JP3227984B2 - 易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents

易接着性ポリエステルフィルム

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JP3227984B2 JP06728694A JP6728694A JP3227984B2 JP 3227984 B2 JP3227984 B2 JP 3227984B2 JP 06728694 A JP06728694 A JP 06728694A JP 6728694 A JP6728694 A JP 6728694A JP 3227984 B2 JP3227984 B2 JP 3227984B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は易接着性ポリエステルフ
ィルムに関するものである。詳しくは帯電防止性、易滑
性、接着性、耐ブロッキング性などに優れ、磁気記録材
料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業
材料などに使用される基材フィルムとして好適な易接着
ポリエステルフィルムに関するものである。特に磁気記
録材料に使用される基材フィルムとして好適な易接着ポ
リエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン
ナフタレ−トあるいはポリ−1、4−シクロヘキサンジ
メチレンテレフタレ−ト及びこれらを主体とするポリエ
ステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊
維、フィルムあるいはシ−トさらにはその成型品として
広く使用されている。
【0003】特に、ポリエステルフィルムは耐熱性、耐
薬品性、機械的特性において優れた性質を有するため
に、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁
材料、一般工業材料等多くの用途に用いられている。
【0004】これらの用途においてはポリエステルフィ
ルム単体で使用されることは無く、フィルム表面に種々
の被覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジ
アゾ感光塗料、ゼラチン組成物、ヒ−トシ−ル付与組成
物、インキなどを塗布あるいは印刷して使用される。
【0005】特に、磁気テ−プやフロッピ−ディスク等
に用いられるフィルムには、磁気記録の高信頼性、高密
度化のために平坦性、平滑性が求められているととも
に、磁性体塗料とベ−スフィルムとの接着力の向上が強
く求められている。しかし、フィルムに磁性体塗料への
接着力を付与すると、逆にフィルム間でブロッキングを
生じ、各種の作業性が低下したり、磁気記録性能が悪化
したりする。一方、ベ−スフィルムあるいは磁気テ−プ
等の製造工程では一般に高速で多くの各種ロ−ルを有す
る工程を通過したりする際に、ロ−ルとフィルム間ある
いはフィルム同志の摩擦によって帯電現象を生じるた
め、作業性の低下、磁気記録性能が悪化したりする。こ
のため、フィルムの接着性付与には、フィルムの帯電防
止性、易滑性、ブロッキング防止性などの性能も同時に
満足させる必要がある。それと共にフィルム表面に塗布
あるいは印刷される種々の被覆物に含有されている各種
溶剤に対しても抵抗力のある易接着性物質が望まれてい
る。
【0006】しかしながら、一般にポリエステル自体が
不活性で接着性に乏しいため、フィルム表面に種々の被
覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジアゾ
感光塗料、ゼラチン組成物、ヒ−トシ−ル付与組成物、
インキなどを塗布あるいは印刷する際には、該被覆物と
の接着性を良好とするためにフィルム表面にコロナ放電
あるいはプラズマ等の物理的な処理やアルカリあるいは
アミン類の化学薬品を使用した化学的な処理をする方
法、さらには易接着性物質をコ−ティングする方法など
が知られている。しかし、物理的あるいは化学的な表面
処理方法は工程が煩雑となり、コストアップとなるばか
りでなく、十分な接着性が得られない。
【0007】一方、易接着性物質をコ−ティングする方
法はポリエステルフィルムの製造工程内で実施でき、コ
スト面で有利であり、かつ、種々の被覆物に対応できる
接着性物質を選択することが可能である。さらに、ポリ
エステルフィルムの取り扱い性、フィルム製造時の作業
性の点から、種々の水分散あるいは水溶性共重合ポリエ
ステルおよび該共重合ポリエステルをポリエステルフィ
ルムに積層あるいは塗布することが提案されて来た。例
えば、特公昭47−40873号公報、特開昭50−1
21336号公報および特開昭50−134086号公
報にはエステル形成性スルホン酸金属塩化合物およびポ
リエチレングリコ−ルを共重合したポリエステルおよび
それらのポリエステルを積層したフィルム、特開昭63
−66239号公報にはエステル形成スルホン酸金属塩
化合物およびポリテトラメチレングリコ−ルを共重合し
たポリエステル、特開昭50−83497号公報、特開
昭53−2536号公報、特開昭54−3848号公報
にはエステル形成スルホン酸金属塩化合物および脂肪族
ジカルボン酸成分、さらにはジエチレングリコ−ルを共
重合したポリエステル、特開昭59−215318号公
報にはエステル形成性スルホン酸金属塩化合物および脂
肪族ジカルボン酸成分を共重合したポリエステルを下塗
りしたフィルムなどがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術においては次のような問題点がある。すなわ
ち特公昭47−40873号公報のようにエステル形成
性スルホン酸金属塩化合物および低分子量のポリエチレ
ングリコ−ルを多量に共重合した場合には、水溶性、接
着性は発現するものの耐ブロッキング性に劣り、帯電防
