JPH07124000A - 生体成分の測定方法 - Google Patents

生体成分の測定方法

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JPH07124000A
JPH07124000A JP27715793A JP27715793A JPH07124000A JP H07124000 A JPH07124000 A JP H07124000A JP 27715793 A JP27715793 A JP 27715793A JP 27715793 A JP27715793 A JP 27715793A JP H07124000 A JPH07124000 A JP H07124000A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用い
て主反応で生成されたNAD(P)を消費し、主反応を
促進させること; (2)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いてNAD
(P)を消費することによって、生体成分中に含まれる
内因性物質の影響を消去すること; (3)NAD(P)ヌクレオシダーゼ、およびその抗体
またはその阻害剤の一種または二種以上を用いて、NA
D(P)サイクリングを行うこと;をそれぞれの特徴と
するNAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関
与する酸化還元反応を含み、NAD(P)ヌクレオシダ
ーゼを作用させることによる生体成分の各測定方法。 【効果】 本発明の各測定方法によれば、NAD(P)
を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反
応を含む生体成分の各種の測定方法を改良でき、高精度
で迅速な測定が実施できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床検査の分野で利用
される生体成分の新規な測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、臨床検査分野において、血
清、血漿、尿などの生体中の成分(酵素、基質など)を
測定するための反応系に、NAD(P)を補酵素とする
デヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応が多く利用さ
れている。NAD(P)Hは340nmに吸収極大をも
つので、NAD(P)(酸化型補酵素)を生成する反応
においてはNAD(P)H(還元型補酵素)の減少が、
反対に、NAD(P)H(還元型補酵素)を生成する反
応においては、NAD(P)H(還元型補酵素)の増加
が340nmの吸収度変化により測定される。しかし、
デヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応は、ほとんど
が可逆反応であるため、例えばNAD(P)を生成する
反応においては、NAD(P)が増加するに従って逆反
応が大きくなり反応性が低下する、つまり、測定範囲が
狭くなり、反応直線性が伸びなくなるという問題があ
る。同様に、NAD(P)Hを増加させる方法も、NA
DP(H)が増加するに従って逆反応が大きくなり反応
性が低下する。また、生体成分中には、本来目的とする
物質の測定に影響を及ぼす干渉物質、いわゆる内因性物
質が存在する場合がある。このような場合、この内因性
物質も測定すべき物質と同時に測定されることから、測
定精度に悪い影響を与えるという問題がある。一方、微
量の基質や酵素活性を増幅定量する方法として、「酵素
的サイクリング」が知られている。一般には、基質また
は酵素活性から生成した基質の「基質サイクリング」と
して測定される。NAD(P)を補酵素とするデヒドロ
ゲナーゼが関与する酸化還元反応を繰り返す「NAD
(P)サイクリング」もこの酵素的サイクリングの一例
である。「酵素的サイクリング」は、目的の基質や酵素
が微量であっても、これらが増幅されることにより高感
度に測定できるので微量定量法としては有用であるが、
「NAD(P)サイクリング」の場合は、酸化型〔NA
D(P)〕または、還元型〔NAD(P)H〕のいずれ
か一方だけを測定する必要がある。従って、NAD
(P)とNAD(P)Hが共存するため測定不能とな
る。これを解決するためにHPLCを用いて両者を分別
したり、熱処理してどちらか一方を分解する方法がある
が、操作が複雑になる。また、Thio−NAD法は酸
化性基質と還元性基質の両方を測定するが、胆汁酸にお
いては基質によりサイクリング率が異なるため、物質の
