JPH07278566A - メソカーボンマイクロビーズの製造方法及びメソカーボンマイクロビーズ - Google Patents

メソカーボンマイクロビーズの製造方法及びメソカーボンマイクロビーズ

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JPH07278566A
JPH07278566A JP7625194A JP7625194A JPH07278566A JP H07278566 A JPH07278566 A JP H07278566A JP 7625194 A JP7625194 A JP 7625194A JP 7625194 A JP7625194 A JP 7625194A JP H07278566 A JPH07278566 A JP H07278566A
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mesocarbon
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弘明 松好
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 石炭径重質油を熱処理し、生成した粗MCM
Bを、沸点範囲100〜500℃のタール中油を粗MC
MB重量の0.1〜20倍量加え、10〜300℃で
0.1〜20時間洗浄処理することにより、得られる、
MCMBの球体の周囲が0〜10μmの厚さのピッチ成
分で覆われているMCMBの製造方法。 【効果】 MCMBの球体の周囲が均一に覆われたピッ
チ成分が、成型時に用いるバインダーと同じ役割を果た
すのでバインダーと単離MCMBを混合する行程を省略
でき、かつ均質な成型炭化品または均質な成型黒鉛化品
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度、高強度および
耐薬品性、耐熱性等に優れた特殊炭素材やリチウム二次
電池負極材料等の各用途に使用されるメソカーボンマイ
クロビーズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コールタールやコールタールピッチを3
00〜500℃で加熱し、反応生成物を150〜450
℃で高温遠心分離等を行うと、固形分、すなわち粗MC
MB(以下、メソカーボンマイクロビーズとあるのは、
MCMBと略す。)が生成する。これらの製造方法を記
載した文献として、例えば、特公平01−27968号
公報、特開平01−242691号公報などがある。反
応タールやピッチマトリックスから生成したMCMB生
品を分離するに際しては、溶剤抽出法、希釈重力沈降法
などの溶媒を用いる方法と高温遠心分離法などの溶媒を
用いない方法の2つがある。後者の方法においても、得
られた粗MCMBを洗浄、精製するために溶剤が用いら
れる。ここで、キノリン等のように溶解力が強過ぎる溶
剤を用いれば、MCMBの球体の球体の周囲にはタール
やピッチマトリックスに由来するピッチ成分が付着して
いない単離MCMB(この単離MCMBは、キノリン不
溶分リッチな成分から成る球体である。)となる。この
ような単離MCMBから特殊炭素材の各用途に使用する
場合、単離MCMBとバインダーを混合した後、成型焼
成していた。また、粗MCMBは、タールやピッチマト
リックスに由来するピッチ成分(以下、単に、ピッチ成
分という。)がMCMBの球体の周囲を取り囲み、ピッ
チ成分が癒着することにより、図13に示すように、ピ
ッチ成分で覆われたMCMB同士が癒着、凝集した状態
となっているが、トルエン等のように溶解力が弱過ぎる
溶剤を用いられば、ピッチ成分の癒着部分を溶解し、M
CMBの球体の周囲が、ピッチ成分で覆われたMCMB
をピッチ成分から、独立に分離することが困難であっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられたキノリ
ン等とトルエン等の溶剤の溶解力が強過ぎ又は弱過ぎた
ため、溶解力が中程度の安価な溶剤によりタールやピッ
チマトリックスに由来するピッチ成分の癒着部分のみを
溶解し、MCMBの球体の周囲のピッチ成分はそのまま
溶解させないで残し、ピッチ成分で覆われたMCMBを
独立して分離精製することが大きな課題となっていた。
さらに、このような単離MCMBから特殊炭素材の各用
