDI缶を試作しネックドイン性とH
v(70%BH)、G.Snoとの関係を整理し、Hv(70%
BH)が185の時のG.Snoとネック皺不良率を求めて
表示したものであり、G.Snoの影響も大きく、過酷な
ネックドイン加工時のネック皺の発生を抑制するには少
なくともG.Snoを9.5以上にする必要がある。又、
好ましくはG.Snoは10以上がよく、10以上とする
ことにより更に優れたネックドイン性が得られる。尚、
この実験に於いて、Hv(70%BH)もネックドイン性に
大きく影響を及ぼしHv(70%BH)が低いほど優れたネ
ックドイン性が得られることが明らかとなり、過酷なネ
ックドイン加工時のネック皺の発生を抑制するには少な
くともHv(70%BH)を≦195(好ましくは≦19
0)にする必要があることがわかった。
【0016】又、更に、この実験の結果、耐圧強度の指
標であるHv(10%BH)≧145とネックドイン性の指
標であるHv(70%BH)以下195とを両立させるに
は、本発明の組成の鋼の焼鈍板に少なくとも7〜40%
の調質圧延を施すことが必須であること、又、G.Sno
を少なくとも9.5以上を得るにはN含有量を0.00
55〜0.0120wt%に調整することが効果的である
ことも併せて知見することができた。
標であるHv(10%BH)≧145とネックドイン性の指
標であるHv(70%BH)以下195とを両立させるに
は、本発明の組成の鋼の焼鈍板に少なくとも7〜40%
の調質圧延を施すことが必須であること、又、G.Sno
を少なくとも9.5以上を得るにはN含有量を0.00
55〜0.0120wt%に調整することが効果的である
ことも併せて知見することができた。
【0017】更に、本発明者等は、再結晶焼鈍時の加熱
速度と焼鈍板の結晶粒径の関係を調査するため、請求項
2の方法で製造した冷延鋼板を通電加熱焼鈍法という従
来の連続焼鈍法とは異なる方法で、加熱速度を50〜2
500℃/secで再結晶焼鈍し得られた焼鈍板のG.Sno
と従来の連動焼鈍法(20℃/s)のG.Snoとを比較検
討した結果、加熱速度が100℃/s以上では細粒化効果
が認められG.Snoが10.0以上得られることが、更
に加熱速度を上昇させ250℃/s以上では更に顕著な細
粒化効果が得られG.Sno≧10.5となることを見い
だすことができた。
速度と焼鈍板の結晶粒径の関係を調査するため、請求項
2の方法で製造した冷延鋼板を通電加熱焼鈍法という従
来の連続焼鈍法とは異なる方法で、加熱速度を50〜2
500℃/secで再結晶焼鈍し得られた焼鈍板のG.Sno
と従来の連動焼鈍法(20℃/s)のG.Snoとを比較検
討した結果、加熱速度が100℃/s以上では細粒化効果
が認められG.Snoが10.0以上得られることが、更
に加熱速度を上昇させ250℃/s以上では更に顕著な細
粒化効果が得られG.Sno≧10.5となることを見い
だすことができた。
【0018】以上、図1,2並びに上記で説明したよう
に、本発明の鋼板は、より厳しいDI加工に於いても、
耐圧強度の確保と極めて優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となるDI缶用表面処理原板で、工
業的価値が極めて高いことがわかる。
に、本発明の鋼板は、より厳しいDI加工に於いても、
耐圧強度の確保と極めて優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となるDI缶用表面処理原板で、工
業的価値が極めて高いことがわかる。
【0019】以下に本発明鋼板の含有成分を限定した理
由について詳細に述べる。Cは、0.0060wt%超に
なると、TiCやNbCの生成量が多くなりすぎ、再結
晶焼鈍後のHv値が高くなり調質圧延率をいくら調整し
てもHv(10%BH)≧145とHv(70%BH)≦195
とを両立させることが不可能になるので、0.0060
wt%を上限値とした。尚、下限値は、通常の製造法では
0.0005wt%未満のものは造れないので、0.00
05wt%とした。
由について詳細に述べる。Cは、0.0060wt%超に
なると、TiCやNbCの生成量が多くなりすぎ、再結
晶焼鈍後のHv値が高くなり調質圧延率をいくら調整し
てもHv(10%BH)≧145とHv(70%BH)≦195
とを両立させることが不可能になるので、0.0060
wt%を上限値とした。尚、下限値は、通常の製造法では
0.0005wt%未満のものは造れないので、0.00
05wt%とした。
【0020】Si,Mn,P,Sは、何れも鋼板の耐食
性に大きく影響を及ぼす元素で、耐食性の観点から、そ
れぞれ≦0.30wt%、≦1.00wt%、≦0.30wt
%、≦0.25wt%とする必要がある。尚、Mnは、熱
延時の耳荒れ性の観点から、少なくとも0.05wt%以
上含有する必要があるので、下限値を0.05wt%とし
た。他のSi,P,Sは少なくても障害となることがな
いので下限値を規制しなかった。
性に大きく影響を及ぼす元素で、耐食性の観点から、そ
れぞれ≦0.30wt%、≦1.00wt%、≦0.30wt
%、≦0.25wt%とする必要がある。尚、Mnは、熱
延時の耳荒れ性の観点から、少なくとも0.05wt%以
上含有する必要があるので、下限値を0.05wt%とし
た。他のSi,P,Sは少なくても障害となることがな
いので下限値を規制しなかった。
【0021】sol.Alは、脱酸剤として用いられ、0.
