JP5884161B2 - 缶用鋼板用原板と缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、錫めっきや電解クロム酸処理などを施した缶用鋼板に関し、具体的には、箱焼鈍で製造する耐食性に優れた軟質の缶用鋼板用原板と缶用鋼板の製造方法に関するものである。
2ピース缶や3ピース缶等に用いられる缶用鋼板は、JIS G3303の「ぶりき及びぶりき原板」やJIS G3315の「ティンフリースチール」に規定されるように、その用途から要求される硬さに応じて、調質度がT−1〜DR−10に分類されている。ここで、調質度T−1〜T−5は、一回冷間圧延法で製造されるもので、それぞれの目標硬さはHR30Tで、T−1:49±5、T−2:53±5、T−3:57±5、T−4:61±5、T−5:65±5と規定されている。また、調質度DR−8〜DR−10は二回冷間圧延法で製造されるもので、それぞれの目標硬さはHR30Tで、DR−8:73±5、DR−9:76±5、DR−10:80±5と規定されている。
上記一回冷間圧延法で製造される調質度T−1〜T−3の鋼板は、一般に低炭素鋼を素材として箱焼鈍法(バッチ焼鈍)で、調質度T−4,T−5の鋼板は、同じく低炭素鋼を素材とし、連続焼鈍法で製造されるのが一般的である。また、近年の製鋼技術や連続焼鈍技術の進歩に伴い、極低素鋼を素材とし、連続焼鈍法で、調質圧延(スキンパス)における圧下率を調整することでT−1〜DR−10までの全てを作り分ける技術が開発され、かなりの部分がこの製造方法に切り替えられつつある(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、調質度T−1クラスの軟質材を、極低炭素鋼−連続焼鈍法で製造する場合、薄鋼板を高温の連続焼鈍炉内をヒートバックルや蛇行、破断を起こすことなく通板させる必要があり、高度な操業技術が求められる。さらに、近年では、鋼板板厚の薄肉化が進行し、T−1クラスの板厚は0.3mm以下が主流になりつつあり、これらの薄鋼板を、連続焼鈍法で安定して製造するのは難しい状況になってきている。
一方、調質度T−1クラスの軟質材を、従来の低炭素鋼−箱焼鈍法で製造しようとする場合、高温で長時間の焼鈍を施す必要がある。しかし、タイトコイルで高温長時間の焼鈍を施すと、コイルに巻いた鋼板同士が焼き付き(スティッキング)を起こしたり、SiやMn等の易酸化成分が鋼板表面に濃化して酸化皮膜を形成し、テンパーカラーを発生して外観を損ねたり、耐食性の低下を引き起こしたりする。そのため、従来、T−1クラスの製造には、オープンコイル焼鈍を用いて製造していた。しかし、近年の板厚低減によって、オープンコイル焼鈍を用いて製造することが、作業性や製造コストの面から難しくなってきている。
そこで、発明者らは、低炭素鋼を素材とし、タイトコイルの状態で箱焼鈍し、調質度T−1クラスの軟質材を製造するため、特許文献2に記載された、C:0.01〜0.12mass%、Mn:0.3〜1.5mass%の低C,低Mn鋼を素材とした製造方法を検討した。しかし、上記低C,低Mn鋼を素材に用い、箱焼鈍で高温焼鈍しても、T−1クラスの軟質材を安定して得ることは難しいことがわかった。
特開平05−287449号公報 特開2008−138234号公報
そこで、発明者らは、さらに軟質化を図るべく、Cを0.04mass%以下、Mnを0.30mass%未満に低減した成分系を用いて、調質度がT−1クラスの軟質材の製造を試みた。その結果、上記成分組成の素材を用いることで、オープンコイル焼鈍することなく、T−1クラスの軟質材を安定製造できることがわかった。
しかしながら、この素材原板に電気錫めっきを施して缶用鋼板(ぶりき)とすると、特に目付量が#75(8.4g/m)以上のぶりきを製造すると、厚目付量であるにも拘わらず、光沢不良が発生し易いという問題があることが明らかとなった。そして、この光沢不良部分は、耐食性にも劣っていることがわかった。したがって、T−1クラスの軟質材を箱焼鈍で製造するためには、この光沢不良の問題を解決することが必要である。
また、上記T−1クラスの軟質の缶用鋼板を安定して製造することができれば、その素材に付与する調質圧延の圧下率を変えることで、異なる硬さ(調質度)の鋼板を造り分けることができるので、1鋼種で多種の調質度の缶用鋼板を製造することも可能となる。
そこで、本発明の第1の目的は、調質度がT−1クラスで、耐食性に優れる軟質缶用鋼板用の原板と、その原板を用いた缶用鋼板を箱焼鈍で製造する方法を提案することにある。また、本発明の第2の目的は、上記T−1クラスの原板を元に、T−2クラス以上の缶用鋼板用の原板と、その原板を素材とした缶用鋼板を製造する方法を提案することにある。