途に使用する場合、単離MCMBとバインダーを混合し
た後、成型焼成する必要があったが、このバインダーを
混合する行程の省略化によるコストダウンを図ることも
課題となっていた。そこで、本発明は、コールタールや
コールタールピッチなどの石炭系重質油を原料として、
独立分離精製された、MCMBの球体の周囲を均一な膜
厚のピッチ成分で覆われたMCMBを製造することを目
的とする。また、従来用いられたキノリン等により独立
して分離精製されたMCMBを製造することができる
が、キノリン等は高価であり、安価な溶剤により、独立
して分離精製されたMCMBを製造することをも目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】従来用いられたキノリン
等とトルエン等の溶剤の溶解力が強過ぎ又は弱過ぎたた
め、溶解力が中程度の安価な溶剤としてタール中油を選
定することにより、ピッチマトリックスに由来するピッ
チ成分の癒着部分のみを溶解し、MCMBの球体の周囲
を覆っているピッチ成分の膜厚を制御する方法を発明し
た。すなわち、コールタールやコールタールピッチなど
の石炭系重質油を熱処理し、生成した粗MCMBを分離
し、洗浄精製するに際し、沸点範囲100〜500℃の
タール中油を粗MCMB重量の0.1〜20倍量加え、
10〜300℃で0.1〜20時間洗浄処理することに
より、MCMBの球体の周囲を覆っているピッチ成分の
膜厚を0〜10μmに調製することができる。(溶剤分
析におけるTI〜QIの値を0〜20%に調製すること
ができる。) すなわち、タール中油の量と洗浄時間を洗浄温度を加減
することにより、溶剤の洗浄力をコントロールすること
によりピッチ成分に覆われたMCMB生品を独立して分
離精製することができ、さらにMCMBを覆ったピッチ
成分の膜厚を均一かつ所定の厚さにすることが可能とな
った。タール中油の量が少なすぎると均一に洗浄するこ
とができず、多すぎるとタール中油がコスト高となる。
洗浄時間は短か過ぎると、ピッチ成分に覆われたMCM
Bを独立して分離することができず、長すぎると、ピッ
チ成分に覆われていないMCMBを独立して分離するこ
とができるが、必要以上の時間をかけ過ぎ不経済とな
る。洗浄温度は、高くなる程、タール中油の溶解力が大
となり、MCMBを覆ったピッチ成分の膜厚を薄くまた
はピッチ成分で覆われていないMCMBを製造すること
ができる。ここに、洗浄は、機械攪拌等の攪拌下、MC
MBを覆っているピッチ成分の癒着部分のみを溶解させ
た後、各ピッチ成分で覆われたMCMB同士を衝突させ
て、機械的な力によりピッチ成分の角部分が研磨されて
球面状の均一な膜厚とすることができる。MCMBの球
体の周囲を覆っているピッチ成分は、MCMB生品を成
型及び焼成して炭素製品を製造するに際し、焼成時に軟
化溶融して収縮率を高め、炭素製品の密度及び強度を向
上させる効果を有するため、非常に有用なものである。
特に、ピッチ成分の膜厚が均一であることは、MCMB
生品を成型及び焼成してできた炭素製品の密度及び強度
等の品質が均一であるという利点がある。また、上記の
方法で得られたMCMBの球体の周囲が均一にピッチ成
分で覆われているMCMB生品は、粉体のまま炭化さら
には黒鉛化焼成を行ってもMCMBの球体の周囲のピッ
チ成分は異方性組織となって維持され、図14に示すよ
うに、球体同士が癒着、凝集することはない。さらに、
生品の段階で酸化処理を行っておけば、焼成時に表面の
ピッチ成分は等方性組織となる。こうして得られたMC
MBの球体の周囲がピッチ成分で覆われているMCMB
の炭化品ならびに黒鉛化品はリチウム二次電池の負極材
として用いた場合、電解液の有機溶媒と反応しにくいと
いう利点を有している。この理由として、MCMBは、
活性な結晶子の端面(edge plane)が、外側
に配向しているため、電解液の有機溶媒と反応しやす
い。これを炭素の縮合多環網目である基底面(basa
l plane)が外側に配向しているピッチ成分で覆
うことにより、電解液の有機溶媒との反応を防止できる
からであると考えられる。MCMBの球体の周囲がピッ
チ成分で覆われていないMCMBは、粉体のまま炭化さ
らには黒鉛化することにより、MCMB炭化品および黒
鉛化品が得られる。こうして得られたMCMBの球体の
周囲がピッチ成分で覆われていないMCMBの炭化品、
