JPH07116225B2 - α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルのハロゲン化水素酸塩の製造方法 - Google Patents

α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルのハロゲン化水素酸塩の製造方法

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JPH07116225B2
JPH07116225B2 JP61288888A JP28888886A JPH07116225B2 JP H07116225 B2 JPH07116225 B2 JP H07116225B2 JP 61288888 A JP61288888 A JP 61288888A JP 28888886 A JP28888886 A JP 28888886A JP H07116225 B2 JPH07116225 B2 JP H07116225B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
ンメチルエステル(以下、α−APMと略記する)の新規
な製造法に関する。更に詳しくは、N−保護−α−L−
アスパルチル−L−フェニルアラニンを原料とし該化合
物を硫酸水溶液中またはメタノール含有の硫酸水溶液中
で処理して保護基を除去したのち生成したα−L−アス
パルチル−L−フェニルアラニンを単離することなく引
きつづき、硫酸、水ならびにメタノールから成る媒体
中、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化
物の共存下にエステル化し、生成したα−APMをハロゲ
ン化水素酸塩として、反応系より析出せしめて、該ハロ
ゲン化水素酸塩を分離することを特徴とするα−APMの
ハロゲン化水素酸塩の製造法である。
本発明のα−APMは甘味剤として有用な物質であること
が知られている。しょ糖のおよそ200倍の甘味を有し、
甘味の質も蔗糖に類似していることからダイエット甘味
剤として近年その需要が伸びつつある物質である。
(従来技術及び問題点) α−APMの製法に関しては化学的製造法を中心に、既に
多数の方法が開示されているが、L−アスパラギン酸の
カルボン酸活性誘導体としてN−保護−L−アスパラギ
ン酸無水物を用いる方法が一般的である。
とくに、L−アスパラギン酸をギ酸および無水酢酸と反
応させることにより1工程で容易に製造可能なN−ホル
ミル−L−アスパラギン酸無水物を利用するα−APM製
造法は、原料が簡単に且つ安価に製造でき、工程も比較
的簡略化されることから工業的には最も有利な方法と考
えられる。
ところでこのN−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物
を用いるα−APM製造法は、そのほとんどが特開昭46-13
50号などに代表されるように、もう一方の反応原料とし
てL−−フェニルアラニンメチルエステルを用い、N−
ホルミル−α−L−アスパラチル−L−フェニルアラニ
ンメチルエステルを中間体として製造したのち保護基の
ホルミル基を脱離させてα−APMとする技術であり、N
−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物とL−フェニル
アラニンメチルエステルとの縮合方法、異性体の抑制方
法に関する技術、ならびにホルミル基の脱離方法に関す
る技術を中心に種々の製法が提案されている。
しかしながら、このL−フェニルアラニンメチルエステ
ルを一方の反応原料として用いる方法はL−フェニルア
ラニンをエステル化してL−フェニルアラニンメチルエ
ステルとし、さらにN−ホルミル−L−アスパラギン酸
無水物との縮合反応につなげるまでの工程が繁雑になる
ことに加えて、本発明者らの知見によれば、L−フェニ
ルアラニンメチルエステルが遊離の形態では自己縮合・
環化して2,5−ジベンジル−3,6−ジオキソピペラジンに
変化し易い性質を有していることがわかった。このこと
は工業的には収率の低下ならびにα−APMの品質劣化
等、種々のトラブルを引き起こす要因になるものであ
る。
従って、N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物を利
用するα−APMの製造法としては、もう一方の反応原料
としてL−フェニルアラニンメチルエステルを使用しな
い製法の開発が望まれるところである。
L−フェニルアラニンメチルエステルを使用しないα−
APMの製造法として、N−ホルミル−L−アスパラギン
酸無水物を酢酸中でL−フェニルアラニンと直接縮合さ
せて、N−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フェ
ニルアラニンを製造し、ついでホルミル基を除去してα