発明者らは、上記錫めっき後に発生する光沢不良の原因を究明するべく、光沢不良が発生した鋼板の原板表面を調査した。その結果、上記光沢不良部分には、C(グラファイト)が多く析出していることが明らかとなった。そして、その防止方法についてさらに検討した結果、グラファイトの析出を抑制するには、炭化物形成元素を極微量添加してやることが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記知見に基づく本発明は、C:0.01mass%超え0.04mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.05mass%以上0.30mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.002〜0.100mass%、N:0.0010〜0.010mass%を含有し、さらに、Ti:0.002〜0.01mass%、Nb:0.002〜0.01mass%、V:0.002〜0.01mass%、Zr:0.002〜0.01mass%、Ta:0.002〜0.01mass%およびMo:0.004〜0.01mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、580℃以上A変態点以下の温度で箱焼鈍を施した後、圧下率が0.7〜1.9%の調質圧延を施して調質度T−1とすることを特徴とする缶用鋼板用原板の製造方法を提案する。
また、本発明は、C:0.01mass%超え0.04mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.05mass%以上0.30mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.002〜0.100mass%、N:0.0010〜0.010mass%を含有し、さらに、Ti:0.002〜0.01mass%、Nb:0.002〜0.01mass%、V:0.002〜0.01mass%、Zr:0.002〜0.01mass%、Ta:0.002〜0.01mass%およびMo:0.004〜0.01mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、580℃以上A 変態点以下の温度で箱焼鈍を施した後、圧下率1.0〜60%の調質圧延を施して調質度T−2以上とすることを特徴とする缶用鋼板用原板の製造方法を提案する。
また、本発明は、上記に記載の方法で得た缶用鋼板用原板に電気錫めっきまたは電解クロム酸処理を施すことを特徴とする調質度がT−1以上の缶用鋼板の製造方法を提案する。
本発明によれば、表面品質や耐食性に優れる調質度がT−1クラスの軟質缶用鋼板を、箱焼鈍で安定して製造することが可能となる。また、本発明によれば、耐食性に優れる調質度がT−1〜DR10までの缶用鋼板を、1鋼種から製造することが可能となるので産業上奏する効果は大である。
調質圧延圧下率と硬さHR30Tとの関係を示す図である。
発明者らは、C:0.04mass%以下、Mn:0.30mass%未満の低C,低Mn鋼を素材とし、箱焼鈍法で缶用鋼板を製造した場合に、特に#75(8.4g/m)以上の厚目付の錫めっき鋼板を製造したときに発生する光沢不良の原因について調査した。その結果、光沢不良部分の原板表面には、目視では確認できないものの、他の部分よりもC(グラファイト)が多く析出していることが確認された。これから、光沢不良の原因は、鋼板表面に析出したグラファイトによって、錫めっき後のリフロー処理で形成される金属錫層と鉄−錫合金層が不均一化して引き起こされているものと考えられた。また、低C,低Mn鋼においてグラファイトが析出し易い理由は、Mnを低減したことによって、箱焼鈍におけるMnの表面濃化が抑制された結果、グラファイトが鋼板表面に析出し易くなったためと考えられる。
そこで、発明者らは、上記グラファイトの析出を抑制する方法についてさらに検討を重ねた。その結果、鋼素材成分として、炭化物形成元素であるTi,Nb,V,Zr,Ta,CrおよびMoのうちから選ばれる1種または2種以上を必須の元素として添加することで、グラファイトの析出を抑制することに成功した。
以下、本発明の缶用鋼板用原板が有すべき成分組成について説明する。
C:0.01mass%超え0.04mass%以下
Cは、鋼の強度に最も大きな影響を与える元素であり、タイトコイルの箱焼鈍法で缶用鋼板として必要な強度を確保するためには0.01mass%超え含有させる必要がある。一方、C含有量が0.04mass%を超えると、箱焼鈍で調質度がT−1クラス(HR30T:49±3)の缶用鋼板を得ることが難しくなる。よって、Cは0.01mass%超え0.04mass%以下の範囲とする。好ましくは0.015〜0.035mass%の範囲である。