002wt%は残留するので下限値を0.002wt%とし
た。又、0.100wt%超になると鋳造時に溶鋼の空気
酸化が起こり易くなり介在物量が増え、加工性や、メッ
キ品質をも劣化させるようになるので0.100wt%を
上限値とした。Nは、結晶粒径を細粒化する上で重要な
元素であり、0.0055wt%以上とすることでG.S
no≧9.5が得られるようになる。尚、0.0120wt
%超含有すると鋳片に気泡が発生し易くなりDI加工時
の割れ発生の原因となるようになるので、0.0120
wt%を上限値とした。
002wt%は残留するので下限値を0.002wt%とし
た。又、0.100wt%超になると鋳造時に溶鋼の空気
酸化が起こり易くなり介在物量が増え、加工性や、メッ
キ品質をも劣化させるようになるので0.100wt%を
上限値とした。Nは、結晶粒径を細粒化する上で重要な
元素であり、0.0055wt%以上とすることでG.S
no≧9.5が得られるようになる。尚、0.0120wt
%超含有すると鋳片に気泡が発生し易くなりDI加工時
の割れ発生の原因となるようになるので、0.0120
wt%を上限値とした。
【0022】NbやTiは、CをNbCやTiCとして
固定することができると共に、フリーなC(C.free)
による焼鈍板のHv値の上昇を回避しHv値を低下させ
ることができ、調質圧延率の適用範囲を大きくすること
が可能となり、且つC.freeを0.0030wt%未満と
することでHv(10%BH)≧145とHv(70%BH)≦
195とを両立させることが可能となる。又、Nb或い
はTiの1種又は2種が0.08wt%超になると合金コ
ストが高くなるばかりで、材質の向上効果が飽和してし
まうようになるので、上限値を0.08wt%とした。
固定することができると共に、フリーなC(C.free)
による焼鈍板のHv値の上昇を回避しHv値を低下させ
ることができ、調質圧延率の適用範囲を大きくすること
が可能となり、且つC.freeを0.0030wt%未満と
することでHv(10%BH)≧145とHv(70%BH)≦
195とを両立させることが可能となる。又、Nb或い
はTiの1種又は2種が0.08wt%超になると合金コ
ストが高くなるばかりで、材質の向上効果が飽和してし
まうようになるので、上限値を0.08wt%とした。
【0023】上記成分以外に本発明はBを必要に応じて
添加することも可能である。すなわちBは、Nbのみを
添加する鋼に於いては、低温巻き取りでもNをBNとし
て固定し鋼板を軟質化する傾向にあるので適宜添加すれ
ばよいが、B含有量が2.0×Nwt%超になるとBの固
溶強化による硬質化が顕著になるので、多くとも2.0
×Nwt%とする必要がある。又、Tiを添加する鋼(N
bを複合添加するものも含む)に於いては、Bの添加に
より焼鈍板の結晶粒径を細粒化する傾向があるので適宜
添加すればよいが、B含有量が0.0025wt%超にな
るとBの固溶強化による硬質化が顕著になるので、多く
とも0.0025wt%とする必要がある。
添加することも可能である。すなわちBは、Nbのみを
添加する鋼に於いては、低温巻き取りでもNをBNとし
て固定し鋼板を軟質化する傾向にあるので適宜添加すれ
ばよいが、B含有量が2.0×Nwt%超になるとBの固
溶強化による硬質化が顕著になるので、多くとも2.0
×Nwt%とする必要がある。又、Tiを添加する鋼(N
bを複合添加するものも含む)に於いては、Bの添加に
より焼鈍板の結晶粒径を細粒化する傾向があるので適宜
添加すればよいが、B含有量が0.0025wt%超にな
