JPH07245216A - 分解輸送変圧器とその輸送方法 - Google Patents

分解輸送変圧器とその輸送方法

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JPH07245216A
JPH07245216A JP3241894A JP3241894A JPH07245216A JP H07245216 A JPH07245216 A JP H07245216A JP 3241894 A JP3241894 A JP 3241894A JP 3241894 A JP3241894 A JP 3241894A JP H07245216 A JPH07245216 A JP H07245216A
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JP
Japan
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iron core
leg
yoke
transformer
disassembling
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Application number
JP3241894A
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English (en)
Inventor
Toshio Kase
俊雄 加瀬
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 輸送ユニットのサイズと重量を大幅に低減し
て輸送の容易化を図ると共に、分解程度を最小限に止め
る。 【構成】 左右の鉄心脚13,14に一体的にバインド
した脚当板21と、下部ヨーク15に一体的にバインド
したヨーク当板23とをピン21bによって結合するこ
とにより、左右の鉄心脚13,14と下部ヨーク15を
結合してU字形鉄心ユニット11a〜11dを構成す
る。対向する脚当板21の各下端部のネジ座21aに対
して、下部鉄心締付金具24の両端部をネジ26によっ
て締付け固定することにより、左右の鉄心脚13,14
と下部ヨーク15との接続部分を支持固定する。隣接す
るU字形鉄心ユニットの隣接する鉄心脚13,14同士
を突き合わせてこれを主脚鉄心17a〜17cとし、こ
こにコイル2を挿入する。輸送時には、U字形鉄心ユニ
ットをそのままの状態で輸送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、送変電用に使用される
変圧器に係り、特に、工場組立および輸送時における変
圧器サイズと重量を大幅に低減可能とするための鉄心の
改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の電力需要の増大に伴い、送電系統
も500kV送電などと高電圧化すると共に、送変電用
に使用される変圧器も大容量化している。また、電力需
要の大きい都市部での用地取得の困難性から、送電距離
も長大化している。そのため、変圧器についても、輸送
条件が一段と厳しい山間地に据え付けることが多くなっ
ており、その輸送寸法と重量の大幅な低減が必要となっ
ている。
【0003】従来、このような山間地などに設置するた
めの変圧器として各種の変圧器が提案されている。例え
ば、3相変圧器の場合、3台の単相変圧器として構成し
て分割輸送した後、現地で3相一括タンク、あるいは共
通ダクトにより各々の単相変圧器を接続結合して3相結
線を行うことによって3相変圧器を構成する、分割輸送
方式の変圧器(分割輸送変圧器)がある。さらに、工場
で組み立てた変圧器を、鉄心脚、鉄心上下ヨーク、巻
線、および分割タンクなどの各部分に分解細分化し、現
地でこれらを再度組み立てる、細分分解輸送方式の変圧
器(細分分解輸送変圧器)もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、将来的
に建設の予定されている300MVA級の送電系統にお
いて、使用する変圧器として、上記のような従来の分解
輸送変圧器または細分分解輸送変圧器を使用した場合に
は、それぞれ、次のような問題を生じてしまう。
【0005】まず、300MVA級の送電系統におい
て、使用する3相変圧器を前述した分割輸送変圧器で構
成する場合には、現地据付スペースや変圧器の経済性な
どから、3分割までが限度である。この場合、300M
VA級の3相変圧器の重量は、200トン程度の極めて
大重量になることが予想されるため、この3相変圧器を
3分割しても、各単相変圧器の輸送重量は、60トン程
度までしか低減できない。このような大重量物を、一般
トレーラで輸送することは困難であるため、工場から変
電所までの輸送に際しては、変圧器を工場から特殊コン
テナに積載し、鉄道または船輸送によって、変電所付近
まで輸送し、そこからさらに、特殊トレーラに積み替え
て変電所内に搬入するという輸送方法が採られることに
なる。その上、このような大重量の変圧器を一般の橋梁
や道路で運搬することは不可能であるため、現地のトレ
ーラ輸送を行うためには、大掛かりな橋梁の補強を含め
た道路補強工事が必要となり、建物信号機異説などが必
要になる場合もある。その結果、莫大な輸送コストと調
査・検討時間が必要となる上、公共物や一般交通に対し
て各種の影響を及ぼすなどの問題を生じてしまう。
【0006】一方、3個の単相変圧器を並べて3相変圧
器を構成する場合、普通の3相変圧器に比べて、無駄な
重複部分が多くなり、変圧器据付スペースが増大し、そ
の結果、変電所建設コストが増大するという問題も生じ
る。さらに、山岳地に建設される大容量揚水発電所向け
の600MVA級大容量変圧器の場合、9分割の単位変
圧器で構成する必要があるが、この場合でも、輸送重量
を50トン程度にまでしか低減できない上、9個の単位
変圧器を並べて3相変圧器を構成するため、普通の3相
