JPH07205370A - 被覆金属板及びその製法 - Google Patents

被覆金属板及びその製法

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JPH07205370A
JPH07205370A JP62594A JP62594A JPH07205370A JP H07205370 A JPH07205370 A JP H07205370A JP 62594 A JP62594 A JP 62594A JP 62594 A JP62594 A JP 62594A JP H07205370 A JPH07205370 A JP H07205370A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子量のエポキシ樹脂が連続フィルムの形
で施され、また金属に対する密着性や加工性と耐腐食性
との組み合わせに優れた被覆金属板及びその製法を提供
する。 【構成】 重量平均分子量が70,000以上のビスフ
ェノール型エポキシ樹脂(A)とメチロール基含有樹脂
硬化剤(B)とを、(A):(B)= 99:1乃至7
0:30の重量比で含有する樹脂組成物(C)を金属基
材に連続被覆として、或いは該樹脂組成物(C)と、フ
ィルム形成能を有する樹脂(D)を、(C):(D)が
3:97乃至50:50の膜厚比で、樹脂組成物(C)
が金属面に接するように金属基材に連続被覆として施し
てなる被覆金属板及びその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被覆金属板及びその製
造方法に関するもので、より詳細には、優れた密着性及
び加工性と耐腐食性との組み合わせを有し、シームレス
缶等の製造に有用な被覆金属板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、缶詰用缶としては、側面に半田
付、接着、溶接による継目を設けた缶胴に天地缶蓋を巻
締してなる所謂スリー・ピース缶や、絞り加工、絞り深
絞り加工或いは絞りしごき加工等により形成され、側面
に継目を有しない缶胴に缶蓋を巻締してなる所謂ツー・
ピース缶(シームレス缶)が一般に使用されているが、
これらいずれの形態の缶も内容物への金属溶出を抑制
し、また缶の腐食を防止するために、その内面に保護塗
膜を設けている。
【0003】このような缶用塗料としては、エポキシ樹
脂成分とレゾール型フェノール樹脂、アミノ樹脂等の他
の熱硬化性樹脂成分との混合物乃至は初期縮合物が一般
に広く使用されている。缶の製造に当って、この塗料を
製缶前或いは製缶後の缶素材に塗布し、ついでこの塗料
を焼付けて熱硬化塗膜とする。
【0004】塗料の代わりに樹脂フィルムをラミネート
した金属素材を製缶に用いることも既に知られており、
例えば、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フリ
ー・スチール板等の金属素材に樹脂フィルムをラミネー
トし、このラミネートを絞りダイスとポンチとの間で少
なくとも1段の絞り加工に付して、側面継目のない胴部
と該胴部に、継目なしに一体に接続された底部とから成
るカップに形成し、次いで所望により前記胴部に、しご
きポンチとダイスとの間でしごき加工を加えて、容器胴
部を薄肉化したものが知られている。また、しごき加工
の代わりに、再絞りダイスの曲率コーナ部で曲げ伸ばし
て側壁部を薄肉化することも既に知られている(特公昭
56−501442号公報。)
【0005】また、特公昭59−34580号公報には
金属素材にテレフタル酸とテトラメチレングリコールと
から誘導されたポリエステルフィルムをラミネートした
ものを用いることが記載されている。また、再絞り缶の
製造に際して、ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノ
リクス、ポリエステル、アクリル等の被覆金属板を用い
ることも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記缶
用塗料を用いる場合、有機溶剤系の塗料は、金属基体に
対するカバレージもよく、耐腐食性にも優れているが、
塗装及び焼き付けに際して、有機溶剤を環境中に放出す
るので、この有機溶剤を回収し或いはこれを燃焼除去す
るために格別の設備と費用を必要としている。これを防
止するために、水性塗料及び粉体塗料の開発が進められ
ているが、水性塗料といっても、有機溶剤を全く含まな
いものは実用に供せられていなく、しかも塗装作業性が
有機溶剤系のものに比して未だ悪く、カバレージや耐腐
食性の点でも未だ解決すべき問題点がある。粉体塗料
は、完全に有機溶剤を含有しないと言う点では、優れた
ものであるが、粉体の溶融流動性や造膜性が、缶体のよ
うに薄い被覆を設けるものには未だ不十分であり、実用
に供せられるには至っていない。
【0007】一方、予め金属素材にプラスチックフィル
ム等の有機被覆を施したものは、絞り成形工程において
工具による損傷を受けやすく、このような被覆の損傷部
では顕在的或いは潜在的な金属露出を生じ、この部分か
らの金属溶出や腐食を生じることになる。また無継目缶
の製造では缶の高さ方向には寸法が増大し、且つ缶の周
方向には寸法が縮小するような塑性流動を生じるが、こ
の塑性流動に際して、金属表面と有機被覆との密着力が
低下すると共に有機被覆中の残留歪等により両者の密着
力が経時的に低下する傾向も認められ、このような傾向
は缶詰用の内容物を熱間充填し或いは缶詰を低温乃至高
温で加熱殺菌する場合に特に顕著となる。
【0008】特に、熱可塑性樹脂フィルムの場合、金属
に対する密着性や加工性と、腐食成分に対するバリアー
性とを両立させることがしばしば困難であり、密着性や
加工性を向上させると耐腐食性が低下し、一方耐腐食性
を向上させると密着性や加工性が低下し、このため、上
記フィルムをラミネートした缶では皮膜下腐食(アンダ
ーフィルムコロージョン)等がしばしば発生しやすい。
また、熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしたもので
は、熱硬化性樹脂塗膜に比して耐熱性、耐熱水性に問題
があり、レトルト処理後における耐デント性等が熱硬化
性樹脂塗膜に比して劣るようである。
【0009】従って、本発明の目的は、高分子量のエポ
キシ樹脂を連続フィルムの形で施した被覆金属板及びそ
の製法を提供するにある。本発明の他の目的は、金属に
