JPH0578784A - 成形性の良好な高強度冷延鋼板 - Google Patents
成形性の良好な高強度冷延鋼板Info
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- JPH0578784A JPH0578784A JP23347191A JP23347191A JPH0578784A JP H0578784 A JPH0578784 A JP H0578784A JP 23347191 A JP23347191 A JP 23347191A JP 23347191 A JP23347191 A JP 23347191A JP H0578784 A JPH0578784 A JP H0578784A
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Abstract
提供する。 【構成】 Tiを添加した極低炭素鋼をベースに、固溶
体強化元素を添加して強度を上昇するにあたり、Mn、
Crを積極的に添加する。これにより、降伏強度の上昇
を抑制し強度を上昇できるので、面形状性が良好で耐デ
ント性に優れた高強度冷延鋼板が得られる。
Description
冷延鋼板に関するものであり、特に低歪域での高加工硬
化性(WH性)と高塗装焼付硬化性(BH性)を有する
Ti含有極低炭素高強度冷延鋼板に係るものである。
強度冷延鋼板とは、自動車、家庭電気製品、建物などに
プレス成形をして使用されるものである。そして、表面
処理をしない狭義の冷延鋼板と、防錆のためにたとえば
Znメッキや合金化Znメッキなどの表面処理を施した
冷延鋼板の両方を含む。本発明による鋼板は、成形後の
面形状性が良好でかつ優れた耐デント性を有する深絞り
用高強度冷延鋼板であるので、使用にあたっては板厚を
減少すること、すなわち軽量化が可能となり、地球環境
保全に寄与しうるものである。
のパネルなどに使用されるので、まず優れた加工性が要
求される。加工性には種々あるが、 a)成形品の面形状が良好であること、特に面歪がなく
形状がよく金型に凍結されること、 b)割れずに成形可能なこと、 c)表面にストレッチャーストレインが現れないこと、
が必須である。 そのためには、プレス成形時にYP−Elが0.2%以
下で低YPが好ましい。例えば、面歪の観点からは、降
伏強度(YP)が27kgf/mm2 以下である必要がある。
いま、引張強度(TS)が35〜50kgf/mm2 級の鋼板
を前提とすると、降伏比(YR=YP/TS)が0.5
5以下の低YRの材料が好ましい。成形の可否は、引張
特性値で言えば主に平均塑性歪値(以下平均r値とい
う)と全伸び(T.El)で決定され、平均r値が1.
5以上でT.Elが35%以上であれば、狙いとする部
品は成形可能である。一方、強度の観点から考えてみる
と、プレス成形して塗装焼付後の強度が高いほど好まし
い。なぜならば、製品の耐デント性が優れるからであ
る。ここで、耐デント性とは完成した自動車に石などが
当たる場合、鋼板に生じる永久的な窪み変形に対する抵
抗性を意味する。そのためには、まずプレス時によく加
工硬化し(高WH)、かつ塗装焼付時に高いBH性が付
与され、塗装焼付後の強度(YP+WH+BH)が高く
なることが必要である。すなわち、最終的な目的である
高強度鋼板の利用による板厚減少を可能とするために
は、WHが4kgf/mm2 以上でかつBHも2kgf/mm2 以
上、従ってWH+BHが6kgf/mm2 以上必要となる。し
かし、一般的にはBH量が5kgf/mm2 超となるとストレ
ッチャーストレインが発生するので、注意を要する。こ
こで、WH量とは2%引張変形時の変形応力からYPを
差し引いた量であり、一方BH量とは、2%予歪後17
0℃×20分の塗装焼付相当の熱処理をして再引張をし
た際の応力の増加量である。
鋼板の板厚の減少が可能になるには、強度と加工性に優
れ、かつ多くの条件を同時に満足する必要がある。
製が容易になった現在、良好な加工性を有する極低炭素
冷延鋼板の需要は、益々増加しつつある。特に、Tiや
Nbを単独又は複合添加した極低炭素冷延鋼板に関する
加工性向上の技術が多数発表されている。例えば特開昭
58−185752号公報には表面性状を改良したTi
添加深絞用冷延鋼板が開示され、また特開昭59−31