変圧器に比べて、無駄な重複部分が極めて多くなり、莫
大な据付スペースが必要となる。そしてまた、水力発電
所においても、変圧器は発電機と同様地下建屋内に設置
されるため、変圧器据付スペースの増大はやはり、発電
所建設コストの増大につながる。
【0007】次に、300MVA級の送電系統におい
て、使用する3相変圧器を前述した細分分割輸送変圧器
で構成する場合には、変圧器を細分分解することによ
り、単に3分割した分割輸送変圧器に比べて輸送重量を
格段に低減できるため、工場から一般トレーラにより道
路補強の必要なしに現地へ輸送可能である。その反面、
変圧器を細分分解していることから、現地での大掛かり
な設備および工事が必要となる。すなわち、工場組立と
同様に、現地においても鉄心脚を寝かせ、下部ヨーク積
みを行った後に、重量が100トンを越える極めて大重
量の鉄心を起立する必要がある。そのため、大掛かりな
起立設備とこれを支持し据え付けるための基礎工事が必
要となる。さらに、分解された部分の再組立に長時間を
要することから、巻線絶縁物が吸湿してしまい、長時間
にわたる乾燥工程が必要となるため、変圧器据付工期が
増大すると共に、異物混入による変圧器中身品質の低下
が発生するなどの問題を生じる。
【0008】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その主な目的
は、高電圧・大容量の分解輸送変圧器において、分割輸
送する各ユニットの輸送サイズ、重量を大幅に低減して
輸送の容易化を図ると共に、分解程度を最小限に止め、
現地における組立工期の大幅な短縮と、工場および現地
組立設備の簡略化と組立部分の低減による組立品質の向
上を図った分解輸送変圧器を提供することである。ま
た、輸送重量を低減することにより、道路補強工事を行
うことなく、工場から現地発変電所までトレーラで輸送
することを可能として、輸送コストの大幅な低減と、道
路補強工事のための調査・検討時間の削除を図ることの
可能な、分解輸送変圧器の輸送方法を提供することも目
的の一つである。
【0009】より具体的に、請求項1記載の発明の目的
は、変圧器の部品中の最大重量物である鉄心をその鉄心
脚部分で分割して、U字形鉄心ユニットとすることによ
り、鉄心ユニットを小型・軽量化して、分解輸送変圧器
全体の輸送の容易化を図るとともに、分解程度を最小限
に止め、現地における組立工期の大幅な短縮と、工場お
よび現地組立設備の簡略化と組立部分の低減による組立
品質の向上を図ることである。また、U字形鉄心ユニッ
トの鉄心脚に一体的にバインドした脚当板と、U字形鉄
心ユニットの下部ヨークに一体的にバインドしたヨーク
当板とを結合することにより、U字形鉄心ユニットの結
合構成を簡略化して、鉄心ユニットの小型・簡略化を図
るとともに、その組立作業を容易にすることも目的の一
つである。さらに、絶縁材製のヨーク当板を使用するこ
とにより、下部ヨークによって左右の脚当板間を絶縁
し、漏れ磁束による不都合な循環電流の発生を防止し
て、鉄心の電気的信頼性を向上することも目的の一つで
ある。
【0010】請求項2記載の発明の目的は、対向する脚
当板の各下端部に対して、下部鉄心締付金具の両端部を
締付け固定することにより、対向する脚当板の間に挟ま
れた左右の鉄心脚と下部ヨークとの接続部分を確実に支
持固定して、鉄心の機械的信頼性を向上することであ
る。また、脚当板とヨーク当板をピンで結合するととも
に、脚当板に設けたネジ座に対して下部鉄心締付金具を
締付け固定することにより、U字形鉄心ユニットの結合
構成を極力簡略化して、鉄心ユニットの一層の小型・軽
量化を図るとともに、その組立作業をより容易にするこ
とである。
【0011】請求項3記載の発明の目的は、隣接するU
字形鉄心ユニットの隣接する鉄心脚同士を突き合わせて
これを主脚鉄心とし、ここにコイルを挿入することによ
り、鉄心ユニットの全てを有効利用可能な無駄のない構
成として、現地据付スペースの縮小化を図ることであ
る。
【0012】請求項4記載の発明の目的は、下部タンク
内に設けた下部中身支持装置によって変圧器中身を下部
タンク内の所定の位置に確実に支持固定することによ
り、据付けた変圧器の機械的安定性を向上し、それによ
って、変圧器の信頼性向上を図ることである。
【0013】請求項5記載の発明の目的は、ピンと固定
座と締付金具を使用することにより、下部中身支持装置
と脚当板との固定を簡略な構成で確実に行い、変圧器中
身を所定の位置に確実に支持固定して、据付けた変圧器
の機械的安定性を向上し、それによって、変圧器の信頼
性向上を図るとともに、組立作業の容易化および変圧器
支持構成の簡略化を図ることである。
【0014】請求項6記載の発明の目的は、上部鉄心締
付金具を介して脚当板に固定した上部中身支持装置によ
って変圧器中身を所定の位置に確実に支持固定すること
により、据付けた変圧器の機械的安定性を向上し、それ
によって、変圧器の信頼性向上を図ることである。
【0015】請求項7記載の発明の目的は、対向する脚
当板の各下端部に対して、上部鉄心締付金具の両端部を
締付け固定することにより、対向する脚当板の間に挟ま
れた左右の鉄心脚と上部ヨークとの接続部分を確実に支
持固定して、鉄心の機械的安定性を確保することであ
る。また、脚当板に設けたネジ座に対して上部鉄心締付
金具を締付け固定することによりU字形鉄心ユニットの
結合構成を極力簡略化して、鉄心ユニットの一層の小型
・軽量化を図るとともに、その製造を容易にすることで
ある。
【0016】請求項8記載の発明の目的は、U字形鉄心
ユニットを、そのままの状態で輸送することにより、輸
送重量を低減して、道路補強工事を行うことなく、工場
から現地発変電所まで一般トレーラで輸送することを可
能として、輸送コストの大幅な低減と、道路補強工事の
ための調査・検討時間の削除を図ることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の分解輸送変圧器は、鉄心脚と上下
