JPH07151010A - 多気筒エンジンの燃焼状態診断装置及び診断方法 - Google Patents
多気筒エンジンの燃焼状態診断装置及び診断方法Info
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Abstract
出できるエンジンの燃焼状態検出装置及び検出方法を提
供する。 【構成】失火判定処理部100の失火判定レベル保持手
段102には、各気筒毎の所定の失火判定用スレッシュ
ホールドレベルDthが記録されている。燃焼状態パラメ
ータ演算手段106は、多気筒エンジンの回転速度を各
気筒毎に計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回
転速度との差異量を燃焼状態パラメータとして求める。
失火判定レベル補正手段104では、特定気筒に関連す
る複数の燃焼状態パラメータを求め、該パラメータの関
数として前記スレッシュホールドレベルDthを補正す
る。失火判定処理手段108は、燃焼状態パラメータを
スレッシュホールドレベルDthと比較して前記特定気筒
の燃焼状態を診断する。すなわち、特定の気筒の燃焼状
態パラメータが所定のDthを越えたとき当該気筒の失火
と判定する。
Description
変動により燃焼状態を診断する多気筒エンジンの燃焼状
態診断装置および燃焼状態診断方法に関する。
失火の発生は、未燃焼ガスが排出されるため大気汚染の
原因となる。さらに、排気ガスを浄化することを目的に
設けられている触媒等において、未燃焼ガスが燃焼する
ことにより、これらの排気ガス浄化装置部が異常高温と
なり性能が低下したりする。これらの対策のため、例え
ば、失火の発生を検出して運転者に警告したり、失火の
発生している気筒に対して燃料の供給を中止したりする
必要がある。
技術としては、例えば、エンジンの回転速度の変動から
検出する方法、燃焼室内の燃焼圧力、温度等から検出す
る方法、点火コイルを流れる電流波形等から検出する方
法等、数多くの方法がある。このうち、気筒相互間の回
転速度変動から燃焼状態を検出する方法は、比較的コス
トの上昇が少なく、原因によらず(燃料系、点火系、空
気系いずれの異常による燃焼状態の悪化であっても)燃
焼状態の異常を検出できるという特徴がある。この方法
は、具体的には、特開平2−112646号公報や特公
平1−30098号公報に記載されているように、正常
燃焼時と異常燃焼時とは回転速度が異なるため、各気筒
ごとに特定クランク角のところで回転速度を検出し、気
筒相互間における回転速度の変動量に基づいて、燃焼状
態を診断するものである。
因による回転変動を取り除くために、そのような外乱入
力の多いことが予想される特定の運転状態を、燃料残
量、ブレーキスイッチ、車速等の情報に基づいて判別
し、その特定の運転状態の間、失火検出処理を実行しな
いという方法が、特開平4−203252号公報に記載
されている。さらにまた、各車輪速の情報を用いたり、
車体に取り付けた加速度センサの信号から外乱入力の有
無を検知し、失火判定を停止する方法が特開平4−20
9950号公報、特開平4−295161号公報等に開
示されている。
定の運転時に、失火判定を一律に停止することは、失火
判定の精度を低下させるものである。例えば、高速回転
時やブレーキスイッチの操作時であっても、正常燃焼と
失火とを正確に判別できることが必要であることは言う
までもない。また、上記車輪速センサ情報を利用する方
法は、各車輪に回転速度検出センサを取り付ける必要が
あり、また車輪速度変動レベルとエンジン回転変動発生
の相関を取ることは難しかった。一方、加速度センサに
より、悪路で車体に発生する振動をとらえて失火判定を
停止させる方式においては、新たに加速度センサを必要
とし、エンジン回転変動開始点と加速度の相関を取るの
が難しく、この制御データの設定に相当の時間を費やし
ていた。
問わず広範囲に、失火を正確に検出できるエンジンの燃
焼状態検出装置及び検出方法を提供することにある。
としないで高精度に失火を検出できるエンジンの燃焼状
態検出装置及び検出方法を提供することにある。
ンの回転速度を各気筒ごとに計測し、特定の気筒の回転
速度と他の気筒の回転速度との差異量を燃焼状態パラメ
ータとして求め、該燃焼状態パラメータを所定のスレッ
シュホールドレベルと比較して前記特定気筒の燃焼状態
を診断するものにおいて、前記特定気筒の点火を含む所
