JP3518730B2 - 扉開閉装置 - Google Patents

扉開閉装置

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JP3518730B2
JP3518730B2 JP30150898A JP30150898A JP3518730B2 JP 3518730 B2 JP3518730 B2 JP 3518730B2 JP 30150898 A JP30150898 A JP 30150898A JP 30150898 A JP30150898 A JP 30150898A JP 3518730 B2 JP3518730 B2 JP 3518730B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉への取り付け作
業を該扉の構造に制約されることなく容易に行うことが
できるようにした扉開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ロッカー若しくは書庫等の扉に
は、その所定高さ位置に扉開閉装置が設けられている。
このものは、扉の開閉を行う引手部を扉の前面に表出さ
せて配設し、扉を閉止位置にロックするための施錠機構
を操作力入力部となる施錠部のみを扉の前面に表出させ
それ以外の部位を扉の背面に隠蔽状態で配設して構成さ
れているのが通例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
の扉開閉装置は、引手部と施錠部とが別体の部材により
構成され、これらを別途ねじ等を介して扉に取り付ける
ようにしている。その理由は、引手部は扉に設けた取付
孔に嵌装して取り付けるのが通例であり、取付孔の開口
縁を隠蔽するためにも取付孔より拡開したフランジ部を
前面側に備え、扉の前面側から取り付けられるのに対し
て、施錠部は上記のように大半が扉の背面側に隠蔽され
るため扉の背面側から取り付けられ、取付方向が逆であ
る事に起因する。
【0004】このため、取付作業に係る工数が多く、作
業性が極めて悪い上に、ねじを始めとする各種部品点数
も増加して、ロッカー等の製造コストの増大を招いてい
るという問題がある。これに対して、基体に引手部及び
施錠部を一体的に設け、その基体を扉に取り付けること
で引手部及び施錠部を所定位置に同時に定着させるよう
に構成することが一つの有効な手段として考えられる。
具体的には、扉のうち、引手部及び施錠部の各所定取付
位置にそれぞれ取付孔を形成し、引手部用の取付孔を介
し一端側を扉の前面側に位置づけ他端側を扉の背面側に
位置づけて基体を配設した後、該基体を取付姿勢にまで
回動させることによって、引手部を扉の前面側から取付
孔に、また施錠部を扉の背面側から取付孔にそれぞれ装
入し得るように構成すれば、後はその位置を保持するだ
けで、施錠部及び引手部は一体的に定着され得る。例え
ば、施錠部は扉を収納庫本体にロックできるように各種
の伝達部材等を介して収納庫本体に関連づけられている
ため、逆にそれらの伝達部材のみにより基体を所定取付
位置に保持させておくことも可能である。
【0005】しかし、上記のような取付構造は、施錠部
に前面側からキーが差し込まれたり、該施錠部に不慮に
外力が加わったり、引手部が手前に牽引されたりする
と、基体は一端側を支点にして他端側が後傾する方向に
回動モーメントを生じ、特に伝達機構等に起因して施錠
部が引手部から離間しているような構造の下ではその回
動モーメントが大きくなるため、基体の定着を伝達機構
等を含めて周辺構造物にのみ依存すると、基体の取付孔
からの脱落を招く恐れもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる従来例
の不都合に着目してなされたものであり、その目的とす
るところは、引手部と施錠部との一体化を図りつつ扉へ
の取付作業の容易化を達成することができ、その取付状
態にも確実を期すことができ、扉の種類によらず広範に
適用することもできる扉開閉装置を提供しようとするも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】そのために、本発明の扉開閉装置
は、扉に、一端側に引手部を備え他端側に扉の背面側か
