JPH07117074A - 複合製品の製造方法及びその製造用金型 - Google Patents

複合製品の製造方法及びその製造用金型

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JPH07117074A
JPH07117074A JP26524493A JP26524493A JPH07117074A JP H07117074 A JPH07117074 A JP H07117074A JP 26524493 A JP26524493 A JP 26524493A JP 26524493 A JP26524493 A JP 26524493A JP H07117074 A JPH07117074 A JP H07117074A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】外筒部材にウエルドの発生するのを抑制し、製
品の均整度を高め、もって製品の機能を十分に発揮させ
ることを可能とする。 【構成】ゴムブッシュは内筒部材2、ゴム弾性体3及び
外筒部材を備える。外筒部材を成形するための金型5
は、固定型6、可動型7、スライドコア8等を備える。
内筒部材2、ゴム弾性体3及び置きコマ14一体とした
ものをインサート15として金型5内に配置する。この
ためキャビティ18がゴム弾性体3の周囲に形成され、
置きコマ14の内側空間及び置きコマ14の被覆部14
aの外側空間によりスプルー本体17A及びランナ17
Bが形成される。可塑化樹脂をスプルー本体17A内へ
射出し、スリーブピン22を移動させると、キャビティ
18とランナ17Bとの間には、環状のゲート23が形
成される。樹脂は、環状のゲート23からキャビティ1
8内へ筒の長さ方向に一斉に射出されるため、キャビテ
ィ18内でぶつかりあうことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車等のサス
ペンション、ステアリング装置等における連結部の緩衝
用部材として使用されるゴムブッシュ等の複合製品に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の技術として、例えば特公
昭49−46155号公報、実開平3−73736号公
報及び特開昭51−93985号公報等に開示されたも
のが知られている。これらの技術にも開示されていると
おり、一般に複合製品たるゴムブッシュは、次のように
構成されている。すなわち、図12に示すように、ゴム
ブッシュ31は、金属製の内筒部材32と、該内筒部材
32の外周面に一体的に固定されたほぼ円筒状のゴム弾
性体33と、該ゴム弾性体33の外周面に形成された樹
脂製の外筒部材34とを備えている。また、同図におい
ては、ゴム弾性体33及び外筒部材34の下端縁には、
例えばフランジ部33a,34aが共に一体形成されて
いる。
【0003】上記のゴムブッシュ31を製造するには、
まず、例えば内筒部材32の外周面にゴム弾性体33を
接着し、一体的に固定する。次に、内筒部材32及びゴ
ム弾性体33の一体物をインサートとして、図13に示
すように、金型35内の所定箇所に設置する。このと
き、ゴム弾性体33の周囲には、前記外筒部材34を成
形するためのキャビティ36が形成されている。また、
金型35には、前記キャビティ36内に可塑化された樹
脂を射出すべく、キャビティ36の側面部分に開口する
ゲート37が形成されている。
【0004】そして、前記ゲート37からキャビティ3
6に向かって可塑化樹脂を射出する。すると、可塑化樹
脂は、前記ゴム弾性体33を囲むようにしてキャビティ
36内を円周方向に流動し、やがて充填される。充填さ
れた樹脂が冷却固化することにより外筒部材34が成形
され、その後、成形物を金型35から取り出すことによ
り、上記のゴムブッシュ31が得られるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、樹脂を射出するためのゲート37
は、いずれもキャビティ36の側面部分に開口するタイ
プの、いわゆるサイドゲートであった。このため、上記
のゲート仕様を有する金型35において、外筒部材34
を成形したような場合には、図14に示すように、樹脂
