JPH0723539B2 - 化学銅めっき液及びそれを用いた銅めっき皮膜の形成方法 - Google Patents

化学銅めっき液及びそれを用いた銅めっき皮膜の形成方法

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JPH0723539B2
JPH0723539B2 JP27349387A JP27349387A JPH0723539B2 JP H0723539 B2 JPH0723539 B2 JP H0723539B2 JP 27349387 A JP27349387 A JP 27349387A JP 27349387 A JP27349387 A JP 27349387A JP H0723539 B2 JPH0723539 B2 JP H0723539B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は化学銅めっき液及びそれを用いた銅めっき皮膜
の形成方法に係り、より詳しくはプリント配線板の導体
回路やセラミック基板上の導体回路あるいは電磁波シー
ルド材に用いる銅皮膜等あらゆる銅皮膜を得るための化
学銅めっき液及びそれを用いて銅めっき皮膜を形成する
方法に関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕
従来、金属銅を化学的に析出させる化学銅めっき液とし
て、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、あるいはロッシ
ェル塩を銅イオンの錯化剤として用いた浴が広く知られ
ている。特に、銅塩として硫酸銅、還元剤としてホルム
アルデヒドを用いた浴は最も一般的に用いられている。
これらの化学銅めっき液を利用する場合、析出速度が遅
い等の欠点を有している。近年、例えばプリント基板の
コストダウン化の為に、高速化学銅めっき液を求める声
が強く、それに応じる為加速剤を用いた浴(特開昭60−
159173号公報)や還元剤に活性剤を添加した浴(特開昭
55-76054号公報)等が提供されているが、未だ不十分で
あり、更なる高速浴の開発が望まれている。
特開昭60-70183号公報は、化学銅めっき液に安定剤とし
ての金属シアノ錯体と共に金属シアノ錯体の金属を錯化
する錯化剤を添加することによって、化学銅めっき皮膜
を安定して得る化学銅めっき方法を開示し、その金属シ
アノ錯体の金属を錯化する錯化剤としてアルカノールア
ミンを用いている。しかしながら、この方法では銅イオ
ンを錯化する錯化剤がアルカノールアミンとは別に添加
されており、またアルカノールアミンの加速剤としての
作用についての記載は全く見られない。
特開昭59-143058号公報は、化学銅めっき液にトリエタ
ノールアミンを含む化学銅めっき液は安価な薬品で調整
しても高いめっき効率を与えることを教示する。しかし
ながら、この化学銅めっき液も銅イオンを錯化する錯化
剤がトリエタノールアミンとは別に添加されており、ま
たトリエタノールアミンの加速剤としての作用について
の記載がないのみならず、トリエタノールアミンの添加
量を0.01〜0.5g/lより増加するとめっき液の分解を認
め、銅のめっき効率が低下したと記載している。
特開昭60−218479号及び同60−218480号公報は、アルカ
リ可溶性無機ケイ素化合物とめっき液の安定化に効果の
ある無機及び有機化合物とを添加した化学銅めっき液は
物性の優れた銅皮膜を与えることを教示しているが、銅
イオンの錯化剤としては>N−C−C−N<を骨格とす
る構造を有するものが好適であり、トリエタノールアミ
ンは問題があると記載している。
化学銅めっき液の錯イオン錯化剤としてトリアルカノー
ルアミンを例示している文献はいくつかある(例えば、
特開昭55-65355号、同59-25965号及び同60−245783号公
報など。)しかしながら、これらはいずれも単に銅イオ
ンの錯化剤としてトリアルカノールアミンを用いうるこ
とを一般的に記載するのみで、過剰のトリアルカノール
アミンが錯化剤かつ加速剤としても作用することについ
ては全々記載も示唆もされていないし、トリアルカノー
ルモノアミンを錯化剤として用いた実施例さえ含まれて
いない。
「無電解メッキおよびプラスチック上へのメッキ」(メ
ッキ技術資料集(2)1973)はトリアルカノールアミン
を錯化剤として用いて化学銅めっき液に関するめずらし
い実際の実験報告について述べている。しかしながら、
この文献によると約1.5μm/Hrという低い銅の析出速度
が報告されているのみである。特開昭49-59042号に錯化
剤としてトリエタノールアミンを用いた化学銅メッキ液
が開示されており、5〜10μm/hrの高速めっきが実現さ
れることが報告されている。5〜10μm/hrの銅析出速度
は従来の1〜2μm/hrと比べてかなりの改良であるが、
まだ十分に実用的な析出速度とはいえない。
〔問題点を解決するための手段および作用〕
本発明は、上記問題点を解決する為、銅塩、銅イオン錯
化剤、還元剤、pH調整剤を含有する化学銅めっき液にお
いて、銅イオン錯化剤かつ加速剤としてトリエタノール
アミンを用いる化学銅めっき液を提供するものである。
従来、化学銅めっき液に実際に用いられている錯化剤と
しては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ロッシェル
塩があげられ研究対象として、N,N,N′,N′−テトラキ
ス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンやニト
リロ三酢酸等がある。それらの錯化剤を用いた化学銅め
っき析出速度は、大変おそく、通常1〜2μm/Hrであ
