JP3487605B2 - エンジンの燃焼状態検出方法及びその装置 - Google Patents

エンジンの燃焼状態検出方法及びその装置

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JP3487605B2 JP18102092A JP18102092A JP3487605B2 JP 3487605 B2 JP3487605 B2 JP 3487605B2 JP 18102092 A JP18102092 A JP 18102092A JP 18102092 A JP18102092 A JP 18102092A JP 3487605 B2 JP3487605 B2 JP 3487605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転速度変動によりエン
ジンの失火等の燃焼異常を検出する方法及びその装置に
係り、特に、回転速度情報の検出誤差の影響を抑えるの
に好適なエンジンの燃焼状態検出方法及びその装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】エンジンに失火等の燃焼異常が発生する
と、未燃焼ガスが排出されるので、大気汚染の原因とな
る。また、排気ガスを浄化するために設けられている触
媒等は、未燃焼ガスが燃焼するため、これらの排気ガス
浄化装置部が異常高温となり、性能が低下するという問
題がある。これらの対策のため、例えば失火の発生を検
出して運転者に警告したり、失火の発生している気筒に
対して燃料の供給を中止したりする必要がある。失火等
の燃焼状態の検出装置に関する従来技術としては、例え
ばエンジンの回転速度の変動から検出する方法、燃焼室
内の燃焼圧力、温度等から検出する方法、点火コイルに
流れる電流波形等から検出する方法等、数多くの方法が
あり、公知である。この内、回転速度変動から検出する
方法は、比較的コストの上昇が少なく、原因によらず
(燃料系,点火系,空気系いずれの異常による燃焼状態
の悪化であっても)燃焼状態の異常を検出できるという
利点がある。回転速度変動から燃焼状態を検出する従来
技術として、特公平1−30098号公報記載のもの
と、特開平2−112646号公報記載のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】回転速度変動から燃焼
状態を検出する方法は、当然の事ながら回転速度に関す
る情報を検出する手段の精度により燃焼状態の検出精度
が左右されてしまう。しかし、特開平2−112646
号公報記載の従来技術では、この点を考慮しておらず、
特に高速回転時には、正確に燃焼状態を検出できない
(あるいは非常に高精度の回転速度検出手段を必要とす
る)という問題がある。
【0004】特公平1−30098号公報記載の従来技
術では、回転速度検出手段の精度を上げることなく同じ
回転速度の加速時と減速時(燃料が燃焼することのない
減速、すなわち例えば燃料供給停止を伴う減速等である
必要がある。)との運動エネルギ変化の差を求めること
により、誤差をもたらす多数のファクタ(特にピストン
等作動部材の質量、回転速度測定等の誤差)を相殺する
ような構成としている。しかるにこの従来技術は、次の
ような問題がある。この従来技術は、エンジンメーカま
たはサービス工場でのチェック方法としては良いが、例
えば自動車等に搭載されたエンジンを自動的にチェツク
する所謂自己診断に採用しようとすると、運転者の運転
パターンの偏りのため、ほとんどの場合、減速時(前述
のように例えば燃料供給停止を伴う減速)のデータは狭
い回転速度範囲でしか得られない。従って、燃焼状態を
判定できる範囲もその狭い回転速度範囲に限定されてし
まう。さらには、例えば自動車用エンジンの場合で言う
と、トランスミッションはどのギアが選択されている
か、等の運転状態の差により前述の誤差をもたらすファ
クタも異なってしまうので、その場合は例え同じ回転速
度であっても、加速時と減速時との運動エネルギ変化の
差を求めても誤差ファクタを相殺することができない。
今後は、環境保護のため触媒等排気ガス浄化装置がます
ます重要になり、より高速回転(失火発生時の触媒等の
損傷は回転速度が高いほど、負荷が高いほど大きい。)
まで燃焼状態を判定する必要が生じている。
【0005】本発明の目的は、高速回転中であっても精
度良く燃焼状態の判定をすることができるエンジンの燃
焼状態検出方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エンジンの
燃焼行程に対応して、所定のクランク角度の間(回転速