定回数の点火に対応する複数の前記燃焼状態パラメータ
を求め、該複数の燃焼状態パラメータの関数として前記
スレッシュホールドレベルの値を補正することを特徴と
する。
焼状態パラメータを求める。この所定回数の点火とは、
失火判定の対象としている特定気筒の点火を含む複数回
の点火である。一例として、多気筒エンジンの各気筒の
点火に対応する燃焼状態パラメータを、連続的に気筒数
の整数倍の数だけ求める。次にこの複数の燃焼状態パラ
メータの関数として、例えば平均値に応じて、前記スレ
ッシュホールドレベルの値を補正する。そして、特定の
気筒の燃焼状態パラメータが前記所定のスレッシュホー
ルドレベルを越えたとき当該気筒の失火と判定する。
て説明する。図1は、本発明の一実施例の多気筒エンジ
ン回りの全体構成を示す図である。エンジン1には、気
筒識別用にクランク軸7の2回転につき1回信号を発生
するフェイズセンサ3と、エンジン1の始動時に使用す
るスタータ用のリングギア4の歯形を電磁式ピックアッ
プ5aで検出するタイプのポジションセンサ5、すなわ
ちクランク軸7の1回転にリングギアの歯数に対応した
数の信号を発生するセンサが設けられている。また、ク
ランク軸7の1回転に1回一定のクランク角度位置での
信号を得るためにリングギア4に設けた突起部4a及び
電磁式ピックアップ6aを用いたレファレンスセンサ6
が設けられている。
b,6bは、制御演算ユニット10に入力され、クラン
ク角度、回転速度等が測定または計算される。排気ガス
は、排気管23を通り、酸素濃度センサ24で酸素濃度
を計測された後、触媒25で浄化される。エンジン1が
失火した場合、エンジン1から未燃焼ガスが排気管23
に流出して、これが触媒25の有する箇所で燃焼する
と、ここが異常に高温となり触媒25が劣化し、各種有
害ガスが浄化されなくなるので、大気が汚染されること
になる。
態を検出し、すみやかに必要な処理を行い、大気汚染の
発生を未然に防止するものである。失火判定処理部10
0は、失火判定レベル保持手段102、失火判定レベル
補正手段104、燃焼状態パラメータ演算手段106及
び失火判定処理手段108によって構成されている。
は、各種センサ3,5,6等からの出力3b,5b,6
bを入力する入力回路14と、I/O15と、ROM1
2と、各種データ等が記憶されるRAM13と、各種セ
ンサ3,5,6からの出力信号3b,5b,6bおよび
ROM12に記憶されているプログラムに基づいて各種
演算を実行するCPU11とを備えている。また、CP
U11からの指示に従って点火プラグ21を制御する点
火プラグ駆動回路16と、CPU11からの指示に従っ
てインジェクタ22を駆動するインジェクタ駆動回路1
7とを有している。ROM12は、図1の失火判定処理
部100の各手段102〜108を構成する判定レベル
制御プログラム122、失火判定プログラム124、マ
ップ及びテーブル126を備えている。
0には、酸素濃度センサ24、空気流量センサ(図示さ
れていない。)及び水温センサ(図示されていない。)
等からの出力も入力される。また、制御演算ユニット1
0からの信号は、点火プラグ21、インジェクタ22の
他、燃焼状態異常等の診断結果等を運転者に知らせるた
めの表示装置29にも出力される。
理のメインフローを示すものである。まず、車両の運転
状態の情報を取込み、定常状態と特異状態、例えば悪路
走行時の判別のために必要な演算処理を行う(ステップ
310)。次に、失火判定レベル制御プログラムにより
運転状態に応じた失火判定レベルDthの制御を行う
(320)。さらに、燃焼状態パラメータDと失火判定
レベルDthの比較に基づく失火判定を行う(33
0)。最後に、失火判定の結果に基づき必要に応じてエ
ンジン制御の修正処理を行う(340)。
込みとその後の演算処理を含む制御演算ユニット10の
動作について図4〜図7で説明する。
タイミングを4気筒エンジンの場合について示した図で
ある。3bは、波形成形回路を通した後のフェイズセン
サ3の出力であり、クランク軸7が2回転する毎に1回
出力される。この出力タイミングは、第1気筒の燃焼上
死点で出力されるように合わせてある。6bは、波形成
形回路を通した後のレファレンスセンサ6の出力であ
り、クランク軸7が1回転する毎に1回出力される。こ
の出力タイミングは、第1気筒の上死点で出力されるよ
うに合わせてある。
ョンセンサ5の出力であり、これはリングギア4の歯に
