JPH09157757A - 耐食性および成形性に優れた缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

耐食性および成形性に優れた缶用鋼板の製造方法

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JPH09157757A
JPH09157757A JP31617995A JP31617995A JPH09157757A JP H09157757 A JPH09157757 A JP H09157757A JP 31617995 A JP31617995 A JP 31617995A JP 31617995 A JP31617995 A JP 31617995A JP H09157757 A JPH09157757 A JP H09157757A
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corrosion resistance
steel sheet
steel
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Akio Tosaka
章男 登坂
Kaneharu Okuda
金晴 奥田
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
Hideo Kukuminato
英雄 久々湊
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性に優れ、かつ、従来鋼板と比べ高い耐
食性を有する缶用鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.0050%以下の極低炭素鋼
で、Mn、S、Pの含有量を、Mn+10S+20P≦
0.65の範囲に限定し、さらに、仕上圧延温度を(A
3 +50℃)〜(Ar3 −70℃)の範囲とし、巻取
り温度を600℃以上750℃未満の温度範囲となる熱
間圧延、圧下率80〜98%の冷間圧延を施し、つい
で、再結晶温度以上で40sec以下の保持を行ったの
ち室温まで90sec未満の冷却時間で冷却する焼鈍処
理を施すことにより、成形性と耐食性がともに優れた鋼
板が得られる。さらに、強度増加のために、Nb、T
i、Bを含有してもよく、焼鈍処理ののち、30%以下
の2次冷間圧延を施してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極薄ブリキ用に向
けられる薄鋼板あるいはティンフリースチールなど、主
として飲料缶用に向けられる薄鋼板の製造方法に関し、
とくに、耐食性および深絞り成形性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】缶は、構成によりツーピース缶とスリー
ピース缶に大別される。ツーピース缶は、錫めっき、ク
ロームめっき、化成処理、塗油などの処理を施した表面
処理鋼板に、浅い絞り加工、DWI加工、DRD加工等
の加工により缶胴を形成したのち、その缶胴に蓋を取付
けた2部品からなる缶である。スリーピース缶は、表面
処理鋼板を円筒状または角筒状にまげて端部を接合し缶
胴を形成したのち、その缶胴に天蓋と底蓋を取り付けた
3部品からなる缶である。いずれの缶も、缶コストに占
める素材コストの割合が高いため、鋼板コストの低減の
要求は強い。
【0003】鋼板製造コストを低減する一つの方法とし
て、たとえば、特開平1−52452号公報に示される
ように、極低炭素鋼を用い、生産効率の高い連続焼鈍法
で軟質な鋼板を製造し、加工硬化との組み合わせにより
種々の硬さの缶用鋼板を作りわける技術が提案されてい
る。しかし、更なるコストダウンの要求に答えるために
は、1缶あたりの鋼板の使用量を減少させる必要があ
る。周知のように、鋼板重量の減少は、使用鋼板の板厚
を減少させるのが最も簡単である。しかし、圧延仕上板
厚を減少するといった単純な薄肉化では、延性の劣化を
伴うか、加工性あるいは成形性の劣化に繋がり、実際の
使用に耐えられなかった。また、薄肉化により、連続焼
鈍中に鋼板の破断なども生じ、問題となっていた。した
がって、従来にも増して、薄肉化されても高い成形性を
有する缶用鋼板の要求が強い。また、さらに、内容物質
の品質保持に対する信頼性を劣化させないために、さら
に高い耐食性が要求されている。しかし、従来の方法で
は、連続焼鈍工程を経る薄肉化した缶用鋼板は高い成形
性とともに、極めて高い耐食性を満足できないという点
で問題を残していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、主として、
缶用鋼板として十分な成形性を有しかつ、従来鋼板と比
べ高い耐食性を有する缶用鋼板の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を有利に解決するため、缶容器用鋼板の使用特性、耐食
性を支配する冶金的要因について、化学成分、熱間圧延
および焼鈍条件の点から鋭意検討を行った結果、鋼組成
を限定し、さらに熱延条件、とくに、仕上圧延温度と巻
取り温度および焼鈍条件、とくに均熱時間と冷却時間を
適正化することにより、成形性と耐食性がともに優れた
鋼板が得られることを知見し、本発明を構成した。
【0006】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.
0050%以下、Si:0.010%以下、Mn:0.