る。これは、物性向上の為に添加剤を用いるので速度が
落ちるのであるが、添加剤を用いない基本浴(銅塩、錯
化剤、還元剤、pH調整剤、のみの浴)においてもせいぜ
い10μm/Hr程度である。最近の報告で、最も速いめっき
液は錯化剤としてN,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒド
ロキシプロピル)エチレンジアミンを用い、かつ、活性
剤を用いためっき液により72μm/Hrが報告されている
(特開昭59-25965号公報)。しかしながら、このめっき
液についても使用できる速度は2〜5μm/Hrであると報
告されている(特開昭60−159173号公報)。
我々は、種々の錯化剤を用いて研究を進めた結果、錯化
剤としてモノアミン型のトリアルカノールアミン、特に
トリエタノールアミンを用い、かつそれを加速剤として
も機能されることにより100μm/Hr以上の高速化学銅め
っきが可能であり、物性向上の為に添加剤を添加した場
合でも30〜120μm/Hrという極めて高速でしかも物性の
よい銅皮膜が形成できることを見い出し、本発明を完成
した。
我々の実験結果によると、トリエタノールアミンを、銅
イオン濃度の1.2倍より多く用いた時に、異常な高速反
応が起こることがわかっている。これは、通常の錯化剤
の概念をくつ返すものであり、加速剤としても機能して
いると考えるとわかりやすい。すなわち、通常、錯化剤
は銅イオンがアルカリ条件下で沈殿しないように銅イオ
ンに配位し、溶解させるものであるので、Cu2+→Cu0
いうめっき還元反応の為には、じゃまな存在であった。
つまり、銅が析出する為には錯イオンを形成している配
位結合を解き、銅が配位子から離れなければならず、錯
化剤は、普通析出を妨害すると考えられている。また、
Cu2++LCu2+−L(式中、Lが配位子)という錯イオ
ン形成の平衡反応があり、Cu2+−L(錯イオン)よりCu
2+(フリーイオン)の方が反応性が高いと考えられる
為、L(錯化剤)をなるべく少くして(足らないと浴が
分解したり、Cu(OH)2が沈澱したりする)析出速度を落
とさない成分設計がなされてきた。従って、通常考えら
れている錯化剤の量は、経済的理由もあって、Cu2+濃度
の0.8〜1.5倍であった。
我々は、従来の考え方にとらわれずに研究した結果、ト
リエタノールアミンを過剰に用いて加速剤としても機能
できる状態にした時にのみ、高速めっきが実現されるこ
とを発見した。
我々は別の特許出願に開示したとおり(特開昭61−2698
06号、特開昭61−152620号、特開昭62−154309号、及び
昭和62年10月21日出願の特許願「化学銅めっき液」)、
BF4 イオンと、トリアルキルアミンが高速化に役立つ
ことを知っている。それらの物質は、電子リッチであっ
たり、電子供与性を有したりしていた。今回我々は、そ
のような作用を錯化剤に導入したら高速化が更に進むの
ではないだろうかという考えで研究を進めた結果、先回
までの知見では考えられないような高速化学銅めっきを
開発できた。
前回のトリアルキルアミンによる高速化の報告では、ア
ルキルアミンのうち、トリアルキルアミンのみが高速化
に役立つことを報告した。そして、アミノ基を2つ持つ
ジアミン系は、高速化は示さずかえって減速作用を示す
ことがわかった。この理由は、不明だが、界面での吸着
性や電子供与性あるいは化学反応性などをすべて考慮し
なければならないと考えられる。
今回の研究では、前回での経験を生かしてアミノ基を1
つしか持たない、トリアルキルアミンのうち銅イオン
(Cu2+)を錯化することの出来るトリエタノールアミン
について追及した結果、単なる電子供与性だけでは説明
できない程の、高速化学銅めっきが実現できることを発
見した。そして、添加量に速度が大きく影響されること
がわかった。また、アミノ基が1つで銅イオンを錯化で
きる物質には他にニトリロ三酢酸があるが、単なる水酸
基でなく、カルボキシル基(ケトン基を有する)である
為か高速反応は実現できなかった。従って、一連の高速
反応は、トリエタノールアミンを錯化剤として用いか
つ、加速剤としても機能させた場合のみと考えられる。
トリエタノールアミンを錯化剤として用い、めっき処理
をした結果を第1図に示す。錯化剤と銅塩とのモル比が
2〜5(液中の錯化剤の絶対量が約0.12〜0.3M)におい
て特に顕著な高速めっきが起こっている。60℃におい
て、フェロシアン化カリウム、2,2′−ビピリジルとい
う代表的添加剤を使用した場合の、めっき速度として
は、100μm/Hr以上という値は以上に高いことに注目す
べきである。
ちなみに比較例として、他に一般的に使用される錯化剤
のうち、エチレンジアミン四酢酸(EDAT)、N,N,N′,
N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレン
ジアミン、またトリエタノールアミンのジアミン構造を
持つN,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチ
ル)エチレンジアミン、またアミノ基が1つしかないが
アルコール類ではないニトリロ三酢酸について同様の効
果を全く同様の条件で測定した結果を第2図に示す。す
べての場合において析出速度は10μm/Hr以下であり、錯
化剤使用量による変化がない点等が、トリエタノールア
ミンの場合とは大きく異なる。このことより、トリエタ
ノールアミンは錯化剤としてと同時に、何らかの加速剤
としても機能していると認められる。
以上の事実は、現在まで全く報告されたことのない新事
実であり、次の点が大変興味深い点である。
錯化剤/Cu2+のモル比が通常で使用される0.8〜1.
