JPH07179545A - ナフトール変性フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ナフトール変性フェノール樹脂の製造方法

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JPH07179545A JP6238193A JP6238193A JPH07179545A JP H07179545 A JPH07179545 A JP H07179545A JP 6238193 A JP6238193 A JP 6238193A JP 6238193 A JP6238193 A JP 6238193A JP H07179545 A JPH07179545 A JP H07179545A
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伸介 萩原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低分子量において多分散度(Mw/Mn)の
小さいナフトール変性フェノール樹脂の簡便な製造方法
を提供すること。 【構成】 フェノール樹脂にナフトール類及びフェノー
ル類を加え、120〜180℃で常圧下1〜12時間反
応を行い、その後140〜230℃で減圧濃縮および/
または水蒸気蒸留を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐湿性に優れた
エポキシ樹脂硬化剤や耐熱性、電気絶縁性に優れた成形
材料用樹脂に好適なナフトール変性フェノール樹脂に関
する。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂は、ノボラック型フェノ
ール樹脂とレゾール型フェノール樹脂に大別され、その
いずれもが有機又は無機基材結合材として優れた性質を
有している。近年、フェノール樹脂に対する要求性能も
より高耐熱性、高強度、低吸湿性等厳しいものになって
いる。また、フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤と
して用いられている。特に半導体封止用としては、電気
特性、耐湿性、耐熱性、機械特性など諸特性に優れてい
る。これらの性能を向上させるために、分子量分布の狭
いフェノール樹脂の合成、あるいはナフトール等の縮環
構造を有するものを導入することが効果があると考えら
れる。また、フェノール樹脂は安定な樹脂であることが
知られているが、高温においては熱分解、強酸、強アル
カリ存在下メチレン鎖の開裂、再配列を起こすことは知
られており研究されている。
【0003】堀内らによって、フェノール樹脂の分解反
応に関する研究がなされている(大阪市工業研究所報
告、38(1964))。それによれば、p−クレゾー
ルを例にp−トルエンスルホン酸を用い分子量変化を追
跡しているが、その中で「工業的なノボラックの製造に
一般に採用されているような加熱条件では、メチレン橋
の開裂及びそれに伴う再結合反応は無視し得る程度のも
のと思われる」と記述されている。また分裂再配列を積
極的に使用している例として中本らの研究がある(第4
1回熱硬化樹脂講演討論会、講演要旨集P125(19
91)。ここでは、p-tert-butylphenolノボラック樹脂
を高温でアルカリ金属水酸化物存在下、分裂再配列する
ことによりcalixareneを得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、分裂再
配列反応の起こる条件としては、10〜20倍と大過剰
のフェノール類と不揮発性の強酸存在下、あるいはジフ
ェニルエーテル等の高沸点の非極性溶媒を用い高温で強
アルカリを用いる等、合成反応条件としては無駄が多い
か、温和ではない条件であった。本発明はかかる状況に
鑑みてなされたもので、中分子量あるいは高分子量のフ
ェノール樹脂を分裂再配列反応を行うことにより、低分
子量で、多分散度の小さいフェノール樹脂の製造方法を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ナフタレ
ン骨格を有する化合物、すなわちナフトール類とフェノ
ール類とアルデヒド類の反応を鋭意検討した結果、本発
明に到達した。フェノール樹脂、特にノボラック樹脂合
成時には、一般的には80℃〜還流温度で初期反応を行
い、その後昇温し減圧下で濃縮反応を行うことにより所
定の分子量、軟化点の樹脂を得る。この反応において、
未反応フェノール類を除く系の平均分子量及び分子量分
布の経時変化をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)等
の分析装置で分析を行うと、初期反応、還流反応、減圧
濃縮と時間の経過に伴い平均分子量は増大し分子量分布
は広くなる。すなわち、多分散度は大きくなる傾向があ
る。しかしながら、還流反応終了後、120〜180
℃、1〜12時間反応を行うことによって、低分子量化
及び狭分散化が起こることを見出した。特にナフトール
を含むフェノール樹脂においては低分子量化狭分散化が
顕著なことがわかった。
【0006】本発明において提案するフェノール樹脂の
合成法は、フェノール樹脂にナフトールを含むフェノー
ル類を加え、その混合物を加熱反応させることにより分
裂再配列反応をおこさせて、元のフェノール樹脂とは分
子量、分子量分布の異なるフェノール樹脂を製造する方
法である。新しいフェノール樹脂は、元のフェノール樹
脂と比べて低分子量化され、多分散度は小さくなり、ナ
フトールを骨格構造に含むものとなる。
【0007】本発明は、フェノール樹脂(R)100重
量部に対しナフトール類(N)とフェノール類(P)を
それぞれ20〜200重量部、またナフトール類とフェ
ノール類の重量比(N/P)を0.2以上とし、酸触媒
の存在下、120〜180℃、常圧下1〜12時間反応
させることにより、未反応ナフトール類、未反応フェノ
ール類を除く数平均分子量(Mn)が元のフェノール樹
脂の0.9倍以下、多分散度(Mw/Mn)が1.6以
下の狭分散であるナフトール樹脂を提供するものであ
る。
【0008】ナフトール類としては、1−ナフトール、
2−ナフトール等のナフトール、1,5−ジヒドロキシ
ナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7
−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレンジオールが用
いられる。フェノール類は、フェノール、クレゾール、
キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等
