JPH0712289Y2 - 容器における蓋体施錠装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は蓋体を有する容器の蓋体施錠装置、特に蓋付き
の合成樹脂製コンテナー等における蓋体の施錠装置に関
するものである。

［従来の技術］ 蓋体を有する合成樹脂製コンテナーの施錠装置の多く
は、「パチン錠」と称されている屈曲した金属杆で作ら
れたフック部材を蓋体の縁部に回動自在に固定し、コン
テナー本体の外壁に固設した金属製の掛止片に掛止めす
る装置が使用されている。

かゝる施錠装置は施錠、開錠の操作が容易かつ確実な点
で好評を得ているものである。

［考案が解決しようとする課題］ 上記パチン錠におけるフック部材、及び掛止片は、合成
樹脂の蓋体及びコンテナー本体に対してリベットにより
強固に、かつ着脱不能に固定されるものである。

従ってこのためのマーキング、孔加工、リベット締など
の多くの煩瑣な加工工程を必要とするもので、これがコ
ンテナーのコストアップにも影響していた。

又、マーキングや孔加工の精度が出しにくく、その結果
不良品の発生も多く、後調整の必要がしばしば生じてい
た。更に、金属杆の屈曲で作られたフック部材は長期の
使用で変形した場合も取り替えることができない点にも
問題があった。

［課題を解決するための手段］ 本考案はかゝる従来のコンテナー施錠装置の持つ問題点
を解消して取付が容易で、必要に応じて取替えも可能な
施錠装置を提供するものである。

即ち、本考案における請求項１の考案は、外縁の所定部
位に一定間隙を存して開口し、内部に係止用突部を形成
してなる挾持部を有する蓋体の、上記挾持部に嵌入挾持
される二つ折りした板状体からなる断面ヘアピン状の係
止部材と、該係止部材の前記二つ折りした屈曲部に軸支
されて回動し、容器本体外壁に固定した掛止片に掛止め
しうるフック部材とからなり、前記係止部材の二つ折り
した一方の板部には蓋体の挾持部に嵌入することによっ
て前記係止用突部が嵌入しうる係止孔を有し、他方の板
部に中央部を屈曲させて、前記一方の板部に接触させる
ことによって、係止部材にバネ力を付勢させて挾持部に
係止するようにしたことを特徴とするものである。

又、請求項２の考案は、外縁の所定部位に一定間隙を存
して開口し、内部に係止用突部を形成してなる挾持部を
有する蓋体の、上記挾持部に嵌入挾持される板状の係止
部材と、該係止部材の基端に形成した軸受部に軸支され
て回動し、容器本体外壁に固定した掛止片に掛止めしう
るフック部材とからなり、前記係止部材の先端には、係
止部材を前記挾持部に嵌入することによって、係止用突
部に係止される鉤状突起部を形成したことを特徴とする
ものである。

［作用］ 本考案の施錠装置は、係止部材と、フック部材とで構成
され、係止部材を容器の蓋体に設けた挾持部に嵌して挾
持することにより、従来のリベット締め方式に伴うマー
キング、孔加工、リベット締めなどの煩瑣な加工を要す
ることなく、簡単かつ確実な取付けが可能である。

かゝる取付けに関し、請求項１の考案においては、蓋体
の挾持部における係止用突部が、板状体の二つ折りで形
成された前記係止部材の一方の板部に形成された係止孔
に嵌入して係止されることと、他方の板部の中央を前記
一方の板部に接触させることによって生ずるバネ力で係
止部材を挾持部の壁に押付けることによって、離脱する
ことなく、確実に取付けることができるものである。

前記係止用突部を係止孔に嵌入させる手段は、主として
挾持部の引抜き方向に対する係止であるが、係止部の先
端に狭隘部を形成し、これが挾持部の内奥に形成した狭
隘部に当接することによって、差込み方向に対する確実
な係止を行うこともでき、更に係止部材の先端を内側に
屈曲させることによって係止部材の嵌入装着を容易にな
すことができる。

又、請求項２の考案においては、係止部材に設けた鉤状
突起部が、蓋体の挾持部に設けた係止用突部を乗り超え
て嵌入することにより、鉤状突起部が係止用突部に係止
されて離脱することなく確実に取付けられるものであ
る。

かくて、係止部材を蓋体に取付けた後は、従来のパチン
錠と同様にフック部材を操作して容器本体に固着した掛
止片に掛止めして施錠すると共に、この掛止めを解除す
ることにより容易に蓋体を開放することができる。

［実施例］ 以下、添付の図面を利用して本考案をより具体的に説明
する。

第１図、第２図は請求項１の考案に係る合成樹脂製コン
テナーの蓋体施錠装置の一例を示すもので、１はコンテ
ナー本体、６は蓋体、10は施錠装置である。

コンテナー本体１は外壁２の上縁に鍔３を形成し、外面
に多数のリブ４を交叉して設けたもので、その中のリブ
4aに、Ｌ型に曲折した金属製の掛止片５がボルト又はビ
スによって、その下縁が下方に垂下状となるように固定
されている。

コンテナー本体１の上記掛止片５に対応する蓋体６の外
縁部分には、挾持部７が形成されており、この挾持部７
は、蓋体６の上面に、側板と上板とによって一定の間隙
を有する空間部Ｘを形成し、蓋体６の外方に向けて開口
する開口部を有するものである。

又、上板には弧状に弯曲する切込部９を形成している。

挾持部７の上板の奥部内側には空間部Ｘ内に突出する係
止用突部８を具備している。

施錠装置10は、係止部材11とフック部材17とよりなり、
係止部材11は、板状体を二つ折りすることによって、ヘ
アピン状の断面を形成し、その二つ折りした屈曲部を軸
受部13としてフック部材17を軸支するようになしてい
る。

