JPH07278744A - 耐圧強度とネックドイン性に優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法 - Google Patents

耐圧強度とネックドイン性に優れたdi缶用表面処理原板及び製造方法

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JPH07278744A
JPH07278744A JP7365194A JP7365194A JPH07278744A JP H07278744 A JPH07278744 A JP H07278744A JP 7365194 A JP7365194 A JP 7365194A JP 7365194 A JP7365194 A JP 7365194A JP H07278744 A JPH07278744 A JP H07278744A
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sno
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pressure resistance
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JP7365194A
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Teruaki Yamada
輝昭 山田
Masahiko Oda
昌彦 織田
Yutaka Takahashi
豊 高橋
Takashi Hibino
隆 日比野
Nanao Tominaga
七雄 富永
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は耐圧強度とネックドイン性に優れた
DI缶用表面処理原板及び製造方法を提供する。 【構成】 鋼の主要成分が、C:0.0100〜0.0900wt%、
Mn:0.05〜1.00wt%、P:≦0.030 wt%、S:≦0.025
wt%、sol.Al:0.010〜0.100 wt%、N:0.0005〜0.0120
wt%、残部不可避的不純物及び鉄よりかり、 G.Snoが
9.5以上、Hv(10%BH)が 145以上、Hv(70%BH)が 19
5以下であること、及び上記成分の鋼を、C.T: 660〜750
℃、冷間圧延率:84〜91%、再結晶温度〜700 ℃の箱
焼鈍で、G.Sno が 9.5以上、軸比が 1.4以下の焼鈍板を
造り、伸び率で2%以上30%以下の調質圧延で、Hv(10
%BH)が145 以上、Hv(70%BH)が 195以下に調整する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫メッキが施されるDI
缶用表面処理原板に於いて、DI缶用ぶりき原板の板厚
をゲージダウンした時にも(例えば、板厚を現状の0.
245mmから0.220mmへのゲージダウン)、所定の
耐圧強度が確保できるDI缶の耐圧強度とネックドイン
性に優れたDI缶用表面処理原板及び製造方法に関する
ものである。尚、本明細書で用いられる主な略語の意味
は以下の通りである。 G.Sno :原板の結晶粒度番号 BH熱処理 :210℃×5min の熱処理 Hv(10%BH):伸び率10%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv(70%BH):伸び率70%の追加圧延予歪後BH熱処
理を行った後のHv値 Hv値 :ビカース硬度値(試験荷重:100g)
【0002】
【従来の技術】錫メッキが施されるDI缶用表面処理原
板は、過去に於いては、特開昭61−243124号公
報、特開昭53−48913号公報に示されるような箱
焼鈍法で製造されたイヤリング性を改良した等軸粒のア
ルミキルド鋼や、古くからある延伸粒のアルミキルド鋼
が適用され、テンパー度が1〜2(以下T−1,T−2
と記す)程度の軟質で非時効性の鋼板であった。その
後、鋼板の板厚を減少させ、DI缶の軽量化が進められ
た。この軽量化を行うに当たり、DI缶のボトム部の内
圧に対する耐圧強度不足を補うため、従来から製造され
ていたAl−K鋼を連続焼鈍で製造するT−4CAと称
される硬質でBH性のある鋼板に切り替えられ適用され
てきた。
【0003】最近では、DI缶の軽量化はより一層の進
展が望まれている一方、DI缶のTOP部(ネックドイ
ン部)の径は、缶蓋に使用されるAl板のコストダウン
のため、小径化が行われ、多段ネックドイン加工が施さ
れるようになり、ついには、5段ネックドイン加工が検
討されはじめた。しかし、現状のDI缶用素材として供
給されているT−4CAでは、缶の耐圧力は充分である
