JPH07133343A - 共重合ポリエステルおよびポリエステルフィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含
み、数平均分子量が２０００以上で、かつ分子量１００
０以下の成分量が１０重量％以下の共重合ポリエステル
および該共重合ポリエステルが積層されてなるポリエス
テルフィルム。 【効果】水溶性、耐溶剤性を向上させ、かつ接着性、耐
ブロッキング性、走行帯電防止性に優れ、磁気記録材
料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業
材料等に使用されるフィルムのコーティング剤およびフ
ィルム、特にはオーディオ、ビデオ、フロッピーディス
ク等の磁気記録材料に使用されるフィルムのコーティン
グ剤およびフィルムに好ましく用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は共重合ポリエステルおよ
びポリエステルフィルムに関するものである。詳しくは
走行帯電防止性、水溶性、接着性、耐ブロッキング性、
耐溶剤性などに優れ、磁気記録材料、各種写真材料、包
装材料、電気絶縁材料、一般工業材料等に使用されるフ
ィルムのコーティング剤に好適な水溶性共重合ポリエス
テルおよびポリエステルフィルムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートあるいはポリ−１．４−シクロヘキサンジ
メチレンテレフタレート及びこれらを主体とするポリエ
ステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊
維、フィルムあるいはシートさらにはその成形品として
広く使用されている。特に、ポリエステルフィルムは耐
熱性、耐薬品性、機械的特性において優れた性質を有す
るために、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電
気絶縁材料、一般工業材料等多くの用途に用いられてい
る。

【０００３】これらの用途においてはポリエステルフィ
ルム単体で使用されることはなく、フィルム表面に種々
の被覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジ
アゾ感光塗料、ゼラチン組成物、ヒートシール付与組成
物、インキなどを塗布あるいは印刷して使用される。こ
のため、各種の用途に使用するポリエステルフィルムに
は、次のような特性が求められている。

【０００４】（１）フィルム表面に塗布、印刷等される
種々の被覆物に対して、接着力が大きいこと。 （２）さらに、ベースフィルム間でブロッキング現象を
生じると、作業性が低下するため、ブロッキング現象が
生じないこと（耐ブロッキング性）。 （３）製品製造工程の各種ロールを通過する際に、ロー
ルとフィルム間またはフィルム同志の摩擦によって帯電
現象を生じないこと（走行帯電防止性）。 （４）フィルム表面に塗布、印刷等される種々の被覆物
中の各種溶剤に対して、抵抗力があること。

【０００５】特に、磁気テープやフロッピーディスク等
の磁気記録材料に用いられるフィルムには、磁気記録の
高信頼性、高密度化のために平坦性、平滑性が求められ
いるとともに、上述した要求が強い。

【０００６】しかしながら、ポリエステルフィルムの接
着性はポリエステル自体が不活性で接着性に乏しいた
め、フィルム表面に種々の被覆物、例えば磁性体塗料、
ケミカルマット塗料、ジアゾ感光塗料、ゼラチン組成
物、ヒートシール付与組成物、インキなどを塗布あるい
は印刷する際には、該被覆物との接着性を良好とするた
めにフィルム表面にコロナ放電あるいはプラズマ等の物
理的な処理やアルカリあるいはアミン類の化学薬品を使
用した化学的な処理をする方法、さらには、易接着性物
質をコーティングする方法などが採用されている。しか
し、物理的あるいは化学的な表面処理方法は工程が煩雑
となり、コストアップになるばかりでなく、十分な接着
性が得られない。

【０００７】一方、易接着性物質をコーティングする方
法はポリエステルフィルムの製造工程内で実施でき、コ
スト面で有利であり、かつ、種々の被覆物に対応できる
接着性物質を選択することが可能である。さらに、ポリ
エステルフィルムの取扱い性、フィルム製造時の作業性
の点から、種々の水分散あるいは水溶性共重合ポリエス
テルおよびフィルムが提案されてきた。例えば、特公昭
４７−４０８７３号公報、特開昭５０−１２１３３６号
公報および特開昭５０−１３４０８６号公報にはエステ
ル形成性スルホン酸金属塩化合物およびポリエチレング
リコールを共重合したポリエステルならびにそれらのポ
リエステルを積層したフィルム、特開昭６３−６６２３
９号公報にはエステル形成性スルホン酸金属塩化合物お
よびポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエ
ステル、特開昭５０−８３４９７号公報、特開昭５３−
２５３６号公報、特開昭５４−３８４８号公報にはエス
テル形成性スルホン酸金属塩化合物、脂肪族ジカルボン
酸成分およびジエチレングリコールを共重合したポリエ
ステル、特開昭５９−２１５３１８号公報にはエステル
形成性スルホン酸金属塩化合物および脂肪族ジカルボン
酸成分を共重合したポリエステルを下塗りしたフィルム
などがある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術においては次のような問題がある。すなわ
ち、特公昭４７−４０８７３号公報のようにエステル形
成性スルホン酸金属塩化合物および低分子量のポリエチ
レングリコールを多量に共重合した場合には水溶性およ
び接着性は発現するものの耐ブロッキング性、耐溶剤性
に劣り、かつ走行帯電防止性能が十分でない。特開昭５
０−１２１３３６号公報、特開昭５０−１３４０８６号
公報および特開昭６３−６６２３９号公報のようにエス
テル形成性スルホン酸金属塩化合物およびポリアルキレ
ングリコール成分を多量に共重合した場合には水溶性、
耐ブロッキング性、耐溶剤性に劣り好ましくない。さら
に特開昭５０−８３４９７号公報、特開昭５３−２５３
６号公報、特開昭５４−３８４８号公報および特開昭５
９−２１５３１８号公報のようにエステル形成性スルホ
ン酸金属塩化合物および脂肪族ジカルボン酸成分、さら
にはジエチレングリコールを共重合した場合には接着性
は発現するものの、耐ブロッキング性に劣り、走行帯電
防止性が得られないなどの欠点がある。

