JP3861931B2 - 缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶用鋼板の製造方法に関し、とくに板厚が0.35mm以下の極薄缶用鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶は、構成によりツーピース缶とスリーピース缶に大別される。いずれの缶も、缶製造コストに占める素材コストの割合が高いため、1缶あたりの鋼板の使用量を減少させる要求は強い。鋼板使用量の減少は、周知のように、使用鋼板の板厚を減少するのが最も簡単であり、鋼板の薄肉化が強く望まれている。
【0003】
しかし、圧延仕上板厚を減少するといった単純な薄肉化では、延性の劣化を伴うか、加工性あるいは成形性の劣化に繋がり、実際の使用に耐えられない。したがって、従来にも増して、薄肉化されても高い成形性を有する缶用鋼板が望まれている。
また、鋼板コストの低減のために、従来、缶用鋼板の製造法の主流であった箱焼鈍に代わり、生産効率の高い連続焼鈍法が利用されるようになってきた。
【0004】
たとえば、低炭素アルミキルド鋼を素材として、連続焼鈍時の冷却を制御することにより、T3以下の軟質缶用鋼板を製造する、連続焼鈍法を適用した軟質缶用鋼板の製造方法が提案されている(川鉄技報、vol.14(1982)No.4、p62 )。しかしながら、この方法では、軟質化は達成できるが、鋼板の加工性、例えば、伸び・r値などを高くできないという問題が残されていた。
【0005】
鋼板の加工性を高める方法として、例えば、特開昭61-207520 号公報には、C含有量を著しく低減した極低炭素鋼を用いる製造方法が提案されている。この方法によれば、伸び・r値は著しく改善されるが、結晶粒径の粗大化が顕著となり、r値の面内異方性が増大するといった問題があった。
この問題を解決するため、例えば、特開平2-118026号公報には、Nbを微量添加した極低炭素鋼を用いた缶用鋼板の製造方法が提案されている。しかし、Nbを添加することにより、結晶粒が微細化され、耐肌あれ性は向上し、r値の面内異方性は少なくなったが、鋼板の再結晶終了温度が著しく上昇するため、低炭素鋼にくらべ、高温での焼鈍が必要となり、とくに板厚の薄い極薄鋼板の連続焼鈍では、安定した操業が困難となるという問題があった。
【0006】
また、特開平1-191748号公報には、コイル内材質均一性に優れたプレス成形用冷延鋼板の製造方法が提案されている。この方法は、Ti、あるいはTiとNbを含有した極低炭素鋼を用い、熱延後急冷と徐冷を組み合わせることにより、コイル内の材質を均一化するプレス成形用冷延鋼板の製造方法である。しかし、この方法では、コイル内のr値は均一になるが、r値そのものはそれほど高くならないのである。
【0007】
また、とくに、2ピース缶の分野では、使用鋼板の薄肉化が顕著に進み、従来問題とされなかった加工後の表面荒れ、たとえばオレンジピール、リジングといった欠陥の発生が問題とされるようになり、加工後の表面の美麗性のために、鋼板組織の均一微細化がさらに望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、0.35mm以下の極薄鋼板の材質、とくに成形性を従来の鋼板にくらべ格段に向上させ、さらに、加工後の表面の美麗性も合わせ向上させ、また、冷延後の焼鈍条件を緩和でき、より安定した高効率の操業を可能とする、成形性および加工後の表面美麗性に優れた缶用鋼板の製造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を有利に解決するために、Nbを含有した缶用鋼板について、再結晶終了温度および焼鈍後のr値に及ぼす析出Nb量の影響について、鋭意検討した。その結果、析出Nb量の添加したNb量に対する比、Nb析出率が50%以上の場合に、再結晶終了温度が低下し、しかも、r値が著しく向上することを知見した。
【0010】
まず、本発明の基礎になった実験結果について説明する。