が、例えば缶蓋の径が202φすなわち(2+2/1
6)φ吋のような小径化時にはネックドイン率がより厳
しくなる5段ネックドイン加工を行わねばならないが、
皺が発生するという問題があり、進展が停滞している状
況にある。一方、コストダウンのためのDI缶用表面処
理原板のゲージダウンのニーズも大きいが、まだ、優れ
たネックドイン性と更なるゲージダウンに耐え得る表面
処理原板はまだない。
【0004】以上述べたように、より優れた金属容器と
してDI缶を造るには、まだ、充分な特性を持ったDI
缶用の表面処理原板はないのである。この問題を解決す
るための、耐圧強度とネックドイン性に優れたDI缶用
表面処理原板並びに製造方法の提供が強く望まれてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる技術の
現状から、更なるゲージダウンにも耐え得る優れた耐圧
強度とネックドイン性に優れたDI缶用表面処理原板並
びに製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、DI缶の
更なるゲージダウンにも耐え得る優れた耐圧強度と優れ
たネックドイン性とを両立させ得る鋼板について、種々
検討した。その結果両立する耐圧強度とネックドイン性
に優れたDI缶用表面処理原板を初めて見いだした。更
に、鋼板の製造法についても種々検討し、その製造方法
を見いだしたものである。
【0007】すなわち、本発明の要旨は下記の通りであ
る。 (1)重量%で、C:0.0100〜0.0900%、
Si:≦0.30%、Mn:0.05〜1.00%、
P:≦0.030%、S:≦0.025%、sol.Al:
0.010〜0.100%、N:0.0005〜0.0
120%、残部不可避的不純物及び鉄よりなり、G.S
noが9.5以上、Hv(10%BH)が145以上、Hv
(70%BH)が195以下であることを特徴とする耐圧強
度とネックドイン性に極めて優れたDI缶用表面処理原
板。又、(2)前項(1)記載の成分を含有する鋳片
を、熱間圧延を行い660〜750℃で巻き取って熱延
鋼帯とし、該鋼帯に84〜91%の冷間圧延率で冷間圧
延を行い、得られた冷延鋼帯を箱焼鈍法で再結晶温度〜
700℃で再結晶焼鈍し、室温まで冷却を行い、G.S
noが9.5以上、軸比が1.4以下の焼鈍板を造り、伸
び率で2%以上30%以下の調質圧延で、Hv(10%B
H)が145以上、Hv(70%BH)が195以下に調整
することを特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極め
て優れたDI缶用表面処理原板の製造方法。及び、
(3)前項(1)記載の成分を含有する鋳片を、100
0〜1180℃に加熱し熱間圧延を行い400〜750
℃で巻き取って熱延鋼帯とし、該鋼帯に84〜91%の
冷間圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼帯を箱焼
鈍法で再結晶温度〜700℃で再結晶焼鈍し、室温まで
冷却を行い、G.Snoが9.5以上、軸比が1.4以下
の焼鈍板を造り、伸び率で2%以上30%以下の調質圧
延で、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が
195以下に調整することを特徴とする耐圧強度とネッ
クドイン性に極めて優れたDI缶用表面処理原板の製造
方法。更に、(4)前項(1)記載の成分を含有する鋳
片を、熱間圧延を行い熱延鋼帯とし、該鋼帯に84〜9
1%の冷間圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼帯
を連続焼鈍法で再結晶温度〜750℃で再結晶焼鈍し、
室温まで冷却を行い、その後、箱焼鈍法で600℃以下
の温度で焼鈍(過時効処理)し室温まで冷却し、G.S
noが9.5以上、軸比が1.4以下の焼鈍板を造り、伸
び率で2%以上30%以下の調質圧延で、Hv(10%B
H)が145以上、Hv(70%BH)が195以下に調整
することを特徴とする耐圧強度とネックドイン性に極め
て優れたDI缶用表面処理原板の製造方法である。
【0008】以下に本発明について詳細に述べる。本発
明者等は、本発明が解決しようとする課題に関連した課
題について、以前に検討し、特願平5−99841の表
面処理原板並びにその製造方法を発明し、提供した。そ
の考え方は、下記に示す概要の通りである。
【0009】先の発明では、先ず、一方で高い強度を維
持することが求められ、もう一方でより軟質であること
が求められるといった相反することが要求されるDI缶
の優れた耐圧強度と優れたネックドイン性を両立させ得
る鋼板特性が有り得るのかについて検討し、可能性があ
ることを見いだしたもので、その考え方は、3%の加工