対する密着性や加工性と耐腐食性との組み合わせに優れ
た被覆金属板及びその製法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、重量平
均分子量が70,000以上のビスフェノール型エポキ
シ樹脂(A)とメチロール基含有樹脂硬化剤(B)と
を、(A):(B)=99:1乃至70:30の重量比
で含有する樹脂組成物(C)を金属基材に連続被覆とし
て施してなることを特徴とする被覆金属板が提供され
る。
【0011】本発明によればまた、重量平均分子量が7
0,000以上のビスフェノール型エポキシ樹脂(A)
とメチロール基含有樹脂硬化剤(B)とを、(A):
(B)= 99:1乃至70:30の重量比で含有する
樹脂組成物(C)と、フィルム形成能を有する樹脂
(D)を、(C):(D)が3:97乃至50:50の
膜厚比で、樹脂組成物(C)が金属面に接するように金
属基材に連続被覆として施してなることを特徴とする被
覆金属板が提供される。
【0012】本発明によれば更に、重量平均分子量が7
0,000以上のビスフェノール型エポキシ樹脂(A)
とメチロール基含有樹脂硬化剤(B)とを、(A):
(B)=99:1乃至70:30の重量比で含有する樹
脂組成物(C)のフィルム或いは更にフィルム形成能を
有する樹脂(D)を含む積層フィルムを製造し、該フィ
ルムを、樹脂組成物(C)が金属基材に接する位置関係
で、金属基材に熱融着することを特徴とする被覆金属板
の製法が提供される。
【0013】本発明によれば更にまた、重量平均分子量
が70,000以上のビスフェノール型エポキシ樹脂
(A)とメチロール基含有樹脂硬化剤(B)とを、
(A):(B)=99:1乃至70:30の重量比で含
有する樹脂組成物(C)或いは更にフィルム形成能を有
する樹脂(D)を、樹脂組成物(C)が金属基材に接す
る位置関係で、金属基材上に押出コートすることを特徴
とする被覆金属板の製法が提供される。
【0014】エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA
型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが
好ましく、本発明に用いるエポキシ樹脂(A)は、一般
にビスフェノール及びエピハロヒドリンから誘導された
液状エポキシ樹脂とビスフェノールとの溶液重合により
得られる。一方、メチロール基含有樹脂硬化剤はレゾー
ル型フェノール・アルデヒド樹脂であることが特に好ま
しい。エポキシ樹脂(A)とメチロール基含有樹脂硬化
剤(B)とを99:1乃至70:30の重量比、特に9
8:2乃至90:10で含有することが好適である。エ
ポキシ樹脂及びメチロール基含有樹脂硬化剤の組成物
(C)を厚さ0.5乃至30μm、特に2乃至25μm
の層として存在させるのがよい。金属基材は、特に限定
されないが、一般に表面処理鋼板またはアルミ板乃至こ
れらの箔であるのよい。上記組成物(C)と組み合わせ
で用いるフィルム形成能を有する樹脂(D)は、オレフ
ィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂またはポリアミ
ド樹脂であるのがよい。
【0015】
【作用】本発明においては、重量平均分子量が70,0
00以上のビスフェノール型エポキシ樹脂(A)と、メ
チロール基含有樹脂硬化剤(B)との組成物を、連続皮
膜として金属基材に施すことが顕著な特徴である。
【0016】従来、エポキシ樹脂を高分子化すると、そ
の粘度が高くなりすぎて、流動性や造膜性が低下し、塗
料としての取り扱いができなく、その重量平均分子量の
上限は高々4、5万であったが、本発明ではエポキシ樹
脂の重量平均分子量を70,000以上に高くしたもの
を固体の形で用いることにより、溶融押出が可能となる
と共に、優れたフィルム形成能が得られ、金属基材への
フィルムとしての被覆が可能となるものである。
【0017】本発明では、この高分子量エポキシ樹脂
(A)にメチロール基含有樹脂硬化剤(B)を組み合わ
せることも重要である。エポキシ樹脂の金属への優れた
密着性や、優れた耐食性はエポキシ樹脂が適度に硬化さ
れることにより発現されるものであるが、エポキシ樹脂
に硬化剤を含有させる場合には、溶融混練及び押出に際
してエポキシ樹脂が早期にゲル化する、所謂プレメーチ
ュアーの発生や、この早期ゲル化を回避できるものでは
エポキシ樹脂の最終的な硬化が不十分となる傾向も見ら
れる。硬化剤として、メチロール基含有樹脂を使用する
と、溶融混練及び押出時の早期ゲル化を防止しつつ、し
かも最終的に満足すべき硬化性能が得られる。また、得
られる被覆は、金属への密着性、加工性、耐腐食性に優
れていると共に、打痕が生じるような過酷な衝撃が加え
られた場合にも、剥離したり、被覆欠陥を生じることが
なく、耐デント性に優れている。
【0018】エポキシ樹脂とは、分子内に1個よりも多
いエポキシ基を有する化合物から製造され、このエポキ
シ基によって有用な熱硬化製品に転化し得る樹脂の総称
である(Herman F.Mark ,Encyclopedia of Polymer Sci
ence and Technology)。通常、この樹脂はジヒドロキシ
化合物とエピハロヒドリンとの縮合により得られ、分子
鎖の末端は、エポキシ基、即ち下記式(1)の基 で終っており、この末端エポキシ基が樹脂の硬化に対し
て重要な役割を有するものと考えられていたのである。
【0019】これに対して、本発明に用いるエポキシ樹
脂(A)においては、重量平均分子量が70,000以
上と著しく高いため、かかるエポキシ末端基は、分子鎖
中間にある下記式(2)の反復単位、 式中、Yはビスフェノール残基である、のグリオキシル
水酸基に比してかなり小さな濃度となっている。本発明
で用いるメチロール基含有樹脂硬化剤(B)は、上記グ
リオキシル水酸基に対する反応の選択性が大きく、しか
もこの反応は樹脂の溶融混練温度では実質上生じ難く、
より高温の融着条件下で有効に生じるため、早期ゲル化
を防止しつつ、優れた密着性、耐腐食性、耐熱性、及び
耐熱水性等が得られるものである。
【0020】更に、このエポキシ樹脂は、非晶質で著し
く高分子量であるため、加工性に特に優れており、被覆
金属板を高度の絞り−再絞り加工や更にしごき加工を行
った場合にも、被覆の剥離やピンホールやクラック等の
被覆欠陥を生じることがなく、更にこのシームレス缶を
高度のネックイン加工等に付した場合にも、上記トラブ
