JPH07274682A - 脱穀装置の選別部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 唐箕から離れるチャフシーブの後部側におけ
るチャフリップ板による風力の受け入れを行い易くし
て、チャフシーブにおける処理物の選別精度の向上を図
れるようにするとともに、処理物量が多い場合や処理物
が濡れている場合などにおいても、チャフリップ板の好
適な開度調節により選別効率を向上させながら処理物の
選別精度の向上を図れるようにする。 【構成】 チャフシーブ７を、一つの操作部材２２の操
作により開度調節される複数のチャフリップ板７ａで構
成した脱穀装置の選別部構造において、複数のチャフリ
ップ板７ａのうち、後方に位置するチャフリップ板７ａ
あるいはチャフリップ板群７Ａほど下方に配置するとと
もに、操作部材２２の単位操作量に対するチャフリップ
板７ａの開度変更量が、前方に位置するチャフリップ板
７ａあるいはチャフリップ板群７Ａほど大きくなるよう
に、操作部材２２と夫々のチャフリップ板７ａとを連係
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、受網から漏下した処理
物を前方に配設した唐箕からの風力を受けて粗選別する
チャフシーブを、一つの操作部材の操作により開度調節
される複数のチャフリップ板で構成した脱穀装置の選別
部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記のような脱穀装置の選別部構
造において、チャフシーブは、上端位置と下端位置とが
夫々同じ高さとなるように配列設定されるとともに、操
作部材の単位操作量に対する夫々の開度変更量が同じ大
きさとなるように開度設定された複数のチャフリップ板
により構成されていた〔特開平４‐３６０６１７号公報
参照〕。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によると、唐箕側となるチャフシーブの前部側
においては、唐箕からの選別風がチャフリップ板に向け
て吹き付けられるようになるため、チャフリップ板によ
る風力の受け入れが行い易く上方の処理物に向けて吹き
上がる選別風量も多くなって、効果的な吹き上げ搬送を
得ることができるようになり、切れワラやワラ屑などの
漏下が回避された良好な処理物の粗選別を行えるのであ
るが、唐箕から離れるチャフシーブの後部側において
は、唐箕からの選別風が、同じ高さに配列設定された複
数のチャフリップ板の配列方向に沿ってチャフリップ板
の下方を吹き抜けるようになるため、チャフリップ板に
よる風力の受け入れが行い難くなるとともに上方の処理
物に向けて吹き上がる選別風量も少なくなり、効果的な
吹き上げ搬送を得ることができなくなって、切れワラや
ワラ屑などが漏下するようになっていた。又、処理物量
が多い場合や処理物が濡れている場合などにおいては、
操作部材の操作によりチャフリップ板を開き側に開度調
節することによって、チャフリップ板の開度を大きくし
て穀粒の漏下を促進させて選別効率を向上させることが
できるのであるが、その開度調節に伴って切れワラやワ
ラ屑などが比較的に多く滞留するチャフシーブ後部側の
チャフリップ板の開度も同様に大きくなり、チャフシー
ブの後方側から切れワラやワラ屑などが漏下するように
なっていた。つまり、良好な処理物の粗選別を行うこと
ができなくなっており、チャフシーブにおける処理物の
選別精度の向上を図る上において改良の余地があった。

【０００４】本発明の目的は、唐箕から離れるチャフシ
ーブの後部側におけるチャフリップ板による風力の受け
入れを行い易くして、チャフシーブにおける処理物の選
別精度の向上を図れるようにするとともに、処理物量が
多い場合や処理物が濡れている場合などにおいても、チ
ャフリップ板の好適な開度調節により選別効率を向上さ
せながら処理物の選別精度の向上を図れるようにするこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、受網から漏下した処理物を前方に配設
した唐箕からの風力を受けて粗選別するチャフシーブ
を、一つの操作部材の操作により開度調節される複数の
チャフリップ板で構成した脱穀装置の選別部構造におい
て、前記複数のチャフリップ板のうち、後方に位置する
チャフリップ板あるいはチャフリップ板群ほど下方に配
置するとともに、前記操作部材の単位操作量に対する前
記チャフリップ板の開度変更量が、前方に位置するチャ
フリップ板あるいはチャフリップ板群ほど大きくなるよ
うに、前記操作部材と夫々のチャフリップ板とを連係し
た。

