JP2005307945A - 内燃機関の失火判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 精度良く失火を判定する。
【解決手段】 ECUは、クランクシャフトの回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも大きい場合(S114にてYES)、失火が発生したと仮判定するステップ(S116)と、失火が発生したと仮判定された気筒の次に点火される気筒の燃焼行程におけるクランクシャフトの回転変動ΔTNを算出するステップ(S118)と、回転変動ΔTNが、失火が発生していない場合の回転変動ΔTN(0)と予め定められた係数Kとの積よりも大きいか否かを判定するステップ(S122)と、回転変動ΔTNが、回転変動ΔTN(0)と係数Kとの積よりも大きい場合(S122にてYES)、失火が発生したと仮判定された気筒に実際に失火が発生したと判定するステップ(S124)とを含むプログラムを実行する。
【選択図】 図3
【解決手段】 ECUは、クランクシャフトの回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも大きい場合(S114にてYES)、失火が発生したと仮判定するステップ(S116)と、失火が発生したと仮判定された気筒の次に点火される気筒の燃焼行程におけるクランクシャフトの回転変動ΔTNを算出するステップ(S118)と、回転変動ΔTNが、失火が発生していない場合の回転変動ΔTN(0)と予め定められた係数Kとの積よりも大きいか否かを判定するステップ(S122)と、回転変動ΔTNが、回転変動ΔTN(0)と係数Kとの積よりも大きい場合(S122にてYES)、失火が発生したと仮判定された気筒に実際に失火が発生したと判定するステップ(S124)とを含むプログラムを実行する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内燃機関の失火判定装置に関し、特に、内燃機関の出力軸の回転変動に基づいて失火を判定する内燃機関の失火判定装置に関する。
従来より、クランクシャフトの回転変動に基づいて、エンジンの失火を判定する技術が知られている。
特開2001−182606号公報(特許文献1)は、第1のクランク角度から第2のクランク角度を通過するまでの時間に基づいてエンジンの失火を判定する、内燃機関の燃焼状態検出装置を開示する。特許文献1に記載の内燃機関の燃料状態検出装置は、各気筒ごとに、第1のクランク角度から第2のクランク角度を通過するまでの時間TDATAを計測し、現在点火サイクルにある気筒の通過時間TDATA(n)が、前回点火サイクルにある気筒の通過時間TDATA(n−1)よりも大きくなった場合に、失火を検出する。
この公報に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置によれば、エンジンの回転変動に基づいて、エンジンの失火を判定することができる。
特開平10−18899号公報(特許文献2)は、前回運転時に得ている学習値の継続使用を可能とし、失火判定精度が低下しないようにできるエンジンの失火診断装置を開示する。特許文献2に記載のエンジンの失火診断装置は、予め定められたクランク角度ごとに出力される信号をカウントすることによって燃焼行程に対応するクランク角度に要する時間を気筒別に計測する計測部と、この時間計測値の気筒ごとのバラツキを補正するための学習値を演算する演算部と、この学習値をエンジン停止後も記憶するバックアップメモリと、燃焼行程に対応するクランク角度に要する時間の計測区間が前回運転時と同じ位置(あるいは同じ位相)にあるかどうかを運転ごとに判定する判定手段と、この判定結果より計測区間が前回運転時と同じ位置にない場合に計測区間を前回運転時と同じ位置に戻す戻し手段と、計測区間を前回運転時と同じ位置に戻した後の時間計測値をバックアップメモリに記憶されている学習値で補正した値の変動状態から失火判定を行う失火判定部とを含む。
この公報に記載のエンジンの失火診断装置によると、計測区間を前回運転時と同じ位置に戻すので、前回運転時に得ている学習値を捨てて再学習を行なうことは必要でなく、前回運転時に得ている学習値をそのまま用いて失火判定を行なうことができることから、再学習に要する時間を必要とせず、燃焼行程に対応するクランク角度に要する時間に基づいて、速やかに精度よく失火判定を行なうことができる。