止性が得られない。特開昭50−121336号公報、
特開昭50−134086号公報および特開昭63−6
6239号公報のようにエステル形成性スルホン酸金属
塩化合物およびポリアルキレングリコ−ル成分を多量に
共重合した場合には水溶性、耐ブロッキング性、帯電防
止性におとり好ましくない。さらに特開昭50−834
97号公報、特開昭53−2536号公報、特開昭54
−3848号公報および特開昭59−215318号公
報のようにエステル形成性スルホン酸金属塩化合物およ
び脂肪族ジカルボン酸成分、さらにはジエチレングリコ
−ルを共重合した場合には接着性は発現するものの、耐
ブロッキング性に劣り、帯電防止性が得られないなどの
欠点がある。
【0009】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、帯電
防止性、易滑性、接着性、水溶性、耐ブロッキング性な
どに優れ、磁気記録材料等に使用される基材フィルムと
して好適な易接着ポリエステルフィルムを提供するもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリオ
キシアルキレングリコ−ル成分が1重量%以上、30重
量%未満含有されてなる水溶性共重合ポリエステルとア
クリル系ワックスとを主体とした混合物の塗膜が形成さ
れてなる易接着性ポリエステルフィルムをその骨子とす
るものである。
【0011】本発明における水溶性共重合ポリエステル
は、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が1重量%以
上、30重量%未満含有されてなる水溶性共重合ポリエ
ステルであれば特に限定されるものではないが、酸成分
として芳香族ジカルボン酸を60モル%以上、さらには
70モル%以上とすることが好ましく、特には80モル
%以上とすることが帯電防止性、耐ブロツキング防止
性、耐溶剤性に優れる点から好ましい。芳香族ジカルボ
ン酸が60モル%未満であると帯電防止性、耐ブロッキ
ング防止性および耐溶剤性に劣り易い。芳香芳香族ジカ
ルボン酸としては特に限定されることはないが、例えば
テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエ−テルジカ
ルボン酸等を挙げることができ、これらのなかで好まし
い芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸である。 本発明の水溶
性共重合ポリエステルは、水溶性付与の点からエステル
形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対
して、5〜40モル%、好ましくは7〜30モル%、さ
らに好ましくは10〜20モル%、特に好ましくは11
〜15モル%添加することが好ましい。エステル形成性
スルホン酸アルカリ金属塩化合物が5モル%未満である
と、十分な水溶性および接着性が得られにくい。一方、
40モル%を超えると接着性は飽和に達し、逆に帯電防
止性、耐ブロツキング防止性、耐溶剤性が低下し易い。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物として
は特に限定されることはないが、例えばスルホテレフタ
ル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル
酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げること
ができ、なかでも5−スルホイソフタル酸、スルホテレ
フタル酸のリチウム、ナトリウム、カリウム塩がより好
ましく用いられる。
【0012】本発明の水溶性共重合ポリエステルのグリ
コ−ル成分は、炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび
/または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ル80〜99
モル%、ジエチレングリコ−ル1〜20モル%、好まし
くは肪環族グリコ−ル82〜95モル%、ジエチレング
リコ−ル5〜18モル%であり、さらに好ましくは肪環
族グリコ−ル84〜93モル%、ジエチレングリコ−ル
7〜16モル%である。炭素数2〜8の脂肪族グリコ−
ルおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルが
80モル%未満あるいはジエチレングリコ−ルが20モ
ル%を超えた場合は耐ブロッキング性、耐溶剤性が劣り
易い。一方、炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/
または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルが99モル%
を超えるか、あるいはジエチレングリコ−ルが1モル%
未満の場合は耐ブロッキング性は良好であるものの、水
溶性および接着性が劣り易い。
【0013】本発明の炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ル
および/または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルとし
ては、例えばエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジ
オ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチルグリ
コ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジ
オ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3
−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノ−ル等のグリコ−ルを挙げることができる。