【０００６】

【作用】本発明によると、唐箕から離れるチャフシーブ
の後部側のように唐箕からの選別風が複数のチャフリッ
プ板の配列方向に沿ってチャフリップ板の下方を吹き抜
けるような状態においても、後方に位置するものほど下
方に配置されたチャフリップ板あるいはチャフリップ板
群の下端がその通風路に入り込むようになるので、唐箕
から離れるチャフシーブの後部側においてもチャフリッ
プ板による風力の受け入れが行い易くなり、上方の処理
物に向けて吹き上がる選別風量が多くなって効果的な吹
き上げ搬送を得られるようになり、チャフシーブの後部
側における切れワラやワラ屑などの漏下を回避できるよ
うになる。又、チャフリップ板の閉じ状態において、夫
々のチャフリップ板同士が等間隔で近接するように夫々
のチャフリップ板の連結を設定しておくと、一つの操作
部材の操作によりチャフリップ板を開き側に開度調節し
た場合には、穀粒が比較的に多く滞留するチャフシーブ
の前部側に位置するチャフリップ板あるいはチャフリッ
プ板群ほどチャフリップ板の開度量が大きく変更される
とともに、切れワラやワラ屑などが比較的に多く滞留す
るチャフシーブの後部側に位置するチャフリップ板ある
いはチャフリップ板群ほどチャフリップ板の開度量が小
さく変更されるようになるので、チャフシーブの前部側
における穀粒の漏下を促進させるようにしながらも、チ
ャフシーブの後部側における切れワラやワラ屑などの漏
下を回避できるようになる。

【０００７】

【発明の効果】従って、本発明によれば、処理物量が少
ない場合などにおいては、効果的な吹き上げ搬送によ
り、チャフシーブの後部側における切れワラやワラ屑な
どの漏下を回避する良好な処理物の粗選別を行うことが
できるので、チャフシーブにおける処理物の選別精度の
向上を図ることができるようになった。又、処理物量が
多い場合や処理物が濡れている場合などにおいては、チ
ャフリップ板の開度調節により、チャフシーブの前部側
における穀粒の漏下を促進させながらチャフシーブの後
部側における切れワラやワラ屑などの漏下を回避する良
好な処理物の粗選別を行うことができるので、チャフシ
ーブにおける処理物の選別効率を向上させながら選別精
度の向上を図ることができるようになった。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を全稈投入型コンバインの脱穀
装置Ａに適用した実施例を図面に基づいて説明する。

【０００９】図１には、全稈投入型コンバインに搭載さ
れる脱穀装置Ａの縦断側面が示されており、この脱穀装
置Ａは、フィーダ１により送り込まれた刈取穀稈を脱穀
する脱穀部Ａ１、脱穀部Ａ１からの処理物を脱穀粒から
なる一番物と枝付き穀粒などの未脱穀粒からなる二番物
と切れワラやワラ屑などの塵埃からなる三番物とに選別
する選別部Ａ２、及び、選別部Ａ２により選別された一
番物と二番物とを回収する回収部Ａ３、などによって構
成されている。

【００１０】脱穀部Ａ１は、螺旋状の扱歯２Ａを備えた
軸流型の扱胴２、及び、扱胴２の下方に張設された受網
としてのコンケーブ３、などによって構成されており、
扱胴２を駆動回転させることによって、刈取穀稈に扱処
理を施すとともに長ワラや切れワラなどを後部から機外
に排出するようになっている。図中の符号４は、排出す
る長ワラや切れワラなどを細かく叩き切るチョッパであ
る。又、刈取穀稈の扱処理により得られた処理物はコン
ケーブ３から漏下するようになっている。

【００１１】選別部Ａ２は、コンケーブ３の前部から漏
下した処理物を受け止めて後方へ移送するグレンパン
５、グレンパン５から移送された処理物のうちの多くの
穀粒を漏下させる孔開き搬送板６、孔開き搬送板６に連
なって処理物の粗選別を行うチャフシーブ７、チャフシ
ーブ７に連なって処理物の粗選別を行うリアシーブ８、
及び、孔開き搬送板６とチャフシーブ７から漏下した処
理物の精選別を行う一番物選別用のグレンシーブ９、な
どを備えるとともに、偏芯カム式の駆動機構１０からの
駆動力により上下成分と前後成分とを持った揺動軌跡で
揺動可能に構成された揺動選別ケース１１と、脱穀装置
Ａの前下部に配設されるとともに揺動選別ケース１１に
向けて風力を供給する唐箕１２、などによって構成され
ており、揺動選別ケース１１の揺動による篩い選別と唐
箕１２からの風力による風選別とによって、処理物の穀
粒選別を行うとともに切れワラやワラ屑などの塵埃を後
方に向けて吹き上げ搬送して機外に排出するようになっ
ている。