60%以下、P:0.010%以下、S:0.010%
以下、N:0.0050%以下、Al:0.150%以
下を含み、かつ、Mn+10S+20P≦0.65を満
足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラ
ブを、仕上圧延温度が(Ar3 +50℃)〜(Ar3
70℃)の範囲で、巻取り温度が600℃以上750℃
未満の温度範囲となる熱間圧延を施し、さらに、冷間圧
下率80〜98%の冷間圧延を施したのち、再結晶温度
以上で40sec以下の保持を行ったのち室温まで90
sec未満の冷却時間で冷却する焼鈍処理を施すことを
特徴とする耐食性および成形性に優れた缶用鋼板の製造
方法である。また、本発明は、前記スラブが、さらに、
上記組成に加えて、重量%で、Nb:0.005〜0.
020%、Ti:0.005〜0.015%およびB:
0.0001〜0.0010%のうちから選ばれた1種
または2種以上を含有してもよい。さらに、前記焼鈍処
理ののち、30%以下の2次冷間圧延を施してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明において、上記に
限定した理由について、説明する。 C:0.0050%以下 Cは、深絞り性、延性に大きな影響を与える元素であ
り、C量が、0.0050%を超えると深絞り性が劣化
し、他の製造条件を如何に適正化しても1.6を超える
高いr値を得ることが困難になる。さらに、C量が0.
0050%を超えると延性も著しく劣化するため、成形
性が大きく劣化する。また、C量が0.0050%以下
であれば、時効性も缶用鋼板として実用上問題のないレ
ベルに制御できる。このようなことから、C量の範囲
を、0.0050%以下とした。成形性をとくに重視す
る場合には、C量は、0.0030%以下が望ましい。
C量の下限はとくに限定しないが、C量が低減するにし
たがい結晶粒が粗大化する傾向があるため、耐肌あれ性
を要求される用途には、C量は、0.0010%以上が
望ましい。
【0008】Si:0.010%以下 Siは、鋼板表面に酸化物を形成し、鋼板の表面性状を
劣化させるため、Siの含有は、表面処理鋼板として望
ましくない。また、Siは、鋼の硬化元素であり、多量
に含有すると鋼を硬化させ、熱延工程および冷延工程の
能率を劣化させるため、0.010%を上限とした。
【0009】Mn:0.60%以下 Mnは、鋼中に固溶し鋼を強化し、また、鋼の変態点を
低下させる元素であり、熱間圧延の仕上温度条件の規制
を緩和できる有用な元素である。しかし、0.60%を
超えて添加すると、高いr値を得ることができる熱延条
件が極めて狭くなり、安定した操業ができにくくなるた
め、0.60%を上限とした。また、0.05%未満で
は、Sを低下させた場合でも熱間脆性を回避することが
できなくなり、表面割れ、へげ等の表面欠陥を生じるこ
とがあるため、Mnは、0.05%以上の添加が望まし
い。また、成形性をとくに要求される用途には、Mn
は、0.50%以下とするのが望ましい。
【0010】P:0.010%以下 Pは、成形性、耐食性を害するため、できるだけ低減す
る。しかし、0.010%以下とすれば、成形性、耐食
性も許容できる範囲となる。また、過度の低減は、製造
コストの増加につながり望ましくないため、0.010
%を上限とした。なお、耐食性の観点からは、0.00
7%以下とするのが望ましい。
【0011】S:0.010%以下 Sは、成形性の点からできるだけ低減するのが望まし
い。しかし、0.010%以下とすれば、顕著に成形性
が改善されるため、Sは0.010%を上限とした。特
に、高度な局部延性が要求される用途の場合には、Sは
0.005%以下が望ましい。
【0012】N:0.0050%以下 Nは、耐食性に対しては無害であるが、材質的には時効
の原因となり、また、r値を低下させる。このため、N
含有量は0.0050%以下に低減する。N含有量が
0.0050%以下であれば、鋼板の時効性は顕著に低
減し、実用上問題の無いレベルとなる。さらに、高いr
値、安定した小さい時効性のためには、N含有量は、
0.0030%以下に低減することが望ましい。
【0013】Al:0.150%以下 Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させる
ため添加する。清浄度向上のためには、0.005%以