ヨークから構成される鉄心と、鉄心脚外周に配置される
コイルと、鉄心とコイルを含む変圧器中身を収納する下
部タンクとこの下部タンクの上面と接合される上部タン
クとを備えた分解輸送変圧器において、鉄心が、下部ヨ
ークとこれに接続された左右の鉄心脚とでU字形に形成
したU字形鉄心ユニットと、このU字形鉄心ユニットに
固定される上部ヨークから構成されることを特徴として
いる。
【0018】より詳細に、この請求項1の分解輸送変圧
器において、U字形鉄心ユニットは、脚当板と、絶縁物
製のヨーク当板を有する。このうち、脚当板は、鉄心脚
の両面に対向して配置され、この鉄心脚とテープで一体
的にバインドされる。また、ヨーク当板は、下部ヨーク
の両面に対向して配置され、この下部ヨークとテープで
一体的にバインドされる。さらに、左右の鉄心脚の同じ
側の面に配置された左右の脚当板の下部と、この脚当板
と同じ側の面に配置されたヨーク当板の左右両端部とが
結合される。
【0019】請求項2記載の分解輸送変圧器は、請求項
1記載の分解輸送変圧器の特徴に加えて、さらに、次の
ような特徴を有する。すなわち、請求項2の分解輸送変
圧器において、左右の鉄心脚の両面に固定された対向す
る脚当板の下端部間に配置される下部鉄心締付金具を有
し、この下部鉄心締付金具は、その両端部にて対向する
脚当板の各下端部にそれぞれ締付け固定され、鉄心脚と
下部ヨークとの接続部分を支持固定するように構成され
る。また、脚当板は、その下部に固着されたピンを備
え、このピンに嵌合する形でヨーク当板の左右両端部が
結合される。そしてまた、脚当板は、その上下端部にネ
ジ座を備え、このうちの下端部のネジ座に対して下部鉄
心締付金具の両端部が締付け固定される、請求項3記載
の分解輸送変圧器は、請求項1記載の分解輸送変圧器の
特徴に加えて、さらに、次のような特徴を有する。すな
わち、請求項3の分解輸送変圧器において、U字形鉄心
ユニットは、複数個使用され、この複数個のU字形鉄心
ユニットは、各々の鉄心脚同士を突き合わせる形で近接
して並べて配置され、突き合わせられた2個の鉄心脚を
1個の主脚鉄心として、この主脚鉄心にコイルが挿入さ
れることを特徴としている。
【0020】請求項4記載の分解輸送変圧器は、請求項
1記載の分解輸送変圧器の特徴に加えて、さらに、次の
ような特徴を有する。すなわち、請求項4の分解輸送変
圧器は、下部タンク内に設けられた下部中身支持装置を
有する。この下部中身支持装置は、下部ヨークを両面か
ら挟み、かつ、コイル下面をその下方から支持する装置
であり、その内面により脚当板の下部の外面を固定する
ように構成されることを特徴としている。
【0021】請求項5記載の分解輸送変圧器は、請求項
4記載の分解輸送変圧器の特徴に加えて、さらに、次の
ような特徴を有する。すなわち、請求項5の分解輸送変
圧器においては、脚当板の下部にピンが設けられ、下部
中身支持装置の内面には、ピンをその下方から支持する
固定座と、この固定座の上方に設けられ、固定座との間
にピンを挟んで固定する締付金具が設けられることを特
徴としている。
【0022】請求項6記載の分解輸送変圧器は、請求項
1記載の分解輸送変圧器の特徴に加えて、さらに、次の
ような特徴を有する。すなわち、請求項6の分解輸送変
圧器は、上部鉄心締付金具と上部中身支持装置とを有す
る。このうち、上部鉄心締付金具は、左右の鉄心脚の両
面に固定された対向する脚当板の上端部間に配置され
る。この上部鉄心締付金具は、その両端部にて対向する
脚当板の各上端部に締付け固定され、鉄心脚と上部ヨー
クとの機械的結合部分を支持固定するように構成され
る。また、上部中身支持装置は、上部ヨークを両面から
挟み、かつ、上部鉄心締付金具の下面に固定され、コイ
ル上面をその上方から支持する。
【0023】請求項7記載の分解輸送変圧器は、請求項
6記載の分解輸送変圧器の特徴に加えて、さらに、次の
ような特徴を有する。すなわち、請求項7の分解輸送変
圧器において、脚当板は、その上下端部にネジ座を備
え、上部鉄心締付金具の両端部は、上端部のネジ座に対
して締付け固定されることを特徴としている。
【0024】請求項8記載の分解輸送変圧器の輸送方法
は、請求項6または請求項7記載の分解輸送変圧器を輸
送する際に、U字形鉄心ユニットから上部中身支持装置
と上部ヨークを外してコイルを抜き、このU字形鉄心ユ
ニットを下部中身支持装置から外して輸送することを特
徴としている。
【0025】
【作用】以上のような構成を有する本発明の分解輸送変
圧器とその輸送方法によれば、鉄心を分割してなるU字
形鉄心ユニットを単位として輸送できる。すなわち、左
右の鉄心脚と下部ヨークを、U字形に組み立てた起立状
態のままで輸送できる。例えば、3相器鉄心では4個の
U字形鉄心ユニットを個別に輸送することになる。した
がって、変圧器の部品中の最大重量物である鉄心を約1
/4の寸法・重量に分割して輸送するため、300MV
A級の変圧器でも輸送重量が30トン以下となり、一般
の低床トレーラによる一般道路での輸送が可能となる。
また、鉄心を起立したままで輸送できるため、現地に大
掛かりな鉄心起立装置を設置することも不要となる。
【0026】より具体的に、請求項1の分解輸送変圧器
においては、U字形鉄心ユニットの鉄心脚に一体的にバ
インドした脚当板と、U字形鉄心ユニットの下部ヨーク
に一体的にバインドしたヨーク当板とを結合することに
より、左右の鉄心脚と下部ヨークとを容易に接続でき
る。また、絶縁材製のヨーク当板を使用することによ
り、下部ヨークと脚当板との間を絶縁できる。
【0027】請求項2の分解輸送変圧器においては、対
向する脚当板の各下端部に対して、下部鉄心締付金具の
両端部を締付け固定することにより、対向する脚当板の
間に挟まれた左右の鉄心脚と下部ヨークとの接続部分を
確実に支持固定できる。また、脚当板とヨーク当板をピ
ンで結合することにより、左右の鉄心脚と下部ヨークと
を、脚当板、ヨーク当板、およびピンを介して容易に結