ルを発生することがない。また、エポキシ樹脂が著しく
高分子量であるため、内容物と高温で或いは長時間接触
した場合にも、塗膜成分が内容物中に抽出される傾向が
少なく、内容物の香味保持性(フレーバー保持性)に顕
著に優れているという利点を与える。
【0021】本発明において、エポキシ樹脂(A)とメ
チロール基含有樹脂硬化剤(B)とは、前記量比で用い
ることも重要であり、エポキシ樹脂の量比が前記範囲よ
りも低い場合には、満足すべきフィルム形成能が得られ
なかったり、溶融混練中に早期ゲル化を引き起こす傾向
が見られる。一方、メチロール基含有樹脂硬化剤が上記
範囲よりも低い場合には、エポキシ樹脂成分の硬化が不
十分となる傾向があって、密着性や耐腐食性が前記範囲
内にある場合に比して劣るようになる。
【0022】エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA
型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが
十分な高分子量のものを得る目的、被覆の加工性、密着
性及び耐食性の点から好ましい。このものは、また耐内
容物性にも特に優れている。
【0023】本発明に用いるエポキシ樹脂(A)は、一
般にビスフェノール及びエピハロヒドリンから誘導され
た液状エポキシ樹脂とビスフェノールとの溶液重合によ
り比較的簡単に得られる。
【0024】一方、メチロール基含有樹脂硬化剤はレゾ
ール型フェノール・アルデヒド樹脂であることが特に好
ましい。このレゾール型フェノール・アルデヒド樹脂
は、他のメチロール基含有樹脂硬化剤に比して、密着性
及び加工性に優れた硬化皮膜を形成する。
【0025】エポキシ樹脂及びメチロール基含有樹脂硬
化剤の組成物(C)の層は前述した厚みの範囲にあるの
がよく、この範囲よりも薄いと、一様な連続皮膜として
施すことが困難となり、また耐食性の点で不十分であ
り、一方この範囲よりも厚いと加工性が低下する傾向が
あり、経済的にも不利である。
【0026】金属基材は、特に限定されないが、シーム
レス缶への加工性や被覆の密着性の点で、表面処理鋼板
またはアルミ板乃至これらの箔であるのよい。
【0027】本発明では、上記エポキシ樹脂組成物
(C)を単独で或いはフィルム形成能を有する樹脂
(D)との積層物との形で押し出す。この積層物を予め
フィルムに成形し金属基材に熱融着させるか或いは直接
金属基材に押出コートすることにより、完全に連続して
厚みが一様でしかも薄いエポキシ樹脂組成物の被覆層を
形成させることができる。本発明によれば、溶媒を一切
使用していないから、環境を汚染することがなく、また
汚染防止のための設備も不要であり、溶媒揮発のための
熱エネルギーも不要であり、製造上のメリットも著しく
大きいことが明らかであろう。
【0028】
【発明の好適態様】本発明の被覆金属板の一例を示す図
1において、この被覆金属板1は、金属基材2と、容器
に成形したとき内面側となる内面被覆層3と、外面被覆
層4とからなっている。内面被覆層3は、特定のエポキ
シ樹脂とメチロール基含有樹脂硬化剤との組成物のフィ
ルムから形成されている。外面被覆層4は、内面被覆層
と同じでも或いは他のフィルム或いは塗膜から形成され
ていてもよい。
【0029】本発明の被覆金属板の他の例を示す図2に
おいて、この被覆金属板1は、金属基材2と、容器に成
形したとき内面側となる面に形成された金属側のエポキ
シ樹脂組成物層3と、その上のフィルム形成性樹脂層5
とを備えている。反対側の面には、外面被覆層4が設け
られている。外面被覆層4は、内面側被覆層3、5と同
じでも或いは他のフィルム或いは塗膜から形成されてい
てもよい。
【0030】[エポキシ樹脂]本発明に用いるエポキシ
樹脂は、70,000以上、好適には90,000乃至
120,000の重量平均分子量を有するものであり、
そのガラス転移点(Tg)は70℃以上、特に80乃至
100℃の範囲にある。また、その軟化点は一般に15
0乃至250℃の範囲にあり、加工性に優れている。こ
のエポキシ樹脂は、必ずしもこれに限定されないが、一
般にビスフェノール及びエピハロヒドリンから誘導され
た液状エポキシ樹脂とビスフェノールとの溶液重合によ
り製造される。
【0031】ビスフェノール類としては、下記式(3) HO−A−R−A−OH ‥‥(3) 式中、Rは直接結合或いは2価の橋絡基、特に炭素数1
0以下のアルキリデン基、−O−、−S−、−SO2
等を表わし、Aはフェニレン基で環AはBr,Clの如
きハロゲン原子で置換されていてもよい、で表わされる
ビスフエノール類、特に 2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン−−
−ビスフエノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
エニル)ブタン−−−ビスフエノールB、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフエニル)エタン、ビス(4−ヒドロ
キシフエニル)エタン−−−ビスフエノールF、4,
4′−ジヒドロキシビフエニル 4−ヒドロキシフエニルエーテル テトラブロムビスフエノールA 等を挙げることができ、この中でもビスフエノールA、
ビスフエノールFが好適である。
【0032】本発明の高分子量エポキシ樹脂の製造に用
いるエポキシ樹脂は、上記ビスフェノール類とエピハロ
ヒドリンとから得られる下記式(4) 式中、Yはビスフェノール残基である、で表されるもの
であり、一般に300乃至500の数平均分子量と15
0乃至500のエポキシ当量とを有するものである。
【0033】この液状エポキシ樹脂とビスフェノールと
を、最終エポキシ樹脂の分子量となる化学量論的量比、
一般に1:0.5乃至1:10、特に1:0.8乃至
1:1.2のモル比で有機溶剤中で、反応重合させる。
【0034】上記の付加重合(開環エーテル化)の触媒
としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの
第3級アミン;トリフェニルホスフィン、トリブチルホ
スフィンなどの第3級ホスフィン;テトラメチルアンモ
ニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラチリルアンモニウムクロライド、テトラエチ
ルアンモニウムブロマイド、塩化コリンなどの第四級ア
ンモニウム塩;テトラメチルホスホニウムブロマイド、
テトラメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニル
プロピルホスホニウムブロマイドなどの第四級ホスホニ
ウム塩;ベンジルジブチルスルホニウムクロライド、ベ
ンジルジメチルスルホニウムクロライドなどの第3級ス
ルホニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物などを例示す
ることができる。特に、重縮合触媒としては、第四級ホ
スホニウム塩が好ましい。
【0035】重合触媒の使用量は、使用するビスフェノ
ールのフェノール性水酸基1当量に対して0.001 乃至5
モル%であることが好ましい。
【0036】有機溶剤としては、高分子量エポキシ樹脂
を溶解させ得る溶媒であればよく、例えば、トルエン、
キシレン、ソルベッソ(エッソスタンダード社の製品)
シェルゾール(シェル社の製品)等の芳香族溶媒;シク
ロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブチルヘキシルケ
トン、ダイアセトンアルコール、イソホロン等のケトン
系溶媒;アミールアルコール、ヘキシルアルコール、シ
クロヘキシルアルコール等のアルコール系溶媒;メチル
セルソロブ、エチルセルソロブ、ブチルセルソロブ、ヘ
キシルセルソロブ、エチルセルソロブアセテート等のセ
ルソロブ系溶媒;ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のカルビ
トール系溶媒等が、単独或いは組み合わせで使用され
る。
【0037】反応に際して、反応容器中に、エポキシ樹
脂、ビスフェノール類、溶媒及び触媒を仕込み、一般に
90乃至280℃、特に170乃至250℃の温度で重
付加反応を行う。反応はオートクレーブ等の密閉系で行
うこともできるが、常圧下に且つ還流下に行うこともで
きる。反応雰囲気は、空気中でもよいが、窒素気流中の
ような不活性雰囲気とすることが樹脂の劣化を防止する
上で好ましい。重合時間は、目的とするエポキシ樹脂の
分子量によっても相違するが、一般に1乃至10時間程
度の重合で十分である。
【0038】重合に際して、樹脂固形分濃度が、50乃
至80重量%となるように行うのが一般的である。例え
ば、樹脂固形分濃度が80重量%を超えるような著しく
高濃度、例えば95重量%での重合が可能であることが
了解されるべきである。即ち、ポリ付加反応では、反応
速度は核反応成分の相乗積に比例するので、固形分濃度
を高めることにより重合速度を大きくしうる。また、高
濃度であれば、重合後、樹脂固形分を分離するための溶
媒の除去量も少なくて済むことになる。
【0039】所定の重合度に達した後、溶媒を留去し
て、目的の高重合度エポキシ樹脂を回収する。溶媒のス
トリッピングは、減圧下に行うのが好ましく、蒸発を促
進するために、窒素等の不活性ガスを流しながら蒸発を
行わせることもできる。
【0040】[メチロール基含有樹脂硬化剤]本発明で
は、既に指摘したとおり、高分子量エポキシ樹脂に対す
る硬化剤として、メチロール基含有樹脂硬化剤を使用す
る。この硬化剤樹脂は、メチロール基を含有するもので
あれば、任意の樹脂であってよく、ここでメチロール基
はフリーのものであってもまたエタノール、ブタノール
等のアルコールでエーテル化されたものであってもよ
い。
【0041】樹脂硬化剤の適当な例は、レゾール型或い
はノボラック型のフエノール・アルデヒド樹脂、尿素ア
ルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ベン
ゾグアナミン・アルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアル
デヒド樹脂等であり、これらは、ロジン、アクリル樹
脂、アルキド樹脂等で変性されていてもよい。
【0042】本発明の目的に、レゾール型フエノール・
アルデヒド樹脂が特に好適である。このフェノール−ア
ルデヒド樹脂としては、各種フェノール類とホルムアル
デヒドとをアルカリ触媒の存在下に重縮合して得られ
る。フェノール類としては、単環1価フェノールも多環
2価フェノールも使用でき、或いはこれらの組合せも使
用できる。フェノール類では、フェノール性水酸基のオ
ルト位又はパラ位にメチロール基を導入することがで
き、これらの位置が置換されているか否かによって、そ
の官能性が定まるが、用いるフェノール類の適当な例
は、次の通りである。
【0043】o−クレゾール、p−クレゾール、p−te
rt−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3
−キシレノール、2,5−キシレノール等の低級アルキ
ル置換2官能性フェノール類;p−tert−アミルフェノ
ール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノー
ル、p−シクロヘキシルフェノール等のその他の2官能
性フェノール類;フェノール(石炭酸)、m−クレゾー
ル、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m
−メトキシフェノール等の3官能性フェノール類;2,
4−キシレノール、2,6−キシレノール等の1官能性
フェノール類;2.2′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノール
B)、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェ
ノールF)、4−ヒドロキシフエニルエーテル、P−
(4−ヒドロキン)フェノール、等の多環多価フェノー
ル類。
【0044】用いるフェノール樹脂は一般に200 乃至2,
000、特に250 乃至1,000 の数平均分子量を有することが
望ましい。フェノール成分の10モル%以上が二官能性
フェノール或いはビスフェノールからなるフェノール樹
脂が特に適している。
【0045】[エポキシ樹脂組成物]本発明によれば、
高分子量エポキシ樹脂とメチロール基含有樹脂硬化剤と
を、前述した量比で混合し、この混合物を溶融混練した
後、押出機より押し出しし、フィルムに成形し、或いは
押出コートに用いる。
【0046】エポキシ樹脂とメチロール基含有樹脂硬化
剤との混合は、固体粉末同士のドライブレンドにより一
般に行われるが、勿論メルトブレンドにより行うことも
できる。後者のブレンド方式の場合、メチロール基含有
樹脂硬化剤のマスターバッチを使用して一層均一なブレ