るとBの固溶強化による硬質化が顕著になるので、多く
とも0.0025wt%とする必要がある。
【0024】鋼板の材質指標としては、優れた耐圧強度
と極めて優れたネックドイン性を両立させるには、前述
のように、「鋼板のHv(10%BH)を145以上、Hv
(70%BH)を195以下、G.Sno≧9.5」であるこ
とが不可欠である。
と極めて優れたネックドイン性を両立させるには、前述
のように、「鋼板のHv(10%BH)を145以上、Hv
(70%BH)を195以下、G.Sno≧9.5」であるこ
とが不可欠である。
【0025】次に、鋼板の製造条件について詳細に述べ
る。鋳片の製造条件は、各特許請求項の鋼の成分が得ら
れる方法であればどのような方法でもよく、特に規制す
る必要はない。熱延条件も、特に規制する必要がなく、
通常の熱延条件でよく、又、省エネルギーのための連続
鋳造で製造された熱片を直接熱間圧延を行う方法でも、
熱片を加熱炉に装入した後熱間圧延をする方法でもよ
い。又、巻き取り温度も特に規制する必要がないが、軟
質材を得ようとする場合は中高温巻き取りを採用するの
がよい。
る。鋳片の製造条件は、各特許請求項の鋼の成分が得ら
れる方法であればどのような方法でもよく、特に規制す
る必要はない。熱延条件も、特に規制する必要がなく、
通常の熱延条件でよく、又、省エネルギーのための連続
鋳造で製造された熱片を直接熱間圧延を行う方法でも、
熱片を加熱炉に装入した後熱間圧延をする方法でもよ
い。又、巻き取り温度も特に規制する必要がないが、軟
質材を得ようとする場合は中高温巻き取りを採用するの
がよい。
【0026】冷間圧延率は、DI缶のイヤリングに大き
く影響するので、85〜95%とする必要がある。尚、
ゼロに近いイヤリング率を得るためには、鋼の成分、熱
延条件、焼鈍条件を考慮し、微調整をするのが好まし
い。再結晶焼鈍条件は、特に規制する必要がなく、通常
の連続焼鈍法でも箱焼鈍法(BAF)でもよく、再結晶
温度以上で充分に再結晶させればよい。尚、再結晶焼鈍
温度の上限を880℃としたのは、それ以上に温度を上
げても材質状のメリットがなくなるとともにエネルギー
ロスが大きくなるばかりであるので上限温度を880℃
とした。
く影響するので、85〜95%とする必要がある。尚、
ゼロに近いイヤリング率を得るためには、鋼の成分、熱
延条件、焼鈍条件を考慮し、微調整をするのが好まし
い。再結晶焼鈍条件は、特に規制する必要がなく、通常
の連続焼鈍法でも箱焼鈍法(BAF)でもよく、再結晶
温度以上で充分に再結晶させればよい。尚、再結晶焼鈍
温度の上限を880℃としたのは、それ以上に温度を上
げても材質状のメリットがなくなるとともにエネルギー
ロスが大きくなるばかりであるので上限温度を880℃
とした。
【0027】又、更にネックドイン性の優れた表面処理
原板を得るには、請求項3に示すように、再結晶焼鈍を
するに際し、少なくとも500℃以上の温度域を100
〜2500℃/sの加熱速度で再結晶温度〜920℃に加
熱し、その温度域で0〜10sec 滞在せしめて再結晶焼
鈍を行うことによって、G.Snoを10.0以上とする
ことが可能となる。このようなヒートサイクルの再結晶
焼鈍を行うには、通常の焼鈍方式の連続焼鈍法や箱焼鈍
法では不可能であり、新しい焼鈍方式の通電加熱焼鈍法
で可能となる。
原板を得るには、請求項3に示すように、再結晶焼鈍を
するに際し、少なくとも500℃以上の温度域を100
〜2500℃/sの加熱速度で再結晶温度〜920℃に加
熱し、その温度域で0〜10sec 滞在せしめて再結晶焼
鈍を行うことによって、G.Snoを10.0以上とする
