JP2003321715A - 歪み時効硬化特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

歪み時効硬化特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法

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JP2003321715A JP2002126729A JP2002126729A JP2003321715A JP 2003321715 A JP2003321715 A JP 2003321715A JP 2002126729 A JP2002126729 A JP 2002126729A JP 2002126729 A JP2002126729 A JP 2002126729A JP 2003321715 A JP2003321715 A JP 2003321715A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】引張強さが590MPa未満の比較的低強度の鋼板に
おいて、歪み時効による降伏強さおよび引張強さを著し
く上昇させて、例えば自動車の構造部品として優れた疲
労特性並びに耐衝突安全性を発揮することが可能な、溶
融亜鉛めっき熱延鋼板を製造する。 【解決手段】C:0.01 〜0.2mass %、Si :0.4mass %
以下、Mn :0.2 〜2.0mass %、P:0.05mass %以下、
Al :0.001 〜0.1mass %およびN:0.005 〜0.02mass
%を含有し、残部はFe および不可避的不純物の成分組
成を有する鋼素材に、熱間圧延を施して得た、フェライ
ト相を主相とするとともにフェライト相の平均粒径が8
μm以下である組織を有し、かつ固溶Nの含有量が50pp
m 以上である熱延鋼板を、650 ℃以上900 ℃以下の温度
域に加熱した後、少なくとも当該加熱温度から650 ℃ま
での温度域は平均冷却速度:5〜50 ℃/s にて冷却
し、引き続き鋼板表面にめっき層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車の構造部
品、足周り部品などの使途に好適な、加工後の焼付け塗
装処理を経て降伏強さおよび引張強さが上昇し、疲労特
性並びに耐衝突安全性が向上するとともに防錆性に優れ
る、引張強さが590MPa 未満の溶融亜鉛めっき熱延鋼板
を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の乗員の安全確保の目的か
ら、耐衝突安全性に優れた自動車車体の開発が行なわれ
ていて、そのため自動車用鋼板の一層の高強度化が進め
られている。また、CO2 排出に関わる環境問題の観点か
ら、燃費向上のために車体を軽量化する必要があり、鋼
板の薄肉化が望まれている。
【0003】ところで、鋼板の高強度化はプレス成形を
困難にするという問題点がある。とくに、寸法精度は鋼
板の強度に強く依存し、中でも引張強さが590MPa 以上
の強度レベルにおいては寸法精度の達成が著しく困難に
なるため、引張強さが590MPa 未満で薄肉化を達成でき
るような鋼板が望まれている。
【0004】ここに、成形性と車体強度を両立する高強
度化技術としては、成形時には加工がし易く、塗装時の
焼付によって強度を増加させる、いわゆる歪み時効硬化
を利用した技術が知られている。例えば、特開平10 −31
0824 号および特開平10 −310847 号各公報には、C :
0.01 〜0.08mass %、Si :0.005 〜1.0mass %、Mn:
0.01 〜3.0mass %、Al :0.001 〜0.1mass %、N:0.0
002 〜0.01mass %を含み、さらにW、Cr 、Mo の1種
または2種以上を合計0.05 〜3.0mass %含有し、組織
がフェライトあるいはフェライトを主体とする、成形後
強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板
およびその製造方法が開示されている。
【0005】しかしながら、当該技術においては、塗装
焼付け処理を従来(170 ℃程度)よりも高い200 〜450
℃という温度で行う必要があり、従来プロセスとは適合
せず、高温化により経済的に不利になったり、新たにプ
ロセスを追加しなければならないなどの問題があった。
【0006】また、特開2001-247946 号公報には、C :
0.005 〜0.15mass %、Mn :0.3〜3.0mass %、Mo :0.
005 〜0.02mass %、Al :0.005 〜0.02mass %、N:
0.005 〜0.02mass %を含みかつN /Al :0.3 以上であ
り、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する歪
み時効硬化特性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およ
びその製造方法が開示されている。しかしながら当該技
術においては、Mo ,Cr ,Ni などの高価な元素を用い
るためコスト的な問題があった。
【0007】さらに、特開2001 −303180 号公報には、
C :0.20mass %以下、Si :2.0mass %以下、Mn :3.0
mass %以下、P :0.08mass %以下、S :0.02mass %
以下、Al :0.02mass %以下、N :0.0050 〜0.0250mas
s %、Nb :0.005 〜0.50mass %を含み、かつN /Al
が0.3 以上であり、平均結晶粒径10 μm 以下のフェラ
イト相を面積率で50 %以上含む組織を有する、降伏比
0.7 以上でかつ引張強さ440MPa 以上を有する、高降伏
比型高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法が開
示されている。
【0008】当該技術によって、確かに歪時効特性並び
に引張特性に優れる溶融亜鉛めっき鋼板が得られるが、
その特性を安定して得ることが工業的規模の生産にとっ
て不可欠であり、その点の検討が十分になされていなか
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解決するものであり、引張強さが590MPa 未満の比
較的低強度の鋼板において、歪み時効による降伏強さお
よび引張強さを著しく上昇させて、例えば自動車の構造
部品として優れた疲労特性並びに耐衝突安全性を発揮す
ることが可能な、溶融亜鉛めっき熱延鋼板を製造するた
めの方途について提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の目的
を達成するために、めっき処理工程における熱処理につ
いて鋭意検討したところ、該熱処理において特定温度以
上での保持時間を、鋼板の成分や製法により定まる適正
範囲内に制御することにより、所期した特性が達成され
ることを見出した。この発明は、上記知見に立脚するも
のであり、その要旨構成は以下の通りである。
【0011】(A)C:0.01 〜0.2mass %、Si :0.4m
ass %以下、Mn :0.2 〜2.0mass %、P:0.05mass %
以下、Al :0.001 〜0.1mass %およびN:0.005 〜0.0
2mass %を含有し、残部はFe および不可避的不純物の
成分組成を有する鋼素材に、熱間圧延を施して得た、フ
ェライト相を主相とするとともにフェライト相の平均粒
径が8μm以下である組織を有し、かつ固溶Nの含有量
が50ppm 以上である熱延鋼板を、650 ℃以上900 ℃以下
の温度域に加熱した後、少なくとも当該加熱温度から65
0 ℃までの温度域は平均冷却速度:5〜50 ℃/s にて
冷却する、加熱−冷却処理を施し、引き続き鋼板表面に
めっき層を形成する、めっき処理を施すことを基本工程
とし、さらに下記式(1)にて示されるNs1 がNs1 <0.