通常のフェノール樹脂合成に用いられるものであれば使
用できる。
【0009】フェノール樹脂(R)とナフトール類
(N)及びフェノール類(P)の混合割合は、フェノー
ル樹脂100重量部に対してナフトール類とフェノール
類20〜200重量部用いることが望ましい。(N+
P)が上記範囲よりも小さいと、低分子量化狭分散化が
十分でなく、上記範囲よりも大きいと低分子量化狭分散
化は十分起こるが、添加したナフトール類及びフェノー
ルの除去の効率が悪い。
【0010】ナフトール類とフェノール類の重量比は、
0.2以上が好ましい。重量比がこれ以下の場合、反応
温度を高く、使用する酸の量を多くする必要がある。酸
触媒は、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、蓚酸、
ギ酸、クエン酸等が用いられる。
【0011】分裂再配列反応は、常圧下120〜180
℃の条件で1〜12時間行う。反応系からは、水分等が
留去し平衡状態に達する。この間にメチレン鎖の開裂反
応と再結合反応が起こり、低分子量化と狭分散化が起こ
る。
【0012】減圧濃縮反応は、分裂再配列反応終了後、
反応生成物を230℃以下の温度で減圧蒸留および/ま
たは水蒸気蒸留を用いて、未反応物が所定の量になった
時に、生成樹脂を反応容器から取り出し冷却することに
より、所望のナフトール樹脂が得られる。以上のように
して得られたナフトール変性フェノール樹脂は、エポキ
シ樹脂硬化剤及びフェノール成形材料等に好適に利用で
きる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】実施例1 撹拌機、冷却器、温度計を備えた2Lのフラスコに1−
ナフトール481g、o−クレゾール449g、37%
ホルマリン243g、2規定塩酸2mlを入れ、オイル
バス中、還流反応を4時間続ける。還流反応終了後、減
圧度700mmHgで180℃、3時間濃縮を行い樹脂を得
た。数平均分子量(Mn)570、未反応ナフトール1
%、多分散度(Mw/Mn)2.19、軟化点134℃
の樹脂を得た。本発明で数平均分子量(Mn)及び多分
散度(M/Mn)測定に用いたGPC装置は、日立製作
所製高速液体クロマトグラフィL6000及び島津製作
所製データ解析装置C−R4Aである。GPCカラムと
しては東ソー(株)製G2000HXL+G3000HXL
を使用した。試料濃度は0.2%、移動相テトラヒドロ
フラン、流量1.0ml/minで測定を行った。数平
均分子量はポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を
作成し、それを用いて計算した。
【0015】上記樹脂(1)を用いて分裂再配列反応を
行った。樹脂(1)を100gと1−ナフトールを1
6.7gとo−クレゾールを50gと2規定塩酸を0.
5mlを500mlのフラスコに投入し、140℃で4
時間反応を行い、その後180℃で減圧濃縮し樹脂を得
た。数平均分子量は320、多分散度(Mw/Mn)
1.36、軟化点87℃、収量105gであった。実施
例1の仕込みモルで反応を行い、分子量の変化、多分散
度の変化をGPCで追跡した。その結果を図に示した。
このように短時間に低分子量化及び狭分散化が起きてい
る。これは反応生成物の経時変化の図より4核体以上が
分裂し2核体3核体が生成したためと考える。
【0016】実施例2 上記樹脂(1)を用いて分裂再配列反応を行った。樹脂
(1)を100gと1−ナフトールを66.7gと2規
定塩酸を0.5mlを500mlのフラスコに投入し、
170℃で4時間反応を行い、その後180℃で水蒸気
を吹き込みながら減圧濃縮し樹脂を得た。数平均分子量
は340、多分散度(Mw/Mn)1.46、軟化点9
6℃、収量105gであった。
【0017】比較例1 上記樹脂(1)を用いて比較実験をを行った。樹脂
(1)を100gとo−クレゾール66.7gと2規定
塩酸を0.5mlを500mlのフラスコに投入し、1
40℃で4時間反応を行った。その後180℃で減圧濃
縮し樹脂を得た。数平均分子量は550、未反応フェノ
ール類1%、多分散度2.10と分子量及び多分散度に
変化はなかった。
【0018】実施例3 フェノール樹脂(2)として常法に基づきF/P=0.
7、蓚酸触媒で合成したノボラック樹脂を用いて実験し
た。分子量630、多分散度2.4であった。樹脂
(2)を100gと1−ナフトール40gとフェノール
20gと2規定塩酸を0.5mlを500mlのフラス
コに投入し、150℃で3時間反応を行い、その後20
0℃で減圧濃縮し樹脂を得た。数平均分子量は360、
多分散度1.42の樹脂95gを得た。
【0019】比較例2 実施例3のフェノール樹脂(2)100gとフェノール
60gと2規定塩酸を0.5mlを500mlのフラス
コに投入し、150℃で3時間反応を行い、その後20
0℃で減圧濃縮し樹脂を得た。数平均分子量及び多分散
度に変化はなかった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、温和な条件で低分子量
化/狭分散化のナフトールを含むフェノール樹脂を得る
ことができ工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反応生成物の経時変化を示すグラフである。
【図2】 分子量の経時変化を示すグラフである。
【図1】 分散度の経時変化を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 反応生成物の経時変化を示すグラフである。
【図2】 分子量の経時変化を示すグラフである。
【図3】 分散度の経時変化を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール類とアルデヒドとの反応により
    得られたフェノール樹脂にナフトール類及びフェノール
    類を加え、120〜180℃で常圧下1〜12時間反応
    を行い、その後140〜230℃で減圧濃縮および/ま
    たは水蒸気蒸留を行うことを特徴とする、ナフトール変
    性フェノール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】ナフトール類が、1−ナフトール、2−ナ
    フトールあるいはそれらの混合物を用いる請求項1記載
    のフェノール樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】フェノール樹脂が、クレゾールノボラック
    樹脂またはクレゾールナフトール共縮合樹脂である請求
    項1記載のフェノール樹脂の製造方法。
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