定量として問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関
与する酸化還元反応を含む測定方法における上記の問題
点を改良し、高精度で迅速な生体成分の測定方法を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意研究し
た結果、下記の本発明により上記目的が達成されること
を見出した。即ち、本発明は、NAD(P)を補酵素と
するデヒドロゲナーゼが関与する酸化還元反応を含み、
NAD(P)ヌクレオシダーゼを作用させることによる
生体成分の新規な各測定方法であり、その態様としては
次の通りである。 (1)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて主反応で
生成されたNAD(P)を消費し、主反応を促進させる
ことを特徴とする生体成分の測定方法(測定方法1)、
(2)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いてNAD
(P)を消費することによって、生体成分中に含まれる
内因性物質の影響を消去することを特徴とする生体成分
の測定方法(測定方法2)、(3)NAD(P)ヌクレ
オシダーゼ、およびその抗体またはその阻害剤の一種ま
たは二種以上を用いて、NAD(P)サイクリングを行
うことを特徴とする生体成分の測定方法(測定方法
3)。
【0005】本発明において測定される生体成分とは、
血液、血漿、尿、髄液、血球、唾液、涙液等中の酵素、
基質である。
【0006】本発明に使用されるNAD(P)ヌクレオ
シダーゼは、動物組織由来、微生物由来のいずれも用い
ることができる。市販品として、Streptomyces sp., St
reptococcus sp. 由来のものを用いてもよい。
【0007】本発明にいう主反応とは、デヒドロゲナー
ゼ、またはレダクターゼ、オキシゲンナーゼ等、補酵素
としてNAD(P)またはNAD(P)Hを必要とする
酸化還元反応をいう。
【0008】以下、本発明の各測定方法を具体的に説明
する。 (1)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて主反応で
生成されたNAD(P)を消費し、主反応を促進させる
ことを特徴とする生体成分の測定方法(測定方法1):
本方法は、NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲナー
ゼが関与する酸化還元反応のうち、NAD(P)を生成
する反応に用いることができる。具体的には、主反応で
生成したNAD(P)にNAD(P)ヌクレオシダーゼ
を作用させて消費することにより、この主反応が不可逆
反応となり、反応が促進される。測定は、NAD(P)
Hの消費量を340nmの吸光度の減少として求める。
NAD(P)ヌクレオシダーゼは、NAD(P)に反応
しても生成されるものは340nmに吸収がないため、
主反応の測定に影響を与えない。
【0009】本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオ
シダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/
ml、好ましくは5〜50単位/mlあればよい。
【0010】本方法の測定対象となる酵素としては、乳
酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、グルタミン酸−オキサ
ロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸−
ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、ヒドロキシ
酪酸デヒドロゲナーゼ(HBD)、グルタミン酸デヒド
ロゲナーゼ(GlDH)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
(MDH)、コリンエステラーゼ、クレアチンホスホキ
ナーゼ(CPK)、ロイシンアミノペプチダーゼ等が挙
げられる。
【0011】また、本方法の測定対象となる基質として
は、尿素窒素(UN)、トリグリセリド(TG)、遊離
型(非結合型)脂肪酸(NEFA)、クレアチン(CR
N)、シアル酸等が挙げられる。
【0012】尚、UNはGlDHを、GOTはMDH
を、GPTはLDHを、TGはLDHをそれぞれ共役反
応させて測定する。
【0013】(2)NAD(P)ヌクレオシダーゼを用
いてNAD(P)を消費することによって、生体成分中