ことが可能となる。このようなヒートサイクルの再結晶
焼鈍を行うには、通常の焼鈍方式の連続焼鈍法や箱焼鈍
法では不可能であり、新しい焼鈍方式の通電加熱焼鈍法
で可能となる。
【0028】この通電加熱焼鈍法は、加熱速度で2桁速
く、焼鈍時間での約2桁短く従来の連続焼鈍炉とは全く
異なる機械設備のような焼鈍機ともよべる新しい焼鈍設
備で、焼鈍温度の上限は通板性からの制限はなく、材質
上から決定すればよく、オーステナイトに入らない温度
まで許容できるので、上限値を920℃とした。又、焼
鈍板の結晶粒径の細粒化効果を得るには、少なくとも5
00℃以上の温度域を100℃/s以上の加熱速度で加熱
することと、再結晶温度以上920℃以下の温度域での
滞在時間を10sec 以下とする必要がある。尚、加熱速
度の上限を2500℃/sとしたのは、それ以上の加熱速
度では加熱速度が速すぎるため加熱終点温度の制御が困
難となるため、上限値を2500℃/sとした。
く、焼鈍時間での約2桁短く従来の連続焼鈍炉とは全く
異なる機械設備のような焼鈍機ともよべる新しい焼鈍設
備で、焼鈍温度の上限は通板性からの制限はなく、材質
上から決定すればよく、オーステナイトに入らない温度
まで許容できるので、上限値を920℃とした。又、焼
鈍板の結晶粒径の細粒化効果を得るには、少なくとも5
00℃以上の温度域を100℃/s以上の加熱速度で加熱
することと、再結晶温度以上920℃以下の温度域での
滞在時間を10sec 以下とする必要がある。尚、加熱速
度の上限を2500℃/sとしたのは、それ以上の加熱速
度では加熱速度が速すぎるため加熱終点温度の制御が困
難となるため、上限値を2500℃/sとした。
【0029】調質圧延は、本発明の鋼板の重要なポイン
トの1つである「鋼板のHv(10%BH)を145以上、
Hv(70%BH)を195以下」にするために、鋼板の組
成とともに、重要な要素である。調質圧延率が7%未満
では耐圧強度を確保するための鋼板のHv(10%BH)を
145以上の確保ができなくなるので、下限値を7%と
した。尚、上限値を40%にしたのはDI加工時の絞り
加工時に割れが発生し易くなること、又、本発明の鋼板
が目的とする現状レベルの耐圧強度を維持するには40
%で充分であること、更には、より高い調質圧延率を施
すには経済的ロスが多くなるので上限値を40%とし
た。
トの1つである「鋼板のHv(10%BH)を145以上、
Hv(70%BH)を195以下」にするために、鋼板の組
成とともに、重要な要素である。調質圧延率が7%未満
では耐圧強度を確保するための鋼板のHv(10%BH)を
145以上の確保ができなくなるので、下限値を7%と
した。尚、上限値を40%にしたのはDI加工時の絞り
加工時に割れが発生し易くなること、又、本発明の鋼板
が目的とする現状レベルの耐圧強度を維持するには40
%で充分であること、更には、より高い調質圧延率を施
すには経済的ロスが多くなるので上限値を40%とし
た。
【0030】
【実施例】以下に本発明の効果を実施例により説明す
る。表1に成分、表2に連続熱延、冷間圧延、連続焼
鈍、調質圧延、条件でゲージダウン時の板厚である0.
220mmの表面処理原板を製造した。製造した表面処理
原板のG.Sno、Hv(10%BH)、Hv(70%BH)を測
定した。又、Snメッキ後DI加工を行い、5段のネッ
クドイン加工時の皺発生並びに缶低部の耐圧強度の調査
を行った。その結果を表3に示す。
る。表1に成分、表2に連続熱延、冷間圧延、連続焼
鈍、調質圧延、条件でゲージダウン時の板厚である0.