合できる。さらに、脚当板の下端部に設けたネジ座に対
して下部鉄心締付金具を締付け固定することにより、一
対の脚当板を介して、これらの間に挟まれた左右の鉄心
脚と下部ヨークとの接続部分を確実かつ容易に支持固定
できる。
【0028】請求項3の分解輸送変圧器においては、隣
接するU字形鉄心ユニットの隣接する鉄心脚同士を突き
合わせてこれを主脚鉄心とし、ここにコイルを挿入する
ことにより、鉄心ユニットの全てを有効利用することが
でき、構成に無駄がない。
【0029】請求項4の分解輸送変圧器においては、下
部タンク内に設けた下部中身支持装置によって変圧器中
身を下部タンク内の所定の位置に容易かつ確実に位置決
めし、支持固定できる。
【0030】請求項5の分解輸送変圧器においては、脚
当板に設けたピンを、下部中身支持装置に設けた固定座
と締付金具によって挟んで固定することにより、下部中
身支持装置と脚当板との固定を確実に行うことができる
ため、変圧器中身を所定の位置に容易かつ確実に支持固
定できる。
【0031】請求項6の分解輸送変圧器においては、脚
当板に対し上部鉄心締付金具を介して上部中身支持装置
を固定することにより、この上部中身支持装置によって
変圧器中身の上部を容易かつ確実に支持固定できる。
【0032】請求項7の分解輸送変圧器においては、脚
当板の上端部に設けたネジ座に対して上部鉄心締付金具
を締付け固定することにより、一対の脚当板を介して、
これらの間に挟まれた左右の鉄心脚と上部ヨークとの接
続部分を確実かつ容易に支持固定できる。
【0033】請求項8の分解輸送変圧器の輸送方法にお
いては、U字形鉄心ユニットを輸送ユニットとして輸送
することにより、鉄心全体をそのまま輸送する場合、あ
るいは、単相変圧器の形に分割して輸送する場合に比べ
て輸送重量を大幅に低減できる。したがって、このよう
なU字形鉄心ユニットの輸送に際しては、道路補強工事
を行うことなく、工場から現地発変電所まで一般の低床
トレーラで直接輸送できる。
【0034】
【実施例】以下、本発明による分解輸送変圧器の実施例
について、図面を参照して説明する。
【0035】[1]第1実施例の構成 図1〜図8は、本発明による分解輸送変圧器を3相5脚
鉄心を有する変圧器に適用した第1実施例の構成を示す
図である。図2に示すように、本実施例の分解輸送変圧
器は、大別して、鉄心1とコイル2を含む変圧器中身
と、この変圧器中身を収納する下部タンク3aと上部タ
ンク3b、下部中身支持装置4、および上部中身支持装
置5から構成されている。
【0036】[1−1]変圧器中身の概略構成 図1に示すように、本実施例の鉄心1は、4個の分割鉄
心1a〜1dから構成されている。これらの分割鉄心1
a〜1dは、共に、正面形状が額縁状の同一構成とされ
ており、それぞれ、U字形鉄心ユニット11a〜11d
を主体とし、これに、それぞれ、上部ヨーク12を組み
合わせる形で構成されている。このうち、U字形鉄心ユ
ニット11a〜11dは、左右の鉄心脚13,14と下
部ヨーク15により構成されている。
【0037】また、4個のU字形鉄心ユニット11a〜
11dは、ギャップ16を介して順次並べられており、
ギャップ16を介して互いに隣り合う2個の鉄心脚1
3,14によって、3個の主脚鉄心17a〜17cが構
成されている。逆に言えば、3個の主脚鉄心17a〜1
7cは、それぞれ、その中心においてギャップ16によ
って分割され、対称的な形状を有する2個の鉄心脚1
3,14をそれぞれ形成している。なお、図2に示すよ
うに、4個のU字形鉄心ユニット11a〜11dは、互
いに間隔片18を介して並設されており、この間隔片1
8によって、ギャップ16が確保されている。
【0038】そして、図1および図2に示すように、コ
イル2は、隣接する鉄心脚13,14によって構成され
る分割型の主脚鉄心17a〜17cの周囲に装着されて
いる。このコイル2の上下方向の締付けおよび支持は、
図2および図3に示すようにして、下部中身支持装置
4、上部中身支持装置5、下部ヨーク15、および上部
ヨーク12によって行われる。すなわち、コイル2の下
面は、下部ヨーク15の上面と下部中身支持装置4の上
面によって支持され、コイル2の上面は、上部ヨーク1
2の下面と上部中身支持装置5の下面によって支持され
ている。
【0039】[1−2]鉄心1の結合・締付構成 図1において、U字形鉄心ユニット11a〜11dを構
成する左右の鉄心脚13,14と下部ヨーク15および
上部ヨーク12は、それぞれ、図1に示すような形状を
有する抜板を、水平方向に複数枚積層して構成されてい
る。このうち、下部ヨーク15および上部ヨーク12
は、図3に示すように、その端部断面が半円形状を描く
ようにして積層されている。同様に、鉄心脚13,14
も、その端部断面が半円形状を描くようにして積層され
ている。なお、実際の製造時には、抜板を水平方向に配
置して上下方向に積み上げている。
【0040】次に、図2および図8に示すように、各U
字形鉄心ユニット11a〜11dの鉄心脚13,14の
両面には、対向して配置された脚当板21がそれぞれ重
ね合わせられており、バインドテープ22により対応す
る鉄心脚13,14と強固にバインドされ、一体化され
ている。この脚当板21は、図4に示すように、その上
下端部にネジ座21aを備えている。このネジ座21a
は、スタッドまたはネジ孔を備えた座のいずれかの形で
構成されている。また、脚当板21は、その下部に固定
用のピン21bを備え、その上部に吊上げ用の孔21c
を備えている。
【0041】一方、図7に示すように、各U字形鉄心ユ
ニット11a〜11dの下部ヨーク15の両面には、絶
縁材で構成された下部ヨーク当板23が重ね合わせられ
ており、バインドテープ22により下部ヨーク15と強
固にバインドされ、一体化されている。この下部ヨーク
当板23は、その両端部において左右の脚当板21に対
し、ピン21bによって結合されている。したがって、
この下部ヨーク当板23と脚当板21を介して、下部ヨ