ら位置づける施錠部を備えた基体を取り付けて構成され
るものであって、前記扉のうち、引手部の所定取付位置
に施錠部を設けた基体の他端側よりも小さい取付孔を形
成するとともに施錠部の所定取付位置にも取付孔を形成
し、前記基体に、該引手部の外周囲に引手部の取付孔の
開口よりも若干拡開し扉の前面側に位置づけるフランジ
部分を形成し、少なくとも引手部のフランジ部分を扉の
背面側から引手部の取付孔を介し、扉の前面側に位置づ
るとともに施錠部を扉の背面側から位置づけて基体を
配設した後、該基体を取付姿勢にまで回動させることに
よって、引手部を扉の前面側から取付孔に、また施錠部
を扉の背面側から取付孔に装入し得るように構成すると
ともに、その位置で基体の一端側及び他端側を各々係合
部を介して扉に係合させてなることを特徴とする。
【0008】このように、本発明は、引手部と施錠部と
を一体的に設け、基体を係合部を介して扉に取り付ける
ことにより引手部及び施錠部を同時に所定位置に定着さ
せるものであるため、それらを別体物として個別に扉に
取り付ける場合に比べて、ねじ等を多数用いる必要がな
く、取付工数を削減することができる。しかも、基体が
それ自体で扉に固定され、取付構造が周辺構造物に依存
しないため、施錠部に対するキー操作等に起因して適正
な取付状態が損なわれるようなことがなく、また種々の
タイプの扉に対して本発明を有効に適用することができ
る。
【0009】基体の他端側と扉との係合部としては、基
体に設けた係合爪と、扉の背面において前記係合爪を係
合させる位置に設けた被係合部とにより構成することが
簡易である。具体的な態様としては、係合爪を下向鉤形
のものにし、被係合部を上向L字形に屈曲するものにす
ることで、係合強度を有効に高めることができる。ま
た、基体の一端側と扉との係合部としては、引手部用の
取付孔と、前記フランジ部分と、このフランジ部分の背
後にあってフランジ部分が取付孔の開口縁に前面側から
当接した際に該扉の背面に係合する係合爪とにより構成
することが簡易である。
【0010】扉の具体例としては、少なくとも上下何れ
か一方に向かって基体に突没可能に設けた閂と、扉が閉
止位置にあるときに閂の先端部近傍にあって該閂を突出
させた際にその先端部を係留する係留部とによってその
閉止位置に保持されるものが挙げられ、その場合は閂を
突出位置に選択的にロックし得るものを施錠部とし得
る。
【0011】この場合、取付作業の便を向上させるため
には、閂と、基体に設けた回動部材の回動端との間を、
部材の弾性変形を利用して係合する弾性係合部を介して
連結していることが好ましい。閂と回動部材の間に、連
結部材を介在させてなる場合には、弾性係合部を、閂と
連結部材の間及び連結部材と回動部材の間の各々に設け
ておくことが望ましい。
【0012】回動部材が、枢支点を挟んで対向する位置
に一対の回動端を具備するものである場合に、その回動
部材の基体からの脱落を別途に蓋部材等を用いずに防止
するためには、回動端とそれぞれ対応する上閂若しくは
下閂との間を連結部材を介して連結するとともに、少な
くとも一方の連結部材を、基体の対応位置に設けたスリ
ットに挿通しておくことが有効となる。
【0013】その場合に構造の簡素化を図るためには、
一方の連結部材を、回動部材を回動付勢するための操作
レバーとし、この操作レバーの操作端を前記スリットを
介して引手部内に引き込んでおくことが有効となる。施
錠部は、部材の弾性を利用して係合する弾性係合部を介
して基体に取り付けられていることが簡便である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して
説明する。図1には、本実施例の扉開閉装置を収納庫の
扉1A、1Bに適用した状態が正面側から見た斜視図と
して示されており、図2にその裏面斜視図、図3に同正
面図がそれぞれ示されている。これらの図において、扉
1A、1Bは、収納庫本体2側の前面開口部を開閉し得
るように図示しない吊元側縁部を適宜部位に蝶着された
観音開き方式のもので、右側の扉1Aは、上下両方向に
向かって突没可能に設けた閂11、12と、収納庫本体
2の天井面21及び床面22付近に設けられ扉1Aが閉
止位置にあるときに突出した閂11、12の先端と係合
