JP3222239B2 - 高いbh性を有する加工性に優れた硬質表面処理原板 - Google Patents

高いbh性を有する加工性に優れた硬質表面処理原板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫メッキやクロム酸処理
などの表面処理が施される硬質表面処理原板において、
焼き付け塗装処理がなされた後の鋼板の耐力が56kgf/
m 以上である高いBH性を有する加工性に優れた硬質表
面処理原板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】錫メッキやクロム酸処理などの表面処理
が施される鋼板の耐力が56kgf/m 以上である硬質表面
処理原板は、20〜40%の調質圧延を施したままの状
態で使用するDR−8,9,10と称される、いわゆる
DCR材(ダブルレデュース圧延材)がある。この硬質
材は絞り缶、再絞り缶などに使用される。これらの缶の
強度(内圧に対する強度)は、DCRによって鋼板(缶
原板)強度を上昇させることによって、より薄い板厚で
も確保できるようにしている。市販されているDCR材
は、硬度又は耐力規格が定められており、前記したDR
−8,9,10(耐力で56,63,70kgf/m)があ
る。これらは、連続焼鈍法や箱焼鈍法で製造された冷延
鋼板に20〜40%の冷間圧延を施し所定の強度に調整
されて製造される。このようにして製造されたDR−
8,9,10は、20〜40%もの冷間圧延が施された
ままであるので延性が殆どなくEl(伸び)で1%未満
しかない。従って、加工性が要求される用途には使用で
きないという問題がある。
【0003】この問題を解決するには、連続焼鈍時に再
結晶焼鈍後の冷却速度を速くし焼き入れ組織を造り強度
を上げた鋼板、が考えられ、このようなブリキ原板の公
知例としては特公昭46−19781号公報がある。す
なわち、該公報には、非合金の低炭素ブリキ原板用の鋼
を用いたキンク及びリューダース線のない硬質の極薄板
及びその製造方法が開示されている。すなわち、炭素の
溶解を申し分なく抑制した耐時効性の硬質の薄鋼板であ
り、焼鈍と冷却とによって強度の高い薄鋼板を製造する
ものであるが、同公報のFig.2に示されているよう
に降伏比が低いのが最大の特徴であり、この低降伏比に
よりキンク及びリューダース線が抑制される鋼板であ
る。従って、同公報の鋼板では鋼板の強度は高くするこ
とができても降伏点が低いため缶に使用した場合におけ
る耐圧力を高くすることができないと想定される。
【0004】一方、同公報では、Fig.2のbのY.
Pが56kgf/m を超え特許請求の範囲外として図示され
ている焼鈍温度が750℃以下のものについても言及し
ており、本発明者らはこの鋼板の塗装焼き付け後の強度
がどのようになるかについて調査してみた。すなわち、
同公報のFig.2の条件と同様に0.05%C、0.
3%Mn量のAl−K鋼を用い同公報に準じた条件でラ
ボ実験で試作した鋼板を200℃×10分の人工時効を
行いY.Pを調査した結果、同公報のFig.2のbの
自然時効結果とは異なり逆に時効軟化を起こし目的とす
る56kgf/m 以上の強度は得られないことがわかった。
このことは、Mn量とC含有量が少なすぎるため、硬質
な焼き入れ組織が少なすぎることとフェライト組織の結
晶粒径が大きくなってしまうことが主たる原因であるこ
とが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、DCR
による方法の鋼では加工性が悪く、DCRによらない方
法の鋼では、塗装焼き付け後の耐圧強度が低いなどの問
題があり、何れの鋼板も、製缶加工後焼き付け塗装処理
がなされた後の鋼板の耐力が56kgf/m 以上である高い
BH性を有する加工性に優れた硬質表面処理原板はまだ
ないのである。本発明は、このような技術上の現状か
ら、焼き付け塗装処理がなされた後の鋼板の耐力が56
kgf/m 以上である高いBH性を有する加工性に優れた硬
質表面処理原板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、焼き付け
塗装処理がなされた後の鋼板の耐力が56kgf/m 以上と
なり、かつ高いBH性を有する加工性に優れた硬質表面
処理原板を得るため、種々の成分含有量、熱延条件、連
続焼鈍条件で製造された鋼板について、できる限りの低
合金成分系で目的とする加工性の優れた表面処理原板と
なる鋼板特性(成分、組織、固溶C)を検討し、その結
果、本発明を完成したものである。
【0007】すなわち本発明の要旨は下記の通りであ
る。重量比でC:0.070〜0.200%、Si:≦
0.30%、Mn:0.50〜1.50%、P:≦0.