後のBH熱処理後の変形抵抗がより高く、且つ、50%
の圧延加工後のBH熱処理後の変形抵抗がより低い鋼で
あればよいとの考えである。具体的には、耐圧力は、
Y.P(3%BH)が39kgf/mm2 以上でゲージダウン時
にも耐圧力が確保でき、ネックドイン時の皺発生につい
てはY.P(50%BH)が62kgf/mm2 以下で皺の発生も
なくなるという優れた耐圧力とネックドイン性を有する
DI缶用原板であった。
【0010】本発明者等は、その後、更なる缶蓋の縮径
{204(2+4/16吋)φ→202φ}にも耐え得
るネックドイン性が更に優れたDI缶用原板並びに製造
方法を検討し、本発明の方法を見いだしたものである。
【0011】本発明者等は、種々の鋼について、更に詳
細に鋼板の特性と缶の耐圧力並びにより厳しいネックド
イン加工時のネック皺の発生状況との関係について、検
討した結果、先ず、耐圧強度の指標としてはHv(10
%BH)が、又、より厳しいネックドイン加工時のネック
ドイン性の指標としてはHv(70%BH)が、より優れた
指標であること、ネックドイン性は、Hv(70%BH)
のみならず、G.Snoも大きく影響すること、を見いだ
した。
【0012】図1は、低炭素Al−K鋼を箱焼鈍法(B
AF)で焼鈍した後、調質圧延率を変えて試作したSD
I原板を用いて、DI缶を試作し、SDI原板のHv
(10%BH)と試作した缶の耐圧強度との関係を示したも
ので、Hv(10%BH)を145以上とすることで所定の
耐圧強度が得られることがわかる。
【0013】図2は、低炭素Al−K鋼を種々の熱延条
件で製造した熱延板を冷間圧延し、箱焼鈍法で焼鈍し、
1〜50%の調質圧延を施し、試作したSDI原板を用
いより過酷な条件でDI缶を試作しネックドイン性とH
v(70%BH)、G.Snoとの関係を整理し、Hv(70%
BH)が185の時のG.Snoとネック皺不良率を求めて
表示したものである。図よりG.Snoの影響も大きく、
過酷なネックドイン加工時のネック皺の発生を抑制する
には少なくともG.Snoを9.5以上にする必要がある
ことがわかる。尚、この実験に於いて、Hv(70%BH)
もネックドイン性に大きく影響を及ぼし、Hv(70%B
H)が低いほど優れたネックドイン性が得られ、過酷な
ネックドイン加工時のネック皺の発生を抑制するには、
少なくともHv(70%BH)を195以下にする必要があ
ることがわかった。
【0014】又、更に、この実験の結果、耐圧強度の指
標であるHv(10%BH)≧145とネックドイン性の指
標であるHv(70%BH)≦195とを両立させるには、
本発明の組成の鋼の焼鈍板に少なくとも2〜30%の調
質圧延を施すことが必須であること、又、G.Snoを少
なくとも9.5以上を得るには、請求項2の高温巻き取
り(660〜750℃)で熱延板を製造する方法、請求
項3の1000〜1180℃に加熱し熱延板を製造する
方法、請求項4の連続焼鈍法で再結晶温度〜750℃で
再結晶焼鈍を行い室温まで冷却し、その後、箱焼鈍法で
600℃以下の温度で焼鈍(過時効処理)をする方法、
により、通常行われている箱焼鈍方法で得られる延伸且
つ大きな結晶粒径とは異なり、等軸で微細な再結晶粒を
得ることが可能となり、優れたネックドイン性が得られ
るようになる。
【0015】以上、図1,2並びに上記で説明したよう
に、本発明の鋼板は、より厳しいDI加工に於いても、
耐圧強度の確保と極めて優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となるDI缶用表面処理原板で、工
業的価値が極めて高いことがわかる。
【0016】以下に鋼板の構成条件について詳細に述べ
る。Cは、0.0900wt%超になると、Fe3 Cの生
成量が多くなりすぎ、再結晶焼鈍後のHv値が高くなり
調質圧延率をいくら調整してもHv(10%BH)≧145
とHv(70%BH)≦195とを両立させることが不可能
になるので、0.0900wt%を上限値とした。又、
0.0100wt%未満になると焼鈍板の結晶粒径が大き
くなりG.Sno≧9.5ができなくなるようになるの
で、下限値を0.0100wt%とした。
【0017】Si,Mn,P,Sは、何れも、鋼板の耐
食性に大きく影響を及ぼす元素で、耐食性の観点から、
それぞれ、≦0.30wt%、≦1.00wt%、≦0.3
0wt%、≦0.25wt%とする必要がある。尚、Mn
は、熱延時の耳荒れ性の観点から、少なくとも0.05
wt%以上含有する必要があるので、下限値を0.05wt
%とした。他のSi,P,Sは少なくても障害となるこ
とがないので下限値を規制しなかった。
【0018】sol.Alは、NをAlNとして固定しHv
(70%BH)を低下するのに効果が有り、少なくとも0.