可能なスリット13a、14aをもつ係留部13、14
(図3、図9参照)とによって閉止位置に保持されるよ
うにしてある。また、この扉1Aの反吊元側の縁部1a
には、背面側に屈曲する折曲片1a1が形成されるとと
もに、左側の扉1Bに向かって突没可能に係合片15が
配設してあり、これに対する左側の扉1Bの反吊元側の
縁部1bに閉止時に前記右側の扉1Aの反吊元側縁部1
aの折曲片1a1の更に後方に回り込んで重合する折曲
片1b1を配設していて、閉止位置で係合片15を折曲
片1b1の背面側に突出させることによって、左右の扉
1A、1Bを相互に拘束し得るようにしている。
【0015】そして、前記閂11、12を利用して扉開
閉装置3を構成している。この扉開閉装置3は、図4及
び図5に示すように、一端3a側に引手部3Aを、また
他端3b側に施錠部3Bをそれぞれ備えた基体30を主
体とするもので、この基体30を取り付けるために、図
1、図6及び図7に示すように、扉1Aの前面における
引手部3Aの取付対応位置に矩形状の取付孔16を形成
し、施錠部3Bの取付対応位置に円形状の取付孔17を
形成している。
【0016】一方、基体30は、引手部3Aが構成され
る下半部領域31と施錠部3Bが構成される上半部領域
32とを樹脂素材により一体成形してなるもので、下半
部領域31は底壁の周囲から前方に向けて漸次内空31
bが拡開する四角錐状をなし、その前面側に開口する内
空31bに指を差し込んで引手として利用できるように
なっている。この下半部領域31の前面側の外周位には
前記取付孔16の開口よりも若干拡開したフランジ部分
31cが形成してあり、図6に示すように基体30を傾
斜させた状態でその一端3a側を前記扉1Aの取付孔1
6に扉1Aの裏面側から挿通し、しかる後、フランジ部
分31cの上縁部を取付孔16の上側の開口縁に当てが
った状態で全体が起立する方向に回動させることによっ
て、そのフランジ部分31cを取付孔16の開口周辺部
に当接させ得るようにしている。また、このフランジ部
分31cの背後には、図2、図4、図6及び図7に示す
ように、該フランジ部分31cが取付孔16の開口縁に
前面側から当接した際に該扉1Aの背面に係合する係合
爪31dが設けてあり、所定取付位置で、これら取付孔
16及び係合爪31dが基体30の一端3a側を扉1A
に係合させるための本発明の係合部Pを形成し得るよう
にしている。
【0017】一方、上半部領域32は、偏平な箱形をな
すもので、上壁32aの下面に係合爪32bを有し、底
壁32cの上面に施錠部3Bを取り付けるための取付部
を形成している。係合爪32bは、下向鉤形をなして設
けられ、この係合爪32bに対応する扉1Aの背面には
上端に上向L字形の被係合部33aを備えた金具33が
取着されていて、所定取付位置においてその係合爪32
bが被係合部33aに係合することによって本発明の係
合部Mを形成し得るようにしている。その際、係合爪3
2bの下面はテーパ状をなしており、その下面に沿って
被係合部33aの起立した先端部分との係合を深めてゆ
き、所定取付位置でそのテーパの終端に設けた段部が被
係合部33aの先端部分に落ち込んで係合が完了するよ
うになっている。このため、円滑な操作で確実な係合状
態が得られるものである。また、取付部は、図4及び図
5に示すように、施錠部3Bの土台となるベース34の
適宜位置を載置すべく底壁32cの適宜位置に突設した
リブ34aと、前記ベース34を囲繞する適宜箇所に配
設され該ベース34を通過させる際に経過的に弾性変形
するとともに通過後に復元してベース34を前記リブ3
4aに押し付けて保持する弾性爪34bとからなるもの
で、弾性爪34bとベース34とによって本発明の係合
部Qを形成し得るようにしている。
【0018】なお、前記基体30内には、軸心を挟む対
向位置に一対の回動端35a、35bを有する回動部材
35が配設してあり、その一方の回動端35aに連結部
材である連結杆36を介して上閂11を連結し、他方の
回動端35bに連結部材である操作レバー37を介して
下閂12を連結するようにしている。具体的には、図5
及び図8に示すように、連結杆36の下端側に段付き孔
36bを設け、この段付き孔36bの小径部から大径部
に向けて回動部材35の回動端35aに突設した割りピ