827号公報および特開昭59−38337号公報など
には、TiとNbを複合添加した極低炭素冷延鋼板であ
るが、きわめて良好な加工性を有し、塗装焼付硬化(B
H)性を兼備し、溶融亜鉛メッキ特性にも優れている事
を提示している。
るために、従来から多くの試みがなされてきた。特に、
35〜50kgf/mm2 の引張強度を有する鋼板にする場合
には、鋼中にP、Si、などを添加し、これらの固溶体
強化機構を利用して強度を増加してきた。例えば、特公
昭57−57945号公報はTi含有極低炭素鋼にPを
添加して50kgf/mm2 の引張強度を有する鋼板の製造例
を示し、また前記特開昭59−31827号公報におい
てもTiとNbを添加した極低炭素鋼に主にSiとPを
添加し、引張強度で45kgf/mm2 級までの高強度冷延鋼
板の製造方法を開示している。
次いでSiが多用されている。これは、PやSiは固溶
体強化能が非常に高く少量の添加で強度を上昇でき、か
つ延性や深絞り性がそれほど低下せず、添加コストもそ
れほど上昇しないと考えられてきたからである。しか
し、実際にはこれらの元素だけで強度の上昇を達成しよ
うとすると強度のみならず降伏強度も同時に著しく上昇
するため、面形状不良が発生し、自動車のパネルには使
用が制約される場合がある。また、溶融亜鉛メッキをす
る場合にはメッキ不良をSiが惹起したり、P、Siが
合金化速度を著しく低下させたりするので、生産性が低
下したりする問題がる。
利用することも知られている。特開昭63−19014
1号公報および特開昭64−62440号公報にはMn
をTi含有極低炭素鋼へ添加し、また、特公昭59−4
2742号公報や前記した特公昭57−57945号公
報においては、MnとCrをTi添加極低炭素鋼へ添加
する技術が開示されているが、(i)MnやCrの添加
は、主な添加元素であるPやSiの補助的な役割しかな
く、したがって、得られた冷延鋼板も強度のわりには降
伏強度が高く、かつ(ii)上記(i)以外の目的で、
たとえば(a)加工硬化率を向上させる、(b)BH性
を付与する、(c)2次加工性を向上させる、(d)溶
融亜鉛メッキのメッキ性を改善する、などの目的で積極
的に添加しているわけでもない。
は、Tiを添加した極低炭素鋼に1.5%以上3.5%
未満のMnを添加した焼付硬化性を有する良加工性冷延
鋼板および溶融亜鉛メッキ鋼板を開示している。多量の
Mnの添加により、Ar3 変態点の低下による熱間圧延
の操業安定性と金属組織の均一性を目的としている。ま
た、一層の延性の向上を目的にCrやVの0.2〜1.
0%までの添加も開示している。しかし、多量のMnや
Crの添加が機械的性質、特に強度と延性のバランスを
改善するという観点からの記述はない。さらに、2次加
工性、化成処理性、メッキ付着性の観点から、Siの添
加量を、0.03%以下としている。しかし、Siは有
効な固溶体強化元素でもあり、実際にはこれらの特性を
大きく阻害することなく0.03%超添加することも可
能である。
使用される鋼板には、プレスののちにスプリングバック
や面歪などが生じない良好な面形状性が厳しく要求され
る。ところで、面形状性は、降伏強度が低いほど好まし
いことはよく知られている。しかし、鋼板の高強度化
は、従来技術で述べたように一般に降伏強度の著しい上
昇を伴う。従って、降伏強度の上昇を極力抑制して、強
度の上昇を達成する必要がある。
耐デント特性が要求される。耐デント特性は、板厚が一
定の場合、プレス加工して塗装焼付したのちの変形応力
が高いほど良好となる。したがって、同じ降伏強度の鋼
板を考えた場合、低歪域での加工硬化能が高く、かつ塗
装焼付硬化能が高いほど、耐デント特性は向上すること
になる。
る望ましい高強度鋼板は、降伏強度はそれほど高くな
く、著しく加工硬化し、できれば塗装焼付硬化能を合わ
せ持つ鋼板である。勿論、平均r値(深絞り特性)や伸
び(張出特性)などの加工性にも優れる必要があり、さ
らに常温で実質的に非時効である必要がある。
であって、鋼中の成分を特定すること、すなわちTi含
有極低炭素鋼板にMnとCrを積極的に添加して、Si
やPを強度の許容する範囲で低下せしめ、これによって
引張強度が35〜50kgf/mm2 、降伏強度が17〜27