C:0.0020%、Nb:0.015 %を含有する極低炭素鋼を素材として、熱延条件を変化し、析出Nb量の異なる熱延板とした。ついで、この熱延板を冷間圧延し、再結晶終了温度を調査した。その結果を図1に示す。
図1から、Nb析出率が50%以上で、再結晶終了温度が急激に低下することがわかる。
【0011】
つぎに、析出Nb量の異なる熱延板を、冷間圧延し0.18mmの冷延板としたのち、755 ℃で焼鈍して、冷延板のr値を測定した。その結果を、図2に示す。
図2から、Nb析出率が50%以上で、r値が著しく向上することがわかる。とくに、Nb析出率を75%以上とすることにより、r値が2.1 程度となる。
さらに、図1および図2中に併記したように、0.025 %を超えるNb量を含有する鋼では、上記した顕著な効果は期待できないことも新規に見いだした。
【0012】
本発明は、上記した知見をもとに、構成されたものである
【0013】
すなわち、本発明は、量%で、C:0.0005〜0.0150%、Si:0.10%以下、Mn:0.1 〜1.5 %、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.100 %以下、N:0.0050%以下、Nb:0.003 〜0.025 %を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、粗熱間圧延後、圧延仕上温度が850 〜1000℃の仕上熱間圧延を行い、熱延板として、該熱延板に、熱間仕上圧延終了から0.3sec以内に急冷し、50〜200 ℃の温度降下を与えたのち、少なくとも1sec以上の空冷を行い、ついで650 ℃以上の温度で巻き取り、熱延板中の Nb 析出量を添加 Nb 量の 50 %以上とし、その後、酸洗および冷間圧延を施し、再結晶温度以上800 ℃以下で連続焼鈍を行い、しかるのち圧下率1 〜20%の冷間圧延を行うことを特徴とする成形性および加工後の表面美麗性に優れた缶用鋼板の製造方法である。
【0014】
また、本発明では、前記粗熱間圧延後、先行するシートバーと後行するシートバーを接合し連続的に仕上圧延を行うのが好ましい。
また、本発明では、前記仕上熱間圧延を、最終スタンドを含む少なくとも1スタンド以上で摩擦係数が0.2 以下の潤滑圧延を施すのが好ましい。
また、本発明では、前記鋼素材を、量%で、C:0.0005〜0.0150%、Si:0.10%以下、Mn:0.1 〜1.5 %、P:0.02%以下、S:0.010 %以下、Al:0.100 %以下、N:0.0050%以下、Nb:0.003 〜0.025 %を含み、さらに、Ti:0.003 〜0.020 %、B:0.0005〜0.0020%の群およびCu:0.5 %以下、Ni:0.5 %以下、Cr:0.5 %以下、Mo:0.5 %以下、の群の少なくとも1群から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材としてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で用いる鋼の化学組成の限定理由について説明する。
C:0.0005〜0.0150%
Cは、成形性、延性に大きな影響を与える元素であり、Cが0.0150%を超えると延性が劣化し、冷間圧延性を低下させ、さらに、極薄鋼板の加工性を劣化させる。また、Cが0.0005%未満では、結晶粒が粗大化し、いわゆるオレンジピールに類似した肌荒れが発生しやすくなる。このため、Cは、0.0005〜0.0150%の範囲とした。なお、優れた延性と材質の安定性から、0.0015〜0.0040%の範囲が好ましい。
【0016】
Nb:0.003 〜0.025 %
Nbは、本発明における重要な元素であり、鋼板の組織を改善し、鋼板の材質を大きく向上させる。Nbは、鋼中の固溶C量を減少し、鋼板の組織を微細化し、これらにより、深絞り性に関係する鋼板のr値を著しく高くする効果を有している。また、Nbは、缶用鋼板で絞り成形時の耳発生を防止する観点から重要視されるr値の面内異方性(Δr)も小さくする効果を有している。