対応して一定のクランク角度ごとに出力される。波形3
1は信号5bのパルス数のカウント値を示し、信号3b
と信号6bとのAND信号によりリセットされる。この
カウント値31により、例えば第1気筒の燃焼上死点を
基準としたクランク角度を検出することができる。波形
32は回転速度計測区間を表す信号の一例であり、前述
のカウント値31に基づいてほぼ各気筒の燃焼行程に対
応するクランク角度位置に設定される。図の例では、点
火順が第1、2、3、4気筒として対応する回転速度計
測区間に気筒番号を付している。この回転速度計測区間
を回転するのに要する時間をCPU11内のクロックが
測定し、これをTdata(n)(n:気筒番号)とす
る。
は、上記のように、2回転毎にリセットするのではな
く、各気筒毎に設定した基準クランク角度において前記
カウント値に相当するカウント値31をリセットするこ
とも可能である。
な燃焼状態でも一定ではなく、クランク角度に応じて変
動する。この変動は、各燃焼室での吸気、圧縮、燃焼、
排気行程に伴う発生トルクTgの変動や、ピストン等往
復動する質量の慣性力に伴い生じるトルクTiの変動に
よるものである。例えば、4気筒エンジンの場合、発生
トルクTgは、図6に示すように脈動する。これは、燃
焼室内の圧力とクランク機構のアーム長との積により決
定される曲線である。この発生トルクTgの変動に伴
い、例えば、トルクTiが比較的小さい低速回転時に
は、回転速度Nは図5に示すように変動する。この際、
エンジン1が失火すると、爆発によるトルクが発生しな
いので、発生トルクTgおよび回転速度Nは、同図の破
線で示すように、低下する。そこで、燃焼状態パラメー
タとしては、例えば、(数1)で示されるD’を採用す
る。
状態パラメータD’は、回転運動エネルギーの変化にほ
ぼ比例する値となっている。なお、回転速度Nは、まず
各気筒の燃焼上死点を基準に回転速度計測区間の開始位
置をWs(正の値である必要はない。)、幅をW(de
g)とし、この回転速度計測区間を回転するのに要する
時間Tdata(s)を計測し、(数2)を用いて求め
る。
用いて、以下に示す(数3)ように、変形することがで
きる。 D’≒{N(n)−N(n−1)}・N(n−1)/2 =K・W2・{Tdata(n−1)−Tdata(n)} /{Tdata(n)・Tdata(n−1)2} (K=(60/360)2) ≒−K・W2・[{Tdata(n)−Tdata(n−1)} /Tdata(n−1)3] ここで、燃焼状態パラメータを簡略化するため、−K・
W2を省略する。
について、以下に説明する。
失火時には正の値を示す。また、失火に至らなくとも不
完全燃焼が発生している様な場合には、その程度に応じ
た正の値を示す。なお、失火時に示す値は、エンジンの
負荷が大きい場合ほど大きな値となる。
毎に1回の割合で第1気筒(点火順を第1気筒、第2気
筒、第3気筒、…、6気筒とする。)を失火をさせた場
合のエンジン回転速度Nおよび燃焼状態パラメータDの
変化を示す図である。失火状態に対応して燃焼状態パラ
メータDが変化している様子がわかる。
を設定し、燃焼状態パラメータDがこのしきい値を超え
たときに該当する気筒を失火と判定するなどの燃焼状態
判定を行うことが可能である。
変動の一部を拡大した図であり、失火した気筒にのみ対
応してDが変化している、すなわち、失火気筒の識別も
可能であることがわかる。(実際には、Tdataの計
測やDの計算に要する遅れが存在するが、この図では位
相を合わせて表示してある。)次に、図8は失火判定レ
ベル制御処理320の詳細を示すものである。まず、エ
ンジンの回転数を取込む(321)。次に、前述した数
(3)で表わされる燃焼状態パラメータD(n,m)の
計算を行う(322)。
例えば図7の(b)の例を考えると、 n:気筒番
号(6気筒なら1〜6、4気筒ならば1〜4) m:サイクル数としたとき、図7にD(n,m)で示す
ような値となる。
ホールドレベルDthの検索,計算を行う(323)。
所定値A1以上でかつ所定点火回数(REV)連続して
発生しているか否かを判定する(324)。ノイズの影
響を誤検知する等信頼性に欠ける恐れも有るので、前後
の複数のサイクルについて監視し、判定するのが望まし
い。そこでREVは、例えば6気筒ならその2倍の12
とする。
火回数(REV)の間に燃焼状態パラメータの変動が所
定値A1より大きい状態が所定回数(REVCYL1)
回発生したかを判定する。例えば12回の(REV)に
