JPH0813097A - 面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法

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JPH0813097A
JPH0813097A JP14279794A JP14279794A JPH0813097A JP H0813097 A JPH0813097 A JP H0813097A JP 14279794 A JP14279794 A JP 14279794A JP 14279794 A JP14279794 A JP 14279794A JP H0813097 A JPH0813097 A JP H0813097A
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毅 横田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 r値および耐リジング性が優れ、しかも面内
異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼帯を製造す
る。 【構成】C:0.0050wt%以下、Si:0.60wt%以下、Mn:
0.75wt%以下( Ni添加のとき0.50〜2.0 wt%) 、Cr:10
〜50wt% 、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3
(C+N)〜0.2wt %、 を含み、かつ上記CおよびNは、
N/C:5〜30を満足して含有し、必要により、Al:0.
03〜0.15wt%、 Ni:0.1 〜1.5wt % Mo:0.5 〜5.0wt %を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼スラブに、少なくとも1パスの圧延を
摩擦係数0.3 以下で行う熱間粗圧延を施したのち、仕上
げ熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗を経て、冷間圧延、さら
に仕上げ焼鈍を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、面内異方性が小さいフ
ェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼板は、通常、
連続鋳造鋳片を加熱した後、熱間圧延(粗圧延および仕
上げ圧延)一熱延板焼鈍一冷間圧延一仕上げ焼鈍の各工
程を経て製造される。このようにして製造されたフェラ
イト系ステンレス鋼板は、一般に、耐応力腐食割れ性に
優れるとともに安価であることから各種厨房器具、自動
車部品などの分野で幅広く使用されている。しかし、オ
ーステナイト系ステンレス鋼に比べるとプレス加工性
(r値、耐リジング性など)の点ではやや劣るという問
題があった。したがって、もしこのフェライト系ステン
レス鋼のプレス加工性がもっと良くなれば使途は拡大
し、従来は適用が困難であったような箇所であっても、
オーステナイト系ステンレス鋼に代わって使用すること
ができるようになる。
【0003】ところで、フェライト系ステンレス鋼のプ
レス加工性を改善するために、これまでにも数多くの試
みがあった。例えば、特開昭53-48018号公報や特公平2-
7391号公報には、極低C,N鋼にNbやTiを添加すること
により、r値を向上させる技術が提案されている。しか
し、この技術では、r値は向上するするものの、r値の
面内異方性(Δr)が大きくなるという課題が残った。
また、特公平4-18013 号公報には、0.2 wt%以上のNbを
添加したステンレス鋼を1000℃以上の温度で30〜60%の
圧延を施すことにより、r値および耐リジング性を向上
させる技術が提案されている。しかし、この技術でも、
r値の面内異方性は改善されないばかりか、Nbの多量添
加は原料費の上昇を招くのはもちろん、再結晶温度の上
昇に伴う熱延板焼鈍の高温化を招き、これが脱スケール
性を劣化させ製造性を低下させるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記既知
技術は、フェライト系ステンレス鋼のr値あるいは耐リ
ジング性を向上させることができるものの、r値の面内
異方性を大きくするという共通した問題があった。その
上、これらの既知技術は、場合によっては、鋼板の製造
性を低下させるという新たな問題を招いていた。
【0005】そこで、本発明の主たる目的は、r値や耐
リジング性を改善しても上記既知技術が抱えている上述
した問題を惹起することのないフェライト系ステンレス
鋼板の製造技術を確立することにある。この発明の他の
目的は、r値および耐リジング性が優れ、しかも面内異
方性が小さいフェライト系ステンレス鋼帯を製造する方
法を提供することにある。この発明のさらに他の目的
は、脱スケール性の低下を招くことなく、上記特性を改
善するための製造技術を確立することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、上掲の目的の実現
に向けて鋭意研究した結果、発明者らは、フェライト系
ステンレス鋼の鋼組成を適切に調整し、熱間粗圧延条件
を適切に制御すれば、r値および耐リジング性を改善
し、面内異方性を小さくすることが可能となり、しかも
その他の従来技術が抱えている上述した問題点をも同時
に解決することができることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 (1) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以下、Mn:
0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、N:0.015 〜0.050w