kgf/mm2 、低歪域での加工硬化能の指標であるWH量
(2%変形応力−降伏強度)が4kgf/mm2 以上であると
共に塗装焼付硬化能を有し、かつr平均値と伸びが良好
で、2次加工脆性の生じにくく、更に必要に応じて溶融
亜鉛メッキ特性も良好な高強度冷延鋼板を提供すること
を目的とするものである。
的を達成するために、鋭意研究を遂行し、以下に述べる
ような新知見を得た。すなわち、Tiを添加した極低炭
素鋼をベースに、代表的な固溶体強化元素であるP、S
i、Mn、Crを添加し、冷間圧延、焼鈍、調質圧延後
の引張特性、特に降伏強度と加工硬化現象を詳細に調査
した。その結果、従来から固溶体強化元素として多用さ
れているSi、Pは、(a)まず微量の添加で著しく降
伏強度を上昇させること、(b)その結果低歪域での加
工硬化率が著しく減少することが判明した。一方、従来
固溶体強化元素としてあまり用いられないMn、Crを
添加すると、(a)降伏強度は殆ど上昇せず、引張強度
が上昇する、(c)その結果、低歪域での加工硬化率が
むしろこれらの添加により増加するという、極めて重要
な新知見を得た。
果、(a)降伏強度はFe元素と添加したX元素との原
子半径の差で決定され、原子半径の差が大きいほど増加
する、(b)加工硬化率は転位のすべり挙動と深く関係
し、X元素の添加により積層欠陥エネルギーが低下する
と、転位の交差すべりが困難となる結果転位密度が上昇
し加工硬化率が増加する、という基本原理を構築した。
これによれば、Si、PはFeより著しく原子半径が小
さく、したがって原子半径差が大きくなるので降伏強度
が著しく上昇し、Mn、Crは原子半径がFeのそれと
極めて近いので殆ど降伏強度を変化させなかったものと
理解できる。一方、加工硬化率と関係する積層欠陥エネ
ルギーへの影響に関しては必ずしも明瞭でないが、初期
加工硬化後の転位構造の電子顕微鏡による詳しい観察結
果から、Si、Pは調査した添加量の範囲内で殆ど積層
欠陥エネルギーに影響を与えないが、Mn、Crはこれ
を低下させる傾向のあることが、初めて明らかとなっ
た。
と降伏強度は殆ど変化せず、加工硬化率が増加して引張
強度が上昇したものと考える。このような特徴的な挙動
は、上述した本発明の目的を達成するためには、従来の
Si、Pの添加より、Mn、Crの添加のほうが好まし
いことを意味する。したがって、本発明ではMn、Cr
の積極的な活用を従来技術の基本的な解決手段とする。
ただし、Mn、Crの添加だけでは、所望の強度が得ら
れない場合が発生したり、製造コストが上昇したりする
ので、PおよびSiとの併用添加する。
な添加によりBH性も向上するという新知見も得た。こ
れは、これらの元素がCと引力の相互作用を有するた
め、TiCやNbCと平衡するマトリックス中の固溶C
をより安定化するので、これらの溶解度積が大きくな
り、焼鈍中に再固溶して残存する固溶C量が増加したも
のと考える。したがって、Mn、Crの添加はBH性を
付与するための新しい手段としても活用できる。また、
BH性に寄与する固溶Cは、極低炭素鋼の欠点として知
られている2次加工脆化の防止手段として有効である。
元素として多用されているSi、Pの添加量を抑制し、
Mn、Crを活用する本発明鋼が、とくにゼンジマー方
式の連続溶融亜鉛メッキプロセスによる合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板の製造において、次のような長所を有する新
知見も得た。すなわち、Si、PはZnとFeの合金化
反応を抑制するため、これらの元素を多量に含む鋼板を
製造するときには、ラインスピードを減少させ生産性を
低下せざるをえなかった。また、Siの添加はメッキ密
着性を劣化し、プレス成形時に種々の問題を生じた。一
方、Mn、Crの添加は、本発明の範囲内において・こ
のような悪影響をもたらさず、むしろMnは改善するこ
とが判明した。
いて構築されたものであり、その要旨とするところは、
重量%で、 C :0.0005〜0.01%、 Si:0.03超
〜0.8%以下、Mn:0.9超〜3.0%、
Cr:0.01〜3.0%、P :0.04超〜0.1
2%、 S :0.0010〜0.015%、Al:
0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.