特開平7−217488号公報(特許文献3)は、奇数の気筒からなる内燃機関にあっても、そのクランク角度の誤差を有効に相殺することができ、内燃機関に発生した失火を精度よく検出することができる内燃機関の失火判定装置を開示する。特許文献3に記載の内燃機関の失火判定装置は、奇数の気筒からなる内燃機関に発生した失火を検出する。この失火検出装置は、内燃機関の回転に基づき同機関の所定の回転角度ごとに回転信号を出力する回転信号出力部と、この出力される回転信号に基づき、任意気筒の爆発行程において内燃機関が特定の第1の回転角度だけ回転するのに要した時間若しくは相当値を求める第1の計測部と、出力される回転信号に基づき、爆発行程が連続する次の気筒の爆発行程において同機関が第1の回転角度だけ回転するのに要した時間若しくは相当値を求める第2の計測部と、出力される回転信号に基づき、第1の計測部が計測対象とする回転角度に対して360度クランク角の位相差をもって内燃機関が特定の第2の回転角度だけ回転するのに要した時間若しくは相当値を求める第3の計測部と、出力される回転信号に基づき、第2の計測部が計測対象とする回転角度に対して360度クランク角の位相差をもって内燃機関が第2の回転角度だけ回転するのに要した時間若しくは相当値を求める第4の計測部と、第1及び第2の計測部による計測値の偏差を求める第1の偏差演算部と、第3及び第4の計測部による計測値の偏差を求める第2の偏差演算部と、これら第1及び第2の偏差演算部による演算結果に基づいて内燃機関の失火の有無を判定する失火判定部とを含む。
この公報に記載の内燃機関の失火検出装置によると、第1の計測部によって求められる値をT(x)とすれば、第2の計測部によって求められる値はT(x+1)となる。同様に、第3の計測部によって求められる値は、値T(x)から360゜CA(360度クランク角)の位相差をもつT(x+360゜CA)となり、第4の計測部によって求められる値は、値T(x+1)から360゜CAの位相差をもつT(x+360゜CA+1)となる。第1及び第2の偏差演算部を通じてT(x)−T(x+1)及びT(x+360゜CA)−T(x+360゜CA+1)といった偏差をとり、失火判定部において、例えば{T(x)−T(x+1)}−{T(x+360゜CA)−T(x+360゜CA+1)}といったような2階差分をとることにより、クランク角度の誤差を相殺することができる。そのため、失火判定部において例えば、2階差分によって抽出される値と失火判定値とを比較するようにすれば、内燃機関の失火の有無について、信頼性の高い正確な判定を行なうことができるようになる。
特開2001−182606号公報
特開平10−18899号公報
特開平7−217488号公報
一方、近年においては、たとえば車両の急加速時のショックを抑制したり、触媒の暖機を早期に完了させたりするために、点火プラグの点火時期を、予め定められたクランク角から遅角する遅角制御が行なわれているものもある。遅角制御が行なわれた場合、燃焼行程にある気筒には失火は発生していないが、クランクシャフトの回転速度が遅くなる。また、たとえば点火プラグに一時的にすすがつき、一過性の燻りが生じた場合、点火プラグの温度が上昇すれば解消するため問題はないが、点火プラグが燻っている間は適切な点火時期で点火が行なわれないため、クランクシャフトの回転速度が遅くなる。したがって、遅角制御が行なわれた場合および点火プラグに一過性の燻りが生じた場合に、クランクシャフトの挙動が、失火が発生した場合と類似した挙動を示す場合がある。しかしながら、上述のいずれの公報にも、遅角制御が行なわれた場合および点火プラグに一過性の燻りが生じた場合を考慮して失火を判定する技術に関する開示も示唆もない。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、遅角制御が行なわれた場合および点火プラグに一過性の燻りが生じた場合を区別して、精度良く失火を判定することができる内燃機関の失火判定装置を提供することである。
第1の発明に係る内燃機関の失火判定装置は、少なくとも第1の気筒および第2の気筒を含む複数の気筒を有する内燃機関の失火を判定する。第2の気筒は、第1の気筒の次に点火される。判定装置は、内燃機関の出力軸の回転変動を検出するための検出手段と、第1の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを仮判定するための仮判定手段と、仮判定手段により第1の気筒に失火が発生したと仮判定された場合、第2の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを判定するための判定手段とを含む。