2、さらには1.5あるいは2より大きい場合に特に顕著に
現れる。析出速度の顕著な増加は、錯化剤の絶対量が0.
1Mを越えると確実になる。
トリエタノールアミン構造では現われるが、アミノ
基が2つ結合した形ジアミン系ではまったく現われな
い。
アミノ基に結合する有機基が、水酸基を有する場合
のみ現われ、カルボキシル基(ケトン基)では現われな
い。
通常の酸化還元反応からは考えられない程の高速反
応である。
特開昭49-59042号公報では、トリエタノールアミンを錯
化剤として用いて5〜10μm/hrの高速めっきを実現して
いる。この文献ではトリエタノールアミンを錯化剤プラ
ス加速剤として機能することまでは認識せず、単に高速
めっきを可能にする錯化剤として認識するにすぎず、従
って、トリエタノールアミンの最適の使用量を見出して
さらに高速の30μm/hr以上の銅析出速度が得られること
を見出すには至っていない。
こうして、本発明によれば、銅イオン、銅イオン錯化
剤、還元剤及びpH調整剤を含む化学銅めっき液におい
て、少なくとも主たる錯化剤として他の錯化剤を含まず
に、トリエタノールアミン又はその塩を錯化剤かつ加速
剤として含み、該トリエタノールアミン又はその塩を、
銅イオンを錯化するには十分であるが加速剤として機能
するほどには多量に存在しない場合の銅の析出速度と比
べて実質的に向上した銅の析出速度を与える量で含み、
該トリエタノールアミン又はその塩の液中の絶対量が0.
1Mを越え0.3M以下であることを特徴とする化学銅めっき
液が提供される。
また、同様に、本発明によれば、銅イオン、錯化剤、還
元剤及びpH調整剤を含んで成り、トリエタノールアミン
又はその塩を錯化剤かつ加速剤として液中に0.1Mを越え
0.3M以下の絶対量で含む化学銅めっき液に、銅析出に感
受性のある被めっき材を浸漬して被めっき材表面に、該
トリエタノールアミン又はその塩が銅イオンを錯化する
には十分であるが加速剤として機能するほどには多量に
存在しない場合の銅の析出速度と比べて実質的に向上し
た析出速度で銅を析出させることを特徴とする銅めっき
皮膜の形成方法が、提供される。
銅塩としては、銅イオンを提供するものなら特に限定さ
れない。例えば硫酸銅(CuSO2)、塩化銅(CuCl2)、硝
酸銅(Cu(NO3)2)、水酸化銅(Cu(OH)2)、酸化銅(Cu
O)、塩化第1銅(CuCl)等がある。浴中に存在する銅
イオンの量は一般に0.005M〜0.1M、好ましくは0.01M〜
0.07Mである。代表的なCu2+濃度に対する析出速度変化
を第5図に示した。浴条件によっても変化するが、従来
浴以上の高速性を得る為には0.005M以上必要であり、安
定性、経済性より一般に0.1M以下が好ましい。
還元剤としては銅イオンを金属銅に還元できるものなら
ば特に限定されないが、ホルムアルデヒド及びその誘導
体、並びにパラホルムアルデヒドのような重合体、ある
いはその誘導体や前駆体が好適である。還元剤の量はホ
ルムアルデヒドに換算して0.05M以上、好ましくは0.05M
〜0.3Mの範囲内である。ホルムアルデヒド量に対する析
出速度変化は、第6図に示した。従来浴以上の高速性の
為には0.05M以上必要であり、浴の安定性、経済性の為
には0.3M以下が好ましいことがわかる。
pH調整剤は、pHを変化させうるものなら特に限定されな
い。例えば、NaOH,KOH,HCl,H2SO4,HF等がある。浴のpH
は一般に12.0〜13.4(25℃)、望ましくは12.4〜13.0
(25℃)の範囲内である。pHと析出速度の関係は第4図
に示した。本浴はpH依存性が高く、高速性を実現する為
にはpH12.4〜13.0が好ましく、13以上では安定性がわる
くなる。
なお、本発明の化学めっき液には、上記の成分のほか、
安定剤その他の一般に用いられる添加剤を含むことがで
きる。浴を安定化する為の安定剤あるいは皮膜物性を向
上させる為の各種添加剤も特に限定されない。このよう
な添加剤を用いてもトリエタノールアミンを大量に添加
する効果は変わらない。
本発明では銅イオン錯化剤兼加速剤としてトリエタノー
ルアミン(以下その塩を含めていう。)を添加する。ト
リエタノールアミンを銅イオンの錯化剤としてのみなら
ず、加速剤として作用せしめるためには、トリエタノー
ルアミンの添加量を銅イオンのモル比で1.2倍以上添加
する必要がある。銅イオンの1.2倍以上(モル比)、特
に1.3倍以上になると、銅の析出速度が増加するが、反
応の開始が不安定なので、2倍あるいは3倍さらには5
倍以上のトリエタノールアミンを用いることが反応開始
の安定性の点で特に望ましい。しかしながら、銅イオン
の1.2倍から1.5倍のモル数の範囲では反応の開始が不安
定であっても、一旦反応が開始したときには、その析出
速度は、銅イオンに対してほぼ等モルの場合の析出速度
と比べて著しく増大する(このことは従来知られていな
かった)。トリエタノールアミンの添加量は、上記の如
く、銅イオンの約1.2倍以上必要であるが、さらに絶対
量として液中に0.1Mを越え0.3M以下含まれることが必要
である。この量であれば、銅イオンに対して十分な加速
剤としての作用が可能である。また、30μm/hr以上の最
