JPH0717454Y2 - 磁気ディスク用シャッターの射出成形金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、対向する一対の側板が連結板で断面コ字状に
連結されてなる磁気ディスク用シャッターを一体成形す
るための射出成形金型に関する。

〔従来の技術〕

一般に、3.5インチマイクロフロッピーディスクは、第
７図と第８図に示すように、記憶用ディスク体を収納す
る樹脂製の上ハーフ１及び下ハーフ２と、これらのハー
フ1,2の外周部に摺動可能に取付けられた断面コ字状の
ステンレス製のシャッター３とから構成され、非使用時
には、上記シャッター３で各ハーフ1,2の磁気ヘッド導
入口4,5を塞ぐようになっている。

ところが、上記従来のステンレス製のシャッター３を備
えたフロッピーディスクにあっては、シャッター開閉時
にシャッター３のエッジで各ハーフ1,2の樹脂がわずか
ながら削られ、この削りかすが磁気ディスク体に付着し
て情報の書込み、読取りを阻害するおそれがある上に、
全体の重量の増大を招き、さらに製造コストが高くつく
などの欠点が指摘されていた。

そこで、本考案者等は、この問題を改善するために、シ
ャッター３を樹脂で形成し、その軽量化を図ると共に、
ハーフとの接触を柔らかくして削りかすの発生を抑える
ことを提案した。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述したように、シャッター３を樹脂成形す
る場合には例えば、連結板（側面板）の短辺や、平面部
に対向してゲートを設置すると、ゲートの大きさが限定
され、かつ製品の肉厚が0.3〜0.4mmと非常に薄いため、
大きな射出圧力と型締力を必要とする上に、樹脂の流動
性が非常に悪く、しかもシャッター３の対向する一対の
側板（上面板，下面板）の形状が異なるため、それぞれ
の変形度合いに差が生じ易いという問題がある。

本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、ゲートの断面積を大きくすることがで
きて、樹脂の流動性を大幅に向上させることができ、従
って、成形性が著しく改善され、形状差（変形）が解消
される上に、射出圧力及び型締力を低減できる磁気ディ
スク用シャッターの射出成形金型を提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、側板と連結板と
の交辺を形成する型板に、前記交辺に対応する位置のキ
ャビティに該交辺に沿って帯状に開口するサイドゲート
を設けたものである。

〔作用〕

本考案の磁気ディスク用シャッターの射出成形金型にあ
っては、側板と連結板との交辺を形成する型板に、交辺
に対応する位置のキャビティに交辺に沿って帯状に開口
するように設けられたサイドゲートを通して溶融樹脂を
キャビティ内に供給することにより、サイドゲート幅を
大きくして、樹脂の流動性を良好にし、成形性の向上を
図る。

〔実施例〕

以下、第１図ないし第６図に基づいて本考案の一実施例
を説明する。

第１図は本考案の射出成形金型の一実施例を示す断面図
である。この図において符号10はキャビティ入子11が組
み入れられた固定型板であり、この固定型板10に対向し
て可動型板12が接離自在に設けられている。そして、こ
の可動型板12には長方板状のコア13がキャビティ入子11
側に突出して形成されている。また、上記コア13の両側
には可動型板12に沿って摺動自在に一対のスライドコア
14,14が配置されており、これらのスライドコア14,14
は、固定型板10側から各スライドコア14,14に斜めに挿
入された傾斜ピン（図示せず）により、型開時にはコア
13から離間し、型閉時にはコア13に接近するようになっ
ている。また、このスライドコア14の傾斜面に接触して
スライドコア14の摺動を規制するロッキングブロック15
が、固定型板10に設置されている。

そして、上記キャビティ入子11、コア13、各スライドコ
ア14,14の間には第２図ないし第４図に示すようなシャ
ッター16を成形するためのキャビティ17が形成されてい
る。このシャッター16は、２枚の対向する上面板18と下
面板19の各側縁どうしが側面板20で連結された断面コ字
状のものであり、上面板18と下面板19の各一端寄りには
磁気ヘッド導入口21,22が形成されている。また、上記
磁気ヘッド導入口22と側面板20との間であって、下面板
19には、矩形状の切欠23が形成されており、下面板19の
内面において、上記切欠23と磁気ヘッド導入口22との間
には、突起24が形成されている。さらに、上記下面板19
の他端寄りであって、側面板20の近傍には、切欠25が形
成されており、下面板19の内面には、上記突起24の長手
方向延長上に突起26が形成されている。さらにまた、切
欠25に対向して上記側面板20の内面にはスプリング係止
用の突起27が形成されている。そして、側面板20の外面
は上記キャビティ入子11によって形成され、かつ上面板
18、下面板19、側面板20の各内面は上記コア13によっ
て、また、上面板18、下面板19の外面は各スライドコア
14によって形成されるようになっている。