ーク15と左右の鉄心脚13,14とが機械的に結合さ
れている。また、電気的には、下部ヨーク当板23が絶
縁材で構成されているため、下部ヨーク15と脚当板2
1との間はこの下部ヨーク当板23によって絶縁されて
いる。
【0042】さらに、図5に示すように、下部ヨーク1
5の下面には、下部鉄心締付金具24が、下部ヨーク1
5を挟んで対向する左右の脚当板21の下端部間に水平
方向に配置されている。また、上部ヨーク12の上面に
は、上部鉄心締付金具25が、上部ヨーク12を挟んで
対向する左右の脚当板21の上端部間に水平方向に配置
されている。この場合、下部と上部の鉄心締付金具2
4,25は、脚当板21の端部に設けられた各ネジ座2
1aに対し、ネジ26によって締付け固定されており、
鉄心脚13,14と上下部のヨーク12,15との接続
部分を上下方向から支持固定している。
【0043】[1−3]下部中身支持装置4の構成 図2および図3に示すように、下部タンク3aの底面に
は、タンクの長さ方向に水平に伸び、互いに対向する一
対の下部中身支持装置4が固着されている。この下部中
身支持装置4は、鉄心1およびコイル2の下部を支持す
るための部材であり、4個のU字形鉄心ユニット11a
〜11dの全体の長さに相当する長さの垂直面と上面を
有する。すなわち、図5に示すように、この一対の下部
中身支持装置4は、その垂直面によって4個のU字形鉄
心ユニット11a〜11dの下部ヨーク15部分を両側
から一括して支持するとともに、その上面によって鉄心
1の各主脚鉄心17a〜17cに挿入したコイル2の下
面を下方から一括して支持している。
【0044】より詳細には、図5に示すように、下部中
身支持装置4は、その内側に固定座41を備えており、
この固定座41には、脚当板21のピン21bが嵌合し
ている。固定座41の上方には、締付金具42が配置さ
れ、この締付金具42は、ネジ43によって固定座41
に締付け固定されている。したがって、締付金具42
は、固定座41とともに、脚当板21のピン21bを上
下方向から挟む形で支持固定している。下部中身支持装
置4の内面と下部ヨーク当板23との間には、間隔片4
4が挿入されており、この間隔片44は、U字形鉄心ユ
ニット11a〜11dの下部ヨーク15側面を支持固定
している。
【0045】[1−4]上部中身支持装置5の構成 図2および図3に示すように、U字形鉄心ユニット11
a〜11dの上部ヨーク12部分の両側には、鉄心1お
よびコイル2の上部を支持するための上部中身支持装置
5が配置されている。この上部中身支持装置5は、4個
のU字形鉄心ユニット11a〜11dの全体の長さに相
当する長さの垂直面と上面を有する部材であり、バイン
ドテープ51または図示していないスタッドなどによっ
て上部ヨーク12と強固にバインドされ、一体化されて
いる。また、この上部中身支持装置5の長さ方向両端部
は、締付金具52によって締付け固定されている。さら
にまた、図5に示すように、上部中身支持装置5の上面
は、上部鉄心締付金具25の下面に当接するように配置
され、ネジ53によって締付け固定されている。
【0046】[2]第1実施例の作用 以下には、本実施例の分解輸送変圧器の作用として、U
字形鉄心ユニット11a〜11dの作用、輸送時の分解
作業、および現地組立作業について順次説明する。
【0047】[2−1]U字形鉄心ユニット11a〜1
1dの作用 本実施例の分解輸送変圧器においては、前述したような
U字形鉄心ユニット11a〜11dを使用していること
から、次のような作用が得られる。
【0048】すなわち、まず、U字形鉄心ユニット11
a〜11dの左右の鉄心脚13,14に一体的にバイン
ドした脚当板21と、U字形鉄心ユニット11a〜11
dの下部ヨーク15に一体的にバインドしたヨーク当板
23とをピン21bによって結合しているため、左右の
鉄心脚13,14と下部ヨーク15とを、脚当板21、
ヨーク当板23、およびピン21bを介して容易に結合
できる。また、対向する脚当板21の各下端部のネジ座
21aに対して、下部鉄心締付金具24の両端部をネジ
26によって締付け固定しているため、対向する脚当板
21の間に挟まれた左右の鉄心脚13,14と下部ヨー
ク15との接続部分を確実かつ容易に支持固定できる。
さらに、絶縁材製のヨーク当板23を使用しているた
め、下部ヨーク15と脚当板21との間を絶縁すること
ができる。
【0049】一方、本実施例の鉄心1は、隣接するU字
形鉄心ユニットの隣接する鉄心脚13,14同士を突き
合わせてこれを主脚鉄心17a〜17cとし、ここにコ
イル2を挿入する構成である。したがって、3個の単相
変圧器によって3相変圧器を構成する場合のように、鉄
心の無駄な重複部分を生じることがなく、U字形鉄心ユ
ニットの全てを、分割型でない普通の変圧器の鉄心と同
様に使用でき、構成に無駄がない。
【0050】[2−2]輸送時の分解作業 本実施例の分解輸送変圧器の輸送時には、次のようにし
て分解作業を行い、輸送ユニットを構成する事ができ
る。すなわち、まず、図2および図3のような完成状態
から、上部タンク3b、上部中身支持装置5、上部鉄心
締付金具25、および上部ヨーク12をそれぞれ取外
し、コイル2を主脚鉄心17a〜17cから抜いて、各
部分を輸送ユニットとする。さらに、残りの部分に関し
ては、下部タンク3aに固着された下部中身支持装置4
から、鉄心1を取り外し、下部タンク3aおよび下部中
身支持装置4を1つの輸送ユニットとする。そして、鉄
心1については、図7および図8に示すように、この鉄
心1を構成する4個のU字形鉄心ユニット11a〜11
dを、それぞれ、そのままの状態で個別の輸送ユニット
とする。
【0051】本実施例においては、このように、U字形
鉄心ユニット11a〜11dを、そのままの状態で輸送
することにより、鉄心1全体をそのまま輸送する場合、
あるいは、単相変圧器の形に分割して輸送する場合に比
べて輸送重量を大幅に低減できる。特に、このように、