【０００９】本発明はこれらの欠点を解消せしめるため
鋭意検討した結果、スルホン酸アルカリ金属塩基を有す
る残基を含み、かつ特定の分子量分布の共重合ポリエス
テルとすることで、水溶性、耐溶剤性を向上させ、かつ
接着性、耐ブロッキング性、走行帯電防止性をも兼備さ
せることが可能であることを見出したのである。本発明
は、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁
材料、一般工業材料等に使用されるフィルムのコーティ
ング剤に好適な共重合ポリエステルおよびポリエステル
フィルムを提供することにある。特に、磁気記録材料な
どに使用されるフィルムのコーティング剤に好適な水溶
性共重合ポリエステルおよびポリエステルフィルムを提
供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含み、
数平均分子量が２０００以上で、かつ分子量１０００以
下の成分量が１０重量％以下の共重合ポリエステルおよ
びポリエステルフィルムによって達成できる。

【００１１】本発明におけるポリエステルとは芳香族ジ
カルボン酸または脂環族ジカルボン酸とグリコールを主
たる構成成分とするポリエステルであり、芳香族ジカル
ボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等を挙げ
ることができ、また脂環族ジカルボン酸成分としては、
例えば１，２−シクロヘキサンジカルボン酸、１，３−
シクロヘキサンジカルボン酸、１，４−シクロヘキサン
ジカルボン酸等を挙げることができる。これらの酸成分
は一種のみ用いてもよく、二種以上併用してもよい。ま
た、グリコール成分としては、炭素数２〜８の脂肪族グ
リコールおよび炭素数６〜１６の脂環族グリコールを使
用したポリエステルが好ましく、炭素数２〜８の脂肪族
グリコールおよび炭素数６〜１６の脂環族グリコールと
しては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、１，２−プロパンジオール、１，３−プロパンジ
オール、ネオペンチルグリコール、１，３−ブタンジオ
ール、１，４−ブタンジオール、１，５−ペンタンジオ
ール、１，６−ヘキサンジオール、１，２−シクロヘキ
サンジメタノール、１，３−シクロヘキサンジメタノー
ル、１，４−シクロヘキサンジメタノール等のグリコー
ルを挙げることができる。これらのグリコール成分は一
種のみ用いてもよく、二種以上併用してもよい。なお、
グリコール成分は、ポリエステルの製造の際に副生する
グリコールも含むものである。

【００１２】これらの成分からなるポリエステルとして
は例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等および／またはこれらの共重合ポリ
エステルを挙げることができ、なかでもポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび／また
はこれらの共重合ポリエステルが好ましい。

【００１３】本発明の共重合ポリエステルはスルホン酸
アルカリ金属塩基を有する残基を含んでいる必要があ
り、スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を構成す
る成分としては、エステル形成性スルホン酸アルカリ金
属塩化合物、例えばスルホテレフタル酸、５−スルホイ
ソフタル酸、２−スルホイソフタル酸、４−スルホイソ
フタル酸、４−スルホナフタレン−２，６−ジカルボン
酸等のアルカリ金属塩を挙げることができ、なかでも５
−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸のリチウ
ム、ナトリウム、カリウム塩がより好ましく用いられ
る。

【００１４】スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基
を構成する成分は、水溶性、接着性の点から、共重合ポ
リエステルを構成する全酸成分に対して、１〜５０モル
％とすることが好ましく、さらには５〜４０モル％、特
には１０〜２０モル％が好ましい。スルホン酸アルカリ
金属塩基を有する残基を構成する成分量が共重合ポリエ
ステルを構成する全酸成分に対して、上記の範囲内であ
ると、十分な水溶性および接着性が得られるとともに、
走行帯電防止性、耐ブロッキング性、耐溶剤性が良好と
なる。