【0017】
また、Nbは、缶用鋼板において特徴的なフランジ成形時に要求される伸びフランジ成形性を改善し、また肌荒れを防止する効果も有している。このような効果を得るためには、0.003 %以上の添加が必要であるが、0.025 %を超えると、著しく硬化し、スラブでの割れ発生率が高くなり、また、熱間・冷間圧延性が劣化し、さらに、再結晶温度が上昇し、連続焼鈍の操業が困難となる。このようなことから、Nbの添加は、0.003 〜0.025 %の範囲とした。なお、材質上、0.005 〜 0.020%以下が好ましい。
【0018】
熱延板中のNb析出量を添加Nb量の50%以上とする。
熱延板中のNb析出量が添加Nb量の50%未満では、再結晶終了温度が低下せず、焼鈍温度が高温となり、さらに、冷延焼鈍後のr値が向上しない。このため、熱延板中のNb析出量を添加Nb量の50%以上とする。なお、材質上から75%以上とするのが好ましい。Nb析出量の制御は、熱延条件、熱延後の冷却条件等により行うのが好ましい。
【0019】
なお、Nb析出量は、非水溶媒系定電位電解抽出法により測定する。非水溶媒系定電位電解抽出法によるNb析出量の測定方法は、第104 ・105 回西山記念技術講座『マイクロアロイング技術の最近の動向』9.マイクロアロイング技術を支える微量および状態分析の現状と問題点、p.278 〜283 に記載された方法と同じとした。
【0020】
本発明では、C、Nbの含有量を上記した範囲とし、熱延板中のNb析出量を添加Nb量の50%以上とすることが重要であり、その他の元素はとくに限定しなくても優れた成形性および加工後の表面美麗性は達成できる。
しかし、成形性および加工後の表面美麗性以外の特性を、産業上利用可能な状態とするために、上記元素以外は、下記のような範囲とする。
【0021】
Si:0.10%以下
Siは、表面処理性、耐食性を劣化させるため、0.10%を上限とした。なお、優れた耐食性が要求される場合は、Siは0.02%以下とするのが好ましい。
Mn:0.1 〜1.5 %
Mnは、Sによる熱間割れを防止する有効な元素であり、含有するS量に応じ添加する。また、Mnは、結晶粒を微細化する効果も有しており、この効果を得るためには、0.1 %以上の添加が必要である。一方、1.5 %を超えると耐食性、冷間圧延性が劣化する。このようなことから、Mnは0.1 〜1.5 %の範囲とした。なお、耐食性および成形性の観点から、Mnは0.15〜0.60%の範囲が好ましい。
【0022】
P:0.02%以下
Pは、鋼を著しく硬化させ、フランジ加工性、ネック加工性を劣化させ、また、耐食性を著しく劣化させるため、できるだけ低減する。しかし、Pは0.02%以下とすれば、成形性、耐食性からも許容できる範囲となる。なお、耐食性の点からは、0.01%以下とするのが望ましい。
【0023】
S:0.01%以下
Sは、鋼中に介在物として存在し、鋼の延性を低下させる。また、Sは耐食性を劣化させる有害な元素でありできるだけ低減する。しかし、0.02%まで許容できるが、とくに良好な加工性が要求される用途の場合は、0.01%以下とするのが好ましい。
【0024】
Al:0.100 %以下
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させるために添加する。清浄度向上の目的からは、0.005 %以上の含有が望ましい。しかし、0.100 %を超える添加は、表面性状の悪化、製造コストの増大等の問題を生ずる。このため、Alは0.100 %以下とした。なお、材質の安定性の観点からは、0.008 〜0.060 %が好ましい。
【0025】
N:0.0050%以下
Nは、多量に含有すると、連続鋳造時のスラブ割れの発生や、鋼板の内部欠陥の発生率が増加するため、できるだけ低減する。しかし、0.0050%以下では、その影響は少ないため、Nは0.0050%以下とした。なお、製造工程全体を考慮した材質の安定性や歩留りの観点からは、0.0030%以下が好ましい。