005 の場合には、650 ℃以上の温度域における上記加熱
−冷却処理の時間を下記式(2)にて示されるtg1 秒以
内に規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる溶
融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Ns1 =[N]−(14 /27) [Al ]・・・・・・・・・(1) Log (tg1 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tO ・・・(2) ここで、Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0 =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] [N ], [Al ]はN,Al 元素の含有量(mass %)
【0012】(B)上記(A)に記載の基本工程に、そ
の加熱−冷却処理を施すに先立ち、該加熱−冷却処理に
おける加熱温度以上に加熱した後酸洗する前処理を追加
した、一連の工程を基本とし、さらに下記式(1) にて示
されるNs1 <0.005 の場合には、650 ℃以上の温度域に
おける上記前処理時間を下記式(3)にて示されるtc秒
以内に規制し、かつ650 ℃以上の温度域における上記加
熱−冷却処理の時間を下記式(4)にて示されるtg2 秒
以内に規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる
溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Ns1 =[N ]−(14 /27 )[Al ] ・・・・・・・・(1) Log (tc )=0.000075 ×(Tc −800 )2 +tOc ・・・( 3) ここで、 Tc :前処理における加熱温度( ℃) tOc =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N]−0.005 )/[N ] Log (tg2 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tOg ・・・・( 4) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0g : Log (tc )<0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85 Log(tc) ≧0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85-{Log (tc )-0.000075 ×(Tc −
800 )2} 但し、 Pr1 =([N]−0.005 )/[N ] [N], [Al ]はN,Al 元素の含有量(mass %)
【0013】(C)熱延鋼板は、鋼素材を1000 〜1300
℃の温度域で加熱し、粗圧延、次いで仕上圧延を施した
後、0.5 s以内に20 ℃/s以上の冷却速度で冷却し、N
s1≧0.005 の場合には650 ℃以下で巻き取り、Ns1 <0.
005 の場合には550 ℃以下で巻き取ることにより製造し
たものである上記(A)または(B)に記載の歪み時効
特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
【0014】(D)C:0.01 〜0.2mass %、Si :0.4m
ass %以下、Mn :0.2 〜2.0mass %、P:0.05mass %
以下、Al :0.001 〜0.1mass %およびN:0.005 〜0.0
2mass %を含有し、さらにTi :0.001 〜0.1mass %お
よびNb :0.001 〜0.1mass %のいずれか1種または2
種を、[N ]≧(14 /93 )[Nb ]+(14/48) [Ti ]+
0.005 の下に含有し、残部はFe および不可避的不純物の
成分組成を有する鋼素材に、熱間圧延を施して得た、フ
ェライト相を主相とするとともにフェライト相の平均粒
径が8μm以下である組織を有し、かつ固溶Nの含有量
が50ppm 以上である熱延鋼板を、650 ℃以上900 ℃以下
の温度域に加熱した後、少なくとも当該加熱温度から65
0 ℃までの温度域は平均冷却速度:5〜50 ℃/s にて
冷却する、加熱−冷却処理を施し、引き続き鋼板表面に
めっき層を形成する、めっき処理を施すことを基本と
し、さらに下記式(5)にて示されるNs2 がNs2 <0.00
5 の場合には、650 ℃以上の温度域における上記加熱−
冷却処理の時間を下記式(2)にて示されるtg1 秒以内
に規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる溶融
亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Ns2 =[N]−(14/27)[Al]−(14/93)[Nb]−(14/48)[Ti]・・・(5) Log (tg1)=0.000075×(Tg−800)2+tO ・・・・・(2) ここで、 Tg :加熱温度(℃) t0=2.0 ×Pr2+0.85 但し、 Pr2={[ N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[ N]
−(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} [N],[Al ],[Nb ]および[Ti ]は、それぞれ
N,Al ,Nb およびTiの含有量(mass %)
【0015】(E)上記(D)に記載の基本工程に、そ
の加熱−冷却処理を施すに先立ち、該加熱−冷却処理に
おける加熱温度以上に加熱した後酸洗する前処理を追加
した、一連の工程を基本とし、さらに下記式(5) にて示
されるNs2 <0.005 の場合には、650 ℃以上の温度域に
おける上記前処理時間を下記式(3)にて示されるtc秒
以内に規制し、かつ650 ℃以上の温度域における上記加
熱−冷却処理の時間を下記式(4)にて示されるtg2 秒
以内に規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる
溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Log (tc )=0.000075 ×(Tc −800 )2 +tOc ・・・・( 3) ここで、 Tc :前処理における加熱温度( ℃) tOc =2.0 ×Pr2 +0.85 但し、 Pr2={[ N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[ N]
−(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} Log (tg2 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tOg ・・・・( 4) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0g : Log (tc )<0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr2+0.85 Log(tc) ≧0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr2+0.85-{Log (tc )-0.000075 ×(Tc −
800 )2} 但し、 Pr2={[ N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[ N]
−(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} [N],[Al ],[Nb ]および[Ti ]は、それぞれ
N,Al ,Nb およびTiの含有量(mass %)
【0016】(F)熱延鋼板は、鋼素材を1000 〜1300
℃の温度域で加熱し、粗圧延、次いで仕上圧延を施した
後、0.5 s以内に20 ℃/s以上の冷却速度で冷却し、N
s2≧0.005 の場合には650 ℃以下で巻き取り、Ns2 <0.