010wt%以上は必要である。又、0.100wt%超に
なると鋳造時に溶鋼の空気酸化が起こり易くなり介在物
量が増え、加工性や、めっき品質をも劣化させるように
なるので0.100wt%を上限値とした。
【0019】Nは、結晶粒径を細粒化する効果がある
が、0.0120wt%超含有すると鋳片に気泡が発生し
易くなりDI加工時の割れ発生の原因となるようになる
ので、0.0120wt%を上限値とした。尚、請求項
2,3,4の方法では、Nの下限を特に規制しなくても
G.Sno≧9.5が達成できないので規制する必要がな
いが、通常の製鋼法では0.0005wt%未満は製造で
きないので下限値を0.0005wt%とした。
【0020】鋼材の材質指標としては、優れた耐圧強度
と極めて優れたネックドイン性を両立させるには、前述
のように、「鋼板のHv(10%BH)を145以上、Hv
(70%BH)を195以下、G.Sno≧9.5」であるこ
とが不可欠である。
【0021】次に本発明の製造条件について詳細に述べ
る。鋳片の製造条件は、各請求項規定の鋼の成分が得ら
れる方法であればどのような方法でもよく、特に規制す
る必要はない。熱延条件は、焼鈍板のG.Sno≧9.5
を得るのに重要な要件である。
【0022】請求項2の方法では、熱間圧延時に巻き取
り温度を660〜750℃とすることで、熱延板の状態
でNをAlNとして析出することができ、それによっ
て、箱焼鈍法で等軸で微細な再結晶粒を得ることが可能
となる。
【0023】請求項3の方法では、熱間圧延時に加熱温
度を1000〜1180℃とすることで、巻き取り温度
によらず熱延板の状態でNをAlNとして析出すること
ができ、同様に、等軸で微細な再結晶粒を得ることが可
能となる。尚、巻き取り温度の下限を400℃としたの
は、400℃以上では冷却時の温度むらが生じ形状不良
が出易くなるため、又、上限温度を750℃としたの
は、それ以上の温度ではスケール厚が厚くなりすぎ酸洗
工程での作業性が悪くなるためである。
【0024】請求項4の方法では、熱間圧延条件は特に
規制する必要がなくAlNが析出していてもいなくても
よく、再結晶焼鈍時に連続焼鈍で再結晶温度〜750℃
で行うことで、等軸で微細な再結晶粒を得ることが可能
となる。しかし、この連続焼鈍の状態では冷却速度が速
いので、材質が硬くなり、Hv(10%BH)≧145とH
v(70%BH)≦195とを両立することができなくなる
ので、その後、箱焼鈍法で600℃以下の温度で焼鈍
(過時効処理)し室温まで冷却し、固溶Cをなくし充分
に軟質化することで、G.Snoが9.5以上、軸比が
1.4以下で、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70
%BH)が195以下とを両立させることが可能となる。
【0025】冷間圧延率は、DI缶のイヤリングに大き
く影響するので、84〜91%とする必要がある。尚、
ゼロに近いイヤリング率を得るためには、鋼の成分、熱
延条件、焼鈍条件を考慮し、微調整をするのが好まし
い。
【0026】再結晶焼鈍条件は、請求項2,3では、特
に規制する必要がなく、通常の箱焼鈍法(BAF)でよ
く、再結晶温度〜750℃で再結晶させればよい。尚、
請求項4では、上述の通り、先ず、連続焼鈍で再結晶温
度〜750℃で行い、等軸で微細な再結晶粒を得た上
で、その後、箱焼鈍法で600℃以下の温度で焼鈍(過
時効処理)し室温まで冷却し、固溶Cをなくし充分に軟
質化する必要がある。これにより、G.Snoが9.5以
上、軸比が1.4以下で、Hv(10%BH)が145以
上、Hv(70%BH)が195以下とを両立させることが
可能となる。
【0027】調質圧延は、本発明の鋼板の重要なポイン
トの1つである「鋼板のHv(10%BH)を145以上、
Hv(70%BH)を195以下」にするために、鋼板の組
成とともに、重要な要素である。調質圧延率が2%未満
では耐圧強度を確保するための「鋼板のHv(10%BH)
を145以上」の確保ができなくなるので、下限値を2
%とした。尚、上限値を30%にしたのはDI加工時の
絞り加工時に割れが発生し易くなること、又、本発明の
鋼板が目的とする現状レベルの耐圧強度を維持するには
30%で充分であること、更には、より高い調質圧延率
を施すには経済的ロスが多くなるので上限値を30%と
した。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。表1
の成分(残部Fe)を有する鋼片を、表2に示す連続熱
延、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延条件でゲージダウン