t %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %を含み、かつ上記Cおよび
Nは、N/C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とする面内異方性
が小さいフェライト系ステンレス鋼板。
【0008】(2) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、Al:
0.03〜0.15wt%を含み、かつ上記CおよびNは、N/
C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さいフ
ェライト系ステンレス鋼板。
【0009】(3) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Ni:0.1 〜1.5 wt%を含み、かつ上記CおよびNは、N
/C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
フェライト系ステンレス鋼板。
【0010】(4) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、Al:
0.03〜0.15wt%、 Ni:0.1 〜1.5 wt%を含み、かつ
上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板。
【0011】(5) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、かつ上記CおよびNは、N
/C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
フェライト系ステンレス鋼板。
【0012】(6) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、Al:
0.03〜0.15wt%、 Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、かつ
上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板。
【0013】(7) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Ni:0.1 〜1.5 wt%、 Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、
かつ上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼
板。
【0014】(8) C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt
%以下、Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、
N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、Al:
0.03〜0.15wt%、 Ni:0.1 〜1.5 wt% Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、かつ上記CおよびNは、N
/C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
フェライト系ステンレス鋼板。
【0015】(9) 上記発明(1) 〜(8) のいずれか1つに
記載のフェライト系ステンレス鋼板を製造するにあた
り、それぞれに記載の化学組成を有する鋼スラブに、少
なくとも1パスの圧延を摩擦係数0.3 以下で行う熱間粗
圧延を施したのち、仕上げ熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗
を経て、冷間圧延、さらに仕上げ焼鈍を行うことを特徴
とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板
の製造方法。
【0016】上記発明(9) において、熱間粗圧延の温度
範囲は 970〜1200℃とし、摩擦係数0.3 以下で行う熱間
粗圧延の圧下率は40〜75%、その圧延速度は50〜 250m
/min 、また仕上げ圧延の温度範囲は600 〜1000℃程度
とすることが望ましい。
【0017】
【作用】まず、本発明に想到する契機となった実験研究
の成果について説明する。N/Cの比またはNb,Ti 含有
量が異なる16.5wt%Crのフェライト系ステンレス鋼を真
空溶解炉にて溶製した。得られた鋼塊を1150℃に加熱
し、3パスの粗圧延、4パスの仕上げ圧延からなる熱間
圧延を行い、4.0 mm厚の熱延鋼板とした。ここで、粗圧
延の条件は、その最終パスにおけるロールと圧延材間の
摩擦係数(μ)を0.1 、圧延温度を1020〜1070℃および
圧下率を45%にそれぞれ調整して行った。得られた熱延
鋼板を、熱延板焼鈍−酸洗−冷間圧延−仕上げ焼鈍の工
程を経て0.7mm の冷延焼鈍板とした。この冷延焼鈍板か
ら試験片を採取し、r値およびr値の面内異方性(Δ
r)を測定した。なお、r値は、r=(rL +2rD + r
C )/4から、またΔrは、Δr=(rL -2rD +
C )/2から求めた。ただし、rL 、rD およびrC
は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、
圧延方向に対して90°の方向のr値を表す。得られた結
果を図1および図2に示す。
【0018】まず図1は、C:0.0050wt%以下、Si:0.
27wt%、Mn:0.59wt%、Cr:16.5wt%、N:0.015 〜0.