第1の発明によると、検出手段が、内燃機関の出力軸の回転変動を検出し、仮判定手段が、第1の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを仮判定する。仮判定手段により第1の気筒に失火が発生したと仮判定された場合、判定手段が、第2の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを判定する。これにより、たとえば、第2の気筒の燃焼行程における回転変動が大きければ、第1の気筒に失火が実際に発生して、第1の気筒の燃焼行程における回転速度が遅くなったため、回転数を維持するために、第2の気筒の燃焼行程における回転速度が速められたと判別することができる。一方、第2の気筒の燃焼行程における回転変動が小さければ、内燃機関の点火時期が遅角されたために、第1の気筒および第2の気筒の燃焼行程における回転速度が遅くなったと判別することができる。この場合、第1の気筒に失火が判定したと誤判定することを抑制することができる。その結果、点火時期が遅角される内燃機関においても、精度よく失火を判定することができる内燃機関の失火判定装置を提供することができる。
第2の発明に係る内燃機関の失火判定装置は、第1の発明の構成に加え、内燃機関に失火が発生していない場合における複数の気筒のうちのいずれかの気筒の燃焼行程の回転変動を記憶するための記憶手段をさらに含む。判定手段は、第2の気筒の燃焼行程における回転変動と記憶手段により記憶された回転変動とに基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを判定するための手段を含む。
第2の発明によると、記憶手段が、内燃機関に失火が発生していない場合における複数の気筒のうちのいずれかの気筒の燃焼行程の回転変動を記憶し、判定手段が、第2の気筒の燃焼行程における回転変動と記憶手段により記憶された回転変動とに基づいて、第1の気筒に失火が発生したか否かを判定する。これにより、たとえば、失火が発生していない場合の回転変動と第2の気筒の燃焼行程における回転変動とを比較し、第2の気筒の燃焼行程における回転変動が、第1の気筒に失火が発生した場合のものであるか否かを判別することにより、第1の気筒に失火が発生したか否かを精度よく判定することができる。
第3の発明に係る内燃機関の失火判定装置においては、第2の発明の構成に加え、判定手段は、第2の気筒の燃焼行程における回転変動と記憶手段により記憶された回転変動との偏差が、予め定められた値よりも大きい場合、第1の気筒に失火が発生したと判定するための手段を含む。
第3の発明によると、判定手段が、第2の気筒の燃焼行程における回転変動と記憶手段により記憶された回転変動との偏差が、予め定められた値よりも大きい場合、第1の気筒に失火が発生したと判定する。これにより、失火が発生していない場合の回転変動と第2の気筒の燃焼行程における回転変動とを比較し、第2の気筒の燃焼行程における回転変動が、第1の気筒に失火が発生した場合のものであるか否かを判別することにより、第1の気筒に失火が発生したか否かを精度よく判定することができる。
第4の発明に係る内燃機関の失火判定装置においては、第1ないし3のいずれかの発明の構成に加え、回転変動は、内燃機関の出力軸が予め定められた角度だけ回転するのに必要な時間の偏差である。
第4の発明によると、内燃機関の出力軸が予め定められた角度だけ回転するのに必要な時間の偏差を計測することにより、回転変動が検出される。これにより、たとえば予め定められた角度ごとに凸部が設けられたタイミングロータと、クランクポジションセンサとを用いて、精度よく回転変動を検出することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る内燃機関の失火判定装置を搭載した車両について説明する。この車両は、エンジン100と、ECU(Electronic Control Unit)200とを含む。
エンジン100は、直列4気筒型のエンジンである。なお、エンジン100は、4気筒以外のエンジンであっても構わない。また、エンジン100は、V型エンジンや、ロータリーエンジンであっても構わない。
エンジン100は、エアフィルタ102と、吸気管104と、スロットルバルブ106と、インテークマニホールド108と、エギゾーストマニホールド110と、排気管112と、触媒114とを含む。
エアフィルタ102は、エンジン100に吸入される空気をろ過する。エアフィルタ102でろ過された空気は、吸気管104を通過する。スロットルバルブ106は、アクセルペダル(図示せず)の踏込み量に応じて、エンジン100に吸入される空気の量を調整する。エンジン100に吸入される空気は、インテークマニホールド108を介して、第1気筒121、第2気筒122、第3気筒123および第4気筒124の燃焼室にそれぞれ導入される。