ンドを行うこともできる。特殊なブレンド方式として、
高分子量エポキシ樹脂の溶液をストリッピングに付する
前に、メチロール基含有樹脂硬化剤を粉末或いは溶液の
形で添加し、この溶液を脱溶媒して、上記に成分が混合
された固体組成物を得ることもできる。
【0047】[フィルム形成性樹脂]本発明において、
エポキシ樹脂組成物と組み合わせで使用できるフィルム
形成性樹脂としては、ポリプロピレン、低−、中−或い
は高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−
ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチ
レン−アクリレート共重合体、ポリオレフィン・イオノ
マー、酸変性オレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂;ポ
リエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレー
ト、ポリエチレン/ブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフトエート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン1
2、ナイロン11、ナイロン66/610共重合体、ナ
イロン6/11共重合体等のポリアミド樹脂等が挙げら
れる。
【0048】[金属基材]本発明では、金属基材とし
て、各種金属板、特に各種表面処理鋼板やアルミニウム
等の軽金属板或いはこれらの金属箔が使用される。
【0049】表面処理鋼板乃至箔としては、冷圧延鋼板
を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッ
ケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面
処理の一種または二種以上行ったものを用いることがで
きる。好適な表面処理鋼板乃至箔の一例は、電解クロム
酸処理鋼板乃至箔であり、特に10乃至200mg/m
2 の金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム
換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このも
のは塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。表
面処理鋼板乃至箔の他の例は、0.6乃至11.2g/
2 の錫メッキ量を有する硬質ブリキ板乃至箔である。
このブリキ板乃至箔は、金属クロム換算で、クロム量が
1乃至30mg/m2 となるようなクロム酸処理或いは
クロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
更に他の例としてはアルミニウムメッキ、アルミニウム
圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用いられる。
【0050】軽金属板乃至箔としては、所謂純アルミニ
ウム板乃至箔の他にアルミニウム合金板が使用される。
耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板
は、Mn:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至
5重量%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及びC
u:0.16乃至0.26重量%、残部がAlの組成を
有するものである。これらの軽金属板も、金属クロム換
算で、クロム量が20乃至300mg/m2 となるよう
なクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われて
いることが望ましい。
【0051】金属板乃至箔の厚みは、金属の種類、容器
の用途或いはサイズによっても相違するが、一般に0.
005乃至1.0mm、特に0.009乃至0.5mm
の厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場
合には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属
板の場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有する
のがよい。
【0052】[ラミネート]本発明では、前記エポキシ
樹脂組成物(C)を単独で或いはフィルム形成能を有す
る樹脂(D)との積層物との形で押し出す。この押出物
を予めフィルムに成形し金属基材に熱融着させるか或い
は直接金属基材に押出コートすることにより、金属基材
上にエポキシ樹脂組成物の単層或いは複層の被覆層を形
成させる。
【0053】エポキシ樹脂組成物の押出には、一軸或い
は二軸の押出機を使用でき、製膜にはT−ダイ法或いは
インフレーション製膜法を用いることができる。エポキ
シ樹脂組成物の押出温度は、エポキシ樹脂の軟化点によ
っても相違するが、一般に150乃至300℃の範囲が
好ましい。得られたフィルム乃至シートは、未延伸の状
態で使用することもできるし、一軸延伸或いは二軸延伸
して用いることができる。フィルムの厚さは、0.5乃
至30μm、特に2乃至25μmの範囲にあるのがよ
い。
【0054】このようにして形成されるエポキシ樹脂組
成物のフィルムを、エポキシ樹脂成分の軟化点(TS
以上の温度、特に軟化点(TS )+20℃乃至軟化点
(TS)+100℃の温度で金属基材に熱融着させる。
本発明において、エポキシ樹脂組成物フィルムの金属基
材への熱融着と、エポキシ樹脂組成物の硬化とは同時に
行っても或いは別個に行ってもよく、エポキシ樹脂組成
物の硬化は、一般に250乃至350℃の温度で、2秒
乃至30秒間の時間で行うことができる。勿論、この硬
化条件に加熱を行えば、硬化と同時に熱融着が行えるこ
とは言うまでもない。このために、金属基材の表面を上
記温度に維持し、金属基材とフィルムとをローラ等で圧
着させて熱接着を行う。
【0055】金属基材の加熱には通電発熱、高周波誘導
加熱、赤外線加熱、熱風炉加熱、ローラ加熱等のそれ自
体公知の加熱手段を用いることができ、熱接着を短時間
で行うために、熱接着すべきフィルムを予備加熱してお
くことができる。
【0056】熱接着終了後のラミネートは、自然放冷し