−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンとしたの
ち、このα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
をメタノール中、塩化水素の存在下にエステル化してα
−APMを製造する方法(特公昭55-26133号)、ならびに
このエステル化の改良方法としてα−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンを塩化水素、メタノールおよび
水から成る媒体と接触させてエステル化し生成したα−
APMを固体状の塩酸塩として析出させて製造する方法
(特公昭60-50200号)が開示されている。
しかしながら、前者の方法では2つのカルボン酸基のエ
ステル化反応に選択性はあまりなく、目的のα−APMの
他にβ−カルボン酸基へのエステル化や、ジエステル化
反応も多量に起こり、その為にα−APMの選択率が低い
という欠点がある。また後者の方法はエステル化反応を
塩酸水溶液中で実施して生成したα−APMを塩酸塩とし
て系外に析出せしめることによりα−APMの選択率を上
げてはいるものの、α−APM単離収率はたかだか50〜60
%(対α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン)
であり、収率的には必ずしも十分な方法とは言い難い。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは前記のようなα−APM製造技術の現状を踏
まえ、また前述したような溶液中での安定性に問題のあ
るL−フェニルアラニンメチルエステルを一方の反応原
料としない製造法を検討の中で、先にN−ホルミル−L
−アスパラギン酸無水物とL−フェニルアラニンを水溶
媒中で縮合でき、しかも目的のα−異性体、即ちN−ホ
ルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
が比較的選択率良く生成し、さらにはβ−異性体を含む
反応溶液中からこのα−異性体を効率良く単離できる方
法を見出している。
本発明者らは、前述のようにL−フェニルアラニンを直
接用いて製造できるN−ホルミル−α−L−アスパルチ
ル−L−フェニルアラニンからホルミル基を除去し、引
きつづきエステル化して高選択率且つ高収率にα−APM
を製造する方法について鋭意検討を重ねた。
N−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニルア
ラニンの脱ホルミル化により生成するα−L−アスパル
チル−L−フェニルアラニンを酸性媒体中メタノールで
エステル化してα−APMとする反応は、α−APMの他に本
来的にα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンの
β−カルボン酸基がエステル化されたα−L−アスパル
チル−L−フェニルアラニン−β−メチルエステル、な
らびに2つのカルボン酸基がともにエステル化されたα
−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンジメチルエ
ステルが生成する。そしてα−L−アスパルチル−L−
フェニルアラニンとこれら3種のエステル化生成物を与
える反応は平衡反応である。従って、目的のα−APMの
選択率を高め、且つ収率を上げるにはエステル化生成物
の中からα−APMのみを選択的に反応系外に除くことが
必要であり、その為には反応液中に溶解するα−APMの
溶解濃度をできるだけ低減でき、そして生成したα−AP
Mを系外に選択的に析出させ得る反応媒体を見出すこと
が必須となる。
本発明者らは上記のような考えに立脚し、N−ホルミル
−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを常法
に従ってホルミル基を除去し、得られるα−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニンを原料にして、従来ほと
んど行われていない硫酸水溶液中でのエステル化による
効率良いα−APM製造法の開発を目的に鋭意検討を重ね
た結果、各種無機塩の添加効果を検討中α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニンを硫酸、水ならびにメタ
ノール媒体中ある種の金属ハロゲン化物−アルカリ金属
またはアルカリ土類金属のハロゲン化物−の共存下に該
エステル化反応を行うと驚くべきことに生成したα−AP
Mは硫酸塩としてではなくハロゲン化水素酸塩として選
択的に反応系から析出し、しかも高収率でα−APMが生
成することを見出した。
このような現象は従来知られておらず、全く予想できな
かったことである。しかもこのアルカリ金属またはアル
カリ土類金属のハロゲン化物以外のハロゲン化物ではこ
のような現象は起きず、さらに他の無機塩では硫酸塩と
して析出することもほとんど認められなかった。さらに
はアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物
の中でも塩化物が適しており、とくに塩化マグネシウム
の使用においてα−APM塩酸塩が極めて高収率に製造で
きる。この知見をもとに単離したα−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンを用いることなく、N−ホルミ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを脱
ホルミル化し、生成したα−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンを単離することなく、α−APM製造への
検討を行い本発明に至った。
すなわち、本発明はN−保護−α−L−アスパルチル−
L−フェニルアラニンを硫酸水溶液中またはメタノール
含有の硫酸水溶液中で処理して保護基を除去したのち生
成したα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを
単離することなしに該生成物を引きつづき、硫酸、水な
らびにメタノールから成る媒体中、アルカリ金属または
アルカリ土類金属のハロゲン化物の共存下にエステル化
し、生成したα−APMをハロゲン化水素酸塩として反応
系より析出せしめ、該ハロゲン化水素酸塩を分離するこ
とを特徴とするα−APMのハロゲン化水素酸塩の製造法
である。
本発明においては原料としてN−保護−α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニンが用いられる。保護基と
しては置換または無置換のベンジルオキシカルボニル
基、第三級ブトキシカルボニル基またはホルミル基など
が挙げられるが、原料製造面において、とくにホルミル
基が好適である。N−ホルミル−α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンの製造法としては本発明者らが
先に見出した方法、すわわち、N−ホルミル−L−アス
パラギン酸無水物とL−フェニルアラニンを水中縮合さ
せたのちpH3近傍で晶析させる方法によって好収率で製
造できる。このN−ホルミル−α−L−アスパルチル−
L−フェニルアラニンは必ずしも高純度である必要はな
く、N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物とL−フ
ェニルアラニンの縮合の際に副生するβ−異性体、すな
わち、N−ホルミル−β−L−アスパルチル−L−フェ
ニルアラニンや、場合によってはL−フェニルアラニン
(N−ホルミル)−L−アスパラギン酸などα−APMの
ハロゲン化水素酸塩の析出を阻害しない範囲であれば、
それらの混入は特に問題にならない。とくにN−ホルミ
ル−β−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンはお
よそ30%程度までならばその混入はエステル化工程での
α−APMハロゲン化水素酸塩の析出を阻害しないばかり
か、このβ−異性体由来の化合物の析出も起こらず単離
されるα−APMハロゲン化水素酸塩の品質を劣化させる
ことはない。
本発明はN−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンのホルミル基を除去する工程とホルミル
基の除去によって生成するα−L−アスパルチル−L−
フェニルアラニンをエステル化する工程の2つの工程と
から成る。
先ず第1の工程はN−ホルミル−α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンのホルミル基を除去する工程で
あり、硫酸水溶液またはメタノール含有の硫酸水溶液中
で実施される。この工程の具体的実施態様はN−ホルミ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンに対
して1当量以上の硫酸を含む水溶液またはメタノール含
有の硫酸水溶液の加温された溶液中にN−ホルミル−α
−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを徐々に装
入し、その後さらに所定の時間攪拌下に加温することに
よって達成される。硫酸水溶液は硫酸/(硫酸+水)×
100で定義される濃度としておよそ3〜70重量%の範囲
で使用され、またメタノールを含有させる場合にメタノ
ールの使用量に限定はないが、次のエステル化工程での
使用量を考慮してそれ以下の量で使用するのが好まし
い。勿論それ以上のメタノール量の存在下にこのホルミ
ル基の除去を行うことも可能であるが、次のエステル化
工程において濃縮によるメタノールの除去操作が必要と
なり反応操作上好ましい方法とは言い難い。
ホルミル基を除去する工程の反応温度は、30〜70℃、好
適には40〜60℃である。反応温度が低すぎるとホルミル