燃焼室に導入された空気は、インジェクタから噴射された燃料と共に点火プラグ126により点火され、燃焼させられる。本実施の形態においては、第1気筒121、第3気筒123、第4気筒124、第2気筒122の順番で点火される。なお、点火される順番は、これに限らない。燃焼により発生した排気は、エギゾーストマニホールド110および排気管112を介して、触媒114に導かれ、触媒114により浄化された後、車外に排出される。なお、燃料は、気筒外で噴射してもよく、気筒内で噴射してもよい。
エンジン100のクランクシャフト128には、クランクシャフト128と共に回転するタイミングロータ130が設けられている。タイミングロータ130には、2歯欠歯した34の突起が10°間隔で設けられている。
タイミングロータ130の突起と対向するように、クランクポジションセンサ132が設けられている。クランクポジションセンサ132は、電磁ピックアップセンサである。クランクシャフト128が回転することにより、タイミングロータ130の突起と、クランクポジションセンサ132とのエアギャップが変化するため、クランプポジションセンサ132のコイル部を通過する磁束が増減し、コイル部に起電力が発生する。クランクポジションセンサ132は、起電力を表す信号を、ECU200に送信する。
ECU200は、CPU(Central Processing Unit)202と、メモリ204と、回転数カウンタ206と、失火カウンタ208とを含む。CPU202は、車両に搭載されたセンサなどから送られてきた信号、メモリ204に記憶されたプログラムおよびマップに基づいて演算処理を行なう。これにより、ECU200は、エンジン100を制御する。
本実施の形態において、ECU200は、エンジン100に失火が発生した場合は、失火により遅くなったクランクシャフト128の回転速度を戻すために、スロットルバルブ106の開度および燃料噴射量などを制御し、失火が発生した気筒の後に点火される気筒の燃焼行程において、クランクシャフト128の回転速度を速くする。
また、本実施の形態において、ECU200は、触媒114を暖機する場合および車両の急加速を抑制する場合などに、点火プラグ126の点火時期を、予め定められたクランク角よりも遅角させる遅角制御を行なう。
回転数カウンタ206は、クランクポジションセンサ132から送られた信号に基づき、クランクシャフト128が回転した回数をカウントする。カウントされた回数はメモリ204に記憶される。失火カウンタ206は、エンジン100で失火が発生した回数をカウントする。カウントされた回数は、メモリ204に記憶される。
ECU200は、クランクポジションセンサ132から送られた信号に基づき、燃焼行程にある気筒を判別する。燃焼行程にある気筒を判別する技術については、周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではさらなる詳細な説明は繰返さない。
ECU200は、クランクポジションセンサ132から送られた信号に基づき、エンジン100に失火が発生したか否かを判定する。失火を判定する方法については、後で詳述する。エンジン100の失火異常とみなせる回数の失火が発生した場合、インストルメントパネル(図示せず)に設けられたコンビネーションメータ(図示せず)内の警告ランプ220が点灯させられる。
図2に示すように、ECU200は、クランクポジションセンサ210から送信された信号に基づいて、各気筒の燃焼行程において、クランクシャフト128が30°だけ回転するために必要な時間を、各気筒の燃焼行程ごとに計測する。
ここで、クランクシャフト128が上死点からクランク角30°まで回転するために必要な時間をT(1)と表す。クランクシャフト128がクランク角30°から60°まで回転するために必要な時間をT(2)と表す。クランクシャフト128がクランク角60°から90°まで回転するために必要な時間をT(3)と表す。クランクシャフト128がクランク角90°から120°まで回転するために必要な時間をT(4)と表す。クランクシャフト128がクランク角120°から150°まで回転するために必要な時間をT(5)と表す。クランクシャフト128がクランク角150°から180°まで回転するために必要な時間をT(6)と表す。
このようにして計測された時間T(1)からT(6)に基づいて、ECU200は、角気筒の燃焼行程におけるクランクシャフト128の回転変動を算出する。クランクシャフト128の回転変動は、クランクシャフト128が30°だけ回転するために必要な時間の偏差(回転角速度の偏差)である。
本実施の形態において、ECU200は、時間T(1)と、時間T(4)との偏差である第1回転変動ΔT(ΔT=T(4)−T(1))および時間T(1)と、時間T(2)との偏差である第2回転変動ΔTN(ΔTN=T(1)−T(2))を算出する。ECU200は、第1回転変動ΔTおよび第2回転変動ΔTNに基づいて、エンジン100に失火が発生したか否かを判定する。