【００１２】回収部Ａ３は、グレンシーブ９から漏下し
た一番物としての脱穀粒を回収する一番物回収部１３
と、グレンシーブ９にて漏下しなかった二番物やリアシ
ーブ８から漏下した二番物としての枝付き穀粒などの未
脱穀粒を回収する二番物回収部１４とによって構成され
ている。一番物回収部１３にて回収された脱穀粒は、一
番スクリューコンベア１５とバケットコンベア（図示せ
ず）によって搬送され、グレンタンク（図示せず）にて
貯留されるようになっている。一方、二番物回収部１４
にて回収された未脱穀粒は、再処理機能付きの二番還元
装置１６にて再処理された後に選別部Ａ２へ揚送還元さ
れるようになっている。

【００１３】図２にも示すように、走行機体の右前部に
搭載されたエンジン１７から脱穀装置Ａの扱胴２や駆動
機構１０あるいは唐箕１２などに供給される動力は、唐
箕１２からの選別風が通流する風路Ｒを横断するカウン
タ軸１８を介して、開放された脱穀装置Ａの左側部にお
いて分配されるようになっており、脱穀装置Ａのメンテ
ナンス時などにおける伝動系の切離しや接続を容易に行
えるようにしている。一方、カウンタ軸１８には、横断
流ファン１９が一体回動可能に取り付けられており、唐
箕１２からの選別風を、揺動選別ケース１１の孔開き搬
送板６とチャフシーブ７に向けて効率よく供給できるよ
うになっている。

【００１４】揺動選別ケース１１に備えられたチャフシ
ーブ７の構成について詳述すると、図３に示すように、
チャフシーブ７は、前後方向に等間隔を隔てて配列され
た同じ大きさの複数のチャフリップ板７ａからなる三つ
のチャフリップ板群７Ａによって構成されており、後方
に位置するチャフリップ板群７Ａほど下方に配置される
ようになっている。

【００１５】つまり、チャフシーブ７の後部側におい
て、複数のチャフリップ板７ａの配列方向に沿ってチャ
フリップ板７ａの下方を吹き抜ける唐箕１２からの選別
風のチャフシーブ７側への受け入れを行い易くし、チャ
フシーブ７の後部側において上方の処理物に向けて吹き
上がる選別風量を多くすることによって、チャフシーブ
７の後部側からの切れワラやワラ屑などの漏下を回避で
きるようにしている。

【００１６】又、夫々のチャフリップ板７ａの下端に
は、揺動選別ケース１１に枢支連結される支軸ａが左右
外方に向けて突設されている。三つのチャフリップ板群
７Ａのうち、前方に位置するチャフリップ板群７Ａの夫
々のチャフリップ板７ａには、支軸ａから上方に所定間
隔Ｌ１を隔てた所定箇所に、連係軸ｂが左右外方に向け
て突設されている。中間に位置するチャフリップ板群７
Ａの夫々のチャフリップ板７ａには、支軸ａから上方に
所定間隔Ｌ１よりも大きい所定間隔Ｌ２を隔てた所定箇
所に、連係軸ｃが左右外方に向けて突設されている。後
方に位置するチャフリップ板群７Ａの夫々のチャフリッ
プ板７ａには、支軸ａから上方に所定間隔Ｌ２よりも大
きい所定間隔Ｌ３を隔てた所定箇所に、連係軸ｄが左右
外方に向けて突設されている。連係軸ｂは、左右一対の
連結板２０に前後方向に等間隔を隔てて枢支連結されて
いる。連係軸ｃ，ｄの夫々は、左右一対の連結板２０に
前後方向に等間隔を隔てて上下に長く形成された連結用
の長孔２０ａに枢支連結されている。前方に位置するチ
ャフリップ板群７Ａを構成する複数のチャフリップ板７
ａのうちの一つには、支軸ａと連係軸ｂを介して操作ア
ーム２１が連結されており、この操作アーム２１には、
脱穀部Ａ１の扱室２２内における脱穀処理物の流量を検
出する接触式のセンサＳからの検出情報に基づいて制御
装置Ｈにより駆動制御される電動モータＭ（操作部材の
一例）がレリーズワイヤ２３などを介して連係されてい
る。又、揺動選別ケース１１と操作アーム２１とに亘っ
て、操作アーム２１をレリーズワイヤ２３による引っ張
り方向と逆の方向に付勢するバネ２４が設けられてい
る。以上の構成によって、処理物量に応じて夫々のチャ
フリップ板７ａの開度を一体的に調節できるようになっ
ている。又、夫々のチャフリップ板７ａは、閉じ状態に
おいて夫々のチャフリップ板７ａ同士が等間隔で近接す
るように連結設定されている。