220mmの表面処理原板を製造した。製造した表面処理
原板のG.Sno、Hv(10%BH)、Hv(70%BH)を測
定した。又、Snメッキ後DI加工を行い、5段のネッ
クドイン加工時の皺発生並びに缶低部の耐圧強度の調査
を行った。その結果を表3に示す。
【0031】鋼A,B,C,D,Eは、何れも本発明の
成分範囲内の鋼で、鋼Aは、C量が0.0018wt%、
N量を0.0072wt%でNbを0.012wt%添加し
た例、鋼Bは、C量が0.0009wt%、N量を0.0
088wt%でNbを0.019wt%、Bを8ppm 添加し
た例、鋼Cは、C量が0.0045wt%、N量を0.0
060wt%でTiを0.045wt%添加した例、鋼D
は、C量が0.0017wt%、N量を0.0075wt%
でNbを0.007wt%、Bを5ppm 、Tiを0.02
5wt%添加した例、鋼Eは、C量が0.0014wt%、
N量を0.0084wt%でNb,Tiを添加しなかった
例である。
成分範囲内の鋼で、鋼Aは、C量が0.0018wt%、
N量を0.0072wt%でNbを0.012wt%添加し
た例、鋼Bは、C量が0.0009wt%、N量を0.0
088wt%でNbを0.019wt%、Bを8ppm 添加し
た例、鋼Cは、C量が0.0045wt%、N量を0.0
060wt%でTiを0.045wt%添加した例、鋼D
は、C量が0.0017wt%、N量を0.0075wt%
でNbを0.007wt%、Bを5ppm 、Tiを0.02
5wt%添加した例、鋼Eは、C量が0.0014wt%、
N量を0.0084wt%でNb,Tiを添加しなかった
例である。
【0032】鋼F,Gは、何れも本発明の範囲を外れた
比較例で、鋼Fは、C含有量を0.0055wt%、N
b,Tiを含まずC.freeが0.0055wt%と本発明
鋼の範囲の0.0030wt%を超えた比較例、鋼Gは、
C含有量を0.0012wt%、Nb,Tiを含まずC.
freeが0.0012wt%であるがN含有量が0.001
2wt%と本発明鋼の下限値の0.0055wt%を下回っ
た比較例である。鋼Hは、従来法の箱焼鈍法で軟質なT
−1や連続焼鈍法でDI缶用として製造しているT−4
CA用に用いられている低炭素Al−K鋼である。
比較例で、鋼Fは、C含有量を0.0055wt%、N
b,Tiを含まずC.freeが0.0055wt%と本発明
鋼の範囲の0.0030wt%を超えた比較例、鋼Gは、
C含有量を0.0012wt%、Nb,Tiを含まずC.
freeが0.0012wt%であるがN含有量が0.001
2wt%と本発明鋼の下限値の0.0055wt%を下回っ
た比較例である。鋼Hは、従来法の箱焼鈍法で軟質なT
−1や連続焼鈍法でDI缶用として製造しているT−4
CA用に用いられている低炭素Al−K鋼である。
【0033】試料1,2,3,5,6,7,8は、何れ
も本発明の実施例で、試料4は、調質圧延率が通常の
1.0%と本発明の下限値を下回った比較例で、試料9
は、C含有量を0.0055wt%、Nb,Tiを含まず
C.freeが0.0055wt%と本発明鋼の範囲の0.0
030wt%を超えた成分の鋼Fを用いた比較例、試料1
0は、C含有量を0.0012wt%、Nb,Tiを含ま
ずC.freeが0.0012wt%であるがN含有量が0.
0012wt%と本発明鋼の下限値の0.0055wt%を
下回った比較例である。
も本発明の実施例で、試料4は、調質圧延率が通常の
1.0%と本発明の下限値を下回った比較例で、試料9
は、C含有量を0.0055wt%、Nb,Tiを含まず
C.freeが0.0055wt%と本発明鋼の範囲の0.0
030wt%を超えた成分の鋼Fを用いた比較例、試料1
0は、C含有量を0.0012wt%、Nb,Tiを含ま
ずC.freeが0.0012wt%であるがN含有量が0.