なお、時間T(1)、時間T(2)および時間T(4)以外の時間Tを用いて、回転変動を算出するように構成してもよい。また、回転変動を、クランクシャフト128が予め定められたクランク角だけ回転するために必要な時間の2階差分により算出してもよい。たとえば、クランク角で360°位相が異なる燃焼行程(対向気筒の燃焼行程)において、クランクシャフト128が上死点からクランク角30°まで回転するために必要な時間をT(7)と表し、クランクシャフト128がクランク角90°から120°まで回転するために必要な時間をT(10)と表した場合、第1回転変動ΔTを、ΔT=(T(4)−T(1))−(T(10)−T(7))として算出してもよい。
図3を参照して、本実施の形態に係る内燃機関の失火判定装置におけるECU200が実行するプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下ステップをSと略す)100にて、ECU200は、クランクシャフト128が回転した回数(クランクシャフト128の総回転数)のインクリメントを開始する。
S102にて、ECU200は、クランクシャフト128がクランク角30°回転するために必要な時間T(1)、時間T(2)、時間T(3)、時間T(4)、時間T(5)、時間T(6)の検出を開始する。検出された時間は、順次メモリ204に記憶される。
S104にて、ECU200は、点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTを算出する。S106にて、ECU200は、第1回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも小さいか否かを判定する。なお、失火判定値を、たとえば前回点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTに基づいて定めてもよい。また、第1回転変動ΔTが失火判定値よりも小さいか否かを判定する代わりに、現在燃焼行程にある気筒の第1回転変動ΔTと、位相がクランク角で360°異なる対向気筒の第1回転変動ΔTとの偏差(時間Tの2階差分)が、予め定められた失火判定値よりも小さいか否かを判定するように構成してもよい。
第1回転変動ΔTが失火判定値よりも小さい場合(S106にてYES)、処理はS108に移される。そうでない場合(S106にてNO)、処理はS134に移される。S108にて、ECU200は、今回点火された気筒では、失火が発生していないと判定する。
S110にて、ECU200は、失火が発生していないと判定された気筒の燃焼行程における第2回転変動ΔTN(0)を算出する。算出された第2回転変動ΔTN(0)は、ECU200のメモリ204に記憶される。算出された第2回転変動ΔTN(0)は、後述するS122において、失火が発生したか否かを判定するための基準値として用いられる。
S112にて、ECU200は、点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTを算出する。S114にて、ECU200は、第1回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも大きいか否かを判定する。なお、失火判定値を、たとえば前回点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTに基づいて定めてもよい。また、第1回転変動ΔTが失火判定値よりも大きいか否かを判定する代わり、現在燃焼行程にある気筒の第1回転変動ΔTと、位相がクランク角で360°異なる対向気筒の第1回転変動ΔTとの偏差(時間Tの2階差分)が、予め定められた失火判定値よりも大きいか否かを判定するように構成してもよい。第1回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも大きい場合(S114にてYES)、処理はS116に移される。そうでない場合(S114にてNO)、処理はS120に移される。
S116にて、ECU200は、今回点火された気筒において失火が発生したと仮判定する。S118にて、ECU200は、失火が発生したと仮判定された気筒の次に点火される気筒の燃焼行程における第2回転変動ΔTNを算出する。S120にて、ECU200は、失火が発生していないと判定された気筒の燃焼行程における第2回転変動ΔTN(0)を算出する。算出された第2回転変動ΔTN(0)はECU200のメモリ204に記憶される。これにより、メモリ204に記憶されていた第2回転変動ΔTN(0)が更新される。