は、前記ゴム弾性体33を囲むようにしてキャビティ3
6内を円周方向(図の矢印方向)に流動する。そして、
最後には、樹脂は前記ゲート37とは反対側において合
流し、ぶつかりあう。ここで、樹脂が、特にガラス繊維
等が混入されたようなものである場合には、相互に合流
してぶつかった箇所において、混入されたガラス繊維が
軸方向に配向してしまう。そのため、ゲート37と反対
側の樹脂の合流した部分において、繊維の配向が他の部
分と異なる等の理由から、該部分にウエルドの発生する
おそれがあった。
【0006】そして、このようにウエルドが発生した場
合には、該発生部分の強度が著しく低下してしまうこと
となり、製品の機能を十分に発揮させることができない
おそれがあった。
【0007】さらに、前記樹脂の射出圧力、冷却時の収
縮等により、前記ゴム弾性体33には、適当な絞りが付
与されるのであるが、上記技術では、ゲート37からの
平面方向での距離が大きく異なるため、平面方向でのキ
ャビティ36内の圧力において大きな差異が生じること
となっていた。その結果、ゴム弾性体33への絞りの付
与を均等に行うことができず、製品が変形してしまうお
それがあった。さらに、上記のようにゴム弾性体33が
フランジ33aを有するような場合には、該フランジ3
3aが圧力差によって、キャビティ36内に向かって変
形してしまうおそれもあり、上記の変形の一要因ともな
っていた。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、内筒部材と、該内筒部
材の外周面に一体的に固定されたほぼ筒状のゴム弾性体
と、該ゴム弾性体の外周面に形成された樹脂製の外筒部
材とを備えてなる複合製品において、外筒部材にウエル
ドの発生するのを抑制するとともに、製品の均整度を高
め、もって製品の機能を十分に発揮させることのできる
複合製品の製造方法及びその製造用金型を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明においては、内筒部材と、該内筒部材の
外周面に一体的に固定されたほぼ筒状のゴム弾性体と、
該ゴム弾性体の外周面に形成された樹脂製の外筒部材と
を備えてなる複合製品の製造方法であって、前記内筒部
材の外周面に前記ゴム弾性体を一体的に固定する工程
と、前記内筒部材と、前記ゴム弾性体と、前記ゴム弾性
体及び前記内筒部材の一端面を被覆部にて被覆してなる
治具とをインサートとして、金型の所定箇所に配置する
ことにより、前記外筒部材を成形するためのキャビティ
を形成する工程と、可塑化された樹脂を導入するための
スプルーと前記キャビティとの間の連通を許容及び遮断
するために前記金型内に設けられた開閉手段の作動によ
り、前記スプルーから前記キャビティ内に可塑化された
樹脂を注入するための環状のゲートを形成する工程と、
前記スプルーから前記ゲートを介して、前記キャビティ
内に可塑化された樹脂を射出充填する工程と、前記可塑
化された樹脂の充填が完了した後、前記開閉手段の作動
により、前記ゲートを閉鎖する工程とを備えたことをそ
の要旨としている。
【0010】また、第2の発明においては、内筒部材
と、該内筒部材の外周面に一体的に固定されたほぼ筒状
のゴム弾性体と、該ゴム弾性体の外周面に形成された樹
脂製の外筒部材とを備えてなる複合製品を製造するため
の金型であって、前記内筒部材と、その外周面に一体的
に固定された前記ゴム弾性体と、前記内筒部材の内周面
に当接するとともに、前記ゴム弾性体及び前記内筒部材
の一端面を被覆部にて被覆してなる治具とがインサート
として収容されることにより、前記ゴム弾性体の周囲に
形成される前記外筒部材を形成するためのキャビティ
と、前記治具の内側空間及び前記治具の前記被覆部の外
側空間により形成され、可塑化された樹脂が導入される
スプルーと、自己の作動により、前記スプルーと前記キ
ャビティとの間の連通を許容及び遮断するとともに、連
通を許容した際には、前記スプルーと前記キャビティと
の間に環状のゲートを形成するための開閉手段とを備え
たことをその要旨としている。
【0011】
【作用】従って、上記第1の発明によれば、内筒部材の
外周面にゴム弾性体が一体的に固定される。また、内筒