も優れた銅の析出速度もこの領域において実現すること
ができる。具体的には、第1図に示されるように、単純
な錯化剤としての作用から錯化剤プラス加速剤としても
機能するようになり、かつ50〜100μm/hr以上のような
最高速度の析出を実現した後、析出速度が低下し始める
までの、最も望ましい領域である。因に、特開昭49-590
42号公報では、トリエタノールアミンをこの微妙な範囲
を越えて多量に使用したために、本発明の最適の析出速
度を実現する濃度範囲を見出すことに失敗したものと考
えられる。
トリエタノールアミンは下記の構造式で表される。
また、トリエタノールアミンの塩とは、例えば、トリエ
タノールアミン酸塩などである。
本発明のめっき液あるいはめっき方法で加速されるめっ
き速度は、従来、実際には、銅イオンの錯化剤として用
いられていないが、用いられたとすれば比較的速い析出
速度を与えるトリエタノールアミン又はその塩を単に錯
化剤として作用せしめた場合と比べて、10倍以上、さら
には50倍以上の析出速度が可能である。このような析出
速度の向上は銅皮膜の物性膜のために添加されるフエロ
シアン化カリウムや2,2′−ビピリジルのような添加剤
の添加の有無にかかわりなく達成される。こうして、上
記のような添加剤を含まない基本浴でも100μm/Hr以
上、特に160μm/Hr以上の析出速度、添加剤を含む浴で
も30μm/Hr以上、特に120μm/Hr以上の析出速度を実現
することが可能である。これらの析出速度は従来の典型
的な高速めっき浴であるN,N,N′,N′−テトラキス(2
−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン浴の場合(10
μm/Hr)と比べても3倍以上、さらには12倍以上の析出
速度である。
本発明の化学銅めっき液によるめっき処理は、従来通り
いかなる工程で処理してもかまわない。一般的には、ガ
ラスエポキシ、紙フェノールなどの基材を前処理(洗
浄、化学的粗化)し、触媒化(通常、パラジウムを付着
させる)して銅析出に感受性を持たせた後、その基材を
めっき液中に浸漬し、めっきする。
本発明の化学銅めっき液の使用浴温度は常温から80℃の
範囲内、特に常温から70℃の範囲内が好ましい。浴温と
析出速度との関係を第12図に示した。常温(30℃以下)
でも十分高速なめっきが可能であり、80℃を越えると浴
の安定性が悪くなる。
また、浴中の酸素濃度によって銅の析出速度は大きく変
わり、0.5〜5.4ppmの範囲内の溶存酸素濃度が必要であ
り、1.5〜4.0ppmの範囲内が望ましい。O2濃度に対する
析出速度の関係は第9図に示したとおりであり、O2濃度
が低い場合速度も低下するが安定性も低下する為、0.5p
pm以上好ましくは1.5ppm以上必要である。上限は、O2
ンベの必要性から経済的理由による。
〔実施例〕
(1)トリエタノールアミンの性質 主要な錯化剤のCu2+と形成する錯イオンの安定度定数を
表1に示す。
安定度定数はCu2++LCu2+−L(Lは配位子を示
す。)の平衡定数の対数で示され値が大きい程、Cu2+
Lという錯イオンの状態で安定に存在する。たとえばト
リエタノールアミンはEDTAより安定度定数が約2大きい
が、安定度定数は対数で示されている為、実際には、通
常使われるEDTA−Cu2+錯体より、トリエタノールアミン
−Cu2+錯体の方が大変安定である。通常、安定度定数と
めっき析出速度との相関はないが、安定度定数の大きい
ものの方が、反応開始しにくいと言える。トリエタノー
ルアミン浴はまさにその典型であり、触媒活性の低い部
分では反応が起こりにくい。第1図に示したトリエタノ
ールアミン/Cu2+に対する析出速度の結果においても、
トリエタノールアミンが少ないときすなわちr=[TE
A]/[Cu2+]としてr=1.2以下の場合では反応が開始
されにくい。r=1.5付近では反応が開始された場合は
大変速く100μm/Hr以上で析出するが、反応が全く開始
されない場合もある。
この反応開始には、様々な浴条件が作用するが、研究を
進めるうち、被めっき面の状態、つまり触媒活性や表面
状態によって大きく依存することがわかった。
たとえば、通常、ステンレス板にはEDTA浴でめっきがさ
れるが、トリエタノールアミン浴ではめっきされない。
また、ステンレス板にPd触媒を付けたものは活性にバラ
ツキがあり、触媒液によって差が出る。しかしながら、
ガラスエポキシ基材をエッチングしてから触媒液でPdを
付けた場合はよく反応する。これらを表2にまとめる。
なお、ここで用いたトリエタノールアミン浴は下記のも
のである。
CuCl2 0.06M ホルマリン 18ml/l TEA 0.18M フェロシアン化カリウム 20mg/l 2,2′−ヒピリジル 10mg/l pH(25℃) 12.8 浴 温 60℃ (注) ホルマリンはホルムアルデヒドの37%水溶液
である。
調査しためっき液は、第1図において最も高速性を示し
ているものを使用した。データを取る場合条件を統一す
る為、すべてステンレス板上にPd触媒液により処理した
後、50℃のEDTA浴(表3に示す)によって2分間銅めっ