【００１７】つまり、制御装置Ｈによる電動モータＭの
単位操作量に対する夫々のチャフリップ板７ａの開度変
更量が前方に位置するチャフリップ板群７Ａほど大きく
なるように、電動モータＭと夫々のチャフリップ板７ａ
とが連係されており、処理物量が多い場合などにおいて
は、制御装置Ｈによる電動モータＭの駆動制御により複
数のチャフリップ板７ａの開度が夫々の支軸ａ周りで開
き側に調節されるようになり、その調節に伴って、穀粒
が比較的に多く滞留するチャフシーブの前方側ほどチャ
フリップ板の開度量が大きく変更され、チャフシーブ７
の前半側における穀粒の漏下が促進されるとともに、切
れワラやワラ屑などが比較的に多く滞留するチャフシー
ブの後方側ほどチャフリップ板の開度量が小さく変更さ
れ、チャフシーブ７の後半側における切れワラやワラ屑
などの漏下が回避されるようになっている。

【００１８】〔別実施例〕以下、本発明の別実施例を列
記する。 本発明を、自脱型のコンバインやハーベスタなどに
適用するようにしてもよい。 図４に示すように、チャフシーブ７を、前後方向に
等間隔を隔てて配列された複数のチャフリップ板７ａか
らなる三つのチャフリップ板群７Ａによって構成し、後
方に位置するチャフリップ板群７Ａほど下方に配置する
とともにチャフリップ板７ａを短くし、かつ、夫々のチ
ャフリップ板７ａにおいて夫々のチャフリップ板７ａの
開度調節支点となる下端の支軸ａから上方に一定間隔Ｌ
４を隔てて突設された連係軸ｂを、階段状に形成された
連結板２５に枢支連結するとともに操作部材としての電
動モータ２２に連係することによって、操作部材２２の
単位操作量に対するチャフリップ板群７Ａの開度変更量
が、前方に位置するチャフリップ板群７Ａほど大きくな
るようにしてもよい。 チャフシーブ７を、二つあるいは四つ以上のチャフ
リップ板群７Ａで構成するようにしてもよい。 チャフシーブ７を前後方向に等間隔を隔てて配列さ
れた複数のチャフリップ板７ａによって構成し、後方に
位置するチャフリップ板７ａほど下方に配置するととも
に、操作部材２２の単位操作量に対するチャフリップ板
７ａの開度変更量が、前方に位置するチャフリップ板７
ａほど大きくなるように、操作部材２２と夫々のチャフ
リップ板７ａとを連係するようにしてもよい。 操作部材２２としては上記実施例の電動モータ２２
に限定されるものではなく、例えば、電動シリンダや油
圧シリンダあるいは手動式の操作レバーなどであっても
よい。

【００１９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱穀装置の縦断側面図

【図２】伝動構成の一部を示す概略図

【図３】チャフシーブの構成を示す揺動選別ケースの縦
断側面図

【図４】別実施例におけるチャフシーブの構成を示す揺
動選別ケースの縦断側面図

【符号の説明】

３ 受網 ７ チャフシーブ ７ａ チャフリップ板 ７Ａ チャフリップ板群 １２ 唐箕 ２２ 操作部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 祐二 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 受網（３）から漏下した処理物を前方に
   配設した唐箕（１２）からの風力を受けて粗選別するチ
   ャフシーブ（７）を、一つの操作部材（２２）の操作に
   より開度調節される複数のチャフリップ板（７ａ）で構
   成した脱穀装置の選別部構造であって、 前記複数のチャフリップ板（７ａ）のうち、後方に位置
   するチャフリップ板（７ａ）あるいはチャフリップ板群
   （７Ａ）ほど下方に配置するとともに、前記操作部材
   （２２）の単位操作量に対する前記チャフリップ板（７
   ａ）の開度変更量が、前方に位置するチャフリップ板
   （７ａ）あるいはチャフリップ板群（７Ａ）ほど大きく
   なるように、前記操作部材（２２）と夫々のチャフリッ
   プ板（７ａ）とを連係してある脱穀装置の選別部構造。