【００１５】本発明の共重合ポリエステルには上述のジ
カルボン酸成分およびグリコール成分以外に、本発明の
効果を損なわない範囲で脂肪族ジカルボン酸、オキシ酸
あるいは単官能化合物、三官能以上の多官能化合物等の
他の成分を含んでいてもよい。

【００１６】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含む共重合ポリエステルは数平均分子量が２
０００以上で、かつ分子量１０００以下の成分量を１０
重量％以下とする必要があり、好ましくは数平均分子量
が２５００以上で、かつ分子量１０００以下の成分量を
８重量％以下、分子量５００以下の成分量が６重量％以
下、さらに好ましくは数平均分子量が３０００以上で、
かつ分子量１０００以下の成分量を５重量％以下、分子
量５００以下の成分量が４重量％以下、特に好ましくは
数平均分子量が３５００以上で、かつ分子量１０００以
下の成分量を４重量％以下、分子量５００以下の成分量
が３重量％以下である。スルホン酸アルカリ金属塩基を
有する残基を含む共重合ポリエステルの数平均分子量が
２０００未満であったり、分子量１０００以下の成分量
が１０重量％を越えると水溶性に劣ったり、または耐溶
剤性が低下する場合がある。特に分子量１０００以下の
成分量が１０重量％を越えると、スルホン酸アルカリ金
属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステル層を設け
たポリエステルフィルムに種々の被覆物、例えば磁性体
塗料、ケミカルマット塗料、ジアゾ感光塗料、ゼラチン
組成物、ヒートシール付与組成物、インキなどを塗布あ
るいは印刷した場合、塗布、印刷等される種々の被覆物
中の溶剤に溶解したり、被覆物中の物質と反応したりし
て被覆物の表面に異物が析出したりする。この異物によ
り商品価値が著しく低下する。特に磁性体塗料を使用し
た磁気テープやフロッピーディスク等の磁気記録材料で
は磁気記録の高信頼性が得られなくなるなどの欠点とな
る。このため、スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残
基を含む共重合ポリエステルの数平均分子量は出来るだ
け大きいことが好ましく、かつ分子量１０００以下の成
分量は出来るだけ少ないことが好ましい。

【００１７】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含む共重合ポリエステルは走行帯電防止性、
耐溶剤性の点からポリオキシアルキレングリコール成分
が含有されていることが好ましく、スルホン酸アルカリ
金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステル中のポ
リオキシアルキレングリコール成分含有量は、特に限定
されるものではないが、全共重合ポリエステルに対して
５０重量％未満が好ましく、さらには２０重量％未満が
好ましく、特には１８重量％以下が好ましい。ポリオキ
シアルキレングリコール成分含有量が５０重量％以上で
あると、水溶性、耐ブロッキング性、走行帯電防止性、
耐溶剤性に劣る場合がある。

【００１８】本発明のポリオキシアルキレングリコール
成分の種類は特に限定されることはないが、水溶性、帯
電防止性、耐溶剤性を兼備させる点からポリオキシアル
キレングリコール成分の数平均分子量は４００〜１００
００が好ましく、さらには数平均分子量５００〜６００
０が好ましく、特には数平均分子量６００〜４０００が
好ましい。このようなポリオキシアルキレングリコール
成分としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等
を挙げることができる。なかでも水溶性、帯電防止性、
耐溶剤性の点からポリエチレングリコールが好ましい。

【００１９】本発明のポリオキシアルキレングリコール
成分を共重合ポリエステルに含有させる方法は特に限定
されるものではなく、例えばポリオキシアルキレングリ
コール成分を共重合ポリエステルの製造工程の任意の段
階で添加する方法、あるいは共重合ポリエステルとポリ
オキシアルキレングリコール成分とを押出し機等を用い
て溶融混練する方法等を挙げることができる。この際ポ
リオキシアルキレングリコール成分は粉体、溶融あるい
は溶液状態等任意の方法で添加することができる。な
お、本発明におけるポリオキシアルキレングリコール成
分は、ポリエステルの製造の際に副生するポリオキシア
ルキレングリコールを含むものである。