また、上記キャビティ17内に樹脂を注入するためのサイ
ドゲート28が、第１図と第５図に示すように、上記上面
板18及び下面板19と連結板20との交辺29,30に相当する
固定型板10のキャビティ入子11に形成されている。この
サイドゲート28は、前記交辺29,30に対応する位置のキ
ャビティ17に、その交辺29,30に沿って帯状に開口する
ように設けられている。

上記のように構成された射出成形金型にあっては、第１
図に示す型閉状態において、溶融樹脂をサイドゲート28
を介してキャビティ17に供給する。そして、キャビティ
17内の樹脂を冷却固化した後、型を開いてキャビティ17
内の成形品を取出す。

この型開操作は、まず、固定型板10、キャビティ入子11
に対して可動型板12を開く。これにより、ロッキングブ
ロック15が各スライドコア14の傾斜面から離れるから、
スライドコア14は、傾斜ピンにより、可動型板12に沿っ
て、第１図において左右方向に離間していく。次いで、
コア13に付着している成形品を、コア13からエジェクタ
ピン（図示せず）を突出することにより、突出して離型
する。

このようにして得られた成形品（シャッター）16におい
ては、上面板18及び下面板19と側面板20との交辺29,30
に対応する位置にサイドゲート28を設けたことにより、
ゲートの断面積を、幅を広くすることによって大きくで
きるので、樹脂の流動性が良好になり、従って、成形性
が著しく改善され、上面板18と下面板19との間において
形状差（変形）がなく、品質の向上を図ることができ
る。また、サイドゲート28を幅広にすることにより、ゲ
ートの厚さを薄くできるので、ゲートの除去が簡単で、
かつきれいに処理できる。

なお、第６図は本考案の他の実施例を示すもので、この
実施例においては、シャッター16の上面板18、下面板19
と側面板20との交辺29,30に凹所31を設け、この凹所31
に対応してサイドゲート28を設けたものであり、これに
より、ゲート跡をなお一層目立たないようにできる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案は、側板と連結板との交辺
を形成する型板に、前記交辺に対応する位置のキャビテ
ィに交辺に沿って帯状に開口するようにサイドゲートを
設けたものであるから、側板と連結板との交辺を形成す
る型板に設けられたサイドゲートを通して溶融樹脂をキ
ャビティ内に供給することにより、サイドゲート幅を大
きくでき、かつゲートの断面積を大きくすることができ
て、樹脂の流動性を大幅に向上させることができる。従
って、成形性を著しく改善でき、形状差（変形）が解消
される上に、射出圧力及び型締力を低減させることがで
きる。また、ゲート幅を広くすることにより、ゲート厚
を薄くできるので、ゲートの除去が容易で、かつきれい
に処理できて外観上問題になることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２図ないし
第５図は樹脂製シャッターの一例を示すもので、第２図
は平面図、第３図は正面図、第４図は側面図、第５図は
斜視図、第６図は本考案の他の実施例を示す斜視図、第
７図と第８図は磁気ディスクの一例を示すもので、第７
図は表側からみた説明図、第８図は裏側からみた説明図
である。 10……固定型板、11……キャビティ入子、18……上面板
（側板）、19……下面板（側板）、20……側面板（連結
板）、28……サイドゲート、29,30……交辺。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】対向する一対の側板と、これらの側板を断
   面コ字状に連結する連結板とからなる磁気ディスク用シ
   ャッターの射出成形金型において、 上記側板と連結板との交辺を形成する型板に、前記交辺
   に対応する位置のキャビティに該交辺に沿って帯状に開
   口するサイドゲートを設けたことを特徴とする磁気ディ
   スク用シャッターの射出成形金型。