対して所定回数(REVCYL1)を6回とする。この
判定は、各気筒毎に順次1気筒分ずつずらして、連続的
に処理される。
の変動が所定値A1をREVCYL1回越えたら、図9
に示すように、失火判定用のスレッシュホールドレベル
Dthを実線のレベルから破線で示すレベルのDthに変更
する(325)。ステップ325では、失火判定用スレ
ッシュホールドレベルDthを、所定値(エンジン回転N
と負荷Lに応じたDtho(N,L))+当該気筒を含む
所定数j(j点火:例えばj=12)点火前の燃焼状態
パラメータ変動(△D(n,m))の平均値に応じた値
とする。例えば下式Dthとする。
値 kco :補正係数 失火判定用スレッシュホールドレベルDthは、燃焼状態
パラメータD(n,m)の平均値そのものに応じた値で
もよく、または平均値から演算された値に応じた値でも
良い。
V)間に燃焼状態パラメータの変動が所定値B1より小
さい状態が所定回数(REVCYL2)回(例えば6
回)発生したかを判定する。 B1≦A1 ステップ328では下記の所定値を設定する。 Dth=Dtho(N,L)n 図9において、(a)は平坦路走行時のような燃焼状態
パラメータD(n,m)の変動が小さい場合を示してい
る。また、(b)は、悪路走行等の状態で、燃焼状態パ
ラメータD(n,m)の変動が大きい場合を示してい
る。気筒毎に、燃焼状態パラメータD(n,m)が失火
判定用スレッシュホールドレベルDthと比較され、この
Dthを越えたら失火と判定される。燃焼状態パラメータ
D(n,m)の変動が所定値A1をREVCYL1回越
えたら、悪路走行等の状態と判定し、失火判定用のスレ
ッシュホールドレベルDthを実線のレベルから破線で示
すレベルに変更する。
の詳細を示すものである。燃焼状態パラメータD(n,
m)とスレッシュホールドレベルDthの大小を比較し
(331)、燃焼状態パラメータD(n,m)がDth
以上であれば、失火状態と判定し、該当気筒の失火フラ
グを立てる(332)。失火フラグが立っている場合に
は、表示装置29の警告灯を点灯させ(335)、逆に
フラグが立っていない場合には、警告灯を消灯する(3
34)。
処理320の変形例として、図11に示すように失火判
定スレッシュホールドレベルの変更を次のようにしても
よい。すなわち、燃焼状態パラメータD(n,m)の変
動が大き過ぎる状態(A2以上)が、REVCYL3回
発生したとき、回転センサの異常とみなし、失火判定レ
ベルDthに所定値C1を加算する。図11の例では、
ステップ410でA1より高いレベルの所定値A2とD
(n,m)の変動値を比較し、A2より大きい状態がR
EVCYL3回発生すると、回転センサに異状があると
判断し、ステップ325へ進み失火判定スレッシュホー
ルドレベル変更部分を下記のように、すなわち、所定値
C1を加算する。
理で失火判定を行わない等の情報として利用できる。)
ステップ326,327は図8と変わらずステップ32
8では下式とする。
理320の他の実施例を示すものである。この例では、
ステップ325の失火判定スレッシュホールドレベル変
更部分を下式のようにする。すなわち、所定値C2を加
算する。 Dth n=Dtho(N,L)n Dth(m)n=Dth(m−1)n+C2・・・・・・・・・・・・・・(数6) この場合、ステップ328では所定値C3を加算する。 Dth=Dtho(N,L)n Dth(m)=Dth(m−1)n−C3 ・・・・・・・・・・・・・・(数7) C2,C3はf(N,L)nとしても良い。
ールドレベルは上限値 DTH MAXと下限値 DTH MINに制
限される。
320の他の実施例を示す。ステップ322と323の
間にローパスフィルタ処理(ステップ400)が追加さ
れ、ステップ323、324、325、327の処理が
以下のように変わる。
した燃焼状態パラメーターにローパスフィルタ処理を行
いF(n,m)を求める。 FD(n,m)=α・D(n,m)+(1−α)・FD(n,m−1) FD(n,m):フィルタ出力後の燃焼状態パラメータ α :フィルタ係数 F(n,m) =FD(n,m) FD(n,m)>0 F(n,m) =0 FD(n,m)<0 図14にローパスフィルタの一例を示し、取り込まれた
回転数信号(a)がローパスフィルタにより処理され、
(b)に示すような信号として出力される。
ホールドレベルを下式とする。 Dth=Dtho(N,L)n ステップ324では、所定点火回数(REV)間(例え