きし、全面が薄い(0.2〜0.3μm)銅箔で覆われたテス
トピースで、以下の実験を行った。そうすることで表面
状態ファクターを一定にした。
つまり、普通ABS系接着材を形成したガラスエポキシ基
材(プリント板用)を化学粗化し、Pd触媒液により活性
化したテストピースは最も反応開始しやすいが、化学的
粗化にバラツキが出たりすると、反応速度に影響しかね
ない。従って、ステンレス板を用い、Pd触媒液により活
性化した後、一般的なEDTA基本浴で厚さ0.2μm程銅箔
を形成することにより、全面触媒活性を均一にした。
この処理をせずに例えばステンレス板上にPd触媒処理の
みでめっきをすると、本めっき浴では全くめっきされな
かったり極度に反応速度がおそくなる等の結果となりう
る為、注意が必要である。
(2)実験方法 3cm×7cmのステンレス板(面積約40cm2)を脱脂等洗浄
し、Pd触媒液たとえばシプレイ社のキャタポジット44に
より処理した。次いで、水洗後、シプレイ社のアクセレ
レーター19で活性化処理した。以上の前処理を施したス
テンレス板を表3に示すEDTA浴により2分間めっきし、
0.1〜0.2μmの銅箔を形成し、水洗後、用意しためっき
液500ccにて10分間めっきを施した。それから、電解式
膜厚計において析出膜厚を測定し、1時間あたりの析出
速度に変換した。めっき負荷は、80cm2/lであった。な
お、pH調整にはNaOHを用いた。
なお、めっき液は常に、エアーを吹き込むエアー攪拌を
行い、機械攪拌は全く行わなかった。エアー攪拌によっ
て、浴中酸素濃度を1.5〜4ppmとした。このめっき浴
は、O2濃度によって大きく影響される為、必ずエアーバ
プリングを行なう。
(3)添加剤による速度減少 通常、化学銅めっき浴の主な添加剤は2種類ある。1つ
は、浴の安定剤であり、他の1つは皮膜の改質剤であ
る。それぞれ多くの物質が報告されているが、今回は最
も一般的に使用されかつ速度降下性の大きいと言われる
フェロシアン化カリウムと2,2′−ビピリジルを2水準
の添加量で測定した。その結果を第3図に示す。トリエ
タノールアミン(TEA)を錯化剤として銅イオンの3倍
モル用いた下記浴(I)での結果を第3図に示す。
浴(I): CuCl2 0.06M TEA 0.18M([TEA]/[Cu2+]=3) ホルマリン 18ml/l pH(25℃) 12.8 浴 温 60℃ 添加剤を多く用いるに従って析出速度が減少している。
しかしながら、フェロシアン化カリウムを30mg/l,2,2′
−ビピリジルを20mg/lとかなり多量に添加した場合で
も、トリエタノールアミン浴で50μm/Hrという高速反応
を示している。TEA浴の場合、添加剤を使用しない時は
反応が速くなりすぎて、しっかりした皮膜が得られず、
粉状になることがあるので、添加剤としてフェロシアン
化カリウム20mg/l,2,2′−ビピリジル10ml/lを常に添加
して以下の一連の実験を行った。従って比較例として上
げた結果もすべて同量の添加剤を含む。しかし、これは
浴の安定性とは関係がない。トリエタノールアミン浴で
は、安定度定数より予想できる如く、大変安定であり、
添加剤を用いなくても浴は常に安定である。
(4)錯化剤の添加量による速度変化 本発明の主要な実験結果である。トリアルカノールモノ
アミンのうちトリエタノールアミンを用いた場合を第1
図に示す。下記の基本浴を用いた。
CuCl2 0.06M ホルマリン 18ml/l フェロシアン化カリウム 20mg/l 2,2′−ビピリジル 10mg/l pH(25℃)12.8 浴 温 60℃ 第1図においてトリエタノールアミンは通常銅イオンと
1:1の錯体を形成する。従って、従来の概念から考える
とr=[TEA]/[Cu2+]は0.8〜1.5で使用する。我々
の研究結果によれば、rが1〜1.2では極めて反応が起
こりにくく、これはトリエタノールアミン−Cu2+錯体の
安定性を考えると納得できるが、時々、反応することが
あり、10〜20μm/Hr析出する場合がある。しかしなが
ら、通常、このr=1〜1.2の範囲で実験したとする
と、ほとんど反応が開始せず、不動態皮膜を形成してし
まうので、トリエタノールアミンは錯化剤として使用で
きないという結論が導かれることになるだろう。
次にr=1.2〜1.5の範囲では、かなり反応しやすくな
り、化学エッチングしたガラスエポキシ基材にPd処理し
た供試体ではほとんど反応する。しかし、今回用いたス
テンレス−Cu箔ワークでは5回中1回反応する程度であ
る。しかし、反応開始した場合は、50〜100μm/Hrとい
う高速めっきを実現する。
r=2以上の大過剰に用いた場合反応は100%開始さ
れ、第1図に示すとおり、100μm/Hr以上の高速析出が
可能であった。析出皮膜は、赤かっ色で無光沢な皮膜で
あった。
r=5以上の更に大過剰浴では反応速度は少し減少する
傾向にある。これは、液の粘度上昇による物質移動妨害
だと考えられる。しかし反応開始は100%である。ま
た、すべての場合に浴は完全に安定していた(以上析出
や分解は全く見られなかった。)これらのことは安定度
定数からも予想されるがトリエタノールアミン浴の特色
の1つである。