基の除去に著しく長時間を必要とし、逆に温度が高すぎ
るとペプチドの開裂等副反応を生じ易くなる。反応時間
は硫酸温度、使用量そして反応温度などによって異なり
一概に規定はできないが、通常は0.5〜20時間の範囲で
実施される。N−ホルミル−α−L−アスパルチル−L
−フェニルアラニンは上記の操作によってホルミル基が
除去されてα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
ンが生成する。勿論、メタノール含有の硫酸水溶液でホ
ルミル基の除去を行った場合には、反応条件によりその
程度は異なるものの脱ホルミル化のみならずエステル化
反応も誘起される。この第1の工程により生成したα−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニンは反応溶液中
に溶解状態にある。ここに生成したα−L−アスパルチ
ル−L−フェニルアラニンは単離することなく、そのま
ま次のエステル化工程に使用される。
本発明の第2の工程は、第1の工程で生成したα−L−
アスパルチル−L−フェニルアラニン(場合によっては
そのエステル化物を含有することもありうる)を硫酸水
ならびにメタノールから成る媒体中、アルカリ金属また
はアルカリ土類金属のハロゲン化物の共存下にエステル
化する工程であり、この工程で生成したα−APMはハロ
ゲン水素酸塩として逐次反応系外に析出する。
このエステル化工程において媒体中の硫酸は硫酸/(硫
酸+水)×100で定義される濃度で5〜50重量%、好適
にはおよそ8〜40重量%であり、またメタノールは同じ
くメタノール/(メタノール+水)×100で定義される
濃度で3〜35重量%、好ましくは5〜30重量%である。
また硫酸ならびメタノールの量は原料のN−ホルミル−
α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンに対して
それぞれ1当量以上である。硫酸濃度およびメタノール
濃度がこれら範囲外の時にはα−APMの生成速度が著し
く遅くなったりまたはα−APMハロゲン化水素酸塩の溶
解度が高くなり析出し難くなったりして好ましくない。
本発明のエステル化反応は前記媒体中、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属のハロゲン化物、好ましくは塩化
物の共存下に行われる。具体的には塩化リチウム、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシ
ウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロ
ンチウムまたは塩化バリウムなどである。これらの金属
塩化物の中でも塩化マグネシウムがとくに好ましい。塩
化マグネシウムを用いると一段と高いα−APMの収率を
与える。このことは本発明の方法での反応が、単に酸塩
交換反応に基づくものではなく、金属カチオンを何らか
の形で反応に関与していることを示唆するものと考えら
れる。これらの金属ハロゲン化物は前記媒体中に必ずし
も完溶させる必要はなく、懸濁状態であっても何ら問題
はない。またこれらの金属ハロゲン化物は、通常、単独
で用いられるが、2種類以上を併用することも可能であ
る。
上記金属ハロゲン化物の使用量は、N−ホルミル−α−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニンに対して1当
量以上、好ましくは1.1当量以上である。これより少な
い使用量であっても反応は進行するが、α−APMの選択
率が低下して好ましくない。また使用量の上限について
は特に制限はないが、あまり過剰に用いることは経済的
に好ましくない。また場合によってはα−APMと金属ハ
ロゲン化物の分離が繁雑化するケースもあり、その為通
常はN−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンに対して20当量以下で使用される。
エステル化工程は第1のホルミル基の除去工程を通して
得られた反応液を冷却後、必要に応じて硫酸、水、メタ
ノールならびに金属ハロゲン化物を装入し、それぞれを
所定の濃度、量に設定したのちエステル化反応を行わせ
ることにより達成される。
反応温度は0〜60℃、好ましくは10〜50℃である。反応
温度が低すぎるとエステル化反応が緩慢となり、また過
度に温度に高めることはペプチド結合の解裂を起こし易
くなると同時にα−APMのハロゲン水素酸塩の溶解度を
高め、α−APMの選択率ならびに収率の低下をきたす。
本発明の方法においては生成したα−APMはハロゲン化
水素酸塩として逐次、反応系より析出する。従って、反
応後は必要に応じて冷却後遠心分離等の濾過操作によっ
てα−APMのハロゲン化水素酸塩として単離される。
分離されたα−APMのハロゲン化水素酸塩は常法により
水中、苛性アルカリ、炭酸アルカリまたは重炭酸アルカ
リなどの塩基で中和することにより遊離のα−APMに交