0012wt%と本発明鋼の下限値の0.0055wt%を
下回った比較例である。
【0034】試料1,3,5,6,7,8は、本発明の
請求項2の方法で製造した実施例で、何れも、本発明が
目標とする材質指標のG.Sno≧9.5、Hv(10%B
H)≧145並びにHv(70%BH)≦195をクリヤ
し、板厚が0.220mmと更なるゲージダウン時の耐圧
強度を確保し、且つ、缶蓋の径が202φと極めて過酷
なネック加工時でも優れたネックドイン性が有られた。
請求項2の方法で製造した実施例で、何れも、本発明が
目標とする材質指標のG.Sno≧9.5、Hv(10%B
H)≧145並びにHv(70%BH)≦195をクリヤ
し、板厚が0.220mmと更なるゲージダウン時の耐圧
強度を確保し、且つ、缶蓋の径が202φと極めて過酷
なネック加工時でも優れたネックドイン性が有られた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】又、更に、試料2は、従来の連続焼鈍法と
は異なる通電加熱焼鈍法で焼鈍した請求項3の実施例
で、結晶粒径が11.1と極めて細粒となっており、ネ
ックドイン性も格別の効果が得られた。
は異なる通電加熱焼鈍法で焼鈍した請求項3の実施例
で、結晶粒径が11.1と極めて細粒となっており、ネ
ックドイン性も格別の効果が得られた。
【0039】試料4は、調質圧延率が通常の1.0%と
本発明の下限値を下回った比較例で、耐圧強度の指標で
あるHv(10%BH)が136と本発明の下限値を下回っ
ており、耐圧強度も不足した。試料9は、C含有量を
0.0055wt%、Nb,Tiを含まずC.freeが0.
0055wt%と本発明鋼の範囲の0.0030wt%を超
えた成分の鋼Fを用いた比較例で、ネックドイン性の指
標であるHv(70%BH)が221と本発明の上限値を超
えており、ネック皺が発生した。
本発明の下限値を下回った比較例で、耐圧強度の指標で
あるHv(10%BH)が136と本発明の下限値を下回っ
ており、耐圧強度も不足した。試料9は、C含有量を
0.0055wt%、Nb,Tiを含まずC.freeが0.
0055wt%と本発明鋼の範囲の0.0030wt%を超
えた成分の鋼Fを用いた比較例で、ネックドイン性の指
標であるHv(70%BH)が221と本発明の上限値を超
えており、ネック皺が発生した。
【0040】試料10は、C含有量を0.0012wt
%、Nb,Tiを含まずC.freeが0.0012wt%で
あるがN含有量が0.0012wt%と本発明鋼の下限値
の0.0055wt%を下回った比較例で、ネックドイン
性に大きく影響するG.Snoが8.9と本発明の下限値
を下回っており、ネック皺が発生した。試料10は、現
在SDIに適用されている従来法のT−4CAと同じ条
件で製造した従来例で、ネックドイン性の指標であるH
v(70%BH)が254と本発明の上限値を大幅に超えて
おり、ネック皺が発生しDI缶にならなかった。試料1
1は、以前にSDIに適用されていた箱焼鈍法のT−1
と同じ条件で製造した従来例で、耐圧強度指標のHv
(10%BH)が137と本発明の下限値を超えており、耐
圧強度が不足した。又、ネックドイン性の指標である
G.Snoも7.8と本発明の下限値を下回っており、ネ
ック皺が発生した。
%、Nb,Tiを含まずC.freeが0.0012wt%で
あるがN含有量が0.0012wt%と本発明鋼の下限値
の0.0055wt%を下回った比較例で、ネックドイン
性に大きく影響するG.Snoが8.9と本発明の下限値
を下回っており、ネック皺が発生した。試料10は、現
在SDIに適用されている従来法のT−4CAと同じ条
件で製造した従来例で、ネックドイン性の指標であるH
v(70%BH)が254と本発明の上限値を大幅に超えて
おり、ネック皺が発生しDI缶にならなかった。試料1
1は、以前にSDIに適用されていた箱焼鈍法のT−1
と同じ条件で製造した従来例で、耐圧強度指標のHv
(10%BH)が137と本発明の下限値を超えており、耐
圧強度が不足した。又、ネックドイン性の指標である
G.Snoも7.8と本発明の下限値を下回っており、ネ
ック皺が発生した。
【0041】以上の実施例の結果から明らかなように、
本発明の鋼板の主なポイントの「G.Snoが9.5以
上、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が1
95以下であることを特徴とするDI缶用表面処理原
板」は、ゲージダウン時の耐圧強度の確保と更に厳しい
ネック加工時に於いても優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となる優れたDI缶加工性を有する
DI缶用メッキ原板で、工業的価値が極めて高いこと、
又、請求項3の製造方法では、更に優れたネックドイン
性が得られることがわかる。
本発明の鋼板の主なポイントの「G.Snoが9.5以
上、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が1
95以下であることを特徴とするDI缶用表面処理原
板」は、ゲージダウン時の耐圧強度の確保と更に厳しい
ネック加工時に於いても優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となる優れたDI缶加工性を有する
DI缶用メッキ原板で、工業的価値が極めて高いこと、
又、請求項3の製造方法では、更に優れたネックドイン
性が得られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明の鋼板
は、耐圧強度とネックドイン性が極めて優れ、より厳し
い成形のDI缶に適用され極めて優れた効果が発揮で
き、その工業的価値は極めて大きい。