好ましい炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/また
は炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルとしては、エチレ
ングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4−ブタ
ンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルであ
る。これらのグリコ−ルは1種のみ用いても良く、また
2種以上併用しても良い。なお、本発明におけるジエチ
レングリコ−ルは、通常エチレングリコ−ルをグリコ−
ル成分とするポリエステルの製造の際に副生するジエチ
レングリコ−ルを含むものである。
【0014】本発明の水溶性共重合ポリエステルには上
述の酸成分およびグリコ−ル成分以外に、本発明の効果
を損なわない範囲で脂肪族ジカルボン酸、オキシ酸ある
いは単官能化合物、三官能以上の多官能化合物等の他の
成分を含んでいても良い。これら他の成分の含有量は、
本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されな
いが、通常30モル%程度以下である。
【0015】本発明の水溶性共重合ポリエステルの製造
は、従来公知の任意の方法を採用することができ、特に
限定されるものではない。例えば酸成分としてテレフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびグリコ
−ル成分としてエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ
−ルからなる共重合ポリエステルについて説明すると、
テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およ
びエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルとを直接
エステル化反応させるか、テレフタル酸のアルキルエス
テル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のアルキルエ
ステルおよびエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−
ルとをエステル交換反応させる第1段階と、この第1段
階の反応生成物を重縮合反応させる第2段階とによって
製造する方法等を挙げることができる。この際反応触媒
として、従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、
マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウ
ム、チタン化合物等が持ちいられ、さらに着色防止剤と
してリン化合物等を用いても良い。
【0016】本発明の水溶性共重合ポリエステルには、
ポリオキシアルキレングリコ−ル成分が、1重量%以
上、30重量%未満、好ましくは4〜25重量%、特に
好ましくは7〜20重量%含有されている必要がある。
一般に、水溶性共重合ポリエステル中のポリオキシアル
キレングリコ−ル含有量が多量になると水溶性は低下す
る。本発明の水溶性共重合ポリエステルにおいては、水
溶性共重合ポリエステル中のジエチレングリコ−ル含有
量がこの溶解性と密接に関係しており、ジエチレングリ
コ−ル含有量が多くなるとポリマの溶解性が向上するこ
とが判明した。すなわち、ポリオキシアルキレングリコ
−ル含有水溶性共重合ポリエステルは、ポリオキシアル
キレングリコ−ルの結晶性のために含有量が多くなるほ
ど水溶化し難くなるが、ジエチレングリコ−ルを増量す
ることにより、その非晶化効果で溶解性を向上すること
ができると推察している。ポリオキシアルキレングリコ
−ル成分の含有量が1重量%未満であると帯電防止性、
耐溶剤性に劣る。一方、ポリオキシアルキレングリコ−
ル成分の含有量が30重量%以上となると逆に帯電防止
性、水溶性、耐ブロッキング性に劣る。ポリオキシアル
キレングリコ−ル成分の種類は特に限定されることはな
いが、優れた水溶性、接着性、帯電防止性を兼備させる
点からポリオキシアルキレングリコ−ル成分の数平均分
子量400〜10000が好ましく、さらには数平均分
子量500〜6000が好ましく、特には数平均分子量
600〜4000が好ましい。このようなポリオキシア
ルキレングリコ−ル成分としては、例えばポリエレング
リコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチ
レングリコ−ル等を挙げることができる。なかでも水溶
性、帯電防止性の点からポリエレングリコ−ルが好まし
い。
【0017】本発明のポリオキシアルキレングリコ−ル
成分を共重合ポリエステルに含有させる方法は特に限定
されるものではなく、例えばポリオキシアルキレングリ
コ−ル成分を共重合ポリエステルの製造工程の任意の段
階で添加する方法、あるいは共重合ポリエステルとポリ
オキシアルキレングリコ−ル成分とを押出機等を用いて
溶融混練りする方法等を挙げることができる。この際、
ポリオキシアルキレングリコ−ル成分は粉体、溶融ある
いは溶液状態等任意の方法で添加することができる。
【0018】また、本発明の水溶性共重合ポリエステル
の固有粘度は特に限定されるものではないが、接着性の
点で0.3dl/g以上が好ましく、さらには0.4d
l/g以上が好ましい。
【0019】また、該水溶性共重合ポリエステルには必
要に応じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、
染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるい
はポリシロキ酸などの消泡剤を配合してもよく、さらに