部材、ゴム弾性体及び治具がインサートとして、金型の
所定箇所に配置される。この配置により、外筒部材を成
形するためのキャビティが形成される。
【0012】そして、スプルーとキャビティとの間の連
通を許容及び遮断するために金型内に設けられた開閉手
段の作動により、スプルーとキャビティとの間の連通が
許容され、可塑化された樹脂を注入するための環状のゲ
ートが形成される。次いで、スプルーからゲートを介し
て、キャビティ内に可塑化された樹脂が射出充填され
る。可塑化された樹脂の充填が完了した後、開閉手段の
作動により、ゲートが閉鎖される。このようにして、内
筒部材と、ゴム弾性体と、該ゴム弾性体の外周面に形成
された樹脂製の外筒部材とを備えてなる複合製品が得ら
れる。
【0013】ここで、外筒部材が射出成形されるに際
し、可塑化された樹脂は、環状のゲートからキャビティ
内へ筒の長さ方向に一斉に射出される。このため、外筒
部材が成形されるに際して、樹脂がキャビティ内でぶつ
かりあうことがなく、仮に樹脂内に繊維が混入されてい
るような場合でも、その配向が部位によって異なること
がなくなる。
【0014】また第2の発明によれば、金型内には、内
筒部材と、その外周面に一体的に固定されたゴム弾性体
と、内筒部材の内周面に当接するとともに、ゴム弾性体
及び内筒部材の一端面を被覆部にて被覆してなる治具と
がインサートとして収容される。この収容により、金型
内におけるゴム弾性体の周囲には、外筒部材を形成する
ためのキャビティが形成される。また、治具の内側空間
及び治具の被覆部の外側空間により形成されたスプルー
には、可塑化された樹脂が導入される。そして、開閉手
段の作動により、スプルーとキャビティとの間の連通が
許容された際には、スプルーとキャビティとの間に環状
のゲートが形成される。この環状のゲートから可塑化さ
れた樹脂がキャビティ内へと射出される。射出が完了し
たならば、開閉手段の作動により、スプルーとキャビテ
ィとの間の連通が遮断される。その後、内筒部材、ゴム
弾性体、外筒部材及び治具並びにスプール内の余分な樹
脂は取出され、治具並びにスプール内の余分な樹脂がそ
れぞれ取り外されることにより複合製品が得られる。
【0015】従って、上記第1の発明と同様、外筒部材
が射出成形されるに際し、可塑化された樹脂は、環状の
ゲートからキャビティ内へ筒の長さ方向に一斉に射出さ
れる。このため、外筒部材が成形されるに際して、樹脂
がキャビティ内でぶつかりあうことがなく、仮に樹脂内
に繊維が混入されているような場合でも、その配向が部
位によって異なることがなくなる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図1〜
9に基づいて説明する。図2は本実施例における複合製
品としてのゴムブッシュ1を示す断面図である。同図に
示すように、ゴムブッシュ1は、内筒部材2と、該内筒
部材2の外周面に一体的に固定された筒状のゴム弾性体
3と、該ゴム弾性体3の外周面に形成された外筒部材4
とを備えている。内筒部材2は、金属製であって、円筒
状に形成されている。また、ゴム弾性体3の一端側(図
の下端側)には、フランジ部3aが一体的に形成されて
いる。さらに、前記外筒部材4は、ガラス繊維が30重
量%程度混入されたナイロン樹脂によって構成されてい
る。外筒部材4の一端側にも、フランジ部4aが一体的
に形成されている。
【0017】上記のゴムブッシュ1は、例えば自動車等
のサスペンション、ステアリング装置等における連結部
の緩衝用部材として使用に供される。次に、上記のゴム
ブッシュ1を製造するための装置のうち、特に前記外筒
部材4を成形するための金型5について説明する。図5
に示すように、金型5は、固定型6、可動型7、スライ
ドコア8等を備えている。
【0018】詳細に説明すると、固定型6は、図の上方
に位置しており、同固定型6には前記スライドコア8の
一部を収容するための収容空間9が形成されているとと
もに、左右一対の透孔10が形成されている。スライド
コア8は、図の左部及び右部に位置しており、前記収容
空間9に収容された基部11、可動型7側に位置するコ
ア部12及び両者11,12を連結する連結部13から
構成され、これらは一体的となっている。連結部13