に含まれる内因性物質の影響を消去することを特徴とす
る生体成分の測定方法(測定方法2):本方法は、NA
D(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸
化還元反応のうち、NAD(P)Hを生成する反応に用
いることができる。本方法においては、まず、内因性物
質に起因する物質に、NAD(P)をNAD(P)Hに
変換するデヒドロゲナーゼを反応させる。その後、NA
D(P)ヌクレオシダーゼを加えてNAD(P)に反応
させ、これを消費し、かくしてNAD(P)を補酵素と
するデヒドロゲナーゼの反応を停止させる。このあと、
本来測定すべき目的物質の測定をするが、そのときはN
AD(P)の関与しない反応系に導いて測定する。それ
には、例えば、オキシダーゼによりH2 2 を生成する
反応や、NAD(P)の代わりにThio−NAD
(P)を基質とする反応などがある。これらの反応では
NAD(P)がNAD(P)ヌクレオシダーゼにより消
費させられるため、デヒドロゲナーゼによりNAD
(P)Hが生成されることはない。
【0014】本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオ
シダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/
ml、好ましくは1〜50単位/mlあれば良い。
【0015】本方法の測定対象となる酵素としては、代
表的にはアミラーゼ(AMY)が挙げられる。
【0016】また、本方法の測定対象となる基質として
は、代表的にはトリグリセリド(TG)が挙げられる。
【0017】本方法を使用する例として、アミラーゼ
(AMY)の測定を挙げる。まず試料中の内因性物質で
あるグルコースにヘキソキナーゼ(HK)を作用させて
グルコース−6−リン酸とし、さらにグルコース−6−
リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−PDH)を作用させ
て6−ホスホグルコン酸とする。次に、NAD(P)ヌ
クレオシダーゼを反応させると、NADが消費され、G
−6−PDHの反応は進行しないようになる。この状態
で、AMYを測定するべく、AMYの酵素活性により生
成したグルコースにグルコースオキシダーゼを加えてH
2 2 を生成するか、またはThio−NAD(P)を
加えてThio−NAD(P)Hの生成を測定する(下
式参照)。
【0018】
【化1】
【0019】また他の例として、トリグリセリド(T
G)の測定においては、まず試料中の内因性物質である
グリセロールにグリセロールキナーゼ(GK)を作用さ
せてグリセロール3−リン酸とし、それと同時にATP
からADPを生成する。ホスホエールピルビン酸を基質
としてピルビン酸キナーゼ(PK)を作用させ、そのA
DPを消費し、ピルビン酸を生成し、ピルビン酸脱水素
酵素(PDH)を用いてグリセロールを消去する。次
に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させると、N
ADが消費され、PDHの反応は進行しないようにな
る。この状態で、TGを測定するべく、Thio−NA
Dを加えてThio−NADHの生成を測定する(下式
参照)。
【0020】
【化2】
【0021】(3)NAD(P)ヌクレオシダーゼ、お
よびその抗体とその阻害剤の一種または二種以上を用い
て、NAD(P)サイクリングを行うことを特徴とする
生体成分の測定方法(測定方法3):本方法は、NAD
(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化
還元反応のうち、NAD(P)Hを生成する反応に用い
ることができる。本方法においては、まず、測定対象物
質に、NAD(P)をNAD(P)Hに変換するデヒド
ロゲナーゼを反応させる。次に、NAD(P)ヌクレオ
シダーゼを作用させて残存しているNAD(P)を消費
する。このあと生成したNAD(P)Hは、サイクリン
グ反応をさせるが、ここでNAD(P)ヌクレオシダー
ゼに対する抗体またはその阻害物質を加えることによ
り、NAD(P)ヌクレオシダーゼを不活性化し、サイ
クリング反応におけるNAD(P)には反応しないよう
にする。一方、サイクリング反応においては、上記で生
成したNAD(P)Hが、第一のデヒドロゲナーゼの作
用を受けてNAD(P)となり、続いて第二のデヒドロ
ゲナーゼの作用を受けてもとのNAD(P)Hに変換さ
れる反応が数回繰り返される(NAD(P)サイクリン
グ)。このサイクリング反応をn回繰り返すと、もとの
NAD(P)Hをn倍に増幅し測定可能となる。