換しうる。
(実施例) 以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1 濃硫酸21.2g、水60.6gおよびメタノール9.6gから成る媒
体を50℃に昇温し、この溶液中に50〜55℃でN−ホルミ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン15.4
g(0.05モル)をおよそ30分要して加え、さらに同温度
で2時間反応させることによりホルミル基を除去した。
反応溶液を20℃に冷却し、無水塩化マグネシウム14.3g
を加え20〜25℃で4日間反応させた。反応の進行に伴っ
て徐々にα−APM塩酸塩の結晶が析出した。反応後析出
している結晶を濾過し冷水で洗浄した。
湿ケーキの収量19.4g、このものを高速液体クロマトグ
ラフィーにて分析の結果、α−APM含有量(遊離換算)
は11.8gであった。
収率80.2%(対N−ホルミル−α−L−アスパルチル−
L−フェニルアラニン)、この湿ケーキの一部を水から
再結晶精製し、真空乾燥したサンプルは元素分析の結
果、α−APM塩酸塩2水和物に一致した。
元素分析値(%) C H N Cl 実測値 45.62 6.54 7.51 9.68 計算値* 45.84 6.32 7.64 9.67 *C14H23N2O7CLとして 尚、当該サンプルの少量を水に溶かし塩化バリウム水溶
液を添加してもほとんど白濁せず、硝酸銀水溶液の添加
で白濁したことからも塩酸塩であることが確認された。
実施例2 濃硫酸25.5gと水72.5gとから成る媒体を50℃に昇温しこ
の溶液中にN−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−
フェニルアラニン30.8g(0.1モル)をおよそ1時間要し
て徐々に装入した。その後50〜60℃で3時間反応させる
ことによりホルミル基を除去し、α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンを生成させた。次に得られた溶
液を20℃に冷却し、メタノール9.6gならびに無水塩化マ
グネシウム18.7gを装入した。30℃に昇温し30〜35℃で
4日間反応させた。反応の進行に伴い徐々にα−APM塩
酸塩の結晶が析出した。反応後20℃に冷却し、析出して
いる結晶を濾別し、冷水で洗浄することによりα−APM
23.9g(遊離換算)を含有するα−APM塩酸塩の湿ケーキ
を得た。収率81.4%/対N−ホルミル−α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニン ここに得たα−APM塩酸塩を水400mlに溶解し、20%炭酸
ナトリウム水溶液を滴下しpH5.2に中和した、5℃に冷
却し、濾過、冷水洗浄後、真空乾燥した。
収量20.6g、▲〔α〕20 D▼=15.8(C=4 15規定ギ酸) 比較例1 実施例2において塩化マグネシウムの代わりに塩化水素
7.3gを用いる他は実施例2と同様に反応を行った。30℃
2日間反応させてもα−APM塩酸塩の析出はほとんど認
められず、反応溶液を高速液体クロマトグラフィーで分
析の結果α−APM生成率は26%(対N−ホルミル−α−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニン)に過ぎなか
った。
実施例3 濃硫酸25.5g、水72.5gならびにメタノール4.8gから成る
媒体を50℃に昇温し、この溶液中にN−ホルミル−α−
L−アスパルチル−L−フェニルアラニン30.8g(0.1モ
ル)をおよそ30分間で徐々に装入し、その後50〜60℃で
2時間反応させることによりホルミル基を除去した。次
に得られた反応溶液を20℃に冷却し、無水塩化マグネシ
ウム16.8gを装入したのち30〜35℃で5日間反応させ
た。反応後20℃に冷却し、析出している結晶を濾別し、
冷水で洗浄することによりα−APM塩酸塩の湿ケーキを
得た。
高速液体クロマトグラフィーにて分析の結果、α−APM
(遊離換算)を22.1g含有していた。収率75.1%(対N
−ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
ニン) 実施例5 濃硫酸25.5g、水113.5gおよびメタノール12.8gとから成
る媒体を50℃に昇温し、N−ホルミル−α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニン30.8g(0.1モル)をおよ
そ30分間要して徐々に装入し、さらに50〜55℃で2時間
反応させてホルミル基を除去した。その後20℃に冷却し
無水塩化マグネシウム28.0gを装入し30〜35℃で5日間
反応させた。析出した結晶を濾過し、冷水で洗浄するこ
とによりα−APMを21.5g(遊離換算)含有するα−APM
塩酸塩の湿ケーキを得た。収率73.1%(対N−ホルミル