15%、N :0.0005〜0.006% を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成ると共
に、引張強度35〜50kgf/mm2 、降伏強度17〜27
kgf/mm2 を示し、かつ低歪域での高加工硬化性(WH
性)と高塗装焼付硬化性(BH性)を有することを特徴
とする成形性の良好な高強度冷延鋼板である。
限定する理由についてさらに説明する。Cは成品の材質
特性を決定する極めて重要な元素であり、0.0003
%未満になると粒界強度が低下し、2次加工脆性が発生
する。またBH性の改善もなく、かつ製造コストが著し
く増加するので、その下限を0.0003%とする。一
方、0.01%超になると強度は上昇するが、成形性が
著しく低下する。従って、その上限を0.01%とす
る。
知られており、その添加量は狙いとする強度レベルに応
じて変化するが、下限を0.03%超とする。一方、添
加量が0.8%超となると、降伏強度が上昇しすぎてプ
レス時に面歪が発生する。さらに化成処理性の低下、溶
融亜鉛メッキの密着性の低下、合金化反応の遅延による
生産性の低下などの問題が発生するので、その上限を
0.8%とする。
を増加させる有効な固溶体強化元素であり、かつ焼付硬
化能を付与したり、化成処理性や溶融亜鉛メッキ性を改
善する効果も有するので、本発明においては積極的に添
加する。この様な効果を現わすには0.9%以上、好ま
しくは1.0%以上の添加を必要とする。一方、3.0
%を超えると焼鈍後低温変態生成物が増加し、降伏強度
が著しく増加したり延性が低下したりする。さらに、平
均r値も低下するのでその上限を3.0%とする。
させず強度を増加させる有効な元素であり、かつ焼付硬
化能を付与するので、本発明では積極的に利用する。し
かし、その含有量が0.01%未満では効果が現れず、
上記効果を顕著に発揮させるためには1.0%超である
ことが好ましい。また、3%を超えると熱延板の酸洗性
が低下したり、製品板の化成処理性が劣化したりするの
で、その範囲を0.01〜3%とする。上記したMn及
びCrの諸特性を最も有効に付与するためには、Mn+
Cr含有量を1.0%以上にすることが好ましい。
として知られており、狙いとする強度レベルに応じてそ
の添加量を変化させることができる。すなわち、引張強
度を上昇させるためには、その添加量を適宜調整する
が、極低炭素鋼をベースに引張強度が35kgf/mm2 以上
の鋼板を製造するには通常0.04%超は必要である。
しかし、添加量が0.12%超となると、降伏強度が上
昇しすぎてプレス時に面形状不良を引き起こす。さら
に、連続溶融亜鉛メッキ時に合金化反応が極めて遅くな
り、生産性が低下する。また、2次加工脆化も発生す
る。したがって、上限値を、0.12%とする。
未満になると製造コストが上昇するので、これを下限値
とする。一方、0.015%超になるとMnSやTiS
などの硫化物が数多く析出し、加工性が劣化するので、
これを上限値とする。
%未満ではTiの添加歩留が低下する。一方、0.1%
超になるとコスト上昇を招く。
あるいは全部を固定することにより、極低炭素鋼の加工
性と非時効性を確保する役割を有する。Tiは、全量の
NをTiNとして固定するので、Ti*=Ti−3.4
Nとした時2≦Ti*/C≦20とすることが好まし
く、かつ0.005〜0.15%とする。Tiが0.0
05%未満ではその添加効果が現れず、一方、0.15
%超となると著しい合金コストの上昇を招くからであ
る。
05%未満にするには著しいコスト上昇を招く。一方、
余り多いと多量のTiやAlの添加が必要になったり、
加工性が劣化したりするので、0.0060%を上限値
とする。
様な成分で所望の特性を持つ高強度冷延鋼板とするに
は、以下の方法で製造することが好ましい。すなわち、
通常の方法で製造したスラブを熱延するに際し、その仕
上げ温度を、成品板の加工性を確保するという観点から
Ar3 −100℃以上とし、また、巻き取り温度を室温
から750℃とするのがよい。本発明はその成品材質が
熱延巻き取り温度の影響をあまり受けないという特徴を
有する。これは、NがTiNとして固定された極低炭素
鋼であるということに加え、MnやCrなどをかなり添
加しており熱延板の組織が著しく微細で均一化している
ことも一因と考えられる。巻き取り温度で750℃を上
限目標としたのは、コイル両端部での材質劣化に起因す