上の含有が望ましい。しかし、0.150%を超えての
添加は、表面欠陥の発生、製造コストの増大等の問題を
生ずる。このようなことから、Al含有量は、0.15
0%を上限とした。なお、望ましい範囲は、0.020
〜0.080%である。
【0014】Mn+10S+20P≦0.65 Mn、S、Pの含有量を上式で、0.65以下に制限す
る。0.65を超えると耐食性が劣化する。この限定
は、鋼板に塗装し、一部表面にナイフ刃でクロスカット
をいれ、果汁を充填した脱気環境で浸漬試験を行った際
に、Mn+10S+20Pの値を0.65以下とする
と、鉄溶出量が著しく少なく、耐食性が著しく向上する
ことを見出したことによる。とくに、優れた耐食性を要
求されるときには、Mn+10S+20Pの値を0.5
5以下とするのが望ましい。
【0015】Nb:0.005〜0.020%、Ti:
0.005〜0.015%、B:0.0001〜0.0
010%、のうちから選ばれた1種または2種以上 Nb、Ti、Bは、いずれも耐食性向上のために添加す
る。Nbは、耐食性向上効果以外にも、組織の微細化、
r値の向上に効果を示す。このような効果が確認できる
のは、0.005%以上であり、また、0.020%を
超えると、熱間圧延後の組織が不均一性を増し、缶用鋼
板としては不適当となり、また、再結晶温度が高くなり
連続焼鈍工程が困難となる。このようなことから、Nb
含有量は、0.005〜0.020%の範囲とする。ま
た、安定した材質を得るためには、0.008〜0.0
15%の範囲が望ましい。
【0016】Tiは、耐食性の改善のために添加する。
0.005%以上でこの効果が顕著になる。しかし、
0.015%を超えると逆に耐食性は劣化する。したが
って、Ti含有量は、0.005〜0.015%の範囲
とする。なお、耐食性の点からは、0.005〜0.0
10%の範囲とすることが、好適である。Bは、0.0
001%以上で、耐食性の向上に効果がある。しかし、
0.0010%を超えると、効果が飽和するうえ、再結
晶温度の上昇をもたらし、連続焼鈍工程が困難になる危
険性が大きくなる。このため、B含有量は、0.000
1〜0.0010%の範囲に限定した。なお、さらに、
望ましくは、0.0001〜0.0007%の範囲であ
る。
【0017】上記組成のスラブは、成分の均一性の点で
連続鋳造製が好ましいが、造塊製でもよい。スラブは、
一旦冷却したのち、再加熱し、圧延する。室温まで冷却
せず、温片のまま加熱炉へ装入してもよい。加熱温度
は、通常の温度範囲、1000℃〜1300℃でよい。
スラブは通常の手法で粗圧延し、20〜70mm厚のシ
ートバーとする。
【0018】仕上圧延温度:(Ar3 +50℃)〜(A
3 −70℃) 材質の向上と組織の均一・微細化のため、仕上圧延温度
を規定する。仕上圧延温度がAr3 −70℃より低温と
なると、形成されたフェライト相が不均一に加工され、
歪を完全に開放させないまま急冷されるため、極めて不
均一な熱延板組織となり、この不均一性は冷延・焼鈍を
行ったのちでも完全に除去されず、缶用鋼板としては不
適切となる。また、仕上圧延温度がAr3 +50℃を超
えると、焼鈍後の降伏応力が大きく変動し材質が不安定
となり、また、熱延ロールの損傷も顕著になる。このよ
うなことから、仕上圧延温度は、(Ar3 +50℃)〜
(Ar3 −70℃)の範囲とする。
【0019】巻取り温度:600℃以上750℃未満 熱延の巻取り温度が、600℃以上で深絞り成形に有利
な高いr値が得られる。750℃以上では、表面のスケ
ール厚みが増加し、酸洗性が大きく劣化する。さらに、
疵欠陥を生ずる危険性も増大するため、巻取り温度は、
600℃以上750℃未満とする。なお、表面の美麗性
のためには、巻取り温度は、600℃以上700℃以下
が好ましい。
【0020】冷間圧下率:80〜98% 冷間圧下率は、深絞り性を改善するため重要で、80%
以上必要である。しかし、98%を超えると、著しい材
質的改善は認められないうえに、圧延が困難になる。こ
のため、冷間圧下率は80〜98%とした。材質、形状
制御の容易性、その他の圧延性を考慮すると、85〜9
2%が望ましい。
【0021】焼鈍処理:再結晶温度以上で40sec以
下の保持を行ったのち室温まで90sec未満の冷却時
間で冷却 焼鈍処理により、高い成形性を有する鋼板を得るには、
完全再結晶組織を得る必要があり、そのために、焼鈍温