Si:0.10mass%以下
Siは、脱酸材として添加される元素である。しかし、Siは、鋼を固溶強化し硬さを高める元素であり、また、多量に添加すると、スケール性の表面欠陥を引き起こしたり、箱焼鈍した際に鋼板表面に濃化し、テンパーカラーを発生して外観を損ねたり、めっき性を害して耐食性を低下させたりする。よって、本発明では、Siは0.10mass%以下とする。好ましくは0.05mass%以下である。
Mn:0.05mass%以上0.30mass%未満
Mnは、Sによる熱間脆性を防止し、熱間加工性を改善する元素であり、0.05mass%以上の添加を必要とする。一方、Mnは、固溶強化能が大きく、また、結晶粒を微細化し、硬さを高める効果もあるため、軟質の缶用鋼板を得るためには低いほど好ましい。また、箱焼鈍した際に鋼板表面に濃化し、耐食性を低下させたりする。よって、本発明では0.05mass%以上0.30mass%未満に制限する。好ましくは0.10〜0.25mass%の範囲である。
P:0.04mass%以下
Pは、鋼中に不可避的に混入してくる不純物元素であり、また、固溶強化能が大きい元素であるため、できるだけ低減することが望ましい。よって、本発明では、Pは0.04mass%以下とする。好ましくは0.01mass%以下である。
S:0.01mass%以下
Sは、Pと同様、鋼中に不可避的に混入してくる不純物元素であり、鋼の熱間加工性を害したり、耐食性を低下させたりする有害元素でもある。よって、本発明では、Sは0.01mass%以下とする。好ましくは0.005mass%以下である。
Al:0.002〜0.100mass%
Alは、鋼の脱酸元素として添加される元素である。また、Alは、NとAlNを形成して、再結晶集合組織を改善したり、Nを固定し、時効性を改善したりする元素でもある。斯かる効果を得るためには、0.002mass%以上添加する必要がある。一方、Alは、0.100mass%を超えて過剰に添加すると、再結晶温度を高めたり、粒成長を阻害したりする。よって、本発明では、Alは0.002〜0.100mass%の範囲とする。好ましくは0.002〜0.05mass%の範囲である。
N:0.0010〜0.010mass%
Nは、AlとAlNを形成して、再結晶集合組織を改善する効果を有するため0.0010mass%以上含有させる。一方、0.010mass%を超えると、スラブ割れを引き起こしたり、AlNによる結晶粒の微細化効果によって鋼が高強度化し、T1クラスの軟質材を得ることが難しくなったりする。よって、Nは0.0010〜0.010mass%の範囲とする。好ましくは0.0010〜0.005mass%の範囲である。
本発明の缶用鋼板は、上記成分の他に、炭化物形成元素であるTi,Nb,V,Zr,Ta,CrおよびMoのうちから選ばれる1種または2種以上を、下記の範囲で含有させることが必要である。
Ti:0.002〜0.01mass%、Nb:0.002〜0.01mass%、V:0.002〜0.01mass%、Zr:0.002〜0.01mass%、Ta:0.002〜0.01mass%、Cr:0.05〜0.10mass%およびMo:0.004〜0.01mass%
これらの元素は、いずれもCと結合して炭化物を形成する元素であり、箱焼鈍時における鋼板表面へのグラファイトの析出を抑制する効果がある。この効果を得るためには、上記範囲の下限値以上の添加を必要とする。一方、上記範囲の上限値を超えて添加すると、鋼が硬質化して、箱焼鈍でT−1クラスの軟質缶用鋼板を得ることが難しくなる。よって、Ti,Nb,V,Zr,Ta,CrおよびMoは、それぞれ上記範囲で添加する。
本発明の缶用鋼板の鋼成分は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を害しない範囲内であれば、他の元素の含有を拒むものではない。
次に、本発明の缶用鋼板の製造方法について説明する。
本発明の缶用鋼板の製造方法は、上記成分組成を有する鋼素材(スラブ)を熱間圧延し、冷間圧延し、600℃以上A変態点以下の温度で箱焼鈍を施した後、適正な圧下率の調質圧延を施して所望の調質度を得る製造方法である。ここで、上記鋼素材の製造方法は、特に制限はないが、例えば、転炉や電気炉等で鋼を溶製し、取鍋処理や真空脱ガス処理等で上記成分組成を満たす鋼に成分調製した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法等で鋼素材(スラブ)とする方法が好ましい。
熱間圧延
続く熱間圧延は、上記鋼素材(スラブ)を1050〜1300℃の温度に再加熱した後、仕上圧延終了温度を850〜1000℃として行うことが好ましい。