【００２０】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含む共重合ポリエステルの製造は、従来公知
の任意の方法を採用することができ、特に限定されるも
のではない。例えば酸成分としてテレフタル酸、５−ナ
トリウムスルホイソフタル酸およびグリコール成分とし
てエチレングリコールおよびポリオキシアルキレングリ
コール成分としてポリエチレングリコールとからなる共
重合ポリエステルについて説明すると、テレフタル酸、
５−ナトリウムスルホイソフタル酸およびエチレングリ
コールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸
のアルキルエステル、５−ナトリウムスルホイソフタル
酸のアルキルエステルおよびエチレングリコールとをエ
ステル交換反応させる第１段階と、この第１段階の反応
生成物を重縮合反応させる第２段階とによって製造する
方法等を挙げることができ、この際、ポリオキシアルキ
レングリコール成分は、共重合ポリエステルの製造工程
の任意の段階で添加することで本発明のスルホン酸アル
カリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステルを
製造することができる。この際、反応触媒として、従来
公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コ
バルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合
物等が用いられ、さらに着色防止剤としてリン化合物等
を用いてもよい。

【００２１】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含む共重合ポリエステルの数平均分子量２０
００以上で、かつ分子量１０００以下の成分量を１０重
量％以下とするための方法は、上述した共重合ポリエス
テルの製造方法例のうち、酸成分とグリコール成分をエ
ステル交換反応させる第１段階と、この第１段階の反応
生成物を重縮合反応させる第２段階とによって製造する
方法を採用し、かつポリオキシアルキレングリコール成
分の添加をエステル交換反応終了後の第１段階から重縮
合反応開始前の第２段階で行なうが好ましい。

【００２２】また、この際に共重合ポリエステルの製造
工程の任意の段階で、アルカリ金属化合物を全共重合ポ
リエステル中のアルカリ金属含有量が１〜５００モル／
全共重合ポリエステル１０⁶ ｇとなるように添加するこ
とが好ましい。さらに好ましくは全共重合ポリエステル
中のアルカリ金属含有量が５〜１００モル／全共重合ポ
リエステル１０⁶ ｇである。ここでいうアルカリ金属化
合物としては、塩化リチウム、水素化リチウム、脂肪族
カルボン酸のリチウム塩、芳香族カルボン酸のリチウム
塩、炭酸リチウム等のリチウム化合物、およびナトリウ
ム化合物、カリウム化合物等を挙げることができる。ア
ルカリ金属含有量が１モル／全共重合ポリエステル１０
⁶ ｇ未満であると本発明の共重合ポリエステルの製造反
応工程において、ジエチレングリコール等を生成した
り、重縮合反応を阻害するするような副反応が生じるた
めか、得られる共重合ポリエステルの分子量１０００以
下の成分量が大きくなる場合がある。アルカリ金属含有
量が５００モル／全共重合ポリエステル１０⁶ ｇを越え
ると共重合ポリエステル中に異物が生成する欠点を生ず
ることがある。さらに、共重合ポリエステルの製造工程
の重縮合反応させる第２段階においては、ポリエチレン
テレフタレート等の通常のポリエステルを製造する際
の、反応条件を採用することができるが、反応条件の中
で、重縮合反応温度は２７５℃以下が好ましく、さらに
は２７０℃以下が好ましい。重縮合反応温度を低下させ
ることにより、副反応を抑制できるためか、本発明のス
ルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポ
リエステルの分子量１０００以下の成分量を小さくでき
る。

【００２３】本発明の共重合ポリエステルには必要に応
じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、
脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるいはポリ
シロキサンなどの消泡剤を配合してもよく、さらには滑
り性などを付与する目的でクレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シリ
カ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸類、
スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合しても
よい。

【００２４】本発明のポリエステルフィルムとは、スル
ホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む本発明の共
重合ポリエステルからなる層とポリエステル層とから構
成されるものである。このようなポリエステル層とは、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレートあるいはポリ−
１．４−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート及び
これらを主体とする芳香族ポリエステル等、およびそれ
らの共重合ポリエステル等を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。その製造方法は特に限
定されるものではなく、従来公知の任意の方法を採用す
ることができる。また、その際ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレートあるいはポリ−１．４−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート及びこれらを主体とする芳香族ポリ
エステル等のポリエステル層は二層以上の積層フィルム
であってもよく、その積層構成は特に限定されるもので
はない。さらに、この芳香族ポリエステル等のポリエス
テル層には平均粒子径が０．００１〜１０μｍの無機粒
子、有機粒子等からなる滑剤が含有されていてもよい。