005 の場合には550 ℃以下で巻き取ることにより製造し
たものである上記(D)または(E)に記載の歪み時効
特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
【0017】(G)めっき層の形成後に、さらに加熱合
金化処理を施すことを特徴とする上記(A)ないし
(F)のいずれかに記載の歪み時効特性に優れる溶融亜
鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を導くに到った
実験結果について、詳しく述べる。すなわち、C:0.08
mass %、Si :0.2mass %、Mn :1.4mass %、P:0.0
15mass %、S:0.0020mass %およびAl :0.015mass
%を含む成分系に、Nを0.0050 〜0.0190mass %の範囲
で変化させて含有し、残部鉄および不可避的不純物とす
る組成を有する、種々の鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造
法にて鋳片とした。これらを1180 ℃にて加熱し、粗圧
延、仕上げ圧延を施し、その0.3 s後から冷却速度50
℃/sの水冷却を施し、500 ℃で巻取りを行って熱延鋼
板とした。これら熱延板を酸洗した後、めっき処理工程
である溶融亜鉛めっきラインにて5 ℃/sの速度で昇温
し、750 ℃の加熱処理を保持時間0〜210 秒間の範囲で
実施し、冷却速度10 ℃/s で500 ℃まで冷却し、溶融亜
鉛めっき浴に鋼板を浸漬して、下記条件でのめっき処理
を施したのち、520 ℃で25 秒の合金化処理を施した。 記 板温度:475℃ めっき浴:0.13mass %Al- 残部Zn 浴温:475 ℃ 浸漬時間:3s 目付け量( 片面あたり) :45g /m
【0019】かくして得られためっき鋼板は、JIS 13
号B引張試験片に加工し機械的性質を調査した。また、
同めっき鋼板について5%の引張予歪みを加えたのち、
一旦除荷し、170 ℃×20min の熱処理を施してから、再
度引張試験を行って、その機械的性質を調査した。そし
て、ここで得られた引張強さから、前述のめっき処理ま
まのめっき鋼板の引張強さ( すなわち歪み時効処理前の
めっき鋼板の引張強さ) を引くことにより、歪み時効処
理による引張強さの上昇量(以下、ΔTS と示す)を求
めた。このΔTS が60Mpa 以上の場合を○、それ未満の場
合を×として、含有N 量と加熱処理の保持時間との関係
を図1に示す。なお、得られためっき鋼板におけるフェ
ライト相の平均粒径はいずれも8μm以下であった。
【0020】この図から分かるように、含有N量が0.01
3mass %以上の領域ではいかなる条件についても良好な
歪み時効特性を示した。また、含有N量が0.013mass %
未満の領域であっても、良好な歪み時効特性を示す領域
が存在することも判明した。
【0021】さらに、上記の鋼のうちN含有量が0.013m
ass %である鋼を用いて、加熱温度を750 ℃、加熱温度
での保持時間を30 秒間とし、冷却速度を2〜20 ℃/s
と変化させた、上記と同一の工程により、めっき鋼板を
製造した。めっき鋼板については、上記と同一の方法に
より△TS を求めた。このときの△TS と冷却速度との関
係を調査した結果を、図2 に示す。同図に示すように、
含有N量が0.013mass %以上の領域でも、冷却速度が5
℃/s を下回った場合には所望の歪み時効硬化特性を得
ることができないことがわかる。
【0022】次に、化学組成が、C:0.08mass %、Si
:0.2mass %、Mn :1.4mass %、P:0.015mass %、
S:0.0020mass %、Al :0.015mass %およびN:0.00
80mass %を含み、残部鉄および不可避的不純物になる
鋼Aと、C:0.1mass %、Mn:0.6mass %、P:0.018m
ass %、S:0.002mass %、Al :0.022mass %、N:
0.0125mass %、Nb :0.015mass %およびTi :0.01mas
s %を含み、残部鉄および不可避的不純物になる鋼B
と、N:0.0180mass %に変更した以外は上記鋼Aと同
じ成分組成の鋼Cを、それぞれ転炉にて溶製し、連続鋳
造法にて鋳片とした。これらを1180 ℃にて加熱し、粗圧
延そして仕上圧延を施した後、0.3 s後から冷却速度50
℃/sの水冷却を施し、500 ℃で巻取りを行って熱延
鋼板とした。また、鋼Aについては、仕上圧延完了後1.5
s後から冷却速度10 ℃/s の水冷却とした熱延鋼板も
作製した。 これら熱延板に酸洗を施した後に、溶融亜
鉛めっきラインにて5 ℃/s の温度で昇温し、625 〜925
℃の範囲で温度を変化させた加熱処理を80 秒間実施
し、冷却速度15 ℃/s で500 ℃まで冷却し、溶融亜鉛め
っき浴に鋼板を浸漬して下記条件でのめっき処理を施し
たのち、520 ℃で25秒の合金化処理を施した。 記 板温度:475 ℃ めっき浴:0.13mass %Al- 残部Zn 浴温:475 ℃ 浸漬時間:3s 目付け量(片面あたり):45g /m
【0023】かくして得られためっき鋼板について、上
述と同一の方法により△TS を求めた。なお、得られため
っき鋼板のうち、仕上圧延完了の0.3 s後から速度50
℃/sの水冷却を施したもののフェライト相の平均結晶
粒径は、いずれも8μm以下であり、仕上圧延完了の1.
5 s後から速度10 ℃/sの水冷却を施したもののフェ
ライト相の平均結晶粒径は、8μmをこえていた。その
結果を、図3に示す。この図から分かるように△TS は80
0 ℃を極小とするような温度依存性を示し、平均結晶粒
径8μm以下の場合、鋼AおよびBにおいては、高温
側、低温側で良好な歪み時効硬化特性を示し、鋼Cにお
いてはいずれの温度においても良好な歪み時効硬化特性
を示した。また、このような温度依存性は650 ℃以上の
温度域にて認められた。さらに、平均結晶粒径が8μm
をこえる鋼Aにおいては、いずれの温度においても良好
な歪み時効硬化特性は得られなかった。
【0024】発明者らは、上記の図3の結果から、650
℃以上の温度域での保持時間が歪み時効硬化特性に影響
すると考えた。そこで、上記した鋼AおよびBを用い
て、加熱温度を675 〜925 ℃として加熱保持時間を種々
変化させた、同一の工程を経てめっき鋼板を製造し、こ
れら鋼板について、上記と同一の手順により△TS を求
めた。この結果と650 ℃以上の温度域にて処理を施して
いる時間、すなわち650 ℃以上の温度域での保持時間と
の関係を図4に示す。この図からわかるように、650 ℃
以上の温度域での保持時間がある閾値を超えると、歪み
時効硬化特性は低下し、その閾値は加熱温度800 ℃のと
きに最も短く、それより加熱温度が高くなるほど、また
は低くなるほど閾値は長時間側となった。
【0025】さらに、上記と同一手順にて測定した△TS
が60MPa 以上の場合を○、それ未満の場合を×とし
て、加熱温度と650 ℃以上の温度域での保持時間との関
係を、図5に示す。同図からわかるように、加熱温度が8
00 ℃の前後50 ℃あるいは75℃の範囲においては、適正
な保持時間は短く、それより加熱温度が高くなるほど、
または低くなるほど適性な保持時間は長時間となった。
また、このときの○および×の閾値は温度と650 ℃以上
の温度域での保持時間の対数との間で放物線状に存在し