【0026】
Ti:0.003 〜0.020 %、B:0.0005〜0.0020%の群およびCu:0.5 %以下、Ni:0.5 %以下、Cr:0.5 %以下、Mo:0.5 %以下の群の少なくとも1群から選ばれた1種または2種以上
本発明では、Ti、Bの群とCu、Ni、Cr、Moの群の少なくとも1群から選ばれた1種または2種以上を添加できる。
【0027】
Tiは、Nbと同様、鋼板組織の微細化、時効性の制御に効果を有しており、Nbの効果を補う目的で添加する。このような効果を得るためには、0.003 %以上の添加が必要であり、とくに伸びフランジ加工性の向上のためには、0.003 %以上の添加を必要とする。しかし、0.020 %を超えると表面欠陥の発生が著しくなるため、0.020 %を上限とした。なお、材質上の観点から、0.005 〜0.015 %の範囲が好ましい。
【0028】
Bは、鋼板組織の微細化と時効性の制御に効果を有している。この効果は、0.0005%以上の添加で認められるが、0.0020%を超えると、材質の面内異方性が増加する。このため、Bは0.0005〜0.0020%の範囲が好ましい。
Ti、Bは、単独あるいは複合添加いずれも適用できる。
Cu、Ni、Cr、Moは、鋼板の強度を高める必要がある場合に添加する。このためには、いずれの元素も、0.02%以上の添加が好ましいが、しかし、0.5 %を超えると、冷間圧延性が劣化するため、いずれの元素も0.5 %を上限とした。
【0029】
Cu、Ni、Cr、Moは、単独あるいは、複合添加いずれも好ましい。
つぎに、製造条件の限定理由について説明する。
上記組成の鋼は、転炉、電気炉等で溶製され、連続鋳造法あるいは造塊法により凝固され、鋼素材とする。とくに、偏析の観点からは、連続鋳造法により、製造するのが好ましい。連続鋳造法により、製造された鋼素材(スラブ)は、室温まで冷却されても、また冷却することなく直接加熱炉に装入されてもよい。
【0030】
鋼素材(スラブ)は、加熱炉に装入され、好ましくは、1000〜1250℃の温度範囲に加熱される。1000℃未満では、熱間圧延の仕上圧延温度が所定の温度範囲となりにくく、また1250℃を超えると結晶粒の粗大化が著しくなる。
加熱炉で、加熱された鋼素材(スラブ)は、粗および仕上熱間圧延により熱延板となる。
【0031】
仕上圧延温度:850 〜1000℃
均一で微細な熱延板組織を得るために、仕上熱間圧延の仕上圧延温度を850 ℃以上とする。これにより、最終製品の組織を均一な微細組織とすることができる。しかし、仕上圧延温度が1000℃を超えると、スケール起因の疵が多発し、鋼板表面の健全性が損なわれる。このため、仕上圧延温度は、850 〜1000℃の範囲とした。なお、仕上圧延温度は、材質の均一性の観点からは880 〜950 ℃の範囲が望ましい。金属組織学的調査および圧延荷重変化などの塑性加工学的調査から、この温度範囲では、本発明鋼の組織は、オーステナイト単相からフェライト相を10%以下程度含む、フェライト+オーステナイト相となっているものと推定される。
【0032】
熱延板を仕上圧延終了から0.3sec以内に急冷し、50〜200 ℃の温度降下を与える。
熱延板におけるNb析出量を添加Nb量の50%以上とするために、熱間圧延直後に、急冷処理を施す。急冷処理は、仕上圧延終了から0.3 sec 以内に行う必要がある。なお、圧延終了から0.1sec以内に冷却を開始するのがより好ましい。
【0033】
これにより、圧延加工により導入された加工歪を解放することなく、続いて生ずる析出の駆動力として利用できる。また、残留する圧延加工歪は、変態の駆動力としても利用でき、これにより、均一でかつ微細な組織が形成される。
冷却開始時間が、圧延終了から0.3secを超えると、加工歪の解放が著しくなり、期待する効果が得られない。
【0034】
また、圧延終了後に行う冷却は、導入された加工歪を解放しないために、50℃/sec 以上の冷却速度で冷却するのが望ましい。