030%、S:≦0.025%、solAl:0.00
2〜0.100%、N:≦0.0120%、残部不可避
的不純物及び鉄よりなり、鋼板の組織が軟質なフェライ
トと硬質な焼き入れ組織とから構成され、かつ、大きな
フェライト結晶粒径が5μmを超えない微細なフェライ
ト組織で、固溶C量を40ppm 以上含有することを特徴
とする高いBH性を有する加工性に優れた硬質表面処理
原板である。尚、大きなフェライト結晶粒の平均結晶粒
径とは、400倍組織写真の任意の30mm×30mm枠内
で、フェライト結晶粒の中で大きいものから順次10ケ
ピックアップした結晶粒の平均結晶粒径(長軸)をい
う。
【0008】以下に本発明について詳細に述べる。本発
明が対象とする硬質表面処理原板の用途としては、3ピ
ース缶(胴、底、蓋)、2ピース缶、その他プレス成形
品がある。これまで実用化されている硬質表面処理原板
としてはDCR材のみであるが、鋼板のElが1%未満
と極めて小さいため缶底や缶蓋のドームのプレス成形
性、缶胴のフランジ加工性やバルジ加工性、その他プレ
ス成形品の成形性が劣り、これら用途には加工上の制限
が大きく、加工性の優れた硬質表面処理原板の提供が待
たれていた。そこで、本発明者等は、DR−8〜DR−
10の現行DCR材で成形され焼き付け塗装された3ピ
ース缶(胴、底、蓋)、2ピース缶などの耐力と同等の
缶耐力を得る条件について検討した。
【0009】本発明者等は、最初に、この鋼板が具備す
べき条件について種々検討し、次の検討課題を導いた。
すなわち、第1点目は、DCRによらないで缶強度を上
昇させるにはある程度の焼き入れ組織による強化が必須
であるため、C,Mnの含有量を増加させる必要がある
が、これら元素が増加すると耐食性の観点並びに素材コ
ストの観点からも問題があることがわかった。従って、
検討課題(A)は、Mn,Cなどの含有量が少なくても
強度を上昇させる方法を見いだすことである。第2点目
は、これらの硬質表面処理原板は高強度化をすることで
板厚ゲージを下げ缶の素材コストを下げることが狙いで
あり0.20mm以下の極薄がほとんどである。よって、
これらの鋼板は結晶粒径が大きいと加工後の鋼板の肌荒
れが顕著になり缶の耐食性が劣化すると云う問題が生じ
る。従って、検討課題(B)は、鋼板の結晶粒径を小さ
くすることであることがわかった。
【0010】次に、本発明者等は、本発明の56kgf/m
以上のBH後の耐力で鋼板の加工性の優れた表面処理原
板における、検討課題(A)Mn,Cなどの含有量を極
力少なくて強度を上昇させる方法を見いだすことと、及
び(B)鋼板の結晶粒径を小さくすることについて、種
々の成分、熱延条件、連続焼鈍条件(超急速加熱を含
む)で製造した鋼板の特性について総合的に検討し、以
下の知見を得た。
【0011】検討課題(A)の「Mn,Cなどの含有量
を極力少なくて強度を上昇させる方法を見いだすこと」
については、鋼板の組織が軟質なフェライトと硬質な
焼き入れ組織とから構成され、かつ、大きなフェライト
結晶粒径が5μmを超えない微細なフェライト組織とす
ることで、すなわち、大きなフェライト結晶粒径を5μ
m以下と云うこれまでにない微細な組織とすることで約
15kgf/m もの強度上昇が図れること、更に、固溶C
量を40ppm 以上含有することで高い(8kgf/m 以上
の)BH性をにプラスして付与することができるこ
と、を見いだし、検討課題(A)をクリアーすることが
できることがわかった。
【0012】検討課題(B)の「鋼板の結晶粒径を小さ
くすること」については、の「大きなフェライト結晶
粒径を5μm以下と云うこれまでにない微細な組織とす
ること」で、加工後鋼板表面に肌荒れが発生しない細粒
化のレベルに達していることが調査の結果判明した。
【0013】更に、本発明の56kgf/m 以上のBH後の
耐力で鋼板の加工性の優れた表面処理原板を得る鋼の成
分は、「主要成分として、C含有量を0.070〜
0.200%、Mn含有量を0.50〜2.0%に規制
すること」が必要であることがわかった。
【0014】尚、上記の,の要件を満たす鋼板は、
本発明者等の実験によれば、以下の点を考慮して製造す
れば可能であることがわかった。の「鋼板の組織が軟