は滑り性などを付与する目的でクレ−、マイカ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シ
リカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸
類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合し
ても良い。
【0020】本発明のポリエステルフィルムに積層する
水溶性共重合ポリエステルは、水に溶解し、水溶液とし
て使用する。この水溶液とは物理的、化学的な意味で厳
密性を有するものではなく、水に大部分が溶解し、一部
が微分散しているようなものも含むものである。
【0021】本発明におけるアクリル系ワックスとは、
特に限定されるものではないが、アクリル酸高級脂
族アルコールとのエステルのワックスが帯電防止性、易
滑性などの点から好ましい。また、高級脂肪族アルコー
の炭素数としては、10〜24の範囲が好ましい。高
級脂肪族アルコールの炭素数が10未満であると易滑性
に劣る傾向にあり、反対に25以上では相溶性に劣る傾
向にある。炭素数10〜24の高級脂肪族アルコール
しては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール
パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイ
ルアルコールなどが挙げられるがこれらに限定されるも
のではない。しかし、その中でも易滑性の点でステアリ
ルアルコールが特に好ましく用いられる。
【0022】これらのアクリル酸高級脂肪族アルコ
ールとのエステルのワックスは単独で用いてもよく、数
種の混合体として用いてもよい。また、一部スチレン
等、他の成分を共重合しても差し支えない。アクリル系
ワックスの分子量は特に限定されないが、その安定性、
耐熱性などの特性から1万以上、好ましくは10万以上
である。また、形態についても特に限定されるものでは
ないが、安定性、均一性、ハンドリング性などの点から
水分散体が好ましく用いられる。また、粘度はその取り
扱い性から300cps以下、イオン性は他の塗剤との
混合のし易さなどからアニオンあるいはノニオンが好ま
しく、希釈安定性が良好なものが好ましい。アクリル系
ワックスエマルジョンの粒径も特に限定されないが、安
定性、均一性などの点から、1μm以下、好ましくは
0.5μm以下である。水分散体のアクリル系ワックス
の固形分としては通常70重量%以下がその安定性から
好ましい。かかる水系エマルジョンは、その製造法によ
って特に制限されることは無く、例えばアクリル酸ステ
アリルのワックスを例にとると、原料となるアクリル酸
とステアリルアルコールをラジカル重合した後、界面活
性剤を含む熱水中に高速撹拌添加して微分散させる方
法、またアクリル酸ステアリル重合体の有機溶媒溶液を
界面活性剤を含む水中に高速撹拌下添加して添加して微
分散させ、必要なら脱溶媒させる方法等で製造されたも
のを用いることができる。あるいは乳化重合、エマルジ
ョン重合等の方法も適用できる。これらの水性液中の固
形分濃度は、塗布方法にもよるが、50wt%以下が好
ましく、さらには30wt%以下が好ましい。
【0023】本発明のアクリル系ワックスの帯電防止性
および易滑性付与効果については十分解明されていない
が、アクリル酸が帯電防止性、高級脂肪酸が易滑性に寄
与しているものと推察している。通常の搬送工程におけ
る金属ロ−ルやシリコンロ−ルとの走行摩擦帯電におい
て、一般の水溶性共重合ポリエステルはマイナス帯電を
示すのに対し、アクリル系ワックスはプラス帯電を示
す。この帯電列から水溶性共重合ポリエステルのマイナ
ス帯電とアクリル系ワックスのプラス帯電が相殺され、
結果として摩擦帯電防止性が付与されるものと思われ
る。アクリル系ワックスの易滑性付与効果については、
パラフィンワックスなどに比べ本発明のアクリル系ワッ
クスはその表面自由エネルギ−の分散力成分が大きいこ
とによるもので、水溶性共重合ポリエステルとの混合系
においても同様の効果を示していると推定している。上
記組成物中には本発明の効果を阻害しない範囲内で各種
添加剤を併用することができる。例えば帯電防止剤、耐
熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒子、顔料などが挙
げられる。
【0024】本発明における塗膜(皮膜)とは、上記の
水溶性共重合ポリエステルと上記のアクリル系ワックス
の混合物とを主体(主成分)としたもので形成されるも
のである。なお、水溶性共重合ポリエステルとワックス
とを主体としたとは、該混合物が塗膜の80重量%以
上、好ましくは90重量%以上含まれていることが望ま
しい。
【0025】本発明においては、塗膜に対し、水溶性共
重合ポリエステル70〜99.9重量%、好ましくは8
5〜99重量%、ワックスが30〜0.1重量%、好ま
しくは15〜1重量%混合されているのが好ましい。水
溶性共重合ポリエステルが70重量%以下では接着性が
劣る傾向にある。逆に99.9重量%以上では易滑性、
耐ブロッキング性に劣る傾向にある。本発明の範囲内で
ある場合、帯電防止性、易滑性、接着性、耐ブロッキン
グ性の両立と言う点で好ましい。なお、塗膜には他の成
分として、公知のシランカップリング剤等の架橋剤を添
加しても良い。なお、塗膜の厚みは特に限定されない
が、0.001〜1μm、特に0.01〜0.2μmが
好ましい。
【0026】本発明におけるポリエステルフィルム基体
とは、周知の方法で形成したポリエステルフィルム、す
なわち、ポリエステルを溶融してシ−トに押出し、これ
を少なくとも一方向に延伸して形成したフィルムで、そ
のフィルムの機械特性としては通常のバランスタイプ、
一軸方向に強力化されたタイプ、二軸方向に強力化され
たタイプのいずれかであることが望ましい。また、ポリ
エステルフィルムの表面は平滑であることが望ましく、
具体的にはフィルムの表面粗さは、触針式表面粗さ計の