ば12回)に燃焼状態パラメータのローパスフィルタ後
の変動が所定値A1より大きい状態が所定回数(REV
CYL1回、例えば6回)発生したかを判定する。この
判定は、各気筒毎に順次1気筒分ずつずらして、連続的
に処理される。
ィルタ後FD(n,m)の変動が所定値A1をREVC
YL1回越えたら図9に示すように、失火判定用のスレ
ッシュホールドレベルDthを実線のレベルから破線で
示すレベルのDthに変更する(325)。ステップ3
25において、失火判定用スレッシュホールドレベルD
thを、例えば、下式のように燃焼状態パラメータのロ
ーパスフィルタ後の変動値(△FD(n,m))に応じ
た値と所定値の和とする。 Dth=Dtho(N,L)n+f{△DF(n,m)} △DF(n,m):燃焼状態パラメータのローパスフィ
ルタ後の変動値(但し、f{△DF(n,m)}≧0と
する) ステップ326では失火判定用スレッシュホールドレベ
ルが変更されているかチェックし、ステップ327で
は、所定点火回数(REV)間に燃焼状態パラメータの
ローパスフィルタ後の変動が所定値B1より小さい状態
が所定回数(REVCYL2)回(例えば6回)発生し
たかを判定する。 B1≦A1 ステップ328ではDthを下記の所定値とする。 Dth=Dtho(N,L)n 次に、図15は、エンジンの平均回転速度のみを約60
00(r/min)と高速にし、その他は図7と同様の条件
にした状態を示すものである。低速回転時と比べ、失火
時と正常時とで燃焼状態パラメータDの差がはっきりと
しなくなっていることがわかる。また、失火時の回転速
度の落ちこみは小さく(失火した気筒の次の燃焼行程ま
での時間が短くなるため)、行程内の回転速度変動は大
きく(前述のピストン等往復動する質量の慣性力に伴い
生じるトルクTiが大きくなるため)なっていることも
わかる。
とで燃焼状態パラメータDの差がはっきりとしなくなる
原因のうち大きな割合を占めるのは、回転速度計測区間
の幅Wの誤差と、ピストン等作動部材の質量の誤差やコ
ンロッドの長さの誤差等である。ここで、回転速度計測
区間の幅Wの誤差に関しては、回転速度が6000(r/
min)のときに、失火した場合、5〜10(r/min)しか
低下しないことを考慮すると、例えば、幅Wに対して、
1/1000W以下のオーダーで問題となる。したがっ
て、量産過程で、このような精度で、全ての回転速度計
測区間の幅W(リングギア4の歯の精度等)を把握する
ことは困難である。
の質量の誤差等は、前述の慣性力に伴うトルクTiの変
動のバラツキとなり、最終的に回転速度変動のバラツキ
となるが、これを単純には燃焼状態の変動による回転速
度変動のバラツキと区別することは難しい。ところで、
トルクTiの変動に伴う回転速度変動ωcは、(数8)
に示すように、回転速度ωとクランク角θの関数h(θ)
との積で表すことができる。 ωc≒ω・h(θ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数8) ωc =ピストン等往復動部分の慣性により発生する回
転速度変動 ω =回転速度(例えば点火サイクル内の平均回転速
度) θ =クランク角度 h(θ)=クランク角度θの関数で、ピストン等往復動部
分の質量等、コンロッドの長さ等により決定される。
(h(θ)の詳細については、特願昭2−42458号公
報に示されている。) したがって、回転速度変動のバラツキωc’は、h(θ)
のバラツキをh’(θ)とすれば、(数9)で示すことが
できる。 ωc’≒ω・h’(θ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数9) この(数9)より、高速回転時ほど、回転速度変動のバ
ラツキが大きくなることがわかる。
W’とすると、得られるTdataの誤差Tdata’
は、例えば、(数10)で表すことができる。 Tdata’=(W’/W)×Tdata・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数10) (数10)より、誤差Tdata’はTdataに比
例、すなわち回転速度に反比例することがわかる。
を検討すると、n番気筒に対応する回転速度計測区間の
幅の誤差をW’(n)、Dの誤差をD’として、Tdat
aが一定、すなわち回転速度が一定の場合には、燃焼状
態パラメータのバラツキD’は、(数3)および(数1