ン状の弾性突起35cを係合させて本発明の弾性係合部
Sを形成するとともに、操作レバー37の上端側に段付
き孔37aを設け、この段付き孔37aの小径部から大
径部に向けて回動部材35の回動端35bに突設した割
りピン状の係合突起35dを係合させて本発明の弾性係
合部Tを形成するようにしている。その際、連結杆36
の一部を基体30の上壁32aに設けたスリット32a
1に挿通し、操作レバー37の一部である操作端37c
を引手部3Aと施錠部3Bとを区画する位置において基
体30に設けたスリット38a付きの隔壁38の当該ス
リット38aに挿通して引手部3A内に引き込んでおく
ようにする。そして、連結杆36の上端側に上向弾性爪
36aを設け、操作レバー37の下端側に下向係合爪3
7bを設けて、基体30の所定取付位置で、上向弾性爪
36aを上閂11の下端に設けた開口窓11aに係合さ
せて本発明の弾性係合部Rを形成するとともに、下向係
合爪37bを下閂12の上端に設けた開口窓12aに係
合させて本発明の弾性係合部Uを形成するようにしてい
る。具体的には、上閂11は横断面コ字形をなし、前記
開口窓11aはこの上閂11の下端付近の底壁部に設け
られているもので、連結杆36の上端側を上向弾性爪3
6aを除く部分において上閂11のコ字部内に抱かれる
位置に配置し、その位置で弾性爪36aを外側から前記
開口窓11aに係合させるようにしている。同様に、下
閂12も横断面コ字形をなし、前記開口窓12aはこの
下閂12の上端付近の底壁部に設けられているもので、
操作レバー37の上端側を下向弾性爪3aを除く部分に
おいて下閂12のコ字部内に抱かれる位置に配置し、そ
の位置で弾性爪37aを外側から前記開口窓12aに係
合させるようにしている。また、前記操作レバー37と
基体30との間には、回動部材35を正面視右回りに回
動付勢する弾性体たるコイルバネ39が介在させてあ
り、これにより上側の閂11を上方へ突出させる方向に
付勢するとともに、下側の閂12を下方へ突出させる方
向に付勢している。また、扉1Aの上縁及び下縁に、図
9に模式的に示すように、閂11、12を挿通し得るス
リット10a、10b及び閂11、12の先端を係止し
得る係止手段たる折曲片10c、10dを設けるととも
に、扉1Aを折曲片10c、10dに向かって付勢する
板バネ10e、10fを設け、更に収納家具本体側に、
扉1Aの閉止時に閂11、12をスリット10a、10
bに挿通し得る位置に向かって付勢する押圧手段たる突
起10g、10hを設けており、扉1Aが閉止された際
に閂11、12をスリット10a、10bに通過させて
係留部13、14のスリット13a、14aに係留さ
せ、閂11、12を没入させて扉1Aを開いた際には前
記板バネ10e、10f及び折曲片10c、10dによ
ってその没入状態を保持し得るようにしている。
【0019】施錠部3Bは、前記ベース34を土台と
し、このベース34上に前面側にキー挿通孔40aを有
するシリンダ部分40を取り付けるとともに、該ベース
34の近傍から側方に向けてロック部材15aを付帯さ
せた状態で前述した係合片15を突没させ得るように構
成されたもので、所定取付位置で扉1Aに設けた図1に
示す取付孔17にそのシリンダ部分40の前端部を臨ま
せて配置されるようにしている。前記回動部材35は、
実際にはその軸心部に設けたボス孔35eをこのシリン
ダ部分40に回転可能に外嵌して枢支させているもので
ある。しかして、前記シリンダ部分40に図示しないキ
ーを差し込み、このキーを正逆回転操作することによっ
て、シリンダ部分40の内部に設けた図示しない機構を
作動させ、係合片15を隣接する扉1Bを閉止し得る位
置に突出させると同時に、これに付帯してロック部材1
5aを閂11の没入時の軌道を塞ぐ位置に配設して、閂
11の没入、ひいては閂12の没入をも禁止し得るよう
にしている。その様子は図10及び図11に示される。
すなわち、右側の扉1Aは閂11、12を介し収納庫本
体を足場にしてロックされ、左側の扉1Bも係合片15
を介し右側の扉1Aを足場にしてロックされるものであ
る。
【0020】基体30への各要素部品の組立ては、先ず
施錠部3Bを支持するベース34を弾性係合部Qを介し
て取り付け、次に連結杆36及び操作レバー37をスリ