質なフェライトと硬質な焼き入れ組織とから構成され、
かつ、大きなフェライト結晶粒径が5μmを超えない微
細なフェライト組織とする」には、先ずの「C含有量
を0.070〜0.200%、Mn含有量を0.50〜
2.0%」とした上で、「連続焼鈍の加熱に於いて、少
なくとも500℃以上の温度域を300〜2000℃/
sで730〜830℃に加熱し、その温度域での滞在時
間を2秒以下とし、再結晶焼鈍後の冷却を100〜50
0℃/sの冷却速度で冷却すること」で可能となる。更
に、の「固溶C量を40ppm 以上含有させ、高い(8
kgf/m 以上の)BH性を付与すること」は、「C含有量
を0.070〜0.200%、Mn含有量を0.50〜
2.0%」とした上で、「連続焼鈍で、再結晶焼鈍後の
冷却を100〜500℃/sの冷却速度で冷却するこ
と」で可能となる。
【0015】図1は、本発明のポイント,を見いだ
すに至った実験結果を示す図である。すなわち、C含有
量が0.12%でMn含有量を変化させたAl−K鋼
を、熱間圧延時の巻き取り温度を550℃とし、上記の
本発明鋼板を製造する上でのポイントとする条件で製造
した板厚が0.17mmの冷間圧延後の鋼板を、図2に示
すヒートサイクルで焼鈍を行い、1.0%の調質圧延を
施して表面処理原板を製造し、2%の引張り歪を与えた
後200℃×10min のBH処理を行い、BH後のY.
P(降伏点)を調査し、その結果を図1に、又、Mn含
有量が1.2%の焼鈍後の金属組織写真を図4に示し
た。
【0016】図1から、鋼の成分の内特にMn含有量
を0.50%以上とした上で、連続焼鈍の加熱に於い
て図2のサイクルAのパターン、すなわち1000℃/
sのような超急速加熱し、その温度域で0.1sec のよ
うな極短時間の保定後、300℃/sの冷却速度で冷
却することによって、比較サイクルBのような通常行わ
れている徐加熱し均熱時間の長いサイクルに比べ、大幅
な強度上昇が得られるという全く新しい知見が得られ
た。
【0017】本発明者等は、このことについて、得られ
た試料の組織を調査した結果、図4(a)に示すように
超急速加熱短時間焼鈍であるサイクルAで得られた鋼
(本発明鋼)は、図4(b)に示す従来の通常行われて
いる徐加熱サイクルBで得られた鋼(比較鋼)に比べ微
細で均一な複合組織となっていることが判明し、これが
本発明鋼の強度上昇の主要な因子であることがわかっ
た。
【0018】本発明者等は、このような強度上昇がはか
れる組織が得られるメカニズムについて更に検討した結
果、超急速加熱の場合は、加熱中にCが拡散する時間が
殆どないので2相分離が進まず粒成長も抑制され、均熱
温度に到達した時点では微細なα相と微細でボリューム
も多いγ相の均一な2相状態にあり、均熱時間が短けれ
ばその状態が保たれ、その後の急冷によって、強度の高
い焼き入れ組織の多量確保と強度が高くなる微細なフェ
ライト組織の確保が可能となることがわかった。尚、こ
の高強度化に極めて効果的な複合組織は、種々調査した
結果、結果的には大きなフェライト結晶粒径を5μm以
下にすれば達成が可能であることがわかった。
【0019】一方、徐加熱焼鈍の場合は、温度が上昇し
2相域に入るとCが拡散する時間が充分にあるためα相
とγ相の2相分離が充分に進行すると共にα相の粒成長
が起こる。その結果、図4(b)に示すように、急冷に
よって強度上昇が可能なγ相のボリュームが少なくなる
と共にフェライト結晶粒径が大きくなり量の多いフェラ
イト相が軟化し鋼板の強度が低くなってしまうことがわ
かった。尚、図1に示す本発明範囲の鋼の調圧後のEl
は7〜20%とDCR材の1%未満に比べて極めて良好
な特性値が得られた(尚、調圧前の鋼板のElは、調質
圧延後のElよりも良好で約調質圧延歪量程度をプラス
した値が得られる。)。以下に限定理由について詳細に
述べる。CとMnは、前記のの鋼板の組織が軟質なフ
ェライトと硬質な焼き入れ組織とから構成され、かつ、
大きなフェライト結晶粒径が5μmを超えない微細なフ
ェライト組織とし、結果的に前述のような機構で強度を
確保する上で重要な元素である。Cは、前述のような機
構で強度を確保する上で重要な元素で、0.07%未満
では目標とする強度が得られなくなるので、0.07%