度計測区間)を回転するのに要する所要時間を求め、こ
の所要時間に基づいて燃焼状態パラメータを求めるに際
し、この所要時間または所要時間から計算される値(例
えば回転速度のような値)の、クランク軸が1回転又は
数回転する毎の同一の回転速度計測区間に対応する値に
対して特徴成分を抽出するデジタルフィルタと、このデ
ジタルフィルタの出力に基づいて燃焼状態パラメータを
求める手段と、燃焼状態を判定する手段を設けること
で、達成される。
【0007】上記目的はまた、エンジンの燃焼行程に対
応して、所定のクランク角度の間(回転速度計測区間)
を回転するのに要する所要時間を求め、この所要時間に
基づいて燃焼状態パラメータを求めるに際し、この燃焼
状態パラメータの、クランク軸が1回転又は数回転する
毎の同一の回転速度計測区間に対応する値に対して特徴
成分を抽出するフィルタ処理を施すデジタルフィルタ
と、このデジタルフィルタの出力に基づいて燃焼状態を
判定する手段を設けることで、達成される。
【0008】
【作用】1回転毎又は数回転毎の同じ回転速度計測区間
を回転するのに要する所要時間または所要時間から計算
される値、例えば回転速度のような値、あるいは燃焼状
態パラメータに対してフィルタ処理を施し、誤差ファク
タのうち大きな割合を占める回転速度計測区間の幅の誤
差や、ピストン等作動部材の質量の誤差(所謂ダイナミ
ックバランスの誤差となり回転速度変動を発生させ
る。)を除去する。また、回転速度が刻々と変化するよ
うな場合でも急激な変化以外ほとんどの場合フィルタを
追随させることが可能で、さらに例えばトランスミッシ
ョンのギアが変わっても、僅かな遅れで追随させること
が可能である。
【0009】従って、例えばピストン等の作動部材の質
量や回転速度計測区間の幅等をむやみに高精度にするこ
となく、すなわちコストの上昇を抑えつつ、燃焼状態の
検出精度を上げることができ、特に高速回転時における
運転者への警告や例えば失火気筒への燃料供給の中止等
を正確に実行することができるようになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は、本発明の一実施例に係る燃焼状態検出
装置の構成図である。エンジン1には、クランク角度を
測定するためのポジションセンサ5と、基準位置を知る
ためのレファレンスセンサ4を備えている。本実施例で
は、エンジン1の始動時に使用するスタータ用のリング
ギア4の歯形を電磁式ピックアップで検出するタイプの
ポジションセンサ5(クランク軸7の1回転にリングギ
アの歯数に対応した数の信号を発生する。)と、クラン
ク軸7の1回転に1回だけ所定クランク角度位置での信
号を得るためにリングギア4に設けた突起部4aを電磁
式ピックアップで検出するレファレンスセンサ6とを備
える。さらに、気筒識別用として、クランク軸7の2回
転につき1回信号を発生するフェイズセンサ3をカム軸
2に備えているが、本発明はこれらのセンサの方式に限
定されるものではない。各センサ3,5,6の検出信号
は演算回路8に入力され、クランク角度,回転速度等が
測定または計算される。
【0011】一方、排気ガスは排気管11を通り、酸素
濃度センサ12で酸素濃度が計測された後、触媒13で
浄化される。失火が発生すると、未燃焼ガスがエンジン
1から排気管11に流出され、触媒13等で燃焼するた
め、その部分が異常に高温になって触媒13が劣化した
り、未燃焼ガスが大気中に排出され、大気汚染の原因に
なってしまう。また、当然のことながら、触媒13が劣
化すると、失火が発生しなくても各種有害ガスが浄化さ
れなくなるので、大気汚染の原因になってしまう。
【0012】図2は、図1に示す演算回路8の構成図で
ある。フェイズセンサ3の出力3aと、ポジションセン
サプ5の出力5aと、レファレンスセンサ6の出力6a
と、図示しない空気流量センサ、水温センサ等の出力が
入力される。これらの入力情報に基づき、ROM11に
記憶されたプログラムによって点火・燃料等の制御が行
われる。
【0013】図3は、各信号のタイミングを4気筒エン
ジンの場合について示した図である。3aは前述のよう
にフェイズセンサ3の図示しない波形成形回路を通した
後の出力であり、クランク軸7が2回転する毎に1回出
力される。この信号3aは、例えば第1気筒の燃焼上死
点で出力されるように合わせてある。6aはレファレン
スセンサ6の図示しない波形成形回路を通した後の出力
であり、クランク軸7が1回転する毎に1回出力され
る。この信号6aは、例えば第1気筒の上死点で出力さ
れるように合わせてある。5aはポジションセンサ5の