0)より、(数11)で表すことができる。 D’(n,m)={Tdata’(n)−Tdata’(n−1)} /Tdata’(n−1)3 =[{W’(n)/W×Tdata(n) −W’(n−1)/W×Tdata(n−1)}] /Tdata(n−1)3 ≒[{W’(n)−W’(n−1)}/W]/Tdata(n−1)2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数11) (数11)より、燃焼状態パラメータのバラツキD’
は、W’(n)やW’(n−1)が回転速度計測区間毎に一
定なので、Tdataの2乗に反比例、すなわち回転速
度の2乗に比例することがわかる。
タが、所要時間Tdataに与える影響、すなわちTd
ataの誤差は、(数10)より、回転速度の関数で表
すことができると言える。また、各種誤差ファクタが、
燃焼状態パラメータ、例えばDに与える影響、すなわち
Dのバラツキも、(数11)より、回転速度の関数で表
すことができると言える。
たような高速回転数時の燃焼状態パラメータを考慮した
例を図16に示す。まず、回転数、負荷等の情報を取り
込み(1210)、燃焼状態パラメータD(n,m)の
計算を行った後(1212)、エンジン回転数が所定値
以上か否かを判定する(1214)。次に失火判定用ス
レッシュホールドレベルDthを以下のようにして計算
し、このスレッシュホールドレベルDthを用いて失火
判定する。
特定気筒の1つ前の燃焼状態パラメ−タに応じて、高回
転時には同じ気筒の燃焼状態パラメ−タに応じて、失火
判定用スレッシュホールドレベルDthを各々検索,計
算する(ステップ1216,1220)。
と、 (a)のとき、 Dth1=Dth0(N,L)n+f{D(n,m)+D(n−1, m)}K1 (b)のとき、 Dth2=Dth0(N,L)n+f{D(n,m)+D(n,m− 1)}K2 となる。
筒、例えば第2気筒について、サイクルm−1,
m,..毎に燃焼状態パラメータD(n,m)の計算が
され、失火判定用スレッシュホールドレベルDthの更
新がされる。図17の例では、サイクルm−1で誤検出
を生ずるが、次のサイクルmではスレッシュホールドレ
ベルDthが更新されるため、誤検出はなくなる。
燃焼状態パラメ−タに応じて、失火判定用スレッシュホ
ールドレベルDthの演算処理がなされ、これに基づい
て失火判定処理がなされる。これにより低速回転時のみ
ならず、失火時と正常時とで燃焼状態パラメータDの差
がはっきりとしなくなる高速回転時においても、高精度
にエンジンの失火を判定することができる。
施例に挙げた例に限らず、気筒毎の回転速度の差異量に
基づくものであればよい。例えば、特願平2−509号
の14頁に示された式(3)のPkをDと置き変えた、
数12を用いてもよい。 D(n)=Nn2−1/2(Nn1+Nn3)・・・・・・・(数12)
り、しかも特殊なセンサを追加することなしに、高精度
にエンジンの燃焼状態を診断することができ、従って、
排気ガスによる大気汚染を低減できる。
体構成を示す図である。
る。
示すものである。
である。
ータD(n,m)の変化を示すグラフである。
示すフローチャートである。
ルドレベルDthの説明図である。
ートである。
細を示すフローチャートである。
すフローチャートである。
すフローチャートである。
Nおよび燃焼状態パラメータD(n,m)の変化を示す
グラフである。
の実施例の詳細を示すフローチャートである。
ホールドレベルDthの説明図である。
ト、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14
…入力回路、15…I/O、100…失火判定処理部、
122…判定レベル制御プログラム,124…失火判定
プログラム、126…マップ及びテーブル
Claims (13)
- 【請求項1】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごとに
計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度と
の差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状態
パラメータを所定のスレッシュホールドレベルと比較し
て前記特定気筒の燃焼状態を診断する多気筒エンジンの
