JP2003301271A - 耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents

耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法

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JP2003301271A JP2002107466A JP2002107466A JP2003301271A JP 2003301271 A JP2003301271 A JP 2003301271A JP 2002107466 A JP2002107466 A JP 2002107466A JP 2002107466 A JP2002107466 A JP 2002107466A JP 2003301271 A JP2003301271 A JP 2003301271A
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修一 山崎
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昌浩 藤倉
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Takeshi Hamada
健 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 仕上げ焼鈍皮膜のない方向性電磁鋼板にAl
2 3 −B2 O3 絶縁皮膜を形成するにあたって、焼付
時の界面酸化を防止する。 【解決手段】 アルミナゾルと硼酸を主体とするコーテ
ィング液を塗布乾燥の後、PH>6の無機コーティング
液を塗布して乾燥した後、焼き付けることを特徴とす
る、耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼板の絶縁皮膜
形成方法。 【効果】 現行の焼付設備を用いた場合でも焼付時の界
面酸化が起こらず、Al 2 3 −B2 3 絶縁皮膜が良
好に形成でき、鉄損の極めて低い方向性電磁鋼板が製造
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向性電磁鋼板、特
に表面にフォルステライト等の仕上げ焼鈍皮膜を有しな
い方向性方向性電磁鋼板、さらには鏡面ないしそれに近
い状態に調整した仕上げ焼鈍後の方向性方向性電磁鋼板
の表面に、張力付与性の優れたAl2 3−B2 3
膜を形成するにあたり、焼付雰囲気に対する制限を緩和
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は主に電力変換器の鉄芯
に用いられ、一般に鉄損の少ない材料が求められる。表
面には絶縁性の皮膜が必要とされているため、絶縁コー
ティングを施した後市販される。方向性方向性電磁鋼板
はほとんどの場合Siを含有するため、方向性珪素鋼板
とも呼ばれる。
【0003】圧延方向に結晶方位が配向した方向性珪素
鋼板、すなわち一方向性電磁鋼板においては、鋼板に張
力を付与することにより鉄損を低減することができる。
鋼板に張力を付与するためには、鋼板より熱膨張係数の
小さい材質からなる皮膜を高温で形成することが有効で
ある。これは鋼板と皮膜との間の熱膨張係数差によって
生ずる熱応力を利用するものである。
【0004】通常の一方向性方向性電磁鋼板の表面に
は、脱炭焼鈍工程で生ずるSiO2 を主体とする酸化膜
と焼鈍分離剤として通常用いられるMgOとが、仕上げ
焼鈍中に反応して形成されたフォルステライトを主体と
する皮膜(以下、仕上げ焼鈍皮膜と称する)が存在す
る。この仕上げ焼鈍皮膜は、鋼板に張力を付与し、若干
の鉄損低減効果がある。
【0005】さらに、特開昭48−39338号公報で
開示されたシリカゾルと燐酸塩を主体とするコーティン
グ液を鋼板表面に塗布して焼き付けることによって得ら
れる絶縁皮膜は、鋼板に対して張力付与の効果が大き
く、鉄損低減に有効である。したがって、仕上げ焼鈍工
程で生じた皮膜を残したうえで、シリカゾルと燐酸塩を
主体とするコーティング液を焼き付けてなる絶縁皮膜を
施すことが一般的な方向性方向性電磁鋼板の製造方法と