は、前記透孔10内に位置しており、該透孔10内を図
の左右方向へ移動可能に配設されている。つまり、スラ
イドコア8は、図の左右方向へ移動可能に配設されてい
る。
【0019】前記スライドコア8には傾斜した状態で透
孔8aが形成されている。また、可動型7には、傾斜ピ
ン7aが埋設されているとともに、前記透孔8a内にま
で延びている。そして、可動型7が移動して型開きがさ
れた場合には、その移動に伴って前記スライドコア8が
傾斜ピン7aに沿って摺動し、外方へ移動するようにな
っている。
【0020】さて、本実施例においては、図4,5に示
すように、外筒部材4を成形するに際しては、内筒部材
2と、ゴム弾性体3と、治具としての置きコマ14とが
相互に一体となり、これがインサート15として、金型
5内の所定の収容空間に配置されるようになっている。
すなわち、内筒部材2の外周面にゴム弾性体3が一体的
に固定される。また、置きコマ14は、金属によりほぼ
円筒状に形成されているとともに、その一端部には、フ
ランジ状の被覆部14aが一体的に形成されている。そ
して、該置きコマ14が前記内筒部材2の内周面に当接
するよう内筒部材2に対し嵌挿されているとともに、ゴ
ム弾性体3及び内筒部材2の一端面が被覆部14aによ
り被覆された状態となっている。なお、置きコマ14の
ほぼ他端部には、溝部14bが形成されている。また、
前記スライドコア8の基部11の内周側には、この溝部
14bに対応した係合部16が形成されている。そし
て、金型5が型開きされた際には、置きコマ14は、し
ばらくの間この係合部16に係合され、可動型7の方へ
移動しないようになっている。
【0021】そして、上記のようにインサート15が金
型5内の所定の収容空間に配置されることにより、スプ
ルー本体17A、ランナ17B及びキャビティ18が形
成されている。すなわち、前記置きコマ14の内側空間
によって、可塑化されたガラス繊維入りナイロン樹脂
(可塑化樹脂)が導入されるスプルー本体17Aが形成
されている。また、置きコマ14の被覆部14aの外側
空間により、有底円筒状のランナ17Bが形成されてい
る。さらに、前記ゴム弾性体3の周囲には、前記外筒部
材4を成形するためのほぼ筒状のキャビティ18が形成
されている。なお、本実施例では、前記スプルー本体1
7A及びランナ17Bによりスプルーが構成されてい
る。
【0022】本実施例において、前記キャビティ18と
ランナ17Bとの連通を許容及び遮断するために、可動
型7内には開閉手段19が設けられている。開閉手段1
9は、油圧シリンダ20、該シリンダ20に対し出没可
能に設けられたロッド21及びロッド21の先端部分に
配設されたスリーブピン22を備えている。そして、油
圧シリンダ20の作動により、前記ロッド21及びスリ
ーブピン22が図の下方へ移動した場合には、図1に示
すように、キャビティ18とランナ17Bとの連通が許
容され、両者18,17B間には、環状のゲート23が
形成される。一方、油圧シリンダ20の作動により、前
記ロッド21及びスリーブピン22が図の上方へ移動し
た場合には、図6,7に示すように、キャビティ18と
ランナ17Bとの連通が遮断され、いわゆるゲートカッ
トが行われる。
【0023】さらに、可動型7には、押出板24、押出
ピン25等が配置されている。また、押出ピン25の先
端部分には、前記ランナ17Bの一部がアンダーカット
形状に形成されている。すなわち、外筒部材4の成形が
完了した場合には、可動型7が固定型6から離型され
る。このとき、ゴムブッシュ1等は固定型6の方に残る
のであるが、ランナ17B内の樹脂は、前記アンダーカ
ット構造により、可動型7に係合されてくる。このた
め、前記押出ピン25等を押上げることにより、不要と
なった前記樹脂を可動型7から取外すようになっている
のである。
【0024】次に、本実施例における、ゴムブッシュ1
の製造方法及び製造時における作用及び効果について説
明する。まず、図3に示すように、内筒部材2の外周面
にゴム弾性体3を一体的に固定する。次に、図4に示す
ように、置きコマ14を内筒部材2の内周面に当接する
よう内筒部材2に対し嵌挿するとともに、ゴム弾性体3
及び内筒部材2の一端面が被覆部14aにより被覆する
ようにする。そして、図5に示すように、内筒部材2