ット32a1、38a内に挿入して配置し、その際に操
作レバー37と基体30との間にコイルスプリング39
を介在させておく。そして、前記施錠部3Bのシリンダ
部分40に回動部材35を外嵌して、回動部材35と前
記連結杆36及び操作レバー37との間を弾性係合部
S、Tを介して連結する。これにより、簡単な操作で基
体30への施錠部3B、回動部材35等の取り付けが脱
落し得ない状態で完了する。そして、最後に前述したご
とく上閂11及び下閂12をそれぞれ弾性係合部R、U
を介して前記連結杆36及び操作レバー37に連結すれ
ば、扉1Aとの機構的な関連づけがなされる。
【0021】以上説明したように、本実施例の扉開閉装
置3は、扉1Aに、一端3a側に引手部3Aを、また他
端3b側に施錠部3Bをそれぞれ一体的に備えた基体3
0を取り付けて構成されるものであり、その取付に際し
て、扉1Aのうち、引手部3A及び施錠部3Bの各所定
取付位置にそれぞれ取付孔16、17を形成し、引手部
用の取付孔16に扉1Aの背面側から傾斜状態で基体3
0の一端3a側を挿通した後、該基体30を取付姿勢に
まで回動させることによって、引手部3Aを扉1Aの前
面側から取付孔16に、また施錠部3Bを扉1Aの背面
側から取付孔17にそれぞれ装着し得るように構成する
とともに、その位置で基体30の一端3a側及び他端3
b側を各々係合部P、Mを介して扉1Aに係合させてな
るものである。
【0022】このように、本実施例は、基体30を係合
部P、Mを介して扉1Aに取り付けることにより引手部
3A及び施錠部3Bを同時に扉1Aの所定位置に定着さ
せるものであるため、それら引手部3A及び施錠部3B
を別体物として個別に扉1Aに取り付ける場合に比べ
て、ねじ等を多数用いる必要がなく、取付工数を削減す
ることができる。しかも、基体30がそれ自体で扉1A
に固定され、取付構造が周辺構造物に依存しないため、
施錠部3Bがキー操作された場合、あるいは施錠部3B
に不慮に何からの物体が衝突したような場合、さらには
引手部3Aを牽引操作した場合などにも、基体30が簡
単に回動して適正な取付状態が損なわれることを有効に
防止することができる。特に、本実施例のものは回動部
材35や連結部材36、37等の伝達部材を配置してい
る関係上、引手部3Aから施錠部3Bまでの距離が長
く、施錠部3Bに外力が加わったときに生じる回動モー
メントはそれらの伝達部材を用いない場合に比べて大き
いものとなるが、このような回動モーメントにも適正な
定着状態を維持することができる。また、このように基
体の取付が独立して行われ、周辺構造物に依存していな
いので、上記伝達部材等を用いないような扉に対しても
本発明を有効に適用することができる。なお、上記伝達
部材を用いない場合としては、例えば本実施例の係合片
15に相当する部分が扉1A及び扉1Bに設けたスリッ
トに挿通されてそれら扉1A、1Bの閉止状態を保持す
るタイプの収納庫等を挙げることができる。
【0023】特に、基体30の他端3b側と扉1Aとの
係合部Mを、基体30に設けた係合爪32bと、扉1A
の背面において前記係合爪32bを係合させる位置に設
けた被係合部33aとにより構成しており、また、基体
30の一端3a側と扉1Aとの係合部Pを、引手部用の
取付孔16と、引手部16の外周位に前記取付孔16の
開口よりも若干拡開させて設けたフランジ部分31c
と、このフランジ部分31cの背後にあってフランジ部
分31cが取付孔16の開口縁に前面側から当接した際
に該扉3Aの背面に係合する係合爪31dとにより構成
しているので、簡易な構造で基体30の一端3a側を扉
1Aに確実に取り付けることができる。その場合、係合
爪32bは下向鉤形をなし、被係合部33aは上向L字
形をなすものにしているため、被係合部33aを含めて
金具33を比較的強度のある板材等としておくことによ
り、係合部Mの係合を強固なものにして、施錠部3Bが
受ける外力等を有効に支持させることができる。なお、
メンテナンス等の理由でこの係合部Mを解除する必要が
生じた場合には、この実施例は上記スリット32a1の
隙間にドライバー等の工具を挿通して前記被係合部33
aを押し下げることができるように構成されている。そ
の際、スリット32a1の開口縁にはリブが突設してあ