又、係止部材11の二つ折りした上板部12aは、前記軸受
部に対向する先端部の両側を傾斜状に狭めて狭隘部15a
となすと共に、若干下方に向けて曲折して屈折端部15b
を形成し、この狭隘部15aの近傍中央には、係止孔14を
形成している。

係止部材11の下板部12bは、その軸受部13より上板部12a
と一定の間隔を保った後、次第にその間隔を狭めて、上
板部12aと接触して接触部16を形成し、次いで次第に間
隔を拡げて、先端を前記と同様の一定の間隔となるよう
に構成している。

そしてその先端は上板部の狭隘部15と同様に狭隘な部分
を形成している。

フック部材17は、金属杆によって形成されて、係止部材
11の軸受部13に回動自在に軸支されて軸受部13の両側か
ら伸び、図示の如く屈曲して下部に操作部18を形成して
いるものである。

上記構造の施錠装置10は、その係止部材11を、蓋体６に
おける挾持部７の開口部より嵌入して挾持させるもので
ある。

係止部材11は挾持部７に嵌入される際に、上板部12a先
端の曲折端部15bによって、充分な余裕をもって嵌入さ
れると共に、挾持部７に形成した係止用突部８が係止孔
14に嵌入して挾持される。

図示しないが、挾持部７の奥部両側は、係止部材11の先
端に形成した狭隘部15aの両側の傾斜部分に合致する形
状をなしており既述のとおり、嵌入によって係止用突部
８が係止孔14に嵌入すると同時に狭隘部15aの両側の傾
斜部分が、挾持部７の奥部両側面に当接して確実に挾持
されるものである。

又、この嵌入に際しては係止部材11の下部板12bの接触
部16以外の両側の部分がバネの役目をなし、このバネの
付勢力によって蓋体６への押付けを強化し、同時に接触
部16が上板部12aを押して確実な挾持が可能である。

この様にして係止部材11を係止した蓋体６によって、コ
ンテナー本体１を閉止する場合、操作部18を操作してフ
ック部材17をコンテナー本体１の掛止片５に掛止めする
ことによって確実に施錠することができ、その逆の操作
によって容易に開錠することが可能である。

次に第３図、第４図は請求項２の考案の一態様を示すも
ので、外壁52,リブ54,54a,鍔53を有しリブ54aに掛止片5
5を固定したコンテナー本体は第１図、第２図と同様で
ある。又、蓋体56に挾持部57を形成し、内部に空間部Ｘ
を形成した点も同じであるが、その開口部近傍の内部に
係止用突部58と上板に透孔59を形成している点で相違し
ている。

一方、施錠装置60は、係止部材61と、該係止部材61の基
端に形成した軸受部63に操作部65を有するフック部材64
を回動自在に軸支した点は、前記第１図、第２図と同様
であるが、係止部材61は、１枚の板状体で構成し、先端
に鉤状突起部62を形成した点で相違している。

第４図で特に明らかな通り、施錠装置60は、その係止部
材61の先端を、蓋体56の挾持部57に嵌入させることによ
って、鉤状突起部62が、係止用突部58を越えて嵌入され
ることによって確実に係止される。

以後は、フック部材64の操作部65を操作して該フック部
材64をコンテナー本体51の掛止片55に掛することによ
り、施錠することができ、その逆の操作によって開錠す
ることができる。

［考案の効果］ 以上詳述した通り、本考案の施錠装置は、蓋体への取付
けを、該蓋体に形成した挾持部に、施錠装置の係止部材
を嵌入挾持させることによって行うもので、これにより
装置取付けのための加工作業を大幅に軽減し、蓋体の施
錠可能な容器を容易かつ安価に得ることができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案における請求項１の考案の施錠装置及
びその取付を説明する部分分解斜視図、第２図は同じく
取付状態の縦断面図である。 第３図は請求項２の考案の施錠装置及びその取付を説明
する部分分解斜視図、第４図は同じく取付状態の縦断面
図である。 1,51……コンテナー本体 2,52……外壁 3,53……鍔 4,4a,54,54a……リブ 5,55……掛止片 6,56……蓋体 7,57……挾持部 8,58……係止用突部 10,60……施錠装置 11,61……係止部材 13,63……軸受部 14……係止孔 17,64……フック部材 62……鉤状突起部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外縁の所定部位に一定間隙を存して開口
   し、内部に係止用突部を形成してなる挾持部を有する蓋
   体の、上記挾持部に嵌入挾持される二つ折りした板状体
   からなる断面ヘアピン状の係止部材と、該係止部材の前
   記二つ折りした屈曲部に軸支されて回動し、容器本体外
   壁に固定した掛止片に掛止めしうるフック部材とからな
   り、前記係止部材の二つ折りした一方の板部には蓋体の
   挾持部に嵌入することによって前記係止用突部が嵌入し
   うる係止孔を有し、他方の板部の中央部を屈曲させて、
   前記一方の板部に接触させることによって、係止部材に
   バネ力を付勢させて挾持部に係止するようにしたことを
   特徴とする容器における蓋体施錠装置。
2. 【請求項２】外縁の所定部位に一定間隙を存して開口
   し、内部に係止用突部を形成してなる挾持部を有する蓋
   体の、上記挾持部に嵌入挾持される板状の係止部材と、
   該係止部材の基端に形成した軸受部に軸支されて回動
   し、容器本体外壁に固定した掛止片に掛止めしうるフッ
   ク部材とからなり、前記係止部材の先端には、係止部材
   を前記挾持部に嵌入することによって、係止用突部に係
   止される鉤状突起部を形成したことを特徴とする容器に
   おける蓋体施錠装置。