と、ゴム弾性体3と、置きコマ14とから構成されるイ
ンサート15を、金型5内の所定の収容空間に配置す
る。このとき、インサート15は、置きコマ14の溝部
14bが前記スライドコア8の基部11の係合部16に
係合するよう配置されるとともに、ゴム弾性体3は、所
定の間隔(キャビティ18に相当する)を隔ててスライ
ドコア8のコア部12で囲まれるようにして配置され
る。
【0025】上記の配置により、外筒部材4を成形する
ためのキャビティ18がゴム弾性体3の周囲に形成され
る。また、置きコマ14の内側空間及び置きコマ14の
被覆部14aの外側空間により、スプルー本体17A及
びランナ17Bが形成される。
【0026】そして、図示しない射出成形機より、可塑
化樹脂を前記スプルー本体17A内へ射出する。する
と、可塑化樹脂は、スプルー本体17A内を流動し、や
がてランナ17B内に充填される。但し、本実施例で
は、当初においては、図6に示すように、油圧シリンダ
20の作動により、ロッド21及びスリーブピン22が
図の上方へ移動した状態となっており、キャビティ18
とランナ17Bとの連通が遮断されている。
【0027】その後、所定のタイミングが到来したなら
ば、前記油圧シリンダ20を作動させ、ロッド21及び
スリーブピン22を図の下方へ移動させる。すると、図
1に示すように、キャビティ18とランナ17Bとの連
通が許容され、両者18,17B間には、環状のゲート
23が形成される。但し、本実施例では、ランナ17B
内に可塑化樹脂が充填されてからスリーブピン22等を
図の下方へ移動させてゲート23を形成するようにした
が、射出成形機からの射出と同時にゲート23を形成し
たり、あるいは、それ以前からゲート23を形成してお
くような構成としても何ら差し支えない。
【0028】そして、前記環状のゲート23から、キャ
ビティ18内には可塑化樹脂が射出充填される。このと
き、可塑化樹脂は、環状のゲート23からキャビティ1
8内へ筒の長さ方向に一斉に射出される。このため、外
筒部材4が成形されるに際して、樹脂がキャビティ18
内でぶつかりあうことがなく、本実施例の如く樹脂内に
繊維が混入されているような場合でも、その配向が部位
によって異なることがない。
【0029】そして、可塑化された樹脂の充填が完了し
たならば、油圧シリンダ20を作動させ、ロッド21及
びスリーブピン22を図の上方へ移動させる。すると、
図7に示すように、ゲート23が閉鎖され、いわゆるゲ
ートカットが行われる。
【0030】その後、キャビティ18内に充填された樹
脂が冷却固化したならば、図8に示すように、固定型6
及び可動型7を型開きする。つまり、可動型7を図の下
方へ移動させる。このとき、前記スライドコア8等によ
る係合により、前記インサート15は、固定型6に残
る。また、スプルー本体17A及びランナ17B内の樹
脂は、前記押出ピン25上部のアンダーカット構造によ
り、可動型7に係合されてくる。
【0031】そして、前記型開きに際しては、スライド
コア8は傾斜ピン7aに沿って外方へ移動する。この移
動により、前記インサート15はフリーな状態となっ
て、金型5から取り出される。その後、置きコマ14
が、取外されることにより、内筒部材2、ゴム弾性体3
及び外筒部材4を備えたゴムブッシュ1が得られるので
ある。
【0032】一方、前記可動型7に係合されてきた不要
な樹脂は、前記押出板24及び押出ピン25が図の上方
へ押出されることによって、可動型7から取外される。
以上説明したように、本実施例によれば、外筒部材4が
射出成形されるに際し、可塑化された樹脂は、環状のゲ
ート23からキャビティ18内へ筒の長さ方向に一斉に
射出される。このため、樹脂がぶつかりあうことがな
く、本実施例の如く樹脂に繊維が混入されているような
場合でも、その配向が部位によって異なることがなくな
る。その結果、外筒部材4にウエルドが発生するのを抑
制することができ、ゴムブッシュ1としての機能を十分
に発揮させることができる。
【0033】また、樹脂の射出圧力、冷却時の収縮等に
より、前記ゴム弾性体3には、適当な絞りが付与される
のであるが、本実施例では、環状のゲート23から射出
された樹脂は平面方向(円周方向)でのキャビティ18