り、このリブにドライバーを当てがってこぜるように被
係合部33aを押し下げるようにしても、開口縁の形状
が簡単に崩れることを防止している。このリブは、上閂
11の作動位置によらずそお下端を常に包囲する位置に
あって閂11の下端がスリット32a1の開口縁に当た
って連結杆36から解離することを防止する役割も兼ね
ている。
【0024】また、本実施例の扉1Aは、上下に向かっ
て基体30に突没可能に設けた閂11、12と、扉1A
が閉止位置にあるときに閂11、12の先端部近傍にあ
って該閂11、12を突出させた際にその先端部を係留
する係留部13、14とによってその閉止位置に保持さ
れるものであるが、前記施錠部3Bはこれらの閂11、
12を突出位置に選択的にロックするだけのものである
ため、簡素な構造でロック機能を構成することができ
る。
【0025】この場合、扉1Aを閉止位置に保持する構
成として、閂11、12をコイルバネ39を介して上下
に向かって付勢しておき、扉1Aの上縁又は下縁に該閂
11、12を係止し得る折曲片10c、10dを設ける
とともに、扉1Aの閉止時に該閂11、12の近傍にあ
ってその閂11、12を前記折曲片10c、10dから
解離させる方向に付勢する板バネ10e、10fを設け
ているため、開成させた扉1Aから上下の閂11、12
が突出して閉まらなくなるという誤動作を簡単な構成に
より確実に防止することができる。
【0026】また、本実施例の閂11、12は、基体3
0に回動可能に枢支した回動部材35の回動端35a、
35bに連結され、施錠部3Bが、突出位置から閂1
1、12が没入しようとする際の軌道を塞ぐ位置にロッ
ク部材15aを出入れし得るようにしたものであるが、
閂11と回動部材35の回動端35aとの間を部材の弾
性変形を利用して係合する弾性係合部R、Sを介して連
結し、また閂12と回動部材の回動端35bとの間を部
材の弾性変形を利用して係合する弾性係合部T、Uを介
して連結しているので、ワンタッチで取り付けができ、
煩わしいねじ止め作業やそのための工具を不要として取
付作業の便を有効に向上させることができる。
【0027】その係合も、閂11と回動部材35の間に
連結杆36を介在させ、閂12と回動部材35の間に操
作レバー37を介在させて、組付前段階で連結杆36及
び操作レバー37を予め回動部材35に連結しておき、
基体30を扉1Aに取り付けた後に連結杆36と上閂1
1との間及び操作レバー37と下閂12との間を連結す
るだけでよいようにしているので、作業手順を簡便なも
のにすることができる。特に、操作レバー37をそのま
ま連結部材として用いているので、部品の有効利用が図
れ、回動部材35への操作力の入力も直接的に行うこと
ができる。
【0028】その操作レバー37の操作端37cも、隣
接位置にある引手部3A内に延出させて配設しているの
で、引手操作とレバー操作を好適に関連づけて行うこと
ができる。その際、基体30の他端3b側にスリット3
2a1を設け、前記連結杆36の一部をそのスリット3
2a1に挿通させており、また、基体30の中間付近で
あって施錠部3Bと引手部3Aとを画する位置にスリッ
ト38aを有する中間隔壁38を設け、操作レバー37
の操作端37cをそのスリット38aに挿通しているの
で、組付前段階において連結杆36、回動部材35、操
作レバー37が相互に拘束し合って基体30から脱落す
ることが防止され、基体30を閉止するための格別な蓋
部材等を不要にすることができる。
【0029】さらに、本実施例は施錠部3Bが、シリン
ダ部分40を備え、そのシリンダ部分40の前端面を扉
1Aの取付孔17に臨ませるようにしたものであり、そ
のシリンダ部分40に回動部材35に設けたボス孔35
eを外嵌して枢支させているため、別途に枢支機構を持
ち込む必要がなく、構造の簡素化を促進することができ
る。
【0030】また、施錠部3Bも、部材の弾性を利用し
て係合する弾性係合部Qを介して基体30に取り付ける
ようにしているため、この点でも作業の便をより一層向
上させることができる。さらにまた、本実施例は上記施
錠部3Bのロック部材15aが係合片15に付帯して突
没し得るように構成してあり、その係合片15は突出位
置で隣接する扉1Bをロックする役割も兼ねるので、収
