JPH062069A - 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板

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JPH062069A
JPH062069A JP4162912A JP16291292A JPH062069A JP H062069 A JPH062069 A JP H062069A JP 4162912 A JP4162912 A JP 4162912A JP 16291292 A JP16291292 A JP 16291292A JP H062069 A JPH062069 A JP H062069A
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才二 松岡
Takashi Sakata
坂田  敬
Toshiyuki Kato
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:
3.0 wt%以下、B:0.0001〜0.0050wt%、Al:0.01〜0.
20wt%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以下及び
N:0.01wt%以下を含み、かつTi:0.01〜0.2 wt%及び
Nb:0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種を含有し、上記S
i,Mn,Pの各含有量 %Si , %Mn , %P で定めるE値
が、E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7を満
足する基本成分組成と、残部Fe及び不可避的不純物とか
らなり、さらに上記E値と、板厚中心面における板面に
平行な{222 }面強度I(222) の、板面に平行な{200
}面強度I(200) に対するX線回折強度比I=I
(222) /I(200) とが、E×I≧240 の関係を満たす深
絞り性に優れた高強度冷延鋼板。 【効果】 従来よりも格段に優れた強度−加工性バラン
スを有するものであり、自動車用のパネル等として特に
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用鋼板等の使
途に有用な、深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び高強
度溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のパネル等に使用される冷延鋼板
には、優れた深絞り性が要求される。このように鋼板が
優れた深絞り性を示すためには、鋼板の機械的特性とし
て、高いr値(ランクフォード値)と良好な延性(El.
)とをそなえていることが必要である。
【0003】深絞り性の改善のためには各種の方法が提
案されている。例えば特公昭44-17268号公報、特公昭44
-17269号公報及び特公昭44-17270号公報には、低炭素リ
ムド鋼に2回冷延−焼鈍を施すことにより、r値を2.18
まで高めた冷延鋼板の製造方法が開示されている。しか
しながらこれらの方法は、冷間圧延と再結晶焼鈍とを2
回ずつ行わなければならず、そのために要するエネルギ
ー及びコストは莫大なものとなる。。
【0004】一方、近年になって自動車の車体軽量化及
び安全性向上を目的として、引張強さが35〜60kgf/mm2
の如き、より高強度の鋼板を用いようとする機運が急速
に高まってきた。このように高強度の鋼板であっても、
プレス成形の際は、優れた深絞り性を示すことが要求さ
れることは言うまでもなく、したがって、より高強度で
かつ従来鋼と比べても同等以上の高いr値と優れた延性
とをそなえる鋼板について研究開発が進められている。
【0005】このような深絞り用高強度冷延鋼板の製造
には、Si、Mn、P等を強化成分として含有させた低炭素
Alキルド鋼を、通常の熱間圧延を施した後に冷間圧延を
行い、引き続き再結晶焼鈍を施すことが一般的であっ
た。しかしながら、高強度を得るためには上記の強化成
分を多量に含有させなければならず、そのため深絞り性
に好ましくない集合組織が形成され、r値の低い鋼板し
か得られていなかった。したがって、引張強さ(T.S.)
とr値との積で評価する強度−加工性バランスは、従来
の35kgf/mm2 以上の高強度冷延鋼板では、100 に満たな
い値しか得られず、そのため十分なプレス成形性を具備
していなかった。引張強度が35kgf/mm2 以上の高強度冷
延鋼板をプレス成形するためには、引張強さとr値との
積(TS×r)が100 以上であることが必要であり、こ
の関係を満足する鋼板が安定して得られなければ、高強
度冷延鋼板のプレス成形が満足できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、鋼板の成分及び結晶方位を
規制することにより、引張強さが35kgf/mm2 以上でかつ
TS×rが100 以上の特性を有する高強度冷延鋼板及び
溶融亜鉛めっき鋼板を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、深絞り性を
向上させるべく鋭意研究を重ねた結果、以下のように鋼
成分及び結晶方位を限定した高強度冷延鋼板及び高強度
溶融亜鉛めっき鋼板が、優れた深絞り性を有することを
見出した。
【0008】この発明の要旨構成は次のとおりである。 (1) C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:3.0 wt
%以下、B:0.0001〜0.0050wt%、Al:0.01〜0.20wt
%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以下及びN:0.
01wt%以下を含み、かつTi:0.01〜0.2 wt%及びNb:0.