てもよいが、酸化劣化を防止するために、可及的速やか
に冷却するのがよい。この冷却は、冷風吹き付け、冷却
水噴霧、冷却水浸漬、冷却ローラとの接触等により行わ
れる。
【0057】押出コートでは、ダイスから押し出された
エポキシ樹脂組成物の薄膜を広げて金属基材の表面に施
す以外は、上記のフィルムの熱接着と同様に行うことが
できる。
【0058】他のフィルム形成性樹脂(D)との共押出
は、エポキシ樹脂組成物(C)押出機の他にこのフィル
ム形成性樹脂の押出機並びに多層多重ダイを使用する以
外は、エポキシ樹脂組成物単層の場合と同様に行うこと
ができる。押し出された積層物を、予め多層フィルムに
成形し、後で金属基材に熱融着させるか或いは直接金属
基材に多層で押出コートすることにより、金属基材上に
エポキシ樹脂組成物(C)の薄層を介して他の樹脂
(D)のフィルム層を形成させることができる。フィル
ム形成樹脂(D)の押出温度は、その樹脂の融点以上の
温度であり、一般に150乃至300℃の範囲から適当
な温度を選ぶ。得られた積層フィルム乃至シートは、未
延伸の状態で使用することもできるし、一軸延伸或いは
二軸延伸して用いることができる。延伸積層フィルムの
場合、熱接着温度を選ぶことにより、外表面樹脂(D)
のフィルム層に分子配向を残すようにできることが理解
されるべきである。上層樹脂(D)フィルムの厚さは、
2乃至50μm、特に5乃至20μmの範囲にあるのが
よい。
【0059】フィルム形成性樹脂(D)の外表面層を備
えた被覆金属板の別製法として、外表面用樹脂(D)フ
ィルムと金属基材との間に、エポキシ樹脂組成物(C)
を層状に押出し、このエポキシ樹脂組成物を介して、フ
ィルム形成性樹脂(D)と金属基材とを接着固定するこ
とができる。
【0060】[外面保護層]本発明では、金属基材の両
側に上記被覆層(C)或いは更に(D)を設けることも
でき、一方の側、容器内面となる側にのみ上記被覆層
(C)或いは更に(D)を設け、他方の側には、別の樹
脂の保護被覆を施すことができる。別の保護被覆の形成
は、保護塗料を設けることにより行われる。
【0061】別の保護塗料としては、熱硬化性及び熱可
塑性樹脂からなる任意の保護塗料:例えばフェノール−
エポキシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ
塗料:例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−
酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性
−、エポキシアミノ変性−或はエポキシフェノール変性
−ビニル塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料:アクリ
ル樹脂系塗料:スチレン−ブタジエン系共重合体等の合
成ゴム系塗料等の単独または2種以上の組合せが使用さ
れる。これらの塗料は、エナメル或はラッカー等の有機
溶媒溶液の形で、或は水性分散液または水溶液の形で、
ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気
泳動塗装等の形で金属素材に施す。勿論、前記樹脂塗料
が熱硬化性の場合には、必要により塗料を焼付ける。保
護塗膜は、耐腐食性と加工性との見地から、一般に2乃
至30μm、特に3乃至20μmの厚み(乾燥状態)を
有することが望ましい。また、加工性を向上させるため
に、塗膜中に、各種滑剤を含有させておくことができ
る。
【0062】[用途]本発明による被覆金属板は、絞り
缶、絞り−深絞り缶、絞り−しごき缶のようなシームレ
ス缶の製造用ブランクとして有用である。また、金属箔
を基体としたものは、絞り加工によるフランジ付き容器
として有用である。また、この被覆金属板は、缶蓋、特
にイージイ・オープン蓋の製造に有用であり、更に接着
缶、溶接缶等のツーピース缶の製造ブランクとしても使
用しうる。更に、前述した特性を利用して、各種物品の
外装材、建材等の分野にも使用しうる。
【0063】
【実施例】本発明を次の例で更に説明する。
【0064】[実施例1]液状エポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ(株)製エピコート828)とビスフェノー
ルA、及び、4級ホスホニウム系重合触媒を用いて、溶
液重合法により高分子量エポキシ樹脂を得た。得られた
樹脂溶液から、薄膜蒸発器を用いて溶剤を除去し、固形
のエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂の重量平均分
子量は105,000であった。
【0065】上記のエポキシ樹脂と固形のフェノール樹
脂(荒川化学工業(株)製タマノール903)を97:
3の比率でドライ・ブレンドし、T−ダイを装着した押
出機を用いて、厚さ約0.5mmのシートに成形し、更
に、二軸延伸して厚さ約20μmのフィルムを得た。次
に、約150℃に予備加熱された板厚0.17mmの電
解クロム酸処理鋼板(以下、TFSという)とともにゴ
ム・ロール間で圧着することにより上記のフィルムをT
FSの両面に熱融着させた後、200℃で1分熱処理し
て被覆金属板を得た。
【0066】この被覆金属板から202ダイヤの深絞り
缶胴を製造した。缶胴の製造工程で被膜の割れや剥離な
どの欠陥は発生しなかった。この缶胴にツナ油漬けを充
填し、缶蓋を二重巻締めした後、115℃で90分間レ
トルト殺菌して、ツナ油漬けの缶詰を製造した。このツ
ナ油漬けの缶詰を室内雰囲気中で6ケ月保存後に開缶し
て評価したところ、缶胴内外面には腐食などの異常は全
く認められなかった。
【0067】[実施例2]実施例1に示した方法に従っ
て5種のエポキシ樹脂を作製し、これらのエポキシ樹脂
とアミノ樹脂(三井サイアナミッド(株)製造サイメル
303)を99:1の比率で配合し、T−ダイを装着し
た押出機を用いてTFS上に厚さ約25μmとなるよう
に押し出しコートし、TFSの反対側の面にも同様に押
し出しコートした後、220℃で30秒熱処理して5種
の被覆金属板を作製した。得られたエポキシ樹脂の重量
平均分子量を表1に示す。
【0068】これらの被覆金属板を実施例1に示した方
法に従って評価した結果、6ケ月保存後でも缶の内外面
に腐食などの異常は全く認められなかった。
【0069】
【表1】
【0070】[比較例1]重量平均分子量45,000
のエポキシ樹脂と実施例1のフェノール樹脂を97:3