黒鉛化品はリチウム二次電池の負極材として用いた場
合、ピッチ成分で覆われていない効果として、リチウム
イオンの吸蔵能力が向上するため、放電容量より充放電
効率が高い値となる。この理由として、球体表面のピッ
チ成分は、炭素の縮合多環網目である基底面(basa
l plane)が球面方向に配向しているので、リチ
ウムイオンの出入りを阻害する。しかし、この表面層が
除去されれば、精製MCMB内の結晶子の端面(edg
e plane)が、球体表面に露出するため、この端
面から出るためリチウムイオンが出入りしやすくなり精
製MCMBが本来有するリチウムイオン吸蔵能力を十分
に発揮するからであると予想される。また、これらのM
CMBを炭化、さらには、黒鉛化しても、表面のピッチ
成分は維持され、異方性組織のままであることが実験的
に確認された。また、生品の段階で酸化しておけば、ピ
ッチ成分は等方性組織となることも実験的に確認され
た。なお、上記において、等方性組織からなるピッチ成
分に覆われたMCMBの炭化品または黒鉛化品は、リチ
ウム二次電池負極材料等の各用途に使用されると、異方
性組織からなるピッチ成分に覆われたMCMBの炭化品
または黒鉛化品に比較して、溶媒と反応しにくいという
利点がある。すなわち、MCMB生品を粉体のまま、炭
化および黒鉛化する前に、酸化雰囲気中、20〜300
℃の温度範囲で酸化する行程を設ければ、MCMB生品
をそのままで、粉体のまま、炭化および黒鉛化した場合
に比較して、炭化品または黒鉛化品は、より溶媒と反応
しにくくなる。
【0005】
【発明の効果】本発明は、精製MCMBの球体の周囲を
覆っているピッチ成分の膜厚を0〜10μmに制御でき
るため、MCMBの球体の周囲がピッチ成分で均一に覆
われたMCMB、及び、MCMBの球体の周囲がピッチ
成分で覆われていないMCMBを製造することができ
る。タール中油による洗浄条件をコントロールすること
により、電解液の有機溶媒と反応しにくいという性質を
有するMCMBの球体の周囲が厚いピッチ成分で均一に
覆われたMCMB、あるいは、充放電効率が高いという
性質を有するMCMBの球体の周囲が薄いピッチ成分で
均一に覆われたMCMBの両方を適宜選択的に製造する
ことができる。したがって、ピッチ成分の膜厚を制御す
ることによりピッチ成分で均一に覆われたMCMBの性
質を予測してピッチ成分で覆われたMCMBを製造する
ことができる。さらに、MCMBの球体の周囲がピッチ
成分で均一に覆われたMCMBは、成型する場合、従来
であれば、単離MCMBを接着するために、用いるバイ
ンダーの役割をMCMBの球体の周囲を覆っているピッ
チ成分に負わせるためにバインダーとMCMBを混合す
る行程を省略できるという効果がある。そして、従来
は、単離MCMBとバインダーを混合して成型されたも
のを炭化または黒鉛化する場合、バインダーの量が少な
過ぎると、単離MCMBの隙間をピッチ成分が十分に埋
めることができず局部的に強度が弱い部分を生じ、全体
の製品としても強度が不十分となる。また、逆に、バイ
ンダーの量が多過ぎると、焼成時に膨張して、成型時に
割れてしまうという不都合があり、単離MCMBとバイ
ンダーを混合割合に留意する必要があった。ここに、本
発明では、バインダーの役割をするピッチ成分の膜厚を
適当な厚さに制御することにより従来の上記の様な不都
合を回避できるという効果を有する。
【0006】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0007】〔偏光顕微鏡観察〕MCMBを樹脂と混合
して、成型、研磨を行ない、光源にハロゲン白熱灯を用
いたZeiss社製オルソルックス反射偏光顕微鏡によ
り、直交ニコル下で石こう検板を入れて組織を観察し
た。
【0008】実施例1 100℃以下の沸点留分を除去したコールタール(一次
QI含有率2.0%)を高温遠心分離し、清澄液(一次
QI含有率トレース)を得た。遠心分離機としては、保
有容積40リットル遠心力分離機を使用し、回転数30
00rpm、遠心力2280G、温度200℃、処理量
1ton/hrの条件下に操作した。次いで、清澄液を
温度395℃、圧力0.4MPaに16時間熱処理する
ことにより、反応生成物(二次QI分4.4重量%)を
得た後、上記と同様の第二の遠心分離機を使用して、回
転数6000rpm、遠心力3000G、温度270
℃、処理量1ton/hrの条件下に再度遠心分離に供