【００２５】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含む共重合ポリエステルからなる層とポリエ
ステル層としてポリエチレンテレフタレートを使用した
場合のポリエステルフィルムの具体的な製造方法を説明
すると、まずポリエチレンテレフタレートを乾燥後、溶
融押出しして、未延伸シートとし、続いて、熱処理し、
フィルムにする。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二
軸同時延伸のいずれでもよく、延伸倍率は特に限定され
るものではないが通常は縦、横それぞれ２．０〜５．０
倍が適当である。また、二軸延伸後、さらに縦、横方向
のいずれかに再延伸してもよい。この際、本発明のスル
ホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリ
エステルの水溶液をフィルム面に塗布することによって
本発明のポリエステルフィルムが得られる。スルホン酸
アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステ
ルの水溶液は任意の方法によって製造することができ
る。例えば、共重合ポリエステルを４０℃以上、好まし
くは６０℃以上の水に溶解することで製造でき、水溶液
中の共重合ポリエステルの濃度は特に限定されるもので
はないが０．１〜５０重量％が好ましく、さらには０．
５〜３０重量％、特には１．０〜１０重量％が好まし
い。この水溶液とは物理的、化学的な意味で厳密性を有
するものではなく、水に大部分が溶解し、一部が微分散
しているようなものも含むものである。また、スルホン
酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエス
テルの水溶化時あるいは水溶液には、高級脂肪酸化合
物、例えばアラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸、エルカ
酸等の高級脂肪族モノカルボン酸化合物、モンタン酸エ
チレングリコールエステル、モンタン酸エチルエステ
ル、リグノセリン酸オクタコシル、セロチン酸セリル等
の高級脂肪族モノカルボン酸エステル化合物、さらにワ
ックスのエチレン鎖部分を空気酸化等の方法で酸化して
カルボキシル基や水酸基等を付加した酸化ワックスや天
然ワックス等、例えばモンタンワックス、カルナウバワ
ックス、ビーズワックス、ヌカロウ、イボタロウ等の有
機滑剤、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、カオリン、湿式および乾式法シリカ、コロイド状シ
リカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナなど
の平均粒子径が０．００１〜２μｍの無機粒子、さらに
はアクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする平均粒
子径が０．００１〜２μｍの有機粒子等を配合すること
が耐ブロッキング性、易滑性の点から好ましく、特には
分子量１０００以上の酸化ワックスおよび／またはカル
ナウバワックス等の天然ワックス、平均粒子径が０．０
０１〜２μｍのコロイド状シリカ、酸化チタン、アルミ
ナ等の無機粒子が好ましい。これらの有機滑剤、粒子等
の配合量は、水溶液中の共重合ポリエステルに対して
０．０１〜７０重量％が好ましく、さらには０．５〜５
０重量％、特には１．０〜３０重量％が好ましい。

【００２６】また、フィルム面へのスルホン酸アルカリ
金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステル水溶液
の塗布は、従来公知の塗布方法、例えばリバースコート
法、グラビアコート法、ダイコート法、ワイアーバー法
などを用いることができる。塗布はポリエステルフィル
ムの製造工程中で行なうことが好ましく、さらに好まし
くは未延伸シートを８０〜１２０℃に加熱して、縦、横
いずれかの方向に一軸延伸した後、共重合ポリエステル
の水溶液を塗布し、引き続き９０〜１４０℃に加熱しつ
つ、一軸延伸とは異なる方向に延伸し、さらに１６０〜
２４０℃の熱処理ゾーンに導き、１〜２０秒間熱処理し
て本発明のポリエステルフィルムを製造する方法がよ
い。

【００２７】本発明のポリエステルフィルムはスルホン
酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエス
テルからなる層の厚みは特に限定されるものではない
が、０．００１〜５．０μｍの範囲が好ましく、さらに
は０．０１〜２．０μｍ、特には０．０５〜０．５μｍ
が好ましい。共重合ポリエステルからなる層の厚みが上
記範囲内であると良好な接着性、帯電防止性及び耐ブロ
ッキング性を得ることができる。なお、スルホン酸アル
カリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステルか
らなる層の厚みは種々の方法で測定できるが、例えばポ
リエステルフィルムの断面を電子顕微鏡で観察したり、
共重合ポリエステルからなる層を溶剤その他で除去でき
る場合は、除去した部分と除去していない部分の厚み差
からも求めることができる。

【００２８】本発明のスルホン酸アルカリ金属塩基を有
する残基を含み、かつポリアルキレングリコール成分を
含有する共重合ポリエステルからなる層とポリエステル
層からなるポリエステルフィルムは、特に走行帯電防止
性、耐溶剤性に優れるものであり、帯電量は−６ＫＶ以
上〜＋６ＫＶ以下であることが好ましい。

【００２９】

【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。実施例中の特性は次のようにして測定した。

【００３０】Ａ．共重合ポリエステルの分子量 ＧＰＣ−ＬＡＬＬＳ（低角レーザー光散乱光度計）で測
定した。

【００３１】Ｂ．共重合ポリエステルの水溶性 共重合ポリエステル５ｇを水１００ｇ中に入れ、８０
℃、２時間攪拌溶解して冷却後、１μｍフィルターで濾
過する。溶解状態および濾上物量によって共重合ポリエ
ステルの水溶性を判定した。 ◎：水溶液はほぼ透明で、濾上物も認められなかった。 ○：水溶液は僅かに白濁しているが、濾上物はほとんど
認められなかった。 △：水溶液はやや白濁しており、濾上物が認められた。 ×：溶解しにくい、あるいは水溶液は強く白濁してお
り、多量の濾上物が認められた。