比較の為、他の錯化剤について同様の実験を行った。そ
れを第2図に示す。用いた錯化剤は最も一般的に使用さ
れる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、EDTAのモノ
アミン型(Nが1つだけ)といえるニトリロ三酢酸、ま
たトリエタノールアミンのジアミン構造といえるN,N,
N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレ
ンジアミン(HEA)そして、トリイソプロパノールアミ
ンのジアミン構造と言えるN,N,N′,N′−テトラキス
(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPA)
等について調べた。これらの場合も基本浴はトリエタノ
ールアミンの場合と同じとした。
第2図より、トリエタノールアミン以外の錯化剤では、
rによる高速化効果が全くなく、すべて10μm/Hr以下の
低速析出速度しか持たないことがわかる。また、前述の
如く、モノアミン型でもアルコール基ではなくカルボキ
シル基を持つニトリロ三酢酸では高速化されず、またア
ルコールアミン型でもジアミン型となるHEA,HPAでは全
く高速化効果がないのは、大変興味深い。そして、これ
は別途開示したトリアルキルアミンの加速効果とよく一
致している。Cu2+と錯体を形成する以外に存在するトリ
エタノールアミンは、おそらく反応開始を助けたり、加
速剤として機能すると考えられ、その結果高速反応が達
成された。
(5)トリエタノールアミン浴のpH−速度変化 高速化効果の最も大きいトリエタノールアミン浴につい
てpHによる析出速度の変化を調べた結果を第4図に示
す。pHはすべて25℃で測定した。
r=3,r=8について調べた。いずれの場合にも、pH12.
6〜12.9付近で大きな高速化効果が認められる。これはT
EA-Cu2+錯体の安定性を考えると、それだけ還元剤とし
て使用するホルマリンの活性化が必要であると考えられ
る。第4図よりpHは、他の浴条件に依存するが、12.0以
上、更には12.4〜13の範囲内が適当である。
(6)TEA浴におけるCu2+濃度−速度変化 [TEA]/[Cu2+]=rを3及び5と一定にして、銅塩
の添加量を変化した場合の析出速度の変化を第5図に示
す。析出速度が銅濃度にかなり大きく依存することが見
られる。
特徴としては、Cu2+がかなり低濃度になっても、かなり
高速に反応が進行する点である。従来一般的に使われる
Cu2+濃度範囲は0.04M〜0.07Mであるが、その約1/10であ
る0.005Mにおいても7.2μm/Hrというかなり高速な反応
が実現されている。ここで10μm/Hr付近を高速化の境界
とするとCu2+は0.005M以上必要であり、その時のTEA絶
対量としては0.005×1.2=0.006M以上必要であるという
ことになる。なお、1.2は第1図における[TEA]/[Cu
2+]のモル比を示し、本発明における下限のモル比であ
る。望ましくはCu2+が0.01M以上であり、そのときTEA=
0.01×1.2=0.012M以上必要である。上限は経済性と浴
の安定性を考慮して決めるが、[Cu2+]=0.07Mまでは
全く安定であり、0.08MではpHによってビーカー底に析
出することもあった。そのときのTEAの絶対量としては
本発明における[TEA]/[Cu2+]のモル比の上限から
すれば、0.08×30=2.4Mとなる。
(7)TEA浴におけるホルマリン濃度−速度変化 [TEA]/[Cu2+]=r3及び5として、添加する還元剤
(ホルマリン)の量を変化させた時の析出速度の変化を
第6図に示す。析出速度は銅濃度と同様に、ホルマリン
濃度にもかなり依存することが認められる。
従って、析出速度は銅濃度、ホルマリン濃度によって自
在にコントロールできる。
還元剤はホルムアルデヒドとその誘導体、またはその重
合体や前駆体等が好ましく使用できる。モルで考えて1
分子中1ケ所が酸化されるべきホルムアルデヒド1単位
であると仮定すると、その濃度は第6図より0.05M以上
必要であり、0.06M以上が望ましい。上限は経済性と浴
の安定性から決めるべきであるが、例えば0.3Mまでの範
囲内である。0.05M〜0.3Mのホルムアルデヒドを37%ホ
ルマリン水溶液に換算すると前記基本浴において4ml/l
〜25ml/lであるが、この範囲内における浴の安定性は問
題がなかった。
(8)他の還元剤との併用 浴の安定性、経済性、実用性を考えると還元剤はホルム
アルデヒド類が好ましい。しかしながら、人体に有害で
あったり、多量に使用すると浴の不安定化を生じる等の
問題があり、使用する量はなるべく少量であることが望
まれる。たとえばホルマリン量を少くして他の還元剤を
併用して、速度が向上すれば都合がよい。その意味で他
の還元剤として最も一般的な次亜リン酸ナトリウムを併
用して実験を行った。次亜リン酸ナトリウムは、銅表面
で活性がなく、従来、化学銅めっきには使用されず、使
用されても活性剤としてであった(特開昭55-76054号公
報)。
本発明の浴においては、次亜リン酸ナトリウムのみでは
全く反応しないが、ホルマリンが併在すると還元剤とし