図示しない波形成形回路を通した後の出力であり、リン
グギア4の歯に対応して一定のクランク角度ごとに出力
される。
【0014】波形12は、信号5aのパルス数のカウン
ト値を示し、信号3aと信号6aのAND信号によりリ
セットされる。このカウント値12により、例えば第1
気筒の燃焼上死点を基準としたクランク角度を検出する
ことができる。波形13は回転速度計測区間の1例を表
す信号であり、前述のカウント値12に基づいてほぼ各
気筒の燃焼行程に対応するクランク角度位置に設定され
る。図の例では、点火順が第1,2,3,4気筒として
対応する回転速度計測区間に気筒番号を付している。こ
の回転速度計測区間を回転するのに要する時間を測定
し、これをTdata(n)(n:気筒番号)とする。
【0015】なお、このTdata(n)を測定する方法は上
記に限定されるものではなく、例えば特願平3−239
976号に示すように、各気筒毎に設定した基準クラン
ク角度において前記カウント値12に相当するカウント
値をリセットすることも可能である。
【0016】ところで、エンジンの回転速度は、図4に
示すように、一定ではなく、正常な燃焼状態でも、クラ
ンク角度に応じて変動している。この変動は、各燃焼室
での吸気,圧縮,燃焼,排気行程に伴う発生トルクTg
の変動や、ピストン等の往復動する質量の慣性力に伴い
生じるトルクTiの変動によるものである。例えば、4
気筒エンジンの場合、発生トルクTgは、図に示すよう
に変動する。この変動を示す曲線は、燃焼室内の圧力と
クランク機構のアーム長との積により決定される曲線で
ある。さらに、前記トルクTiが比較的小さい低速回転
時には、この発生トルクTgの変動によって、回転速度
も、図示するように、変動する。例えば失火時には、爆
発によるトルクが発生しないので、発生トルクTgおよ
び回転速度は、図に破線で示すように低下する。そこ
で、燃焼状態パラメータとして、例えば次式で示される
Dを採用する。
【0017】D(n)={N(n)2−N(n-1)2}/2 n:該当する気筒番号 とする。ここで、N(n)は該当気筒の回転速度である。
この燃焼状態パラメータは、回転運動エネルギの変化に
ほぼ比例する値となっている。より具体的には、まず各
気筒の燃焼上死点を基準に、回転速度計測区間の開始位
置をWs(正の値である必要はない。)、幅をW(de
g)とし、この回転速度計測区間を回転するのに要する
時間Tdata(s)を計測する。回転速度Nは、次式 N=60×(W/360)/Tdata 〔r/min〕 となり、このNを使ってDを計算すれば良い。さらにD
の式を変形し、下式に示すように近似しても同様の結果
を得ることができる。
【0018】 D(n)={Tdata(n)−Tdata(n-1)}/Tdata(n-1)3 但し、Wに関係する係数は省略した。この式を用いた場
合について、以下説明する。この場合、Dは正常時には
ゼロに近い値、失火時には正の値を示す。また、失火に
至らなくとも不完全燃焼が発生している様な場合にはそ
の程度に応じた正の値を示す。なお、失火時に示す値
は、エンジンの負荷が大きい場合ほど大きな値となる。
【0019】図5は、6気筒エンジンについて、48点
火毎に1回の割合で第1気筒(点火順を第1,2,…,
6気筒とする。)を失火をさせた場合の、エンジン回転
速度およびDの変化を示す図である。この例では、エン
ジンの平均回転速度がおよそ2400(r/min)と低速
回転であるため、失火時と正常時とで燃焼状態パラメー
タDは明確な差を示している。従って、例えば、正の値
のしきい値を設定しそのしきい値を超えたときに、該当
する気筒で失火が発生したと判定するなどの燃焼状態判
定を行うことが可能である。なお、同図(b)は同図
(a)のDの変動の一部を拡大した図であり、失火した
気筒にのみ対応してDが変化している、すなわち、失火
気筒の識別も可能であることがわかる。実際には、Tda
taの計測やDの計算に要する遅れが存在するが、この図
では位相を合わせて表示してある。
【0020】図6は、図5と同様の条件で、エンジンの
平均回転速度のみを6000rpmと高速にしたもので
ある。低速回転時と比べ、失火時と正常時とで燃焼状態
パラメータDの差がはっきりとしなくなっていることが
わかる。また、失火時の回転速度の落ちこみは5〜10
rpmと小さく(失火した気筒の次の燃焼行程までの時
間が短くなるため。)、行程内の回転速度変動は大きく
(前述のピストン等往復動する質量の慣性力に伴い生じ
るトルクTiが大きくなるため。)なっていることもわ
かる。高速回転時に失火時と正常時とで燃焼状態パラメ
ータDの差がはっきりとしなくなる原因のうち大きな割