なっている。
【0006】一方、最近仕上げ焼鈍皮膜と地鉄の乱れた
界面構造が、鉄損に対する皮膜張力効果をある程度相殺
していることが明らかになってきた。そこで、例えば特
開昭49−96920号公報や特開平4−131326
号公報に開示されている如く、仕上げ焼鈍工程で生ずる
仕上げ焼鈍皮膜を研磨、研削等の機械的あるいは酸洗な
どの化学的手段等により除去したり、更にその後化学研
磨や再焼鈍によって鏡面化仕上げを行った後、あるいは
仕上げ焼鈍における仕上げ焼鈍皮膜の形成を防止するこ
とによって、実質的に仕上焼鈍皮膜がない状態もしくは
鏡面状態にした後、張力皮膜を改めて施すことにより、
更なる鉄損低減を試みる技術が開発された。
【0007】しかしながら、単に方向性電磁鋼板を仕上
げ焼鈍皮膜の無い状態に仕上げたのみでは、低い鉄損値
を実現することは出来ない。仕上げ焼鈍皮膜の無い方向
性電磁鋼板が本来有する低鉄損性を発揮させるために
は、鋼板表面に20MPa以上の皮膜張力を付与した
り、あるいは鋼板表面に圧延方向に対しおおむね垂直に
線状あるいは点列状の溝を形成した上で、12MPa以
上の皮膜張力を付与しなければならない。すなわち張力
付与型の絶縁皮膜を鋼板表面に形成する必要がある。
【0008】上記の皮膜張力を、従来の絶縁皮膜、すな
わち燐酸塩とシリカゾルを主体とするコーティング液を
焼き付けた皮膜によって達成しようとすると、皮膜形成
量が通常の2〜3倍以上必要であり、占積率が著しく劣
化する。
【0009】少ない皮膜形成量で鋼板に対し大きな皮膜
張力を付与するために、発明者らは特開平6−3066
28公報等に開示した、アルミナゾルと硼酸を主体とす
るコーティング液を焼き付けることによって得られるA
2 3 −B2 3 系の結晶質皮膜を開発した。同皮膜
は、同一膜厚のもとで、シリカゾルと燐酸塩を主体とす
るコーティング液を焼き付けた場合に比べて、3倍程度
の皮膜張力を得ることができる。
【0010】仕上げ焼鈍皮膜の無い方向性電磁鋼板は特
に張力付与型の絶縁皮膜の密着性が著しく劣る。したが
って絶縁皮膜形成に先立ち鋼板との密着性が良好な中間
層を形成する必要がある。このような中間層として、発
明者らは特開平6−184762号公報において弱酸化
性雰囲気中焼鈍によって形成されたSiO2 が有効であ
ることを開示した。さらに発明者らは特開平11−20
9891号公報において、アルカリ金属珪酸塩中の陽極
電解処理で得られるSiO2 膜も有効であることを開示
した。
【0011】上記のように、仕上げ焼鈍皮膜の無い方向
性電磁鋼板の製造技術、付与張力の大きいAl2 3
2 3 皮膜形成技術、鋼板に対する絶縁皮膜の密着性
付与技術が開発できたのであるが、これらの技術のみで
は工業的製造は容易ではなかった。Al2 3 −B2
3 皮膜を特に仕上げ焼鈍皮膜のない方向性電磁鋼板に焼
き付けるにあたっては、焼付雰囲気を制御する必要があ
ることが判明した。すなわち、焼付雰囲気を還元性に維
持しなかった場合には、焼付中に皮膜と地鉄の界面が酸
化し、本来仕上げ焼鈍皮膜の無い方向性電磁鋼板が有す
る低鉄損性が失われたり、絶縁皮膜が剥離してしまうと
言う現象が起こる。したがって仕上げ焼鈍皮膜のない方
向性電磁鋼板にAl2 3 −B2 3 皮膜を焼き付ける
にあたっては、雰囲気を制御できる焼付炉が必要であ
り、安価な製造が困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Al2 3
−B2 3 皮膜を仕上げ焼鈍皮膜のない方向性電磁鋼板
に形成するにあたっての焼付雰囲気に対する制限を撤廃
することにより、仕上げ焼鈍皮膜が無くかつ張力付与型
の絶縁被膜が施された、鉄損の極めて低い方向性電磁鋼
板を工業的に安価に製造可能ならしめることを目的とす
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、仕上げ焼鈍皮
膜の無い方向性電磁鋼板に対しAl2 3 −B2 3
膜を形成するに際し、アルミナゾルと硼酸を主体とする
コーティング液を鋼板に塗布乾燥の後、さらにpH>6
以上の無機コーティング液を塗布乾燥したうえで焼き付
けるものである。
【0014】現行の絶縁皮膜焼付設備は多くの場合、厳