カットオフ値0.08mmで、Ra値が0.003〜
0.030μmの範囲内にあることが望ましい。
【0027】なお、Ra値とは、触針式表面粗さ計から
得られる断面曲線から適当なカットオフ値を用いてうね
りを除いた粗さ曲線において、中心線(中心線より上の
部分と下の部分の面積が等しくなるようにして求められ
る)からの粗さ曲線の高さ(低さ)の絶対値の算術平均
である(DIN4768による)。
【0028】上記フィルム基体を形成するポリエステル
は、線状ポリエステルを主体とするものであればどのよ
うなものでも良い。たとえば、ポリエチレンテレフタレ
−ト、ポリテトラメチレンテレフフタレ−ト、ポリ−
1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト、
ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレ−
ト、ポリエチレン−p−オキシベンゾエ−トなどがその
代表例である。
【0029】また、上記のポリエステルはホモポリエス
テルであってもコポリエステルであっても良い。コポリ
エステルの場合、共重合する成分としては、例えば、ジ
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペン
チルグリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、p−キシリ
レングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル
などのジオ−ル成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸
成分、トメリット酸、ピロメリツト酸などの多官能カル
ボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げら
れる。なお共重合の場合、共重合する成分は20モル%
以下が望ましい。
【0030】本発明のフィルムの製法について説明す
る。ただし、これに限定されるものではない。実質的に
無配向、結晶性のポリエチレンテレフタレ−ト原料を、
270℃〜300℃に溶融してシ−ト状に押出し、20
〜30℃のキャスティングドラムで冷却固化して、未延
伸シ−トとし、続いて二軸延伸、熱処理してフィルムを
製造する。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時
延伸のいづれでもよく、延伸倍率は特に限定されるので
はないが、通常は縦、横それぞれ2.0〜5.0倍が適
当である。あるいは、縦、横延伸後、縦、横いづれかの
方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルの厚みは
特に限定されるものではないが、2〜200μmが好ま
しく用いられる。
【0031】本発明の易接着性ポリエステルフィルムの
易接着層塗膜の積層方法はポリエステルフィルムの製造
工程中に塗布し、基材と共に延伸する方法が最も好まし
い。例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエス
テルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、連
続的に塗布する面にコロナ放電処理を施し、その処理面
に塗布液を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加
熱されたゾ−ンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5
〜5倍程度延伸される。さらに連続的に150〜250
℃の加熱ゾ−ンに導かれ結晶配向を完了させる方法によ
って得られる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防
爆性の点で水系が好ましい。基材フィルム上への塗布の
方法は公知の塗布方法、例えばリバ−スコ−ト法、グラ
ビアコ−ト法、ロッドコ−ト法、ダイコ−ト法、ワイア
−バ−法などを用いることができる。上記塗布層(易接
着層)中には本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の
添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定
剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機ま
たは無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配
合しても良い。なお、塗料組成としては、水溶性共重合
ポリエステルは、水中に水溶性共重合ポリエステルを
0.5〜10重量%程度含むものが好ましい。水溶性共
重合ポリエステル塗料は、例えば60〜90℃程度の温
湯に水溶性共重合ポリエステルを加え、撹拌することに
より調製することができる。ワックス塗料は、水中にワ
ックス成分を1〜50重量%程度含むものが好ましい。
非イオン性界面活性剤、リン酸エステル、オレイン酸ア
ンモニウム、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル等を
例えば1重量%程度加えることにより、ワックスの水へ
の分散が容易になるので好ましい。上記水溶性共重合ポ
リエステル塗料とワックス塗料とは混合後、ポリエステ
ルフィルムに塗布することが好ましい。
【0032】次に本発明の易接着性ポリエステルフィル
ムの製造方法について説明するが、当然これに限定され
るものではない。PETを常法に従って乾燥後、溶融押
出し、押出しされたシ−ト状溶融体を冷却固化せしめて
未延伸PETフィルムを作る。このフィルムを80〜1
20℃に加熱して長手方向に2.0〜5.0倍延伸して
一軸配向フィルムとする。このフィルムの片面にコロナ