圧延により導入された加工歪を残留させたまま、Nb析出を促進させるためには、少なくとも50℃以上の温度降下を生じさせることが重要である。しかし、200 ℃を超える温度降下を生じた場合には、その機構を不明であるが、析出の促進効果が失われる。このため、仕上圧延後の急冷処理による温度降下は50〜200 ℃の範囲とする。なお、さらに好ましくは75〜150 ℃の範囲である。
【0035】
ついで、少なくとも1sec以上の空冷を行う。
ここでいう空冷とは、冷却水を噴射することなくホットランテーブル上を通過させることをいう。1sec 未満の空冷では、熱延板巻き取り後に十分な量のNb析出を確保できないため、空冷時間は1sec 以上とすることが好ましい。空冷時間の上限はとくに規定しないが、ホットランテーブルの長さと通板速度の関係から必然的に決定される。
【0036】
ついで、熱延板を、650 ℃以上の温度で巻き取る。
熱延巻き取り温度は、析出物の粗大化を促進するために重要である。巻き取り温度が650 ℃未満では、析出物の粗大化が不十分で、再結晶温度が高く、伸び・r値が低下する。このため、熱延巻き取り温度は650 ℃以上とするのが好ましい。しかし、800 ℃を超えると脱スケール性が低下する。このため、熱延巻き取り温度は650 〜800 ℃の範囲が好ましい。
【0037】
その後、酸洗および冷間圧延を施す。
酸洗、冷間圧延の条件はとくに限定するものではないが、冷間圧延率は80〜95%とすると非常に良い成形性が得られる。
ついで、再結晶温度以上800 ℃以下で連続焼鈍を行う。
材料の延性を向上するために、再結晶温度以上での焼鈍が必要になる。しかし、800 ℃を超える焼鈍では、結晶粒の成長が顕著となり、成形後の肌あれが発生する危険性が高くなる。このため、焼鈍温度は再結晶温度〜800 ℃の範囲が好ましい。なお、再結晶温度〜780 ℃がさらに好ましい。
【0038】
また、とくに、0.35mm以下の極薄缶用鋼板では、生産性の向上の観点から、低温・短時間(20sec程度) の焼鈍が好ましく、760 ℃以下、好ましくは740 〜760 ℃で20sec 以下が望ましい。
ついで、圧下率1 〜20%の冷間圧延を行う。
焼鈍後の冷間圧延、すなわち、2次冷延は、鋼板の表面状態の調整と用途に応じた強度レベルに調整する目的で行う。2次冷延の圧下率が1%未満では、表面の変形が不均一となりやすく、加工後の製品表面の美麗性が低下する。また、2次冷延の圧下率が20%を超えると、延性の劣化が顕著になり、成形時に破断等を生ずる危険性が高くなる。このため、2次冷延の圧下率は1〜20%の範囲が好ましい。
【0039】
本発明では、前記粗熱間圧延後、先行するシートバーと後行するシートバーを接合し連続的に仕上圧延を行うのが好適である。
先行するシートバーと後行するシートバーとを接合し、仕上圧延をエンドレス圧延とすることにより、鋼帯の先端部と後端部でのNb析出が安定して高められる。これは、圧延時の歪速度が大きく変動することなく安定して圧延できるためと考えられる。また、エンドレス圧延とすることにより、圧延後の急冷処理を、鋼帯全長にわたり安定して容易に行うことができる。
【0040】
また、本発明では、前記仕上熱間圧延を、最終スタンドを含む少なくとも1スタンド以上で摩擦係数が0.2 以下の潤滑圧延を施すのが好ましい。
熱間仕上圧延時に摩擦係数が0.2 以下、好ましくは0.15以下の潤滑圧延を行うことにより、熱延鋼帯の先端部および後端部の最終的な材質変動をさらに軽減できる。潤滑圧延により、板厚方向の歪分布が均一化し、γ→α変態が均一に進行し、NbCが均一に析出するためと考えられる。熱延時の摩擦係数が0.2 を超える圧延では、板厚方向の歪分布が不均一となり、材質が不均一化する。摩擦係数が0.2 以下の潤滑圧延は、仕上熱間圧延の最終スタンドを含む1スタンド以上で適用することが材質の均一化から好ましい。
【0041】