S122にて、ECU200は、第2回転変動ΔTNが、メモリ204に記憶された第2回転変動ΔTN(0)と予め定められた係数Kとの積よりも大きいか否かを判定する。すなわち、第2回転変動ΔTNと第2回転変動ΔTN(0)との偏差が、予め定められた値よりも大きいか否かを判定する。係数Kは、たとえば2に設定される。第2回転変動ΔTNが、メモリ204に記憶された第2回転変動ΔTN(0)と係数Kとの積よりも大きい場合(S122にてYES)、処理はS124に移される。そうでない場合(S122にてNO)、処理はS128に移される。
S124にて、ECU200は、実際に失火が発生したと判定する。S126にて、ECU200は、失火の発生回数をインクリメントする。S128にて、ECU200は、クランクシャフト128が回転した回数が予め定められた基準値を超えたか否かを判定する。クランクシャフト128が回転した回数が基準値を超えた場合(S128にてYES)、処理はS130に移される。そうでない場合(S128にてNO)、処理はS112に移される。
S130にて、ECU200は、失火の発生回数が予め定められた異常回数を超えたか否かを判定する。失火の発生回数が異常回数を超えた場合(S130にてYES)、処理はS132に移される。そうでない場合(S130にてNO)、処理はS134に移される。
S132にて、ECU200は、エンジン100に失火異常が発生していると判定する。失火異常が発生したと判定されると、警告ランプ220が点灯させられる。S134にて、ECU200は、クランクシャフト128が回転した回数および失火の発生回数をリセットする。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る内燃機関の失火判定装置におけるECUの動作について説明する。
エンジン100が始動させられると、クランクシャフト128が回転した回数のインクリメントが開始され(S100)、クランクシャフト128がクランク角30°回転するために必要な時間Tの計測が開始される(S102)。
計測された時間T(1)および時間T(4)に基づいて、点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTが算出され(S104)、第1回転変動ΔTが予め定められた失火判定値よりも小さいか否かが判定される(S106)。
第1回転変動ΔTが失火判定値よりも小さければ(S106にてYES)、今回点火された気筒では、失火が発生していないと判定され(S108)、失火が発生していないと判定された気筒の燃焼行程における第2回転変動ΔTN(0)が算出される(S110)。これにより、S112以降の処理において実行される失火判定の準備が完了する。
第1回転変動ΔTが失火判定値よりも大きければ(S106にてNO)、回転数カウンタ206がカウントしたクランクシャフト128が回転した回数および失火カウンタ208がカウントした失火の発生回数がリセットされ(S134)、失火が発生していないと判定されるまで、S100ないしS106の処理が繰返される。
失火が発生していない場合における第2回転変動ΔTN(0)が算出されると(S114)、今回点火された気筒の燃焼行程における第1回転変動ΔTが算出される(S112)。ここでは、第1気筒121が点火された場合を想定する。
図4において破線で示すように、第1気筒121に実際に失火が発生していれば、クランクシャフト128の回転速度が遅くなるために、第1気筒121の燃焼行程における第1回転変動ΔTが、失火判定値よりも大きくなり(S114にてYES)、第1気筒121において失火が発生したと仮判定され(S116)、第1気筒121の次に点火される第3気筒123の燃焼行程における第2回転変動ΔTNが算出される(S118)。
失火が発生した場合は、遅くなったクランクシャフト128の回転速度を戻すために、第3気筒123の燃焼行程において、クランクシャフト128の回転速度が速められる。したがって、算出された第2回転変動ΔTNが、メモリ204に記憶された第2回転変動ΔTN(0)と係数Kとの積よりも大きくなるため(S122にてYES)、第1気筒121に失火が発生したと判定され(S124)、失火の発生回数がインクリメントされる(S126)。
一方、点火時期の遅角制御が行なわれていれば、クランクシャフト128の回転速度が連続的に遅くされているため、第1気筒121の燃焼行程における第1回転変動ΔTが、失火判定値よりも大きい(S114にてYES)にも関わらず、第3気筒123の燃焼行程における第2回転変動ΔTNが、メモリ204に記憶された第2回転変動ΔTN(0)と係数Kとの積よりも小さくなる(S122にてYES)。したがって、第1気筒121に失火は発生していないと判定される。