燃焼状態診断装置において、 前記特定気筒の点火を含む所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータを求める手段と、 該複数の燃焼状態パラメータの関数として、前記スレッ
シュホールドレベルを補正する手段とを備えていること
を特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項2】請求項1記載の多気筒エンジンの燃焼状態
診断装置において、 前記特定気筒の点火を含む所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータの平均値を求める手段と、 該複数の燃焼状態パラメータの平均値に応じて、前記ス
レッシュホールドレベルを補正する手段とを備えている
ことを特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項3】請求項1記載の多気筒エンジンの燃焼状態
診断装置において、 前記特定気筒の点火を含む所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメ−タの変動を求める手段と、 該複数の燃焼状態パラメ−タの変動に応じて、前記スレ
ッシュホ−ルドレベルを補正する手段とを備えているこ
とを特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項4】請求項1記載の多気筒エンジンの燃焼状態
診断装置において、 前記所定回数の点火に対応する複数の燃焼状態パラメー
タが、所定値より大きい状態が規定回数発生したか否か
を検知する手段と、 前記検知手段により、前記燃焼状態パラメータの大きい
状態が前記規定回数検知されたとき、前記スレッシュホ
ールドレベルを補正する手段とを備えていることを特徴
とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項5】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごとに
計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度と
の差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状態
パラメータの値に応じて前記特定気筒の燃焼状態を診断
する多気筒エンジンの燃焼状態診断装置において、 前記気筒毎の燃焼状態パラメータを記憶しておく記憶手
段と、 失火判定用に特定の値のスレッシュホールドレベルを設
定する手段と、 前記特定気筒の点火以前の所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータの関数として、前記スレッシュ
ホールドレベルを補正する手段と前記特定気筒の燃焼状
態パラメータが所定のスレッシュホールドレベルを越え
たとき、当該気筒の燃焼状態を失火と判定する失火状態
判定手段とを備えていることを特徴とする多気筒エンジ
ンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項6】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごとに
計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度と
の差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状態
パラメータを所定のスレッシュホールドレベルと比較し
て前記特定気筒の燃焼状態を診断する多気筒エンジンの
燃焼状態診断装置において、 前記特定気筒の点火以前の所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータの平均値を求める手段と、 該複数の燃焼状態パラメータの平均値に応じて、前記ス
レッシュホールドレベルを所定の最大値と最小値の間
で、補正する手段とを備えていることを特徴とする多気
筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項7】請求項1ないし6のいずれかにおいて、前
記所定回数とは、多気筒エンジンの気筒数の整数倍であ
ることを特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装