納庫全体としてのロック機能をより有効に高めることが
可能となる。
【0031】なお、各部の具体的な構成は、図示実施例
のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱
しない範囲で種々変形が可能である。例えば、上記実施
例では観音開き式の扉に適用されたものであるが、片開
き式の扉に適用し、その扉の反吊元側の縁部から係合片
を突出させて閉止時に対応する家具本体の開口縁に設け
た係留部にその係合片を係留させるように構成した場合
には、上記のような閂は不要であり、このようなケース
にも本発明を有効に適用することができる。また、係合
片と閂とを併用してより確実に扉を閉止位置にロックす
るようにした扉開閉装置に本発明を適用することができ
るのは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。すなわ
ち、本発明の扉開閉装置は、基体を係合部を介して扉に
取り付けるだけで、引手部及び施錠部を同時に扉の所定
位置に定着させることができるようにしたものであるた
め、ねじ等を多数用いる必要がなく、工具も不要で取付
工数も大巾に削減することができる。しかも、基体それ
自体が扉に定着するため、施錠部に作用する外力に影響
されずに基体、ひいては引手部や施錠部の適正な取付状
態を維持することができ、また、取付構造が周辺構造物
に依存しないため、種々の扉に対して本発明を有効に適
用することができる。
【0033】特に、基体の施錠部側に係合爪を設け、施
錠部を扉の取付孔に背面側から装入した際にその係合爪
を扉の背面に設けた被係合部に係合させるように構成し
たり、基体の引手部側にフランジ部分を設け、引手部を
扉の取付孔に前面側から装入してフランジ部分を当接さ
せ、その位置で背後に設けた係合爪を扉の背面に係合さ
せるように構成した場合には、簡易な構造で基体を扉に
確実に取り付けることができる。その際、上記施錠部側
の係合爪を下向鉤形とし、扉の背面側の被係合部を上向
L字形としておけば、簡単な装着操作と強固な係合状態
とを両立させることが容易となる。
【0034】また、閂を利用して閉止状態を保持する扉
に対して、その閂を施錠部によりロックするようにすれ
ば、簡素な構造でロック機構を構成することができる。
さらに、閂を回動部材によって突没させるものにおい
て、回動部材への閂の連結を弾性係合部において行うよ
うにすれば、ワンタッチで取り付けでき、部品相互間の
煩わしいねじ止め作業やそのための工具を不要にして取
付作業の便を有効に向上させることができる。
【0035】その係合も、連結部材を介在させて行うよ
うにし、その連結部材を基体に設けたスリットに挿通し
ておけば、回動部材や連結部材を相互に拘束させ合って
基体からの脱落、したがって別段の蓋部材の採用を不要
にすることができる。特に、操作レバーをそのまま連結
部材として用い、その操作端をスリットを介して引手部
に引き込んでおけば、部品の有効利用が図れ、回動部材
への操作力の入力も引手操作と関連づけて好適に行うこ
とが可能となる。
【0036】さらにまた、施錠部も部材の弾性を利用し
て係合する弾性係合部により基体に取り付ければ、作業
の便をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を扉に取り付けた状態で正面
側から示す斜視図。
【図2】同実施例を扉の背面側から示す斜視図。
【図3】同正面図。
【図4】同実施例を扉に取り付ける前の状態で示す斜視
図。
【図5】同分解斜視図。
【図6】同実施例の取付手順を説明するための一部破断
した側面図。
【図7】同実施例の取付状態を説明するための一部破断
した底面図。
【図8】同実施例の部分拡大断面図。
【図9】同実施例の他の部分拡大断面図。
【図10】同実施例の作用を説明するための正面図。
【図11】同実施例の作用を説明するための正面図。
【符号の説明】
1A…扉 3A…引手部 3B…施錠部 3a…一端 3b…他端 10c、10d…係止手段(折曲片) 11…上閂 12…下閂 13、14…係留部 16、17…取付孔 30…基体 31c…フランジ部分 31d…係合爪 32a1、38a…スリット 32b…係合爪 33a…被係合部 35…回動部材 35a、35b…回動端 36…連結部材(連結杆) 37…連結部材(操作レバー) 38…中間隔壁 P…係合部 M…係合部 Q、R、S、T、U…弾性係合部