を下限とした。又、0.20%超では、強度が高くなり
過ぎ加工性の劣化が著しくなるので0.20%を上限値
とした。Mn含有量は、前述のような機構で強度を確保
する上で重要な元素で、0.5%未満では目標とする強
度が得られなくなるので、0.50%を下限とした。
又、1.50%超では、強度が高くなり過ぎ加工性の劣
化が著しくなるので1.50%を上限値とした。
【0020】Si,P,Sは、錫メッキ鋼板などの表面
処理鋼板のメッキ品質特に耐食性に大きく影響を及ぼ
し、それぞれ、0.30%,0.03%,0.025%
超になると耐食性が劣化するようになるのでそれぞれの
上限値を0.30%,0.03%,0.025%とし
た。尚、これらの元素は少ないほど良好な耐食性を示す
ので下限値は特に規制する必要がない。solAlは、
脱酸剤として用いられ、0.002%は残留するので下
限値を0.002%とした。又、0.100%以上にな
ると鋳造時に溶鋼の空気酸化が起こり易くなり介在物量
が増え、加工性や、メッキ品質をも劣化させるようにな
るので0.100%を上限値とした。
【0021】Nは、強化元素として利用できる有用な元
素であり必要に応じ添加すればよい。しかし、0.01
20%超含有すると鋳片に気泡が生じるようになるので
上限値を0.0120%とした。尚、Nはいくら少なく
とも、材質に悪影響を及ぼすこともなく、強度もC,M
nなどで確保できるので下限値は特に規制する必要がな
い。尚、不可避的不純物としては、ASTM規格のL型
鋼、MR型鋼の範囲とするのが好ましい。
【0022】鋼板の組織は、結果的に、強度の高い焼き
入れ組織の多量確保と強度が高くなる微細なフェライト
組織とを確保するためには、「軟質なフェライトと硬質
な焼き入れ組織とから構成され、かつ、大きなフェライ
ト結晶粒の平均結晶粒径が5μmを超えない微細なフェ
ライト組織とすること」が必要である。尚、大きなフェ
ライト結晶粒径は小さいほど高強度が得られるので特に
下限値を規制する必要がない。
【0023】固溶C量は、8kgf/m 以上の高いBH性を
確保するには40ppm 以上含有させる必要があるので、
下限値を40ppm とした。尚、上限値は特に規制する必
要がない。
【0024】尚、本発明の鋼板は通常の調質圧延が施さ
れることによって、降伏点伸びが消去すると共に形状も
矯正されるので、0.5%以上の調質圧延率が施される
ことが好ましい。又、調質圧延率はY.Pを上昇させる
のには効果的な方法であるので必要に応じて調質圧延率
を増やせばよいが、5.0%超ではElの劣化が大きく
なるので5.0%以下の調質圧延を施して使用されるの
が好ましい。
【0025】
【実施例】以下に本発明の効果を実施例により説明す
る。表1に示す成分、熱延条件で2.0mmの熱延鋼帯を
製造し、冷間圧延した0.17mmの冷延鋼板を図3に示
すヒートサイクルで表2に示す条件で連続焼鈍を行い、
1.2%の調質圧延を施し、表面処理原板を得た。得ら
れた表面処理原板の組織写真から求めた大きなフェライ
ト結晶粒径(F.粒径)と引張り試験のEl値並びに、
得られた表面処理原板に2%の引張り歪を与えた後、2
00℃×10min のBH処理を行い求めたBH処理後の
Y.Pとを表2に示す。又、調質圧延前の鋼板の固溶C
は内部摩擦測定装置で測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】鋼Aは、Mn量が0.25%と低く外れた
従来例の成分範囲のものである。鋼B,C,D,Eは、
本発明の範囲内のもので、鋼B,C,DはC,Mnを変
化させた成分例のもので、鋼Eは本発明の範囲でNを
0.0098%と多く添加した成分例のものである。
【0029】試料1,2,7,8は従来例又は比較例で
何れも目標とするBH後のY.Pが56kgf/m 未満で大
きなフェライト結晶粒径も大きく、本願の発明が狙いと
する缶の高い耐圧強度が要求される用途には使用できな
い。試料3,4,5,6は、本発明の実施例で、何れも
目標とする鋼板の組織が軟質なフェライトと硬質な焼き
入れ組織とから構成され、かつ、大きなフェライト結晶
粒径が5μmを超えない微細なフェライト組織で、固溶
C量は86から110ppm で40ppm 以上を含有し、B