−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン) 実施例6〜8 実施例1において塩化ナトリウムの代わりに種々の金属
塩化物を用いる以外は実施例1と同様に反応に行いα−
APM塩酸塩を取得した。結果を表−1に示す。
実施例9 濃硫酸30g、水97.8gおよびメタノール9.6gから成る媒体
中にN−ホルミル−β−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニン20重量%含有するN−ホルミル−α−L−ア
スパルチル−L−フェニルアラニン38.5gを50〜55℃で
およそ30分間要して装入し、さらに50〜60℃で2時間反
応させてホルミル基を除去した。次いで反応溶液を20℃
に冷却し無水塩化マグネシウム23.0gを装入してから30
〜35℃で6日間反応させた。20℃に冷却し析出している
結晶を濾別しα−APM塩酸塩を得た。高速液体クロマト
グラフィーにて分析の結果21.9gのα−APM(遊離換算)
を含有していた。収率74.4%(対N−ホルミル−α−L
−アスパルチル−L−フェニルアラニン) 尚、得られたケーキ中にはβ−異性対由来の化合物はほ
とんど含まれていなかった。
(発明の効果) 本発明の方法によればN−保護−α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンから保護基除去後の中間体であ
るα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを単離
することなく効率良くα−APMのハロゲン化水素酸塩に
交換でき、しかもi)反応が温和で、とくに金属塩化物
として塩化マグネシウムを用いれば高い選択率且つ高収
率にα−APM塩酸塩が製造できること、ii)生成したα
−APMはハロゲン化水素酸塩として反応系より析出する
為、反応後は濾過操作のみで品質良好なα−APMのハロ
ゲン化水素酸塩が取得できること、iii)反応ならびに
分離操作が簡便であること、さらにはiv)原料のN−ホ
ルミル−α−L−アスパラチル−L−フェニルアラニン
が、その溶液中で安定性に問題のあるL−フェニルアラ
ニンメチルエステルを用いることなく、L−フェニルア
ラニンを直接用いて製造できる物質である為、全体のプ
ロセスも簡略化されること、など種々の利点を有する方
法で工業的価値の高いものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−保護−α−L−アスパルチル−L−フ
    ェニルアラニンを硫酸水溶液中またはメタノールを含有
    する硫酸水溶液中で処理して保護基を除去したのち、生
    成したα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを
    単離することなしに該生成物を引きつづき硫酸、水およ
    びメタノールから成る媒体中、アルカリ金属またはアル
    カリ土類金属のハロゲン化物の共存下にエステル化し、
    生成したα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
    メチルエステルをハロゲン化水素酸塩として反応系より
    析出せしめて、該ハロゲン化水素酸塩を分離することを
    特徴とするα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
    ンメチルエステルのハロゲン化水素酸塩の製造方法。
  2. 【請求項2】α−L−アスパルチル−L−フェニルアラ
    ニンのエステル化が硫酸を硫酸/(硫酸+水)×100で
    定義される濃度として5〜50重量%、メタノールをメタ
    ノール/(メタノール+水)×100で定義される濃度と
    して3〜35重量%、そして硫酸およびメタノールともに
    N−保護−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンに
    対して1当量以上である媒体中、且つN−保護−L−ア
    スパルチル−L−フェニルアラニンに対して少なくとも
    1当量以上のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハ
    ロゲン化物の共存下に行う特許請求の範囲第1項記載の
    方法。
  3. 【請求項3】N−保護基がホルミル基である特許請求の
    範囲第1項ならびに第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハ
    ロゲン化物が塩化物である特許請求の範囲第1項ならび
    に第2項記載の方法。
  5. 【請求項5】金属ハロゲン化物が塩化マグネシウムであ
    る特許請求の範囲第1項ならびに第2項記載の方法。
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