上部ヨーク12を取外してU字形鉄心ユニット11a〜
11dのみを個別に輸送する場合には、輸送重量を極力
低減することが可能となり、300MVA級の変圧器で
も、輸送重量を30トン以下にすることが可能となる。
したがって、このようなU字形鉄心ユニット11a〜1
1dの輸送に際しては、道路補強工事を行うことなく、
工場から現地発変電所まで一般の低床トレーラで直接輸
送することができる。また、U字形鉄心ユニット11a
〜11dを起立したままで輸送できるため、現地に大掛
かりな鉄心起立装置を設置することも不要となる。
【0052】一方、本実施例の分割輸送変圧器において
は、上部ヨーク12を取り外さずに、4個の分割鉄心1
a〜1dの形で、個別の輸送ユニットとすることもでき
る。この場合には、上部ヨーク12の分だけ輸送重量が
重くなるものの、普通の3相変圧器に比べれば、鉄心の
輸送重量を約1/4以下に低減することができる上、上
部ヨーク12を取り外さない分だけ、現地での組立作業
が容易になる。
【0053】[2−3]現地組立作業 本実施例の分解輸送変圧器の現地組立時には、次のよう
な組立作業を行う。まず、図2および図3に示すよう
に、下部タンク3aを設置し、この下部タンク3a内
に、U字形鉄心ユニット11a〜11dを順次搬入す
る。すなわち、図7および図8に示すように、U字形鉄
心ユニット11a〜11dの左右の鉄心脚13,14に
固定した左右の脚当板21の外縁間を結ぶ長さを有する
吊上げ金具6を使用し、この吊上げ金具6の両端部を、
左右の脚当板21の上部の吊上げ用の孔21cに、スタ
ッド7などによって固定する。そして、このようにして
U字形鉄心ユニット11a〜11dに吊上げ金具6を取
り付けた状態で、この吊上げ金具6を介してU字形鉄心
ユニット11a〜11dをワイヤ8によって吊上げ、下
部タンク3a内に順次搬入し、一対の下部中身支持装置
4上に順次並べていく。
【0054】より詳細に、下部タンク3a内への各U字
形鉄心ユニット11a〜11dの設置は次のようにして
行う。すなわち、まず、図5に示すように、下部中身支
持装置4の固定座41に各U字形鉄心ユニット11a〜
11dの左右の脚当板21のピン21bが嵌合する形
で、この固定座41をガイドとして、各U字形鉄心ユニ
ット11a〜11dを、下部中身支持装置4に対して位
置決めし、固定する。この後、左右の脚当板21のピン
21bの上面を、締め付け金具42とネジ43によっ
て、締付け固定する。また、下部中身支持装置4の内面
と下部ヨーク当板23との間には、間隔片44を挿入
し、この間隔片44によって、U字形鉄心ユニット11
a〜11dの下部ヨーク15側面を、鉄心1の長さ方向
にわたって揃え、固定する。さらに、図2に示すよう
に、各U字形鉄心ユニット11a〜11dの間には、間
隔片18を挿入し、この間隔片18によって、U字形鉄
心ユニット11a〜11d間の各ギャップ16を確保す
る。
【0055】以上のようにして、4個のU字形鉄心ユニ
ット11a〜11dを設置した後、図2に示すように、
ギャップ16を介して隣り合う2個の鉄心脚13,14
によって構成される3個の主脚鉄心17a〜17cのそ
れぞれに、コイル2を挿入する。この結果、コイル2の
下面は、下部ヨーク15の上面と下部中身支持装置4の
上面によって支持される。
【0056】続いて、図2に示すように、各U字形鉄心
ユニット11a〜11d上に、上部ヨーク12を積み、
左右の鉄心脚13,14に固定された左右の脚当板21
の上端部に設けたネジ座21aに対し、上部鉄心締付金
具25をネジ26によって締付け固定することにより、
4個の分割鉄心1a〜1dを構成する。なお、分割鉄心
1a〜1dの形で、上部ヨーク12を取外さずに、その
まま輸送する場合には、上部ヨーク12を積む作業と、
上部鉄心締付金具25を固定する作業が不要となる。
【0057】この後、図3に示すように、4個の上部ヨ
ーク12の両面に上部中身支持装置5をそれぞれ当接さ
せ、バインドテープ51または図示していないスタッド
などによって上部ヨーク12と強固にバインドし、一体
化する。また、この上部中身支持装置5の長さ方向両端
部を締付金具52で締付け固定する。さらにまた、図5
に示すように、上部中身支持装置5の上面を、上部鉄心
締付金具25の下面に当接するようにして配置し、ネジ
53によって両者を締付け固定する。
【0058】最後に、図2および図3に示すように、下
部タンク3aの上に、上部タンク3bを載せて、両者を
固定し、変圧器を完成する。
【0059】このように、本実施例によれば、現地にお
いて、変圧器のユニット化した各部分を、容易に組立て
ることができ、かつ、変圧器中身を確実に支持固定でき
る。より詳細には、まず、下部タンク3a内に設けた下
部中身支持装置4によって鉄心1およびコイル2を下部
タンク3a内の所定の位置に容易かつ確実に位置決め
し、支持固定できる。特に、本実施例においては、脚当
板21に設けたピン21bを、下部中身支持装置4に設
けた固定座41と締付金具42によって挟んで固定する
ことにより、下部中身支持装置4と脚当板21との固定
を確実に行うことができるため、鉄心1およびコイル2
を所定の位置に容易かつ確実に支持固定できる。また、
脚当板21の上端部に設けたネジ座21aに対し上部鉄
心締付金具25を介して上部中身支持装置5を固定する
ことにより、この上部中身支持装置25によって鉄心1
およびコイル2の上部を容易かつ確実に支持固定でき
る。
【0060】そして、このように、鉄心1、下部中身支
持装置4、および上部中身支持装置5を、脚当板21を
介して強度的に一体構造としているため、鉄心1重量を
確実に支持でき、十分なコイル締付力や短絡機械力を確
保することができる。また、コイル2の上下方向の支持
は、下部中身支持装置4、上部中身支持装置5、下部ヨ
ーク15、および上部ヨーク12によって確実に行われ
る。
【0061】[3]第1実施例の効果 以上のように、本実施例によれば、3相5脚鉄心を4個
の鉄心ユニットで組立あるいは輸送することが可能とな