ていることも分かった。
【0026】以上の如く、化学組成、加熱温度、圧下率
および650 ℃以上の温度域での保持時間などを適正に操
作により、△TS が向上することが新たに判明した。しか
し、これらの条件を適正に制御してもまだ、製品品質が
ばらつくことがあり、とりわけ工業的規模の生産を前提
とした場合、更なる改善の余地が残されていた。
【0027】そこで、発明者らは、上記の実験事実につ
いて詳細に再調査したところ、含有N 量からAl の全含
有分が析出物を形成するのに必要なN 量を差し引いた値
である、Ns1 、あるいはさらにNb およびTi を含有する
場合は、含有Al 分のN 量に加えてNb およびTi の全含
有分が析出物を形成するのに必要なN 量をを差し引いた
値であるNs2 、すなわち下記式(1) または(5) Ns1 =[N ]−(14 /27 )[Al ] ・・・・・・・・・・・・・(1) Ns2 =[N ]−(14/27 )[Al]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti] ・・・(5) が0.005 以上の場合には、冷却速度を考慮に入れること
が必要であり、Ns1 またはNs2 が0.005 に満たない場合
には、これに加えて加熱−冷却処理時の650 ℃以上の温
度域での保持時間を規制する必要があることを新たに知
見した。なお、上式中の〔〕は、そこに記載された元素
の質量含有率を示すものであり、これは以下の式におい
ても同様である。
【0028】以上の新規知見を導いた道程に着いて、以
下に詳述する。まず、発明者らは、図1 の内容をここで
用いた熱延鋼板の成分組成をもとに詳細に検討し、50pp
m 以上の固溶N が歪み時効硬化特性に必要と判断した。
この固溶N量を基本に据えて、さらに歪み時効硬化特性
が、Nの析出過程を考慮に入れた式に基づいて制御可能
であることを見出した。
【0029】すなわち、650 ℃以上の温度域での保持時
間の適正条件(tg1) が、時間の対数をとると800 ℃で極
小値をとる放物線の如く変化していること、さらにその
放物線が加工温度800 ℃においてΔTS が60MPa を超え
るために許容できる最長の650 ℃以上の温度域での保持
時間(t0) 、50ppm 以上の固溶Nを確保可能な最大の析
出N量の全量析出量に対する割合(Pr1 またはPr2) とで
標記できることを見出し、下記(2) を実験式として得
た。
【0030】 記 Log (tg1 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tO ・・・・(2) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0 =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] またはNb およびTi のいずれか1種または2種を含有す
る場合は、Pr1 に代えて下記Pr2 Pr2={[N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[N] −(1
4/93)[Nb]-(14/48)[Ti]}
【0031】ここで、図1 に示した内容を650 ℃以上の
温度域での保持時間で整理し直した結果を図6に、また
図5において上記式(2){または後述の式(4) }に基
づき計算したtg1 (または後述のtg2 )を実線にて示し
た結果を図7に、それぞれ示す。これらの図から分かる
ように、上記式(2)により、めっき処理工程の条件を
適正に設定し制御することにより、安定して高い歪み時
効硬化特性を有するめっき鋼板が製造可能となったので
ある。
【0032】次に、化学組成が、C:0.08mass %、Si
:0.2mass %、Mn :1.4mass %、P:0.015mass %、
S:0.0020mass %、Al :0.015mass %およびN:0.00
80mass %を含み、残部鉄および不可避的不純物になる
鋼Aと、C:0.1mass %、Mn:0.6mass %、P:0.018m
ass %、S:0.002mass %、Al :0.022mass %、N:
0.0105mass %およびNb :0.020mass %を含み、残部鉄
および不可避的不純物になる鋼Bとを、それぞれ転炉に
て溶製し、連続鋳造法にて鋳片とした。これらを1180
℃にて加熱し、粗圧延、仕上げ圧延を施した後水冷却を
行い、500 ℃で巻取りを行い熱延鋼板とした。これら熱
延板を酸洗した後、鋼Aについては連続焼鈍ラインにて
加熱温度680 ℃、730 ℃、780 ℃の3条件として加熱処
理および酸洗処理からなる前処理を行った。このとき、
通板速度を一定とし、650 ℃以上の保持時間を各々50
、65 、80 秒とした。また、鋼Bについては、前処理を
実施しなかった。
【0033】引き続いて、溶融亜鉛めっきラインにて66
0 ℃の加熱処理を施し、冷却速度20 ℃/s で500 ℃ま
で冷却し、溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬して、下記条
件でのめっき処理を施したのち、520 ℃で25 秒の合金
化処理を施した。 記 板温度:475℃ めっき浴:0.13mass %Al- 残部Zn 浴温:475 ℃ 浸漬時間:3s 目付け量(片面あたり):45g /m
【0034】かくして得られた鋼板をJIS 13 号B引張
試験片に加工し、機械的性質を調査した。また、同めっ
き鋼板について5%の引張予歪みを加えたのち、一旦除
荷し、170 ℃×20min の熱処理を施してから、再度引張
試験を行って機械的性質を調査した。この時の引張強さ
(TS) から前述のめっき処理ままのめっき鋼板のTS を引
くことにより歪み時効処理によるTS の上昇量ΔTS を求
めた。これらの結果を図8に示す。なお、得られためっき
鋼板のフェライト相の平均粒径はいずれも8μm以下で
あった。
【0035】この図から明らかなように、前処理工程お
よび溶融亜鉛めっき処理工程において650 ℃以上の保持
時間を適切に制御することにより著しく大きな歪み時効
硬化を得ることができる。すなわち、この前処理を施す
場合においても、上記のNs1 またはNs2 が0.005 未満の
場合は、上述した式(2)の場合と同様に、650 ℃以上
の保持時間を下記式(3)に示される(tc) に従って
規制する必要がある。
【0036】 記 Log(tc)=0.000075×(Tc−800)2+t0c ・・・・(3) ここで、 Tc :前処理における加熱温度( ℃) tOc =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N] また、加熱−冷却処理における650 ℃以上の保持時間を
検討した場合と同様に、Nb およびTi のいずれか1種ま
たは2種を含有する場合は、Pr1 に代えて下記Pr2 Pr2 ={[N]−(14/93)[Nb] −(14/48)[Ti] −0.005
}/{[N]−(14/93)[Nb] −(14/48)[Ti] }
【0037】なお、前処理を行う場合は、上記した式
(2)は、下記式(4)に替えて加熱保持時間を制御す