050wt %、Nb:0.12wt%の冷延鋼板について、Δrに及
ぼすN/Cの影響を示したものである。図1より、Δr
は、N/Cが5〜30の範囲で著しく改善されることがわ
かる。
【0019】また、図2は、C:0.0020wt%、Si:0.31
wt%、Mn:0.52wt%、Cr:16.5wt%、N:0.0201wt%、
N/C=10.0 をベースにTi,Nb 添加量を変えた冷延鋼板
について、各添加量がr値およびΔrに及ぼすこれら成
分の影響を調べたものである。図2より、r値はこれら
成分( とくにNb) の増加に伴って向上し、またΔrはNb
の増加に伴って顕著に改善されるが、Ti添加ではΔrの
改善効果は小さいことがわかる。このように、Δrは、
N/CおよびNbの制御によって改善可能であることを知
見した。
【0020】次に、本発明において、フェライト系ステ
ンレス鋼板の化学組成および製造条件を上記要旨構成の
とおりに限定した理由について説明する。 C:0.0050wt%以下;Cは、r値および耐食性を低下さ
せ、とくに0.0050wt%を超えるとその影響が顕著になる
ので0.0050wt%以下とする。なお、極端なCの減少は製
造性の低下を招くことを考慮して、0.0005〜0.0030wt%
の範囲が好ましい。
【0021】Si:0.60wt%以下;Siは、脱酸のために有
効な元素であるが、過度の添加は鋼板の硬質化と延性の
低下を招くので、その添加範囲は0.60wt%以下好ましく
は0.1 〜 0.4wt%とする。
【0022】Mn:0.75wt%以下、0.50〜 2.0wt%;Mn
は、熱間加工性の改善や溶接部の靱性改善のために有効
な元素である。この目的のためには、0.75wt%以下の添
加で十分であり、好ましくは0.10〜 0.60wt%である。
また、Mnは、Niとともに用いて耐リジング性の改善に有
効な元素である。この目的のために有効なMn添加量は0.
50wt%以上であるが、過度のMn量はr値の低下を招くの
で0.50〜 2.0wt%、好ましくは0.50〜 1.5wt%、Mn+Ni
で0.80〜 3.0wt%の範囲で添加するものとする。
【0023】Cr:10〜50wt%;Crは、ステンレス鋼とし
ての耐食性を確保するためには不可欠な元素である。そ
の量が10wt%未満では耐食性が不足し、一方50wt%を超
えての添加は製造性の低下を招くので、その添加範囲は
10〜50wt%、好ましくは14〜35wt%とする。
【0024】N:0.015 〜0.050wt %;Nは、耐リジン
グ性の向上に有効な元素である。その効果を得るために
は、少なくとも0.015 wt%の添加が必要であるが、0.05
0wt %を超えて添加すると加工性の劣化を招くので、そ
の添加範囲は0.015 〜0.050wt %、好ましくは0.020 〜
0.045wt %とする。
【0025】N/C:5〜30;N/Cは、図1ですでに
示したように、面内異方性(Δr)に対して大きな影響
を及ぼし、5〜30の範囲であればΔrが小さくなる。し
たがって、N/Cは5〜30、好ましくは10〜20とする。
【0026】Nb:3(C+N)〜0.2wt %;Nbは、C,Nを炭
窒化物Nb(C,N) として析出させ、図2で述べたように、
加工性とくにr値を改善する元素であるとともに、面内
異方性(Δr)を改善する元素である。その効果は、3
(C+N)wt%未満では得られず、一方0.2wt %を超えて添
加してもこれらの効果が飽和するのみでなく、耐リジン
グ性を劣化させるとともに、コストの上昇をも招くこと
になる。したがって、Nbの添加量は、3(C+N)〜0.2wt %
とする。
【0027】Al:0.03〜0.15wt%;Alは、熱的に不安定
な( 低温で溶ける)Cr2N などのCr(C,N) 系析出物の析出
を抑制し、r値を一層向上させるのに有効な元素であ
る。すなわち、Nbの他にAlを添加することにより、鋼中
のC、NはNb(C,N) のほかにAlNとして固定されるの
で、再結晶焼鈍時に{111}方位の発達がさらに促進
されるのである。このような効果は、0.03wt%未満では
得られず、一方0.15wt%超えて添加すると表面欠陥の増
加および耐リジング性の低下をまねく。したがって、Al
の添加量は0.03〜0.15wt%、好ましくは0.05〜0.12wt%
とする。
【0028】Ni:0.1 〜1.5 wt%;Niは、面内異方性を
劣化させることなく耐リジング性を一層向上させる元素
である。その効果を得るには、0.1 wt%以上の添加が必
要であるが、Niが1.5 wt%を超えるとr値が大幅に低下
するので、Niの添加量は0.1 〜1.5 wt%とする必要があ
る。なお、Niの好ましい添加範囲は0.3 〜1.0 wt%、ま
たMn+Ni として0.8〜3.0wt %である。
【0029】Mo:0.5 〜5.0wt %;Moは、耐食性を一層
向上させる元素であり、その効果は0.5 wt%以上の添加
で得られるが、5.0wt %を超えての添加は加工性の低下
のほかコストアップを招くので、その添加量は 0.5〜5.