内の圧力はいずれの箇所においてもほぼ一定となる。そ
のため、ゴム弾性体3への絞りの付与を均等に行うこと
ができ、製品が変形してしまうのを抑制することができ
る。さらに、本実施例のようにゴム弾性体3がフランジ
部3aを有するような場合であっても、該フランジ部3
aが圧力差によって、キャビティ18内に向かって変形
してしまうことがない。従って、これらのことから、本
実施例によれば、製品の均整度を確実に高めることがで
きるといえる。
【0034】併せて、本実施例によれば、前述したよう
に、平面方向(円周方向)でのキャビティ18内の圧力
はいずれの箇所においてもほぼ一定とすることができ
る。そのため、ゴム弾性体3及び外筒部材4の真円度を
向上させることができる。例えば、従来技術のような、
いわゆるサイドゲートを有する金型によって直径5cm
の外筒部材を成形した場合の真円度は1.5〜2.0m
mであったのに対し、本実施例の場合には、0.2mm
程度にまで真円度を向上させることができた。その結
果、より一層確実に、ゴムブッシュ1としての機能(緩
衝部材として均等に作用する機能)を確実に発揮させる
ことができる。
【0035】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、置きコマ14の被覆部14aの
外側空間により、有底円筒状のランナ17Bが形成され
ている構成であった。すなわち、ランナ17Bの底部は
円板形状をしていた。これに対し、図10,11に示す
ように、ランナ17Cを、スプルー17Aからの可塑化
樹脂が一旦三方向に分流されるような底部形状を有する
形状としてもよい。このような構成とした場合であって
も、ゲートの部分で樹脂が環状となってキャビティ18
内に射出されるような構成であればよい。
【0036】(2)前記実施例では、フランジ部3a,
4aを有するようなゴムブッシュ1に具体化したが、フ
ランジ部のないタイプのゴムブッシュに具体化してもよ
い。また、複合製品としては、内筒部材と、ゴム弾性体
と、外筒部材とを備えたものであれば、上記のゴムブッ
シュに限定されるものではない。
【0037】(3)前記実施例では、ナイロン樹脂に対
し、ガラス繊維の混入されたものを外筒部材4の材料と
して採用したが、外筒部材4の素材としては、熱可塑性
樹脂であれば、特に限定されるものではない。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の複合製品
の製造方法及びその製造用金型によれば、内筒部材と、
該内筒部材の外周面に一体的に固定されたほぼ筒状のゴ
ム弾性体と、該ゴム弾性体の外周面に形成された樹脂製
の外筒部材とを備えてなる複合製品において、外筒部材
にウエルドが発生するのを抑制することができるととも
に、製品の均整度を高め、もって製品の機能を十分に発
揮させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例における外筒部材
を成形するための金型を示す断面図であって、環状のゲ
ートを形成して樹脂をキャビティ内に射出した状態を示
す図である。
【図2】一実施例におけるゴムブッシュを示す断面図で
ある。
【図3】一実施例における内筒部材及びゴム弾性体を示
す断面図である。
【図4】一実施例におけるインサートを示す断面図であ
る。
【図5】一実施例において外筒部材を成形するための金
型を示す断面図である。
【図6】一実施例において外筒部材を成形するための一
連の作用を説明する金型の断面図である。
【図7】一実施例において外筒部材を成形するための一
連の作用を説明する金型の断面図である。
【図8】一実施例において外筒部材を成形するための一
連の作用を説明する金型を型割りした状態を示す断面図
である。
【図9】一実施例において金型を型割りし、ゴムブッシ
ュ等を取出す際の状態を示す金型の断面図である。
【図10】本発明を具体化した別の実施例における金型
等を示す断面図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】従来技術におけるゴムブッシュを示す斜視図
である。
【図13】従来技術におけるゴムブッシュの外筒部材を
成形する際の金型を示す断面図である。
【図14】従来技術においてゴムブッシュの外筒部材を