るばかりでなく、鉄心強度あるいはコイル締付力強度を
十分確保することができる。加えて、左右の脚当板21
を電気的に独立させることができるため、漏れ磁束によ
る循環電流の発生を生じることもない。したがって、機
械的にも電気的にも信頼性の高い鉄心1を得ることがで
きる。
【0062】また、300MVA級以上の大容量変圧器
において、従来の分割輸送変圧器では、変圧器の輸送重
量が60トン程度までしか低減できなかったのに対し、
本実施例では、変圧器の輸送最大重量物である鉄心を3
0トン以下にまで低減可能となるため、道路補強工事を
行うことなく、工場から現地発変電所まで一般の低床ト
レーラで直接輸送することが可能となる。したがって、
変圧器の輸送コストを大幅に低減でき、従来のコストの
1/10以下とすることも可能である。
【0063】一方、従来の分割方式の3相変圧器におい
ては、単相器鉄心を3台製作することになるが、本発明
では3相5脚鉄心を単純に分割してユニット化している
ため、普通の3相5脚鉄心と同様の構成で製作できる。
したがって、従来の分割輸送変圧器に比べて、鉄心全体
を約2/3に低減でき、コンパクトで低コストの変圧器
を提供することが可能となる。
【0064】さらに、山岳地に造られる大容量揚水発電
所向けの600MVA級大容量変圧器の場合、従来技術
では、輸送重量を50トン程度にまでしか低減できない
上、無駄な重複部分が多くなることから、莫大な据付ス
ペースが必要となる問題があったが、本実施例によれば
輸送重量を30トン程度に低減可能であるとともに、現
地で普通の3相変圧器を構成できるため、据付スペース
も従来の1/2以下に縮小することが可能である。そし
てまた、水力発電所においても変圧器は発電機と同様地
下建屋の内に設置されるため、変圧器据付スペースの削
減は、莫大な発電所建設コストの低減を可能とする。
【0065】また、変電所用500kV大容量変圧器に
ついても、従来は、変圧器の輸送重量制限より単相変圧
器3台構成としているが、本実施例によれば、最大輸送
重量である鉄心の輸送時重量を約30トン程度に低減可
能とするため、普通の3相変圧器と同様の構成が可能と
なり、据付スペースも従来の約1/2以下に縮小でき
る。
【0066】以上のように、本実施例の分割輸送変圧器
によれば、輸送重量低減により大幅な輸送コストの低減
が可能となるとともに、道路、橋梁の補強や建物信号機
移設など、公共物や一般交通への影響を全くなくすこと
が可能となる上、発変電所の据付スペースを大幅に縮小
化することによる莫大な建設コストの低減が可能とな
る。
【0067】[4]第2実施例 図9は、本発明による分割輸送変圧器の第2実施例の構
成を示す図であり、特に、下部タンク3aに、下部中身
支持装置4を一体に設けた例を示したものである。すな
わち、図9に示すように、下部タンク3aは、平面状の
上面31とこの上面31の幅方向中央部に溝状の凹部を
形成するようにして対向する一対の垂直面32と、この
垂直面32によって形成される凹部の下部開口を覆い、
かつ、上面31との間にダクト33を構成する底面34
から構成されている。また、ダクト33に外部冷却器か
らの配管を接続し、このダクト33および上面31に設
けられた導油孔31aを介してコイル2や鉄心1への冷
却油を取り入れるように構成されている。この実施例に
おいては、この垂直面32によって形成される下部タン
ク3aの凹部に、U字形鉄心ユニット11a〜11dが
挿入固定されると共に、下部タンク3aの上面31上に
コイル2が支持固定される。この実施例によれば、前記
第1実施例に比べて、変圧器構造を一層簡略化できると
いう効果が得られる。
【0068】[5]第3実施例 図10は、本発明による分解輸送変圧器の第3実施例の
構成を示す図であり、特に、3相5脚鉄心1を2分割
し、2つのW字形鉄心ユニット11A,11Bというユ
ニット構成で組立または輸送するように構成した例であ
る。本質的に比較的輸送重量の小さい中小容量変圧器に
おいては、このような2分割構成で、輸送重量を十分低
減することができる。このように構成した場合には、現
地での再組立部分がさらに少なくなり、現地組立工期の
一層の短縮と輸送コストの低減が可能になる。
【0069】[6]他の実施例 なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものではな
く、例えば、脚当板、ヨーク当板などの具体的な形状や
結合構成などは適宜変更可能である。また、下部中身支
持装置や上部中身支持装置の具体的な形状や結合構成な
ども同様に適宜変更可能である。さらに、前記実施例で
は、3相5脚鉄心を有する変圧器の例を示したが、本発
明は、他のタイプの鉄心を有する変圧器にも同様に適用
可能である。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高電圧・大容量の分解輸送変圧器において、分割輸送す
る各ユニットの輸送サイズ、重量を大幅に低減して輸送
の容易化を図ると共に、分解程度を最小限に止め、現地
における組立工期の大幅な短縮と、工場および現地組立
設備の簡略化と組立部分の低減による組立品質の向上を
図ることができる。また、輸送重量を低減することによ
り、道路補強工事を行うことなく、工場から現地発変電
所までトレーラで輸送することを可能として、輸送コス
トの大幅な低減と、道路補強工事のための調査・検討時
間の削除を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分解輸送変圧器の第1実施例を示
す図であり、特に、鉄心を示す概略正面図。
【図2】図1の分解輸送変圧器の構成を示す正面図。
【図3】図1の分解輸送変圧器の構成を示す側面図。
【図4】図1の分解輸送変圧器の脚当板を示す正面図。
【図5】図1の分解輸送変圧器の下部中身支持装置周辺
と上部中身支持装置周辺の構成を示す部分側面図。
【図6】図5の下部中身支持装置の一部の構成を示す部