上記スラブの加熱温度が1050℃未満では、変形抵抗が増大して熱間圧延するのが難しくなったり、後述する仕上圧延終了温度を確保することが難しくなったりするおそれがある。一方、スラブの加熱温度が1300℃を超えると、スケールロスが大きくなったり、表面疵が発生したりするようになるので好ましくない。
また、熱間圧延における仕上圧延終了温度が850℃未満となると、Ar変態点未満となる部分が発生し、材質不調や形状不良を引き起こすおそれがある。一方、仕上圧延終了温度が1000℃を超えると、スケール起因の表面欠陥が発生するようになるので好ましくない。
熱間圧延後のコイル巻取温度は450〜750℃の範囲とするのが好ましい。巻取温度が450℃未満では、鋼板形状が悪化するおそれがある。一方、750℃を超えると、鋼板表面に生成するスケールが厚くなり、酸洗性に悪影響を及ぼしたり、鋼板表層の結晶粒を粗大化させたりするので好ましくない。
上記熱間圧延後の鋼板は、その後、酸洗し、冷間圧延して所定板厚の冷延板とする。
上記冷間圧延における圧下率は、常法に準じて決定すればよく、特に制限はない。なお、本発明の缶用鋼板は、そのほとんどが最終板厚0.4mm以下のものであるが、後述する箱焼鈍後の調質圧延の圧下率を考慮して、冷間圧延後の板厚を決定する必要がある。
上記冷間圧延後の鋼板は、その後、580℃以上A変態点以下の温度で、箱焼鈍を施す必要がある。ここで、本発明で箱焼鈍を採用する理由は、連続焼鈍では、極低炭素鋼を素材としても、T−1クラスの軟質材を安定して製造することが難しいからである。
また、均熱温度を580℃以上A変態点以下とする理由は、580℃未満では再結晶が十分に進行せず、組織も不均一となって、T−1クラスの軟質材を得ることが難しくなる。一方、均熱温度がA変態点(約720℃)を超えると、セメンタイトが粗大化して延性の低下を招く他、鋼板表面へのC,Mn,Si等の成分濃化や析出が著しくなるので好ましくない。好ましくは、600〜700℃の範囲である。なお、鋼板同士の密着を防止する観点からは、均熱時間を12hr以内とするのが好ましい。
箱焼鈍した鋼板は、その後、形状矯正と要求される表面粗度を付与すると共に、目標とする調質度とするため、適正な圧下率で調質圧延を施す必要がある。
ここで、本発明の成分組成を有する鋼板は、調質圧延における圧下率と硬さ(調質度)との関係は、図1のような関係がある。したがって、例えば、T−1クラス(HR30T49±5)の軟質の缶用鋼板を製造する場合には、圧下率0.7〜1.9%の調質圧延を施すことが必要である。圧下率が0.7%未満では、十分な形状矯正や表面粗度を付与したり、降伏伸びを消失させたりすることが難しく、一方、1.9%を超えると、加工硬化を起こしてT−1クラスの硬さを確保することが難しくなる。
また、調質度T−2以上の鋼板を得るためには、要求される調質度に応じて、図1に従って調質圧延の圧下率を設定するのが好ましい。因みに、図1における、T−2以上の各調質度を得るための調質圧延における圧下率は、T−2:2〜4%、T−3:12〜14%、T−4:16〜18%、T−5:24〜26%、DR−8:27〜33%、DR−9:45〜55%、DR−10:54〜66%の範囲であるが、出鋼成分、熱延履歴、焼鈍温度履歴等を考慮し、適宜、微調整するのが好ましい。
上記のようにして得た缶用鋼板用の原板は、その後、電気めっきラインに通板してめっき処理を施して缶用鋼板とする。例えば、電気錫めっき処理を施して錫めっき鋼板(ぶりき)としたり、あるいは、電解クロム酸処理を施して金属クロムとクロム水和酸化物の2層からなるティンフリースチールとしたりすることができる。
なお、本発明は、箱焼鈍において鋼板表面に析出したグラファイトにより、光沢不良を起こし易い目付量が#75以上(8.4g/m以上)の厚目付の錫めっき鋼板に適用するのが効果的である。しかし、グラファイトの析出は、目視では評価できない耐食性にも大きな悪影響を及ぼすことから、表面光沢不良が顕在化していない薄目付の錫めっき鋼板やティンフリースチールにも好適に用いることができる。さらに、本発明は、錫めっき鋼板やティンフリースチール以外の缶用鋼板に用いてもよいことは勿論である。
表1に示した成分組成からなる鋼スラブを、表2に示した条件で熱間圧延し、冷間圧延し、箱焼鈍し、調質圧延してNo.1〜28の缶用鋼板用原板を製造し、硬さ(HR30T)を測定して調質度を判定した。
上記のようにして得た原板に対して、#75(8.4g/m)の錫めっきを施した後、めっき後の鋼板表面について、外観評価と耐食性の評価を下記の要領で行った。
<外観評価>
錫めっき後の鋼板表面を目視観察し、光沢不良の発生有無を調査し、少しでも光沢不良の発生が確認されたものは×、光沢不良が全く認められなかったものを○と評価した。