【0022】本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオ
シダーゼの量は、反応液中に通常0.1〜100単位/
ml、好ましくは1〜50単位/mlあれば良い。
【0023】本方法の測定対象となる酵素としては、具
体的には、GOT、GPT、LDH、AMY、CPK等
が挙げられる。
【0024】また、本方法の測定対象となる基質として
は、3α−ヒドロキシステロイド、myo−イノシトー
ル、L−リンゴ酸、α−アミノ酸、グルコース、D−ガ
ラクトース−6−リン酸、D−グリセロアルデヒド−3
−リン酸、乳酸、ピルビン酸、D−ソルビトール、D−
マンニトール、グリセロール、カルニチン、コレステロ
ール等が挙げられる。
【0025】NAD(P)ヌクレオシダーゼ阻害剤に
は、ニコチンアミド、アデノシンジホスフェートリボー
ス、アデノシンモノホスフェート、アデノシンジホスフ
ェートリボース等が挙げられる。抗NAD(P)ヌクレ
オシダーゼ抗体は、ASO陽性血漿、血清から、または
マウス、ウサギ、ヤギなどにNAD(P)ヌクレオシダ
ーゼを感作させて得ることができる。
【0026】本方法で使用されるNAD(P)ヌクレオ
シダーゼ阻害剤、抗NAD(P)ヌクレオシダーゼ抗体
の使用量は、使用するNAD(P)ヌクレオシダーゼに
対し、瞬時、あるいは1〜10分以内に、NAD(P)
ヌクレオシダーゼが完全に反応を停止する量を使用すれ
ばよい。NAD(P)ヌクレオシダーゼ阻害剤、抗NA
D(P)ヌクレオシダーゼ抗体は単独で、または2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】本方法を使用する例として、3α−ヒドロ
キシステロイドの測定を挙げることができる。まず試料
にNADを補酵素として3α−ヒドロキシステロイドデ
ヒドロゲナーゼ(3α−HSDH)を作用させる。次
に、NAD(P)ヌクレオシダーゼを反応させ、残存し
ているNADを消費し、続いてNAD(P)ヌクレオシ
ダーゼに対する抗体または阻害物質を加えてNAD
(P)ヌクレオシダーゼの作用を停止させる。引き続い
て、生成したNADHを、ニトロテトラブルーを基質と
し、第一のデヒドロゲナーゼとしてダイアフォラーゼを
作用させてNADとし、またグルコース−6−リン酸を
基質とし、第二のデヒドロゲナーゼとしてグルコース−
6─リン酸デヒドロゲナーゼを作用させてNADHにも
どすサイクリング反応を数回行う(下式参照)。
【0028】
【化3】
【0029】また他の例として、グルコースの測定にお
いては、まず試料にNADPを補酵素としてグルコース
デヒドロゲナーゼ(GDH)を作用させる。次に、NA
D(P)ヌクレオシダーゼを反応させ、残存しているN
ADPを消費し、続いてNAD(P)ヌクレオシダーゼ
に対する抗体または阻害物質を加えてNAD(P)ヌク
レオシダーゼの作用を停止させる。引き続いて、生成し
たNADPHを、α−ケトグルタル酸を基質とし、第一
のデヒドロゲナーゼとしてグルタミン酸デヒドロゲナー
ゼ(GlDH)を作用させてNADPとし、またグルコ
ース−6−リン酸を基質とし、第二のデヒドロゲナーゼ
としてグルコース−6─リン酸デヒドロゲナーゼを作用
させてNADPHにもどすサイクリング反応を数回行う
(下式参照)。
【0030】
【化4】
【0031】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するため実施例を
挙げるが、本発明はこれら実施例によって何ら限定され
るものではない。
【0032】実施例1 以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。 ・試薬1(pH7.8) トリスヒドロキシメチルアミノメタン 80 mmol/l β−NADH 0.23 mmol/l
【0033】 ・試薬2(pH7.8) リン酸一カリウム 50 mmol/l ピルビン酸ナトリウム 7.4 mmol/l NAD(P)ase (Streptomyces属由来) 24 U/l
【0034】 ・試薬3(pH7.8) リン酸一カリウム 50 mmol/l ピルビン酸ナトリウム 7.4 mmol/l
【0035】これらの試薬を、乳酸デヒドロゲナーゼ
(LDH)酵素測定用試薬として、以下の測定に供し
た。まず、試料7μlと試薬1を320μl混和し、5
分間37℃に恒温後、試薬2または試薬3を80μl加
え、攪拌後、37℃で340nmにおける1分間当たり
の吸光度変化量(1〜3分後)を求めた。盲検として、
試料の代わりに生理的食塩水を用いて同様の操作を行っ
た。試料にはブタ心筋由来の高値の乳酸デヒドロゲナー