し、粗MCMBを収得した。次いで、上記のようにして
得た粗MCMB1部に対し、1部のタール中油(沸点範
囲230〜330℃)を加え、攪拌下に150℃で1時
間洗浄処理した後、遠心分離して一次洗浄したMCMB
を得た。次いで、上記で得た一次洗浄後のMCMB1部
に対し、トルエン1部を加え、攪拌下に20℃で1時間
洗浄処理をした後、遠心分離して二次洗浄を行い、精製
MCMBを得た。図7に一次洗浄MCMBと生成MCM
Bの性状を示す。この精製MCMBの偏光顕微鏡での観
察結果を図1(a)に示す。図1(a)においてMCM
B球体の粒径は10μm、MCMBの球体の周囲を覆っ
ているピッチ成分の膜厚は0.1μmである。しかも球
体同士が癒着または凝集していないことがわかる。以
下、この精製MCMBをMCMB生品と呼ぶことにす
る。このMCMB生品を粉体のまま、窒素雰囲気中、1
000℃で1時間焼成し、炭化した。この炭化MCMB
の偏光顕微鏡での観察結果を図1(b)に示す。図1
(b)において炭化MCMBの球体の周囲が異方性組織
からなるピッチ成分で均一に覆われており、しかも球体
同士が癒着または凝集していないことがわかる。以下、
この炭化MCMBをMCMB炭化品と呼ぶことにする。
このMCMB炭化品を粉体のまま、窒素雰囲気中、28
00℃で1時間焼成し、黒鉛化した。この黒鉛化MCM
Bの偏光顕微鏡での観察結果を図1(c)に示す。図1
(c)において黒鉛化MCMBの球体の周囲が異方性組
織からなるピッチ成分で均一に覆われていることがわか
る。
【0009】実施例2 実施例1と同様にして得られた粗MCMB1部に対し、
1部のタール中油(沸点範囲230〜330℃)を加
え、攪拌下に100℃で1時間洗浄処理した後、遠心分
離して一次洗浄したMCMBを得た。次いで、上記で得
た一次洗浄後のMCMB1部に対し、トルエン1部を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理した後、遠心分離
して二次洗浄を行い、精製MCMBを得た。図8に一次
洗浄MCMBと精製MCMBの性状を示す。この精製M
CMBの偏光顕微鏡での観察結果を図2(a)に示す。
図2(a)においてMCMB球体の粒径は10μm、M
CMBの球体の周囲を覆っているピッチ成分の膜厚は
0.2μmである。しかも球体同士が癒着または凝集し
ていないことがわかる。このMCMB生品を空気雰囲気
中、120℃で3時間酸化処理した後、粉体のまま、窒
素雰囲気中、1000℃で1時間焼成し、炭化した。こ
の炭化MCMBの偏光顕微鏡での観察結果を図2(b)
に示す。図2(b)において球体の周りが、等方性組織
からなるピッチ成分で均一に覆われており、しかも球体
同士が癒着または凝集していないことがわかる。このM
CMB炭化品を粉体のまま、窒素雰囲気中、2800℃
で1時間焼成し、黒鉛化した。黒鉛化MCMBの偏光顕
微鏡での観察結果を図2(c)に示す。図2(c)にお
いて球体の周りが等方性組織からなるピッチ成分で均一
に覆われており、しかも球体同士が癒着または凝集して
いないことがわかる。
【0010】実施例3 実施例1と同様にして得られて粗MCMB1部に対し、
1部のタール中油(沸点範囲230〜330℃)を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理した後、遠心分離
して一次洗浄したMCMBを得た。次いで、上記で得た
一次洗浄後のMCMB1部に対し、トルエン1部を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理をした後、遠心分
離して二次洗浄を行い、図9に一次洗浄MCMBと精製
MCMBの性状を示す。この精製MCMB生品の偏光顕
微鏡での観察結果を図3に示す。図3においてMCMB
球体の粒径は10μm、MCMBの球体の周囲を覆って
いるピッチ成分の膜厚は0.3μmである。しかも球体
同士が癒着または凝集していないことがわかる。
【0011】実施例4 実施例1と同様にして得られた粗MCMB1部に対し、
1部のタール中油(沸点範囲230〜330℃)を加
え、攪拌下に200℃で1時間洗浄処理した後、遠心分
離して一次洗浄したMCMBを得た。次いで、上記で得
た一次洗浄後のMCMB1部に対し、トルエン1部を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理をした後、遠心分