で配合した組成物を用いて、T−ダイを装着した押出機
でシートの成形を試みたが、均一なシートは作製できな
かった。また、実施例2と同様に、TFS上への押し出
しコートを試みたが、所望の厚さに押し出しコートする
ことができなかった。
【0071】[実施例3]実施例1のエポキシ樹脂とフ
ェノール樹脂を70:30の比率で配合し、T−ダイを
装着した押出機を用いてTFS上に厚さ約5μmとなる
ように押し出しコートし、TFSの反対側の面にも同様
に押し出しコートした後、これを150℃に予備加熱し
て、その両面に厚さ約20μmの二軸延伸したポリエス
テル系フィルムをゴム・ロール間で圧着して熱融着し、
更に、220℃で30秒熱処理して被覆金属板を作製し
た。この被覆金属板を実施例1に示した方法に従って評
価した結果、6ケ月保存後でも缶の内外面に腐食などの
異常は全く認められなかった。
【0072】[実施例4]片面をビニル系塗料で塗装し
たTFSの他の片面に、実施例1に示した方法により実
施例1のエポキシ系フィルムを熱融着し、更に、その上
に、実施例3に示したポリエステル系フィルムを熱融着
した後、220℃で30秒熱処理して被覆金属板を作製
した。この被覆金属板を、フィルムを熱融着した面が缶
内面となるようにして、実施例1に示した方法に従って
評価した。その結果、6ケ月保存後でも缶の内外面に腐
食などの異常は全く認められなかった。
【0073】[実施例5]片面をビニル系塗料で塗装し
た板厚0.3mmのアルミ板の他の片面に、実施例2の
エポキシ樹脂E−2と実施例1のフェノール樹脂を種々
の比率で配合した組成物を、T−ダイを装着した押出機
を用いて厚さ約25μmとなるように押し出しコートし
た後、220℃で30秒熱処理して7種の被覆金属板を
作製した。エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合比率を
表2に示す。
【0074】これらの被覆金属板を押し出しコートした
面が缶内面となるように加工して、200ダイヤのイー
ジーオープン缶蓋を作製した。202ダイヤの缶胴(巻
締め部は200ダイヤにネックインされている)にスプ
ライトを充填し、前記の缶蓋を二重巻締めして炭酸飲料
の缶詰を作製し、室内雰囲気中で6ケ月保存した。経時
後、缶を解体して蓋内面の状態を評価した結果、いずれ
の蓋にも腐食などの異常は認められなかった。
【0075】
【表2】
【0076】[実施例6]実施例1のエポキシ樹脂と実
施例1のフェノール樹脂を98:2の比率で配合した組
成物(A)と、ポリエチレン・テレフタレート・イソフ
タレート(テレフタル酸/イソフタル酸=95/5)樹
脂(B)を準備し、片面をビニル・オルガノゾル系塗料
で塗装したTFSの他の片面に、表3に示した厚さで、
A層がTFSとの界面に位置するようにして、A層とB
層とを共押し出しして、TFS上に2層の被膜を形成し
た。この被覆TFSを220℃で30秒熱処理して5種
の被覆金属板を作製した。この被覆金属板を、押し出し
コートした面が缶内面となるようにして、実施例1に示
した方法に従って評価した。その結果、6ケ月保存後で
も缶の内面には腐食などの異常は全く認められなかっ
た。
【0077】
【表3】
【0078】[実施例7]片面をビニル・オルガノゾル
系塗料で塗装したTFSの他の片面に、実施例1のエポ
キシ樹脂とフェノール樹脂の配合物(C)と、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン(D)、無変性ポリプロピレ
ン(E)を、TFS側からC、D、Eの順になるよう
に、また、C、D、E層の膜厚が、夫々、2、0.5、
23μmとなるように共押し出しした後、、この被覆T
FSを220℃で30秒熱処理して被覆金属板を作製し
た。この被覆金属板を、押し出しコートした面が缶内面
となるようにして、実施例1に示した方法に従って評価
した。その結果、6ケ月保存後でも缶の内面には腐食な
どの異常は全く認められなかった。
【0079】[実施例8]パラクレゾールとビスフェノ
ールA、ホルマリンを原料として、アンモニア触媒を用
いて5種のレゾール型フェノール樹脂を合成した。得ら
れたフェノール樹脂のベンゼン環当たりのメチロール基
濃度と重量平均分子量を表4に示す。
【0080】実施例2のエポキシ樹脂E−3と上記のフ
ェノール樹脂を固形分換算で97:3となるように配合
し、真空乾燥によりフェノール樹脂を溶解していた溶剤
を除去した後、T−ダイを装着した押出機を用いて、厚
さ約0.5mmのシートに成形し、更に、二軸延伸して
厚さ約20μmのフィルムを得た。このフィルムを、片
面をビニル系塗料で塗装した板厚0.3mmのアルミ板
の他の片面に、実施例1に示した方法に従って熱融着し
て被覆金属板を作製した。
【0081】この被覆金属板をフィルムを熱融着した面
が缶内面となるように加工して、200ダイヤのイージ
ーオープン缶蓋を作製した。202ダイヤの缶胴(巻締
め部は200ダイヤにネックインされている)にサイダ
ーを充填し、前記の缶蓋を二重巻締めして炭酸飲料の缶
詰を作製し、室内雰囲気中で6ケ月保存した。経時後、
缶を解体して蓋内面の状態を評価した結果、蓋内面には
腐食などの異常は認められなかった。
【0082】
【表4】
【0083】[比較例2]重量平均分子量45,000
のエポキシ樹脂と実施例8のフェノール樹脂P−5を8
0:20で配合した組成物を用いて、T−ダイを装着し
た押出機でシートの成形を試みた結果、この組成物が押
出機中でゲル化し、押し出しできなかった。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、エポキシ樹脂の重量平
均分子量を70,000以上に高くしたものを固体の形
で用いることにより、溶融押出が可能となると共に、優
れたフィルム形成能が得られ、金属基材へのフィルムと
しての被覆が可能となるものである。
【0085】本発明では、この高分子量エポキシ樹脂
(A)にメチロール基含有樹脂硬化剤(B)を組み合わ
せて、フィルムとして金属基材への被覆に用いることに
より、溶融混練及び押出時の早期ゲル化を防止しつつ、
しかも最終的に満足すべき硬化性能が得られる。また、
得られる被覆は、金属への密着性、加工性、耐腐食性に
優れていると共に、打痕が生じるような過酷な衝撃が加
えられた場合にも、剥離したり、被覆欠陥を生じること
がなく、耐デント性に優れている。
【0086】更に、このエポキシ樹脂は、非晶質で著し
く高分子量であるため、加工性に特に優れており、被覆