001 〜0.2 wt%の1種又は2種を含有し、上記Si,Mn,
Pの各含有量 %Si , %Mn , %P で定めるE値が、次式 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足する基本成分組成と、残部Fe及び不可避的不純物
とからなり、さらに上記E値と、板厚中心面における板
面に平行な{222 }面強度I(222) の、板面に平行な
{200 }面強度I(200) に対するX線回折強度比I=I
(222) /I(200) とが、E×I≧240 の関係を満たすこ
とを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板(第1
発明)。
【0009】(2) 第1発明の鋼成分組成に加えてMo:0.
01〜1.5 wt%を含有する深絞り性に優れた高強度冷延鋼
板(第2発明)。
【0010】(3) 第1発明又は第2発明の鋼成分組成に
加えてCu:0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5 wt%を含
有する深絞り性に優れた高強度冷延鋼板(第3発明)。
【0011】(4) C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、B:0.0001〜0.0050wt%、Al:
0.01〜0.20wt%、P:0.01〜0.20wt%、S:0.05wt%以
下及びN:0.01wt%以下を含み、かつTi:0.01〜0.2 wt
%及びNb:0.001 〜0.2 wt%の1種又は2種を含有し、
上記Si,Mn,Pの各含有量 %Si , %Mn , %P で定める
E値が、次式 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足する基本成分組成と、残部Fe及び不可避的不純物
とからなり、さらに上記E値と、板厚中心面における板
面に平行な{222 }面強度I(222) の、板面に平行な
{200 }面強度I(200) に対するX線回折強度比I=I
(222) /I(200) とが、E×I≧240 の関係を満たすこ
とを特徴とする深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき
鋼板(第4発明)。
【0012】(5) 第4発明の鋼成分組成に加えてMo:0.
01〜1.5 wt%を含有する深絞り性に優れた高強度溶融亜
鉛めっき鋼板(第5発明)。
【0013】(6) 第4発明又は第5発明の鋼成分組成に
加えてCu:0.1 〜1.5 wt%及びNi:0.1 〜1.5 wt%を含
有する深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板(第
6発明)。
【0014】以下、この発明を開発する基礎となった研
究結果について述べる。C:0.002 wt%、Si:1.0 〜1.
8 wt%、Mn:0.2 〜2.5 wt%、P:0.01〜0.18wt%、
S:0.01wt%、Al:0.05wt%、N:0.002 wt%、Nb:0.
03wt%及びB:0.0015wt%の成分組成になる種々の鋼ス
ラブを1150℃で加熱−均熱後、950 ℃で圧下率75%の熱
間粗圧延した後、仕上温度:620 〜980 ℃の潤滑圧延を
行った。引き続き得られた熱延板を、750 ℃、5hの再
結晶焼鈍を施した後、圧下率75%の冷間圧延を施して板
厚0.7 mmとした後、890 ℃、20sの再結晶焼鈍を行っ
た。かくして得られた冷延鋼板のr値、引張強度(T.
S.) に及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の影響を
調べた結果を図1に示す。図1から明らかなように、冷
延−焼鈍後のr値、T.S.(kgf/mm2) は、鋼成分及び板厚
中心面の集合組織に依存し、鋼成分が、E=6+2.5 Si
+0.5 Mn+10.5P≧7を満足し、かつ板厚中心面におけ
る板面に平行な{222 }面強度I(222) の、板面に平行
な{200 }面強度I(200) に対するX線回折強度比I=
(222) /I(200) が、E×I≧240 を満足することに
より、引張強度が35kgf/mm2 以上で、かつTS×rが10
0 以上である特性が得られることが分かった。
【0015】
【作用】
(1) 鋼成分 上記したようにこの発明では、鋼成分は重要であり、前
記した成分組成範囲を満足しないと、優れた深絞り性を
確保することができない。以下、各成分について範囲を
限定した理由について説明する。
【0016】(a) C:0.01wt%以下 Cは、含有量が少なければ少ない程、深絞り性が向上す
るので好ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほ
ど悪影響を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。よ
り好ましくは0.008 wt%以下である。
【0017】(b) Si:2.0 wt%以下 Siは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が2.0 wt%