放電処理を施し、この処理面に所定の濃度に水で希釈し
た本発明の範囲の水性塗剤を塗布する。次いで、この塗
布されたフィルムを90〜140℃に加熱しつつ幅方向
に2.5〜5.0倍延伸し、引き続いて160〜240
℃の熱処理ゾ−ン中に導き、1〜10秒間熱処理を行
う。この熱処理中に必要に応じて幅方向に3〜12%の
弛緩処理を施しても良い。
【0033】なお、上記例において、易接着層が塗布さ
れるポリエステル基体にもスルホン酸および/またはそ
の塩を有する化合物が共重合されたポリマ−、ポリエチ
レングリコ−ル並びにアクリル系ワックスを含有せしめ
ることができる。この場合は、塗布層と基体フィルムの
易滑性、耐ブロッキング性、接着性が向上するなどの長
所がある。スルホン酸および/またはその塩を有する化
合物が共重合されたポリマ−、ポリエチレングリコ−ル
並びにアクリル系ワックスを含有した組成物を含有させ
る場合には、その添加量が5ppm以上20重量%未満
であるのが易滑性、耐ブロッキング性、接着性向上の点
で好ましい。もちろん、基体フィルム上に設けるコ−テ
ィング組成物(本発明の易接着性ポリエステルフィルム
の再生ペレット等も含む)であってもよいことは言うま
でもない。
【0034】かくして得られた易接着性ポリエステルフ
ィルムの巻取性、スリット性は良好であり、塗布層側に
用途に応じた塗剤を塗布することにより、各種用途、例
えば磁気記録材料、セロファン用インク、オフセット用
インク、紫外線硬化インキなどの各種インク印刷用、電
子写真トナ−易接着用、ケミカルマット塗料易接着用、
ジアゾ塗料易接着用、蒸着用などの無機質被覆用などの
基材フィルムとして好適に使用されるものである。
【0035】
【特性値の測定方法および評価方法】本発明における特
性の測定方法および効果の評価方法は次のとうりであ
る。
【0036】(1)共重合ポリエステルの極限粘度:
[η] o−クロロフェノ−ル溶媒を用い、25℃で測定した。
【0037】(2)共重合ポリエステルの水溶性 共重合ポリエステル2gを水100g中に入れ、60
℃、2時間撹拌溶解して冷却後、2μmフィルタ−で瀘
過する。溶解状態および瀘上物量によって共重合ポリエ
ステルの水溶性を判定した。
【0038】○:水溶液は透明あるいは僅かに白濁して
いるが、瀘上物はほとんど認められない。
【0039】△:水溶液はやや白濁しており、瀘上物が
認められた。
【0040】×:溶解しにくい、あるいは水溶液は強く
白濁しており、多量の瀘上物が認められた。
【0041】(3)密着性 共重合ポリエステルおよびワックスの水溶液をポリエス
テルフィルム基板上に塗布し、易接着層を設けたけ易接
着層面に磁性体塗料(ダイフェラコ−トCAD−430
1:大日精化工業(株)製)100重量部と硬化剤であ
るスミジュ−ルN75(住友バイエル(株)製)1重量
部からなる塗料を乾燥後で5μmになるようにバ−コ−
タ−で塗布し、100℃、5分間乾燥して被覆層を設け
た。該被覆面にセロハン粘着テ−プ(ニチバン(株)
製)を貼り、線圧50/kg/cmのニップロ−ルを通
過させた後、180度方向に急速に剥離する。その時の
セロハン粘着テ−プに付着した被覆面の面積を求めて接
着性を判定した。
【0042】◎:セロハン粘着テ−プに付着した被覆面
の面積が5%未満であり、接着性に優れている。
【0043】○:セロハン粘着テ−プに付着した被覆面
の面積が5%〜10%未満であり、接着性にやや優れて
いる。
【0044】△:セロハン粘着テ−プに付着した被覆面
の面積が10〜30%未満であり、接着性にやや劣る。
【0045】×:セロハン粘着テ−プに付着した被覆面
の面積が30%以上であり、接着性に劣る。
【0046】(4)帯電防止性 金属ドラム回転体の表面に易接着層を積層していないポ
リエステルフィルムを巻き付け、回転させながら易接着
層を積層したフィルムの易接着層の端部に荷重255g
を掛け、金属ドラム回転体に沿わせて5秒間擦る。直後
に静電気測定機によりフィルムに荷電した電位を測定
し、帯電防止性を判定した。
【0047】○:帯電量 +3KV以上〜+7KV未満 △:帯電量 0KV以上〜+3KV未満 ×:帯電量 0KV未満(マイナス帯電)か+7KV
以上 静電気測定機 :シシド静電気(株)製 スタチロン
TH型 測定距離 ヘツド開口部より50mm 金属ドラム回転体:寸法 65mm幅×150mmφ 回転
数860rpm 測定サンプル : 30mm幅×300mm長さ (5)耐溶剤性 易接着層を設けたフィルムの易接着層面に有機溶媒とし
てメチルエチルケトン、トルエン、アセトンをそれぞれ
滴下し、易接着層の白濁状態で判定した。
【0048】○:ほとんど白濁しない △:わずかに白濁する ×:白濁する (6)耐ブロッキング性 易接着層を設けたフィルムの易接着層面と2軸配向PE
Tフィルムを重ね合わせたもの(重ね面積:3cm×4
cm)に500g/12cm2 の加重をかけて60℃8
0%RH中で72時間放置した後、重ね合わせ部のせん
断応力をテンシロン引張り試験機を用い引張り速度20
cm/分で測定し、下記基準で判定した。
【0049】 ◎:0kg/cm2 (全くブロッキングしない) ○:0.1kg/cm2 〜1kg/cm2 以下 △:1kg/cm2 〜3kg/cm2 以下 ×:3kg/cm2 以上 (7)易滑性(静摩擦係数μs 、動摩擦係数 μd ) フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−
63に準じ、静摩擦係数μs 、動摩擦係数 μd を新東
科学 製表面性測定機HEIDON−14DRを用い
て、サンプル移動速度200mm/min、荷重200
g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定
し、アナライジングレコ−ダ−TYPE:HEIDON
3655E−99で記録し評価した。一般に厚みが10
μm程度の薄いフィルムの長尺品(2万m前後)を巻く
場合の易滑性の要求値としては、好ましくはμs で0.