度は再結晶温度以上とする。焼鈍温度での保持時間は、
40sec以下とする。保持時間の下限は、完全に再結
晶が完了する条件であればとくに制限はない。40se
cを超える長時間の焼鈍を行うと耐食性が劣化する。ま
た、とくに耐食性が重要視される用途には、30sec
以下とするのが望ましい。なお、従来低炭素鋼を対象
に、時効性を低減させるために、適用されていた過時効
処理(300℃〜450℃の範囲で行う保温工程、固溶
C量を低減するために行う)は、本発明範囲の極低炭素
鋼では、耐食性にむしろ有害であり、過時効処理を行わ
ない方が高い耐食性を示す。しかし、300〜450℃
での保持時間が30sec以下であれば、耐食性の劣化
は許容できる範囲であり、必要であれば、過時効処理を
含むヒートサイクルで行ってもよい。焼鈍温度に保持
後、室温まで90sec未満で冷却する。室温までの冷
却時間が90secを超えると耐食性が劣化する。これ
らの機構については不明であるが、ある程度の高温に表
面が長時間保持されることによる極表面の状態変化に対
応しているものと思われる。本発明の範囲で、軟質鋼板
であれば、r値は1.6以上が期待できる。
【0022】2次冷間圧延圧下率:30%以下 2次冷間圧延は、焼鈍処理を施したのち、鋼板強度を増
加させる目的で行う。圧下率が30%を超えると、r値
が低下し、延性(伸び)も低下するため、30%を2次
冷間圧延圧下率の上限とした。なお、r値、伸びの点か
ら、20%以下が望ましい。本発明の範囲で、2次冷間
圧延を施す鋼板では、r値は、1.4以上が期待でき
る。
【0023】なお、本鋼板のめっきは通常のSnめっ
き、Crめっき、Niめっき、Ni−Snめっき等のい
ずれにも適用できる。また、これらめっき鋼板上にある
いは鋼板に直接に塗装またはフィルムラミネートを行う
用途にも適用可能である。
【0024】
【実施例】
(実施例1)表1に示す化学組成を有する鋼を、転炉で
溶製し、連続鋳造によりスラブとした。これらスラブを
1100℃〜1250℃に再加熱し、表2に示す熱間圧
延条件で、0.9〜2.8mm厚の熱延板(1050〜
750mm幅)とし、酸洗後、表2に示す冷間圧延条件
で冷延板とした。つぎに、表2に示す焼鈍温度で連続焼
鈍を行い、焼鈍後急冷処理を施した。なお、焼鈍の均熱
時間は20secとした。焼鈍後、2次冷間圧延を施
し、最終厚みは0.23〜0.22mm厚となった。こ
れら冷延鋼板の特性を調査した。引張特性は、圧延方向
に直角方向について、JIS5号試験片を用い測定し
た。耐食性の評価は、圧延のまま鋼板を、55℃のクエ
ン酸水溶液中に、4hr間浸漬する浸漬試験を行い、鉄
溶出量と腐食状態の測定を実施した。鉄溶出の量と腐食
状態について、通常の低炭素アルミキルド鋼板を3とす
る5段階評価とした。5が最も良好、1が不良とし、そ
の間を段階的に評価した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表2から、本発明範囲内であれば、極めて
r値の高い、深絞り成形性の優れた、しかも、耐食性に
も優れた缶用鋼板が得られことが明らかである。 (実施例2)表1に示す鋼Bのスラブを用い、1200
℃に再加熱し、表3に示す熱間圧延条件で熱延板(75
0mm幅)とし、酸洗後、表3に示す冷間圧延条件で冷
延板とし、ついで、表3に示す焼鈍温度で連続焼鈍を行
い、焼鈍後急冷処理を施した。なお、焼鈍の均熱時間を
表3に示すように変化し、焼鈍後、最終厚みが0.18
mm厚となるように圧下率を変化して、2次冷間圧延を
施した。さらに、これら鋼板に#25相当の錫めっきを
施した。これらめっき付鋼板から引張試験片を採取し、
引張特性およびr値を調査した。引張特性は、JIS1
3号試験片を用い、圧延方向よりr値は圧延方向、圧延
方向に直角な方向および圧延方向と45°方向について
測定した。その結果を表3に示す。r値は、各方向の平
均値{(r0 +r90+r45×2)/4}および平均値か
らのばらつき{(r0 +r90−r 45)/2}を求めた
(ただし、r0 :圧延方向、r90:圧延直角方向、
45:45°方向)。
【0028】また、各めっき付鋼板に塗装を施したの
ち、同鋼板表面にクロスカット疵を導入し、浸漬試験を
実施例1と同じ条件で行い、耐食性を評価した。耐食性
の評価は、実施例1と同様に、低炭素アルミキルド鋼を
基準材とし、腐食状況を5段階評価した。
【0029】
【表3】