離して二次洗浄を行い、精製MCMBを得た。図10に
一次洗浄MCMBと精製MCMBの性状を示す。このM
CMB生品の偏光顕微鏡での観察結果を図4(a)に示
す。図4(a)において球体の周りのピッチ成分が完全
に取り除かれていることがわかる。この精製MCMB生
品を粉体もまま、窒素雰囲気中、1000℃で1時間焼
成し、炭化した。この炭化MCMBの偏光顕微鏡での観
察結果を図4(b)に示す。このMCMB炭化品を粉体
のまま、窒素雰囲気中、2800℃で1時間焼成し、黒
鉛化した。この黒鉛化MCMBの偏光顕微鏡での観察結
果を図4(c)に示す。
【0012】実施例5 100℃以下の沸点留分を除去したコールタール(一次
QI含有率2.0%)を高温遠心分離し、清澄液(一次
QI含有率トレース)を得た。遠心分離機としては、保
有容積40リットルの横型遠心分離機を使用し、回転数
3000rpm、遠心力2280G、温度200℃、処
理量1ton/hrの条件下に操作した。次いで、清澄
液を温度410℃、圧力0.4MPaに16時間熱処理
することにより、反応生成物(二次QI分20重量%)
を得た後、上記と同様の第二の遠心分離機を使用して、
回転数6000rpm、遠心力3000G、温度270
℃、処理量1ton/hrの条件下に再度遠心分離に供
し、粗MCMBを収得した。次いで、上記のようにして
得た粗MCMB1部に対し、1部のタール中油(沸点範
囲230〜330℃)を加え、攪拌下に150℃で1時
間洗浄処理した後、遠心分離して一次洗浄したMCMB
を得た。次いで、上記で得た一次洗浄後のMCMB1部
に対し、トルエン1部を加え、攪拌下に20℃で1時間
洗浄処理をした後、遠心分離して二次洗浄を行い、精製
MCMBを得た。図11に一次洗浄MCMBと精製MC
MBの性状を示す。この精製MCMBの偏光顕微鏡での
観察結果を図5に示す。図5においてMCMB球体の粒
径は100μm、MCMBの球体の周囲を覆っているピ
ッチ成分の膜厚は1μmである。しかも球体同士が癒着
または凝集していないことがわかる。
【0013】実施例6 実施例5と同様にして得られた粗MCMB1部に対し、
1部のタール中油(沸点範囲230〜330℃)を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理した後、遠心分離
して一次洗浄したMCMBを得た。次いで、上記で得た
一次洗浄後のMCMB1部に対し、トルエン1部を加
え、攪拌下に20℃で1時間洗浄処理した後、遠心分離
して二次洗浄を行い、精製MCMBを得た。図12に一
次洗浄MCMBと精製MCMBの性状を示す。この精製
MCMB生品の偏光顕微鏡での観察結果を図6に示す。
図6においてMCMB球体の粒径は100μm、MCM
Bの球体の周囲を覆っているピッチ成分の膜厚は5μm
である。しかも球体同士が癒着または凝集していないこ
とがわかる。
【0014】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、実施例1の精製MCMBの偏光顕微
鏡での観察結果を示す図。(b)は、実施例1の炭化M
CMBの偏光顕微鏡での観察結果を示す図(c)は、実
施例1の黒鉛化MCMBの偏光顕微鏡での観察結果を示
す図
【図2】(a)は、実施例2の精製MCMBの偏光顕微
鏡での観察結果を示す図(b)は、実施例2の炭化MC
MBの偏光顕微鏡での観察結果を示す図(c)は、実施
例2の黒鉛化MCMBの偏光顕微鏡での観察結果を示す
【図3】実施例3の精製MCMBの偏光顕微鏡での観察
結果を示す図
【図4】(a)は、実施例4の精製MCMBの偏光顕微
鏡での観察結果を示す図(b)は、実施例4の炭化MC
MBの偏光顕微鏡での観察結果を示す図(c)は、実施
例4の黒鉛化MCMBの偏光顕微鏡での観察結果を示す
【図5】実施例5の精製MCMBの偏光顕微鏡での観察
結果を示す図
【図6】実施例6の精製MCMBの偏光顕微鏡での観察
結果を示す図
【図7】実施例1の一次洗浄MCMBと精製MCMBの
性状を示す図表
【図8】実施例2の一次洗浄MCMBと精製MCMBの
性状を示す図表
【図9】実施例3の一次洗浄MCMBと精製MCMBの
性状を示す図表
【図10】実施例4の一次洗浄MCMBと精製MCMB
の性状を示す図表
【図11】実施例5の一次洗浄MCMBと精製MCMB
の性状を示す図表