密な雰囲気制御は行っていない。通常、焼付炉内に導入
するガスにはN2 が用いられるが、炉内シールは十分で
はなく、若干の大気の混入は避けがたい。また、コ−テ
ィング膜は乾燥された状態でも膜中に水分を残存させて
おり、これが焼付中に放出されるため、焼付炉内には若
干の水蒸気が存在する。すなわち、現行焼付炉内では酸
素および水蒸気の存在は避けがたい。したがって、仕上
げ焼鈍皮膜の無い方向性電磁鋼板に対しアルミナゾルと
硼酸を主体とするコーティング液を塗布乾燥の後現行の
焼付設備で焼き付けるならば、同乾燥膜あるいは焼付膜
の雰囲気に対する保護性が十分ではないため、焼付中に
絶縁皮膜と地鉄の界面は酸化してしまう。
【0015】一方、仕上げ焼鈍皮膜のない方向性電磁鋼
板に対し、現行の絶縁皮膜、すなわち燐酸塩とシリカゾ
ルを主体とするコーティング液を塗布乾燥の後、現行の
焼付炉で焼き付けた場合には、界面の酸化は起こらな
い。現行の絶縁皮膜は焼付炉内雰囲気に対する保護性が
高いと言える。
【0016】そこで発明者らは、上げ焼鈍皮膜の無い方
向性電磁鋼板に対し、アルミナゾルと硼酸を主体とする
コーティング液を塗布乾燥の後、燐酸塩とコロイダルシ
リカを主体とするコーティング液を塗布乾燥した上で焼
き付けるならば、焼付中の界面酸化が防止できるのでは
ないかと考えたが、この試みは失敗した。燐酸塩とコロ
イダルシリカを主体とするコーティング液を塗布した際
に、Al2 3 −B23 皮膜の乾燥膜が膨潤、剥離す
るという現象が起こったのである。
【0017】発明者らは、いかなる無機コーティング液
ならばAl2 3 −B2 3 乾燥膜を膨潤、剥離するこ
となく乾燥膜が形成できるかと言う検討を行った。すな
わち、仕上げ焼鈍皮膜の無い方向性電磁鋼板に対し、ア
ルミナゾルと硼酸を主体とするコーティング液を3g/
2 塗布乾燥の後、表1に示す各種無機コーティング液
をそれぞれ0.5g/m2 塗布した。結果を表1に示
す。同表より、コーティング液がpH>6であれば、A
2 3 −B2 3 乾燥膜を膨潤、剥離することがない
ことがわかった。
【0018】
【表1】
【0019】同表に記載された合成サポナイトと合成ヘ
クトライトについて説明を加える。これらは、層状珪酸
塩の一種でスメクタイトと総称されるものである。スメ
クタイトは層状の粘土鉱物であり、近似的に{E1/3
nH2 O}F3 [Si,Al]4 10(OH)2 と表現
される組成を有する。ここでEはアルカリ金属、Fはア
ルカリ土類金属である。スメクタイトは水に分散すると
層間が膨潤してバラバラになり、ゾルになると言う性質
を持っている。いくつかの粘土鉱物は人工的に合成さ
れ、増粘剤や造膜剤として使用されている。コロイド状
態でも粒子は結晶質であり、またアルカリ金属を含むた
めコロイド溶液は弱アルカリ性を示し、本発明に好適な
ものの一つである。
【0020】次に、表1においてAl2 3 −B2 3
乾燥膜が膨潤、剥離しなかった場合について、1%の酸
素と10%の水蒸気を含有する窒素雰囲気中で850
℃、1分間の焼付処理を行った。焼付後の表層断面を顕
微鏡観察し界面酸化の有無を調査したところ、表1に示
すように、pH>6の無機コーティング液をAl2 3
−B2 3 乾燥膜の上に塗布乾燥することにより、現行
焼付炉のような不完全な雰囲気下であっても界面の酸化
が防止できることがわかった。
【0021】次に、上記無機コーティングが雰囲気保護
性を発揮できる最低の塗布量を見極める実験を行った。
すなわち、仕上げ焼鈍皮膜の無い方向性電磁鋼板に対
し、アルミナゾルと硼酸を主体とするコーティング液を
3g/m2 塗布乾燥の後、pH=9のチタニアゾルもし
くはpH=10のシリカゾルを各種塗布量にて塗布乾燥
し、1%の酸素と10%の水蒸気を含有する窒素雰囲気
中で850℃、1分間の焼付処理を行った。焼付後の表
層断面を顕微鏡観察し界面参加の有無を調査した。その
結果、表2に示すように、チタニアゾルやシリカゾルが
0.05g/m2以上の塗布量ならば、現行の焼付炉の
雰囲気においても焼付時の界面酸化が防止できることが
わかった。
【0022】
【表2】
【0023】発明者らは、以上の検討の結果、仕上げ焼
鈍皮膜のない方向性電磁鋼板に対しアルミナゾルと硼酸
を主体とするコーティング液を塗布乾燥の後、pH>6