成形するに際しての樹脂の流動状態を模式的に示す斜視
図である。
【符号の説明】
1…複合製品としてのゴムブッシュ、2…内筒部材、3
…ゴム弾性体、4…外筒部材、5…金型、14…治具と
しての置きコマ、14a…被覆部、15…インサート、
17A,17B…スプルー、18…キャビティ、19…
開閉手段、23…ゲート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内筒部材(2)と、該内筒部材(2)の
    外周面に一体的に固定されたほぼ筒状のゴム弾性体
    (3)と、該ゴム弾性体(3)の外周面に形成された樹
    脂製の外筒部材(4)とを備えてなる複合製品の製造方
    法であって、 前記内筒部材(2)の外周面に前記ゴム弾性体(3)を
    一体的に固定する工程と、 前記内筒部材(2)と、前記ゴム弾性体(3)と、前記
    ゴム弾性体(3)及び前記内筒部材(2)の一端面を被
    覆部(14a)にて被覆してなる治具(14)とをイン
    サート(15)として、金型(5)の所定箇所に配置す
    ることにより、前記外筒部材(4)を成形するためのキ
    ャビティ(18)を形成する工程と、 可塑化された樹脂を導入するためのスプルー(17A,
    17B,17C)と前記キャビティ(18)との間の連
    通を許容及び遮断するために前記金型(5)内に設けら
    れた開閉手段(19)の作動により、前記スプルー(1
    7A,17B,17C)から前記キャビティ(18)内
    に可塑化された樹脂を注入するための環状のゲート(2
    3)を形成する工程と、 前記スプルー(17A,17B,17C)から前記ゲー
    ト(23)を介して、前記キャビティ(18)内に可塑
    化された樹脂を射出充填する工程と、 前記可塑化された樹脂の充填が完了した後、前記開閉手
    段(19)の作動により、前記ゲート(23)を閉鎖す
    る工程とを備えたことを特徴とする複合製品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 内筒部材(2)と、該内筒部材(2)の
    外周面に一体的に固定されたほぼ筒状のゴム弾性体
    (3)と、該ゴム弾性体(3)の外周面に形成された樹
    脂製の外筒部材(4)とを備えてなる複合製品(1)を
    製造するための金型であって、 前記内筒部材(2)と、その外周面に一体的に固定され
    た前記ゴム弾性体(3)と、前記内筒部材(2)の内周
    面に当接するとともに、前記ゴム弾性体(3)及び前記
    内筒部材(2)の一端面を被覆部(14a)にて被覆し
    てなる治具(14)とがインサート(15)として収容
    されることにより、前記ゴム弾性体(3)の周囲に形成
    される前記外筒部材(4)を形成するためのキャビティ
    (18)と、 前記治具(14)の内側空間及び前記治具(14)の前
    記被覆部(14a)の外側空間により形成され、可塑化
    された樹脂が導入されるスプルー(17A,17B,1
    7C)と、 自己の作動により、前記スプルー(17A,17B,1
    7C)と前記キャビティ(18)との間の連通を許容及
    び遮断するとともに、連通を許容した際には、前記スプ
    ルー(17A,17B,17C)と前記キャビティ(1
    8)との間に環状のゲート(23)を形成するための開
    閉手段(19)とを備えたことを特徴とする複合製品の
    製造用金型。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006264208A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂プーリ用射出成形金型および射出成形方法
JP2010210025A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Bridgestone Corp 防振装置、及び、防振装置の製造方法

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