時の板厚である0.220mmの表面処理原板に製造し
た。製造した表面処理原板のG.Sno、Hv(10%B
H)、Hv(70%BH)を測定した。又、Snメッキ後D
I加工を行い、5段のネックドイン加工時の皺発生状況
並びに缶耐圧強度の調査を行った。その結果を表3に示
す。尚、焼鈍板の軸比は表面処理原板の軸比を測定し、
調質圧延率で補正し求めた。
【0029】鋼A,B,Cは、何れも本発明の成分範囲
内の鋼で、鋼Aは、C量が0.045wt%、鋼Bは、C
量が0.025wt%、鋼Cは、C量が0.076wt%の
例である。鋼Dは、C含有量を0.008wt%と本発明
鋼の範囲の0.010wt%を下回った比較例である。
【0030】試料1,2,3,6,8は、何れも本発明
の実施例で、試料4,5,7は比較例である。試料1,
2,3は、請求項2の熱間圧延時に高温巻き取りを行い
AlNを析出せしめることによって、焼鈍板の結晶粒を
等軸(軸比≦1.4)にし且つ微細化した実施例で、何
れも、本発明が目標とする材質指標のG.Sno≧9.
5、Hv(10%BH)≧145並びにHv(70%BH)≦1
95をクリアし、板厚が0.220mmと更なるゲージダ
ウン時の耐圧強度を確保し、且つ、缶蓋の径が202φ
と極めて過酷なネック加工時でも優れたネックドイン性
が得られた。
【0031】試料6は、請求項3の低温スラブ加熱で熱
間圧延を行いAlNを析出せしめることによって、焼鈍
板の結晶粒を等軸にし且つ微細化した実施例で、本発明
が目標とする材質指標をクリヤし、優れた耐圧強度とネ
ックドイン性が得られた。試料8は、請求項4の再結晶
焼鈍時に先ず連続焼鈍で等軸細粒組織を得、その後、箱
焼鈍で過時効処理を行い軟質化した実施例で、本発明が
目標とする材質指標をクリヤし、優れた耐圧強度とネッ
クドイン性が得られた。
【0032】試料4,5は、比較例で、試料4はC含有
量が本発明範囲外の鋼Dを用い且つ熱延条件のC.Tが
550℃と請求項2の巻き取り温度660℃を下回った
比較例、試料5は熱延条件のC.Tが550℃と請求項
2の巻き取り温度660℃を下回った比較例で、焼鈍板
の軸比が2.3,2.1と大きく延伸粒で、G.Snoも
6.8,8.2と粗大になり、本発明が目標とする結晶
粒径が得られず、Hv値は目標値をクリヤしているもの
の、ネックドイン性が悪かった。
【0033】試料7は、調質圧延率が1.0%と本発明
の範囲の2%を下回った比較例で、耐圧強度の指標であ
るHv(10%BH)が140と本発明の下限値を下回って
おり、耐圧強度も不足した。試料9は、従来法の連続焼
鈍法で製造したT−4CAで調質圧延率も通常の1.0
%の従来例で、耐圧強度は充分あるが、ネックドイン性
の指標のHv(70%BH)が254と本発明の上限値を大
きく超えており、ネックドイン加工時の皺発生が大きく
ネック加工ができなかった。
【0034】以上の実施例の結果から明らかなように、
本発明の鋼板の主なポイントの「G.Snoが9.5以
上、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が1
95以下であることを特徴とするDI缶用表面処理原
板」は、ゲージダウン時の耐圧強度の確保と更に厳しい
ネック加工時に於いても優れたネックドイン性を有する
こととの両立が可能となる優れたDI缶加工性を有する
DI缶用メッキ原板で、工業的価値が極めて高いことが
わかる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】以上に本発明について詳細に説明した
が、本発明の鋼板は、耐圧強度とネックドイン性が極め
て優れ、より厳しい成形のDI缶に適用され極めて優れ
た効果が発揮でき、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Hv(10%BH)とDI缶の耐圧強度との関係を
示す図。
【図2】G.Snoとネック皺発生率との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 隆 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 富永 七雄 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.0100〜0.0900%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.010〜0.100%、 N :0.0005〜0.0120%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなり、G.Snoが9.5