る。 記 Log(tg2)=0.000075×(Tg−800)2+t0g ・・・・(4) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0g : Log (tc )<0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85 Log(tc) ≧0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85-{Log (tc )-0.000075 ×(Tc −
800 )2} 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] またはNb およびTi のいずれか1種または2種を含有す
る場合は、 Pr2 ={[N] −(14/93)[Nb] −(14/48)[Ti] −0.005}/
{[N] −(14/93)[Nb] −(14/48)[Ti]}
【0038】この発明は、上記実験事実に加え、さらに
詳細な検討を行い完成したものである。以下に、この発
明の各条件について詳しく説明する。まず、鋼成分の限
定理由について具体的に述べる。 C:0.01 〜0.2mass % C は、鋼を強化するにあたり重要な元素であり、高い固
溶強化能を有するとともに、歪み時効硬化にも有効であ
る。含有量が0.01mass %未満においては充分な強度が
得られず、一方0.2mass %を超えると溶接性が劣化す
る。したがってC 含有量は0.01 〜0.2mass %とする。
【0039】Si :0.4mass %以下 Si は高い固溶強化能を有する元素であり、所望の強度
に応じて添加するが、0.4mass %を超えると歪み時効硬
化特性を低下させる。したがってSi 含有量は0.4mass
%以下とする。
【0040】Mn :0.2 〜2.0mass % Mn は熱間脆化の防止ならびに強度確保のため添加する
元素であり、0.2mass%未満ではその効果に乏しく、2.0
mass %を超えると加工性の劣化を招く。したがってMn
含有量は0.2 〜2.0mass %とする。
【0041】P :0.05mass %以下 P は高い固溶強化能を有する元素であり、所望の強度に
応じて添加する元素であるが、0.05mass %を超えると
溶接性の劣化を招くとともに、めっき性を低下させる。
したがってP 含有量は0.05mass %以下とする。
【0042】Al :0.001 〜0.1mass % Al は鋼の脱酸のために必要な元素であるが、0.001mass
%未満ではその効果に乏しく、0.1mass %を超えて多
量に添加してもそれ以上の効果は望めないばかりか表面
性状を劣化させるとともに歪み時効硬化に必要なN を析
出物として固定してしまい、これを劣化させてしまう。
したがってAl 含有量は0.001 〜0.1mass%とする。
【0043】N:0.005 〜0.02mass% Nは、この発明において極めて重要な元素である。歪み
時効硬化特性を向上させるためには0.005mass %以上の
含有が必要である。一方、0.02mass %を超えると成形
性の低下を招く。したがってN 含有量は0.005 〜0.02ma
ss %とする。さらに後述するようにNb, Ti を含有する
場合はN 含有量を [N]≧(14 /93 )+[Nb ]+(14 /48 )[Ti ]
+0.005 の範囲となるように調整する。尚、ここで[N
]、[Nb ]、[Ti ]は各々の元素の含有量(mass
%)である。N含有量がこの範囲を外れると熱間圧延工
程中にNがTi ,Nbにより析出固定されるため所望の歪
み時効硬化特性を得ることができない。
【0044】以上、基本成分について説明したが、本発
明ではその他にもTi:0.001 〜0.1mass %、Nb:0.001 〜
0.1mass %のうちから選んだ1 種あるいは2 種を適宜含
有させることができる。 Ti :0.001 〜0.1mass %、Nb :0.001 〜0.1mass % Ti およびNb はいずれも、C、N、Sと炭化、窒化、硫
化物を形成して強度および靭性の向上に有効に寄与する
が、添加量が0.001mass %未満では充分な効果が得られ
ず、一方0.1mass %を超えると歪み時効硬化に必要な
C、Nを析出物として固定してしまい、これを低下させ
てしまう。したがってこれらの元素の含有量は0.001 〜
0.1mass %とする。さらにTi およびNb は[N]≧(14
/93 )[Nb ]+(14 /48 )[Ti ]+0.005 を満足
する範囲で含有するものとする。これを外れる場合に
は、後述する処理工程条件を満足しても尚、充分な固溶
N を確保することができず、歪み時効特性が低下してし
まう。
【0045】この発明にて溶融亜鉛めっき処理に供する
熱延鋼板は、上記の成分組成に加え、フェライト相を主
相とし、その平均結晶粒径が8μm以下である組織を有
し、かつ固溶N量が50ppm 以上であることか肝要であ
る。
【0046】まず、フェライト相を主相とするのは、高
い延性を達成し良好な成形性を具有させるためである。
なお、フェライト相を主相とするとは、フェライト相の
分率が90 %以上であることを意味する。
【0047】また、フェライト相の平均粒径が8μmを
こえると、最終製品の溶融亜鉛めっき鋼板において、十
分な歪時効硬化量が達成されない。さらに、めっき原板
(熱延鋼板)の段階で鋼板中に存在する固溶Nが50ppm
に満たない場合は、後述する溶融亜鉛めっき処理を施し
たとしても、所望の歪時効硬化特性を得ることができな
い。
【0048】次に、この発明における製造条件の限定理
由について具体的に述べる。上記した組成の鋼素材は、
公知の溶製方法により溶製された溶鋼を、公知の連続鋳
造法、造塊法などにより鋳造し、スラブなどの形状とし
て供するのが好ましい。
【0049】この鋼素材を、加熱炉など公知の装置で加
熱する。ここで、熱延板において所望の固溶N量を確保
するためには、加熱時にNを溶解させておく必要があ
り、これを満足するためには加熱温度を1000 〜1300 ℃
の温度域とすることが好ましい。すなわち、加熱温度が
1000 ℃未満では、N の析出が進行するため所望量の窒
素を固溶状態で残存させるのが困難になるとともに、全
長にわたり後述する仕上圧延温度を達成することが困難
になる。一方、1300 ℃を超えると、オーステナイト粒
径が粗大になり、フェライト変態を遅延させるため、最
終製品の成形性を劣化する、おそれがある。
【0050】加熱された鋼素材は、粗圧延、仕上げ圧延
を施される。このとき最終仕上げ温度は、800 ℃以上の
温度域が好ましい。すなわち、最終仕上げ温度が800 ℃
未満では、一部に加工組織が残留し、板厚方向での組織
が不均一となり、成形性を阻害する。最終仕上げ温度の
上限は、スケール疵などの表面欠陥を抑制するため、10
00 ℃以下とすることが好ましい。
【0051】仕上げ圧延終了後は、0.5 s以内に20 ℃
/s以上の速度で冷却することが好ましい。冷却開始ま
での時間が0.5 sをこえたり、冷却速度が20 ℃/s未
満では、所望の結晶粒径を得ることが難しくなるととも
に、上記したNs1 またはNs2が0.005 未満の場合には、
Nが析出物として固定され、所望の固溶Nを確保するの
が難しくなる。
【0052】次いで、上記したNs1 またはNs2 が0.005
以上の場合には、650 ℃以下の温度域で巻き取ることが
好ましい。一方、Ns1 またはNs2 が0.005 未満の場合に
は、550 ℃以下の温度域で巻き取ることが好ましい。す
なわち、巻取温度が650 ℃を超える場合には、熱延板の