合を占めるのは、回転速度計測区間の幅Wの誤差と、ピ
ストン等の作動部材の質量の誤差である。
【0021】このうち、ピストン等の作動部材の質量の
誤差は、前述のトルクTiの変動の誤差となり、最終的
に回転速度変動の誤差となるが、これを燃焼状態の変動
による回転変動と区別することは難しい。この回転速度
変動の誤差は、特開平3−206342号に示される下
式において、h(θ)に誤差があるための回転速度変動の
誤差(ωcの誤差)として考えることができる。
【0022】ωc≒ω・h(θ) ωc :ピストン等往復動部分の慣性により発生する回
転速度変動 ω :回転速度(例えば点火サイクル内の平均的回転
速度) h(θ):θの関数、ピストン等往復動部分の質量等、コ
ンロッドの長さ等により決定される。
【0023】θ :クランク角度 すなわち、h(θ)の誤差をh’(θ)、これによるωcの
誤差をωc’とすれば、 ωc’≒ω・h’(θ) となり、高速回転時ほど誤差の影響が大きいことがわか
る。
【0024】ところで、h’(θ)は、一般にはほとんど
の場合1回転(360deg)を周期とする周期関数であ
る。例えば、2回転を周期とする成分を含む場合も有る
が、ほとんどの場合その影響は少なく、もし仮に影響度
が大きい場合であっても、以下説明する手順において奇
数回転毎のフィルタ処理を避ければ良いだけのことであ
る。なお、h(θ)は点火サイクルを最短の周期としてい
る場合が多い。従って、1回転毎又は数回転毎の同じク
ランク角度におけるh’(θ)は同じ値となる。回転速度
の変化が比較的少ないならば、回転速度計測区間の開始
位置Wsおよび、幅Wが一定の設定で、偶数気筒数のエ
ンジンの場合には、1回転に同じクランク位置でTda
taを計測することになるので、1回転毎又は数回転毎
フィルタを適用することで誤差成分を排除することが可
能である。また、同じく奇数気筒数のエンジンの場合に
は、2回転毎又は2の倍数回転毎にフィルタを適用する
ことで誤差成分を排除することが可能である。
【0025】一方、回転速度計測区間の幅Wの誤差につ
いては、誤差をW’とすると例えば得られるTdataの誤
差Tdata’は、 Tdata’=(W’/W)×Tdata となり、Tdataの変化すなわち回転速度の変化が比較的
少ない場合には、同じ回転速度計測区間(すなわちW’
が同じ)ならばTdata’も同じ値となる。すなわち、回
転速度計測区間の開始位置Wsおよび、幅Wが一定の設
定で、偶数気筒数のエンジンの場合には、1回転毎又は
数回転毎に、奇数気筒数のエンジンの場合には、2回転
毎又は2の倍数回転毎にフィルタを適用することで誤差
成分を排除することが可能である。
【0026】なお、例えば回転速度等運転状態に応じW
sおよび、Wの設定を変更する場合には、設定変更時に
燃焼状態判定の一時中断等を行えば良い。
【0027】次に、フィルタ処理について説明する。図
7は、本発明の一実施例に係る燃焼状態判定装置の機能
構成ブロック図である。所要時間計測手段は、前述のT
dataを計測する手段である。燃焼状態計算手段は、前述
の燃焼状態パラメータD(n)を計算する手段である。な
お、気筒番号nは、例えば図3の説明で記述したカウン
ト値12を利用して容易に識別することができる。この
実施例では、燃焼状態パラメータD(n)をフィルタ手段
への入力としている。フィルタ処理の方法については、
例えば1回転毎又は数回転毎のD(n)に対して、 (1)高域通過フィルタをかける。 (2)低域通過フィルタをかけ、その出力をもとの入力で
あるD(n)より減ずる。 等の方法がある。また、本実施例で適用するフィルタと
しては、ソフトウェアにより実行できる所謂デジタルフ
ィルタが好ましい。これは、図2に示したROM11に
プログラムを格納しておくことで容易に実行できるから
である。
【0028】次に、上記(2)の低域通過フィルタにつ
いて説明する。フィルタの種類は多いが、例として、2
次のIIR(無限インパルスレスポンス)フィルタの一
般形を図8に示す。uは入力、yは出力、x0,x1,x
2は所謂状態変数である。s,a1,a2,b1,b2
は係数で、これらの値の設定により、高域通過,低域通
過等の各種フィルタを実現でき、さらにはFIR(有限
インパルスレスポンス)フィルタをも実現できる。ま
た、フィルタの次数も2次に限定するものではなく、1
次や3次以上のフィルタを適用しても良い。上記(2)
の場合には、低域通過フィルタとなるよう係数を設定す
る。
【0029】図9は、6気筒エンジン(点火順が第1,
2,3,4,5,6気筒、すなわち第1と第4、第2と
第5、第3と第6気筒はそれぞれ同じクランク角度位置