本発明の方法で製造された鋼板は、缶用鋼板に適用されるいかなる表面処理、例えば、錫めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、ニッケル・クロムめっき等や、さらにこれらめっき処理を施したのちに、塗装あるいは有機樹脂フィルムを貼って製缶するような特殊な用途にも、何ら問題はなく適用可能である。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連鋳法で260 mm厚スラブとした。ついで、表2に示す条件の熱間圧延、圧延後急冷・空冷処理を施し熱延鋼帯として巻き取った。なお、粗圧延後全ての圧延で、先行するシートバーと後行するシートバーを接続し、エンドレス圧延を実施した。また、仕上熱間圧延では、摩擦係数が0.11〜0.15の潤滑圧延を全スタンドで適用した。
【0043】
これら熱延鋼帯を酸洗し、ついで表2に示す条件で冷間圧延を施した。なお、熱延鋼帯を5%塩酸溶液中で酸洗を行う際に、スケール残りが生じない最大のラインスピードを調査したが、仕上圧延後急冷処理を行った本発明例では、200 mpm で通板してもスケール残りは生じなかった。しかし、比較例では、150mpmを超えるラインスピードではスケール残りが発生した。
【0044】
【表1】
Figure 0003861931
【0045】
【表2】
Figure 0003861931
【0046】
これら冷延鋼帯から、再結晶挙動調査用試験片を採取し、焼鈍温度・時間を変化させた連続焼鈍をシミュレートする短時間焼鈍を行い、鋼板の再結晶挙動を調査した。再結晶終了温度は、通常行われているように、焼鈍後の鋼板のロックウェル硬さを測定し、硬さの温度に対する変化から判定した。各鋼の再結晶終了温度の測定結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003861931
【0048】
本発明範囲の本発明例は、比較例にくらべ、ほぼ20〜30℃低い再結晶温度を有している。これにより、連続焼鈍温度を低く設定することが可能になり、操業上有利となる。
ついで、これら冷延ずみ鋼帯を、連続焼鈍炉で、各鋼帯の再結晶温度以上の750 ℃で連続焼鈍した。その後、1.5 %の圧下率で2次冷間圧延(スキンパス圧延)を施し、降伏応力および伸び・r値を測定した。その結果を表3に示す。なお、r値は、圧延方向、圧延方向と直角方向および圧延方向と45度方向の平均値および各方向のばらつき(Δr)を求めた。
【0049】
表3から、本発明例No.1〜No.12 では、比較例No.13 〜No.15 にくらべ、伸び・r値いずれも高く、加工性が優れていることがわかる。
また、Nbを含有しない比較例No.15 では、最終製品としたのち加工が施されると、肌あれに似た外観不良を生じる場合があった。これに対し、本発明例では、肌あれ等の外観不良の発生は全く見られなかった。
【0050】
(実施例2)
表1に示すNo. A鋼の連鋳スラブを用い、表4に示す条件の熱間圧延および圧延後急冷・空冷処理を施し熱延鋼帯として巻き取った。なお、一部、粗圧延後シートバーを接合し、エンドレス圧延を実施した。また、仕上圧延を摩擦係数が0.20以下の潤滑圧延も一部適用した。
【0051】
これら熱延鋼帯を酸洗し、ついで冷間圧延を施し、0.22mm厚の冷延鋼帯とし、ついで、表5に示す、予め測定した再結晶終了温度以上の焼鈍温度で連続焼鈍を行い、表5に示す圧下率で2次冷間圧延(スキンパス圧延)を施したのち、鋼板の引張特性およびr値を測定した。なお、r値は、実施例1と同様に、各方向の平均値とばらつきの範囲(Δr)を求めた。その結果を表5に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003861931
【0053】
【表5】
Figure 0003861931
【0054】
また、これら鋼帯に、クロムめっき(目付量:115mg /m2(酸化Cr15、金属Cr100 ))を施し、さらに、PETフィルムを熱融着させたのち、絞り比2.00の円筒深絞り成形を行い、耳高さを測定した。その結果を表5に示す。