フェライト粒径が大きくなり、後述する条件を満足して
も所望の歪み時効特性を得るのが難しくなる。さらに、
Ns1 またはNs2 が0.005 未満の場合に巻取温度が550 ℃
を超えると、N が析出物として固定されてしまうため、
所望の固溶N量を確保することが難しくなる。
【0053】所望の板厚に調製された熱延鋼板は、酸
洗、脱脂などの通常の予備処理を施されたのち、まず、
加熱処理を施す。この加熱処理は、その後のめっき処理
とともに連続溶融亜鉛めっきラインで行うのが好まし
い。加熱処理工程は、上記した、Ns1 またはNs2 が0.005
以上の場合には、650 ℃以上900 ℃以下の温度域に加
熱した後、当該加熱温度から650 ℃までの平均冷却速度
を5〜50 ℃/s の冷却速度として冷却する。一方、Ns1
またはNs2 が0.005 未満の場合には、650 ℃以上900
℃以下の温度域に加熱した後、当該加熱温度から650 ℃
までの平均冷却速度を5〜50 ℃/s の冷却速度として
冷却するに当り、650 ℃以上の温度域で処理している時
間、すなわち650 ℃以上の温度域での保持時間が、上記
した式(2)で示されるtg1 秒以内とする加熱−冷却工
程を行うことが肝要である。
【0054】なお、加熱温度が650 ℃未満の場合には、
充分な加工性を得ることができず、また、めっき性が阻
害される。一方、加熱温度が900 ℃を超える場合には、
最終製品である溶融亜鉛めっき鋼板のフェライト結晶粒
径を粗大化し歪み時効特性を低下させる。さらに、この
ような高温での加熱は工業的な観点からも現実的ではな
い。
【0055】加熱処理後に鋼板は冷却されるが、この冷
却過程においては、650 ℃までの平均冷却速度が5℃/
s に満たない場合には結晶粒が粗大化し歪み時効硬化特
性を低下させ、とくにNs1 またはNs2 が0.005 未満の場
合には、Nの析出が顕著となり所望の歪み時効硬化特性
を満足することが出来ない。また、650 ℃までの平均冷
却速度が50 ℃/s を超えると低温変態相の生成により
硬質化し、延性を低下させる。このため当該加熱温度か
ら650 ℃までの平均冷却速度は5〜50 ℃/sとする。
【0056】さらに、Ns1 またはNs2 が0.005 未満の場
合には、上記条件を満足しても尚、650 ℃以上の温度域
での保持時間が上記した式(2)で示されるtg1 秒以内
とする必要がある。これがtg1 秒を超えると所望の歪み
時効硬化特性を得ることが出来ない。これは、この温度
域ではN がAl またはさらに,Ti およびNb 析出物を形成
し、鋼中の固溶N量を低減させるからである。これらの
析出物の析出の速度は、化学組成と温度により変化する
ため、Ns1 またはNs2 が0.005 未満の場合には、この析
出量を必要な固溶N を確保できる量よりも少なくするよ
うに、高温での保持時間を制御する必要がある。すなわ
ち、上記した実験結果より明らかなように、化学組成と
温度によって定まる析出速度を示す上記式(2)に従っ
て制御することで優れた歪み時効硬化特性を得ることが
できる。
【0057】なお、Ns1 またはNs2 が0.005 以上の場合
は、析出物を形成してもなお、充分な固溶N を残存させ
ることができるため、上述の高温での保持時間の制御は
考慮しなくてもよい。
【0058】次いで、この発明におけるめっき処理は、
通常、溶融亜鉛めっきラインで行われる条件と同様に、
450 〜550 ℃の温度範囲で亜鉛浴に浸漬し鋼板表層に溶
融亜鉛めっき層を形成する。なお、亜鉛浴は通常用いら
れるZn 浴とすればよい。また、めっき処理後には必要
に応じて、目付け量調整のためのワイピングを行っても
良い。めっき処理後には合金化処理を施してもよい。合
金化処理は、通常の方法で行えば良い。
【0059】さらには、この発明においては、めっき性
のさらなる改善のため、上記した連続亜鉛めっきライン
における一連の処理工程に先立ち、その加熱−冷却処理
における加熱温度以上の温度域に加熱する加熱処理と、
それに続く鋼板表面の成分濃化相を除去する酸洗処理と
からなる、前処理を施すことが可能である。この前処理
を追加する場合にも、Ns1 またはNs2 が0.005 未満の場
合には、前処理工程における650 ℃以上の温度域での保
持時間を上記した式(3)にて示されるtc秒以内とする
とともに、上記した連続亜鉛めっきラインにおける加熱
−冷却処理における650 ℃以上の温度域での保持時間を
上記した式(4)にて示されるtg2秒以内とすることに
より、所望の歪み時効硬化特性を得ることができる。
【0060】これは、上述と同様の理由により、前処理
工程、めっき処理工程から成る一連の工程の全体におい
て、高温での保持時間を制御することにより固溶N 量が
確保できるためである。
【0061】また、前処理を施した場合、引き続くめっ
き処理工程の加熱−冷却処理における650 ℃以上の温度
域での保持時間の制御には、前処理工程での析出量を考
慮する必要がある。すなわち、前処理が析出の生じない
潜伏期間中に完了した場合、つまりlog (tc )<0.0000
75 ×(Tc-800)2+0.85 のときには、前処理の影響は考慮
にいれずとも良い。一方、前処理中に析出が生じた場
合、つまりlog (tc)≧0.000075 ×(Tc-800)2+0.85 の
ときには、析出量に応じてめっき処理工程の650 ℃以上
の温度域での保持時間を短時間側に調整する。
【0062】
【実施例】実施例1 表1に示す化学組成に成る鋼を転炉にて溶製し、連続鋳
造法にて鋳片とした。これら鋳片に、表2に示す条件で
熱間圧延を施し、熱延鋼板とした。これら熱延鋼板の組
織は、いずれもフェライト相を90 %以上の分率で有す
るものであった。これら熱延鋼板を酸洗し、次いで連続
焼鈍ラインにおいて表2に示す条件にて加熱処理を行
い、さらに連続溶融亜鉛めっきライン内の予備処理設備
を利用して酸洗処理を施し前処理を行った。引き続き、
連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、表2に示す条件に
従う加熱−冷却処理を施し、その後めっき処理、そして
合金化処理を施した。ここで、めっき処理は溶融亜鉛め
っき浴に鋼板を浸漬して行い、浸漬した鋼板を引き上げ
たのちガスワイピングにより目付け量を調整した。な
お、めっき処理条件は、下記のとおりである。 記 板温度:475 ℃ めっき浴:0.13mass %Al −残部Zn 浴温:475 ℃ 浸漬時間:3s 目付け量(片面あたり):45g /m2
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】また、一部の鋼板については、前記した前
処理または合金化処理を省略した。かくして得られため
っき鋼板は、JIS 13 号B引張試験片に加工し、歪み速
度10-3/s にて引張試験を行い機械的特性{降伏強度(Y
S) 、引張強さ(TS) 、全伸び(El) }を調査した。ま
た、処理前の熱延鋼板の段階で化学分析により鋼板中の
N含有量と析出物として存在するN量とを測定し、その
差をもって固溶N量とした。まためっき処理前の熱延鋼
板について、圧延方向に平行な断面の光学顕微鏡写真か
ら鋼組織を同定し、さらに画像解析により結晶粒径を測
定した。これらの結果を表2に示す。
【0066】また、同めっき鋼板について、5%の引張
予歪みを加えたのち、一担除荷し、170 ℃×20min 熱処
理を施してから、再度引張試験を行い機械的性質を調査