の回転速度計測区間を使用することになる。)につい
て、1回転毎のD(n)に対してフィルタ処理を施す場合
のフィルタ処理手順を示すフローチャートである。
【0030】まずステップS101でD(n) を燃焼状態
計算手段より入力し、ステップS102で気筒番号nに
より区分けしている。すなわち、第1と第4気筒、第2
と第5気筒、第3と第6気筒はそれぞれ1回転毎に同じ
回転速度計測区間を使用しているので、それぞれに応じ
ステップS103,S104,S105に分岐する。こ
れらのステップでは、フィルタへの入力のため、それぞ
れ別々の変数に代入し(uの添字で区別している)、そ
の後、ステップS106へ進む。なお、mはサンプリン
グ時刻を表す値である。
【0031】ステップS106は低域通過フィルタ部で
あり(但し、計算式は低域通過に限定しない2次フィル
タの一般式で表記してあり、前述のように係数(行列)
の設定により低域通過フィルタとなる。)、この場合、
出力y(m)は、誤差成分を抽出した値となる。なお、本
実施例ではフィルタの計算プログラムを共用化するた
め、入力の区分に応じ状態変数を別々に用意する構成と
してある。次のステップS107では、もとのD(n)か
ら低域通過フィルタの出力であるy(m)を減じている。
以上により、フィルタ処理を終了し、結果としてDf(n)
を出力する。この後、燃焼状態判定手段(図7参照)に
て燃焼状態を判定する。
【0032】なお、高域通過フィルタをかける場合(前
記(1)の場合)には、ステップS106を高域通過フ
ィルタの設定とし、ステップS107を省略し、その代
りにy(m)を出力とすれば良い。すなわち、Df(n)=y
(m) とする。但し、この場合、フィルタの遅れの補償
が必要で、これをしないと失火気筒の識別を誤る等の問
題を生じることがある。
【0033】図10は、図6と同じエンジンの運転状態
(高速回転、低負荷という最も燃焼状態判定の困難な条
件となっている。)のデータに対して上記のフィルタ処
理を施した結果を示す図である。この場合には、2次の
IIRの低域通過型フィルタを使用している。フィルタ
処理をする前のDとフィルタ処理をした後のDfとを比
較すると、フィルタ処理により正常時と失火時との差が
明確になり、誤差成分が除去されていることがわかる。
なお、yは前述のようにDに低域通過フィルタ処理を施
した結果である。また、高域通過フィルタをかけた場合
にも同等の結果を得られる。
【0034】図11は、本発明の他の実施例に係る燃焼
状態検出装置の機能構成ブロック図である。本実施例で
は、Tdataに対してフィルタ処理を施している。この場
合のフィルタ処理の方法も、基本的には前述の方法と同
様であるが、フィルタ処理後のTdataをTf(前述の
(1)、(2)のどちらであっても良い)とすると、燃
焼状態パラメータは例えば下式のようにすれば良い。
【0035】 D(n)={Tf(n)−Tf(n-1)}/Tdata(n-1)3 さらには、Tdataより計算される例えば回転速度Nのよ
うな値に対してフィルタ処理を施し、燃焼状態パラメー
タを計算するようにしても良い。
【0036】 なお、一部前述したが、例えば回転速度が
急変し、フィルタが追随できないような場合には、燃焼
状態判定の一時中断等をする必要があり、この時、フィ
ルタの初期化も行う。また、図9で示した例で、例えば
第1気筒が連続して失火したり、第1と第4気筒が連続
して失火しているような場合には、失火による回転変動
成分の一部または全部が低域通過フィルタの出力yに吸
収されてしまう。このような場合には、失火の開始時に
Dfが急激に変化するので、その変化点で検出すると
か、あるいは、フィルタの出力yにもしきい値を設けそ
のしきい値を超えた場合に失火と判定する(特にこの方
法は、エンジンの負荷がある程度大きいときには有効で
ある。)等の方法がある。
【0037】以上述べた効果は、特に高速回転時で顕著
に表れるので、例えば回転速度に応じて低速回転時には
フィルタ処理を通さないようにしてソフトウエアの負荷
を低減するなどのことも可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、特に高速回転時の燃焼
状態の判定精度を向上できる。これにより、例えば回転
速度検出手段の精度が高くないため低速回転でしか判定
できなかった燃焼状態判定装置であっても、高速回転ま
での高精度の判定が可能となる。従って、運転者への警
告や例えば失火気筒への燃料供給の中止等を正確により
広い運転領域で実行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る燃焼状態検出装置の構