の無機コーティング液を0.05g/m2 以上塗布乾燥
した上で焼き付けるならば、現行の焼付炉においても焼
付中の界面酸化が防止できるとの結論に達した。
【0024】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について述
べる。本発明は、フォルステライトのない方向性電磁鋼
板の表面に高い張力を付与できるAl2 3 −B2 3
絶縁皮膜を現行焼付炉を用いて形成しようとする場合
に、焼付中に起こる界面酸化を防止しようとするもので
ある。対象となる方向性電磁鋼板としては、仕上焼鈍後
に酸洗処理を行ってフォルステライト等の仕上げ焼鈍皮
膜を除去した方向性電磁鋼板、仕上焼鈍に際し、焼鈍分
離剤中に添加物を加えることにより仕上焼鈍皮膜の生成
を抑制した方向性電磁鋼板等である。
【0025】また、鉄損の低い電磁鋼板を得るために、
仕上焼鈍皮膜を除去した後化学的、機械的研磨もしくは
還元性雰囲気下での高温焼鈍等の手段により表面を平滑
化した方向性電磁鋼板、あるいは仕上焼鈍を行うに際し
一次再結晶焼鈍時の酸化膜を除去しMgO以外の焼鈍分
離剤を選択することによって表面を平滑化した方向性電
磁鋼板、あるいは焼鈍分離剤としてアルカリ金属を含有
するアルミナ等を用いて仕上焼鈍を行うことにより表面
を平滑化した方向性電磁鋼板に好適である。
【0026】また、耐熱型磁区制御処理、すなわち溝付
き金属ロールや電解エッチング等により圧延方向に対
し、おおむね直角方向に溝を形成したフォルステライト
の無い方向性電磁鋼に、張力付与型絶縁皮膜を形成する
際に特に好適である。溝の形状としては、溝の方向が圧
延方向に対し直角から45°の範囲、幅が10〜300
μm、深さが5〜40μm、溝間の間隔が1〜20mm
が望ましく、これらの範囲以外では鉄損改善効果が小さ
い。溝は線状、点列状のいずれでも効果は変わらない。
溝の導入手段は機械的、化学的のいずれでも良い。
【0027】上記仕上げ焼鈍皮膜のない方向性電磁鋼板
に対し、アルミナゾルと硼酸を主体とするコーティング
液を塗布乾燥するに際し、それに先だって前記特開平6
−184762号公報において開示した、弱酸化性雰囲
気中焼鈍によるSiO2 膜の形成や、特開平11−20
9891号公報において開示した、アルカリ金属珪酸塩
中の陽極電解処理によるSiO2 膜の形成を行うことに
より、皮膜密着性が改善される。なお、上記焼鈍や電解
処理によって形成されるSiO2 膜は0.01μm程度
であるため、これらのみでは焼付時の界面酸化を抑制す
るには不十分である。
【0028】上記アルミナゾルと硼酸を主体とするコー
ティング液を塗布乾燥した後、pH>6の無機コーティ
ング液を0.05〜5g/m2 塗布乾燥した後、焼付処
理を行う。無機コーティング液が酸性であると、無機コ
ーティング液塗布時にAl23 −B2 3 乾燥膜が膨
潤剥離してしまう。無機コーティング液がpH>6であ
ればAl2 3 −B2 3 乾燥膜の膨潤、剥離は起こら
ないが、十分な焼付時界面酸化防止のためには無機コー
ティングの塗布量が0.05g/m2 以であることが望
ましい。一方、占積率が劣化するため5g/m2 以下に
するべきである。
【0029】無機コーティングは水性であることが望ま
しい。有機溶媒を用いるものはやや高価である上に、塗
布乾燥設備を防爆仕様にしなければならないからであ
る。無機コーティング液としては、シリカゾル、珪酸ナ
トリウム水溶液、珪酸カリウム水溶液、珪酸リチウム水
溶液、過酸化チタン酸、酸化チタンゾル、酸化ジルコニ
ウムゾル、酸化スズゾル、スメクタイトゾル等が有効で
ある。なお、シリカゾル、酸化チタンゾル、酸化ジルコ
ニウムゾル、酸化スズゾルには酸性のタイプも存在する
が、本発明では酸性のタイプは除かれる。
【0030】
【実施例】次に実施例について説明するが、本発明はか
かる実施例に限定されるものではない。3%Siを含有
する最終板厚0.23mmに圧延された電磁鋼に対し、
脱炭焼鈍後、Na2 Oを0.3%含有するアルミナを主
とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上げ焼鈍を行った。
このようにして焼鈍した一方向性電磁鋼板表面には焼鈍
による皮膜が形成されず、鏡面状態を呈する。この鋼板
