JPH07207453A - 密着性良好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents
密着性良好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法Info
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Abstract
方向性珪素鋼板に形成するに当たり、絶縁皮膜の密着性
を向上させる。 【構成】 仕上げ焼鈍後の軽酸洗に引き続き、燐酸洗を
主体とする皮膜を予め形成することにより、軽酸洗によ
って劣化したフォルステライト皮膜を補修したうえで、
絶縁皮膜形成を行う。 【効果】 鋼板に対する付与張力の大なる絶縁皮膜を密
着性良好に形成でき、一方向性珪素鋼板の鉄損を低減で
きる。
Description
に鋼板に対する付与張力の大なる絶縁皮膜を密着性良好
に形成し、鉄損の低下を図る方法に関するものである。
以下の通りである。Siを4%以下含有する珪素鋼スラ
ブを熱延し、1回もしくは中間焼鈍をはさむ2回の冷延
により最終板厚に仕上げ、湿潤雰囲気中の焼鈍により脱
炭とSiO2 を主体とするサブスケールを形成させる。
続いてMgOを主体とする焼鈍分離剤を水に懸濁してス
ラリー状にして塗布、乾燥の後コイルに巻き取り、高温
仕上げ焼鈍を行う。この高温仕上げ焼鈍により、鋼板中
においてはゴス方位の二次再結晶粒が発達し、一方鋼板
表面においては焼鈍分離剤中のMgOとサブスケール中
のSiO2 が反応して、フォルステライトを主体とする
グラス皮膜が形成される。仕上げ焼鈍後、水洗により余
剰のMgOを除去した後、絶縁性及び鉄損の改善を目的
として絶縁皮膜が施される。
程で固着したMgOを完全に除去することは困難であ
り、また、固着したMgOを残したまま絶縁コーティン
グを行うとコーティングにむらが生ずる。したがって、
絶縁コーティングを塗布する前に更に軽酸洗を行い、次
いで水洗、乾燥を行うのが通例である。この絶縁皮膜に
は、従来、特開昭48−39338号公報によるコロイ
ダルシリカと燐酸アルミニウムを主体とするコーティン
グ液、もしくは特開昭50−79442号公報によるコ
ロイダルシリカと燐酸マグネシウムを主体とするコーテ
ィング液が用いられてきた。これらの燐酸塩を含むコー
ティング液は、フォルステライト皮膜との密着性が良好
であるばかりでなく、更にコロイダルシリカを併用した
場合には焼き付け後に鋼板に張力が付与され鉄損を低減
する効果もある。
増大させ、鋼板の鉄損値の更なる低減を図ろうとする試
みがなされている。特願平4−222849号、同4−
222850号においては、アルミナゾルとほう酸を主
体とするコーティング液の採用により、皮膜による鋼板
への付与張力が格段に向上し、鉄損低減に非常に有効で
あることが示されている。ここでアルミナゾルとは、結
晶質あるいは無定型のアルミナ水和物、もしくは結晶質
あるいは無定型の水酸化アルミニウムの微粉末を溶媒中
に分散させたものを指し、ベーマイトゾルとも言われ
る。このコーティング液を焼き付けると鋼板に対する付
与張力の大きいAl2 O3 −B2 O3 系の絶縁皮膜を形
成することができる。しかしながら前記コーティング液
を実際の製造ラインに適用したところ、皮膜密着性が劣
ることが判明した。
る付与張力の大なる絶縁皮膜を形成するに際し、フォル
ステライトを主体とする仕上げ焼鈍皮膜に対する絶縁皮
膜の密着性を向上させることを目的とするものである。
ルとほう酸を主体とするコーティング液による皮膜を施
した場合の、実際の製造ラインにおける上記問題点につ
いて検討を重ねた。その結果、コーティング前の軽酸洗
が原因であることがわかった。すなわち、軽酸洗を省略
した場合、あるいは水洗のみに止めた場合には良好な皮
膜密着性が得られることがわかった。
の軽酸洗を省略することは適当ではない。実際の製造工
程における上記軽酸洗は、仕上げ焼鈍時に用いたMgO
を主体とする焼鈍分離剤を完全に除去するために行われ
ている。すなわち、仕上げ焼鈍が高温長時間にわたり行
われるため、フォルステライト形成反応に与からなかっ
た余剰のMgOが局部的に鋼板に固着することが多く、
水洗のみでは完全に除去することは困難である。これを
残したままコーティングラインに持ち込むならば、コー
ティングにむらが生ずる。したがって軽酸洗工程を省略
することはできない。
大きい絶縁皮膜の密着性を確保できる方法を種々検討し
たところ、軽酸洗の後にフォルステライト皮膜との密着
性の良好な燐酸塩を含む皮膜を0.5g/m2 以上形成
させることが有効であることがわかった。特に燐酸塩に
加えてコロイダルシリカを添加したコーティング液は、
前述したようにこの皮膜自体が鋼板に対する張力付与効