【００３２】Ｃ．接着性 共重合ポリエステルの水溶液を塗布し、接着層を設けた
フィルム面にダイフェラコートＶＤ１６５４｛大日精化
工業（株）製｝１００重量部とスミジュールＮ７５｛住
友バイエル（株）製｝１重量部からなる塗料を乾燥後で
５μｍになるようにバーコーターで塗布、１００℃で５
分間乾燥して被覆層を設けた。該被覆層面にセロハン粘
着テープを貼り、線圧５０ｋｇ／ｃｍのニップロールを
通過させた後、１８０度方向に急速に剥離する。その時
のセロハン粘着テープに付着した被覆層の面積を求めて
接着性を判定した。 ○：セロハン粘着テープに付着した被覆層の面積が５％
未満であり、接着性に優れている。 △：セロハン粘着テープに付着した被覆層の面積が５％
〜２０％未満であり接着性にやや劣る。 ×：セロハン粘着テープに付着した被覆層の面積が２０
％以上であり、接着性に劣る。

【００３３】Ｄ．耐ブロッキング性 共重合ポリエステルの水溶液を塗布し、接着層を設けた
フィルムの接着層面同志を重ね合わせたもの（ａ）およ
び接着層を設けたフィルムの接着層面に接着層を設けて
ないフィルム面を重ね合わせたもの（ｂ）（重ね合わせ
面積：３ｃｍ×４ｃｍ）に５００ｇ／１２ｃｍ² の加重
をかけて６０℃，８０％ＲＨ中で７２時間放置した後、
重ね合わせ部の剪断応力をテンシロン引張り試験機を用
い、引張速度２０ｃｍ／分で測定した。

【００３４】Ｅ．耐溶剤性 共重合ポリエステルの水溶液を塗布し、接着層を設けた
フィルムの接着層面に有機溶剤としてメチルエチルケト
ンを滴下し、接着層の白濁状態で判定した。 ○：ほとんど白濁しない。 △：わずかに白濁する。 ×：白濁する。

【００３５】Ｆ．磁性塗料塗布後のフィルム表面状態 共重合ポリエステルの水溶液を塗布し、接着層を設けた
フィルム面にダイフェラコートＶＤ１６５４｛大日精化
工業（株）製｝１００重量部とスミジュールＮ７５｛住
友バイエル（株）製｝１重量部からなる塗料を乾燥後で
５μｍになるようにバーコーターで塗布、１００℃で５
分間乾燥して被覆層を設け、６０℃，８０％ＲＨ中で７
２時間放置した後、被覆層面の表面状態を観察し、判定
した。 ○：表面状態は良好であった。 △：表面にわずかに析出物が認められた。 ×：表面に多数の析出物が認められた。

【００３６】Ｆ．帯電防止性 金属ドラム回転体の表面に易接着層を積層していないポ
リエステルフィルムを巻き付け、回転させながら易接着
層を積層したフィルムの易接着層の端部に荷重２５５ｇ
を掛け、金属ドラム回転体に沿わせて５秒間擦る。直後
に静電気測定機によりフィルムに荷電した電位を測定
し、帯電防止性を判定した。帯電量−６ＫＶ以上〜＋６
ＫＶ以下の範囲が好ましい。 静電気測定機 ：シシド静電気（株）製 スタチロン
ＴＨ型 測定距離 ヘッド開口部より５０ｍｍ 金属ドラム回転体：寸法 ６５ｍｍ巾×１５０ｍｍφ 回転数８６０ｒｐｍ 測定サンプル ：３０ｍｍ巾×３００ｍｍ長さ 実施例１ テレフタル酸ジメチル７１．０重量部、５−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル１４．８重量部、エチレン
グリコール５１．６重量部および酢酸マンガン０．０５
重量部、酢酸リチウム０．３重量部、三酸化アンチモン
０．０３重量部を加え、常法に従いエステル交換反応せ
しめたのち、リン酸トリメチル０．０５重量部および数
平均分子量６００のポリエチレングリコール１５．０重
量部を添加した。

【００３７】次いで徐々に昇温、減圧にし、最終的に２
７０℃、１ｍｍＨｇ以下で重縮合反応を行ない、スルホ
ン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエ
ステルを得た。得られた共重合ポリエステルの組成をＮ
ＭＲにより測定した結果、酸成分はテレフタル酸８８モ
ル％、５−ナトリウムスルホイソフタル酸１２モル％、
グリコール成分はエチレングリコール９５モル％、ジエ
チレングリコール５モル％であり、また、ポリエチレン
グリコール含有量は１５重量％であった。また、共重合
ポリエステルの数平均分子量は６４００、分子量１００
０以下の成分量は３．３重量％、分子量５００以下の成
分量は２．０重量％であった。