て機能するようである。第7図及び第8図を参照。下記
TEA浴及びEDTA浴においてホルマリンのみの場合とそれ
に次亜リン酸ナトリウムを0.1M添加した場合について、
ホルマリンの濃度を変えて実験した。
TEA浴: CaCl2 0.06M TEA 0.3M(r=5) フェロシアン化カリウム 20mg/l 2,2′−ビピリジル 10mg/l pH(25℃) 12.8 浴 温 60℃ EDTA浴: CaCl2 0.06M EDTA 0.09M pH(25℃) 12.6 浴 温 50℃ 第7図及び第9図を参照すると、EDTA浴では次亜リン酸
ナトリウム存在はほとんど無に等しいが、TEA浴では還
元剤として機能していると考えられる。これは特開昭55
-76054号公報にある如く、ホルムアルデヒド反応の触媒
作用とも取れるが、何らかの反応中間体に対して、次亜
リン酸ナトリウムが反応しているようにも考えられる。
従って、第7図の結果から次亜リン酸ナトリウムのみで
は機能しないが、ホルマリンと併用することは少くとも
速度面で有効であるといえる。
(9)O2濃度−速度変化 前に述べたように、本発明のめっき浴ではエアレーショ
ンが大変重要である。第9図はO2濃度を2水準に分けた
時の析出速度の変化を示す。0.3ppmのO2濃度は500ccの
液に15分N2バブルをした時であり、2.3ppmのO2濃度は同
様にしてエアーバブルをした時である。同図より、TEA
浴の析出速度にO2濃度が大きく影響していることがわか
る。
O2濃度が0.3ppmより低くなると、浴の不安定化を生じ
る。また、O2を高濃度にすることによる問題点はないと
考えられるが、O2バブルの経済性が悪いので、通常のエ
アーバブルで十分である。O2濃度の範囲を考えるならば
最低0.5ppm必要であり、上限はO2の飽和と言われている
5.4ppmまでは問題ない。実用上、望ましくは1.5〜4ppm
が適当と考えられる。
(10)他の錯化剤を用いた場合のトリエタノールアミン
添加効果 以上の本発明の効果はトリエタノールアミンの錯化剤と
しての効果と加速剤としての効果の相乗効果と考えられ
る。ここで他の錯化剤を用いた場合のトリエタノールア
ミンの加速効果を見る為に錯化剤としてEDTAを用いてそ
の中にTEAを添加した時の析出速度の変化を調べてみ
た。結果を第10図に示す。TEAを添加しない場合は完全
なEDTA容であり1〜2μm/Hrという析出速度しか持たな
い。TEA添加量0.01〜0.2mol/lの範囲では、TEA-Cu2+
イオンは形成されていないと考えられ、少し高速化され
るがこの高速化は別の出願で開示したトリアルキルアミ
ンの高速化と同じと考えられる。またTEA添加量が0.15M
以上になると、10μm/Hr以上の高い析出速度を持つが、
これは、EDTA−Cu2+TEA−Cu2+の反応により、TEA-Cu
2+錯イオンが少し形成されたためと考えられる。このこ
とから、他の錯化剤を用いている時でも用いた錯化剤の
2倍以上のTEAを用いると高速反応が起こるとも言え
る。
以上のことにより、単なる加速剤としてのトリアルキル
アミンの場合とは全く異った高速化が、トリエタノール
アミンの銅錯イオンを形成することにより実現されたこ
とが明らかである。またこの高速化はトリエタノールア
ミンの銅錯イオンに対してトリエタノールアミンが加速
剤として機能する時にのみ実現されると言える。従っ
て、この以上な高速反応にはCu2+とトリエタノールアミ
ンとによる銅錯イオンが存在することが必ず必要であ
る。なおかつ加速剤として機能するトリエタノールアミ
ンが別に必要である。このような錯イオンは他の錯化剤
を使用した場合においても、使用した錯化剤の約2倍以
上のトリエタノールアミンを用いることによって、生成
され高速反応を引きおこす。
(11)銅塩の種類による影響 以上の実験ではすべて溶けやすい塩化第2銅CuCl2を用
いたが、他に一般的に使用される銅塩として硫酸銅CuSO
4、硝酸銅Cu(NO3)2がある。それらについて析出速度を
調べた結果を第11図に示す。ここでは基本浴で銅塩0.06
M,TEA,0.18M(r=3)とした。高速化効果は銅塩の種
類によらずほとんど一定していることが認められる。
(12)温度による析出速度の影響 代表的高速浴のTEA浴(r=3,pH12.8)について、同様
の条件にて、温度による析出速度の変化を調べた結果を
第12図に示す第11図によると高速めっきの為には60℃が
最も有利と考えられるが、たとえば30℃においても従来
浴(同じ添加剤を加えた場合1μm/Hr以下)よりはるか
に高速であることが認められる。従って、本発明の浴を
用いれば用途によっては常温高速化学銅めっきも容易で
ある。ただし、高温側は、80℃を超えると副反応がかな
り活発になり、浴が分解したり、濁ってきたりするの
で、通常最高使用温度を80℃とすることが望ましい。
従って、好適な温度範囲は第12図より常温以上80℃以下
であるといえる。ここで常温とは普通に0℃〜30℃の範
囲をいう。更に望ましくは常温〜70℃の範囲内である。
ただし、設定温度はめっきの用途に応じて決められる。
しかしながら、いづれの温度においても本発明の浴では