<耐食性評価>
錫めっき後の鋼板からサンプルを採取し、「ぶりきとティンフリー・スチール」(東洋鋼鈑(株)著、株式会社アグネ、1974年発行)に記載の方法に準じて鉄溶出試験(ISV試験)を行った。具体的には、サンプルの試験面を、硫酸(2.18N)、チオシアン酸アンモニウム(40g/l)、過酸化水素水(3%)を23:25:2の割合で混合した27±2℃に保持された試験液に2時間浸漬した後、上記試験液に過酸化水素水を加えて発色させ、分光光度計で波長485μmの吸光度を測定し、前もって作成した検量線から鉄溶出量(μg/3in)を求める方法である。その結果、鉄溶出量が10μg/3in未満を耐食性が良好(○)、10μg/3in以上を耐食性が不良(×)と評価した。
Figure 0005884161
Figure 0005884161
上記測定の結果を表2に併記した。表1および表2から、本発明に適合する条件では、錫めっき後の表面光沢および耐食性に優れる調質度がT−1クラスの缶用鋼板を安定して製造できることがわかる。
表1のNo.7に示したC:0.015mass%、Si:0.012mass%、Mn:0.15mass%、P:0.002mass%、S:0.004mass%、Al:0.002mass%、N:0.010mass%、O:0.0019mass%およびTi:0.002mass%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、表3に示した条件で熱間圧延し、冷間圧延し、箱焼鈍し、調質圧延における圧下率を変化させて調質度の異なる缶用鋼板用の原板を製造し、実施例1と同様にして、硬さ(HR30T)を測定し、調質度を判定した。
その後、上記のようにして得た調質度の異なる原板に対して、#75(8.4g/m)の錫めっきを施した後、めっき後の鋼板表面について、実施例1と同様にして外観評価と耐食性についての評価を行った。
上記の結果を表3に併記した。この結果から、本発明によれば、調質圧延における圧下率を適正範囲に制御すれば、調質度がT−1〜DR−10のすべての缶用鋼板を製造できることがわかる。
Figure 0005884161
本発明の技術は、缶用鋼板に限定されるものではなく、加工が厳しく、軟質な素材を必要とする他の用途、例えば、自動車用や家電製品用の鋼板にも適用することができる。

Claims (3)

  1. C:0.01mass%超え0.04mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.05mass%以上0.30mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.002〜0.100mass%、N:0.0010〜0.010mass%を含有し、さらに、Ti:0.002〜0.01mass%、Nb:0.002〜0.01mass%、V:0.002〜0.01mass%、Zr:0.002〜0.01mass%、Ta:0.002〜0.01mass%およびMo:0.004〜0.01mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、580℃以上A変態点以下の温度で箱焼鈍を施した後、圧下率が0.7〜1.9%の調質圧延を施して調質度T−1とすることを特徴とする缶用鋼板用原板の製造方法。
  2. C:0.01mass%超え0.04mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.05mass%以上0.30mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.002〜0.100mass%、N:0.0010〜0.010mass%を含有し、さらに、Ti:0.002〜0.01mass%、Nb:0.002〜0.01mass%、V:0.002〜0.01mass%、Zr:0.002〜0.01mass%、Ta:0.002〜0.01mass%およびMo:0.004〜0.01mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、580℃以上A変態点以下の温度で箱焼鈍を施した後、圧下率が1.0〜60%の調質圧延を施して調質度T−2以上とすることを特徴とする缶用鋼板用原板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法で得た缶用鋼板用原板に電気錫めっきまたは電解クロム酸処理を施すことを特徴とする調質度がT−1以上の缶用鋼板の製造方法。
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