に対し、歯車ロールを用いて圧延方向と直角方向に深さ
10μm、幅100μmの溝を5mm間隔で形成した。
続いてこの鋼板を75%水素−25%窒素、露点0℃の
雰囲気中で900℃60秒の焼鈍を施した後、アルミナ
ゾルと硼酸を主体とするコーティング液を5g/m2
布乾燥した。その後、表3に示す無機コーティング液を
塗布乾燥し、1%の酸素と10%の水蒸気を含有する窒
素雰囲気中で850℃、1分間の焼付処理を行った。
【0031】この様にして製造された、溝が形成されか
つAl2 3 −B2 3 絶縁皮膜の施された方向性電磁
鋼板の、皮膜状況および磁気特性(B8 、W17/50 )を
比較例とともに表3に示す。アルミナゾルと硼酸を主体
とするコーティング液を塗布乾燥した後に、pH>6の
無機コーティング液を塗布乾燥してから焼き付けた電磁
鋼板は、焼付時の界面酸化が防止され、Al2 3 −B
2 3 皮膜の形成が良好となり、極めて鉄損の低い方向
性電磁鋼板となる。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明により、仕上げ焼鈍皮膜のない方
向性電磁鋼板に付与張力の大きいAl 2 3 −B2 3
皮膜を焼き付けるに際し、特段の雰囲気制御をすること
無しに焼付時の界面酸化が防止でき、極めて鉄損の低い
方向性電磁鋼板を低コストな製造設備で製造することが
可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 11/34 301 C25D 11/34 301 H01F 1/18 H01F 1/18 (72)発明者 久保 祐治 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 濱田 健 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K026 AA03 AA22 BA01 BB05 BB10 CA14 CA15 CA18 DA02 DA06 DA11 EA06 EB11 4K033 RA04 TA03 5E041 BC01 NN02 NN05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に仕上焼鈍皮膜が存在しない方
    向性電磁鋼板にアルミナゾルと硼酸を主体とすコーティ
    ング液を焼き付けて絶縁皮膜を形成するに際し、コーテ
    ィング液を鋼板に塗布乾燥の後、さらにpH>6以上の
    無機コーティング液を塗布乾燥したうえで焼き付けるこ
    とを特徴とする、耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼
    板の絶縁皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】 無機コーティング液の塗布量を0.05
    〜5g/m2 とすることを特徴とする、請求項1記載の
    耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成
    方法。
  3. 【請求項3】 無機コーティング液として、シリカゾ
    ル、珪酸ナトリウム水溶液、珪酸カリウム水溶液、珪酸
    リチウム水溶液、過酸化チタン酸、酸化チタンゾル、酸
    化ジルコニウムゾル、酸化スズゾル、スメクタイトゾル
    のいずれかもしくはこれらの混合物を用いることを特徴
    とする、請求項1または2記載の耐焼付雰囲気性に優れ
    た方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法。
  4. 【請求項4】 アルミナゾルと硼酸を主体とするコーテ
    ィング液を塗布するに先立ち、弱酸化性雰囲気中で焼鈍
    するか、もしくはアルカリ金属珪酸塩水溶液中で陽極電
    解処理を施すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の耐焼付雰囲気性に優れた方向性電磁鋼板
    の絶縁皮膜形成方法。
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