65以下であり、以下の基準により易滑性を判定した。
【0050】○:μs =0.65未満 △:μs =0.65以上〜0.80未満 ×:μs =0.8以上 (8)塗布層の厚み 日立製作所製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積
層フィルムの超薄膜面切片を観察し、厚みを求めた。
【0051】(9)表面粗さ JIS−B−0601に従い、株式会社小坂研究所製の
触針型表面粗さ計BE−3Eを用い、カツトオフ0.0
25mm、測定長4mmで平均表面粗さRaを測定し
た。
【0052】次に実施例に基づいて本発明を説明するが
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0053】
【実施例】
実施例1 テレフタル酸ジメチル71.2重量部、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル14.8重量部、エチレン
グリコ−ル50.0重量部、ジエチレングリコ−ル4.
0重量部、数平均分子量600のポリエチレングリコ−
ル13.0重量部および酢酸カルシウム0.1重量部、
酢酸リチウム0.3重量部、三酸化アンチモン0.03
重量部を加え、常法に従いエステル交換反応せしめたの
ち、リン酸トリメチル0.05重量部を添加した。次い
で徐々に昇温、減圧にし、最終的に280℃、1mmH
g以下で重縮合反応を行ない、水溶性共重合ポリエステ
ルを得た。得られた水溶性共重合ポリエステルの組成を
NMR(13C−NMRスペクトル)により測定した結
果、酸成分はテレフタル酸88モル%、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸12モル%、グリコ−ル成分はエチ
レングリコ−ル89モル%、ジエチレングリコ−ル11
モル%であり、また、ポリエチレングリコ−ル含有量は
12重量%で、固有粘度は0.60dl/gであった。
【0054】得られた水溶性共重合ポリエステル2gを
水100g中に入れ、80℃、2時間撹拌溶解して冷却
後、2μmフィルタ−で瀘過し、濃度2重量%の水溶性
共重合ポリエステル水溶液を得た。水溶性共重合ポリエ
ステルの水溶液はほぼ透明性であり、フィルタ−瀘上物
も認められなかった。
【0055】一方、水溶性共重合ポリエステルに混合す
るワツクスとしては、固形分濃度40重量%、分子量約
50万のアクリル酸ステアリルの水分散体ワツクスを水
で希釈し、固形分濃度2重量%のアクリル酸ステアリル
ワックスの水分散体として、水溶性共重合ポリエステル
水溶液に対して10重量添加後、良く混合撹拌し本発明
の塗剤とした。
【0056】 [塗料組成] 1)水溶性共重合ポリエステル 90重量部 2)ワックス アクリル酸ステアリル 10重量部 一方、平均粒径0.2μmの二酸化ケイ素を0.2重量
%含有した極限粘度0.60のポリエチレンテレフタレ
−トを十分に乾燥した後、押出機に供給して280℃で
溶融し、10μmカットの金属焼結フィルタ−で瀘過し
た後、T字型口金よりシ−ト状に押出し、これを表面温
度30℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。
この間のシ−トと冷却ドラム表面との密着性を向上させ
るため、シ−ト側にワイヤ−電極を配置して6,000
Vの直流電圧を印加した。かくして得られた未延伸PE
Tフィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸
し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムの片面に空
気雰囲気中でコロナ放電処理を施し、その処理面にグラ
ビアコ−ト方式で上記組成の塗料を二軸延伸後の塗布層
厚みが0.04μmになるように塗布した。塗布された
一軸延伸フィルムをテンタ−内に導き110℃の予熱工
程で水分を乾燥させた後、120℃に加熱しつつクリッ
プで把持しながら幅方向に3.5倍延伸し、続いて22
5℃で5秒間熱処理を施し、塗布層厚み0.04μm、
フィルム厚み10μmの易接着性ポリエステルフィルム
を得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。このフ
ィルムは帯電特性、易滑性、磁性塗料密着性、耐ブロッ
キング性、耐溶剤性、表面平滑性に優れたものであっ
た。
【0057】実施例2 実施例1と同様にして、酸成分はテレフタル酸87.5
モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸12.5モ
ル%、グリコ−ル成分はエチレングリコ−ル91モル
%、ジエチレングリコ−ル9モル%であり、また、ポリ
エチレングリコ−ル含有量は15重量%で、固有粘度は
0.62dl/gであった。実施例1と同様にして、2
重量%の水溶性共重合ポリエステル水溶液を調製した。
一方、添加ワックスの配合比を下記の様に変更した他は
実施例1と全く同様にして塗布層厚み0.04μm、フ
ィルム厚み10μmの易接着性ポリエステルフィルムを
得た。
【0058】[塗料組成] 1)水溶性共重合ポリエステル 94重量部 2)アクリル酸ステアリルのワックス 6重量部 得られた易接着性ポリエステルフィルムの特性を表2に
示す。
【0059】比較例1 水溶性共重合ポリエステルとして、実施例2で使用した
ものと同組成の水溶性共重合ポリエステルを使い、濃度
2重量%の水溶性共重合ポリエステル水溶液を得た。水
溶性共重合ポリエステルの水溶液はほぼ透明性であり、