果があり、鉄損低減にも有効である。
有する最終仕上げ焼鈍板に軽酸洗を施した後、片面当た
り0.5g/m2 以上3g/m2 以下の燐酸塩を主体と
する皮膜を形成し、次いで付与張力の大なる絶縁皮膜を
形成することを特徴とする密着性良好な一方向性珪素鋼
板の絶縁皮膜形成方法。 (2)フォルステライトを主体とする仕上げ焼鈍皮膜を
有する最終仕上げ焼鈍板に軽酸洗を施した後、片面当た
り0.5g/m2 以上3g/m2 以下の燐酸塩とコロイ
ダルシリカを主体とする皮膜を形成し、次いで付与張力
の大なる絶縁皮膜を形成することを特徴とする密着性良
好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。 (3)鋼板に対する付与張力の大なる絶縁皮膜として、
アルミナゾルとほう酸を主体とするコーティング液を塗
布焼き付ける(1)または(2)記載の密着性良好な一
方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。 本発明においては、占積率を低下させないためには、こ
の中間皮膜の形成量を3g/m2 以下に止める必要があ
る。
が燐酸塩を含む皮膜を下塗りすることによって改善され
る理由は明らかではないが、現在のところ以下のように
推定している。仕上げ焼鈍済みの鋼板を酸洗すると、仕
上げ焼鈍時に鋼板表面に生成したフォルステライトを主
体とする皮膜がエッチングされ、同皮膜層の機械的強度
が多少低下することが予想される。通常の絶縁皮膜を同
皮膜の上に形成した場合には焼き付け後の張力が比較的
小さいため界面に発生する応力もさほどではなく、密着
性は問題にならない。
ような、鋼板に与える張力が大きい皮膜を形成すると、
機械的強度の劣化したフォルステライト皮膜が、皮膜と
地鉄との界面に発生する応力に耐えきれなくなって剥離
するものと思われる。Al2O3 −B2 O3 系絶縁皮膜
形成後の皮膜の剥離が、フォルステライト皮膜と地鉄と
の界面で起こっていることは以上の推定を支持している
ものと思われる。
ルステライトのようなセラミックスの補修剤としての効
果が期待できる。すなわち軽酸洗時のエッチングによっ
て亀裂の入った皮膜を補修することにより、Al2 O3
−B2 O3 系皮膜形成によって発生した高い界面応力に
耐え得るようになったものと思われる。
みの一方向性珪素鋼板を水洗した後、軽酸洗及び水洗の
みを行ったもの、軽酸洗と水洗の後燐酸塩及び燐酸塩と
コロイダルシリカからなるコーティング液を塗布焼き付
けた試料を作製した。その後、アルミナゾルとほう酸を
主体とするコーティング液を塗布し、850℃で30秒
の焼き付けを行い、直径20mmの丸棒に巻き付けて皮膜
密着性の評価を行った。表1に示すように、中間皮膜を
施すことにより皮膜密着性が改善されることがわかる。
液がアルミナゾルとほう酸を主体とするコーティング液
を用いる絶縁皮膜形成工程に先だって施すことにより、
皮膜密着性が良好でかつ鋼板への付与張力の大きな、す
なわち鉄損の低い一方向性珪素鋼板を製造することがで
きる。
Claims (3)
- 【請求項1】 フォルステライトを主体とする仕上げ焼
鈍皮膜を有する最終仕上げ焼鈍板に軽酸洗を施した後、
片面当たり0.5g/m2 以上3g/m2 以下の燐酸塩
を主体とする皮膜を形成し、次いで付与張力の大なる絶
縁皮膜を形成することを特徴とする密着性良好な一方向
性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項2】 フォルステライトを主体とする仕上げ焼
鈍皮膜を有する最終仕上げ焼鈍板に軽酸洗を施した後、
片面当たり0.5g/m2 以上3g/m2 以下の燐酸塩
とコロイダルシリカを主体とする皮膜を形成し、次いで
付与張力の大なる絶縁皮膜を形成することを特徴とする
密着性良好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項3】 鋼板に対する付与張力の大なる絶縁皮膜
として、アルミナゾルとほう酸を主体とするコーティン
グ液を塗布焼き付ける請求項1または2記載の密着性良
好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP00226594A JP3172025B2 (ja) | 1994-01-13 | 1994-01-13 | 密着性良好な一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 1994-01-13 JP JP00226594A patent/JP3172025B2/ja not_active Expired - Lifetime
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