を超えると深絞り性及び表面性状に悪影響を与えるので
2.0 wt%以下に限定した。なお上述した作用を発揮させ
るためには 0.1wt%程度以上を含有させるのが好まし
い。 (c) Mn:3.0 wt%以下、 Mnは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が3.0 wt%
を超えると深絞り性に悪影響を与えるので3.0wt%以下
に限定した。なお上述した作用を発揮させるためには
0.5wt%程度以上を含有させるのが好ましい。
【0018】(d) B:0.0001〜0.0050wt% Bは、耐二次加工ぜい性を改善させるために含有させ
る。その含有量が0.0001wt%に満たないと効果がなく、
一方0.005 wt%を超えて含有させると深絞り性が劣化す
るため0.0001〜0.005 wt%に限定した。
【0019】(e) Al:0.01〜0.20wt% Alは、脱酸を行い、炭窒化物形成成分の歩留まりを向上
させるために必要量に応じて含有させるが、その含有量
が0.01wt%に満たないと効果がなく、一方0.20wt%を超
えて含有させても、より一層の脱酸効果は得られないた
め、0.01〜0.20wt%に限定した。
【0020】(f) P:0.01〜0.20wt% Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量を含有させるものであるが、その含有量が0.01wt%
に満たないと高強度化の効果がなく、一方0.20wt%を超
えると深絞り性に悪影響を与えるので0.01〜0.20wt%に
限定した。
【0021】(g) S:0.05wt%以下 Sは、少なければ少ない程、深絞り性が向上するので好
ましいが、その含有量が0.05wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので 0.05 wt%以下に限定した。
【0022】(h) N:0.01wt%以下 Nは、少なければ少ない程、深絞り性が向上するので好
ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほど悪影響
を及ぼさないので0.01wt%以下に限定した。
【0023】(i) Ti:0.01〜0.2 wt% Tiは、この発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
(C,N)を炭窒化物として析出固定させて低減し、深
絞り性に有利な{111 }方位を優先的に形成させる効果
がある。そこでこの発明では、このTiと、次に述べるNb
との1種又は2種を含有させる。Tiの含有量が0.01wt%
に満たないとその効果がなく、一方0.2wt%を超えて含
有させてもそれ以上の効果は得られず、却って鋼板表面
性状の劣化につながるので0.01〜0.2 wt%に限定した。
【0024】(j) Nb:0.001 〜0.2 wt% Nbは、この発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
Cを炭化物として析出固定させて低減し、深絞り性に有
利な{111 }方位を優先的に形成させる効果がある。こ
の点でNbはTiと同効成分であり、この発明ではTiとNbの
1種又は2種を含有させる。さらにNbの含有により、仕
上圧延前組織が微細化し、その結果、仕上圧延−再結晶
処理後に深絞り性に有利な{111 }方位を優先的に形成
させる効果もある。Nb含有量が0.001 wt%に満たない
と、その効果がなく、一方0.2 wt%を超えて含有させて
もそれ以上の効果は得られず、却って延性の劣化につな
がるので0.001 〜0.2 wt%に限定した。
【0025】(k) Mo:0.01〜1.5 wt% Moは、鋼を強化する作用があり、第2、第5発明では所
望の強度に応じて含有させるものであるが、その含有量
が0.01wt%に満たないと効果がなく、一方1.5wt%を超
えると深絞り性に悪影響を与えるので0.01〜1.5 wt%に
限定した。
【0026】(l) Cu:0.1 〜1.5 wt% Cuは、鋼を強化する作用があり、第3、第6発明では所
望の強度に応じて含有させるものであるが、その含有量
が0.1 wt%に満たないと効果がなく、一方1.5wt%を超
えると深絞り性に悪影響を与えるので0.1 〜1.5 wt%に
限定した。
【0027】(m) Ni:0.1 〜1.5 wt% 第3、第6発明ではNiを含有させる。Niは、鋼を強化す
る作用があるとともに、Cu含有時の鋼板表面性状の改善
に有効である。その含有量が0.1 wt%に満たないと効果
がなく、一方1.5 wt%を超えると深絞り性に悪影響を与
えるので0.1 〜1.5 wt%に限定した。
【0028】 (n) E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 Si、Mn及びPの含有量に関しては、前述した範囲でか
つ、 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足することが必要である。Si、Mn及びPは前述した
とおりいずれも、鋼を強化する作用があり、所望の応じ
て必要量を含有させるわけであるが、その含有量が、6