【0030】表3から、本発明の範囲で製造した鋼板
は、いずれも高いr値を有し、r値のばらつき、Δrも
小さく異方性の少ない鋼板となっている。2次冷間圧延
の圧下率が高いNo.5の鋼板は、r値、Δrともにわ
ずかに劣化する傾向を示している。つぎに、各鋼板につ
いて、円筒深絞り試験を表4に示す成形条件で行い、表
5に示す試験結果を得た。各サンプルで15個実施し
た。問題となるような大きな耳の発生の有無について調
査した。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】表5から、本発明範囲であれば、割れ発生
はなく、イヤリング率も低く、また、問題となる大きな
耳の発生もなく、あっても軽度であり、成形性が優れて
いることがわかる。なお、軽度の不良が見られたのは、
本発明範囲でも2次冷間圧延の圧下率が高いNo.5の
鋼板である。 (実施例3)表1に示す鋼Aのスラブを用い、1200
℃に再加熱し、表6に示す熱間圧延条件および冷間圧延
条件で冷延板とし、ついで、表6に示す連続焼鈍条件で
0.20mm厚の冷延焼鈍板とした。これら冷延焼鈍板
について、引張特性および浸漬試験を実施例1と同じ条
件で行い、耐食性を評価した。耐食性の評価は、実施例
1と同様に、低炭素アルミキルド鋼を基準材とし、腐食
状況を5段階評価した。
【0034】
【表6】
【0035】表6から、連続焼鈍条件のうち、焼鈍時
間、室温までの冷却時間が本発明の範囲をはずれると、
耐食性が大きく劣化することがわかる。また、過時効処
理、450〜350℃の温度範囲での保持は本発明では
必要としないが、保持時間が30secまでは許容され
る。30secを超える過時効処理は、耐食性を劣化さ
せることが明らかである。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、十分な成形性を有しか
つ、従来鋼板と比べ高い耐食性を有する缶用鋼板が製造
できる。本発明の方法による鋼板は、従来の鋼板と比較
して強度とr値のバランスがすぐれており、また、面内
異方性も小さく、したがって、プレス成形時の成形可能
範囲が広く、プレス加工における不具合が発生する可能
性が少ないという大きな効果を有している。また、食缶
用として耐食性が優れていることは、内容物の保存とい
う点から極めて大きな利点となっている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒谷 昌利 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.0050%以下、 Si:0.010%以下、 Mn:0.60%以下、 P:0.010%以下、 S:0.010%以下、 N:0.0050%以下、 Al:0.150%以下、 を含み、かつ、 Mn+10S+20P≦0.65 を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
    スラブを、仕上圧延温度が(Ar3 +50℃)〜(Ar
    3 −70℃)の範囲で、巻取り温度が600℃以上75
    0℃未満の温度範囲となる熱間圧延を施し、さらに、冷
    間圧下率80〜98%の冷間圧延を施したのち、再結晶
    温度以上で40sec以下の保持を行ったのち室温まで
    90sec未満の冷却時間で冷却する焼鈍処理を施すこ
    とを特徴とする耐食性および成形性に優れた缶用鋼板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記スラブが、さらに、重量%で、 Nb:0.005〜0.020%、 Ti:0.005〜0.015%、 および、B:0.0001〜0.0010%、 のうちから選ばれた1種または2種以上を含有すること
    を特徴とする請求項1記載の耐食性および成形性に優れ
    た缶用鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼鈍処理ののち、30%以下の2次
    冷間圧延を施すことを特徴とする請求項1または2記載
    の耐食性および成形性に優れた缶用鋼板の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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