瀘上物は認められなかった。
【0060】この塗剤を単独で用いて実施例1と同様の
方法で塗布層厚み0.04μm、フィルム厚み10μm
の易接着性ポリエステルフィルムを得た。得られた易接
着性ポリエステルフィルムの特性を表2に示すが易滑性
に劣っていた。
【0061】実施例3〜5、比較例2〜4 実施例1と同様の方法で、表1に示すような組成の濃度
2重量%の水溶性共重合ポリエステルならびに濃度2重
量%のワックスを使い、それぞれ表2に示すような塗布
層厚み0.04μm、フィルム厚み10μmの易接着性
ポリエステルフィルムを得た。
【0062】実施例3〜5は本発明の範囲内のものであ
り、帯電防止性、易滑性、接着性、耐ブロッキング性、
耐溶剤性ともに良好であった。
【0063】一方、比較例2〜4は本発明の範囲外であ
り、水溶性、帯電防止性、易滑性、耐溶剤性、耐ブロッ
キング性等なんらかの特性に劣っていた。
【0064】実施例6 基材フィルムとして、実施例1で用いたポリエチレンテ
レフタレ−トの代わりに、実施例2で使用したポリエチ
レングリコ−ルを15wt%共重合した水溶性共重合ポ
リエステルとアクリル酸ステアリルのワックスをポリエ
チレンテレフタレ−トに混合して用いた以外は、実施例
1と全く同様にして塗布層厚み0.04μm、フィルム
厚み10μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。
すなわち、酸成分としてテレフタル酸88モル%、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸12モル%、ジオ−ル成
分としてエチレングリコ−ル89モル%、ジエチレング
リコ−ル11モル%からなるポリエステル88重量%と
分子量600のポリエチレングリコ−ル12重量%から
なる水溶性共重合ポリエステル90重量部とアクリル酸
オレイルワックス10重量部との混合物10重量%をポ
リエチレンテレフタレ−トに混合して用いた。かくして
得られたフィルムの特性を表2に示すが、このように、
ベ−ス層にスルホン酸ナトリウム塩、ポリエチレングリ
コ−ルおよびアクリル酸ステアリルワックスを有する方
が易滑性、耐ブロッキング性、接着性等に優れているこ
とがわかる。
【0065】
【表1】
【表2】
【0066】
【発明の効果】本発明はポリエステルの少なくとも片面
に、特定量のポリオキシアルキレングリコ−ル成分を含
有してなる水溶性共重合ポリエステルとアクリル系ワッ
クスとを主体とした混合物の塗膜が形成されてなる易接
着性ポリエステルフィルムであって、帯電防止性、易滑
平滑性、水溶性、耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れ、
磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材
料、一般工業材料等に好ましく用いられる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 C09D 167/00 - 167/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルム基体の少なくとも
    片面に、ポリオキシアルキレングリコール成分が、1重
    量%以上、30重量%未満含有されてなる水溶性共重合
    ポリエステルとアクリル系ワックスとを主体とした混合
    物の塗膜が形成されてなる易接着性ポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 上記アクリル系ワックスが、アクリル
    高級脂肪族アルコールとのエステルのワックスである
    ことを特徴とする請求項1記載の易接着性ポリエステル
    フィルム。
  3. 【請求項3】 上記高級脂肪族アルコールの炭素数が1
    0〜24の範囲であることを特徴とする請求項2に記載
    の易接着性ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 上記塗膜が、上記水溶性共重合ポリエス
    テル70〜99.9重量%、アクリル系ワックス30〜
    0.1重量%を主体とした混合物で形成されてなる請求
    項1〜3のいずれかに記載の易接着性ポリエステルフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 上記ポリオキシアルキレングリコール成
    分がポリエチレングリコールであり、その数平均分子量
    が400〜10000であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の易接着性ポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフィルム基体中に、スルホ
    ン酸および/またはその塩を有する化合物が共重合され
    たポリマ、並びにアクリル系ワックスがそれぞれ5pp
    m以上20重量%未満含有されていることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の易接着性ポリエステル
    フィルム。
  7. 【請求項7】 上記ポリエステルフィルム基体中に、さ
    らにポリオキシアルキレングリコールが含有されている
    ことを特徴とする請求項6記載の易接着性ポリエステル
    フィルム。
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