は、耐圧強度とネックドイン性が極めて優れ、より厳し
い成形のDI缶に適用され極めて優れた効果が発揮で
き、その工業的価値は極めて大きい。
【図1】Hv(10%BH)とDI缶の耐圧強度との関係を
示す図。
示す図。
【図2】G.Snoとネック皺発生率との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 勝教 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.0005〜0.0060%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.002〜0.100%、 N :0.0055〜0.0120%、 Nb或いはTiの1種又は2種を0.08%以下、 且つ、C.free:≦0.0030%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなり、G.Snoが9.5
以上、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が
195以下であることを特徴とする耐圧強度とネックド
イン性に極めて優れたDI缶用表面処理原板。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.0005〜0.0060%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.002〜0.100%、 N :0.0055〜0.0120%、 Nb或いはTiの1種又は2種を0.08%以下、 且つ、C.free:≦0.0030%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋳片を、熱間圧延を
行い熱延鋼帯とし、該鋼帯に85〜95%の冷間圧延率
で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼帯を再結晶温度〜8
80℃で再結晶焼鈍し、室温まで冷却を行い、G.Sno
が9.5以上の焼鈍板を造り、伸び率で7%以上40%
以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が145以上、Hv
(70%BH)が195以下に調整することを特徴とする耐
圧強度とネックドイン性に極めて優れたDI缶用表面処
理原板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2の記載の方法に於いて、再結晶
焼鈍をするに際し、少なくとも500℃以上の温度域を
100〜2500℃/sの加熱速度で再結晶温度〜920
℃に加熱し、その温度域で0〜10sec 滞在せしめて再
結晶焼鈍を行うことによって、G.Snoを10.0以上
とすることを特徴とするHv(10%BH)が145以上、
Hv(70%BH)が195以下の耐圧強度に優れ且つネッ
クドイン性が更に優れたDI缶用表面処理原板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07365294A JP3466263B2 (ja) | 1994-04-12 | 1994-04-12 | 耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07365294A JP3466263B2 (ja) | 1994-04-12 | 1994-04-12 | 耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07278677A true JPH07278677A (ja) | 1995-10-24 |
JP3466263B2 JP3466263B2 (ja) | 2003-11-10 |
Family
ID=13524440
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07365294A Expired - Fee Related JP3466263B2 (ja) | 1994-04-12 | 1994-04-12 | 耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3466263B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11315346A (ja) * | 1998-05-06 | 1999-11-16 | Nippon Steel Corp | イヤリング性の優れた深絞り缶用鋼板および製造方法 |
JP2009091640A (ja) * | 2007-10-11 | 2009-04-30 | Jfe Steel Kk | 缶用鋼板原板の製造方法 |
-
1994
- 1994-04-12 JP JP07365294A patent/JP3466263B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11315346A (ja) * | 1998-05-06 | 1999-11-16 | Nippon Steel Corp | イヤリング性の優れた深絞り缶用鋼板および製造方法 |
JP2009091640A (ja) * | 2007-10-11 | 2009-04-30 | Jfe Steel Kk | 缶用鋼板原板の製造方法 |
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---|---|
JP3466263B2 (ja) | 2003-11-10 |
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