ゼ(LDH)を10段階希釈したものを使用した。その
結果を図1、2に示す。本方法(試薬1+試薬2によ
る)は従来法(試薬1+試薬3による)に比べ、測定範
囲が広がり、反応直線性が向上した。
【0036】実施例2 以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。 ・試薬4(pH8.5) トリエタノールアミン 100 mmol/l β−NADPH 0.33 mmol/l グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(酵母由来) 23 U/ml α−ケトグルタル酸 15 mmol/l 界面活性剤 0.2 % ウシ血清アルブミン 0.75 %
【0037】 ・試薬5(pH7.5) リン酸一カリウム 50 mmol/l ウレアーゼ(細菌由来) 1.0 U/ml ウシ血清アルブミン 0.75 % NAD(P)ase (Streptomyces属由来) 4.0 U/ml
【0038】 ・試薬6(pH7.5) リン酸一カリウム 50 mmol/l ウレアーゼ(細菌由来) 1.0 U/ml ウシ血清アルブミン 0.75 %
【0039】これらの試薬を、血清尿素窒素(UN)測
定用試薬とし、以下の測定に供した。まず、試料6μl
と試薬4を250μl混和し、5分間37℃に恒温後、
試薬5または試薬6を100μlを添加し、37℃で3
40nmにおける1分間当たりの吸光度変化量(2〜4
分後)を求めた。盲検として、試料の代わりに生理的食
塩水を用いて同様の操作を行った。試料には尿素窒素と
して約500mg/dlとなるように調製したものを1
0段階希釈したものを使用した。その結果を図3に示
す。本方法(試料4+試料5による)は従来法(試料4
+試料6による)に比べ、測定範囲が広がり、反応直線
性が向上した。
【0040】実施例3 以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。 ・試薬7(pH7.0) HEPES 0.1 mol/l NaCl 60 mmol/l MgCl2 5 mmol/l CaCl2 1 mmol/l ATP 5 mmol/l β−NAD 3 mmol/l ウシ血清アルブミン 0.1 % α−グルコシダーゼ(酵母由来) 125 U/ml ヘキソキナーゼ(HK)(酵母由来) 5 U/ml グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ (G6PDH) 10 U/ml
【0041】 ・試薬8(pH7.0) HEPES 0.1 mol/l NaCl 60 mmol/l MgCl2 5 mmol/l CaCl2 1 mmol/l G5 30 mmol/l Thio−NAD 5 mmol/l NAD(P)ase (Streptomyces属由来) 0.25 U/ml
【0042】・AMY試薬・A(国際試薬(株)製/従
来品)
【0043】これらの試薬を、アミラーゼ測定用試薬と
して、以下の測定に供した。まず、試料7μlと試薬7
を280μlを混和し、5分間37℃に恒温する。次
に、試薬8を70μl添加し、37℃で405nmにお
ける1分間当たりの吸光度変化量(3〜5分後)を求め
た。AMY試薬・A(国際試薬(株)製)を用いたG7
PNP法による測定は、使用説明書に従い、検体8μl
と第一試薬320μlを混和し、37℃で5分間恒温
し、次に第二試薬を80μl添加し、37℃で405n
mにおける1分間当たりの吸光度変化量(3〜4分後)
を求めた。試料として、患者血清検14例及びプール血
清に最大2g/dlのグルコースを添加し、消去効果を
確認した。従来法のG7 PNP法との血清検体における
相関性は、相関係数0.999、回帰式1.016x−
3.1となり、良好な結果を得た(図4)。また、本法
によれば、アミラーゼ測定値へのグルコースの干渉も2
g/dlまでないことが確認できた(図5)。
【0044】実施例4 以下の組成の試薬をそれぞれ調製する。 ・試薬9(pH8.0) リン酸二カリウム 50 mmol/l β−NAD 6 mmol/l ウシ血清アルブミン 0.03 % オキサミン酸カリウム 75 mmol/l 3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ 20 U/ml
【0045】 ・試薬10(pH7.0) NAD(P)ase (Streptomyces属由来) 10 U/ml リン酸一カリウム 25 mmol/l ウシ血清アルブミン 0.03 %
【0046】 ・試薬11(pH7.0) 抗NAD(P)ase抗体 1000 トッド単位 リン酸一カリウム 25 mmol/l ウシ血清アルブミン 0.1 %