【図12】実施例6の一次洗浄MCMBと精製MCMB
の性状を示す図表
【図13】相互に癒着した粗MCMBを示す図
【図14】独立分離したMCMBの球体の周囲がピッチ
成分で均一に覆われたMCMBを示す図
【符号の説明】
1 MCMB 2 ピッチ成分 3 ピッチ成分同士の癒着部分

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭系重質油を熱処理し、生成した粗メ
    ソカーボンマイクロビーズを、沸点範囲100〜500
    ℃のタール中油を粗メソカーボンマイクロビーズ重量の
    0.1〜20倍量加え、10〜300℃で0.1〜20
    時間洗浄処理することにより、得られる、メソカーボン
    マイクロビーズの球体の周囲が0〜10μmの厚さのピ
    ッチ成分で覆われているメソカーボンマイクロビーズの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 メソカーボンマイクロビーズの球体の周
    囲が0.01〜10μmの厚さのピッチ成分で覆われて
    いるメソカーボンマイクロビーズ生品。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記のメソカーボン
    マイクロビーズ生品が炭化品であるメソカーボンマイク
    ロビーズの球体の周囲が0.01〜10μmの厚さの異
    方性組織からなるピッチ成分で覆われたメソカーボンマ
    イクロビーズの炭化品。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記のメソカーボン
    マイクロビーズ生品が黒鉛化品であるメソカーボンマイ
    クロビーズの球体の周囲が0.01〜10μmの厚さの
    異方性組織からなるピッチ成分で覆われたメソカーボン
    マイクロビーズの黒鉛化品。
  5. 【請求項5】 請求項2のメソカーボンマイクロビーズ
    生品を酸化雰囲気中、20〜300℃の温度範囲で酸化
    した後、粉体のまま、炭化することにより得られるメソ
    カーボンマイクロビーズの球体の周囲が0.01〜10
    μmの厚さの等方性組織からなるピッチ成分で覆われた
    メソカーボンマイクロビーズの炭化品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2のメソカーボンマイクロビーズ
    生品を酸化雰囲気中、20〜300℃の温度範囲で酸化
    した後、粉体のまま、黒鉛化することにより得られるメ
    ソカーボンマイクロビーズの球体の周囲が0.01〜1
    0μmの厚さの等方性組織からなるピッチ成分で覆われ
    たメソカーボンマイクロビーズの黒鉛化品の製造方法。
  7. 【請求項7】 石炭系重質油を熱処理し、生成した粗メ
    ソカーボンマイクロビーズを、沸点範囲100〜500
    ℃のタール中油を粗メソカーボンマイクロビーズ重量の
    0.1〜20倍量加え、10〜300℃で0.1〜20
    時間洗浄処理することにより、得られる、メソカーボン
    マイクロビーズの球体の周囲がピッチ成分で覆われてい
    ないメソカーボンマイクロビーズ生品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7のメソカーボンマイクロビーズ
    生品を粉体のまま、炭化および黒鉛化することにより得
    られるメソカーボンマイクロビーズの球体の周囲がピッ
    チ成分で覆われてないメソカーボンマイクロビーズ炭化
    品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7のメソカーボンマイクロビーズ
    生品を粉体のまま、炭化および黒鉛化することにより得
    られるメソカーボンマイクロビーズの球体の周囲がピッ
    チ成分で覆われていないメソカーボンマイクロビーズ黒
    鉛化品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項2のメソカーボンマイクロビー
    ズ生品を、成型後焼成する特殊炭素材の製造方法。
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