金属板を高度の絞り−再絞り加工や更にしごき加工を行
った場合にも、被覆の剥離やピンホールやクラック等の
被覆欠陥を生じることがなく、更にこのシームレス缶を
高度のネックイン加工等に付した場合にも、上記トラブ
ルを発生することがない。また、エポキシ樹脂が著しく
高分子量であるため、内容物と高温で或いは長時間接触
した場合にも、塗膜成分が内容物中に抽出される傾向が
少なく、内容物の香味保持性(フレーバー保持性)に顕
著に優れているという利点を与えるものである。
【0087】本発明によれば、溶媒を一切使用していな
いから、環境を汚染することがなく、また汚染防止のた
めの設備も不要であり、溶媒揮発のための熱エネルギー
も不要であり、製造上のメリットも著しく大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆金属板の一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の被覆金属板の他の例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 被覆金属板 2 金属基材 3 内面被覆(エポキシ樹脂組成物)層 4 外面被覆層 5 フィルム形成性樹脂層

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が70,000以上のビ
    スフェノール型エポキシ樹脂(A)とメチロール基含有
    樹脂硬化剤(B)とを、(A):(B)=99:1乃至
    70:30の重量比で含有する樹脂組成物(C)を金属
    基材に連続被覆として施してなることを特徴とする被覆
    金属板。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が70,000以上のビ
    スフェノール型エポキシ樹脂(A)とメチロール基含有
    樹脂硬化剤(B)とを、(A):(B)=99:1乃至
    70:30の重量比で含有する樹脂組成物(C)と、フ
    ィルム形成能を有する樹脂(D)を、(C):(D)が
    3:97乃至50:50の膜厚比で、樹脂組成物(C)
    が金属面に接するように金属基材に連続被覆として施し
    てなることを特徴とする被覆金属板。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂(A)がビスフェノールA
    型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である請求項
    1または2記載の被覆金属板。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂(A)がビスフェノール及
    びエピハロヒドリンから誘導された液状エポキシ樹脂と
    ビスフェノールとの溶液重合により得られたエポキシ樹
    脂である請求項1または2記載の被覆金属板。
  5. 【請求項5】 メチロール基含有樹脂硬化剤がレゾール
    型フェノール・アルデヒド樹脂である請求項1または2
    記載の被覆金属板。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂及びメチロール基含有樹脂
    硬化剤の組成物(C)が厚さ0.5乃至30μmの層と
    して存在する請求項1または2記載の被覆金属板。
  7. 【請求項7】 金属基材が表面処理鋼板またはアルミ板
    乃至これらの箔である請求項1または2記載の被覆金属
    板。
  8. 【請求項8】 フィルム形成能を有する樹脂(D)が、
    オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂またはポ
    リアミド樹脂である請求項2記載の被覆金属板。
  9. 【請求項9】 重量平均分子量が70,000以上のビ
    スフェノール型エポキシ樹脂(A)とメチロール基含有
    樹脂硬化剤(B)とを、(A):(B)=99:1乃至
    70:30の重量比で含有する樹脂組成物(C)のフィ
    ルム或いは更にフィルム形成能を有する樹脂(D)を含
    む積層フィルムを製造し、該フィルムを、樹脂組成物
    (C)が金属基材に接する位置関係で、金属基材に熱融
    着することを特徴とする被覆金属板の製法。
  10. 【請求項10】 重量平均分子量が70,000以上の
    ビスフェノール型エポキシ樹脂(A)とメチロール基含
    有樹脂硬化剤(B)とを、(A):(B)=99:1乃
    至70:30の重量比で含有する樹脂組成物(C)或い
    は更にフィルム形成能を有する樹脂(D)を、樹脂組成
    物(C)が金属基材に接する位置関係で、金属基材上に
    押出コートすることを特徴とする被覆金属板の製法。
  11. 【請求項11】 エポキシ樹脂(A)がビスフェノール
    A型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である請求
    項9または10記載の被覆金属板の製法。
  12. 【請求項12】 エポキシ樹脂(A)がビスフェノール
    及びエピハロヒドリンから誘導された液状エポキシ樹脂
    とビスフェノールとの溶液重合により得られたエポキシ
    樹脂である請求項9または10記載の被覆金属板の製
    法。
  13. 【請求項13】 メチロール基含有樹脂硬化剤がレゾー
    ル型フェノール・アルデヒド樹脂である請求項9または
    10記載の被覆金属板の製法。
  14. 【請求項14】 エポキシ樹脂及びメチロール基含有樹
    脂硬化剤の組成物(C)が厚さ0.5乃至30μmの層
    として存在する請求項9または10記載の被覆金属板の
    製法。
  15. 【請求項15】 金属基材が表面処理鋼板またはアルミ
    板乃至これらの箔である請求項9または10記載の被覆
    金属板の製法。
  16. 【請求項16】 フィルム形成能を有する樹脂(D)
    が、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂また
    はポリアミド樹脂である請求項9または10記載の被覆
    金属板の製法。
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