+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P で計算されるE値で
7に満たないと、得られる鋼板の引張強度が35kgf/mm2
に達しないので、 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足させるものとする。
【0029】(2) 集合組織 鋼板の集合組織は、この発明において最も重要であり、
板厚中心面における板面に平行な{222 }面強度I
(222) の、板面に平行な{200 }面強度I(200) に対す
るX線回折強度比I=I(222) /I(200) が、含有成分
との関係で E×I≧240 の関係を満たすことが必要である。かかる関係を満たさ
ないと、TS×rが100以上である優れた深絞り性が得
られない。なおここで{222 }面強度、{200 }面強度
は、ランダムな集合組織を基準とした相対強度のことを
いう。
【0030】(3) 製造方法 以下、この発明鋼の好ましい製造方法について説明す
る。 熱間圧延工程 熱間圧延工程では、Ar3 変態点以下500 ℃以上の温度域
にて、潤滑を施しつつ合計圧下率が50%以上95%以下に
なる仕上圧延工程を施すことが好ましい。ここにAr3
態点より高い温度域では、いくら圧延をおこなってもγ
−α変態により集合組織がランダム化するため、熱延板
に{111 }集合組織が形成されず、そのため冷延−焼鈍
後には低いr値しか得られない。一方、500 ℃未満に圧
延温度を低下させても、より一層のr値の向上が望め
ず、圧延荷重が増大するのみであるので、圧延温度はAr
3 変態点以下500 ℃以上が適する。
【0031】この仕上圧延の圧下率は、50%に満たない
と熱延板に{111 }集合組織が形成されず、一方95%を
超えると熱延板にr値に好ましくない集合組織が形成す
るという不都合を生じるので50%以上95%以下が好まし
い。
【0032】さらにかかるAr3 変態点以下の圧延を無潤
滑圧延とすると、ロールと鋼板との間の摩擦力に起因す
るせん断変形により、深絞り性に好ましくない{110 }
方位の結晶粒が鋼板表層部に優先的に形成され、r値の
向上が望めないので深絞り性を確保するためには潤滑圧
延とすることが必要である。
【0033】ここに上記圧延におけるロール径、ロール
の構造、潤滑剤の種類並びに圧延機の種類は任意で良
い。また、上記の圧延前の工程については特に限定をす
るものではなく、例えば圧延素材については、連続鋳造
スラブを再加熱又は連続鋳造後、Ar3 変態点以下に降温
することなく直ちに、又は保温処理したものを粗圧延に
てシートバーにしたものを使用するのが好適である。か
かる粗圧延条件としては、仕上圧延前の組織の微細化を
目的に、粗圧延終了温度を(Ar3 変態点〜Ar3 変態点+
100 ℃)とすることが好ましい。
【0034】熱延板再結晶処理工程 次にこの発明の鋼は、熱延温度がAr3 変態点以下である
ため、熱延板は加工組織を呈している。そのため、この
熱延板に再結晶処理を施して{111 }方位の結晶粒を形
成させる必要がある。再結晶処理を施さないと、熱延板
に{111 }方位の結晶粒が形成されないため、その後の
冷延−焼鈍によってもr値の向上は望めない。この熱延
板再結晶処理は、熱延後の巻取工程又は再結晶焼鈍工程
によって行う。巻取工程より再結晶処理を施す場合に
は、巻取温度は650 ℃以上が適する。巻取温度が650 ℃
に満たないと、熱延板は再結晶し難く、熱延板に{111
}方位の結晶粒が形成され難いので、その後の冷延−
焼鈍によってもr値の向上は望めない。また再結晶焼鈍
工程により再結晶処理を施す場合には、バッチ焼鈍又は
連続焼鈍のいずれもが適し、その焼鈍温度は、650 〜95
0 ℃が好ましい。
【0035】冷間圧延工程 この工程は、高いr値を得るために施すものであり、冷
延圧下率は50〜95%とすることが好ましい。かかる冷延
圧下率が50%未満又は95%を超えると、優れた深絞り性
が得られない。
【0036】焼鈍工程 冷間圧延工程を経た冷延鋼帯は、再結晶焼鈍を施す必要
がある。この再結晶焼鈍は、箱型焼鈍法及び連続型焼鈍
法のいずれでもよい。焼鈍温度は700 〜950 ℃の範囲が
好ましい。なおこの焼鈍後の鋼帯に、形状矯正あるいは
表面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を施し
ても良いことは言うまでもない。またこの発明にて得ら
れた冷延鋼板は、加工用表面処理鋼板の原板にも適用で
きる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含
む)、すずめっき、ほうろう等がある。
【0037】
【実施例】表1に示す種々の成分組成になる鋼スラブを
準備した。なお表1において、数値がこの発明の範囲を
外れるものには下線をひいてある。
【0038】
【表1】
【0039】これらのスラブに熱間粗圧延、仕上圧延を
施し、その後再結晶処理を行った。得られた熱延板を酸
洗後、冷間圧延を施し板厚0.7 mmの冷延鋼帯にした後、
連続焼鈍設備にて890 ℃、20秒の再結晶焼鈍を施した。
これらの熱延条件、熱延板焼鈍条件、冷延条件及び再結