分正面図。
【図7】図1の分解輸送変圧器のU字形鉄心ユニットの
吊上げ状態を示す正面図。
【図8】図7の側面図。
【図9】本発明による分解輸送変圧器の第2実施例を示
す側面図。
【図10】本発明による分解輸送変圧器の第3実施例を
示す図であり、特に、その鉄心の構成を示す正面図。
【符号の説明】
1…鉄心 1a〜1d…分割鉄心 2…コイル 3a…下部タンク 3b…上部タンク 4…下部中身支持装置 5…上部中身支持装置 6…吊上げ金具 7…スタッド 8…ワイヤ 11a〜11d…U字形鉄心ユニット 11A,11B…W字形鉄心ユニット 12…上部ヨーク 13,14…鉄心脚 15…下部ヨーク 16…ギャップ 17a〜17c…主脚鉄心 18…間隔片 21…脚当板 21a…ネジ座 21b…ピン 21c…吊上げ用の孔 22…バインドテープ 23…下部ヨーク当板 24…下部鉄心締付金具 25…上部鉄心締付金具 26…ネジ 31…上面 31a…導油孔 32…垂直面 33…ダクト 34…底面 41…固定座 42…締付金具 43…ネジ 44…間隔片 51…バインドテープ 52…締付金具 53…ネジ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心脚と上下ヨークから構成される鉄心
    と、前記鉄心脚外周に配置されるコイルと、前記鉄心と
    コイルを含む変圧器中身を収納する下部タンクとこの下
    部タンクの上面と接合される上部タンクとを備えた分解
    輸送変圧器において、 前記鉄心は、下部ヨークとこれに接続された左右の鉄心
    脚とでU字形に形成したU字形鉄心ユニットと、このU
    字形鉄心ユニットに固定される上部ヨークから構成さ
    れ、 前記鉄心脚の両面に対向して配置され、この鉄心脚とテ
    ープで一体的にバインドされる脚当板と、 前記下部ヨークの両面に対向して配置され、この下部ヨ
    ークとテープで一体的にバインドされる絶縁材製のヨー
    ク当板とを有し、 前記左右の鉄心脚の同じ側の面に配置された左右の前記
    脚当板の下部と、この脚当板と同じ側の面に配置された
    前記ヨーク当板の左右両端部とが結合される、 ことを特徴とする分解輸送変圧器。
  2. 【請求項2】 前記左右の鉄心脚の両面に固定された対
    向する前記脚当板の下端部間に配置される下部鉄心締付
    金具を有し、この下部鉄心締付金具は、その両端部にて
    対向する脚当板の各下端部に締付け固定され、前記鉄心
    脚と前記下部ヨークとの接続部分を支持固定するように
    構成され、 前記脚当板は、その下部に固着されたピンを備え、この
    ピンに嵌合する形で前記ヨーク当板の左右両端部が結合
    され、 前記脚当板は、その上下端部にネジ座を備え、このうち
    の下端部のネジ座に対して前記下部鉄心締付金具の両端
    部が締付け固定される、 ことを特徴とする請求項1記載の分解輸送変圧器。
  3. 【請求項3】 前記U字形鉄心ユニットは、複数個使用
    され、この複数個のU字形鉄心ユニットは、各々の前記
    鉄心脚同士を突き合わせる形で近接して並べて配置さ
    れ、突き合わせられた2個の鉄心脚を1個の主脚鉄心と
    して、この主脚鉄心に前記コイルが挿入されることを特
    徴とする、請求項1記載の分解輸送変圧器。
  4. 【請求項4】 前記下部タンク内に設けられ、前記下部
    ヨークを両面から挟み、かつ、前記コイル下面をその下
    方から支持する下部中身支持装置を有し、この下部中身
    支持装置は、その内面により前記脚当板の下部の外面を
    固定するように構成されることを特徴とする、請求項1
    記載の分解輸送変圧器。
  5. 【請求項5】 前記脚当板の下部にピンが設けられ、前
    記下部中身支持装置の内面には、前記ピンをその下方か
    ら支持する固定座と、この固定座の上方に設けられ、固
    定座との間にピンを挟んで固定する締付金具が設けられ
    ることを特徴とする請求項4記載の分解輸送変圧器。
  6. 【請求項6】 前記左右の鉄心脚の両面に固定された対
    向する前記脚当板の上端部間に配置される上部鉄心締付
    金具を有し、この上部鉄心締付金具は、その両端部にて
    対向する脚当板の各上端部に締付け固定され、前記鉄心
    脚と前記上部ヨークとの接続部分を支持固定するように
    構成され、 前記上部ヨークを両面から挟み、かつ、前記上部鉄心締
    付金具の下面に固定され、前記コイル上面をその上方か
    ら支持する上部中身支持装置を有する、 ことを特徴とする、請求項1記載の分割輸送変圧器。
  7. 【請求項7】 前記脚当板は、その上下端部にネジ座を
    備え、前記上部鉄心締付金具の両端部は、上端部のネジ
    座に対して締付け固定されることを特徴とする、請求項
    6記載の分解輸送変圧器。
  8. 【請求項8】 前記請求項6または請求項7記載の分解
    輸送変圧器を輸送する際に、前記U字形鉄心ユニットか
    ら前記上部中身支持装置と前記上部ヨークを外して前記
    コイルを抜き、このU字形鉄心ユニットを前記下部中身
    支持装置から外して輸送することを特徴とする、分解輸
    送変圧器の輸送方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103662386A (zh) * 2013-12-20 2014-03-26 保定天威保变电气股份有限公司 一种换流变压器运输梁结构

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CN103662386A (zh) * 2013-12-20 2014-03-26 保定天威保变电气股份有限公司 一种换流变压器运输梁结构

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