0wt %、好ましくは 1.0〜3.0wt %とする。
【0030】・熱間粗圧延の摩擦係数:0.30以下;熱間
粗圧延の摩擦係数を小さくすると、鋼板表層部のせん断
歪みが小さくなり、板厚中心部まで均一に歪みが与えら
れるので、良好な再結晶集合組織となり、r値および耐
リジング性が改善される。しかも、鋼板とロールとの焼
きつきがなく、鋼板の表面性状も改善される。このよう
な効果を得るための熱間粗圧延の摩擦係数は、0.30以
下、好ましくは0.2 以下とする必要がある。なお、摩擦
係数を低下させるための潤滑方法は、例えばロールに潤
滑油を塗布するなどの任意の方法を採用する。そして、
この条件を満たす粗圧延を、少なくとも1パス行えばr
値が改善され、耐リジング性も改善される。その1パス
を粗圧延工程のどの段階で行ってもよいが、圧延機の能
力からすれば最終パスで行うのが最も好ましい。なお、
潤滑油の種類、潤滑方法についても常法に従い適宜に決
定すればよい。
【0031】なお、本発明においては、上述した処理条
件以外の製造条件については、特に定める必要はない
が、本発明の効果を一層発揮させるためには、摩擦係数
0.30以下の潤滑圧延とともに、下記の条件を採用するこ
とが望ましい。 ・粗圧延の圧延温度: 970〜1200℃;粗圧延の圧延温度
が 970℃未満では、フェライト系ステンレス鋼の再結晶
が進みにくく加工性が劣り、面内異方性の改善効果も少
ない。一方1200℃を超えるとフェライト粒が圧延方向に
延びた組織になり、面内異方性が大きくなる。したがっ
て、粗圧延の圧延温度は 970〜1200℃が好ましく、より
好ましくは1000〜1100℃である。
【0032】・粗圧延の圧下率:40〜75%;粗圧延の圧
下率が40%未満では、板厚の中心部に未再結晶組織が残
存するために加工性が劣り、面内異方性の改善効果も少
ない。しかし、75%を超えての圧延は焼き付きを引き起
こしたり、噛み込み不良をも引き起こす危険性がある。
したがって、粗圧延の圧下率は40〜75%が好ましく、よ
り好ましくは45〜60%である。
【0033】・粗圧延の圧延速度:50〜250m/min;圧延
速度は、大きくなるほど板厚中心部における再結晶をよ
り進行しやすくし、面内異方性を小さくするので、50 m
/min以上で行うのが好ましく、より好ましくは120m/min
以上とするのがよい。しかし、技術的な困難性を考慮す
ると、上限は250 m/min より好ましくは200m/minであ
る。
【0034】またさらに、スラブ加熱は1050〜1300℃、
仕上げ圧延の温度範囲は600 〜1000℃、熱延板焼鈍は 6
50〜1000℃、冷延板焼鈍は750 〜1000℃とすることが好
ましい。
【0035】
【実施例】表1〜表3 に示す化学組成からなる鋼A1
〜E14を溶製し、スラブとした後、1150℃に加熱後、
粗4スタンド、仕上げ7スタンドからなる熱間圧延機に
て板厚4.0mm の熱延板とした。この熱延板を、熱延板焼
鈍(800 〜880 ℃で4 hr)一酸洗一冷延(Cr 量が18wt%
以下のものは冷延1回法、18wt%を超えるものは中間焼
鈍をはさむ冷延2回法)一仕上げ焼鈍(800 〜900 ℃で
60秒)により板厚0.7mm の冷延鋼板とした。ここで、上
記熱間圧延において、粗圧延の4スタンド目の圧下率、
摩擦係数を変化させた。摩擦係数の調整は、潤滑剤とし
て用いた低融点のガラス系物質の濃度と塗布量を変える
ことによって行った。なお、粗圧延の他スタンドの圧下
率はいずれも上記4スタンド目の圧下率より小さくし
た。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】上記方法により得られた鋼板を供試材とし
て、r値、Δr、リジングおよび耐食性の各特性値を下
記の方法により測定した。 ・r値 JIS13号B試験片を用い15%引張歪みを与えたの
ち、3点法による平均r値を求めた。 ・Δr 上記方法で求めた各方向のr値から、Δr=(rL -2r
D + rC )/2により求めた。ただし、rL 、rD およ
びrC は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して45°の
方向、圧延方向に対して90°の方向のr値を表す。 ・リジング 圧延方向から採取したJIS5号試験片に20%の引張歪
みを与えたのち、リジング高さを測定した。 ・耐食性 JISG0577に従い孔食電位を測定した。ここで、
Cr量が19wt%以下のものについては3.5 %NaCl溶液を用
い30℃で、19wt%を超えるものについては3.5%NaCl溶
液を用い70℃で行った。なお、上記製造工程の途中にお
いて、熱延板の脱スケール性も観察した。
【0040】上記した粗圧延における摩擦係数、圧延速
度、圧延温度、圧下率の各製造条件と得られた特性値を
表4〜表6に示す。なお、発明法で製造した鋼板はすべ
て、脱スケール性は良好であった。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】表4〜表6から、本発明に従う鋼板は、い
ずれも優れたr値および耐リジング性を示すとともに、
Δrも0.14以下であって、小さい面内異方性を有するこ
とがわかる。さらにこれらのうち、Al添加したものはr
値が、Mn、Niを添加したものは耐リジング性が、Moを添
加したものは耐食性が、それぞれ特に優れた特性を示し
ている。これに対し、比較例の鋼板は、本発明例に比べ
てΔr、r値、耐リジング性、耐食性の少なくとも1特
性が劣っている。
【0045】
【発明の効果】上述したように、本発明法によれば、r