した。このときの引張強さ(TS) から前述のめっき処理ま
まのめっき鋼板のTS を引くことにより歪み時効処理に
よるTS の上昇量ΔTS を求めた。また、めっき鋼板につ
いて5%の引張予歪みを加えたのち、一旦除荷し、170
℃×20min の熱処理を施してから再度引張試験を行った
時に観察される降伏強度から、前記5%の予歪みを加え
た時の応力を引くことによりBH 量を求めた。これらの
結果を表3に示す。表3から、この発明によるめっき鋼
板は、高い歪み時効硬化を示すことがわかる。
【0067】なお、めっき性は、鋼板表面を目視で観察
し、不めっき欠陥の存在の有無を判定した。そして、不
めっき欠陥の全く無いもの(めっき性良好)を〇、不め
っき欠陥が一部発生したもの(めっき性やや良好)を
△、不めっき欠陥が多数発生したもの(めっき性不良)
を×とした。
【0068】
【表3】
【0069】実施例2 表1 の鋼a に従う化学組成の鋼を転炉にて溶製し、連続
鋳造法にて鋳片とした。これら鋳片に、実施例1と同一
の条件で熱間圧延を施し、熱延鋼板を複数コイル製造し
た。次いで、加熱温度750 ℃、加熱温度から650 ℃まで
の平均冷却速度15 ℃/s 、めっき板温度475 ℃、合金化温
度520 ℃、合金化時間25 秒となるように、連続溶融亜
鉛めっきラインにおいて加熱−冷却処理、めっき処理お
よび合金化処理を施した。めっき処理は、溶融亜鉛めっ
き浴に鋼板を浸漬して行い、浸漬した鋼板を引き上げた
のちガスワイピングにより目付け量を調整した。なお、
めっき処理条件は、下記のとおりである。 記 板温度:475 ℃ めっき浴:0.13mass %Al −残部Zn 浴温:475 ℃ 浸漬時間:3s 目付け量(片面あたり):45g /m2
【0070】ここで、熱延鋼板の1コイルについては、
この発明法に則り加熱温度の変動に従って、その650 ℃
以上での保持時間を、通板速度を変更することにより、
加熱温度により計算されるtg1 より小さくなるように変
化させた(発明例)。また、比較として、1コイルはコ
イル全長において、650 ℃以上での保持時間が60秒と一
定になるようにした( 比較例) 。
【0071】かくして得られためっき鋼板は、JIS 13
号B引張試験片に加工して実施例1と同様の方法で機械
的性質を調査した。また、同めっき鋼板について、5%
び引張予歪みを加えたのち、一旦除荷し、170 ℃×20mi
n の熱処理を施してから、再度引張試験を行って機械的
性質を調査した。このときのTS から前述のめっき処理ま
まのめっき板のTS を引くことにより歪み時効処理によ
るTS の上昇量ΔTS を求めた。このときの加熱温度、tg1
、650 ℃以上の保持時間、△TS のコイル長さ方向での
変化を、図9( 発明例) および図10( 比較例) に示す。
これら図からわかるように、650 ℃以上での保持時間を
制御することにより、歪み時効硬化特性のばらつきが抑
制されることができる。
【0072】
【発明の効果】この発明によれば、特に自動車の構造部
品に使用するのに好適な、歪み時効特性に優れた高張力
溶融亜鉛めっき鋼板の製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 含有N 量と加熱温度での保持時間の△TS に
対する好適範囲を示す図である。
【図2】 △TS と冷却速度との関係を示す図である。
【図3】 △TS と加熱温度の関係を示す図である。
【図4】 △TS と650 ℃以上の温度域での保持時間と
の関係を示す図である。
【図5】 650 ℃以上の温度域での保持時間と加熱温度
の△TS に対する好適範囲を示す図である。
【図6】 含有N 量、Ns 量と加熱温度での保持時間の
△TS に対する好適範囲を示す図である。
【図7】 650 ℃以上の温度域での保持時間と加熱温度
の△TS に対する好適範囲を示す図である。
【図8】 △TS と650 ℃以上の温度域での保持時間の
関係を示す図である。
【図9】 加熱温度、tg1 、650 ℃以上の保持時間、△
TS のコイル長手方向でのばらつきを示す図である。
【図10】 加熱温度、tg1 、650 ℃以上の保持時間、
△TS のコイル長手方向でのばらつきを示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 坂田 敬 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA05 EA06 EA15 EA18 EA19 EA23 EA27 EA31 EB06 FA02 FA03 FB00 FC03 FC04 FD03 FD04 FE01 FE02 FF02 FF03 GA05 GA08 JA06 JA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01 〜0.2mass %、 Si :0.4mass %以下、 Mn :0.2 〜2.0mass %、 P:0.05mass %以下、 Al :0.001 〜0.1mass %および N:0.005 〜0.02mass % を含有し、残部はFe および不可避的不純物の成分組成
    を有する鋼素材に、熱間圧延を施して得た、フェライト
    相を主相とするとともに、フェライト相の平均粒径が8
    μm以下である組織を有し、かつ固溶Nの含有量が50pp
    m 以上である熱延鋼板を、650 ℃以上900 ℃以下の温度
    域に加熱した後、少なくとも当該加熱温度から650 ℃ま
    での温度域は平均冷却速度:5〜50 ℃/s にて冷却す
    る、加熱−冷却処理を施し、引き続き鋼板表面にめっき
    層を形成する、めっき処理を施すことを基本工程とし、
    さらに下記式(1)にて示されるNs1 がNs1 <0.005 の
    場合には、650 ℃以上の温度域における上記加熱−冷却
    処理の時間を下記式(2)にて示されるtg1 秒以内に規
    制することを特徴とする歪み時効特性に優れる溶融亜鉛
    めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Ns1 =[N ]−(14 /27 )[Al ] ・・・・・・・・・(1) Log (tg1 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tO ・・・・(2) ここで、Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0 =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] [N ], [Al ]はN,Al 元素の含有量(mass %)
  2. 【請求項2】請求項1に記載の基本工程に、その加熱−
    冷却処理を施すに先立ち、該加熱−冷却処理における加
    熱温度以上に加熱した後酸洗する前処理を追加した、一
    連の工程を基本とし、さらに下記式(1) にて示されるNs
    1 <0.005 の場合には、650 ℃以上の温度域における上
    記前処理時間を下記式(3)にて示されるtc 秒以内に
    規制し、かつ650 ℃以上の温度域における上記加熱−冷
    却処理の時間を下記式(4)にて示されるtg2 秒以内に
    規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる溶融亜
    鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Ns1 =[N ]−(14 /27 )[Al ] ・・・・・・・・・・(1) Log (tc )=0.000075 ×(Tc −800 )2 +tOc ・・・・・(3) ここで、 Tc :前処理における加熱温度( ℃) tOc =2.0 ×Pr1 +0.85 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] Log (tg2 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tOg ・・・・( 4) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0g : Log (tc )<0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85 Log(tc) ≧0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr1+0.85-{Log (tc )-0.000075 ×(Tc −
    800 )2} 但し、 Pr1 =([N ]−0.005 )/[N ] [N ], [Al ]はN,Al 元素の含有量(mass %)
  3. 【請求項3】熱延鋼板は、鋼素材を1000 〜1300 ℃の温
    度域で加熱し、粗圧延、次いで仕上圧延を施した後、0.
    5 s以内に20 ℃/s以上の冷却速度で冷却し、Ns1 ≧
    0.005 の場合には650 ℃以下で巻き取り、Ns1 <0.005
    の場合には550 ℃以下で巻き取ることにより製造したも
    のである請求項1または2に記載の歪み時効特性に優れ
    る溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】C:0.01 〜0.2mass %、 Si :0.4mass %以下、 Mn :0.2 〜2.0mass %、 P:0.05mass %以下、 Al :0.001 〜0.1mass %および N:0.005 〜0.02mass % を含有し、さらに Ti :0.001 〜0.1mass %および Nb :0.001 〜0.1mass % のいずれか1種または2種を、[N ]≧(14/93 )[Nb
    ]+(14/48) [Ti ]+0.005 の下に含有し、残部はFe
    および不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に、熱
    間圧延を施して得た、フェライト相を主相とするととも
    にフェライト相の平均粒径が8μm以下である組織を有
    し、かつ固溶Nの含有量が50ppm 以上である熱延鋼板
    を、650 ℃以上900 ℃以下の温度域に加熱した後、少な
    くとも当該加熱温度から650 ℃までの温度域は平均冷却
    速度:5〜50 ℃/s にて冷却する、加熱−冷却処理を
    施し、引き続き鋼板表面にめっき層を形成する、めっき
    処理を施すことを基本とし、さらに下記式(5)にて示
    されるNs2 がNs2 <0.005 の場合には、650 ℃以上の温
    度域における上記加熱−冷却処理の時間を下記式(2)
    にて示されるtg1 秒以内に規制することを特徴とする歪
    み時効特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方
    法。 記 Ns2 =[N]−(14/27)[Al]−(14/93)[Nb]−(14/48)[Ti]・・・・(5) Log (tg1)=0.000075×(Tg−800)2 +tO ・・・・・(2) ここで、 Tg :加熱温度(℃) t0=2.0 ×Pr2+0.85 但し、 Pr2={[N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[N] −(1
    4/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} [N],[Al ],[Nb ]および[Ti ]は、それぞれ
    N,Al ,Nb およびTiの含有量(mass %)
  5. 【請求項5】請求項4に記載の基本工程に、その加熱−
    冷却処理を施すに先立ち、該加熱−冷却処理における加
    熱温度以上に加熱した後酸洗する前処理を追加した、一
    連の工程を基本とし、さらに下記式(5) にて示されるNs
    2 <0.005 の場合には、650 ℃以上の温度域における上
    記前処理時間を下記式(3)にて示されるtc 秒以内に
    規制し、かつ650 ℃以上の温度域における上記加熱−冷
    却処理の時間を下記式(4)にて示されるtg2 秒以内に
    規制することを特徴とする歪み時効特性に優れる溶融亜
    鉛めっき熱延鋼板の製造方法。 記 Log (tc )=0.000075 ×(Tc −800 )2 +tOc ・・・・( 3) ここで、 Tc :前処理における加熱温度( ℃) tOc =2.0 ×Pr2 +0.85 但し、 Pr2={[N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[N] −(1
    4/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} Log (tg2 )=0.000075 ×(Tg −800 )2 +tOg ・・・・( 4) ここで、 Tg :加熱−冷却処理における加熱温度( ℃) t0g : Log (tc )<0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr2+0.85 Log(tc) ≧0.000075 ×(Tc −800)2+0.85 のとき、 t0g=2.0 ×Pr2+0.85-{Log (tc )-0.000075 ×(Tc −
    800 )2} 但し、 Pr2={[N]-(14/93)[Nb]-(14/48)[Ti]-0.005}/{[N] −(1
    4/93)[Nb]-(14/48)[Ti]} [N],[Al],[Nb ]および[Ti]は、それぞれ
    N,Al ,Nb およびTiの含有量(mass %)
  6. 【請求項6】熱延鋼板は、鋼素材を1000 〜1300 ℃の温
    度域で加熱し、粗圧延、次いで仕上圧延を施した後、0.
    5 s以内に20 ℃/s以上の冷却速度で冷却し、Ns2 ≧
    0.005 の場合には650 ℃以下で巻き取り、Ns2 <0.005
    の場合には550 ℃以下で巻き取ることにより製造したも
    のである請求項4または5に記載の歪み時効特性に優れ
    る溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】めっき層の形成後に、さらに加熱合金化処
    理を施すことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか
    に記載の歪み時効特性に優れる溶融亜鉛めっき熱延鋼板
    の製造方法。
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