【００３８】得られた共重合ポリエステル５ｇを水１０
０ｇ中に入れ、８０℃、２時間攪拌溶解して冷却後、１
μｍフィルターで濾過し、共重合ポリエステル水溶液を
得た。共重合ポリエステルの水溶液はほぼ透明性であ
り、フィルター濾上物も認められなかった。さらに、該
共重合ポリエステルの水溶液に天然のカルナウバワクッ
ス乳化水を共重合ポリエステルに対して、カルナウバワ
クッスが７．０重量％となるように配合した。

【００３９】一方、平均粒子径０．２μｍの二酸化ケイ
素を０．２重量％含有した固有粘度０．６０ｄｌ／ｇの
ポリエチレンテレフタレートを十分に乾燥した後、押し
出し機に供給して２９０℃で溶融し、Ｔ型口金よりシー
ト状に押し出し、３０℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ
未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを９５℃
に加熱して縦方向に３．４倍延伸し、一軸延伸フィルム
とした。さらに、この一軸延伸フィルムの片面に上記で
得た共重合ポリエステルの水溶液を二軸延伸後において
塗布厚みが０．１μｍとなるようにグラビアコート方式
で塗布した。続いて１００℃に加熱して横方向に３．５
倍延伸し、２００℃で熱処理してスルホン酸アルカリ金
属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステル層を有す
る厚さ１５μｍのポリエステルフィルムを得た。得られ
たフィルムの特性結果を表１に示した。フィルムの接着
性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、帯電防止性ともに良
好であった。また、磁性塗料塗布後のフィルム表面状態
も良好であった。

【００４０】実施例２，３ 実施例１と同様の方法でポリオキシアルキレングリコー
ルの種類を変更し、スルホン酸アルカリ金属塩基を有す
る残基を含む共重合ポリエステルを得た。表１に共重合
ポリエステルの特性を示した。共重合ポリエステルの数
平均分子量、分子量１０００以下の成分量は本発明の範
囲内であり、水溶性に優れていた。

【００４１】また、該共重合ポリエステルの水溶液に表
１に示した各種の添加剤を添加し、実施例１と同様の方
法でスルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共
重合ポリエステル層を有するポリエステルフィルムを得
た。得られたフィルムの特性結果を表１に示した。フィ
ルムの接着性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、帯電防止
性ともに良好であった。また、磁性塗料塗布後のフィル
ム表面状態も良好であった。

【００４２】

【表１】 実施例４〜６ 実施例１と同様の方法で酸成分、ポリオキシアルキレン
グリコールの量および反応条件を変更し、スルホン酸ア
ルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステル
およびフィルムを得た。

【００４３】表２に共重合ポリエステルおよびフィルム
の特性結果を示した。実施例４〜６は本発明の範囲内の
ものであり、共重合ポリエステルの水溶性、フィルムの
接着性、耐ブロッキング性、耐溶剤性、帯電防止性、磁
性塗料塗布後の表面状態ともに良好であった。

【００４４】

【表２】 比較例１ テレフタル酸ジメチル８３．６重量部、５−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル１７．４重量部、エチレン
グリコール６０．７重量部および酢酸マンガン０．２重
量部、三酸化アンチモン０．０３重量部を加え、常法に
従いエステル交換反応せしめたのち、リン酸トリメチル
０．０５重量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧に
し、最終的に２９５℃、１ｍｍＨｇ以下で重縮合反応を
行い、スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む
共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステ
ルの組成をＮＭＲにより測定した結果、酸成分はテレフ
タル酸８８モル％、５−ナトリウムスルホイソフタル酸
１２モル％、グリコール成分はエチレングリコール９０
モル％、ジエチレングリコール１０モル％であった。ま
た、共重合ポリエステルの数平均分子量は２５００、分
子量１０００以下の成分量は１１．０重量％、分子量５
００以下の成分量は６．２重量％であった。

【００４５】得られた共重合ポリエステル５ｇを水１０
０ｇ中に入れ、８０℃、２時間攪拌溶解して冷却後、１
μｍフィルターで濾過し、共重合ポリエステル水溶液を
得た。共重合ポリエステルの水溶液はやや白濁してお
り、フィルター濾上物が認められた。さらに、該共重合
ポリエステルの水溶液に天然のカルナウバワクッス乳化
水を共重合ポリエステルに対して、カルナウバワクッス
が７．０重量％となるように配合し、実施例１と同様の
方法でスルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む
共重合ポリエステル層を有するポリエステルフィルムを
得た。得られたフィルムの特性結果を表３に示した。フ
ィルムは耐溶剤性に劣り、帯電量−９ｋＶと帯電防止性
も不良であった。また、磁性塗料塗布後のフィルム表面
には析出異物が認められた。