成図である。
【図2】図1に示す演算回路の構成図である。
【図3】信号のタイミングの例を示す図である。
【図4】回転速度および発生トルク変動の例を示す図で
ある。
【図5】失火発生時の回転速度および燃焼状態パラメー
タの変化の例を示す図である。
【図6】失火発生時の回転速度および燃焼状態パラメー
タの変化の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係る燃焼状態検出装置の機
能構成ブロック図である。
【図8】フィルタの説明図である。
【図9】フィルタ処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図10】本発明実施例の効果を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る燃焼状態検出装置
の機能構成ブロック図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…カム軸、3…フェイズセンサ、4…
リングギヤ、5…ポジションセンサ、6…レファレンス
センサ、7…クランク軸、8…演算回路、13…触媒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−22763(JP,A) 特開 平4−140455(JP,A) 特開 平6−207551(JP,A) 特開 平5−180064(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 45/00 F02P 17/00 G01M 15/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの燃焼行程に対応して、クラン
    ク軸の回転速度を計測するための区間たる所定のクラン
    ク角度の間を回転するのに要する所要時間を計測する所
    要時間計測手段と、この所要時間またはこの所要時間か
    ら計算される値におけるエンジン1回転毎又は数回転毎
    の同一の前記回転速度計測区間に対応する値に対して特
    徴成分を抽出するデジタルフィルタと、抽出された特徴
    成分に基づいて燃焼状態パラメータを求める燃焼状態計
    算手段と、この燃焼状態パラメータの値により燃焼状態
    を判定する判定手段とを備えることを特徴とするエンジ
    ンの燃焼状態検出装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの燃焼行程に対応して、クラン
    ク軸の回転速度を計測するための区間たる所定のクラン
    ク角度の間を回転するのに要する所要時間を計測する所
    要時間計測手段と、この所要時間に基づいて燃焼状態パ
    ラメータを求める燃焼状態計算手段と、この燃焼状態パ
    ラメータのエンジン1回転毎又は数回転毎の同一の前記
    回転速度計測区間に対応する値に対して特徴成分を抽出
    するデジタルフィルタと、抽出された特徴成分に基づい
    て燃焼状態を判定する判定手段とを備えることを特徴と
    するエンジンの燃焼状態検出装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの燃焼行程に対応して、クラン
    ク軸の回転速度を計測するための区間たる所定のクラン
    ク角度の間を回転するのに要する所要時間を計測し、こ
    の所要時間またはこの所要時間から計算される値におけ
    エンジン1回転毎又は数回転毎の同一の前記回転速度
    計測区間に対応する値に対して、デジタルフィルタを介
    して特徴成分を抽出し、抽出された特徴成分に基づいて
    燃焼状態パラメータを求め、この燃焼状態パラメータの
    値により燃焼状態を判定することを特徴とするエンジン
    の燃焼状態検出方法。
  4. 【請求項4】 エンジンの燃焼行程に対応して、クラン
    ク軸の回転速度を計測するための区間たる所定のクラン
    ク角度の間を回転するのに要する所要時間を計測し、こ
    の所要時間に基づいて燃焼状態パラメータを求め、この
    燃焼状態パラメータのエンジン1回転毎又は数回転毎
    同一の前記回転速度計測区間に対応する値に対して、デ
    ジタルフィルタを介して特徴成分を抽出し、抽出された
    特徴成分に基づいて燃焼状態を判定することを特徴とす
    るエンジンの燃焼状態検出方法。
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