H後のY.Pが56kgf/m 以上でかつ、Elも15.2
〜20.3%と優れた特性値を有しており、本発明が狙
いとする加工性が優れかつ缶の高い耐圧強度が要求され
る用途に適用できる鋼板である。
【0030】試料1は、Mn量が低く外れかつ連続焼鈍
条件も従来の通常の方法で製造した従来例で、BH後の
Y.Pが38.5kgf/m と大幅に低くフェライト結晶粒
径も17μmと大きい。試料2は、連続焼鈍条件を急速
加熱短時間焼鈍で製造した鋼であるが、Mn量が低く外
れた比較例で、BH後のY.Pが48.5kgf/m と低
い。この結果から明らかなように、本発明の鋼を得るに
はMn含有量を0.5%以上に規制することが重要であ
ることがわかる。
【0031】試料3,4,5,6は、本発明の実施例
で、試料3,4,5はC,Mn量を本発明の範囲内で変
化させた実施例で、試料6はN量を増やした実施例であ
る。何れも大きなフェライト結晶粒径が3〜4μmで、
目標とするBH後のY.Pが56kgf/m 以上でかつ、E
lも15.2〜20.3%と優れた特性値を有し、本発
明が狙いとする加工性が優れかつ缶の高い耐圧強度が要
求される用途に適用できる鋼板である。
【0032】試料7,8は、比較例で、何れも供試鋼の
成分は本発明内であるが、試料7は連続焼鈍条件が加熱
速度、均熱時間、冷却速度が通常の条件で製造した比較
例で、BH後のY.Pが46.8kgf/m と低く、試料8
は冷却速度は本発明の鋼を得るのに適した条件である
が、加熱速度、均熱時間が従来の条件で製造した比較例
で、BH後のY.Pが52.3kgf/m と低い。これら
は、大きなフェライト結晶粒径が10,12μmとなっ
てしまい、結果として、強度が低くなったと思われる。
【0033】以上の実施例から、C,Mn含有量を規制
し、鋼板の組織が軟質なフェライトと硬質な焼き入れ組
織とから構成され、かつ、大きなフェライト結晶粒径が
5μmを超えない微細なフェライト組織で、固溶C量が
40ppm 以上であることが、BH後のY.Pが56kgf/
m 以上でかつ、Elも15.2〜20.3%と優れた特
性値を得るのに極めて有効であり、本発明の狙いとする
加工性が優れかつ塗装後の缶の高い耐圧強度が要求され
る用途に適用できる鋼板であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上に本発明について詳細に説明した
が、本発明の鋼板は、錫メッキやクロム酸処理などの表
面処理が施される硬質表面処理原板の分野において、加
工性が優れかつ塗装後の缶の高い耐圧強度(56kgf/m
以上)が要求される用途に適用されることによって、本
発明鋼の特徴が充分に発揮され優れた工業的価値が得ら
れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mn含有量を変化させた場合のBH後のY.P
に及ぼす本発明の効果を示す図。
【図2】図1の調査実験に用いた連続焼鈍のヒートサイ
クルを示す図。
【図3】実施例に用いた連続焼鈍のヒートサイクルを示
す図。
【図4】(a)は本発明鋼並びに(b)は比較鋼の金属
組織写真を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で C :0.070〜0.200%、 Si:≦0.30%、 Mn:0.50〜1.50%、 P :≦0.030%、 S :≦0.025%、 solAl:0.002〜0.100%、 N :≦0.0120%、 残部不可避的不純物及び鉄よりなり、鋼板の組織が軟質
    なフェライトと硬質な焼き入れ組織とから構成され、か
    つ、大きなフェライト結晶粒の平均結晶粒径(400倍
    組織写真の任意の30mm×30mm枠内で、フェライト結
    晶粒の中で大きいものから順次10ケピックアップした
    結晶粒の平均結晶粒径(長軸)、以下単に大きなフェラ
    イト結晶粒径と記す)が5μmを超えない微細なフェラ
    イト組織で、固溶C量を40ppm 以上含有することを特
    徴とする高いBH性を有する加工性に優れた硬質表面処
    理原板。
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