る歩留減少を防止する観点からである。
絞り性を確保する目的から、その圧下率は50%以上と
する。連続焼鈍あるいはライン内焼鈍方式の連続溶融Z
nメッキ設備の焼鈍温度は、700℃〜900℃とする
のがよく、焼鈍温度が700℃未満では、再結晶が不充
分であること、また、加工性やBH性は焼鈍温度の上昇
とともに向上するが、900℃超では高温すぎて板破断
や板の平坦度が悪化するからである。
5〜50kgf/mm2 、降伏強度が17〜27kgf/mm2 、低
歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変形応力
−降伏強度)が4kgf/mm2 以上で2kgf/mm2 以上のBH
性を有し、かつr平均値と伸びが良好で、2次加工脆性
の生じにくく、更に必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も
良好な高強度冷延鋼板が製造される。次に本発明を実施
例にて説明する。
ブ加熱温度1150℃、仕上げ温度910℃、巻き取り
温度650℃で熱間圧延し、4.0mm厚の鋼板とした。
酸洗後、80%の圧下率の冷間圧延を施し0.8mmの冷
延板とし、次いで均熱840℃で連続焼鈍をした。さら
に、0.5%の圧下率の調質圧延をし、JIS5号引張
試験片を採取し引張試験に供した。引張試験結果をまと
めて表2に示す。
は、圧延方向に2%の引張歪を付加した時の加工硬化量
であり、2%変形応力から降伏応力(YP)を差し引い
た量である。また、BH量は2%予歪材に170℃×2
0分の塗装焼付相当の熱処理を施してから再度引張試験
を行った場合の応力の上昇量(再引張試験時の下降伏応
力から2%変形応力を差し引いた値)である。また、2
次加工脆化遷移温度は、調質圧延した鋼板から直径50
mmのブランクを打ち抜き、ついで直径33mmのポンチで
カップ成形し、これに種々の温度で落重試験を施した場
合の延性−脆性遷移温度である。
来鋼の同レベルの引張試験を有する高強度鋼板と比較し
て降伏強度が低く面形状性が良好であり、WHとBH量
が高いので、たとえば自動車の外・内板パネルには好適
の材料である。すなわち、本発明鋼は従来鋼と比較し
て、同一強度でも降伏強度が低くプレス後の面形状が良
好となることが期待できる。
来鋼と比較して降伏強度が同一でも(WH+BH)量が
高いので耐デント特性(σd =YP+WH+BH)も同
時に改善される。さらに、表2に示すように本発明鋼は
従来鋼よりP、Siの添加量が少なく、MnやCrを多
量に添加しているのでBH量も高く、耐2次加工脆性に
も優れている。ここで、鋼2−5は、Ti<3.4Nと
なるため製品板を100℃で1時間人工時効すると降伏
点伸び(YP−El)が1.2%も生じた。これでは、
プレス時にストレッチャーストレインが発生する。
1、2−3に示す組成を有する鋼を溶製し、スラブ加熱
温度1150℃、仕上げ温度900℃、巻き取り温度5
00℃の条件で熱間圧延し、4.0mm厚の鋼板とした。
酸洗後、80%の圧下率の冷間圧延を施し0.8mmの冷
延板とし、次いで最高加熱温度820℃まで加熱してか
ら冷却し、460℃で慣用の溶融亜鉛メッキを行い(浴
中Al濃度は0.11%)、さらに加熱して520℃で
20秒間合金化処理後約10℃/秒で室温まで冷却し
た。得られた合金化亜鉛メッキ鋼板について機械的性
質、メッキ密着性、およびメッキ皮膜中のFe濃度を測
定した。これらの結果も表3にまとめて示す。
を行い、亜鉛皮膜の剥離状況を、曲げ加工部にセロテー
プを接着したのち、これをはがしてテープに付着した剥
離メッキ量から判定した。評価は、下記の5段階とし
た。 1…剥離大、2…剥離中、3…剥離小、4…剥離少量、
5…剥離全く無 また、メッキ層中のFe濃度は、X線回折によって求め
た。
鋼と比較して低YPで、かつWHとBH量が高く、耐デ
ント性と対応するσd も向上する。これは、実施例1で
も確認された点である。さらに、従来鋼と比較し本発明
鋼はメッキ密着性が良好であり、合金層中のFe濃度も
望ましい相と考えられているδ1 相のそれに相当する量
となっている。これは、本発明においてはメッキ密着性
を劣化させるSiや合金化反応を抑制するPやSiを極
力低減し、MnやCrを添加して強度を上昇させている
ためと考えられる。
により従来にないプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板