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】扉に、一端側に引手部を備え他端側に扉の
    背面側から位置づける施錠部を備えた基体を取り付けて
    構成されるものであって、前記扉のうち、引手部の所定
    取付位置に施錠部を設けた基体の他端側よりも小さい取
    付孔を形成するとともに施錠部の所定取付位置にも取付
    孔を形成し、前記基体に、該引手部の外周囲に引手部の
    取付孔の開口よりも若干拡開し扉の前面側に位置づける
    フランジ部分を形成し、少なくとも引手部のフランジ部
    分を扉の背面側から引手部の取付孔を介し、扉の前面側
    に位置づけるとともに施錠部を扉の背面側から位置づけ
    て基体を配設した後、該基体を取付姿勢にまで回動させ
    ることによって、引手部を扉の前面側から取付孔に、ま
    た施錠部を扉の背面側から取付孔に装入し得るように構
    成するとともに、その位置で基体の一端側及び他端側を
    各々係合部を介して扉に係合させてなることを特徴とす
    る扉開閉装置。
  2. 【請求項2】基体の他端側と扉との係合部が、基体に設
    けた係合爪と、扉の背面において前記係合爪を係合させ
    る位置に設けた被係合部とにより構成されていることを
    特徴とする請求項1記載の扉開閉装置。
  3. 【請求項3】係合爪が下向鉤形をなし、被係合部が上向
    L字形に屈曲するものであることを特徴とする請求項2
    記載の扉開閉装置。
  4. 【請求項4】基体の一端側と扉との係合部が、引手部用
    の取付孔と、前記フランジ部分と、このフランジ部分の
    背後にあってフランジ部分が取付孔の開口縁に前面側か
    ら当接した際に該扉の背面に係合する係合爪とにより構
    成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載
    の扉開閉装置。
  5. 【請求項5】扉が、少なくとも上下何れか一方に向かっ
    て基体に突没可能に設けた閂と、扉が閉止位置にあると
    きに閂の先端部近傍にあって該閂を突出させた際にその
    先端部を係留する係留部とによってその閉止位置に保持
    されるものであり、施錠部が、閂を突出位置に選択的に
    ロックし得るものであることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4記載の扉開閉装置。
  6. 【請求項6】前記閂の突没に対応して回動する回動部材
    を基体に設けたものであって、前記閂と、前記回動部材
    の回動端との間を弾性係合部を介して連結しているこ
    とを特徴とする請求項5記載の扉開閉装置。
  7. 【請求項7】閂と回動部材の間に、連結部材を介在させ
    てなるものであって、弾性係合部を、閂と連結部材の間
    及び連結部材と回動部材の間の各々に設けていることを
    特徴とする請求項6記載の扉開閉装置。
  8. 【請求項8】回動部材が、枢支点を挟んで対向する位置
    に一対の回動端を具備するものであり、各回動端とそれ
    ぞれ対応する上閂若しくは下閂との間を連結部材を介し
    て連結するとともに、少なくとも一方の連結部材を、基
    体の対応位置に設けたスリットに挿通していることを特
    徴とする請求項7記載の扉開閉装置。
  9. 【請求項9】一方の連結部材が回動部材を回動付勢する
    ための操作レバーであり、その操作レバーの操作端を前
    記スリットを介して引手部内に引き込んでいることを特
    徴とする請求項8記載の扉開閉装置。
  10. 【請求項10】施錠部が弾性係合部を介して基体に取
    り付けられていることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8又は9記載の扉開閉装置。
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