晶焼鈍条件を表2に示す。なお表2、No. 9,16,17及
び18は、最終焼鈍を連続溶融亜鉛めっき設備にて再結晶
焼鈍及びめっき処理(付着量45 g/m2 ) を施した例であ
る。
【0040】
【表2】
【0041】かくして得られた冷延鋼板の材料特性につ
いて調べた結果を表2に併記した。なお引張特性は、JI
S 5 号引張試験片を用いて測定した。またr値は、15%
引張予ひずみを与えたのち、3点法にて測定し、L方向
(圧延方向)、D方向(圧延方向から45度方向)及びC
方向(圧延方向から90度方向)の平均値を
【数1】 の式から求めた。さらに集合組織の測定は、板面に平行
な{222 }面強度及び{200 }面強度を、X線回折法に
より板厚中心面について行った。
【0042】表2から明らかなように、この発明に従う
適合例は、いずれも比較例に比べて優れた深絞り性を有
している。
【0043】
【発明の効果】この発明の高強度冷延鋼板および溶融亜
鉛めっき鋼板は、鋼成分及び結晶方位を限定することに
より、従来よりも格段に優れた強度−加工性バランスを
有するものであり、自動車用のパネル等として特に有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、冷延鋼板のr値、引張強度(T.S.) に
及ぼす鋼成分及び板厚中心面の集合組織の影響を調べた
結果を示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01wt%以下、 Si:2.0 wt%以下、 Mn:3.0 wt%以下、 B:0.0001〜0.0050wt%、 Al:0.01〜0.20wt%、 P:0.01〜0.20wt%、 S:0.05wt%以下及び N:0.01wt%以下 を含み、かつ Ti:0.01〜0.2 wt%及び Nb:0.001 〜0.2 wt% の1種又は2種を含有し、上記Si,Mn,Pの各含有量 %
    Si , %Mn , %P で定めるE値が、次式 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足する基本成分組成と、残部Fe及び不可避的不純物
    とからなり、 さらに上記E値と、板厚中心面における板面に平行な
    {222 }面強度I(222)の、板面に平行な{200 }面強
    度I(200) に対するX線回折強度比I=I(222)/I
    (200) とが、 E×I≧240 の関係を満たすことを特徴とする深絞り性に優れた高強
    度冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 基本成分組成に加えて Mo :0.01〜1.5 wt%、 を含有する請求項1記載の深絞り性に優れた高強度冷延
    鋼板。
  3. 【請求項3】 基本成分組成に加えて Cu:0.1 〜1.5 wt%及び Ni:0.1 〜1.5 wt% を含有する請求項1又は2記載の深絞り性に優れた高強
    度冷延鋼板。
  4. 【請求項4】 C:0.01wt%以下、 Si:2.0 wt%以下、 Mn:3.0 wt%以下、 B:0.0001〜0.0050wt%、 Al:0.01〜0.20wt%、 P:0.01〜0.20wt%、 S:0.05wt%以下及び N:0.01wt%以下 を含み、かつ Ti:0.01〜0.2 wt%及び Nb:0.001 〜0.2 wt% の1種又は2種を含有し、上記Si,Mn,Pの各含有量 %
    Si , %Mn , %P で定めるE値が、次式 E=6+2.5 %Si +0.5 %Mn +10.5 %P ≧7 を満足する基本成分組成と、残部Fe及び不可避的不純物
    とからなり、さらに上記E値と、板厚中心面における板
    面に平行な{222 }面強度I(222)の、板面に平行な{2
    00 }面強度I(200) に対するX線回折強度比I=I
    (222)/I(200) とが、 E×I≧240 の関係を満たすことを特徴とする深絞り性に優れた高強
    度溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 基本成分組成に加えて Mo:0.01〜1.5 wt%、 を含有する請求項4記載の深絞り性に優れた高強度溶融
    亜鉛めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 基本成分組成に加えて Cu:0.1 〜1.5 wt%及び Ni:0.1 〜1.5 wt% を含有する請求項4又は5記載の深絞り性に優れた高強
    度溶融亜鉛めっき鋼板。
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JP2010501725A (ja) * 2006-08-22 2010-01-21 ティッセンクルップ スチール アクチェンゲゼルシャフト 6−30重量%のMnを含有する熱間圧延鋼板または冷間圧延鋼板に金属保護層をめっきする方法
JP2015172231A (ja) * 2014-03-12 2015-10-01 新日鐵住金株式会社 冷延鋼板

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