置。 - 【請求項8】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごとに
計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度と
の差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状態
パラメータを所定のスレッシュホールドレベルと比較し
て前記特定気筒の燃焼状態を診断する多気筒エンジンの
燃焼状態診断装置において、 前記エンジンの回転速度の関数として、前記スレッシュ
ホールドレベルを補正する手段を備えていることを特徴
とする多気筒エンジンの燃焼状態診断装置。 - 【請求項9】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごとに
計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度と
の差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状態
パラメータを所定のスレッシュホールドレベルと比較し
て前記特定気筒の燃焼状態を診断する多気筒エンジンの
燃焼状態診断装置において、 前記エンジンの回転速度が所定値未満のときは前記スレ
ッシュホ−ルドレベルを特定気筒と特定気筒以外の燃焼
状態パラメ−タに応じて補正し、前記エンジンの回転速
度が所定値以上のときはスレッシュホ−ルドレベルを同
一気筒の燃焼状態パラメータに応じて補正する手段を備
えていることを特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診
断装置。 - 【請求項10】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごと
に計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度
との差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状
態パラメータの値に応じて前記特定気筒の燃焼状態を診
断する燃焼状態診断装置を備えた多気筒エンジンにおい
て、 前記特定気筒の点火以前の所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータを求める手段と、 該複数の燃焼状態パラメータの関数として、前記スレッ
シュホールドレベルを補正する手段、 とを備えていることを特徴とする多気筒エンジン。 - 【請求項11】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごと
に計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度
との差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状
態パラメータの値に応じて前記特定気筒の燃焼状態を診
断する多気筒エンジンの燃焼状態診断方法において、 前記特定気筒の点火以前の所定回数の点火に対応する複
数の燃焼状態パラメータを求め、 該複数の燃焼状態パラメータの関数として前記スレッシ
ュホールドレベルを補正することを特徴とする多気筒エ
ンジンの燃焼状態診断方法。 - 【請求項12】請求項11において、前記所定回数の点
火の間に、前記燃焼状態パラメータの変動が所定値より
大きい状態が規定回数発生したとき、前記スレッシュホ
ールドレベルを補正することを特徴とする多気筒エンジ
ンの燃焼状態診断方法。 - 【請求項13】多気筒エンジンの回転速度を各気筒ごと
に計測し、特定の気筒の回転速度と他の気筒の回転速度
との差異量を燃焼状態パラメータとして求め、該燃焼状
態パラメータを所定のスレッシュホールドレベルと比較
して前記特定気筒の燃焼状態を診断する多気筒エンジン
の燃焼状態診断装置において、 前記エンジンの回転速度が所定値未満のときは、前記ス
レッシュホ−ルドレベル特定気筒と特定気筒以外の燃焼
状態パラメ−タに応じて補正し、前記エンジンの回転速
度が所定値以上のときはスレッシュホ−ルドレベルを同
一気筒の燃焼状態パラメータをに応じて補正することを
特徴とする多気筒エンジンの燃焼状態診断方法。
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