が得られる。また、本発明鋼は溶融亜鉛メッキ特性も良
好であり、防錆機能も発揮できる。その結果、本発明鋼
を自動車のボディやフレームなどに使用すると、板厚の
軽減すなわち車体の軽量化が可能となるので、最近話題
となっている地球環境の保全にも本発明は大きく寄与で
きる。
を示す図である。
次いでSiが多用されている。これは、PやSiは固溶
体強化能が非常に高く少量の添加で強度を上昇でき、か
つ延性や深絞り性がそれほど低下せず、添加コストもそ
れほど上昇しないと考えられてきたからである。しか
し、実際にはこれらの元素だけで強度の上昇を達成しよ
うとすると強度のみならず降伏強度も同時に著しく上昇
するため、面形状不良が発生し、自動車のパネルには使
用が制約される場合がある。また、溶融亜鉛メッキをす
る場合にはメッキ不良をSiが惹起したり、P、Siが
合金化速度を著しく低下させたりするので、生産性が低
下したりする問題がある。
であって、鋼中の成分を特定すること、すなわちTi含
有極低炭素鋼板にMnとCrを積極的に添加して、Si
やPを強度の許容する範囲で低下せしめ、これによって
引張強度が35〜50kgf/mm2 、降伏強度が17〜27
kgf/mm2 、低歪域での加工硬化能の指標であるWH量
(2%変形応力−降伏強度)が4kgf/mm2 以上であると
共に塗装焼付硬化能を有し、かつ平均r値と伸びが良好
で、2次加工脆性の生じにくく、更に必要に応じて溶融
亜鉛メッキ特性も良好な高強度冷延鋼板を提供すること
を目的とするものである。
限定する理由についてさらに説明する。Cは成品の材質
特性を決定する極めて重要な元素であり、0.0005
%未満になると粒界強度が低下し、2次加工脆性が発生
する。またBH性の改善もなく、かつ製造コストが著し
く増加するので、その下限を0.0005%とする。一
方、0.01%超になると強度は上昇するが、成形性が
著しく低下する。従って、その上限を0.01%とす
る。
5〜50kgf/mm2 、降伏強度が17〜27kgf/mm2 、低
歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変形応力
−降伏強度)が4kgf/mm2 以上で2kgf/mm2 以上のBH
性を有し、かつ平均r値と伸びが良好で、2次加工脆性
の生じにくく、更に必要に応じて溶融亜鉛メッキ特性も
良好な高強度冷延鋼板が製造される。次に本発明を実施
例にて説明する。
来鋼と比較して降伏強度が同一でも(WH+BH)量が
高いので耐デント特性(σd =YP+WH+BH)も同
時に改善される。さらに、表2に示すように本発明鋼は
従来鋼よりP、Siの添加量が少なく、MnやCrを多
量に添加しているのでBH量も高く、耐2次加工脆性に
も優れている。ここで、鋼2−4は、Ti<3.4Nと
なるため製品板を100℃で1時間人工時効すると降伏
点伸び(YP−El)が1.2%も生じた。これでは、
プレス時にストレッチャーストレインが発生する。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%として、 C :0.0005〜0.01%、 Si:0.03超〜0.8%以下、 Mn:0.9超〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 P :0.04〜0.12%、 S :0.0010〜0.015%、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.15%、 N :0.0005〜0.006% を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成ると共
に、引張強度35〜50kgf/mm2 、降伏強度17〜27
kgf/mm2 を示し、かつ低歪域での高加工硬化性(WH
性)と高塗装焼付硬化性(BH性)を有することを特徴
とする成形性の良好な高強度冷延鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3233471A JP3016636B2 (ja) | 1991-09-12 | 1991-09-12 | 成形性の良好な高強度冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
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