【0047】 ・試薬12(pH8.0) グルコース−6−リン酸(G6P) 20 mmol/l リン酸二カリウム 50 mmol/l ウシ血清アルブミン 0.03 % ニトロテトラゾリウムブルー 1.2 mmol/l トリトンX−100 0.5 % グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 6 U/l ダイアフォラーゼ 6 U/l オキサミン酸カリウム 40 mmol/l
【0048】・胆汁酸・E「コクサイ」(国際試薬
(株)製/従来品)
【0049】これらの試薬を、血清中総胆汁酸濃度測定
用試薬として、以下の測定に供した。尚、試薬11中の
抗NAD(P)ase抗体は、ASLO陽性血漿の高力
価のものをゲル濾過して精製したものを用いた。まず、
試料100μlと試薬9を1.0ml混和し、5分間3
7℃に恒温後、試薬10を500μl加え、5分間37
℃で反応させ、さらに試薬11を500μl加え、5分
間37℃で反応させる。最後に試薬12を1.0ml加
え、37℃で550nmにおける1分間当たりの吸光度
変化量(1〜3分後)を求めた。胆汁酸・E「コクサ
イ」(国際試薬(株)製)は、使用説明書に従い、検体
20μlに第一試薬320μlを添加し、37℃で5分
間恒温し、次に第二試薬を80μl添加後、5分後の吸
光度を546nmで測定した。また、検体ブランクとし
て第一試薬から3α−HSDを抜いたブランク試薬を同
様に操作し、この測定値を差し引いて、胆汁酸濃度を求
めた。試料には血清20例、標準液(コール酸ナトリウ
ム 50μmol/l)を100μmol/lを最高に
10段階希釈したものを使用した。盲検として、試料の
代わりに生理的食塩水を用いて同様の操作を行った。そ
の結果を図6に示す。本方法(試料9〜12による)に
よれば、約80μlmol/lまで直線性が確認され
た。一方、従来法(3 α−HSD−ホルマザン法)との
相関係数は、r=0.953、回帰式y=0.974x
−0.287となり、良好な相関性を示した。
【0050】
【発明の効果】本発明の各測定方法によれば、NAD
(P)を補酵素とするデヒドロゲナーゼが関与する酸化
還元反応を含む生体成分の各種の測定方法を改良でき、
高精度で迅速な測定が実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法1と従来法による乳酸脱水素
酵素測定の検量線を示す。
【図2】本発明の測定方法1と従来法による乳酸脱水素
酵素測定時の経時変化を示す。
【図3】本発明の測定方法1と従来法による尿素窒素測
定の検量線を示す。
【図4】本発明の測定方法2と従来法によるアミラーゼ
測定における相関性を示す。
【図5】本発明の測定方法2での、アミラーゼ測定値へ
のグルコースの干渉を示す。
【図6】本発明の測定方法3による血清中総胆汁酸濃度
測定の検量線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 基夫 大阪府堺市鴨谷台3−2−20−204 (72)発明者 岸 浩司 兵庫県神戸市西区室谷1丁目1−2 国際 試薬株式会社研究開発センター内 (72)発明者 白波瀬 泰史 兵庫県神戸市西区室谷1丁目1−2 国際 試薬株式会社研究開発センター内 (72)発明者 渡津 吉史 兵庫県神戸市西区室谷1丁目1−2 国際 試薬株式会社研究開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NAD(P)を補酵素とするデヒドロゲ
    ナーゼが関与する酸化還元反応を含み、NAD(P)ヌ
    クレオシダーゼを作用させることを特徴とする生体成分
    の測定方法。
  2. 【請求項2】 NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて
    主反応で生成されたNAD(P)を消費し、主反応を促
    進させることを特徴とする請求項1記載の生体成分の測
    定方法。
  3. 【請求項3】 NAD(P)ヌクレオシダーゼを用いて
    NAD(P)を消費することによって、生体成分中に含
    まれる内因性物質の影響を消去することを特徴とする請
    求項1記載の生体成分の測定方法。
  4. 【請求項4】 NAD(P)ヌクレオシダーゼ、および
    その抗体またはその阻害剤の一種または二種以上を用い
    て、NAD(P)サイクリングを行うことを特徴とする
    請求項1の生体成分の測定方法。
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