図4において実線で示すように、第1気筒121に失火が発生しておらず、遅角制御も行なわれていなければ、クランクシャフト128の回転速度は、各気筒において類似した傾向を示す。この場合、第1気筒121の燃焼行程における第1回転変動ΔTが、失火判定値よりも小さくなるため(S114にてNO)、第1気筒121に失火は発生していないと判定される。したがって、第1気筒121の燃焼行程における第2回転変動ΔTN(0)が算出され(S120)、メモリ206に記憶された第2回転変動ΔTN(0)が更新される。
S112ないしS126の処理は、クランクシャフト128が回転した回数が基準値を下回る限り(S128にてNO)、繰返される。クランクシャフト128が回転した回数が基準値を超えると(S128にてYES)、失火の発生回数が異常回数を超えたか否かが判定される(S130)。失火の発生回数が異常回数を超えた場合(S130にてYES)、エンジン100に失火異常が発生していると判定され(S132)、警告ランプ220が点灯させられる。
失火の発生回数が異常回数内であれば(S132にてNO)、失火の発生回数が許容範囲内であると判定される。失火以上の有無の判定が終了すると、クランクシャフト128が回転した回数および失火の発生回数がリセットされる(S134)。
以上のように、本実施の形態に係る内燃機関の失火判定装置において、ECUは、燃焼行程におけるクランクシャフトの回転変動が、失火判定値よりも大きい場合、点火された気筒に失火が発生したと仮判定する。失火が発生したと仮判定された気筒の次に点火される気筒の回転変動が、失火が発生していない場合における回転変動と係数Kとの積よりも大きい場合、失火により遅くなったクランクシャフトの回転速度を戻す制御が行なわれており、実際に失火が発生したと判定する。これにより、実際の失火によるクランクシャフトの挙動と、点火時期の遅角制御や点火プラグの一過性の燻りによるクランクシャフトの挙動とを区別して、失火を判定することができる。その結果、制度よく失火を判定することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、121,122,123,124 気筒、128 クランクシャフト、130 タイミングロータ、132 クランクポジションセンサ、200 ECU、202 CPU、204 メモリ、206 回転数カウンタ、208 失火カウンタ。
Claims (4)
- 少なくとも第1の気筒および第2の気筒を含む複数の気筒を有する内燃機関の失火判定装置であって、前記第2の気筒は、前記第1の気筒の次に点火され、
前記内燃機関の出力軸の回転変動を検出するための検出手段と、
前記第1の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、前記第1の気筒に失火が発生したか否かを仮判定するための仮判定手段と、
前記仮判定手段により前記第1の気筒に失火が発生したと仮判定された場合、前記第2の気筒の燃焼行程における回転変動に基づいて、前記第1の気筒に失火が発生したか否かを判定するための判定手段とを含む、内燃機関の失火判定装置。 - 前記失火判定装置は、内燃機関に失火が発生していない場合における前記複数の気筒のうちのいずれかの気筒の燃焼行程の回転変動を記憶するための記憶手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記第2の気筒の燃焼行程における回転変動と前記記憶手段により記憶された回転変動とに基づいて、前記第1の気筒に失火が発生したか否かを判定するための手段を含む、請求項1に記載の内燃機関の失火判定装置。 - 前記判定手段は、前記第2の気筒の燃焼行程における回転変動と前記記憶手段により記憶された回転変動との偏差が、予め定められた値よりも大きい場合、前記第1の気筒に失火が発生したと判定するための手段を含む、請求項2に記載の内燃機関の失火判定装置。
- 前記回転変動は、前記内燃機関の出力軸が予め定められた角度だけ回転するのに必要な時間の偏差である、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の失火判定装置。
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- 2004-04-26 JP JP2004129895A patent/JP2005307945A/ja not_active Withdrawn
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