値や耐リジング性が優れ、しかも面内異方性が小さいフ
ェライト系ステンレス鋼板の製造が可能となる。しか
も、本発明法によれば、上記のような優れた材質のフェ
ライト系ステンレス鋼板を、脱スケール性の低下を招く
ことなく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】r値の面内異方性に及ぼすN/Cの影響を示す
グラフ。
【図2】r値およびr値の面内異方性に及ぼすNb,Ti 添
加量の影響を示すグラフ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %を含
    み、かつ上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して
    含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを
    特徴とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス
    鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、 Al:0.03〜0.15wt%を含み、かつ上記CおよびNは、N
    /C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
    フェライト系ステンレス鋼板。
  3. 【請求項3】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Ni:0.1 〜1.5 wt%を含み、かつ上記CおよびNは、N
    /C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
    フェライト系ステンレス鋼板。
  4. 【請求項4】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、 Al:0.03〜0.15wt%、 Ni:0.1 〜1.5 wt%を含み、
    かつ上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
    とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼
    板。
  5. 【請求項5】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、かつ上記CおよびNは、N
    /C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
    フェライト系ステンレス鋼板。
  6. 【請求項6】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.75wt%以下、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、 Al:0.03〜0.15wt%、 Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、
    かつ上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
    とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼
    板。
  7. 【請求項7】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt % Ni:0.1 〜1.5 wt%、 Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、
    かつ上記CおよびNは、N/C:5〜30を満足して含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
    とする面内異方性が小さいフェライト系ステンレス鋼
    板。
  8. 【請求項8】C:0.0050wt%以下、 Si:0.60wt%以
    下、 Mn:0.50〜2.0wt %、 Cr:10〜50wt%、 N:0.015 〜0.050wt %、Nb:3(C+N)〜0.2wt %、 Al:0.03〜0.15wt%、 Ni:0.1 〜1.5 wt% Mo:0.5 〜5.0wt %を含み、かつ上記CおよびNは、N
    /C:5〜30を満足して含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなることを特徴とする面内異方性が小さい
    フェライト系ステンレス鋼板。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1つに記載のフェ
    ライト系ステンレス鋼板を製造するにあたり、それぞれ
    に記載の化学組成を有する鋼スラブに、少なくとも1パ
    スの圧延を摩擦係数0.3 以下で行う熱間粗圧延を施した
    のち、仕上げ熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗を経て、冷間
    圧延、さらに仕上げ焼鈍を行うことを特徴とする面内異
    方性が小さいフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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