【００４６】比較例２ テレフタル酸ジメチル３７．６重量部、５−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル７．８重量部、エチレング
リコール２７．３重量部および酢酸マンガン０．０５重
量部、酢酸リチウム０．３重量部、数平均分子量６００
のポリエチレングリコール５５重量部、三酸化アンチモ
ン０．０３重量部を加え、常法に従いエステル交換反応
せしめたのち、リン酸トリメチル０．０５重量部を添加
した。次いで徐々に昇温、減圧にし、最終的に２９５
℃、１ｍｍＨｇ以下で重縮合反応を行ない、スルホン酸
アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエステ
ルを得た。得られた共重合ポリエステルの組成をＮＭＲ
により測定した結果、酸成分はテレフタル酸８８モル
％、５−ナトリウムスルホイソフタル酸１２モル％、グ
リコール成分はエチレングリコール９３モル％、ジエチ
レングリコール７モル％であり、また、ポリエチレング
リコール含有量は５１重量％であった。また、共重合ポ
リエステルの数平均分子量は８９００、分子量１０００
以下の成分量は１２．７重量％、分子量５００以下の成
分量は６．５重量％であった。

【００４７】得られた共重合ポリエステル５ｇを水１０
０ｇ中に入れ、８０℃、２時間攪拌溶解して、共重合ポ
リエステル水溶液を得た。共重合ポリエステルの水溶液
は強く白濁していた。全量の水溶液を１μｍフィルター
で濾過できなかった。さらに、該共重合ポリエステルの
水溶液に天然のカルナウバワクッス乳化水を共重合ポリ
エステルに対して、カルナウバワクッスが７．０重量％
となるように配合し、実施例１と同様の方法でスルホン
酸アルカリ金属塩基を有する残基を含む共重合ポリエス
テル層を有するポリエステルフィルムを得た。得られた
フィルムの特性結果を表３に示した。フィルムは耐溶剤
性に劣り、帯電量＋１４ｋＶと帯電防止性も不良であっ
た。また、磁性塗料塗布後のフィルム表面には析出異物
が多数認められた。

【００４８】

【表３】

【００４９】

【発明の効果】本発明は上述したように、スルホン酸ア
ルカリ金属塩基を有する残基を含み、数平均分子量が２
０００以上で、かつ分子量１０００以下の成分量が１０
重量％以下の共重合ポリエステルおよびポリエステルフ
ィルムであり、水溶性、耐溶剤性を向上させ、かつ接着
性、耐ブロッキング性、走行帯電防止性に優れ、磁気記
録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般
工業材料等に使用されるフィルムのコーティング剤およ
びフィルム、特にはオーディオ、ビデオ、フロッピーデ
ィスク等の磁気記録材料に使用されるフィルムのコーテ
ィング剤およびフィルムに好ましく用いられる。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基
   を含み、数平均分子量が２０００以上で、かつ分子量１
   ０００以下の成分量が１０重量％以下であることを特徴
   とする共重合ポリエステル。
2. 【請求項２】数平均分子量が２５００以上で、かつ分子
   量１０００以下の成分量が８重量％以下、分子量が５０
   ０以下の成分量が６重量％以下である請求項１記載の共
   重合ポリエステル。
3. 【請求項３】スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基
   を１〜５０モル％含んでなる請求項１または２記載の共
   重合ポリエステル。
4. 【請求項４】スルホン酸アルカリ金属塩基を有する残基
   を５〜４０モル％含み、かつ共重合ポリエステルが水溶
   性である請求項１，２または３記載の共重合ポリエステ
   ル。
5. 【請求項５】共重合ポリエステルがポリオキシアルキレ
   ングリコール成分を含有してなる請求項１〜４のいずれ
   か１項に記載の共重合ポリエステル。
6. 【請求項６】ポリオキシアルキレングリコール成分が数
   平均分子量４００〜１００００のポリエチレングリコー
   ルである請求項５記載の共重合ポリエステル。
7. 【請求項７】ポリオキシアルキレングリコール成分が全
   共重合ポリエステルに対して２０重量％未満である請求
   項６記載の共重合ポリエステル。
8. 【請求項８】請求項１〜７のいずれか１項に記載の共重
   合ポリエステルからなる層とポリエステル層とからなる
   ポリエステルフィルム。
9. 【請求項９】ポリエステル層が少なくとも二層以上から
   構成されてなる請求項８記載のポリエステルフィルム。
10. 【請求項１０】共重合ポリエステルからなる層が粒子お
    よび／または有機滑剤を含有してなることを特徴とする
    請求項８または９記載のポリエステルフィルム。
11. 【請求項１１】磁気記録材料用である請求項８，９また
    は１０記載のポリエステルフィルム。