    以上、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が
    195以下であることを特徴とする耐圧強度とネックド
    イン性に極めて優れたDI缶用表面処理原板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.0100〜0.0900%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.010〜0.100%、 N :0.0005〜0.0120%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋳片を、熱間圧延を
    行い660〜750℃で巻き取って熱延鋼帯とし、該鋼
    帯に84〜91%の冷間圧延率で冷間圧延を行い、得ら
    れた冷延鋼帯を箱焼鈍法で再結晶温度〜700℃で再結
    晶焼鈍し、室温まで冷却を行い、G.Snoが9.5以
    上、軸比が1.4以下の焼鈍板を造り、伸び率で2%以
    上30%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が145以
    上、Hv(70%BH)が195以下に調整することを特徴
    とする耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたDI缶
    用表面処理原板の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.0100〜0.0900%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.010〜0.100%、 N :0.0005〜0.0120%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋳片を、1000〜
    1180℃に加熱し熱間圧延を行い400〜750℃で
    巻き取って熱延鋼帯とし、該鋼帯に84〜91%の冷間
    圧延率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼帯を箱焼鈍法
    で再結晶温度〜700℃で再結晶焼鈍し、室温まで冷却
    を行い、G.Snoが9.5以上、軸比が1.4以下の焼
    鈍板を造り、伸び率で2%以上30%以下の調質圧延
    で、Hv(10%BH)が145以上、Hv(70%BH)が1
    95以下に調整することを特徴とする耐圧強度とネック
    ドイン性に極めて優れたDI缶用表面処理原板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.0100〜0.0900%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.05〜1.00%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.010〜0.100%、 N :0.0005〜0.0120%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなる鋳片を、熱間圧延を
    行って熱延鋼帯とし、該鋼帯に84〜91%の冷間圧延
    率で冷間圧延を行い、得られた冷延鋼帯を連続焼鈍法で
    再結晶温度〜750℃で再結晶焼鈍し、室温まで冷却を
    行い、その後、箱焼鈍法で600℃以下の温度で焼鈍
    (過時効処理)し室温まで冷却し、G.Snoが9.5以
    上、軸比が1.4以下の焼鈍板を造り、伸び率で2%以
    上30%以下の調質圧延で、Hv(10%BH)が145以
    上、Hv(70%BH)が195以下に調整することを特徴
    とする耐圧強度とネックドイン性に極めて優れたDI缶
    用表面処理原板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10251798A (ja) * 1997-03-12 1998-09-22 Nisshin Steel Co Ltd 耐銅浸透性等にすぐれた二重巻きパイプ用銅めっき鋼板およびその製造方法
WO2012124823A1 (ja) 2011-03-17 2012-09-20 Jfeスチール株式会社 耐圧強度が高く加工性に優れたエアゾール缶ボトム用鋼板およびその製造方法

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