表5から、本発明例は、本発明の範囲を外れる比較例にくらべ、伸び・r値が高く、しかもΔrも小さく優れた成形性を有していることがわかる。また、また本発明例のなかでも、エンドレス圧延、潤滑圧延を適用した場合は、ほぼ等しいr値、Δrでも、耳高さが低くなっている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、板厚0.35mm以下の極薄鋼板の成形性が従来の鋼板にくらべ格段に向上し、さらに、加工後の表面の美麗性も合わせ向上する。また、冷延後の焼鈍条件を緩和でき、より安定した高効率の操業が可能となった。さらに、本発明によれば、熱延母板のスケール厚みが従来法とくらべ、1〜2μm 薄くなるうえ、さらに、スケール厚みの薄さ以上に熱延母板の酸洗時の脱スケール性が良好になり、約20%の酸洗時間の短縮が可能となるという従来にない効果を奏する。これは、スケール生成の極めて初期段階で急冷処理を行うことにより、地鉄とスケールとの密着強度が低減するという著しい効果があるものと推定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】再結晶終了温度におよぼすNb析出率の影響を示すグラフである。
【図2】r値におよぼすNb析出率の影響を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 量%で、
    C:0.0005〜0.0150%、
    Si:0.10%以下、
    Mn:0.1 〜1.5 %、
    P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:0.100 %以下、
    N:0.0050%以下、
    Nb:0.003 〜0.025 %を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、粗熱間圧延後、圧延仕上温度が850 〜1000℃の仕上熱間圧延を行い、熱延板として、該熱延板に、熱間仕上圧延終了から0.3sec以内に急冷し、50〜200 ℃の温度降下を与えたのち、少なくとも1sec以上の空冷を行い、ついで650 ℃以上の温度で巻き取り、熱延板中の Nb 析出量を添加 Nb 量の 50 %以上とし、その後、酸洗および冷間圧延を施し、再結晶温度以上800 ℃以下で連続焼鈍を行い、しかるのち圧下率1 〜20%の冷間圧延を行うことを特徴とする成形性および加工後の表面美麗性に優れた缶用鋼板の製造方法。
  2. 前記粗熱間圧延後、先行するシートバーと後行するシートバーを接合し連続的に仕上圧延を行うことを特徴とする請求項1記載の缶用鋼板の製造方法。
  3. 前記仕上熱間圧延を、最終スタンドを含む少なくとも1スタンド以上で摩擦係数が0.2 以下の潤滑圧延を施すことを特徴とする請求項1または2記載の缶用鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼素材が、量%で、
    C:0.0005〜0.0150%、
    Si:0.10%以下、
    Mn:0.1 〜1.5 %、
    P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:0.100 %以下、
    N:0.0050%以下、
    Nb:0.003 〜0.025 %
    を含み、さらに、
    Ti:0.003 〜0.020 %、
    B:0.0005〜0.0020%
    の群および
    Cu:0.5 %以下、
    Ni:0.5 %以下、
    Cr:0.5 %以下、
    Mo:0.5 %以下、
    の群の少なくとも1群から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材であることを特徴とする請求項1、2または3記載の缶用鋼板の製造方法。
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