従来浴より10倍以上高速である。
(13)析出皮膜の物性 代表的な物性改質剤としてフェロシアン化カリウム、2,
2′−ビピリジル、通常一般的に使用されるポリエチレ
ングリコール(中性界面活性剤、分子量2万及び2
千)、及びアニオン系界面活性剤を用い、TEA0.3M(r
=5)、pH12.7の基本浴で、10cm×5cmステンレス板上
に30μm程度の銅皮膜を形成し、1cm巾に切断して引張
り試験を行った。皮膜物性の尺度として伸び率を測定し
た所表4のとおりであった。なお、いずれの場合も、浴
の管理は行わず、101のめっき浴に30分〜40分程浸漬し
て皮膜を形成した。析出速度30〜50μm/Hr、伸び率1.5
〜8%特に5〜8%という値は良質な皮膜を短時間で形
成できたことを示している。また、浴の管理や添加剤の
工夫によって更に良質な皮膜を短時間で形成することも
可能である。
以上、一連の研究により、トリエタノールアミンを錯化
剤として用い、かつ使用量を銅塩濃度の1.2倍モル以上
で0.1Mを越え0.3M以下の絶対量にすることにより、加速
剤としても機能させることができ、従来考えられなかっ
た高速化学銅めっきが実現できることが明らかにされ
た。
最後に最も典型的な析出速度結果を従来浴と供に表5に
示す。トリエタノールアミンを用いることで約100倍の
高速化学銅めっきが可能となることが明らかである。
〔発明の効果〕 以上により明らかにされた如く、本発明によれば、トリ
エタノールアミン又はその塩を銅イオンのモル濃度の1.
2倍以上に過剰かつ0.1Mを越え0.3M以下の絶対量で用い
ることによって、トリエタノールアミン又はその塩が銅
イオンの錯化剤としてのみならず析出加速剤として作用
し、従来の化学銅めっきでは予想されない100μm/Hr以
上、各種添加剤を添加しても30〜120μm/Hrの極めて高
速の析出速度が達成され、化学銅めっきの実用化に大き
く踏み出すことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
第1図はトリエタノールアミンの添加量と析出速度の関
係を示すグラフ図、 第2図はトリエタノールアミン以外の錯化剤の添加量と
析出速度の関係を示すグラフ図、 第3図はトリエタノールアミン浴の主な添加剤による析
出速度の減少を示す図、 第4図はトリエタノールアミン浴のpHと析出速度の関係
を示すグラフ図、 第5図はトリエタノールアミン浴とCu2+濃度と析出速度
の関係を示すグラフ図、 第6図はトリエタノールアミン浴のホルマリン濃度と析
出速度の関係を示すグラフ図、 第7図及び第8図はトリエタノールアミン浴とエチレン
ジアミン四酢酸浴における還元剤としてホルマリンのみ
添加した場合とさらに次亜リン酸ナトリウムを添加した
場合の析出速度を示すグラフ図、 第9図はトリエタノールアミン浴のO2濃度と析出速度の
関係を示すグラフ図、 第10図はエチレンジアミン四酢酸浴にトリエタノールア
ミンを添加した場合の析出速度を示すグラフ図、 第11図はトリエタノールアミン浴にいろいろな銅塩を用
いた場合の析出速度を示すグラフ図、 第12図はトリエタノールアミン浴の温度と析出速度の関
係を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野本 薫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 石田 信正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 石川 純次 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−59042(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅イオン、銅イオン錯化剤、還元剤及びpH
    調整剤を含む化学銅めっき液において、トリエタノール
    アミン又はその塩を錯化剤かつ加速剤として含み、該ト
    リエタノールアミン又はその塩を、銅イオンを錯化する
    には十分であるが加速剤として機能するほどには多量に
    存在しない場合の銅の析出速度と比べて実質的に向上し
    た銅の析出速度を与える量で含み、該トリエタノールア
    ミン又はその塩の液中の絶対量が0.1Mを越え0.3M以下で
    あることを特徴とする化学銅めっき液。
  2. 【請求項2】銅イオン、銅イオン錯化剤、還元剤及びpH
    調整剤を含んで成り、トリエタノールアミン又はその塩
    を錯化剤及び加速剤として液中に0.1Mを越え0.3M以下で
    ある絶対量で含む化学銅メッキ液に、銅析出に感受性の
    ある被めっき材を浸漬して、被めっき材表面に、該トリ
    エタノールアミン又はその塩が銅イオンを錯化するには
    十分であるが加速剤として機能するほどには多量に存在
    しない場合の銅の析出速度と比べて実質的に向上した析
    出速度で銅を析出させることを特徴とする銅めっき皮膜
    の形成方法。
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